2008年03月29日
陸上自衛隊の新型戦車TK-Xのトランスミッションは、無段階自動変速操向機を採用しています。無段変速機というと自動車に使われる、摩擦を利用するCVT(Continuously Variable Transmission)が有名ですが、スチールベルト式にしろトロイダル式にしろ、戦車のような大馬力大重量で、尚且つ履帯という負荷の掛かる足回りを持つ車両にはCVTは容量不足でまだ対応出来ていません。他に建設作業に使う重機では、油圧式の無段変速機HST(Hydraulic Static Transmission)が使われていますが、これは伝達効率が悪く制御が難しいという欠点がありました。

この欠点を改善する為、HSTに遊星歯車を組み合わせた油圧機械式トランスミッションHMT(Hydraulic Mechanical Transmission) が開発されています。TK-Xの無段変速機はこの種類です。アメリカではジェネラル・ダイナミクス・ランドシステムズ社(GDLS) が既に戦闘車両用HMTを開発、実用化しています。

HMPT-500HP:army-guide.com

GDLS社のHMPTシリーズは基本の500馬力から更に大馬力にも対応する物が開発され、HMPT500系列はMLRSやM2ブラッドレー歩兵戦闘車などに採用済みで、海外へも輸出されています。現状では800馬力まで対応で、より大きな1000〜1200馬力から1500馬力に対応する物も開発されましたが、搭載予定のクルセイダー自走砲が開発中止されたので、今のところ陽の目を見ていません。

つまり今のところ、戦車に油圧機械式トランスミッションHMTを搭載した例は無く、日本のTK-Xが世界初となる予定です。HMTは伝達効率が高く、技術研究本部(TRDI)は「車両質量当りのスプロケット出力を現有戦車に対して格段に向上」と謳っています。これが本当ならば、TK-XのHMTは、HSTどころかトルクコンバータ式ATよりも伝達効率が高いということになります。(ただし技術的根拠は説明されていない為、確認出来ていない。また「現有戦車」が74式を指す場合、特に意味が無くなる)

HMTについては民間企業ではホンダが以前より力を入れており、独自名称「HFT」と呼称し、バイクへの採用を積極的に進めています。以下のホンダの解説ページで、機構の詳細を図で詳しく見ることが出来ます。

HFT | Honda Technology

Hondamatic-Hydraulic Mechanical Transmission


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  1. >無断変速トランスミッション

    なんかじゃじゃ馬なトランスミッションになりそうだ

    Posted by 名無しОбъект at 2008年03月29日 23:50:45
  2. タイトルが断り無く変速するシステムになってますよ。
    本田のサイトはわかりやすくて良かったです。

    Posted by 名無しОбъект at 2008年03月29日 23:51:58
  3. >2

    うわ、本文チェックしてたのにタイトルのチェック忘れてた。直しておきます〜。

    Posted by JSF at 2008年03月29日 23:57:40
  4. タイトルにつっこもう思った矢先に直されてしもうた...

    Posted by 名無しОбъект at 2008年03月30日 00:00:48
  5. 進歩著しいですねぇ、一昔前はまだまだ使えんとかケチつけられて研究費集めるのに汲々としてたのに・゚・(ノД`)・゚・

    Posted by   at 2008年03月30日 02:54:00
  6. えっと…、クラッチ?ノークラッチ?
    大型車には向かないと聞いたが、
    無段変速機を戦車に装備するとは凄い!
    何処ぞの自国の戦車の方が凄いと妄想している
    パクリ民族の戦車とはレベルが違うね。

    Posted by 名無しОбъект at 2008年03月30日 08:52:56
  7. MRJのギアードターボファンといい、遊星歯車の進歩が著しいですね。
    それだけ、歯車の機械的特性と品質、強度、精度の向上が著しいのでしょうな。

    TKーXがどこまで酷使に耐えるか見物ですね。

    Posted by 名無しОбъект at 2008年03月30日 08:57:10
  8. 無段変速、ということですが、下の中の図からすると、無段変速+3段変速のようですね。もちろん、この図は「一例」ということなのですが。
    http://www.mod.go.jp/trdi/gaibuhyouka/pdf/MainBattleTank2.pdf
     
     駆動スプロケットでの出力は「速度×トルク」ですので、トルクは速度に反比例します。ただ、出力の山が3つありますので、3段変速の存在が窺えます。無段変速では戦車に必要な幅広い変速比をカバーできないのかもしれません。

    Posted by 名無しОбъект at 2008年03月30日 09:23:01
  9. 間違えました。「速度×トルク」ではなく、「回転数×トルクで、速度は回転数に比例」です。

    Posted by 名無しОбъект at 2008年03月30日 09:24:59
  10. >8
    もしかするとエンジンは効率向上の為に意図的にパワーバンドを狭くしている可能性がありますね。
    狭いパワーバンドを補うため大まかに3段ギアで低中高の速度域を切り替えその間を無断変速機で滑らかに繋ぐ事で、全体としてはフラットな出力特性を得るというやり方なのかも知れません。

