2014年04月29日
4月27日にインド国営の国防開発機構(DRDO)で開発中の弾道ミサイル迎撃システム、大気圏外迎撃ミサイル「PDV(プリトビ・ディフェンス・ビークル)」の試験が行われ成功しました。名前から分かる通り「PAD(プリトビ・エアー・ディフェンス)」の改良型です。つまり大元は短距離弾道ミサイル「プリトビ」から発展したもので、迎撃ミサイルとしては異例に太短いものになっています。(加速性能は細長い方が良い)

[PDF]Maiden Launch of PDV interceptor - DRDO


New Indian interceptor missile Prithvi Defence Vehicle (PDV) tested

PADは原形のプリトビと形状は殆んど変わりがありませんでしたが、PDVは安定翼と操舵翼の装備位置や形状が変更されています。

プリトビ・ディフェンス・ビークルとプリトビ・エアー・ディフェンス

試験は標的ミサイルの射程が2000km、迎撃高度120km、終末誘導方式は赤外線シーカーで行ったと発表されています。PDVはPADを置き換えるもので、能力的には射程5000km級の中距離弾道ミサイルを迎撃する事を目標に置いています。つまり念頭にあるのはパキスタンの核ミサイルだけでなく、中国の核ミサイルを迎撃できるシステムの構築です。

しかしこの迎撃ミサイルには見た目の形状からして疑問が湧きます。元々、プリトビ短距離弾道ミサイルはソ連の地対空ミサイル「SA2ガイドライン」の推進システムを参考にして作られたと言われおり、それが元の地対空ミサイルに戻っただけというにしても、太短くした形状をそのままで迎撃ミサイルにするという不合理な事をしているように思えます。これは実用的な兵器というよりは試験用あるいは間に合わせの兵器のように見えますが、しかしインド当局の発表ではPDVが実戦配備されたら射程5000km級の中距離弾道ミサイルと交戦可能と謳われています。

本来のインドの弾道ミサイル防衛計画は開発を終えたフェイズ1(射程2000km級の弾道ミサイル迎撃、AAD迎撃ミサイルとPAD迎撃ミサイル)の次にフェイズ2(射程5000km級の弾道ミサイル迎撃)として迎撃ミサイル「AD-1/AD-2」というものが開発されている筈でした。AD-1とAD-2はアメリカのTHAAD迎撃ミサイルを二段式にしたような形状で、細長く迎撃ミサイルらしい予想図が発表されています。しかしこの迎撃ミサイルに付いては殆んど情報が出ていません。AD-1とAD-2の開発の目途が全く立っていない為に仕方なくプリトビがベースの間に合わせ的なPADやPDVの開発を行っているのか、それともPADやPDVは実験用で入念なテストを行ってからAD-1とAD-2の開発に移行するのか。しかしインド当局からはPADやPDVが実戦配備用の迎撃ミサイルであるという説明があるばかりです。

私の個人的な見解ですが、PADやPDVは試験用の兵器で、実戦配備用としての大気圏外迎撃ミサイルの本命はAD-1およびAD-2であると思います。インドが対外宣伝用にPADやPDVの計画を誇大に発表している疑いが、どうにも拭いきれません。
01時58分 | 固定リンク | Comment (33) | ミサイル防衛 |

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  1. これもロシア製の技術の応用かな?

    Posted by 名無しОбъект at 2014年04月29日 03:16:15
  2. 元がプリトビ(ガイドライン改)っていうことは太いとか細い以前に発射準備に難のある液燃ミサイル。

    これで速度の遅い大型爆撃機ならともかく、発見後十数分以内、たぶん数分程度でぶっ飛んでくるであろうDF21を有効な程度に迎撃するのはライト軍ヲタの目にも難しい様な気がするなぁ……

    そりゃ無いよりはマシなんだろうけどさ。

    Posted by 名無しОбъект at 2014年04月29日 07:18:52
  3. >発射準備に難のある液燃ミサイル。
    って、まさか発射台に立ててからプロペラント注入するとか考えてないだろうな?
    SA-2のプロペラントは硝酸とアミンでストアラブルだ。


    Posted by 名無しОбъект at 2014年04月29日 10:02:59
  4. >2

    燃料は一段目が固体じゃなかったかな? 二段目が液体式。

    THAADもキルビークルのサイドスラスター用燃料はヒドラジンだったはずだから、そんなにおかしいわけでもないよ。

    Posted by 名無しОбъект at 2014年04月29日 10:45:33
  5. 要は兵器としての実用性は二の次、手持ちの部材組み合わせて、迎撃体のテストの為の高度と速度を得るためだけの手段、テストヘッドでしょ?

