2005年04月03日
世界には永世中立国が四つあります。スイス、オーストリア、リヒテンシュタイン、トルクメニスタン。リヒテンシュタイン公国は実質上スイスの保護下にある国なので、三つであると考えた方が良いかもしれません。

ちなみにスウェーデンは国際社会が認める永世局外中立国ではなく、政策として永世中立を標榜していましたが、2002年に中立政策を放棄しました。


最近のスウェーデン情勢 [日本外務省HP]
2002年2月には与党社民党、野党穏健党、キリスト教民主党、中央党が、テロ対策及び欧州の戦争にスウェーデンが積極的な役割を果たすことを目的とした「新ドクトリン」を採択した。

とるくめにすタンさて問題はトルクメニスタンです。旧トルクメン共和国、以前ソビエト連邦の一部であったこの国は、独立後の1995年に国連総会で永世中立国として承認された最も新しい永世中立国です。ですが日本では話題に上る事が少ない謎の国・・・スイスやコスタリカを見習うべきと唱える人達ですら、この新しい永世中立国に全く注目していません。何故なのか? その答えは同国の体制と指導者ニヤゾフ大統領にありました。


トルクメニスタン [日本外務省HP]
ニヤゾフ大統領が独立以降一貫して指導力を維持する一方、議会や政府も依然として共産勢力を占めるなど、保守的な体制が根強く残っている。
ニヤゾフ大統領は旧ソ連邦崩壊前の90年10月に初の直接選挙において98.8%の得票率で大統領に選出され、92年6月の大統領選挙においても、99.5%の支持を得て再選。更に94年1月、同大統領は国民投票で99.99%の支持を得て2002年まで任期を延長し、99年12月には憲法を改正し、終身の国家元首となった。

ニヤゾフ銅像


トルクメニスタン、地方病院を閉鎖 独裁進み深まる孤立 [3/5 朝日新聞]
旧ソ連共産党幹部だったニヤゾフ氏は99年、終身大統領に就任し、国父を意味する「トルクメンバシ」の称号を使っている。首都にある高さ14メートルの大統領の立像は太陽を追って回転する。国内には随所に肖像が掲げられ、個人崇拝も進んでいる。


とるくめにすタン 「ぴんぽんぱんぽ〜ん♪ トルクメンのみんな集まれー。政府広報だよー。

この度(2002年)、偉大なるトルクメンバシが本を出す事になりました。「ルーフマーナ(精神の世界)」という本です。一家に一冊常備して下さい。

これは憲法より上位の存在で、コーランと同列の扱いだよー。注意してねー」

(注:実話。教科書としても採用された)





蒼崎橙子 「…ここまで来ると惚れ惚れする独裁振りだな、北朝鮮の独裁ともまた違う感じだ。

池田大作に又吉イエスをちょっぴりブレンドして独裁者に据えたらこんな感じだろうか?」

黒桐鮮花 「なんで国連はこんな国を永世中立国として承認したんでしょうか・・・」

蒼崎橙子 「北朝鮮のように大量破壊兵器を持つ意思も無いし、国内にテロ集団の拠点も無いし、まぁ自分から攻め込まないと主張しているならばと認めたんだろう。・・・国内でやりたい放題だが」

黒桐鮮花 「国連はニヤゾフ大統領が自国内で好き勝手する行為にお墨付きを与えたようなものじゃないですか」

蒼崎橙子 「とはいえ、ニヤゾフは親族へ権力を分け与えたりはしていないんだ。だから自分の子供に権力を継がせるといった可能性は低い。放っておけば良いんじゃないか? 

