このカテゴリ「オスプレイ」の記事一覧です。(全114件、20件毎表示)

2013年04月11日
ベルはアメリカ陸軍の将来型回転翼機FVL(Future Vertical Lift)構想の元で進むJMR-TD (Joint Multi-Role Technology Demonstrator)計画に新型ティルトローター機「V-280 Valor」という設計案で出す事を発表しました。Valor(バロー)の意味は「武勇」です。先頭の文字をVTOL(垂直離着陸)のVと掛けてあります。

Bell V-280 Valor
http://bellv280.com/


Bell V-280 Valor -- The Future of Vertical Lift Takes Flight

V-280バローはV-22オスプレイと異なりエンジンナセルは固定でプロップローターのみが可変します。UH-60ブラックホークの代替を目的とする中型機で、オスプレイより小さな機体になり、後部ランプドアはありません。艦船への搭載を予定していないので主翼を折り畳む機構は付いていません。速度性能や航続距離はオスプレイに匹敵し、兵員は約半分の11人を輸送します。

ベルはこれまでJMR-TDに出す設計案を二転三転させてきました。

HTR(ヘリコプターとティルトウィングの中間案)

AW609改造案(民間型ティルトローター改造案)

V-280バロー(新設計ティルトローター案)

V-280バローがベルの最終案で、UH-60ブラックホーク後継を狙います。フルスケール模型を今年の6〜7月にまで制作します。これでシコルスキーのコンパウンドヘリコプター(尾部に前進用プロペラを持つ複合動力ヘリコプター)と競争する事になります。

バロー

バロー行動半径
※台湾を中心とする作戦行動半径まである。
23時05分 | 固定リンク | Comment (103) | オスプレイ |

2013年03月30日
3月28日、ドイツ、シュトゥットガルト市メーリンゲン地区にあるアメリカ陸軍ケリー駐屯地のヘリパッドに、アメリカ海兵隊のMV-22オスプレイが降り立ちました。艦船に搭載されて大西洋を移動しスペイン沿岸から飛び立ち、空中給油機と会合して1400マイル(2253km)を無着陸で飛んで来ています。


Marine Ospreys take flight in Stuttgart demonstration for COCOMs - Stars & Stripes


Marine Osprey takes flight in Stuttgart

ヨーロッパには今年中にアメリカ空軍のCV-22オスプレイがイギリスのミルデンホール基地に配備される予定です。

Ospreys to be based in UK for special ops missions - Stars & Stripes
20時58分 | 固定リンク | Comment (34) | オスプレイ |
2013年03月08日
3月6日、普天間海兵隊基地のMV-22オスプレイが日本本土での低空飛行訓練を開始しました。3機のオスプレイが岩国基地を拠点に四国のオレンジルートと呼ばれる低空飛行訓練ルートを飛ぶ事になっています。この低空飛行訓練に付いて基本的な事を纏めておきます。

オレンジルート

低空飛行訓練について


 ・オスプレイは海兵隊の戦闘機が既に使用している低空飛行訓練ルートを飛ぶ。
 ・海兵隊の戦闘機(ホーネット、ハリアー)は騒音も事故率もオスプレイより悪い。
 ・米本土でも既存の低空飛行訓練ルートでオスプレイの低空飛行訓練は行われている。
 ・ハワイにはこれからオスプレイが配備されるが低空飛行訓練は実施予定で変更は無い。
 ・普天間基地のオスプレイは既にテニアン、フィリピン、タイで低空飛行訓練を実施済み。

アメリカ本土でも低空飛行訓練は実施されている

アメリカでは禁止されているという誤解はニューメキシコ州での空軍の低空飛行訓練計画が見直しになった事から来ています。ただしこれは新設の低空飛行訓練ルートに関するもので、既存の低空飛行訓練ルートでは通常通り実施されています。ニューメキシコ州の事例は空軍の特殊作戦機であるCV-22オスプレイとMC-130Jコマンドウ2の低空飛行訓練計画で、オスプレイ固有の問題ではなく、世界遺産に登録された先住民居住地区タオス・プエブロを守ろうという運動でした。

