2016年06月23日
6月22日に通算6回目の挑戦で発射成功した北朝鮮のムスダン中距離弾道ミサイル。翌23日に北朝鮮メディアは発射成功を祝う宣伝を行い映像を公開しました。北朝鮮の発表では「火星10号戦略弾道ミサイルは高度1400kmに到達し水平距離400kmを飛行して海に着弾した」とあり、実験成功としています。

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※発射直後のムスダン

注目すべきなのは、ムスダンの底部に簀の子状の翼が付いている事です。8枚付いているように見えます。

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※上昇中のムスダン

Grid fin - Wikipedia 簀の子(すのこ)、あるいは格子(こうし)の形をした小翼。

簀の子状の翼は操舵翼や安定翼に用いられることがありますが、中距離弾道ミサイルへの適用例としては冷戦時代のソ連のRSD-10(SS-20セイバー)があります。これを模倣して役割が同じものだとすると、上昇中にのみ効果を発揮するもので、大気圏突入後の終末誘導用ではありません。簀の子状の翼は4枚の安定翼と4枚の操舵翼を平行に交互に取り付けたものだと思われます。(追記; 8枚とも全て安定翼の可能性も考えられます)

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※RSD-10(SS-20セイバー)の簀の子状の翼。畳まれている。

参考:РСД-10 Пионер - SS-20 SABER

ムスダンはこれまでソ連のR-27弾道ミサイルを模倣して大型化させたものと思われてきましたが、RSD-10の特徴も兼ね備えていたことが新たに判明したことになります。過去に平壌のパレードに登場した時のムスダンには、このような装備は付いていませんでした。


噴射炎から硝酸系ベースの液体推進剤ではないかという指摘。


ムスダン発射時の噴射炎。メインノズルからの太い噴射炎の周囲に小さな噴射炎も見えるという指摘。

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※高解像度写真。小さな噴射炎は姿勢制御用と思われる。

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TEL(輸送起立発射機)2両を並べてムスダン発射成功を祝う記念集合写真。TELにはタイヤカバーが装着されており、初確認となる。
16時45分 | 固定リンク | Comment (38) | 軍事 |

2016年06月22日
2016年6月22日、北朝鮮は中距離弾道ミサイル「ムスダン」を発射しました。4月から5月にかけて4連続で発射直後に吹き飛ぶという失敗が続き、今日は2回発射して午前5時58分に発射された1回目は150km飛んで空中爆発、午前8時5分に発射された2回目は400km飛んで日本海に着弾しています。今日の2回の発射でムスダンは計6回の試射を行ったことになります。しかし・・・

北朝鮮、さらにミサイル2発発射 1発は日本海に着水か:朝日新聞
軍事関係筋によれば、北朝鮮はさらに1発、この日3発目のムスダンを発射。失敗した1発目と異なり、2、3発目は一定距離を飛行し、うち1発は日本海に着水した模様だ。合同参謀本部は2発目が、日本海を約400キロ飛行したことを明らかにした。(ソウル=牧野愛博)

北朝鮮ミサイル、高度1千キロ到達 日本「深刻な懸念」:朝日新聞
「軍事関係筋によれば、北朝鮮は同日午前8時10分ごろまでに、3発目のムスダンを発射したとの情報もある。」
「軍事関係筋によれば、3発目も空中で爆発した模様で、確認を急いでいる。」(ソウル=牧野愛博)

ところが今日だけで3発発射したと報じているのは朝日新聞の牧野愛博記者の書いた記事だけです。韓国軍もアメリカ軍も日本自衛隊も今日は2発が発射されたと公表しています。韓国の報道も全て2発の発射と報じています。それなのに朝日新聞ソウル支局・牧野愛博記者だけが3発目が発射されたと報じているのは不可解で、牧野記者のいう「軍事関係筋」という情報源が何なのか全く不明です。

そして実はこの記事を書いた牧野愛博記者は6年前にも「軍事関係筋」をソースに北朝鮮のノドン弾道ミサイルの記事を書き、誤報となっています。

朝日新聞がノドン誤報で訂正記事:週刊オブイェクト(2010年05月09日)

この時は「ノドンは固体燃料である」という、あり得ない内容でした。訂正の内容も「固体燃料を使えるよう改良されたとの情報がある」という、不可解な言い訳でした。ノドンは一段式液体燃料であり、固体燃料化した場合は構造がもはや丸ごと別のものになってしまいます。それはもうノドンと呼ばれる代物ではありません。

朝日新聞の牧野愛博記者の言う「軍事関係筋」情報は、これで北朝鮮の弾道ミサイル関連で2度目の誤報となり、信憑性が非常に疑わしい情報源と言わざるを得ません。
12時28分 | 固定リンク | Comment (11) | 報道 |
2016年06月21日
6月18日にシリアを電撃訪問したロシアのショイグ国防相の様子を伝えるRT(ロシアトゥデイ)の動画ニュースに、シリアのフメイミム基地でSu-34攻撃機にクラスター・テルミット焼夷爆弾が搭載されている決定的な証拠が写っていました。