    Posted by 名無しОбъект at 2014年04月29日 12:53:07
  6. >>5
    それだとPDVが実戦配備用というインド当局説明と矛盾するのよ。

    Posted by 名無しОбъект at 2014年04月29日 14:28:54
  7. >>6
    実際の所はどうかはわかりませんが、テスト版だとしても、
    最低限度の迎撃兵器があると思わせるだけで、それなりに効果はあるのでは?

    Posted by 名無しОбъект at 2014年04月29日 15:27:08
  8. >>THAADもキルビークルのサイドスラスター用燃料はヒドラジンだったはずだから、

    近頃はヒドラジンや硝酸でも大量に入れっぱなしにして即応体制にできるの?
    サイドスラスターぐらいならともかく、プリトビって確かU以降でも2段目以降は丸々液燃じゃなかったっけ?

    液水みたいに直前に入れる必要はないだろうけど、硝酸やヒドラジンって腐食性も揮発性もすごいから長期入れっぱなしにして貯蔵できるようなシロモノじゃないぞ。

    1992のマースオブザーバーでもヒドラジンによる腐食が失敗の最有力候補だろ?

    米露はともかくインドにそんな技術があるとは思えん。

    Posted by 名無しОбъект at 2014年04月29日 15:29:22
  9. スマートフォン用ページから見るとYouTube埋め込み部が横にはみ出して少し読みづらいのですが
    Seesaaの仕様なんですかね…

    Posted by 名無しОбъект at 2014年04月29日 15:35:47
  10. DRDOが言っていることだと、事実と異なり、国内への情報操作の意味合いがあるような気がするな。

    Posted by 名無しОбъект at 2014年04月29日 16:09:58
  11. 細長くあれ太短くあれ、核ミサイルを落とせるのが良いミサイルである

    Posted by 名無しОбъект at 2014年04月29日 17:54:34
  12. 加速はデブの方が良くない?
    ロケットの断面積あたりの重量が少ないわけだから。
    細い方が有利なのは最終的な到達速度だと思うけど。

    Posted by 名無しОбъект at 2014年04月30日 00:37:00
  13. インドのMDを応援し、核兵器の廃棄を訴えかけましょう

    Posted by 名無しОбъект at 2014年04月30日 07:47:31
  14. ※7「最低限度の迎撃兵器があると思わせるだけで、それなりに効果はあるのでは?」
    軍事力・経済力・科学力・人口、全てにおいて劣るパキスタンに向けたメッセージなら有効
    「最終兵器、核一発どんでん返し計画」が無効になるから困る


    Posted by 名無しОбъект at 2014年04月30日 09:50:56
  15. >>7
    別に試験結果は否定してないよ。失敗ならまだしも成功してるんだし実戦配備用とわざわざ言う必要は無いんじゃないの?ってこと。

    >>12
    地上(海上)から打ち上げるなら細長い方が空気抵抗少ないから加速でも有利になるんじゃないの?
    デブの方が加速が良くなるなら大気圏内で使用する対空ミサイルが細長いのばかりの説明が付かないと思うんだが。

    Posted by 名無しОбъект at 2014年04月30日 10:03:16
  16. >14
    元記事読む読めよ、これは中距離弾道弾、(パキの同盟国であるところの)中国むけの装備。

    Posted by 名無しОбъект at 2014年04月30日 10:03:22
  17. 核軍拡が促進されぬか心配です

    Posted by 名無しОбъект at 2014年05月01日 16:33:12
  18. 日本がワシントンDCを攻撃可能なICBMを配備しようとしたら、
    関わった政治家や官僚はアメリカのスパイに暗殺されたり、
    アメリカの狗の検察に不当逮捕されたりするのかな?