ハワイの低空飛行訓練計画はそのまま実施される予定

ハワイにはこれからオスプレイが配備される予定です。事前に計画していた訓練計画で中止されたのは二つの地方空港(ウポル、カラウパパ)でのタッチアンドゴー訓練で、ハワイ王国初代国王カメハメハ1世生誕地と先住民の遺跡保護が理由とされています。ハワイ島などで行う低空飛行訓練の計画に変更はありませんでした。

日本の低空飛行訓練ルートは以前から使われている既存のもの

つまりアメリカ本土のニューメキシコ州やハワイでの事例を直接当て嵌めて「日本で実施するのは何故か」という問い掛けは出来ません。アメリカでも低空飛行訓練は行われているからです。在日米軍の低空飛行訓練に付いて日本側が有る程度制限できるようにすべきという主張は、比較例としてはヨーロッパでの駐留アメリカ軍の扱いを持ち出すべきでしょう。また、オスプレイのみをことさら問題視するのも筋が通りません。騒音の大きさも安全性も既に飛び回っているジェット戦闘機の方が問題は大きいのです。今は低空飛行訓練に付いて注目されているオスプレイのみが問題視されている状況ですが、本質的な問題点が置き去りにされているように思えます。

オスプレイを危険な航空機扱いしているのは世界中で日本だけです。アメリカではもう欠陥機呼ばわりはされていません。「未亡人製造機」という汚名で呼ぶ大手メディアはもう居らず、かつて「空飛ぶ恥」と書いてオスプレイ批判の急先鋒だったTIME誌は今やオスプレイに好意的な記事ばかり書いています。今年の春にはイギリスのミルデンホール空軍基地にもアメリカ空軍のCV-22オスプレイが配備される予定です。当然、イギリス国内で低空飛行訓練が始まるでしょう。イギリスの低空飛行訓練空域「LFA7」には通称「Mach Loop」という、丘の上から谷を飛ぶ軍用機を見下ろせる世界的に有名な撮影ポイントがあります。そのうち此処でオスプレイが飛ぶ姿も撮影されてYouTubeに投稿されるでしょう。その時、イギリスで今の日本のような報道が為されるとは思えません。これまでイギリスでは2度、航空ショーにオスプレイが参加しています。ロンドン上空も飛んでいます。誰も危険な航空機扱いはしませんでした。


・オスプレイのアメリカ本土での低空飛行訓練の様子。


V-22 Osprey VTOL Fly-Over in the Mojave Desert


Osprey High Speed Pass


Osprey flyover

※この記事はYahoo!ニュースに寄稿した「誤解と無理解が横行するオスプレイ低空飛行訓練」の転載です。
20時50分 | 固定リンク | Comment (205) | オスプレイ |
2013年02月23日
タイで行われている多国間軍事演習コブラゴールド2013に参加していたアメリカ海兵隊の普天間基地所属ヘリコプター「CH-46シーナイト」が20日、タイ北部ピッサヌローク県プーヒン栄KLA国立公園の付近で緊急着陸し、乗員が脱出後に機体は炎上。複数の負傷者が出ています。

7 Marines hurt in Thailand helo mishap - Marine Times


เฝ้าซาก"Sea Knight"ตกภูหินร่องกล้า

事故の詳細はまだ不明ですが、現地報道ではエンジントラブルが発生し緊急着陸を試みたという情報が有ります。負傷者の一人は火傷が酷く重傷だとも報じられています。

なお事故機のCH-46シーナイトが所属する普天間基地の第262中型ヘリコプター飛行隊(HMM-262)は今年の夏に機材と人員を入れ替えて、MV-22オスプレイを装備する第262中型ティルトローター飛行隊(VMM-262)として再発足する予定です。
13時01分 | 固定リンク | Comment (92) | オスプレイ |
2013年02月09日
来週2月11日からタイで始まる多国間合同軍事演習「コブラゴールド」に参加する為、沖縄の普天間基地からアメリカ海兵隊のMV-22オスプレイが自力飛行で移動、タイのナコーンラーチャシーマー県コラート空軍基地に2月5日に到着しました。オスプレイがタイに展開するのは初めてになります。