    Posted by 名無しОбъект at 2008年03月30日 10:06:42
  11. >>8
    >無段変速+3段変速のようですね。
    それは単に無段変速機を3段変速にして使っているだけかと
    自動車の無段変速機でも制御で段付にしている訳で…

    Posted by 名無しОбъект at 2008年03月30日 10:16:15
  12. CVTは大出力エンジンに対応できないっていう欠点がありましたが、乗用車用だと日産が大出力向けCVT開発して、V35スカイラインに搭載してましたね。
    もっともコストがかかりすぎるっていうことで、今はラインナップから無くなりましたが。

    無段変速って制御とか耐久性の問題をクリアできれば理想的なトランスミッションですから、どうなるか楽しみです。

    Posted by 名無しОбъект at 2008年03月30日 12:58:44
  13. >それは単に無段変速機を3段変速にして使っているだけかと
    自動車の無段変速機でも制御で段付にしている訳で…

     無段変速を3段にして使っているとしますと、ある段にあるときは、減速比一定です。
     パワーカーブが台形になっており、台形の上側ではあまりパワーが変わらず速度上昇とともにトルクが小さくなっています。減速比一定ですと、このカーブはエンジンのトルク特性ということになります。ディーゼルエンジンでこのようなトルクカーブを示すことは考えにくいので、無段変速が機能していると考えています。



    Posted by 名無しОбъект at 2008年03月30日 14:11:58
  14. ホンダはHFT搭載のDN-01にかなり期待をかけてるみたいで、この間のモーターサイクルショーではホンダブースの主役でしたね。

    ただ根っからのライダーはバイクのオートマ化に否定的ですな。
    同じく排ガス規制も「偽善で意味無し」とか「趣味の世界だほっとけ」とか。
    軍隊ですらエコロジーを考える時代にいつまでも「環境なんてどうでもいい」とか考えてるライダーどもの勝手さにうんざり。

    Posted by 名無しОбъект at 2008年03月30日 15:52:38
  15. >12

    日産のエクストロイドCVTの対応トルクは40kgmまで。流石に戦車で使える域には達していない。500〜1000kgmのトルクを吸収できないといけないから。

    Posted by 名無しОбъект at 2008年03月30日 16:49:50
  16. ここで言う無段階変速とは、操向(ステアリング操作)だけで、自動車で言う変速を指すものでは有りません。ハンドルの回転角度に応じて、左右の起動輪の出力回転数が無段階に変化(片方が増速、もう一方が減速)して、自動車の操縦感覚で旋回出来るというものです。
    第3世代の西側戦車では一般的なのもで、90式も同じ方式の操向変速機を使用しているのでは?

    Posted by 名無しОбъект at 2008年03月30日 17:31:46
  17. >16

    いや、これは自動車で言う無断変速と同じ意味だよ。GDLS社のHMPTもそう。

    Posted by 名無しОбъект at 2008年03月30日 17:38:04
  18. >16
    >ここで言う無段階変速とは、操向(ステアリング操作)だけで、
    >自動車で言う変速を指すものでは有りません。

    何か勘違いしていませんか? トランスミッションの話ですよ?

    >ハンドルの回転角度に応じて、左右の起動輪の出力回転数が
    >無段階に変化(片方が増速、もう一方が減速)して、自動車の
    >操縦感覚で旋回出来るというものです。

    いや、そんなものは6号戦車ティーガーで既に採用されているから。

    Posted by 名無しОбъект at 2008年03月30日 17:39:52
  19. 自衛隊車両のAT化が進んでるから戦車もATにしといた方が何かと都合が良いのかも知れませんね。
    個人的には3t半が全てAT化したら自前の公認教習所で取る隊員の免許はどうなるのか心配だったりします。

    Posted by 名無しОбъект at 2008年03月30日 17:50:36
  20. >19

    戦車はずっと以前からAT(トルクコンバータ式)です。今時、MTの戦車は新型ではあり得ません。

    今回の話は、トルコン式ATから油圧機械式HMTへの変遷の話です。

    Posted by 名無しОбъект at 2008年03月30日 17:54:21
  21. >16
    >ここで言う無段階変速とは、操向(ステアリング操作)だけで、
    >自動車で言う変速を指すものでは有りません。

    貴方この記事の何を見てきたの? 自動車で言う変速の方の話をしているんだけど。取り合えずGDLS社のHMPTシリーズを調べてみると良い。無段階自動変速機構のHMTだと分かるから。これは操向の話じゃないよ。

    >第3世代の西側戦車では一般的なのもで、90式も同じ方式の
    >操向変速機を使用しているのでは?