    Posted by 名無しОбъект at 2014年05月01日 17:31:19
  19. インドと中国とで戦争が起こる可能性はどうなのでしょう?

    Posted by 名無しОбъект at 2014年05月01日 17:34:02
  20. ブッダはアーリア人なので、アーリア人種を人類の頂点とするヒトラーやナチスの思想は正しいと言える。

    Posted by 名無しОбъект at 2014年05月01日 17:35:18
  21. プリトビはコルベット(軍艦の方)に積まれているのを知ったときは驚いたが、これはそれ以上に驚いた。でも対空ミサイルには適しているようには見えないなあ。そのうち本命のAD-1/2の標的ミサイルになりそう。

    Posted by 90式改 at 2014年05月01日 20:02:35
  22. なんと言うか、「お笑いコントの大道具のロケット」に見えてきたw

    ところで、太くて短いミサイルの利点って何でしょう?
    利点も無しにその形状で生き残りはしないだろうけど。

    Posted by 名無しОбъект at 2014年05月01日 21:43:57
  23. >>12
    液体式だと空力的なデメリットのほうがでかいと思う。

    >>22
    低温燃料を使う場合は細長いと断熱にかかるコストが増える。
    固体燃料だと太いほうが推力を上げやすい。
    どちらにせよ、同じ体積なら細長いよりは太くて短いほうが構造上座屈に対して有利。

    加えて、宇宙ロケットやICBMだと到達速度の関係で細くしないと不利だけど、短距離弾道ミサイルならそこまで空力にこだわらなくてもよいから、短距離弾道ミサイルは安く作れて地上での取り回しもよい太く短いミサイルが主流なんじゃないかね。


    Posted by 名無しОбъект at 2014年05月01日 22:04:03
  24. 元々のSA-2も限定的な対地攻撃能力はあるらしいが、ビームライディングなのにどうやってるんだろう?

    Posted by 名無しОбъект at 2014年05月02日 18:33:24
  25. ロケットの加速は直径が太い方が良いかと思います。
    高L/D比で優れているのは空力特性かと。

    Posted by 名無しОбъект at 2014年05月02日 22:06:52
  26. >>25
    ロケットがマッハ1以下までしか加速しないならその発想は完全に正しい。

    Posted by 名無しОбъект at 2014年05月02日 23:26:53
  27. >>24
    目標の真上までビームで誘導して一気に降下して炸裂
    対空用といえど弾頭重量200kgの破片効果榴弾でソフトスキンはイチコロ
    まあ実際にはランドクラッターで狙えたもんじゃなかろうが

    Posted by 名無しОбъект at 2014年05月03日 11:04:09
  28. まぁインド人のやる事だしなぁ…正直言って理屈で割り切れないと思う。


    Posted by 名無しОбъект at 2014年05月03日 17:04:45


  29. Posted by 名無しОбъект at 2014年05月04日 04:40:45
  30. 固体ロケットは太くすると燃焼時間が長くなって長くすると推力が大きくなるんじゃなくって?
    細長いロケットは大推力短時間=加速重視

    Posted by 名無しОбъект at 2014年05月05日 14:35:43
  31. 本来は地対空ミサイルは加速重視で細長いのが普通だからね。

    Posted by 名無しОбъект at 2014年05月16日 23:50:01
  32. >25
    >ロケットの加速は直径が太い方が良いかと思います。
    >高L/D比で優れているのは空力特性かと。

    君の理解は間違っているぞ。空力特性もミサイルに長さじゃ関係ない。

    ロケットモーターは太いと燃焼時間が長くなる。細いと燃焼時間が短くなる。

    ロケットモーターの総量が同じとした場合、太短い方はゆっくり長く燃焼する。細長い方は早く短く燃焼する。

    つまり細長い方が加速力は高い。太短い方は射程が長い。

    Posted by 名無しОбъект at 2014年05月16日 23:56:30
  33. PADってヴァッサーフォール2014年型みたいな見てくれだな。

    Posted by 名無しОбъект at 2014年05月19日 22:45:38
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