"The cat is out of the bag." とは「秘密が漏れた」という諺で、シンガポールや現地タイでは飛来した2月5日当日の内に日本の沖縄からオスプレイがタイにやって来た事を速報で伝えていました。またアメリカ海兵隊第三海兵遠征軍公式flikrでも少し遅れて2月8日に公式UPされています。

Ospreys arrive in Thailand | III Marine Expeditionary Force/MCI Pacific

海兵隊はコブラゴールド演習への参加に付いて、佐世保の強襲揚陸艦ボノム・リシャールに普天間基地のCH-46D、CH-53E、UH-1Y、AH-1Wなど各種ヘリコプターを搭載して向かいましたが、MV-22オスプレイは自力飛行移動で向かいました。詳細はまだ報じられていませんが、普天間基地からKC-130空中給油機と一緒に飛んでフィリピンを中継点にしてタイまで移動したものと思われます。中継無しでも移動は可能です。

コラート-マニラ-普天間

沖縄からタイまで飛ぶ場合、フィリピンを中継すると全航程は約3500km、東シナ海からバシー海峡を通過し南シナ海を一気に横断して直接飛んだ場合は約3000kmあります。ヘリコプターでは困難な自力飛行での長距離移動を問題無く行えるオスプレイは、沖縄県の普天間基地に配備されて以降、韓国のオサン基地、グアムのアンダーセン基地、フィリピンのアントニオ・バウティスタ基地、タイのコラート基地に展開しました。周辺地域で予定されながらまだ飛んでいないのは、日本各地での低空飛行訓練と富士演習場での訓練になります。なおフィリピンでは既に先月の訓練で夜間低空飛行訓練を行っています。

Ospreys conduct low-altitude training in Philippines | III Marine Expeditionary Force/MCI Pacific
11時33分 | 固定リンク | Comment (84) | オスプレイ |
2013年01月24日
フィリピンのマニラにあるアメリカ大使館から23日に発表された公式リリースによると、沖縄から海兵隊のMV-22オスプレイがパラワン島に移動してフィリピン空軍との合同訓練を行うとありました。低空飛行訓練も実施するとあります。既に22日に来ていました。

U.S. Marine Aircraft Group To Train With Philippine Air Force | Embassy of the United States Manila, Philippines
Manila, January 23, 2013 -- Three MV-22 Osprey aircraft with Marine Medium Tiltrotor Squadron 265, Marine Aircraft Group 36, 1st Marine Aircraft Wing, III Marine Expeditionary Force, based out of Okinawa, Japan, arrived in Puerto Princesa, Palawan on Jan. 22 to conduct bilateral training with elements of the Philippine Air Force.

The low-altitude flight training will take place on routes approved by the Government of the Philippines that have been used previously in flight training exercises. Philippine Air Force personnel will accompany the U.S. Marine contingent and provide ground control and other interoperability training.

The U.S. Marines and Philippine Air Force personnel will also share expertise on humanitarian assistance and disaster relief operations during classes and discussions on the ground. Marines will also give a presentation on the capabilities of the MV-22 Osprey to the Philippine Air Force and both countries' service members will participate in a cargo loading exercise on the aircraft.

(2013年1月23日、マニラ − 第3海兵遠征軍第1海兵航空団第36海兵航空群第265中型ティルトローター飛行隊に所属する3機のMV-22オスプレイは、フィリピン空軍との合同訓練を行う為に、日本の沖縄の基地を出発して、パラワン州のプエルト・プリンセサに1月22日に到着しました。

低空飛行訓練は以前の飛行訓練でも使われたフィリピン政府の承認を得たルートで行われます。フィリピン空軍の人員はアメリカ海兵隊派遣団と同行し、地上管制と他の相互運用訓練を提供します。

アメリカ海兵隊とフィリピン空軍の人員はまた、地上での同階級の話し合いの中で人道支援・災害救援活動についての専門知識を共有することになります。海兵隊はまた、フィリピン空軍にMV-22オスプレイの機能についてプレゼンテーションを行います。そして両国の軍人は、航空貨物積載訓練に参加します。)


