しかしSPDとしてみれば解散せずに総選挙を迎えて完全敗北するよりはマシなわけで、首相の座はメルケル氏に譲る代わりに外相や財務相といった重要職を得ました。CDU/CSUは首相の他に国防大臣のポストを確保。これで現任の国防相ペーター・シュトルック氏は退任するということになりました。CDU/CSUは誰を国防相にするかまだ決めていませんが、再編の真っ最中であるドイツ連邦軍へどのような影響が出て来るでしょうか。
只今、ドイツは軍縮中なのです。
ソビエト連邦が崩壊し、東欧諸国がNATOに加盟するようになりました。敵正規軍が本国に侵攻してくる可能性は大幅に減り、隣国ポーランドが味方になることで盾も得たのです。冷戦時代ずっとNATOの盾であったドイツは、ようやく自らの盾を手に入れました。一方、極東では中国や北朝鮮が健在で、味方となる国が増えてもいない日本とは大きな違いがあります。そこでドイツは思い切った軍縮を始めました。まずは冷戦期には50万人を擁していたドイツ連邦軍(旧西ドイツ軍)を削減しつつあり、あと7年間の間に総兵力25万人にまで減らす計画です。徴兵の比率も大幅に減らし、今や8割が志願兵で構成されています。今年イタリア軍が志願制に移行し、今や先進国で徴兵制を残しているのはドイツだけになりましたが、ドイツも近い将来に志願制へ移行することになるでしょう。
そして当然、主力戦闘兵器群も大きく削減されることに。
At 50 Years, Bundeswehr Struggles With Identity [DefenseNews]
How dramatic the Armys transformation really is can be seen in Structure 2010, to be adopted as of 2007. The service will reduce its fleet of main battle tanks from 2,528 to 350, infantry fighting vehicles from 2,077 to 410, artillery pieces from 1,055 to 120 and helicopters from 530 to 240.
Within the Air Force, the same radical reductions are planned. The number of combat aircraft is to be reduced from 451 to 262 in 2015 ? about 180 Eurofighter Typhoon and 85 Tornado aircraft. There will be three Luftwaffe divisions instead of four.
The Navy has managed, with the exception of the naval fighter-bomber, to retain all capabilities even though it has fewer platforms. In 2006, the Navy takes on a new fleet structure. The current five flotillas will be merged into two operational ones. The main platforms will include about 12 frigates, five or more K130 corvettes, six U212 submarines, fewer than 20 mine warfare units, three task force supply vessels and four tenders, 30 MH-90 helicopters and eight P-3C maritime patrol aircraft.
主力戦車(MBT)は2528両から350両へ削減、歩兵戦闘車(IFV)を2077両から410両へ削減、火砲(Artillery)を1055門から120門へ削減・・・ヘリ(530→240)や戦闘機(451→262)の削減幅に比べると、陸上戦力の大幅な削減が目に付きます。ポーランド軍を味方として盾として使えるといっても、かなり大胆な削減計画です。実行された場合、削減した兵器群は世界の武器市場で「お買い得中古品」として流れることになるでしょう。
ただこの計画数値はまだ決まったわけではなく、メルケル内閣へと政治体制が変わった為にまた見直しがあるかもしれません。しかしドイツ連邦軍再編の大きな流れは変わる事はないでしょう。
『独軍改編へ、介入・平和維持・後方支援の新3軍に』 [2004/1/17/ 読売新聞]
ドイツ軍の主任務は「専守防衛」から「国際紛争への対処」に切り替わり、今後は必要あらば全世界へ展開すると宣言。彼らは祖国防衛の心配をあまりしなくてもよくなったので、国がガラ空きでも安心して軍隊を派遣できると、軍縮をしながら派兵に乗り出しているのです。既にユーゴ、コソヴォ、アフガンと実績を積んでいます。
一つ心配(まあ余計なお世話ですが)なのは、ドイツの戦車メーカーがお得意を失って開発能力を無くしてしまわないか、ということですが、どんなもんでしょ。
Posted by 唯野 at 2005年10月11日 23:13:31
ネタ系サイトじゃなくてシリアス系なんですな…オブィエークト
Posted by ぐるぐる at 2005年10月11日 23:39:16
なんか名前が弱そう。
Posted by 名無しОбъект at 2005年10月11日 23:40:06
http://obiekt.hp.infoseek.co.jp/t72
オブイェークト。
Posted by JSF at 2005年10月11日 23:41:03
Posted by 名無しОбъект at 2005年10月11日 23:43:39
