2009年04月の記事一覧です。(全28件、20件毎表示)

2009年04月01日
記事は自衛隊が千葉県の警戒レーダーFPS-5(FPS-XXとして開発試験に使われていた機材を解体せずに残したもの)を実戦モードに移した事を伝えていますが、同時に紹介している在日米軍が青森県車力に配備したXバンドレーダーの説明について、間違いがあります。


新型地上レーダーも実戦モードに 高い探知能力、北全域をカバー:産経新聞
地上レーダーでは米軍が青森県に配備している「Xバンドレーダー」も稼働する。FPS−5よりもさらに探知距離が長く、遠方監視に優れる。ミサイルの形状まで識別できるが、雨や雲で電波が減衰して探知能力が低下するため、天候の影響を受けにくいFPS−5と能力を補完し合う。


在日米軍が青森県の車力に配備しているXバンドレーダーは車載移動式の通称「FBX-T」と呼ばれるモデルで、正式名称は「AN/TPY-2」と言います。固定基地型のFPS-5よりも出力がかなり小さいので、探知距離は短くなります。だからなるべく北朝鮮に近い位置へ配備されています。今回の北朝鮮が打ち上げる予定のテポドン予定飛翔コースは東北地方上空を横断する形なので、青森県車力に配備された米軍のFBX-Tは最適の位置で監視をすることになります。

産経新聞は米軍のXバンドレーダーについて、米本土防衛用の大型基地タイプと車載移動タイプを取り違えた可能性が高く、FBX-Tを3年前に車力に配備する時に多くのマスコミが勘違いしていた事を、今だに修正出来ていない様子が見て取れます。Xバンドレーダーが複数種類ある事を理解していないのでしょう。

レーダー用の波長として、Xバンド(波長3cm)は精度が高くなる代わりに探知距離が短くなります。同じ出力、同じアンテナ面積であった場合、Lバンド(波長24cm、FPS-5の使用バンド)の方が探知距離は長くなります。米軍の車載移動式Xバンドレーダー「FBX-T」は基地固定型レーダー「FPS-5」に対して出力とアンテナ面積でも劣っており、使用バンドの特性を考えてもFPS-5よりも探知距離が長くなる事は有り得ません。一方で米本土防衛用の大型基地設置型Xバンドレーダー「GBR-P」及びそれを海上移動基地型にした「Sea-based X-band Radar」は非常に巨大な代物で、探知距離の面で使用バンドの不利を、広いアンテナ面積と強大な出力でカバーしています。

Xバンドレーダーの探知距離 2006年03月14日

Xバンドレーダーと東奥日報 2006年04月03日

在日米軍のXバンドレーダー「FBX-T」が配備された東北地方の地元紙「東奥日報」は当時、このレーダーの配備について特集を組んでいました。報道当初は性能面について間違えた記事を書いていましたが、最終的には私が説明している主張と同じ結論に辿り着いています。



これは昨年の10月に撮影された映像です。ハワイのオアフ島にある真珠湾に、Sea Based X-Band Radar (SBX)がやって来ています。右の方に見える白くて丸いものがレドームです。本来はアラスカ近海に配備されていますが、メンテナンス修理の為に戻って来ていました。排水量が5万トンに達する巨大なもので、レーダーパネルだけで2千トン近い代物です。



これも昨年の10月の映像で、イスラエルに配備されたFBX-T(AN/TPY-2)です。車載移動式であることが分かります。重量は数十トン程度です。Xバンドレーダーが最初に話題になった時から何年も経つのに、今だに全然違う大きさの物を混同しているマスコミがあることにゲンナリしてしまいます。

北朝鮮「ミサイル」発射 鹿児島・下甑島で「ガメラレーダー」量産1号機完成 - FNNニュース動画

FPS-5通称ガメラレーダーの大きさと、FBX-Tの大きさをちゃんと見比べて下さい。


12時00分 | 固定リンク | Comment (45) | 報道 |

昨日、アメリカのヒラリー・クリントン国務長官は日本が準備しているテポドン迎撃について、当然の権利であると容認しました。




韓国の李明博大統領も、日本の迎撃準備に反対しない事を表明しています。このようにアメリカや韓国が理解を示してくれるのは当然なのですが、大変に意外なところからも同様の理解が得られました。


金正日総書記の長男・金正男氏、「日本政府の行動は自衛のため当然」 - FNNニュース
北朝鮮は、早ければ4日後にもミサイルを発射すると通告している。
日本が迎撃への動きを進める中、金正男氏からは意外な答えが聞かれた。
金正男氏は「(日本政府の対応は大げさですか?)日本政府の行動は、自衛のため当然だと思います」と話した。
北朝鮮は3月9日、「ミサイルを迎撃することは、戦争を意味する」と警告を発した。
それにもかかわらず、金正男氏は「日本政府の行動は当然」と語った。


記事はすぐ消えるだろうから、記念に画像でも保存しておきます。

kimumasao.jpg

正男君・・・後継者レースから外れたのが惜し過ぎるよ・・・いや、こういう人だから外されちゃったわけなんだけど。でも彼が後継者になっていたら、この地域に平和が訪れていたのかもしれないですね。ディズニーランドの招待券一つで核とミサイルと拉致問題が全部解決しそうです。

でもこんな発言をして粛清されないんだろうか、心配ですね・・・


【追加保存】

ミサイル:金正男氏「日本の対応は当然」 | 朝鮮日報

金正男のコメント
18時00分 | 固定リンク | Comment (101) | 軍事 |
「はるしお」型潜水艦の一番艦「はるしお」が3月27日に除籍され、退役しました。

海自潜水艦:「はるしお」除籍 自衛艦旗を返納−−呉基地 /広島|毎日新聞

次クラスの「おやしお」型は葉巻船型であり、「はるしお」型がティアドロップ(涙滴)船形の最後の系譜です。そして「おやしお」型を基本に、水中低速巡航用の補助エンジンとしてAIP(非大気依存)システムのスターリングエンジンとX字型の舵を採用した「そうりゅう」型潜水艦一番艦「そうりゅう」が3月30日に竣工、引き渡されました。

新型潜水艦「そうりゅう」引渡式|産経新聞




この「そうりゅう」には新型の射撃管制装置が搭載されており、これはアメリカ製の新型対艦ミサイル「ハープーンBlock2」を使用する為の物と推測されています。同ミサイルにはGPSを用いた対地攻撃能力も付与されている為、海上自衛隊は水上戦闘艦の艦載砲を遥かに上回る長距離対地攻撃能力を獲得した事になります。

なお自衛隊側は「ハープーン級」ミサイルを搭載している事は認めていますが、具体的にハープーンBlock2であるとは認めていません。ですが国産の対艦ミサイルには潜水艦から発射できるものは無く、アメリカから潜水艦発射用のサブ・ハープーンを買うしかありませんが、既にアメリカのハープーン対艦ミサイルはBlock2に生産が移行しており、今さら古い型の入手は出来ないので自動的にBlock2を調達したと見るべきでしょう。ハープーンBlock2については既に韓国や台湾も導入しています。




動画の前半で洋上目標、後半で地上目標を攻撃する試験を見る事が出来ます。
19時00分 | 固定リンク | Comment (132) | 軍事 |
2009年04月03日
4月4日以降に予定されている北朝鮮のテポドン2発射ですが、日本政府は万が一の事故の際にテポドンが本来の軌道を逸れて日本国土に着弾する恐れに備えて、迎撃体制を整えています。

テポドンは前回打ち上げに失敗していますし、正常に動作する保障はありません。とはいえ失敗する可能性がそれなりにあったとしても、その上で更に日本国土に落ちるという状況は、確率的に低いものです。日本側の迎撃体制は、万が一の可能性に備えたもので、本番が来ても出番はまず無いでしょう。

なお、ロケット事故とはこのような有様になります。



アメリカ、デルタロケット事故。


中国、長征ロケット事故。音量注意。


ロシア、ソユーズロケット事故。


但し上記の例は発射直後の燃料満載状態での事故ですので、かなり派手な事になってしまっています。

また最近ではこのような例も・・・これは事故ではなく、予定通りの損害だとか。


ロケット残骸が民家直撃 中国、月探査衛星発射で - 産経新聞 - 2007.10.26
中国初の月探査に向けた周回衛星「嫦娥(じょうが)1号」が24日打ち上げられた際、衛星を搭載した「長征3号Aロケット」の残骸(ざんがい)の一つが中国貴州省に落下、民家を直撃していたと中国の華僑向け通信社、中国新聞社電が26日伝えた。一部民家が損壊したが、死傷者は出ていないという。

嫦娥1号のロケット残骸、無事落下 貴州省 - 人民網日文版 - 2007.10.26
24日午後6時5分、西昌衛星発射センターで、月探査衛星「嫦娥一号」を打ち上げたキャリアロケット「長征3号甲」の1段目のロケット残骸が無事、貴州省の福泉道坪鎮上平果村に落下した。現在、関係部門の作業員が回収にあたっている。


ロケットブースターが民家を押し潰しても予定通り『無事に落下』したと発表。事前に住民を避難させていたとはいえ、向こうの感覚はよく分かりません。
21時00分 | 固定リンク | Comment (65) | 軍事 |
2009年04月04日
日本政府が進めている、万が一の際のテポドン迎撃準備ですが、アメリカや韓国、更には北朝鮮の金正男までからも「当然の権利だ」との認識が得られましたが、中国やロシアからも同様の意見が出ています。特に中国海軍の張召忠少将の解説はとても分かりやすいです。