プエルト・プリンセサ

フィリピンが中国との領土紛争を抱える南沙諸島が目の前にある最前線パラワン島に、アメリカ海兵隊のMV-22オスプレイがやって来ました。この合同演習は政治的にも軍事的にも大きな意味を持つものとなるでしょう。これまでの海兵隊の主力ヘリコプターCH-46では航続距離が短く、沖縄からフィリピンまで飛ぶことは困難でした。しかしオスプレイなら余裕で飛ぶ事が可能です。

プエルト・プリンセサ

オスプレイは既に沖縄 - グアム間の約2300kmを直接飛んで移動した実績があるので、沖縄 - パラワン間の約2000kmは問題無く移動可能です。途中でルソン島を中継点にする事も出来ます。グアム - パラワン間の約2900kmは少し遠いですが、空中給油機の随伴かレイテ島を中継点にすれば移動出来るかもしれません。なおこれは自己展開能力、片道の航続距離です。

(2012/12/13)MV-22オスプレイが沖縄からグアムへ訓練の為に移動
(2012/10/21)韓国オサン空軍基地航空ショーに普天間基地からオスプレイが参加

これにより普天間基地に配備されたMV-22オスプレイは周辺地域(韓国、グアム、フィリピン)に直接飛んで行ける事を証明しました。強襲揚陸艦に積まなくとも自力飛行で移動する事が可能になったのです。海兵隊の移動展開能力はオスプレイの長大な航続力により飛躍的に高まっており、海兵隊は水陸両用戦部隊という性質を変え、空挺軍と化しつつあるのかもしれません。
06時30分 | 固定リンク | Comment (226) | オスプレイ |
2013年01月09日
沖縄県嘉手納空軍基地にCV-22オスプレイが配備される事が伝達されました。第353特殊作戦群(353rd Special Operations Group)の装備となります。CV-22オスプレイの嘉手納配備は7年前から話が出ており、アメリカ太平洋軍隷下のCV-22オスプレイの配備先は韓国のオサン空軍基地か日本の嘉手納空軍基地のどちらかになると言われてきましたが、嘉手納に決定しました。

嘉手納にオスプレイ9機配備 米が伝達 - 沖縄タイムス (2013年1月9日)

FY2015(2015会計年度; 2014年10月〜2015年9月)に5機のCV-22オスプレイが嘉手納空軍基地に配備
FY2016(2016会計年度; 2015年10月〜2016年9月)に4機のCV-22オスプレイが嘉手納空軍基地に配備

普天間海兵隊基地のMV-22オスプレイは既にFY2013で12機の配備を済ませており、FY2014に更に12機が追加されて計24機となり、新しく来る嘉手納空軍基地の空軍のCV-22オスプレイと合わせてFY2016には33機のオスプレイが沖縄に常駐する事になります。また海兵隊はFY2016にグアムへ12機のMV-22オスプレイを配備する予定で、西太平洋には沖縄33機+グアム12機=45機のオスプレイが常駐する計画です。ハワイへのMV-22オスプレイ24機の配備もFY2014〜FY2015に行われる予定で、太平洋方面には69機のオスプレイが常駐する事になります。

アメリカ太平洋軍隷下の空軍第353特殊作戦群が、CV-22オスプレイの配備にあたって韓国のオサン空軍基地ではなく日本の嘉手納基地を選んだ理由は、朝鮮半島での作戦は距離が短く特殊作戦ヘリコプターMH-60Gペイブホークの航続距離でも行える事、航続距離の長いCV-22オスプレイならば嘉手納基地に置けばフィリピン方面への緊急展開が容易に行えるようになる事などが挙げられます。

(2012年08月09日)特殊作戦用CV-22オスプレイとMH-53ペイブロウの事故率

空軍型CV-22オスプレイは海兵隊型MV-22オスプレイよりも事故率の数字がかなり悪いものになっています。これは任務の違いから来るもので、特殊作戦を行う機種はオスプレイに限らず事故率が通常型より悪化します。それはCV-22オスプレイの前任機MH-53ペイブロウでもそうでした。(※MH-53というナンバーは海軍の掃海ヘリコプターにもあるので混同されやすいのですが、空軍のMH-53は特殊作戦用ヘリコプターです。)空軍特殊作戦群はベテランパイロットが集まる技量の高い部隊です。しかし過酷な実戦任務とそれをこなす為の厳しい訓練の過程で事故発生率が高くなってしまっています。ただしそれは「戦場」及び「訓練場」での事故が多い事を意味します。つまり平時に訓練場への行き帰りで基地の周辺を飛ぶだけや通常の周回訓練やタッチ&ゴー訓練なら関係が無く、むしろ技量の高い特殊作戦群パイロットの操る機体は基地周辺の通常飛行での事故率は低くなるでしょう。(実際にCV-22の墜落事故2件はアフガニスタン戦地派遣中とアメリカ本土の訓練場で発生。)