これらの合計は1,911両でドイツの1,568両(03年6月時点)より多い。
そんな訳で、MaK社やKMW社の仕事は当分の間無くならないかと。
それにL1シリーズ使ってる国を含めると、もっと仕事は増える筈。
とは言えドイツ陸軍からの投資が減るのは間違いないだろうなぁ。
Posted by CHF at 2005年10月11日 23:55:22
Posted by 加納綾一郎 at 2005年10月11日 23:56:11
今のところ国防相候補はCSUのミヒャエル・グロス議員(CSU院内総務)が有力とされているようです。
http://www.bundestag.de/mdb15/bio/G/glos_mi0.html
最近のドイツ連邦軍と言うと、アフガニスタンでの任務拡大が閣議決定されたことが挙げられるでしょうか。NATO枠組みでアフガニスタン北部の治安を担当するようです。KSKは今年半ばに米軍と協力して独自の掃討作戦もしていたみたいです。もうカルフに帰還したみたいですが。
Posted by artaxerxes at 2005年10月12日 00:38:25
しかし、いくらなんでも減らしすぎじゃないですかね?海洋国家の日本以下って事はないでしょう・・・話半分と私は読みます
あ〜でも、今は脅威度って意味じゃEU圏全体が安穏とした情勢だからなぁ・・・
Posted by 名無しОбъект at 2005年10月12日 01:40:31
イギリスやフランス、あるいは東アジアの国々(笑)のように
大国の威信の裏付けとしての軍隊を保有するつもりもないようですし
この規模の軍縮も十分現実的な話なんでしょう。
ただ、今ドイツって失業率がシャレにならないレベルだった気が……
25万人もの規模だと職業軍人もかなり含まれるでしょうし、
そっちの面が問題になるんじゃないかと思ったり。
Posted by 名無しОбъект at 2005年10月12日 02:59:53
結局、今の欧州も景気が悪いですがそんな動きはあんまりないし、アメリカ人ってのは脅威に敏感といかなんというか...
Posted by T34/85萌え at 2005年10月12日 08:22:26
今まで安価なAPCで我慢をしてた国にとっては
独製IFVの放出は、かなり魅力的ですからね。
MBTも、中小国の装備近代化計画に上手く乗れば、
買い手は多いでしょうし。
ちょっとした売却額になりそうですね。
うらやましい限りです。
Posted by マル at 2005年10月12日 12:33:42
「悪いのは全部ナチス!僕たちとは無関係!僕たちもナチスの被害者だけど、とりあえず謝罪する!」っぽいことを平気で言っている国ですから切り替えの上手さから言うと日本以上ですね。・・・別にああなろうとは思いませんがw
それに日本の周辺国はドイツと比べて基地外ばっかですから。
個人的にはマルダー売ってくれなくていいから、基地外国家にそれを安価に流す様なマネはしないで欲しい。
Posted by 漢と書いて「おとこ」と読ませたい。 at 2005年10月12日 13:22:09
それを防ぐためにも、是非日本国へ!
財政のために国防費を減らせなんて云っている某ブログも、これで満足。
よかったよかった。
Posted by azz at 2005年10月12日 19:53:23
そういえばプーマとかいうIFV開発してたかと思いましたが、あれどうしたんですかね?
Posted by kkk at 2005年10月12日 21:23:35
大独逸軍が…
でも、軍縮できるのが羨ましい
日本はいつになったら脅威がなくなるのだろう…?
Posted by sakimi at 2005年10月12日 23:08:20
破壊を受けても戦い続けなければならない義務を
負っていたわけですから、冷戦後は平和の配当を
受け取る資格があるでしょう。
それに対して、日本はこれからが冷戦の本番を
迎えるので、これ以上削減は出来ないでしょうね。
Posted by 名無しОбъект at 2005年10月12日 23:34:23
陸なんて半分で良いんだっていう奴もいますが
さすがにまずいですよねぇ。
Posted by 名無しОбъект at 2005年10月13日 01:55:30
Posted by 名無しОбъект at 2005年10月13日 02:08:47
http://ghanyan.at.infoseek.co.jp/landing/
陸なんて半分で良いんだっていう人はこれを参照。
Posted by 名無しОбъект at 2005年10月13日 02:11:32
これはどうもありがとうございます。参考にさせて頂きます。
まだ、決定ではないとはいえ、このドイツの削減も
思い切った話ですねえ。日本もこの前のさつきさんとのバトルが思い出されるようで・・・
Posted by 名無しОбъект at 2005年10月13日 22:50:24
こんな激しい軍縮が通るってのは、ドイツ軍内のポスト争いとかはどうなってるんですかね?
軍隊って言えば一大票田でしょうに・・・、ドイツの選挙制度を自分なりに検証してみます
Posted by 名無しОбъект at 2005年10月14日 00:27:46
Posted by 名無しОбъект at 2005年10月14日 01:38:41
Posted by 名無しОбъект at 2005年10月14日 03:18:03
自分の不勉強に反省した。第二次大戦の大英帝国と今の日本を、周辺・内部の状況も比較しないで半ば同一視していた。恥ずかしい。
Posted by T34/85萌え at 2005年10月16日 01:21:11
http://mytown.asahi.com/hokkaido/news02.asp?kiji=9570
とりあえず「最終兵器彼女」とかでいいので読んで欲しいかも(w
Posted by 名無しうまい棒神信者 at 2005年10月21日 11:55:23