北ミサイル「飛来なら日本に撃墜の権利」―中国軍少将|Searchina
人工衛星打ち上げか誘導ミサイルかの問題については「米国は極めてはっきりと判断している。弾道ミサイルではなく、人工衛星の打ち上げだ」と主張。

ただし、「人工衛星の打ち上げでも、風を含め、さまざまな原因で軌道がそれることはある」と指摘。日本の領空などに(大気圏内で)突入する場合、日本は必ず迎撃行動を起こす。日本にはその権利がある。国際法でも認められる行為ということになる」と述べた。

日本の考え方については「領空を侵犯すれば、それは日本の問題だ。飛んでくれば、それがだれのものであろうと迎撃するとの方針だ」と説明し、北朝鮮を特に差別的に扱っているわけではないとの考えを示した。


張召忠少将は国防大学で戦略学を指導している教授で、著名な軍事評論家としても知られています。国際的にも張召忠少将の考え方が特別では無い事は、ロシア軍幹部のコメントを見ても分かるでしょう。


露の領内に飛来すれば迎撃 北朝鮮ミサイルの対応で|中国新聞
ロシア太平洋艦隊(司令部・ウラジオストク)幹部は三日、北朝鮮が「人工衛星」と主張する長距離弾道ミサイルを発射した場合の対応について「ミサイルがロシアの沿海地方などに飛来すれば、防空部隊が迎撃することになる」と明らかにした。


ロシア軍には弾道ミサイルを迎撃可能なS300Vと呼ばれる地対空ミサイルがあり、その有効射程はPAC3を上回っています。



前回のテポドン発射では、ロシア軍の早期警戒衛星がこの地域をカバーしておらず、気付いたのがインターネットでニュース記事を見てからという有様だったので、今回は「予定飛翔コースにロシアは入ってないし、通常の警戒態勢だよ」と言いながら現場は気合を入れて監視しているでしょう。

米韓だけでなく露中からも迎撃準備に理解を示す声が出ている理由は、ごく当たり前な事です。自国民の安全を守る事は国家の義務であり、正当な権利であるからです。
08時51分 | 固定リンク | Comment (103) | 軍事 |
天候不良のため、テポドン発射は明日以降になりました。

ミサイル発射、5日以降に=初日は強風で見送りか−北朝鮮:時事通信

午前中に朝鮮中央通信は「間もなく発射する」と通告しましたが、その後、音沙汰無し。
一方日本側は発射されたと誤報を発し、5分後に撤回するという不手際を犯しました。

発射、日本政府が誤発表 5分後に訂正:朝日新聞

発射されたのに気付かないという場合に比べれば、失態と言えるほどの話ではありませんが、どうして千葉県の警戒レーダー「FPS-5」だけの情報で弾道ミサイルと断定して発表してしまったのか、幾つかの問題点があります。アメリカ軍の早期警戒衛星や青森県車力に配備されたXバンドレーダー、ミサイル追跡機コブラボールなど、他の観測手段の中からもう一つでもダブルチェックをしていれば避けられていた事態です。

千葉県のFPS-5は試験用で、開発が終了したら解体する予定でした。元々、実戦用には想定していなかった機材です。以前にも説明しましたが、Lバンド(波長24cm)を使うFPS-5はXバンド(波長3cm)レーダーよりも探知距離には優れていますが解像度は低くなります。つまり早い段階で目標をキャッチできるものの、それを正確に判断する事に関しては、Xバンドレーダーよりも劣るのです。

今回はFPS-5の探知距離の長さが逆に仇となったようで、結果的に誤報となってしまいました。どうしてアメリカ軍からの情報を待てなかったのか、自衛隊の情報だけで判断するにしても、複数のレーダー基地からの情報やイージス艦のレーダーもある上、今回は出て来ていませんが、評価試験中のAIRBOSS(空中赤外線弾道ミサイル観測センサーシステム、P-3C哨戒機を改造)も投入可能だった筈です。

速報性と正確性がトレードオフなのは分かり切ったことです。ですがアメリカからの情報に頼らずに自前の警戒網だけで判断するのでしたら、早期警戒衛星無しではつらいですし、迎撃用とは別にイージス艦を観測目的でもっと前進配備する必要性(隻数の余裕が必要)もあります。AIRBOSSのようなそれらとは別の探知手段も実用化させて、送り込まなければなりません。

何にしてもそうですが、たった一つの情報源だけからでは判断を行うのは不十分です。それなのに政府が発表してしまったのは、拙速でした。

政府、ミサイル発射を誤発表  米衛星探知と勘違い:岩手日報

技術的な原因は、どうも担当者が「アメリカの早期警戒衛星が探知した」と勘違いしたらしく、そこでダブルチェックが出来ていたと思い込んだのが原因のようです。

■ AIRBOSSを搭載し飛行中の試験母機(UP-3C)■

そういえば今回、AIRBOSSが出動したという報道はありませんが、試験機として戦力には計算に入れないまでも、探知に参加している可能性があります。

【追記】


UP-3Cは去年だったかにAIRBOSSタレットを降ろして少なくとも先月18日まで未搭載だったのが確認できるモサリ
情報伝達の連接性については今まさに評価試験段階なので実際の早期警戒網に組み入れるには不安定モサリよ
同様にFPS-5の試作機も現用として使うのは余り感心しないモサリが

Posted by CHF at 2009年04月04日 22:09:28


どうやら開発の為かセンサーを降ろしていたみたいで、だから話題に上ってなかったんですね。
19時05分 | 固定リンク | Comment (214) | 軍事 |
2009年04月05日
北朝鮮がテポドン2を発射、日本列島の上空を飛び越えて行きました。正常に飛んだ模様で、迎撃は必要ありませんでした。衛星が軌道に乗ったかどうかはまだ未確認です。

13時28分 | 固定リンク | Comment (204) | 軍事 |
NORADの発表によると、テポドン2による衛星打ち上げは失敗、人工衛星は軌道に投入出来なかった模様。


「北朝鮮、弾頭も含めて太平洋に着水」 米軍発表:朝日新聞
北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)と米北方軍司令部は5日、北朝鮮が発射したミサイルについて、「2段目以降は弾頭も含めて太平洋に着水した」と発表し、北朝鮮が衛星打ち上げに失敗したことを明らかにした。


1998年のテポドン1でも人工衛星「光明星1号」の軌道投入に失敗しており、今回のテポドン2による「光明星2号」も失敗した事になります。

と思ったらロシアからは逆の情報が。


北の人工衛星、軌道に=「追跡システムで特定」とロシア:時事通信
インタファクス通信によると、ロシア外務省のネステレンコ情報局長は5日、「北朝鮮が人工衛星を打ち上げた」と確認した上で、「軌道に乗せた」と語った。さらにロシアの航空宇宙追跡システムを通じ、「衛星の軌道データが特定されている」と明らかにした。


これはまた一体・・・?


NORADの公式発表は以下の通りです。

NORAD and USNORTHCOM monitor North Korean launch
Stage one of the missile fell into the Sea of Japan. The remaining stages along with the payload itself landed in the Pacific Ocean.

ペイロード(人工衛星)自体も太平洋に落ちたとあります。


【追記】

時事通信が記事の文面を変更しています。「軌道に乗せた」という部分が無くなっています。「特定された」という部分も「特定中だ」と変わっています。記事タイトルも「特定」から「特定中」に変わっています。

ということは時事通信の翻訳ミスなのでしょうか?

ではインタファクス通信の記事でアンドレイ・ネステレンコ情報局長のコメントをチェックしてみます。

Что запустила Северная Корея? | Интерфакс

МИД РФ подтвердил факт запуска КНДР искусственного спутника Земли | Интерфакс

どうも「北朝鮮の衛星が地球周回軌道に乗った」という意味ではなく、ネステレンコ氏が言っているのは「テポドンは宣言どおり東向きの弾道で放たれ、ロシア領域には来ていない」という意味の事を言っているように見受けられます。

共同通信はネステレンコ氏の発言を以下のように翻訳して報道しています。これが正解なのでは?


ロシア「人工衛星と確認」 関係国に自制求める:共同通信
また、打ち上げで軌道は外れておらず、ロシアの領空にも入っていないと指摘。公式な評価を出す前に、軍事専門家による分析が必要だと述べた。


この場合の軌道とは人工衛星の周る地球周回軌道を意味せず、東向きに放たれた弾道軌道を意味していると、共同通信の記事からは読み取れます。私がロシア語の記事を見て思った感想に近い感じです。



「軌道に乗せた」の部分は"It is clear that there were no deviations from the trajectory."の部分だね。英文ソースでは内容は同じだで単語が違うものがあるが、これはロシア語からの翻訳の違いだろう。これは「打ち上げ軌道から外れなかった」であって、「軌道に乗せた」だと誤解を招く。

trajectoryは普通は弾道や飛翔経路の意味。軌道の意味もあるが衛星の場合orbitが普通は軌道の意味だな。でorbit投入確認と報じたところはない。

Posted by 名無しT72神信者 at 2009年04月05日 22:07:31


この方の分析が分かりやすいですね。時事通信は「ロケット飛翔経路(trajectory)」と「衛星軌道(orbit)」を混同して翻訳して、誤報を発した可能性が高いです。

インタファクス通信のロシア語記事でも「траектория」という単語が確認できます。英語で言う「trajectory」です。そしてロシア語記事には「orbit」に相当する単語である「орбита」は使われていませんでした。