First CV-22 Water Ops

水中特殊部隊のホイスト回収訓練を行う空軍型CV-22オスプレイ。(2007年6月28日)

なおアメリカ欧州軍隷下の空軍第352特殊作戦群がイギリスのミルデンホール空軍基地にCV-22オスプレイを今年の春ごろから配備する予定です。イギリスの低空飛行訓練空域LFA7 (Low Fly Area) の一画、通称「Mach Loop」でCV-22オスプレイが低空飛行訓練する様子がYoutube動画にupされる日も近いでしょう。(LFA7は低空飛行訓練が容易に撮影できるポイントとして世界的に有名です。)
22時01分 | 固定リンク | Comment (155) | オスプレイ |
2012年12月24日
自衛隊へのオスプレイ導入に向けての動きが具体的に動き出すようです。読売新聞の報道では、防衛省はオスプレイの具体的な活用方法などに関する調査研究費500万円を2013年度予算案に計上する方向で調整中とあります。

オスプレイ、自衛隊導入に向け検討へ(読売新聞, 2012年12月22日)

今回の動きは防衛省がオスプレイが必要だから導入したいというよりは、自民党や外務省が政治的に導入したがっているように見えます。オスプレイが安全であることを示す為に日本全国に配備して沖縄の反発の声を沈静化させようとする意図です。必要だから導入しようとするのではなく、導入ありきで後から用途を決めるのはあまり健全とは言えません。

ただし、以前には自衛隊の方からオスプレイの導入を計画していた事がありました。1990年に定められた中期防衛力整備計画(1991〜1995年の5カ年計画)でオスプレイの導入が盛り込まれていたのです。これは海上自衛隊のUS-1救難飛行艇の後継とするものでした。しかし開発中のオスプレイは1991年、1992年と連続して事故を起こし、量産の目処が立たなくなります。こうして海上自衛隊のオスプレイ導入の話は立ち消えとなり、US-1飛行艇の後継は改良型のUS-2飛行艇となっています。つまり今更オスプレイを救難飛行艇の後継として採用しようにも枠がもう無いのです。

そうなるとオスプレイを自衛隊に導入する場合は、救難ヘリコプターの後継とするか、兵員輸送用ないし物資輸送用、あるいは早期警戒型や対潜型を計画するという事になります。

オスプレイ将来計画

今年のイギリスRIAT航空ショーにオスプレイが参加し、その時にオスプレイの4種類の新たな仕様が提案されています。空母への物資輸送任務、空中給油機キット、レスキュー及び医療搬送型、ISR(情報・監視・偵察)及びC2(指揮・統制)型です。給油機キットは輸送型に脱着が可能です。ISR・C2型は早期警戒用で、半球状のレーダードームを貨物ドアの部分に取り付けます。

オスプレイ救難訓練

オスプレイは機体重量が重くローター直径が小さいのでローターからの下降気流が強く、捜索救難任務には不向きと言われていますが、胴体真下は左右のローター回転圏外となり下降気流が打ち消し合うので比較的風が弱くなり、ホバリングでの救助は十分に行えるという意見もあります。オスプレイでのホイスト(巻き上げ装置)による回収訓練はアメリカ軍の救助訓練や特殊水中部隊の訓練で実際に行われており、カナダには救難型が売り込まれている最中です。

Photos – A Canadian V-22 Osprey – Inside and Outside the Aircraft Being Pitched for FWSAR | Ottawa Citizen

空母への物資輸送・空中給油機型はアメリカ海軍への売り込み用です。早期警戒型は今提案されている半球状のドームを貨物ドアに取り付ける仕様は簡単な改造で済みます。以前は背中に三角形のレーダードームを備えた本格的なものもベル・ボーイングから提案されていました。早期警戒型はイギリス海軍とインド海軍が空母用に興味を示しています。

