ところでスパイクさん、貴方は「今後、引用元を明確にする」(6/14の記事)と言っていたのに、今回名指ししていないのは何故ですか。私の書いた「自国の港湾部へのクラスター爆弾攻撃がし難い」という話への反論でしょう、貴方のコレは。
クラスター爆弾の欠点について|スパイク通信員の軍事評論
上陸作戦には、上陸用の海岸の他に、必ず補給拠点となる港湾が占領されます。こうした港湾を占拠した敵に対して、クラスター爆弾を用いるのは有効です。多少、民間施設に被害が出るとしても、船から降ろされた兵士や装備が集結しているのなら、まとめて殲滅するチャンスです。
砂浜のような開けた海岸に上陸して橋頭堡を築いている敵に対しては、クラスター爆弾は有効な兵器です。ですが、港湾を占拠した敵に対しては大した効果は有りません。港湾は倉庫や施設などがあり遮蔽物が多く、開けた砂浜とは状況が違います。そしてクラスター爆弾の子弾は当然ですが1発あたりの打撃力がかなり小さく、ちょっとした遮蔽物で効果は激減してしまうのです。いくら成型炸薬弾頭なら装甲板を貫通できるといっても、倉庫の屋根の上で爆発すれば内部には効果がありません。建造物の上ではなく路上で炸裂したとしても、クラスター子弾の破片効果は手榴弾とさほど変わらず大きな破片は発生しないので、ちょっとした壁で防がれてしまいます。爆風効果についても同様です。
クラスター爆弾は市街地で使うべきではない兵器ですが、それは不発弾問題から来る人道上の理由以前に、純粋に戦術兵器としての性格が、市街戦に投入するには全く向いていない兵器だからです。港湾部は市街地と考え方は同じで、もう其処は開けた野外ではなく、野戦と同じ感覚で戦闘する事は出来ません。第二次世界大戦でドイツ軍とソ連軍が市街戦闘を行った時、頼りになったのは1発あたりの破壊力が大きな重砲でした。ドイツ軍に至ってはスターリングラードの戦訓から、巨大な38cmロケット弾を発射する近接支援車両(シュツルム・ティーガー)を開発しています。敵が潜む建造物ごと破壊できる火力が必要とされたのです。つまり、市街戦で要求される能力はクラスター爆弾とは正反対なのです。
この戦訓は現在にも生かされており、アメリカ軍はMLRS用にクラスター弾頭ではない単弾頭タイプを以前から開発しており、数年前から実戦投入しています。GMLRSのM31ユニタリー弾頭は、GPS誘導による精密砲撃と単弾頭の組み合わせで、積極的に市街戦闘へ投入できる能力を有しています。更にM31には、垂直に近い角度で落下していく飛行モードの追加が予定されています。これはビルの谷間に隠れている敵を真上から攻撃する事が出来ます。実際にイラクやアフガンで投入されているM31は使い勝手が良く、前線で戦闘中の味方部隊が手を焼いていたビルの屋上にいる敵スナイパーを直撃で排除するなど、近接支援が可能な精度(味方部隊を巻き込まない)を有しています。
クラスター爆弾とはあくまで開けた野外で効果を発揮する兵器です。市街地では前述のとおり、森林地帯でも威力は半減します。成形炸薬弾頭の子弾は姿勢制御にバリュート(バルーン・パラシュート)や長いリボンを有しており、容易に木の枝に引っ掛かってしまいます。
今回のスパイクさんの失敗は、港湾(市街地)へのクラスター爆弾攻撃が出来ない理由を、味方の市民の上にクラスター爆弾の雨を降らす事が出来ない人道上の理由だけだと勘違いした所にあります。だから「民間施設に被害が出るとしても攻撃するチャンスだ」等と、人道さえ無視すれば効果的なんだと思い込んでしまったわけです。ですが実際には建造物など遮蔽物の多い場所ではクラスター爆弾の効果は激減してしまうので、港湾部への攻撃は榴弾で行うべきです。既に実績のあるM31ロケット弾やATACMS単弾頭型(アメリカで開発中)を配備する方が有効です。あわよくば停泊している敵輸送船そのものを狙う場合でも、クラスター爆弾ではたとえ当たっても殆ど効果がなく、意味がありません。
ノルウェーは自国で開発した新型艦対艦ミサイル「NSM」(JSM)を洋上の敵艦のみならず港湾に停泊中の敵艦、及び対地攻撃をもできるようにしています。元々、IIR(赤外線画像)シーカーの採用はフィヨルド地形を読み取って縫うように飛ぶ為なのですが、アクティブレーダー誘導方式では港湾に停泊した敵艦への攻撃が困難なのに対し、赤外線画像誘導方式ならば敵艦や地上目標を選択攻撃できるという利点を得ています。つまり日本もこれに習い敵に奪取された港湾部を攻撃するなら、88式地対艦ミサイルを対地攻撃できるように改修する(誘導装置を赤外線画像シーカーにする)、ASM-2空対艦ミサイルを対地攻撃できるように改修する(実際に計画がある)、NSM対艦ミサイルをノルウェーから購入するのも選択に入ります。
今回のスパイクさんの記事で、私に関わり合いのある部分への反論はこれぐらいですね。スパイクさんのこの6/28の記事は、他の部分もツッコミどころ満載なのですが、一々上げていたらキリが無いのでこの辺にしておきます。(残りはコメント欄でツッコミ入るでしょうし)
・・・これは突っ込みどころ?