時事通信はロシア語の翻訳を間違ってしまい、誤報を発した事になります。ロシアは北朝鮮のテポドン2によって打ち上げた人工衛星が、地球周回軌道に乗ったとは言っていません。危うくロシアが悪者にされる所でした・・・
19時26分 | 固定リンク | Comment (129) | 報道 |
2009年04月06日
昨日の記事「テポドン2、衛星軌道投入に失敗か。時事通信は大誤報」でお伝えしたとおり、時事通信はインタファクス通信を引用する形で、ロシア外務省のネステレンコ情報局長が発言してもいない「北朝鮮は衛星を軌道に乗せた」「衛星の軌道は特定された」というコメントを捏造。また時事通信以外にも産経新聞などが同様の記事を書いた上、各TV局も今朝の報道番組で同様の内容を放送。あたかもロシアが北朝鮮のテポドン2による衛星打ち上げが成功したことを確認したかのようなデマ報道を流しました。

実際にはネステレンコ情報局長は「テポドン2は予告どおり東に向けて正常に飛翔した」と述べただけであり、ペイロードは人工衛星として打ち上げられた事は認めていても、衛星が地球周回軌道に乗ったかどうかについて一切言及しておらず、軍の専門家の情報分析結果を待つと述べていました。昨日の時点でロシア軍が把握していたのは、テポドン2の第一段ブースターが正常に作動し、東に向けて飛んでいった事だけです。

そして今日、ロシア軍の分析結果が出ました。


北朝鮮の衛星軌道投入、露軍高官も「失敗」:読売新聞
ロシア軍参謀本部の高官は6日、北朝鮮が地球を周回する軌道への「人工衛星」の投入に失敗したと述べた。

インターファクス通信が伝えた。

ロシア軍は北朝鮮の弾道ミサイル発射を監視していたが、この高官は「宇宙空間を監視する我々のシステムは北朝鮮の衛星を記録していない。軌道上に衛星はない」と説明した。


これまでに「ロシアは衛星が軌道に乗った事を確認した」と報じた日本マスコミは、ロシア外務省のネステレンコ情報局長に正式謝罪し、訂正報道を行うべきでしょう。それが行われない場合、今回のロシア軍参謀本部の見解とネステレンコ氏の発言(日本マスコミが捏造)が食い違い、ネステレンコ氏が嘘を言ったと誤解されてしまいます。ネステレンコ氏及びロシア国の名誉を回復する為に、日本マスコミは謝罪しなければなりません。デマの責任は時事通信だけにあるわけではありません。産経新聞、TV局なども同様のデマを流しており、それらのマスコミにも同じ責任があります。

テポドン2発射前日の日本政府の誤報をあれだけ叩いていたマスコミが、自身の重大な誤報には知らん振りをしているようでは、何の説得力もありません。そのようなダブルスタンダードは認められませんので、ロシアへの謝罪や訂正報道を行わないのでしたら、貴方達には日本政府の誤報を叩く資格は一切存在しない事を肝に銘じて下さい。

衛星軌道投入に失敗した北朝鮮の衛星を、事実と正反対の「軌道に乗った」と報道する事は、北朝鮮を利する行為であり、利敵行為です。日本国への裏切り行為と見なせます。またロシア側が言ってもいないことを捏造する行為は、ロシアに対する名誉毀損以外の何物でもないでしょう、嘘を吐いたのは日本マスコミなのに、訂正報道が行われなければロシアが嘘を吐いたと誤解されてしまいます。

各マスコミは責任を持ってロシアへの謝罪と訂正報道を行って下さい。
21時00分 | 固定リンク | Comment (159) | 報道 |
2009年04月08日
テポドン2の打ち上げ直後の映像と、解説用の関連動画を紹介します。



これが北朝鮮の発表した打ち上げ直後の動画です。弾体は白く塗られています。



こちらは衛星軌道投入失敗の軌跡をCG動画で描いています。
09時00分 | 固定リンク | Comment (71) | 軍事 |
F-22ラプターは新規調達を中止、生産停止になる模様です。


F22戦闘機の発注停止、米国防長官表明 日本のFX選定に影響:日経新聞
ゲーツ米国防長官は6日、オバマ米大統領に提言する2010会計年度(09年10月―10年9月)国防予算に関する見直し計画を発表し、最新鋭戦闘機F22の新規発注を停止する方針を表明した。これにより、F22は生産中止となる可能性が極めて濃厚となった。F22は日本の次期主力戦闘機(FX)の有力候補で、機種選定にも大きな影響を与える。

ゲーツ長官は同日の記者会見で、予算を減らすため「一貫した指導力を示さねばならない」と強調。コスト削減の一環として「F22の(調達)計画は終了する」と明言した。代わりに、F22の製造元ロッキード・マーチンなどが開発中の次世代戦闘機である「F35の購入を増やすよう提言する」と明らかにした。


以前、私はF-22に関してこのような記事を書きました。

空自FX候補F-22ラプターに関する誤神託の変遷(2008年8月24日)

2007年までは「FXに選定されるのはF-22ラプター以外にあり得ません!」と断言していた、【逆神】として名高い軍事評論家の神浦元彰さん。それが2008年になって「最近、私は米政府が日本にF-22戦闘機の購入を認めないと思うようになりました。」とブレ出したので、後は神浦さんの口から「F-22は有り得ない!」との絶対断言さえ飛び出せば、誤神託により次期FXはF-22ラプターで決まりと信じていましたが・・・絶対断言は飛び出さず、結局のところ、神浦さんがFXについてブレ出したのは以下の要因に過ぎなかったようです。


逆神・神浦元彰伝説〜北朝鮮核実験〜(2006年10月09日)
さて、神浦さんは10/3の北朝鮮外務省の核実験予定発表を目の当たりにし、自身のサイトで4日に「やるか、やらないかはもはや予測できない」と弱気になり、5日には「”核実験”というカードを切ろうとしていると思えてきた」となり、6日の記事では「いつどこでやるかという段階だ」と言い出しています。(7日と8日には言及無し)

ちゃんと軌道修正してるではないか、逆神ではないではないか・・・という人も居られると思いますが、それは違います。いかに逆神とはいえ、ほぼ完全に確定された事象を覆すほどの神通力は持ち得ないのです。これは【大明神】とまで称えられている森田実ですらそうであり、選挙予想の福岡政行に至っては軌道修正をあまりにも頻繁に行う為に、最終的な予測は実際と近くなりますが、やはり逆神としての神格は落ちているわけではないのです。

つまり、今回の北朝鮮核実験の場合、3日の北朝鮮外務省発表の段階でほぼ決行は確定事項であると一般人にも理解できる状態であり、ここから後の予測は素人にでもできるものなので神としてのお告げは出てこない、と理解して下さい。


神浦さんは2006年10月2日の時点で「北朝鮮の核実験準備情報はCIAの捏造」と言い出すも、翌日10月3日に北朝鮮が核実験の予定を正式発表、流石に狼狽したのかその日は黙り込んでしまい、その翌日の10月4日以降から主張を段々と変化させています。

要するに逆神の誤神託とは、判断材料にした時点で「どうなるか分からない事象」に対し、予測がことごとく逆を行く現象です。本来ならばそういった場合、平均すれば的中率は50%になる筈ですが、逆神と呼ばれる人たちは何故か90%近い確率で外してしまうという、逆予言を行ってしまいます。しかし判断材料が「誰の目から見ても明らかな事象」になってしまえば、いくら逆神の神通力でもそれを覆すほどには至りません。それが北朝鮮核実験の際に私自身が示した「逆神の誤神託の読み取り方」でした。

この読み取り方をFXについても適用すれば、神浦さんが意見を変え始めた2008年の時点には既にF-22対日輸出が厳しくなっていたのは誰の目にも明らかな状況でした。というか、だからこそ神浦さんは意見を翻したわけですから・・・結局、私が昨年にF-22ラプターに関する誤神託の変遷を書いた際にこの逆予言の解釈を間違えたのは、F-22取得の芽はまだ摘まれていないと思い込みたかったから、見て見ぬ振りをしてしまったせいです。これは反省しなければなりません。

それにしても逆神という存在の恐ろしさ、凄さを改めて感じました。過去に神浦さんが強力に推していたF-22ラプターは、もう自衛隊が採用できる可能性が殆ど無くなってしまったのです。
11時00分 | 固定リンク | Comment (140) | 軍事 |
オバマ政権のミサイル防衛構想が示されました。

DoD News Briefing With Secretary Gates From The Pentagon | defenselink.mil

国防総省の公式サイトより、2010年度国防予算に関する発表で、それに対する解説やゲーツ国防長官やカートライト統合参謀本部副議長のコメントが掲載されています。かなり長い記事なので読むのに苦労しますが、MD(ミサイル防衛)に関しては大まかに以下の通りです。

・防衛予算全体は2009年よりも210億ドル増額。
・MD予算全体に関しては14億ドル減額。ただしSM-3とTHAADは7億ドル増額。
・イージス艦を6隻、MD対応に改修する為に2億ドル。
・米本土防衛用GBIの数は現状維持。ただし北朝鮮の脅威を名目に開発研究は継続。
・ABL(空中レーザー砲)2機目生産はキャンセル。初号機での開発は継続。
・MKV(多弾頭迎撃体)開発計画は技術的困難の為、一旦中止。
・KEI(上昇段階用迎撃体)については、将来有望ながらまだ研究が必要。

MD予算は全体的に削られましたが、現状で有効性が確認されているSM-3とTHAADについてはむしろ予算を優先的に回され、新規開発中のABL、MKV、KEIが開発縮小ないし開発中止となっています。どれも技術的に困難がある上、当面は必要性が薄いので予算が大幅にカットされました。