対潜型は、当初アメリカ海軍はSV-22として空母や強襲揚陸艦(制海艦として使用する場合)に配備する計画でしたが、冷戦が終わり必要性が薄れたので早々に計画は中止されています。対潜用のセンサーとスタブウィングを付けて短魚雷などを装備する予定でした。

自衛隊にオスプレイを導入するとしたら捜索救難型、兵員輸送型、物資輸送型、早期警戒型、対潜哨戒型などが考えられますが、陸海空どの自衛隊に配備するかすら決まってない、そもそも自衛隊側から装備調達要求が出ていない現状では今後どうなるのか分かりません。オスプレイは米軍納入価格で1機約60億円、日本が導入するとなるとそれ以上します。通常の中〜大型ヘリコプターより2〜3倍と高価で、維持費もかなり高い機体です。飛行艇よりは安いのですが、もう枠がありません。防衛予算の全体を増やしてその中から新たに調達するのでなければ、自衛隊側は他の装備調達を圧迫するとしてオスプレイ調達を拒否する事になるでしょう。ただし次期安倍政権は防衛予算の増額を公約に掲げている為、政権側が強く要求すれば実現の可能性があります。
12時40分 | 固定リンク | Comment (370) | オスプレイ |
2012年12月13日
12月7日、沖縄県普天間基地所属の3機のMV-22オスプレイは、演習に参加する為にグアム島アンダーセン基地に移動しました。途中でKC-130空中給油機から空中給油を受けながら、同行するF/A-18戦闘機を仮想敵機に見立てた訓練を行いつつ、沖縄-グアム間の約2300kmを約5時間で飛んでいます。

Three MV-22 Ospreys Arrive on Guam From Okinawa for Training Exercise - Pacific News Center

そしてグアム島の北北東170kmにあるテニアン島で訓練を始めました。


Ospreys Make Historic Landing on Tinian

オスプレイはこれまでヘリコプターでは困難であった沖縄-グアム間の自力飛行移動を可能とします。母艦に頼らず展開する事が可能なオスプレイは、海兵隊の有り方を変える戦術輸送機であると言えるでしょう。海兵隊の今後の計画では、普天間基地の中型ヘリコプター飛行隊は2個ともそのままオスプレイ飛行隊に改編され、ハワイのオアフ島カネオヘベイ基地の3個重輸送ヘリコプター飛行隊は2個オスプレイ飛行隊と1個重輸送ヘリコプター飛行隊に改編され、更にグアムへ1個オスプレイ飛行隊が追加でやってくる予定です。

海兵隊航空計画2011
※海兵隊航空計画2011より

アメリカ本土の西海岸にあるミラマー基地から1個オスプレイ飛行隊が抽出され、グアムへ恒久的な配備が行われる予定が組まれています。これでハワイ以西に5個オスプレイ飛行隊が配備される事になります。そしてオスプレイはハワイから沖縄まで自力飛行移動が可能であり、海兵隊の戦力は短期間のうちに西太平洋方面へ集中する事が可能になります。

オスプレイ展開能力

グアムのオスプレイは当日中に沖縄へ移動が可能、ハワイのオスプレイは長距離飛行で必要なパイロットの休息を入れても2〜3日で沖縄まで移動できます。後方の予備戦力が素早く移動が出来るので、仮に最前線の配備機が基地で駐機中に弾道ミサイル攻撃を受けて使えなくなっても、直ぐに代替機を廻す事が出来ます。海兵隊の「分散配備でリスクを軽減する」という考え方は、前線から逃げるのではなく、後方の予備を厚くするという発想である事が今後の配備計画から見て取れます。