>「TacOps」では、次弾が着弾するまでには、前回の着弾から8〜9分間かかりますが、これは実際よりも数分間短いように思えます。
ようわからんが、この人はMLRSのクラスター弾頭だけしか念頭にないのか?空自の分は無視?
Posted by 名無しОбъект at 2008年06月29日 03:56:13
防衛省はそんな説明はしてない筈だが。「拡散した敵」云々は、スパイク通信員の脳内妄想だろ。
防衛省の言う「長い海岸線を守るにはクラスター爆弾が必要」っていう言い分は、上陸可能な海岸線付近は開けた地形だからクラスター爆弾が使いやすく効果的、という意味の筈だけど。
Posted by 名無しОбъект at 2008年06月29日 04:22:48
>クラスター爆弾を使ったから阻止できるという根拠を
>あげることは、誰にもできないでしょう
戦史上、上陸作戦の失敗例なんて幾らでもあるだろうに、駄目だこりゃ。
第二次大戦の上陸作戦とは形態が違うが、第一次大戦のガリポリ上陸作戦は大失敗だたろうに。
第二次大戦でもディエップ上陸作戦は無残な失敗に終わった。まぁディエップ作戦は6時間だけ上陸して戦闘して帰るというイカれた作戦だから失敗して当然だったけど。
Posted by 名無しОбъект at 2008年06月29日 04:49:40
Posted by 名無しОбъект at 2008年06月29日 04:56:36
http://www.mod.go.jp/j/info/hyouka/19/jizen/youshi/08.pdf
もっとも対地攻撃用途に複合シーカーは勿体無い気もするモサリが
Posted by CHF at 2008年06月29日 05:09:41
>強襲上陸は阻止できないのが戦史の通例ですし、クラスター爆弾を使ったから阻止できるという根拠をあげることは、誰にもできないでしょう。
この文章だけで(内容のツッコミどころを無視しても)、
『クラスターボムを所有する国家への攻撃には、機甲化部隊が必要となり、着上陸作戦への抑止力となる』
ということが導かれるというのに・・・気付けないのかなぁ・・・
Posted by 名無しОбъект at 2008年06月29日 05:44:33
知らない分野なら発言しない、するなら勉強してからと言うのが常識と思うのですけどねえ。
特に軍事関係は思いつき、思い込みで発言なさる方が多いこと多いこと・・・
Posted by 名無しОбъект at 2008年06月29日 09:26:29
ARMに転用とか聞いて燃えたのに
Posted by 名無しОбъект at 2008年06月29日 09:34:17
あと砲兵の展開が間に合わない状況では、航空機による阻止攻撃が行われると思いますが、その場合の通常爆弾とクラスター爆弾との効果の比較についても、どう考えているのか、気になる。
Posted by 名無しОбъект at 2008年06月29日 10:01:28
Posted by 名無しОбъект at 2008年06月29日 10:02:29
むしろよくスパイク氏がこれを知っていたなと感心するくらいだw
Posted by 名無しОбъект at 2008年06月29日 10:07:16
(´・∀・`)ヘー
こんなゲームあることすら知らなかったわ、よくできたものみたいね。
>マニアでなくても、勘のよい人なら、クラスター爆弾が一回の斉射で制圧できる面積の土地を調べ、平均的な戦闘車両が何秒で通過できるかを計算し、再装填の時間と比較して、クラスター爆弾の評価を検討するでしょう。実は、こういう視点こそ、軍事分析には大事なのです
で、スパイクは実際に計算したのか?