空中レーザー砲についてはやはり実用性に懐疑的だったようで、研究は継続するも配備計画は見直されました。MKVは現状の北朝鮮やイランの弾道ミサイルがMIRV(多弾頭独立目標再突入体)化されておらず、中国ですらMIRV実用化までに30年以上掛かっている為、北朝鮮やイランが実用化するまでにはまだ時間が掛かると予測され、暫くは大丈夫との判断なのでしょう。KEIは敵国付近に前進配備して弾道ミサイル上昇中を狙う迎撃ミサイルで、直径1mと巨大なミサイルである為に、これを搭載できる艦船が現在存在せず、次期巡洋艦CGXを大型原子力巡洋艦として積み込む案が出されていましたが、CGX自体が計画先送りとなり、KEIの優先順位も同時に下がっています。

これら開発中の新兵器は予算がカットされましたが、MDは同盟国と米軍の派遣部隊を守るものとされ、米本土防衛用のGBIは優先順位が下げられるも、戦域防衛用のSM-3とTHAADに関しては予算が十分に確保されています。日本が共同開発に関わっているSM-3Block2Aの存続と、近い将来に導入すると噂されていたTHAADの存続は、日本のミサイル防衛構想にとっても歓迎すべき話です。ABLやKEIは敵弾道ミサイルをブーストフェイズで迎撃するもので、敵国領空での撃墜もあり得る為、専守防衛の制約がある日本には使い難い兵器ですし、ICBMを迎撃可能なGBIは日本には過剰性能(最大射高2000km以上)な上に他国への輸出はあり得ませんので、これも日本には関係がありません。MKVの開発中止でSM-3Block2Bが無くなったのは残念ですが、元々北朝鮮相手にMKVは必要が無い装備です。

SM-3開発計画は非常に順調で、各種実験結果も成功率が高いうえに、準実戦とも言える、軌道を外れて落下してくる人工衛星を迎撃するという実績も得て、2015年には本命と目される日米共同開発のSM-3Block2が登場します。弾体直径がランチャーぎりぎり一杯の53cmに拡大され、従来のBlock1が弾体直径35cmなのに比べると一気に大型化し、射程・射高は2倍近く、迎撃弾頭の最終速度は1.5倍になり、ノドン弾道ミサイルが相手なら最大到達高度付近でも迎撃可能で、速度も迎撃体の方がノドンの弾頭よりかなり速い為、ヘッドオン(正面)だけでなく真横からでも当てられます。その為、迎撃可能な範囲が広く、イージス艦一隻だけで日本の主要都市全てを防空可能とされています。

RIM-161スタンダードSM-3

THAADは当初、実験失敗の連続でした。1995年から6回連続で迎撃実験に失敗し、1999年になってようやく2回成功しましたが、これは命中し易く設定された上での結果であり、性能が改善したとは認められず、翌年から一旦、実地試験は凍結され、弾頭の制御プログラムを中心にシステム全体を見直し再設計される事になりました。そして6年間の空白期間を経て実験は再開され、2005年に飛行試験を行い、2006年から迎撃試験が行われました。それからの成績は非常に良く、6回の迎撃試験で6回とも成功しています。現在ハワイのカウアイ島にTHAAD実験部隊が居り、テキサス州のフォートブリス基地で初の実戦部隊が現在編成中で、2009年中に本格的な運用が始まります。THAAD購入については日本、イスラエル、UAEが興味を示しており、UAEは既に商談に入っています。

Terminal High Altitude Area Defense - Wikipedia




今回のオバマ政権の2010年度防衛予算に置ける提言は最終決定ではなく、これから議会で審議を経てから決まります。その過程の中で復活する項目もあるかもしれません。また、提言では全体の防衛予算が増える中でMD予算は削られますが、日本と関係が深いSM-3とTHAADは予算を削られるどころか増額されており、日本のミサイル防衛構想に大きな影響は出る事は無いでしょう。ただこれで日本がTHAADを購入する路線はほぼ固まったと見ていいと思います。日本政府はTHAADを買うとはまだ言っていませんが、PAC3の射程の短さが問われている現状で、弾道ミサイルの終末防御用で都市防空も可能なカバー範囲の広さ(PAC3の10倍以上)を持つTHAADならば、日本の防衛に合致しており、性能的にもノドン弾道ミサイル以上の中距離弾道ミサイルをも迎撃可能であり、申し分の無いものです。アメリカが今後、SM-3とTHAADに力を入れると決定している以上、日本もこれに付き合う事になります。そしてそれは願ったり叶ったりなのです。
18時00分 | 固定リンク | Comment (132) | ミサイル防衛 |
2009年04月10日
前回、オバマ政権の基本的なMD構想を紹介しましたが、今回はMDに関する外交についてです。先ずは4月5日、チェコのプラハで行ったオバマ大統領の演説にこうあります。


Remarks By President Barack Obama In Prague As Delivered - The White House
As long as the threat from Iran persists, we will go forward with a missile defense system that is cost-effective and proven.


イランの脅威がある限り、ミサイル防衛の東欧配備はそのまま進められる、とあります。イランが弾道ミサイルと核開発を放棄すればMD配備の必要は無いとも述べていますが、そうなる可能性は著しく低いので、オバマ政権は前ブッシュ政権の構想を引継ぎ、東欧MD配備をそのまま進めるのでしょう。

そして次の話はイスラエルのMDシステムと関わってくる問題です。


Obama, Gates take aim at Israel's Arrow-3 missile - United Press International
WASHINGTON, April 9 (UPI) -- Israel's Arrow-3 anti-ballistic missile may be one of the first victims of U.S. President Barack Obama's defense spending cuts.

Ynet, the Web site of the respected Tel Aviv daily Yediot Aharonot, reported Monday that U.S. funding for the Arrow-3 program is likely to be eliminated.

However, in compensation, the Obama administration is prepared to help Israel buy the U.S. Navy's Standard Missile 3 anti-ballistic missile system instead, the report said. The SM-3 is built by Raytheon as its primary contractor.


アメリカはイスラエルと共同開発している弾道ミサイル防衛システム「アロー3」の資金提供を打ち切り、代わりに自国の「SM-3」を買うように求めています。

しかしこれはどういうことでしょうか、SM-3はイージス艦で運用するものですが、イスラエル軍はイージス艦など持っていません。SM-3を地上配備が出来るように改造するのか、それともUPIがTHAADと勘違いしただけとか、もうちょっと調べてみたいと思います。

なおアロー弾道ミサイル防衛システムはイスラエルにだけ配備されているもので、アメリカの技術協力で完成に漕ぎつけた物です。湾岸戦争で弾道ミサイル攻撃を受けたイスラエルは、MDシステムを最優先で整備しました。それも次の戦争に間に合わせる為に開発速度最優先で行った為に、革新的技術を使わずに従来からある技術の延長線上で開発が行われ、完成したアローは大型地対空ミサイル&近接爆破信管というオーソドックスなスタイルで纏められ、アロー1、アロー2と更に大型化しています。(訂正:試作型のアロー1の方が量産型のアロー2より大きい)

Arrow missile - Wikipedia

一方アメリカは弾道ミサイルを直撃で完全破壊する事を目標に、そして大気圏外で迎撃できるように、既存の対空ミサイルには無い新技術を導入した結果がSM-3やTHAADといったシステムになります。つまりアメリカはイスラエルに対し、技術的にあまり発展の望めないアローよりも、これらアメリカのMDシステムを買うように促していることになります。

アロー・システムは湾岸戦争の次の戦争(イラク戦争)に間に合わせた兵器です。幸いにして出番はありませんでしたが、万が一の際に対処できるのとできないのでは大違いですから、間に合わせた事そのものに大きな価値がありました。ただし急いで間に合わせる為に技術的冒険を行えなかった為に、将来発展性は削がれてしまいました。その為、SM-3やTHAADがモノになった現在では、もう必要が無くなってしまったのかもしれません。
20時43分 | 固定リンク | Comment (108) | ミサイル防衛 |
2009年04月13日
5日経過しただけで記事が見れなくなっちゃうのですか、東京新聞は・・・Googleキャッシュにはまだ残っていたので、考察用に載せておきます。


都心にPAC3 迎撃の危険説明なく 東京新聞 2009年4月6日
北朝鮮が「人工衛星」として打ち上げた長距離弾道ミサイルは、日本上空を通過し、自衛隊の迎撃ミサイルは発射されなかった。日本の対応は適切だったのか。

「破壊措置命令」を受けて、PAC3が運び込まれた東京都新宿区の防衛省。周囲の建物との距離は百メートルもなく、発射装置の先には高層マンションも。練馬区の朝霞駐屯地には発射装置のほか、レーダー装置も置かれた。

PAC3が発射された場合、周囲はどうなるのか。迎撃で破片が飛び散る範囲は、失敗の確率は、レーダー波の影響は−。都民への説明は、どこからもなかった。

「区に対しては説明した」(防衛省)、「国が決めたこと。周知は考えていない」(新宿区、練馬区)と互いに放り出した。東京へのPAC3配備は政経中枢を防御する狙いと推測できるが、説明があったわけではない。

政府は迎撃による破片落下などの被害について、弾頭に核兵器や化学兵器が搭載された場合を前提に「相対的に被害を小さくできる」と説明してきた。今回、落下の可能性があったのは飛翔(ひしょう)体やその一部だが、破壊措置命令を出したのは、自衛隊法で定めた破壊対象に「弾道ミサイル等」と「等」があるからだ。

手続きに問題がなければ、発令していいとは限らない。PAC3を開発した米軍でさえ、市街地に展開して活用した例はない。性能も米国のデータを信用するしかなく、迎撃による被害も想定できない武器が何の説明もなく市街地に置かれた。

今後も北朝鮮が「人工衛星」発射を予告するたび、破壊措置命令発令の事態が予想される。東北出身の自民党議員はPAC3の東北への常備を訴え、増田好平防衛事務次官は追加配備に意欲を示した。過剰反応が北朝鮮の思うつぼであることだけは確かだ。 (編集委員・半田滋)