アメリカ西海岸からハワイまでは直線距離で約4200km有る為、オスプレイはまだ太平洋横断は実施した事がありません。空中給油機を随伴させれば可能ではありますが、長時間飛行でのパイロットの疲労や故障時に緊急着陸する場合を考えなければならないのでしょう。ただしオスプレイは大西洋横断なら既に行った実績が有ります。カナダのニューファンドランド島セントジョンズ空港からイギリスのファーンボロ空港まで、中継にアイスランドのケフラヴィク基地ないしアゾレス諸島テルセイラ島ラジェス基地を経由しています。仮に中継点を使わず大西洋横断を直通で行うと直線距離で約3700km有るので、通常は直通では行いません。とはいえ空中給油機を随伴させて行けば直通も可能ではあるので、特別な場合は行う事もあり得ます。

オスプレイ展開能力


Two V-22 Ospreys spotted @ Terceira Island, Azores

※アゾレス諸島テルセイラ島で撮影されたMV-22オスプレイ。
19時53分 | 固定リンク | Comment (173) | オスプレイ |
2012年10月28日
2012年5月9日、訪米した中国の国防相、梁光烈(リャン・グアンリエ; Liang Guanglie)上将がノースカロライナ州リジューン海兵隊基地を訪問した際にMV-22オスプレイに搭乗して移動しています。

Lejeune Marines host People’s Republic of China Minister of National Defense | II Marine Expeditionary Force | May 09, 2012 | 10 Photos


Chinese Defense Minister Visits US Marine Corps Base - YouTube

時期的に4月にモロッコでMV-22の墜落事故があった直ぐ後ですが、中国代表団は特に気にせずそのまま乗って移動しました。なおオスプレイは2007年の実戦配備以降、アメリカ及び各国の要人を乗せて飛行している実績があります。以下はアメリカ国防総省やボーイングがリリースした要人輸送中の写真を紹介します。

U.S. Senator Barack Obama, D-Ill., and Senator Jack Reed, D-R.I., exit a V-22 Osprey aircraft in Ramadi, Iraq, July 22, 2008.
http://www.flickr.com/photos/pingnews/2928727245/
U.S. Secretary of Defense Robert M. Gates exits a V-22 Osprey aircraft at Forward Operating Base Cafferata, Afghanistan, March 9, 2010.
http://www.flickr.com/photos/39955793@N07/4420737516/
Secretary of Defense Robert M. Gates exits a V-22 Osprey at a Forward Operating Base in Afghanistan on June 5, 2011.
http://www.defense.gov/photos/newsphoto.aspx?newsphotoid=14373
Defense Secretary Leon Panetta steps off a Boeing V-22 Osprey as he arrives in New York City to meet with Mayor Michael Bloomberg on Sept. 6, 2011.
http://www.flickr.com/photos/theboeingcompany/6124613047/
Defense Secretary Leon E. Panetta exits a U.S. Marine V-22 Osprey at Camp Bastion, Afghanistan, March 14, 2012.
http://www.flickr.com/photos/secdef/6854016030/
Japan's Minister of Defense Satoshi Morimoto's delegation boards a V-22 Osprey to fly to Patuxent Naval Air Station fromt the Pentagon August 3, 2012.
http://www.flickr.com/photos/3mefpao/7750089858/

オバマ大統領(2008年当時は選挙中で大統領候補)がイラク電撃訪問の際に、ゲーツ国防長官(当時)がアフガニスタン訪問時に、パネッタ国防長官はアフガニスタン訪問やアメリカ国内の移動に、日本の森本防衛大臣はアメリカ西海岸のミラマー基地で体験搭乗を、そして中国の梁光烈国防相がノースカロライナ州のリジューン基地へ訪問する際に移動で搭乗しています。
05時01分 | 固定リンク | Comment (162) | オスプレイ |
2012年10月21日
普天間基地から岩国基地を経由して2機のオスプレイが韓国の烏山(オサン)基地に姿を見せました。10月20〜21日に開かれる航空ショー「Osan Air Base - Air Power Day 2012」に参加し、地上展示を行いました。


普天間基地配備の「オスプレイ」、韓国の航空ショーで一般公開(12/10/21)

オサン空軍基地は韓国語で「오산비행장」、オスプレイは「V-22오스프리」とハングル文字で書きます。今年のオサン航空ショーにはオスプレイの他に事前の予定に無かったB-52爆撃機も登場しました。オスプレイは2機のうち、赤い尾翼の司令官機00が地上展示されて、機体内部を操縦席も含めて見学できるようになっていました。