ニヤゾフ後のトルクメニスタンが中立政策を継承するかどうかは不透明だが、EUが拡大していく中でスイスやオーストリアが中立国である意味はどんどん薄れてきた。もしかしたらトルクメニスタンは将来唯一の永世中立国となるかもしれないね」

黒桐鮮花 「こんな国が永世中立国とイコールで結ばれるんですか・・・ハァ・・・」

蒼崎橙子 「元々、永世中立国に権威なんか無いだろう。ベルギーの例を見れば分かるように、いとも簡単に踏み躙られてしまうものでしかない。

コスタリカに至っては中立国でも非武装でもないし、スイスの決意は悲壮感が漂うものだ。

・・・トルクメニスタンはどこまで頑張れるのだろうね? 今はまだロシアの力が回復していないからいいが、将来あの北方の大国がまた復活したらどうなるのか、アメリカが中央アジアに何処まで干渉してくるか・・・前途は多難だろう」

黒桐鮮花 「ニヤゾフ大統領を見ていると、それ以前の問題のような気がしてきます」
23時55分 | 固定リンク | Comment (15) | 政治 |

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  1. この問題についてはベタ藤原さんが結構前からネタにしてましたね。しかし…支持率99%超級って凄いな…。しかも軍最高司令官兼首相兼終身大統領w

    Posted by 通りすがり at 2005年04月04日 00:01:43
  2. トルクメン軍の予備役の規模がさっぱり分からないです。英文資料も漁ってるんですが・・・流石は隣国からも謎の国扱いされているだけのことはある。

    戦車はT-72を中心に600両、戦闘機はMig-23を中心に300機と、結構充実した装備な感じ。稼動していればの話だけど。

    Posted by JSF at 2005年04月04日 01:07:10
  3. 住んでる人が幸せなら、帝政でも王政でも終身独裁官製でも、何でもいいんですけどね。

    GNIが1200ドルってのは、中国やフィリピンより上だけど、イランやヨルダンやルーマニアよりは下
    って感じですか・・・あんまり幸せそうに見えない。。。でも他のNIS諸国はもっと低いから、コレはコレで健闘してる方なのかな?

    天然ガスとかに恵まれてるそうなんで、中立は危険な気がします。

    Posted by ぽてとぱい at 2005年04月04日 01:15:06
  4. T−72が300台以上とは、良い感じ。
    大統領に直訴して、T-72神礼拝所の設置許可を!

    >ぽてとぱい氏
    又吉イエス化する事で、意味不明国家となって周辺国家からの干渉をはねのける戦略なのかもしれませんね。
    格言。「ホンモノには、さわるな。」

    Posted by うみゅ at 2005年04月04日 09:15:21
  5. 内情がなかなか聞こえてこない謎の国、
    というと80年代のルーマニアが思い出されます。

    プラハの春に駆けつけなかったから脱ソ路線かと
    思いきや、ユーゴのティトーのように前面に出てくる
    訳でもなし……蓋を開けてみたら圧制を敷く専制王国が
    出来上がっていた、という物です。

    おかげで90年代のルーマニアの民主化は、内部的に
    民主化を進めていたポーランド、ハンガリー、
    チェコスロバキア(当時)にくらべて著しく遅れを
    取り、今では経済的に差をつけられています。

    この先、トルクメニスタンの人々が困らないような
    方向に進めれば良いのですが…どうなんでしょうね?

    Posted by 岩魚 at 2005年04月04日 12:05:06
  6. 1:地方の病院を閉鎖した。
    「ちゃんとした医師は首都にいる。病人は首都に行けばよい」と大統領。
    深刻な医薬品不足が背景にあるようだ。
    2:首都と大学を除く図書館の廃止も命令。
    「田舎の人はどちらにしても字が読めないのだから」…大統領・談。(それと学校の外国語教育も禁止)
    3:バレエ上演を禁止。
    「白鳥の湖の男性ダンサーの衣装が気に入らないから」 byニヤゾフ大統領。(スゲー…)
    4:女性の金歯を禁止。
    理由は、「女性には金歯が似合わない」 byニヤゾフ大統領。(スゴすぎる…)
    5:1月を「トルクメンバシの月」と呼ぶことにした。
    6:石油や天然ガスなどの資源が豊富だが、輸出収入のほとんどは大統領周辺が費やしている、と見られている。

    …ポル・ポトのような知識階級の粛清を経て、金日成的な独裁路線に転ぶのは、時間の問題かも知れません。(将軍様が、トルクメンバシになっただけ…)
    今はまだ始まったばかりっぽい。

    Posted by く at 2005年04月04日 20:57:07
  7. 絶大な支持を得たコメディアン…という線は無いのだろうか?
    既に恐怖政治による独裁なんぞナンセンス。
    独裁を支えるには「面白い」か「萌え」の何れかしか有り得まい?