東京新聞の防衛省担当の軍事記者として有名な半田滋さんの記事です。流石に核弾頭を撃墜して破壊しても核爆発は起こらない事は理解しているみたいですが、ミサイルを撃墜した時に発生する破片の被害について懸念しており、「住民への事前説明が無い!」と批判を展開されているようですが・・・この記事の記述は変ですね。

>PAC3を開発した米軍でさえ、市街地に展開して活用した例はない。

いいえ、PAC3はイラク戦争でクウェート市に展開、イラク軍のミサイルと交戦しています。それに湾岸戦争ではPAC2が大規模な対弾道ミサイル都市防空戦闘を行っており、その手のデータは十分にある筈です。ちなみにPAC2とPAC3は対弾道ミサイルの場合、有効射程はほぼ同じ20〜30kmです。そしてPAC2は爆風破砕方式の上、PAC3よりも弾体が大きく、迎撃時の破片の被害はPAC2の方が大きいでしょう。



これは以前にも紹介しましたが、湾岸戦争時にイスラエルのテルアビブに展開したパトリオットPAC2部隊の防空戦闘の様子です。迎撃成功例と失敗例の両方を見ることが出来ます。迎撃した際の破片と弾道ミサイルの直撃のどちらがマシかは、子供でも分かる理屈だと思います。迎撃破壊で発生する小さな破片ならば建造物の陰に入るだけで防ぐ事が出来ますが、直撃ないし大質量の破片は防ぐ事が出来ません。迎撃して破壊すれば細かく砕く事が出来るという意味、民間人に警報を発して物陰に隠れてもらうという意味、この二つの意味をよく理解すれば分かる筈です。



なお可能性は低いですが、ヒドラジン燃料を残したまま落ちてくる可能性も有り得たわけですから、化学兵器と同様に、なるべく上空で破壊し処理する意味はあったわけです。

市街地付近での防空戦闘で対空兵器の破片で被害が出る事は、確かに存在する事態です。例えば日本海軍がハワイの真珠湾を奇襲した際、アメリカ軍の対空機関砲の砲弾がホノルルの市街地に降って来て結構な被害を出しています。

その為、現代では市街地付近の防空に使う機関砲弾は時限信管による自爆機能が付いています。



以前別の動画でも紹介しましたが、C-RAMの一種でバルカン・ファランクスを地上型にした「LPWS」のイラク実戦動画です。使用する20mm機関砲弾「M940 MPT-SD」には自爆機能が付いています。機関砲弾は小さいので自爆してしまえば破片は極小、被害は殆ど出ません。

そもそも第二次大戦中は、日本やドイツ、イギリス等では戦略爆撃機あるいはV-1ミサイルとの防空戦闘で高射砲を用いており、上空で炸裂した高射砲弾の破片(一片が機関砲弾以上の打撃力のある)が盛大に市街地に降ってきましたが、もしこの時に「市街地に高射砲弾の破片が降って来て危険だから対空砲撃するな」という主張をしたらどうなるでしょう?

誰にも相手にされないと思います。

高射砲弾の破片よりも、戦略爆撃機が大量に落としてくる爆弾の量の方が遥かに多くて危険である事は自明の理でした。

それなのに現代ではミサイル相手に、地上に直撃するよりも迎撃時の破片の方が危険であるかのように主張する妙な人達が湧いて出てくるのは、どうしてなのでしょう?
06時00分 | 固定リンク | Comment (155) | ミサイル防衛 |
2009年04月14日
前回の記事と同じ様な記事ですが、「大きな塊のままで降って来るより、迎撃して小さな破片を広範囲に飛散させる方が危険だ!」という主張も有ったんですね。

ぶっちゃけて言えばそれは間違ってます。


共同通信 2009年3月28日
PAC3を発射すると逆に被害を拡大させる恐れもある。弾頭が空のミサイルが着弾しても、破壊されるのはテニスコートニ面程度とされるが、迎撃すれば、PAC3の分も含め破片が広範囲に飛散するからだ。


共同通信は、破片の散布範囲が広がれば被害が拡大すると書いていますが、暴露状態の平原ならともかく遮蔽物の多い「市街地」では、破片が細かくなれば建造物の屋根や壁などで防げますから、むしろ大きな塊で落ちてくるより迎撃して破壊した後の細かい破片の方が危険性は少ないと見ていいでしょう。いくら広範囲に飛散しようと一定以上の破壊力が無ければ、被害は無視できる範囲に収まります。

同様の説明に、以前にも「クラスター爆弾」を市街地で使ったらどうなるかを紹介(港湾でクラスター爆弾攻撃した場合)しました。クラスター爆弾は通常爆弾よりも広範囲の面積を制圧できますが、拡散子弾1発当たりの打撃力は手榴弾と同程度と威力が小さく、建造物を破壊する力が欠けています。薄い屋根でも十分に防がれてしまう程度なのです。これでは建造物の中に隠れる敵兵に打撃を与える事は出来ず、つまり都市攻撃には全く向いていません。都市攻撃で必要なのは建造物を丸ごと破壊できる、1発当たりの火力の高さであり、第二次大戦で熾烈な市街戦を経験してきた独ソは両軍とも、巨大な榴弾砲を装備した自走突撃砲を開発し、ビルに立て篭もる敵を直接射撃でビルごと破壊するという戦術を採っています。

都市とは、市街地とは、火力を吸収してしまう存在です。コンクリートで作られた建造物はトーチカとして機能し、敵の砲爆撃から身を守ってくれます。これは兵士だけでなく民間人に対しても言える事なのです。弾道ミサイルの着弾が迫れば空襲警報を鳴らし、民間人には急いでビルの中や地下街へ、もちろん防空壕があれば其処へ逃げ込んで貰います。逃げ込む時間が無ければ遮蔽物の陰に隠れるだけでもかなり違います。

弾道ミサイルの直撃は、例え弾頭がカラだったり不発の場合であっても、大質量と高い速度により建造物を破壊する事が出来ます。(ゴリに着弾したロシア軍の不発ミサイルの例)ですが迎撃して破壊し、細かい破片として飛散させてしまえば、威力の低い1個当たりの破片は、建造物によって受け止めてしまう事が出来ます。よって、どれだけ細かく砕けるかによっても違ってきますが、迎撃によって破片が広範囲に飛散してしまっても、それが被害の拡大を意味するわけではないのです。むしろ破片1個当たりの低威力化によって被害は少なくなります。ただでさえ迎撃時の衝突で速度が減衰している上に、撃ち砕かれて軽くなった破片は空気抵抗で急速に速度を減じてしまいます。

日本政府は、ミサイル空襲警報を出す事の意味(急いで遮蔽物に隠れて貰う)と、迎撃して発生する破片についての説明(細かい破片ならば遮蔽物が防いでくれる)を、もっと周知徹底すべきだったのかもしれませんね。このような事は太平洋戦争の空襲の時と同じ話で、防空壕に隠れるという事は「爆弾の破片から身を守る」事であり、爆弾の直撃を受ければこれに耐え切る民間用の簡易な防空壕は殆どありませんでした。それでも防空壕に隠れる意味は十分にありました。直撃には耐え切れなくても破片なら防ぐ事が出来るのですから。

現代の話をすれば、湾岸戦争でイラクからの弾道ミサイル攻撃に晒されたイスラエルの都市では、イラクから39発が発射されたアル・フセイン弾道ミサイル(スカッド改造)とパトリオットPAC2による防空戦闘で沢山の破片が降り注いできても、破片による死者は出ておらず、弾道ミサイルの直撃で2名が死亡しただけに止まっています。これは弾道ミサイル攻撃が夜間と早朝に集中していた為、外を出歩いている住民が殆ど居なかった事、各家庭にシェルターがあり、速やかな退避が行われた事が背景にあります。なおミサイルの直撃で死亡した2名の他に、避難時の極度のストレスで心臓麻痺による死亡例が5名、ガスマスクの誤着用で7名が死亡しています。注目すべきはパトリオット部隊による防空戦闘が始まって以降、ミサイル空襲時に大量発生していた精神障害の症例が急激に減っていることで、迎撃手段の存在そのものが国民への精神安定剤として機能するという実績を示しました。

なおイラクが弾道ミサイル攻撃を夜間に集中したのは、安眠を妨害し精神的ストレスを与える為です。これはイスラエル世論に対する政治的な効果を期待したものでしたが、結果として心臓麻痺による死者を多数出していますので、直接的な損害も出ています。(※アメリカ軍の空爆を避ける為にイラク軍は昼間の行動が大きく制限された事の方が、ミサイル攻撃が夜間に集中した理由の最大要因であると、この部分の解説を変更します。心理的効果は結果的に付いてきたもの)

[PDF] 「ミサイル防衛と国民保護」シリーズ(1):元防衛研究所主任研究員喜田邦彦

PAC2は弾道ミサイル迎撃用ではなく、有効な防空戦闘は行えませんでしたが、それでもこれが無ければ心臓麻痺で死んでいた例はもっと増えていた可能性が高く、やれるだけのことをやっておくという事の意味を示しました。またイスラエルの住民保護の仕組みが完備されていた事も被害を極小に止めた成果だと言えます。ただしイスラエルが幸運であった事も確かです。同じ戦争中、サウジアラビアの米軍基地では宿舎に弾道ミサイルが直撃し、就寝中の兵士が28名死亡しています。第二次大戦中にも、ベルギーのアントワープにある劇場にドイツ軍のミサイルが直撃して数百名が死亡した事例があり、直撃による被害は防ぎようがない事に変わりはないからです。だからこそ迎撃という手段です。細かい破片に砕いてしまえば、屋根で防いでしまえるのですから。

対空ミサイルは迎撃戦闘で発射すれば確実に破片を出します。弾道ミサイルに命中すれば対空ミサイルの分だけ破片は増えますし、大きく目標を外した場合でも自爆処理してその破片が降ってきます。

でも、だからそれがどうしたのですか? 直撃を受けるよりは遥かにマシなのですよ?

