2015年09月30日
現在は停戦し小康状態になっているウクライナ東部での動乱では、ウクライナ政府と東部独立派がお互いに相手を「白燐弾を使用した!」と非難し合っていた事があります。しかし着弾現場から落ちていた不発弾が回収され、両軍が使用しているロシア製多連装ロケット「BM-21グラード」のクラスター焼夷弾型ロケット「9M22S」の「9N510弾頭」に入っている特徴的な六角柱の子弾が発見されています。


МОСПИНО Реактивный зажигательный снаряд 9М22С(六角柱状の焼夷子弾に着火した様子)

Зажигательные снаряды в небе Донецка. 04.02.2015 ドネツクの空、焼夷弾(2015年2月4日)

六角柱の金属ケースはマグネシウム製で内容物は白燐ではなくテルミットです。六角柱の形状やその構造はアメリカ軍が第二次大戦中に使ったM50エレクトロン焼夷弾によく似ています。ロシア製の9M22S焼夷ロケット弾はそれより小さく出来ています。


Ilovaisk、ウクライナ東部(2014年)

9M22S焼夷ロケット弾はクラスター型の為、多数の子弾が燃えながら落ちて来ます。その様子がファルージャやガザで使用されたM825A1白燐弾に似ている為に当初混同されてしまったのでしょう。ただしM825A1白燐弾は剥き身の白燐を空中でバラ撒く仕様で煙幕弾として設計された兵器であり、特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の付属議定書3の焼夷兵器の定義からは除外されています。一方で9M22S焼夷クラスターロケット弾は明確に攻撃兵器として設計されており、CCWで使用制限をされる焼夷兵器に分類されます。つまりM825A1白燐弾よりも深刻な問題とされるべきものでした。ですが、ウクライナ東部での9M22S焼夷クラスターロケット弾の使用に付いて、国際的には殆ど騒がれずに終わっています。

Protocol III to the Convention on Prohibitions or Restrictions on the Use of Certain Conventional Weapons which may be deemed to be Excessively Injurious or to have Indiscriminate Effects - 国連軍縮局(UNODA)

しかし、焼夷兵器の使用制限に関する特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の付属議定書3に、ロシアもウクライナも入っているように見えます。(韓国やイスラエルは受諾していない)
05時29分 | 固定リンク | Comment (5) | 平和 |

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  1. ドネツクの民兵が使っただけだからセーフ

    Posted by 名無しОбъект at 2015年09月30日 07:31:33
  2.  昔「白リン弾ガー」と火病ってた人、元気してる(棒)?

    Posted by 名無しОбъект at 2015年09月30日 11:21:30
  3. ま、ロシア側であれ、ウクライナ側であれ、ロシア製兵器ならば、人道問題にならないと。

    わっかりやすい連中やなぁ〜

    Posted by 名無しОбъект at 2015年10月01日 17:02:31
  4. 「ウクライナ政府と東部独立派がお互いに相手を「白燐弾を使用した!」と非難し合っていた」のに、この焼夷兵器については双方沈黙なのですかね?
    もしそうとすれば、当事者から批判が出ないのに「国際的に」騒がれるのは難しいでしょうね。
    また、当事者から批判が出ているのに、国際的な反応がないとすれば、問題が過小評価されてしまっているのでしょうか。
    いずれにせよ武器や国際法についてのリテラシーが問われます。

    Posted by 名無しОбъект at 2015年10月04日 18:45:05
  5. 微妙な兵器に噛み付くけどヤバイ兵器には噛み付かない
    微妙な問題には噛み付くけど侵略弾圧民衆抑制ヤバイ国には噛み付かない人たちみたいなもんさ

    Posted by 名無しОбъект at 2015年10月13日 04:23:58
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