    Posted by ありゃりゃん at 2005年04月04日 23:13:21
  8.  こういう国は,えてして国内矛盾を対外敵愾心でそらそうとするので,初の「侵略戦争を行う永世中立国」が誕生するかも(笑).

    >絶大な支持を得たコメディアン

     国防の要は「笑い死にするジョーク」で.

    ------------------------------------

     ところで,掲示板がはないので,こちらに書かせていただきますが,2つほどいただきました.
     upしたらまた改めてお知らせいたします.

     それと,今,軍事板のほうで,アンチの暗躍もあって,あることないこと(たいていは事実に反すること)言われているようなので,これを機会にラーメンマンBBS
    http://www2.ezbbs.net/19/mltr/
    を,FAQの今後のありようを討議するものと変更することにいたしました.

     現在は,初心者スレに対する対応を討議しているところですが,他にも様々な課題を検討していきたいと存じます.皆様のご意見お待ちしております.

    Posted by 所沢 at 2005年04月05日 21:34:31
  9. >掲示板がはないので,こちらに書かせていただきますが

    旧楽天サイトの掲示板はまだ稼動していますよ〜。

    >皆様のご意見お待ちしております

    私もなるべく常駐しますね。

    Posted by JSF at 2005年04月05日 21:46:45
  10. 対外的にはカスピ海豊富な資源のおかげで
    ニヤゾフ大統領の米国訪問の際も
    かなり高いレベルの待遇がなされたらしい。
    過去にはトルクメン→アフガン→パキスタンなんて
    パイプラインルートも検討されたことがあった訳だし(ポシャッたけど)

    対ロシア関係だと一度大統領の車列が襲撃された際に
    ロシアの陰謀との見方が強かったりしたのですが、
    最終的にはトルクメンの地下資源の採掘と
    ロシアの兵器供与との交換が決まってたと思う。

    Posted by スカッドの3倍 at 2005年12月15日 16:10:24
  11. ニヤゾフ大統領はメロンの日を作っているお茶目な人
    最近、マスコミ等に取り上げられているが、視聴者に対して悪い印象しか与えてないよな
    悪い側面だけではなく、他の側面も報道すべきだと思う
    話がそれて申し訳ない

    Posted by 水銀燈@麻生閣下 at 2006年12月13日 00:25:49
  12. ニヤゾフ大統領がお亡くなりになったようです。

    http://cnn.co.jp/world/CNN200612210031.html

    いろいろと惜しい人、ではなく変な人を亡くしたようで。
    今後の展開も含めて、目が離せませんなあ。

    Posted by 名無しОбъект at 2006年12月24日 12:37:35
  13. > リヒテンシュタイン公国は実質上スイスの保護下にある国なので、三つであると考えた方が良いかもしれません。

    この話の内容でリヒテンシュタインを省くって(唖然


    Posted by 名無しОбъект at 2008年06月19日 21:07:42
  14. >13

    リヒテンシュタインは軍事的にスイスの保護下にあるのだから、省いて当然。なにが唖然なんだか。

    この話の内容で〜、というなら「この話の内容ならこうだから、こういう理由で、省くべきではない」とまで説明できなきゃ駄目。話にならない。

    出直して来い。

    Posted by 名無しОбъект at 2008年06月19日 21:13:36
  15. 中央アジアで勇猛果敢で知られた戦闘部族トルクメン


    Posted by 名無しОбъект at 2014年07月13日 02:13:51
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