Posted by 名無しОбъект at 2008年06月29日 10:20:21
1個大隊が、確か18両
1両に12発装填可能
1発辺りの制圧面積が、確か縦200m、幅100m
仮に、1個大隊に3段撃ちをさせる。
再装填9分+再照準3分の12分と仮定して、3段撃ちなら4分に一回、斉射出来る。
一回の斉射は、6両各12発の72発。
目標は軽車両と仮定、移動速度は時速80km、4分で約5.4km移動。
これらを元に計算すると、一個大隊は4分に一回、縦5.4km、幅200m+おつりのキルゾーンを作る事が出来る。
ついでなので、目標はマラソン選手と仮定、移動速度は時速20km、4分で約1.4km移動とすると、一個大隊は4分に一回、縦1.4km、幅1km+おつりのキルゾーンを作る事が出来る。
恐ろしいな…
Posted by 名無しОбъект at 2008年06月29日 11:32:32
…というか港湾を守る場合、「上陸地点が限定されてる」わけだからまさしく
「機雷が有効」なケースなんだけどねぇ…
あと、東京湾の例だと明治には既に要所要所に首都防衛用の砲台が築かれてて難攻不落の体制を整えてた。
こういった具合に敵さんの上陸地点が事前に判る場合、こっちの防衛網には穴が開きにくいから、クラスターを使用する機会自体があんま無いと思うんだけどねぇ。
Posted by ハインフェッツ at 2008年06月29日 12:37:29
チラシの裏だが無料戦術ゲームならこういうのもあるぞ
榴弾砲って構造物が多いところでは曳火より瞬発で、平地とかなら瞬発より曳火使うんだったか
Posted by 名無しОбъект at 2008年06月29日 13:14:40
表ページの方へリンクはっといた方が良いか
Posted by 名無しОбъект at 2008年06月29日 13:17:05
高衝撃型貫徹式弾頭が開発要素に入ってるなんて恐ろしくアホなミサイルだなと思ってたのに・・・
「対レーダーサイトミサイルなんて聞いたことないぞ」とワクワクしてた俺の青春を返せ!
Posted by 名無しОбъект at 2008年06月29日 14:11:55
今は無きXASM-3の勇姿
Posted by 名無しОбъект at 2008年06月29日 15:43:27
>現代のスピーディな機甲部隊の作戦では、ミサイルが着弾した時には、
>大部分の敵部隊がクラスター爆弾の効力範囲外に出てしまうということも十分にあるのです。
敵部隊の移動速度を計算に入れて未来位置に予測射撃するに決まってるだろ。
第一、M26ロケット弾はマッハ3.5で飛んでいくわけで、最大射程30kmでは30秒以内に到着するんだが。
Posted by 名無しОбъект at 2008年06月29日 18:13:06
解説ページに、
>また、国籍による軍隊特性もシミュレートさ>>れ、ソ連軍は頑強に抵抗し、日本軍は絶対に退>却せず、イタリア軍はすぐ逃げるなど、全ての>軍隊は年代に応じた特性を持っています。
とあって吹いた
Posted by 名無しОбъект at 2008年06月29日 18:18:33
>平均的な戦闘車両が何秒で通過できるかを計算し
>>13の人のは思考実験だから別にして、戦車なり歩兵戦闘車なりの部隊が「何秒で通過できるかを計算し」と気軽に書けるような速度で突っ走るものなの?
Posted by 名無しОбъект at 2008年06月29日 20:51:21
XASM-3ですか。F-2やP-1に搭載されているのを見たかったですね。残念です。
Posted by 90式改 at 2008年06月29日 22:44:02
Posted by 名無しОбъект at 2008年06月30日 00:00:47
2008.6.28
2008.6.29修正
となっているんですが、書き換えた箇所と理由くらい明記して欲しいものですねえ。
Posted by 名無しОбъект at 2008年06月30日 07:14:58
事業評価読んだ限りでは、XASM-3は「ASM-1の減数を当座に代替するには間に合わず、将来の対艦ミサイルとしての性能も微妙なので、代替については別案を検討し将来については別途研究する」ということのようです。
エンジンについては引き続き開発するみたいなので、エンジンに目処が立てば新XASM-3として更に高性能なミサイルの開発に掛かる・・・と思うのは好意的解釈に過ぎますかねえ。
Posted by 名無しОбъект at 2008年06月30日 14:22:27
最新型戦車に檻みたいなのをつける様になってきたのもロケット弾等の着弾点をわずかでも遠くすれば
効果が有効打におよび難くなるからで。
爆発の効果範囲は距離に従って大幅減衰するというのを忘れてるか、知らないかですかね。
Posted by 名無しОбъект at 2008年07月01日 20:38:59
まあ戦車なんかほふれませんが
Posted by 名無しОбъект at 2008年07月02日 17:53:12
>ゲーツ長官がクラスター爆弾に注文
>クラスター爆弾禁止条約の効果が現れ始めました。military.comによると、米国防総省が新型のクラスター爆弾を模索しています。
…スパイク特派員、何か変です。
Posted by 90式改 at 2008年07月09日 22:54:21
Posted by 名無しОбъект at 2008年07月10日 20:04:45
http://obiekt.seesaa.net/article/99366777.html
>アメリカは2001年1月というかなり早い段階で、「2005年以降に生産する
>クラスター爆弾の不発率を1%以下とする」という内部規定を発表しています。
Posted by 名無しОбъект at 2008年07月10日 20:47:10