2005年09月27日
EF2000


Blair in secret Saudi mission [9/27 Guardian]
Tony Blair and John Reid, the defence secretary, have been holding secret talks with Saudi Arabia in pursuit of a huge arms deal worth up to £40bn, according to diplomatic sources.


40ビリオンポンド(400億ポンド)。現在の為替レートで1ポンド約200円なので8兆円。目玉商品は欧州共同開発のEF2000ユーロファイター/タイフーン。このところ不景気なイギリス軍事業界に降って湧いたような儲け話です。それにしても金額が大きすぎるような気が・・・桁が違わないですか? 8兆円あったら補修パーツや兵装一式を含めても600機くらい買えてしまいます。機数が異常に多すぎるし(サウジ空軍は全作戦機が300機程度)、そもそもF-15をS型を含め100機以上保有しているサウジアラビア空軍に今更ユーロファイターが必要だとは思えません。既に運用しているヨーロッパ製の戦闘機トーネードIDS/ADVの代替用として義理的に購入するなら分からないでもないですが、それなら数十機程度の購入でよいはずです。


どうもこの商談はおかしい気がします。金額の規模自体がサウジアラビアが必要とする以上であるし、何かの間違いではないかと。・・・そしてガーディアン紙によるとサウジアラビアが政治的取引を要求して来たとあります。


Defence, diplomatic and legal sources say negotiations are stalling because the Saudis are demanding three favours. These are that Britain should expel two anti-Saudi dissidents, Saad al-Faqih and Mohammed al-Masari; that British Airways should resume flights to Riyadh, currently cancelled through terrorism fears; and that a corruption investigation implicating the Saudi ruling family and BAE should be dropped. Crown prince Sultan's son-in-law, Prince Turki bin Nasr, is at the centre of a "slush fund" investigation by the Serious Fraud Office.

政治犯を釈放しろ(定番だなー)、リヤド行き航空便を再開しろ(これはまぁいいけど)、王族が関係する不正資金捜査を止めろ(賄賂やったと認めるのか)・・・この要求の為に交渉は難航しているとガーディアン紙は書いています。しかし400億ポンドという金額が現実離れしている事については何も書かれていません。国防予算が年間2兆円程度のサウジアラビアが8兆円の買い物をする、という事態は「日本政府はF-22を1000機買います」というのと同じくらいの無茶さ加減です。


どうにも、もう少し具体的な取引内容が公開されないとなんとも言えません。ガーディアン紙の誤報かもしれませんし・・・
23時02分 | 固定リンク | Comment (16) | 軍事 |

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  1. サウジアラビアには国軍とは別に、各王族が自らの一族で編成しているエリート部隊があるそうなので、その部隊専用の装備を一気に揃えようとしているのかも。

    狡猾なイギリスが、「タイフーン専用の空軍基地が必要ですよ!パイロットや整備員、パーツの生産工場やそこで働く技術者や特許もまとめて買っちゃいましょう!」といって、ぼたくっている可能性もあります(w

    Posted by むにゅう! at 2005年09月27日 23:39:18
  2. 長く続く原油の高騰で産油国は儲かって儲かって仕方ないんだろうなあ。戦闘機を大人買いか。サウジ、、凄い子。

    Posted by ケロ at 2005年09月27日 23:49:58
  3. ああ、なんと羨ましいw

    てかまんまブラフ(ネタ)ですねヽ(゚∀゚)ノ
    どうせ全ての要求受け入れられないんだから……
    今後の情報に期待ですね。

    それにしても、我が国も同じ様なことできないでしょうか?
    特にロシア!
    神戦車並びに歩兵装備大量購入を引き換えに政治的要求。
    北方四島の返還や、宇宙技術の提供。大戦終結時にソ連が起こしたアレヤコレヤ諸々の謝罪と賠償を盛り込むと……
    無理っすねw 

    オブイェークト!

    Posted by オブジェクト at 2005年09月27日 23:54:35
  4. もし導入する場合、周辺国とのバランスを考えれば、せいぜい100機導入程度になる筈・・・F-15Sもあるし、これでもイスラエル空軍と(数値の上では)同等になる。

    8兆円・・・50年後に退役するまでの諸費用全部?いや、それでもおかしいな。

    Posted by 名無しОбъект at 2005年09月28日 00:08:15
  5. ガーディアンは金額を一桁間違えたんじゃないかな。

    ■韓国の国防予算、来年は9・8%増
    http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20050927id21.htm
    >韓国政府は27日の閣議で、通常国会に提出する総額221兆3803億ウォン
    >(約24兆1300億円)の2006年予算案を決定した。


    サウジの話じゃないけど読売新聞も桁間違えてるし。

    Posted by 名無しОбъект at 2005年09月28日 00:18:58
  6. たとえブラフでも、相手がサウジだとそれが本当に聞こえてくるあたり、羨ましい限りで。

    ただ導入数云々より、タイフーン導入の話自体、アメリカ様からエイブラムスやAWACSを売ってもっらてる上、国防上お世話になってるサウジにとって既にブラフなのでは?