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「РБК-500 ЗАБ-2,5СМ」と書かれている爆弾

Su-34攻撃機に搭載されているРБК-500 ЗАБ-2,5СМ(RBK-500 ZAB-2.5SM)と書かれている爆弾は、大型のクラスター・テルミット焼夷爆弾です。RBK-250 ZAB-2.5の大型版になります。誤解されることも多いのですが、これは白燐弾ではありません。それよりも遥かに強力な焼夷兵器です。

00時41分 | 固定リンク | Comment (4) | 軍事 |
2016年06月09日
6月7日と8日に、内戦中のシリアのアレッポ周辺でロシア軍/シリア軍の航空機からロシア製クラスター・テルミット焼夷爆弾「RBK-250 ZAB-2.5」が使用されました。着弾の様子が似ているために大手メディアも含めて白燐弾と誤解されていますが、航空機用の爆弾にクラスター型の白燐弾は何処の国にも存在しません。シリア内戦ではテルミット焼夷弾「RBK-250 ZAB-2.5」は以前から使用されており、着弾地点での残骸を見た限りでも、ZAB-2.5子弾で間違いないでしょう。





現地からの報告者やトルコ・アナドル通信のツイートには燐(phosphorus)とありますが間違いです。これはテルミット焼夷弾です。以前に大々的に報道された白燐弾の影響で、焼夷兵器は何でも白燐弾だと誤解される風潮が広まってるのですが、クラスター・テルミット焼夷爆弾「RBK-250 ZAB-2.5」は攻撃用に専用設計された焼夷兵器(子弾は焼夷剤だけでなく炸薬も内蔵)であり、発煙弾として設計された白燐弾(アメリカ軍やイスラエル軍が使用したM825A1)よりもはるかに殺傷力が高い兵器です。

また、数日前にアレッポでの市街戦でロシア軍/シリア軍のTOS-1A重火炎放射システム(多連装サーモバリック・ロケット弾発射機)が対戦車ミサイルで撃破されています。TOS-1Aはサーモバリック弾薬に誘爆、大爆発となっています。


(着弾は45秒から)

TOS-1A重火炎放射システムは誘爆の様子を見ても分かる通り非常に強力な威力を持つ兵器です。そして多連装ロケットという兵器の性格上、目標へのピンポイント精密攻撃は不可能であり、本来は市街戦に投入していいものではありません。
05時10分 | 固定リンク | Comment (18) | 軍事 |
2016年02月16日
シリア内戦ではロシア軍およびアサド政権軍がクラスター爆弾を大量に使用しています。様々な種類のクラスター爆弾が使用され、爆発の瞬間が撮影され、不発弾が発見され、動かぬ証拠となって上がっています。そして遂に2016年2月15日、シリアのアレッポ北部の市街地に投下されている様子が動画に収められました。ロシア空軍のSu-34攻撃機による爆撃とされています。


العدو الروسي في أقذر أسلحته العنقودي يفتك في حريتان بريف حلب

ロシアもシリアもクラスター爆弾を禁止制限するオスロ条約には加盟していません。しかし、それ以前の前提として戦時国際法であるジュネーブ条約は市街地への無差別な攻撃を禁止しています。クラスター爆弾はピンポイント攻撃が出来ない面制圧兵器であり、無差別に広範囲を破壊・殺傷するものである以上、市街地での使用は戦時国際法に違反した行為であることは明白です。そして一つの親爆弾に数十個から数百個の子弾が入っている為に不発弾が大量に発生し、戦争が終結した後も民間人に犠牲を強いる事になります。

【シリアで確認された各種ロシア製クラスター爆弾の子弾】
・対人クラスター子弾AO-2.5RTM(航空爆弾RBK500)
・対人クラスター子弾AO-1SCh(航空爆弾RBK250-275)
・対人クラスター子弾ShOAB-0.5(航空爆弾RBK500)
・対人クラスター子弾9N235(スメルチ多連装ロケット、9M55K弾)
・対人クラスター子弾9N24(トーチカ短距離弾道弾、9N123K弾頭)
・対人クラスター子弾O10(240mm重迫撃砲M240、3O8迫撃弾)
・焼夷クラスター子弾ZAB-2.5(航空爆弾RBK500、テルミット)
・対戦車クラスター子弾SPBE-D(航空爆弾RBK500、自己鍛造弾)

上記に挙げたものはシリアで確実に確認されたクラスター子弾ですが、これで全ての種類ではありません。更に多くの種類のロシア製クラスター爆弾が使われている可能性があります。クラスター航空爆弾はRBK500やRBK250-275といった親爆弾の中に子弾が収納されています。不発弾は親爆弾、子弾ともにシリアで大量に発見されておりロシア軍とアサド政権軍による使用は明白なのですが、ロシア政府、アサド政権ともに「クラスター爆弾は使用していない」と言い張っています。しかしロシアによる介入以後、突然に使用が確認された物や使用量が急増した物がとても多く、ロシアが供給しロシア自身も使用している事は間違いないでしょう。
21時51分 | 固定リンク | Comment (43) | 軍事 |