破片ばかり気にする人達は、一体何の為に空襲警報を流すのか、よく考えてみるべきだと思います。建造物や地下街に逃げ込んでしまえば破片の殆どは防ぐ事が出来るのです。
02時45分 | 固定リンク | Comment (92) | ミサイル防衛 |
2009年04月15日
先月号の「軍事研究」誌の記事「白燐弾の真実」に続き、今月号ではDIME記事が掲載されていました。


Japan Military Review「軍事研究」 : 軍事研究 2009年5月号
マスコミが作る残虐兵器のウソと真実
DIME「高密度不活性金属爆薬」
イスラエルのガザ侵攻で白燐弾と共に残虐兵器として報道された「DIME」爆弾
野木恵一



これは簡易な見出しだけなので詳細は現物で確認をして下さい。



表紙雑誌の紹介
軍事研究2009年5月号

軍事研究2009年5月号

雑誌
出版社: ジャパンミリタリーレビュー
月刊版 (2009/4/10)
ASIN: B0021VNWKG
発売日: 2009/4/10
商品の寸法: 20.8 x 14.8 x 1.5 cm

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内容については、あのノルウェー人のマッズ・ギルバート医師のエピソードもバッチリ紹介されています。今回のガザ侵攻で反戦団体の間でDIME叩きが盛り上がらなかった原因は、この医師の酷い妄言(DIMEは核分裂装置〜)があったからじゃないかなと思ってみたり。視覚的に派手な白燐弾のような印象が無かったせいも大きいでしょうね。

この記事中にDIMEの説明としてこのようなものがあります。

「手の平に収まるくらいの一個の石を投げたら10mや20mは飛ぶだろうが、同じように手の平一杯の砂を思い切り投げても、砂粒は2、3mで地面に落ちるだろう。それと同じことだ。」

これはDIMEのタングステン粉が飛散した後に急速に速度を失っていく様子を例えたものですが、なんだか前回前々回のミサイル迎撃時に出来る破片の話にも説明として応用が出来そうです。
23時58分 | 固定リンク | Comment (70) | 平和 |
2009年04月17日
テポドン騒動ですっかり忘れていましたが、アムネスティ・インターナショナルに問い合わせていた件の回答がありました。ちょうどテポドン発射直前の頃です。

当初はアムネスティ・インターナショナル国際事務局(ロンドン本部)に問い合わせていたのですが、待てど暮らせど返事が無く、仕方が無いので日本事務局へ問い合わせていました。そして日本事務局経由で国際事務局に問い合わせて貰い、ガザ報告書(PDF)にある照明弾とフレシェット弾の件について回答を頂きました。質問内容については基本的に以下の2つの記事と同じ論旨です。

(2009/03/02)ガザで使用されたフレシェット弾について
(2009/03/05)照明弾と白燐弾を混同したアムネスティ報告書

アムネスティがガザ報告書に記載した「120mmフレシェット弾」はこの世に存在しない事、また「M485A2照明弾」の反応剤は白燐ではなく、マグネシウム粉と硝酸ナトリウムである事、以上の点で報告書に間違いがある件について問い合わせました。

その回答メールによると、アムネスティはガザ報告書にあるM485A2照明弾の記述、「These eject a phosphorus canister」の部分について「phosphorus」とは「白燐」の意味で記述したと明言しています。

これにより、scopedog氏が主張していた「phosphorus=光」説は無くなりました。

(2009/03/08)アムネスティを妄信する人による無理矢理な弁護の数々
(2009/03/11)アムネスティを擁護しようと無理矢理に英文解釈を捻じ曲げる人
(2009/03/14)照明弾から発生する熱を無視しようと無理矢理な人
(2009/03/17)誤魔化しと言い逃れに終始するscopedog氏
(2009/03/30)scopedog氏はマグネシウムを"燐光物質"だとでも主張するのだろうか?

結局、以上のやり取りは全部無駄だった事になります。

なおアムネスティの回答メールには、詳しくはこうありました。

> ご質問の件について、国際事務局の担当者に照会したところ、以下のような答えがありました。
>
> - 155mm M485 A2照明弾についてのご質問
>
> 調査団が発見した155mm M485 A2照明弾の弾筒の中から白リンが検出され、また、白リンが
> 燃えた痕跡も見つかったとのことです。

恐らく、着弾したM485A2照明弾の付近に後からM825A1白燐煙幕弾が撃ち込まれ、M485A2照明弾の弾筒に白燐が付着しただけか、もっと単純に発見した弾筒をM825A1とM485A2とで勘違いしたのか、アムネスティは間違えています。



この動画で確認できますが、イスラエル軍はガザ侵攻で夜間にM825A1白燐煙幕弾とM485A2照明弾の両方を同時併用しています。拡散する光の軌跡がM825A1白燐煙幕弾で、パラシュートを開きゆっくり落ちていく強烈な光の光源がM485A2照明弾です。この為、着弾したM485A2にM825A1の白燐が付着する可能性は十分に有り得ます。

現在、アムネスティに対してM485A2照明弾から白燐が検出されたという詳しいデータの提出を求めています。今の所、返答はありません。ガザ報告書にはこのような話は掲載されておらず、アムネスティの公式サイトにもそのような記事は見当たりません。この回答メールで初めてこの話を知りました。どうしてこれまで公になっていなかったのか、それも奇妙な話です。出ていたらその場でツッコミが入っていたでしょうけれど。

なぜ、アムネスティは兵器についてある程度知っている人にチェックして貰わなかったのだろう・・・照明弾の反応剤がマグネシウム粉+硝酸ナトリウムであることは、半ば常識といってよい話なんです。第二次大戦の頃は照明弾の反応剤はアルミニウム粉でした。つまり今も昔も金属粉を燃やして光源とするのが、照明弾という種類の砲弾なんです。

http://www.freepatentsonline.com/4094245.html
http://www.eldoradoengineering.com/mrpp/candle%20specifics.doc
http://uxoinfo.com/blogcfc/client/enclosures/Section15-4_Projos_DraftJune04.pdf

ざっと検索してみてもM485A2照明弾の反応剤がマグネシウム(Mg)と硝酸ナトリウム(NaNO3)であるとする資料は幾つか見付かります。2番目はDOCファイル、3番目はPDFファイルなので注意してください。

「The M485A2 155 mm Illumination Round contains a pyrotechnic charge that provides the bright light. This charge is made up mostly of sodium nitrate and magnesium powder.」

このような内容の資料は見付かりますが、M485A2照明弾の反応剤が「phosphorus=燐」であるとする資料は一切、見付かりません。そのような記述をしているのは今回のアムネスティのガザ報告書だけです。現在、アムネスティからの詳しい検出データ待ちですが、回答が得られたらそのデータを持ってアメリカとイスラエルの軍当局と砲弾製造元に問い合わせてみたいと思います。

なおフレシェット弾の件については以下のような回答を得ました。

> - フレシェット弾についてのご質問
>
> 120ミリで間違いないとのことです。
> イスラエル軍は120ミリ砲の戦車からフレシェット弾を発射しています。
> これについては、エレクトロニック・インティファーダの記事中で、参考になる情報があります。
>
> Israel's military debates use of flechette round
> http://electronicintifada.net/v2/article558.shtml

明らかに間違っています。アムネスティが120mmフレシェット弾の存在の根拠としているエレクトロニック・インティファーダの記事を見れば分かりますが、アムネスティは砲弾の種類を表す「APERS」という単語をフレシェット弾を意味するものと思い込んでしまっています。これは誤りです。「APERS」とは「Anti-Personnel」の略語で「対人」を意味するものでしかなく、対人兵器を表す言葉です。しかしフレシェット弾の「flechette」とはフランス語で「ダーツ(小型の投げ矢)」を意味し、矢のような形状をした兵器でなければなりません。

このエレクトロニック・インティファーダの記事は、2001年5月22日のジェーン・ディフェンス・ウィークリーの記事を紹介する形で「M494 105mm APERS-T round」について詳しく解説されていますが、M494戦車砲弾についてフレシェット弾である事、105mm砲弾である事、種別がAPERS-Tであることが詳しく解説されています。(Tはトレーサー、曳光剤の事)


Israel's military debates use of flechette round : The Electronic Intifada
Israel Military Industries has developed a 120mm APERS round and the more advanced 105mm and 120mm Anti-Personnel, Anti-Materiel (APAM) round, which is intended to defeat targets such as anti-tank teams. Military sources said the APAM has not been used against Palestinian combatants.