    Posted by 漢と書いて「おとこ」と読ませたい。 at 2005年09月28日 00:48:32
  7. 200機購入と仮定して一機400億円。普通に買った場合の4倍近いボッタクリ。ただ、以前サウジはM1A1戦車を一両15億円で売り付けられた前例がある。(補修パーツ込み)これは通常の2倍近いボッタクリだった。


    Posted by 名無しОбъект at 2005年09月28日 03:04:30
  8. オイルダラーの親衛隊が金ピカのスターリング持ってたじゃないですか。
    アレですよきっと。

    機体は総金貼りで彫刻ずみ、キャノピーはヴェネチアン・カットグラス
    コックピットの計器はミラノ製のステンドグラスで
    シートは本革張り、操縦桿はマホガニーかメイシャムで
    機関砲の徹甲弾は先端がダイヤモンドで
    ミサイルの誘導用ビデオカメラは最先端のハイビジョン

    超豪華セレブ仕様のゴージャス・ユーロファイターなんですよ!

    Posted by 名無しОбъект at 2005年09月28日 03:23:03
  9. とりあえず100機と仮定して
    「トランシェ2,3へのアップグレード代込み」というのを思いつきましたが、
    それでも金額が多すぎるように思えます。

    F-15J > F-15J,MSIP > F-15J+AAM-4 の改造費用総額+取得から除籍までの全消耗品+人員教育費用etc.
    と同等と考えた場合でもはたしてこんな金額になるかどうか。

    Posted by 名無しОбъект at 2005年09月28日 04:51:26
  10. 空を埋め尽くす600機のユーロファイターの大群・・・・。
    中東では無敵だな。

    Posted by ぽへぽへ at 2005年09月28日 10:27:12
  11. >>ぽへぽへさん

    でも、まっすぐとべな・・・(つx⊂)

    Posted by ぽてとぱい at 2005年09月28日 16:00:16
  12. ここの人って軍マニさん多そうなんで一つお聞きしたいのだが・・・。
    ユーロファイターって実際どうなの?
    順調に引渡しが進んでいるという記事を見たこともあるし、実は駄作機で、だめだめ。
    まっすぐとべない、ソフトウェアがだめだめとか・・・。

    私は世界史マニアであって兵器には詳しくないので・・・。

    Posted by ぽへぽへ at 2005年09月29日 09:12:03
  13. 別に駄作ってわけではない。ユーロファイター・トランシェ1は不具合が多く出たけど、どんな戦闘機だって初期不良はある。問題はトランシェ2、トランシェ3の実用化がいつ頃になるのか・・・予算が足りないのね。

    本当ならトランシェ3まで含めて10年以上前には実用化できてないといけないんだが、共同開発はどうしても多国間で揉めるし、フランスは抜けるし、そうこうしている間にソ連は滅んじゃったので急ぐ必要もなくなったのでノホホンとしていたらアメリカがステルス戦闘機を開発しちゃってステルスなんて考えてないユーロファイターは対抗できないぞオイッって話になっちゃって、フランス以外にも複数の国が購入を取り止めちゃって・・・イギリスはF−35を導入するからもうユーロファイターなんてどうでもいいんだけど、開発に参加した以上は元を取らないと大赤字〜。

    性能的にはトランシェ3がものになればF−15Eストライクイーグル以上の高性能機となる・・・予定なんだが、F−22には逆立ちしたって敵いません。でもまぁフランカーを相手にする分なら十分か。

    問題は今現在、精密誘導爆撃能力が付与されていないトランシェ1しか存在しないという点。

    Posted by 名無しОбъект at 2005年09月29日 13:51:47
  14. お答えありがとうございます。
    精密誘導爆撃すらまだ付与されていないのではまだつかいものになりませんなぁ。

    Posted by ぽへぽへ at 2005年09月29日 15:25:00
  15. でも、400億ポンドで発注かければ、間違いなくトランシェ2の開発までこぎつくだろーな。そうなれば、とりあえず、JSF(ステルス戦闘機)までのつなぎには十分か。

    Posted by うみゅ at 2005年09月29日 17:54:10
  16. 導入機数は72機。順当なところかな、やっぱりガーディアンの記事は飛ばしだったか。機体価格は72機で100億ドルなので・・・1機160億円? やはり高いな。

    サウジ、英国から72機戦闘機購入
    http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20060818AT2M1800T18082006.html
    サウジアラビア国営通信(SPA)によるとサウジアラビアは17日、英国から72機のユーロファイター・タイフーン戦闘機を購入することで合意し、同国との契約に調印した。金額は明らかにしていないが、推定で約190億ドル。従来の英国製トルネード戦闘機から刷新する。

    購入額のうち約100億ドルは戦闘機自体の価格で、残りは搭載ミサイルや部品などとみられる。両国は昨年12月、同戦闘機の売買で覚書を結んでいた。

    ユーロファイターは英国、ドイツ、イタリア、スペインの欧州4カ国が共同開発した新型戦闘機。サウジは原油価格上昇による収入増やイランの核開発問題などによる緊張を背景に、国防支出を拡大しつつある。

    Posted by 名無しОбъект at 2006年08月22日 11:26:18
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