    そうだよ、無段階制御のハイドロスタティック式操向機なんて今時珍しく無いだろ。この記事はそんなものを取り扱ってない。

    Posted by 名無しОбъект at 2008年03月30日 18:00:38
  22. 16です。ご指摘ありがとう。
    グランドパワー4月号の操向変速機の記事を読んでいたんだけど、理解が足らなかったようです。レオ2やM1のGEの操向変速機の構造も紹介されているけど、HPMT−500から構造が変わっています。


    Posted by 16 at 2008年03月30日 18:28:14
  23. 哀れ、せめてリンク先のホンダHFTについて見てから書けばいいものを。>16
    たたかれまくってをる。

    Posted by 名無しОбъект at 2008年03月30日 18:29:25
  24. >そんなものは6号戦車ティーガーで既に採用されているから。

    ティーガーはハイドロスタティック式操向機じゃないよ。メリット−ブラウン式のシングルラジアス操向機の改良型。二つのラジアスに8段変速で16通りの段階的な旋回半径を持つ。無段階操向ではない。

    >16

    変速操向機とは、変速機と操向機が組み合わさったものだ。どっちがどっちか混同はしないこと。

    Posted by 名無しОбъект at 2008年03月30日 19:49:39
  25. 16だけど、少し勉強してみました。
    この変速機は、動力をメカ駆動と油圧駆動に分割して、メカ駆動の遊星歯車減速機と、油圧駆動のHMT無段階変速機の出力を、再合成することで、滑らかな無段階変速を実現しているようです。HMTが左右の出力軸に各1つづつついていて、HMTの回転数を別々に変化させることで左右に旋回します。また、低速では油圧駆動のみで、高速段になるほどメカ駆動の割合が増て効率が良くなります。
    トルコンを使用しないので従来のものと比べてコンパクトになるかも知れません。


    Posted by 16 at 2008年03月30日 19:59:47
  26. >24
    細かいことで恐縮ですが、操向機+変速機で、操向変速機(変速操向機×)だと理解しています。
    操向機には、変速式と差動式の操向機があったりするので、記事に無段階自動変速"操向機"と書いてあったので、無段階の変速式の操向機の話だと誤解してしまったのです。


    Posted by 16 at 2008年03月30日 20:37:08
  27. >無段変速、ということですが、下の中の図からすると、無段変速+3段変速のようですね。
    >もちろん、この図は「一例」ということなのですが。
    http://www.mod.go.jp/trdi/gaibuhyouka/pdf/MainBattleTank2.pdf

    GEのHMPTシリーズもこんな感じの曲線で、無段変速+3段変速。

    Posted by 名無しОбъект at 2008年03月30日 21:48:22
  28. 軍研別冊の「世界のハイパワー戦車&新技術」に載っている、元技本研究官の野和田清吉さんの記事にこうある。

    「米国はHMPTシリーズの開発により、トルコン車よりも高効率の動力伝達を可能とする技術を開発している」

    つまり油圧機械式HMTトランスミッションはトルクコンバータ式ATトランスミッションよりも高効率。そうなるとTRDIの主張する「車両質量当たりのスプロケット出力を格段に向上」という説明が信憑性を帯びてくる。

    TK-Xの出力重量比は27ps/t、90式戦車は30ps/t。しかし駆動系の伝達効率がそれぞれ9割、8割と仮定するとスプロケット出力重量比は逆転する。

    また野和田さんの記事中にはこうもある。

    「我が国では、1100kw級の自動変速操向機が装備化され、880kw級無段階自動変速操向機を研究中である」

    1100kw=1475馬力、つまり90式用のトルコン式ATの事。
    880kw=1180馬力、これはTK-Xに搭載されているものだ。

    前者には無段階と付けず後者にだけ付けて書いているという事には、意味があるのだろう。

    Posted by 名無しОбъект at 2008年03月30日 22:21:03
  29. 3段変速の部分はいすゞのトラックに採用されている「スムーサー変速機」に似たものなんでしょうか?
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%A0%E3%83%BC%E3%82%B5%E3%83%BC_%28%E5%A4%89%E9%80%9F%E6%A9%9F%29

    Posted by 名無しОбъект at 2008年03月31日 00:32:55
  30. 低速&後退はHMTのみ使用による無段変速。
    2基のHMTの回転差により旋回、1基を逆転することで超信地旋回も可能。
    HMTの変速範囲では、70kmの高速走行は出来ないので、2速、3速は機械式トランスミッションの出力回転をHMTの出力回転と合成して変速範囲を広げている。
    機械式トランスミッションの変速は不連続なのですが、無段変速HMTで不連続部分を補完することで、機械式トランスミッションの使用域でも無段変速にしている。
    機構的にはこんなところでしょう。
    なお、機械式トランスミッションの出力回転とHMTの出力回転を合成する方法は、ハイブリッドカー(プリウス)のエンジンとモーターの回転を合成する方法と同じです。

    Posted by 名無しОбъект at 2008年03月31日 07:07:32
  31. >30 一見よさげだが、その方法では省スペース化できなくないか?

    Posted by 名無しОбъект at 2008年03月31日 08:48:44
  32. > ただ根っからのライダーはバイクのオートマ化に否定的ですな。

    ええ、もちろん。
    どっちみちライダーなんて絶滅危惧種なんですから。
    MTに乗れんような横着者はスクーターに乗っていればよろしい。ライダーは従容として絶滅すればよろしい。

    Posted by 名無しОбъект at 2008年03月31日 23:10:06
  33. つまり、頭文字はTですね。わかります。

    Posted by 名無しОбъект at 2008年03月31日 23:51:05
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