アムネスティが勘違いした部分はここです。記事内容の殆どがフレシェット弾である「105mm M494 APERS-T」について語ってある中で、この部分だけ別の砲弾である「120mm APERS round」と「105mm and 120mm Anti-Personnel, Anti-Materiel (APAM) round」について紹介されています。そしてアムネスティは「120mm APERS round」をフレシェット弾であると誤解してしまったのです。

しかし「120mm APERS round」の正体はフレシェット弾ではなく「キャニスター弾」であるM1028散弾の事です。これは丸い散弾を発射する戦車砲弾です。



なおアメリカ国防技術情報センター(DTIC)はM1028散弾の種別を「APERS」 であると記述しています。

[PDF]Performance Assessment of the M1028, 120MM APERS Tank Round - dtic.mil

そして「APAM」については、これは戦車砲から発射するクラスター砲弾です。対人攻撃(Anti-Personnel)ではクラスター子弾を分離し、対物攻撃(Anti-Materiel)では子弾を分離せずに通常の榴弾として起爆する多用途弾で、アンチパーソナルとアンチマテリアルの両方から文字を取って「APAM」という略称としています。105mmと120mmの両方が開発されています。

つまり「120mm APERS round」と「105mm and 120mm APAM round」はフレシェット弾ではありません。

アムネスティが自信を持って出してきた根拠がこの程度・・・どうして報告書を書く時に兵器の専門家に聞いてこなかったんですか? ロンドン本部ならジェーン編集部に直接聞いてくることくらい、出来るでしょう? もう頭を抱えるしかないです・・・フレシェット弾についての認識がこんな有様だとは思いませんでした。「105mmと勘違いしてました」で済ませれば傷は殆ど無かったのに、なんという自滅行為・・・

取り合えずアムネスティには上記の解説を行い、「120mmフレシェット弾で間違いないと断言するなら、物的証拠あるいは砲弾の形式番号を教えて下さい」とメールの返事を出しておきました。今の所、返答はありません。

これまでのやり取りを見る限りアムネスティの調査力、情報分析力は疑わしいものとしか思えません。根拠の無い自信を持って断言してくる様子を見て、専門家に助言を聞くという作業を何もしていないと感じました。

お問い合わせ | アムネスティ・インターナショナル日本
Contact us | Amnesty International

ちゃんと返事をしてくれる分だけ、アムネスティ日本支部の対応は誠実ですが、回答メールを読んだ瞬間に脱力してしまいました。まさかこの程度の認識だったとは、思っていませんでしたよ。
23時32分 | 固定リンク | Comment (125) | 平和 |
2009年04月20日
ソマリア沖の海賊対策に、各国は海軍力を投入しています。マラッカ海峡の海賊対策では海上警察や沿岸警備隊などの警察力を中心としたのに、なぜ軍隊なのか? 

国際法は全ての国の軍隊に公海上の海上警察権の行使を認めており、日本で議論されているような「海上保安庁が海賊対策を一義的に担うべき」という決まりはありません。中にはイギリスのように海上警察に相当する組織を持っておらず、普段から海軍が海上警察としての役割を担っている国もあります。イギリスの場合は海軍が出てくるしかありませんが、それ以外の国では海軍を出そうが海上警察を出そうが、国際法上はどちらでも構いません。

ただ、大抵の国の海上警察や沿岸警備隊は、遠隔地で作戦を行う為の十分な能力を持っていないという物理的な理由もありますが、これはアメリカ沿岸警備隊(USCG)には当て嵌まりません。アメリカ沿岸警備隊は戦時の際に海軍の補佐をする為、遠隔地に赴く任務と能力が与えられています。ですがソマリア沖にアメリカ沿岸警備隊の巡視船(海軍のフリゲート並みの大きさ)は投入されておらず、少人数の沿岸警備隊員が法執行要員として海軍のソマリア派遣艦隊旗艦(指揮通信能力の高い強襲揚陸艦)に同乗しているくらいです。

ソマリア沖海賊対策で各国は全て、海軍力を投入しています。海上警察力を中心としたマラッカ海峡海賊対策と、何が違うのか、どうしてこうなっているのかは、ソマリアとマラッカ海峡周辺国(インドネシア、マレーシアなど)の情勢の違いが決定的な要因となっています。

ソマリアは今現在、無政府状態です。対してインドネシアやマレーシアは現地政府が機能していました。この差が海軍で対処するのか警察力で対処するかの線引きとなっています。


米、海賊対策でソマリア沖へ艦艇増派を検討(産経新聞 2009.4.14)
また、ゲーツ国防長官は同日、ソマリア沖での海賊問題の解決をめざす必要を述べる一方、海賊制圧に向けて沿岸各国の協力が得られたマラッカ海峡での経験が、政情混乱の続くソマリアでは生かせないという問題点を指摘した。

 
マラッカ海峡の海賊対策では、海上警察だけでなく沿岸国の陸上警察との連携で取り締まりが行われましたが、無政府状態のソマリアでは海賊の拠点(港町)に対する陸地での取り締まりを警察力で行う事が出来ません。もし拠点を取り締まろうとする場合、軍隊の陸上兵力を投入する以外に方法が無いのです。しかしそれはソマリア領土内での外国軍による軍事作戦を意味し、簡単に発動できるものではありません。しかしゲーツ長官の言うように、ソマリアでは沿岸当事国の協力が得られ無い為、マラッカ海峡の海賊制圧と同じようにはいきません。そして地上拠点取り締まり作戦を発動した場合、それはどう見ても陸上兵力による軍事作戦であり、海上でバックアップするのも海軍兵力であるべきで、海上警察力では対応しきれなくなります。各国が地上作戦まで覚悟しているとは限りませんが、「沿岸当事国が無政府状態で陸上警察力との連携が望めない」という状況下では、各国は海上警察力を送り込む事に意味を見い出せないのです。


海保巡視船建造見送り 補正予算 対海賊派遣 当面自衛艦が役割(東京新聞 2009年4月17日)
軍対応が最善ではないことは、海保主導で沿岸国と協力したマラッカ海賊の一掃で経験済みだ。巡視船派遣断念の理由に各国の軍対応を挙げるのは、説得力に乏しい。


ゲーツ長官の発言を見た後でこの東京新聞の主張を見ると、東京新聞がソマリアとマラッカの情勢の違いを何も理解していない事が良く分かると思います。ソマリアでは肝心の沿岸当事国との協力が望めない為、マラッカでの教訓は活かせません。二つの事例の違う点を何も説明せずに「片方は成功した」と主張したところで、説得力に乏しいと言わざるを得ないでしょう。


海賊、かつての巣窟マラッカでは激減 沿岸国一致の取り締まり奏功(産経新聞 2008.11.20)
こうした多国間協力が奏功すると同時に、海賊の拠点とされたインドネシア・アチェ州の紛争が終結し、治安が改善されたことも海賊事件激減の背景にある。

ただ、国際協力体制も治安改善も、それぞれが主権国家であり、海軍や沿岸警備隊が機能しているからこそ期待できる。現在のソマリア暫定政府は、自国の海賊を逮捕することも、裁く力もない。


マラッカ海峡での海賊が大幅に減った理由として、アチェ紛争が終結し、犯罪集団の取り締まりが行われ、海賊の拠点が失われた事が大きいのです。海上保安庁の功績も確かに大きいものがありますが、肝心の現地情勢の変化を見過ごしている人が多いのはどうしてなのでしょうか。マラッカ海峡海賊退治の事例を持ち出して「ソマリア沖でも海上保安庁の派遣を!」と主張する人達は、殆ど例外なく二つの事例の現地情勢が全く異なっていることをまるで理解していません。将来的にソマリアの無政府状態が終結すれば、マラッカ海峡の事例のように海賊問題も解決させる事が可能かもしれませんが、現在は違います。

各国は、沿岸当事国ソマリアが無政府状態だから、海上警察では無く海軍を派遣しているのです。
01時04分 | 固定リンク | Comment (138) | 平和 |
2009年04月21日
日本共産党の笠井亮衆院議員が、19日のNHK番組「日曜討論」でソマリアの海賊事件に関する的外れな認識を披露されたようです。


武力行使に道開く海賊派兵法案 (しんぶん赤旗 2009年4月20日)
そのうえで、「ソマリア沖に各国の軍艦がいっているが、それを強めるなかでむしろ海賊事件は増え、地域も広がっている。悪循環になっている状況のなかで、日本もそこに入っていくことになる。そういうやり方では解決しない。ソマリアへの民生支援の問題、あるいは周辺国の警察力の強化ということを日本はやるべきだ」と主張しました。


笠井議員は「各国の軍艦が派遣されているにも関わらず海賊事件は増えている!」と、まるで軍艦派遣が無意味であるかのように主張されていますが、現地の状況を何も理解していない発言です。あるいは知っていながらプロパガンダに利用しているのか・・・


海賊の武器使用割合が倍増 海賊対策ビジネスも流行 (産経新聞 2009.4.17)
 IMBは20日に今年の海賊情報を公表するが、本紙の事前取材によると、海賊の襲撃は今年に入り世界で126件発生(昨年1年間では293件)。うち90件がソマリア沖周辺に集中、アラビア半島とアフリカ大陸の間のアデン湾にモンスーンが吹く1−2月には発生は減少していたが、3月以降、激増しているという。


現地の「天候状況」から1-2月は海賊事件の発生が減少していたのであって、モンスーンが収まる3月以降に再び事件が増えて行くであろうことは以前から指摘されていた事の筈です。今年1月の時点でも産経新聞はこの事を記事で解説しています。共産党の笠井議員はこの点についてに全く触れておらず、現地状況の認識が低いと指摘せざるを得ないでしょう。

それに現在、無政府状態のソマリアで「民生支援」を打ち出しても有効に機能する筈がなく、「周辺国の警察力の強化」にしても当事国ソマリアの警察力がゼロの状態では効果は低いでしょう。それでも何もしないよりはマシですので、既に日本政府は動いています。ソマリア周辺国で海賊対策に関係してくるのはアデン湾の対岸にあるイエメンですが、イエメン沿岸警備隊を強化する支援策を計画しています。


政府、海賊対策で巡視船供与へ イエメンの要請で調整始める (共同通信 2008/12/24)
政府は23日、アフリカ東部ソマリア沖の海賊対策を支援するため、沿岸国イエメンの要請に応じ巡視船や巡視艇を供与する方向で調整を始めた。複数の政府関係者が明らかにした。

巡視船艇は防弾ガラスで装甲を強化するなどしているため、武器輸出3原則で輸出を禁じている「武器」に当たるが、政府は「例外措置」とする方針。海賊対策とはいえ、野党から3原則の形骸化を懸念する声も出そうだ。


共同通信は野党に反対しろと煽っていますが、笠井議員の発言を見る限り、政府のこの方針に共産党は反対しないでしょう。(しないですよね?)

元々イエメン沿岸警備隊はアメリカの支援で生まれた組織で、アメリカ製の小型巡視艇で構成されています。最近ではオーストラリア製(オースタル社)のAPB-38高速巡視艇(120トン)を纏めて購入しており、主力として使っているようです。イエメンは海軍ですらロシア製のタランタル級やオーサ級などのミサイル艇、中国製の037型対潜哨戒艇など500トンクラスの船が最大の艦艇で、迂闊に大きな船を供与すると海軍に編入されかねないので、日本が提供するのも小型高速艇になると思います。日本がインドネシア海上警察に供与した巡視艇(中古ではなく新造)は27m型で、イエメン向けも同様のものになると思いますが、これはオースタル社製の巡視艇(全長は38m)より小さいです。

ただし前回の記事「なぜソマリア沖の海賊対策は軍事力で行われるのか」で解説した内容と被りますが、沿岸当事国ソマリアの警察力がゼロである以上、幾ら周辺国の警察力を強化しても根本的な解決には繋がりません。またイエメン沿岸警備隊の能力は低く、海軍との兼ね合いもあるので、無暗に高性能な艦を与えて強化することも出来ません。


おまけで今日の海賊関連馬鹿ニュース。

仏海軍フリゲイトはP-3Cを搭載している? - 蒼き清浄なる海のために

日経ビジネスオンラインがソマリア海賊関連記事で、フランス海軍のフリゲートを紹介しているのですが・・・「フローリア号にはP3C哨戒機が搭載されており、艦上のこのポートから哨戒機が発着する」というトンデモ内容となっています。嘗ての社民党・福島瑞穂代表による「艦船からB-52戦略爆撃機が飛び立ってます」発言とドッコイですね。

フロレアル(フローリア)級フリゲートは植民地警備艦で、速力は戦闘艦としては非常に低い最大速力20ノット、その代りに1万海里という、このサイズの艦としては長大な航続力を持っており、南太平洋の仏領ニューカレドニア島に配備されている5番艦ヴァンデミエールは日本にも度々訪問しています。

フロレアル級フリゲート - Wikipedia

満載排水量で3000トン弱、搭載機はヘリコプター1機のみでAS565パンサーを搭載しています。地上基地で運用される4発固定翼機のP-3C対潜哨戒機の搭載は何をどうやっても無理です。

フロレアル級は本来、単艦で行動する警備艦であり、護衛任務には向いていません。速度が遅い為、鈍足のタンカーなら護衛は出来ますが高速貨物船の護衛は少し厳しいです。また、海賊船を追い掛けるにしても速力があまりにも足らず、警戒任務は搭載ヘリコプターに頼る事になります。

フランス軍は現在、ソマリア海賊対策にラファイエット級フリゲート「アコニト」、フロレアル級フリゲート「フロレアル」、デスティエンヌ・ドルヴ級通報艦「コマンダン・デュキン」を派遣し、ジブチのルモニエ基地に哨戒機を置いています。ラファイエット級も植民地警備用に造られた艦ですが、最大速力は25ノットあるので(それでも戦闘艦としては遅い部類ですが)護衛任務もこなす事が出来ます。
12時00分 | 固定リンク | Comment (127) | 軍事 |
2009年04月22日
一ヶ月前に海上自衛隊の対不審船用装備として、03式76mm平頭弾とファランクスBlock1Bを取上げました。

(2009/03/23)03式76mm平頭弾とファランクスBlock1B

その際、最後の方でASCII.jpの護衛艦取材記事の写真キャプションに書かれていた間違いを指摘しました。掲載写真には、光学カメラを搭載し対水上射撃が可能となったファランクスBlock1Bが写っているにも関わらず、

「今回の海上警備行動は、対水上を想定しているため出番はない」
「海賊が対艦ミサイルなどを使用した場合には、ファランクスが活躍することだろう」

という、Block1Bより前の初期型ファランクスに対する説明が為されていたのです。私はちょっと呆れてしまったので、苦言を呈したのですが、それに対してこのような反応がありました。



>悪意は無いと分かります

確かに記事読むとJSF氏のほうがよっぽと悪意めいているのがよくわかりますなあ。

>伊藤さん・・・その解説は無いです・・・
>皮肉か或いはウケ狙いですか? そうではなく、本気なんだろうなぁ・・・

いったいこんな皮肉めいた、ひとを小馬鹿にするような書き方をする必然性がどこにあるんですか??
ただ純粋に間違いを指摘してあげればいいでしょ。

実際伊藤氏が間違っているのは事実だし、それについては全面的に彼に非があめけれど、どうしてこんなあえて敵に回すような書き方をなさるんでしょう?ただただあきれてしまいます。





その記事で私が書いた物言いの調子は、普段よりもむしろ大人しいくらいで、皮肉めいた小馬鹿にした言い方というよりは、単に呆れてしまった様子を表したつもりでした。普段通りでもハスミさんのような指摘のコメントはまず出ないところですが、その時は確実に出て来るであろう事を予測していました。それは、その前に書いた記事が呼び水となっています。

(2009/03/21)プロとしての矜持を作家・大石英司はどう思っているのか

自分達への批判行為を否定したい作家が、自身が他者を批判している事に対する言い訳として「権力者の手先と戦う事は職業的使命だ」と開き直った様子を紹介しました。これは言い換えれば、マスコミが自分達への批判行為を否定しながら、自身が政治家を批判する事は我々の職業的使命だと言い張るのと同じで、私にはダブルスタンダードにしか思えませんでした。マスコミも政治家も、間違った事を主張したら批判される事に変わりはあってはならない筈です。

だから私は3月21日の記事を書いた後に決めていました。次回書く記事はマスコミを批判する内容を入れて置く事、そのまた次に書く記事では政治家を批判する内容を入れて置く事。どちらも批判する調子は普段と同じ程度にしますが、マスコミ批判は若干軽めに、政治家批判は若干重めに調整します。ちょうどその頃はソマリア海賊問題やテポドン発射問題が重なっており、それぞれの件を真面目に書いた上で、それらの要素を織り込めて置きました。3月21日の記事の次回とは3月23日の記事であり、次々回とは3月25日の記事の事です。


(2009/03/25)ピストルの弾をピストルの弾で撃墜できるのか?
「バーン」とか「ドーン」とかお子様ですか、この政府筋さんは。とても頭が良さそうな人には見受けられないです・・・そしてこの方のMDに関する認識は完全に周回遅れです。


MDについて「当たらないと思う。口開けて見ているしかない」と発言した政府高官に対する私の指摘は、非常に辛辣なものになりました。予定では普段より若干重めの批判にする予定でしたが、普段よりも相当にキツイ言い方になってしまったと思います。そしてそれは当然、3月23日に書いたファランクスBlock1Bに関する記事で、ASCIIの伊藤さんについて触れた箇所よりもかなり酷い言い方になっている筈なのですが・・・

この「政府高官」に対する私の酷い物言いへの非難の声は、一切出て来ませんでした。

予想の範疇ではありましたが、マスコミへの批判に対しては「皮肉めいた書き方をせずに純粋に間違いだけを指摘せよ」と注文が付くのに、政治家への批判はどのように罵倒しようと文句が出て来ませんでした。しかし私には、それはダブルスタンダードとしか思えないのです。政治家の方がより責任が重い職業なのは分かります。ですが、政治家には幾らでも罵倒してよいがマスコミへは皮肉めいた書き方ですら許されないというのは、私には理解できません。

私は、ハスミさん及びそれに同調した人達に、3月25日のMD記事にも3月23日のファランクス記事と同様の書き込みを行って、私の物言いを非難して欲しかったです。そうなる可能性は著しく低い事は分かっていましたが、他者を批判していながら自身への批判行為そのものを否定する、あの作家のダブルスタンダードの言い訳をそのまま実行されてしまうのは、悲しいものでした。

(2009/03/21)プロとしての矜持を作家・大石英司はどう思っているのか
(2009/03/23)03式76mm平頭弾とファランクスBlock1B
(2009/03/25)ピストルの弾をピストルの弾で撃墜できるのか?

この三つの記事の主題はそれぞれ基本的に無関係ですが、副題として既に解説したような連動性を持たせてあり、試金石の役割を担わせていました。3月23日記事の書き方と3月25日記事の書き方を見比べて下さい。


最後にASCIIの伊藤さんに注文があります。


護衛艦「さざなみ」「さみだれ」の2隻が演習を実施!:ASCII.jp
※訂正とお詫び:「さみだれ」と「さざなみ」の画像が入れ違っておりました。また、「さざなみ」はたかなみ型護衛艦になります。記事を訂正してお詫びいたします。


護衛艦「さみだれ」と「さざなみ」を取り違えていた事の訂正と謝罪は行われているのに、未だにファランクスBlock1Bの説明を間違えている事への訂正が無いのは、不十分な仕事です。記事間違いの指摘メールは既に行っている筈です。

ASCII.jpへのお問い合わせ

問い合わせ方法はこれで良い筈です。もし届いていないようでしたら、ASCII関係者の人がこれを見ていたら、連絡を宜しくお願いします。
02時08分 | 固定リンク | Comment (262) | 議論 |