普天間基地〜オサン基地が約1200km、普天間基地〜岩国基地が約1000km、岩国基地〜オサン基地が約600kmなので、オスプレイの片道航続距離(貨物を積まない場合は3000km以上、最大で4000km近く、増槽無しでも2000km)ならば岩国基地を経由せずとも余裕で直接飛べた筈ですが、普天間基地から初めて飛ぶ海外展開なので、念を入れて経路上に島の無い洋上飛行の距離をなるべく短くしたかったのかもしれません。

普天間-岩国-烏山 オスプレイ航続距離

韓国にはアメリカ海兵隊は駐留していないのでMV-22オスプレイが配備される予定はありませんが、オサン基地には空軍型のCV-22が配備される可能性があります。アメリカ空軍第353特殊作戦群は韓国のオサン基地と日本の嘉手納基地にも展開しているので、どちらかに配備される計画だと言われています。

嘉手納にもオスプレイ 特殊作戦群に配備可能性:(琉球新報,2006年4月15日)

2012年6月20日にも沖縄タイムスが「オスプレイ嘉手納配備 14〜16年に9機」と報じましたが、同日に国防総省のリトル報道官は「現時点ではアジア太平洋方面に配備される計画は無い」と否定しています。しかしアメリカ欧州軍隷下の空軍第352特殊作戦群がイギリスのミルデンホール基地にCV-22を配備する事を決定している為(来年の春になるようです)、アメリカ太平洋軍の空軍第353特殊作戦群にCV-22が配備されないとは考え難く、現時点では決定していないというだけで、何れアジア太平洋方面にやって来るでしょう。
12時00分 | 固定リンク | Comment (89) | オスプレイ |
2012年10月19日
北部訓練場は沖縄県最大の軍事演習場で、上空2000フィートまではアメリカ軍による使用が認められています。演習場である為に最低高度制限は無く、逆に最高高度制限があります。これは自衛隊の演習場などでも同様です。


沖縄県米軍北部訓練場を飛行するオスプレイ 10月5日撮影 - YouTube

北部訓練場はアメリカ側では「ジャングル戦闘訓練センター(JWTC)」と呼ばれていて、海兵隊のヘリコプターの飛行訓練も行われています。新たに普天間基地に配備されたMV-22オスプレイも訓練を行うために、10月5日に初めて現れて下見の飛行を行っています。なお聞き慣れない音が聞こえると思いますが、これは沖縄の蝉の鳴き声です。


オオシマゼミ - YouTube

オオシマゼミ(学名; Meimuna oshimensis)
23時23分 | 固定リンク | Comment (78) | オスプレイ |
オスプレイのヘリモードはナセル角度85度以上、転換モードは84度以下、固定翼機モードは0度です。そしてオスプレイの普天間周辺での運用に付いての日米合意は、ヘリコプターモードで基地施設外を飛ばない、転換モードはなるべく時間を少なくするというものです。転換モードでの基地施設外での運用は認められています。しかし転換モードはナセル角度1度〜84度と範囲が広く、ナセルを立てていたらヘリモードと見分けが付き難いです。

ナセル角度80〜90度

ナセル角度85度近辺がモード分類上の境目になるのですが、この辺りでは遠くから見ただけでは分からず、誤認が相次いでいます。しかしマスコミの中には見ただけで転換モードと分かる角度なのにヘリモードだと報道しているところすらあります。恐らく、ヘリモードの分類基準そのものを知らないのでしょう・・・。


オスプレイ那覇新都心をヘリモード飛行:沖縄タイムス - YouTube

転換モード

沖縄タイムスがYouTubeに挙げた動画の解説は間違いです。明らかな転換モードのオスプレイを「ヘリモードで飛行しているとみられる」と誤報を流してしまっています。しかし転換モードの基地施設外での飛行は日米合意で禁止されておらず、少なくともこの動画は違反の証拠とはなり得ません。
20時02分 | 固定リンク | Comment (72) | オスプレイ |
2012年10月04日
オスプレイの普天間基地周辺での運用に関する日米合意は以下の通りです。

外務省:日本国における新たな航空機(MV-22)に関する日米合同委員会合意
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/sfa/goui_120919.html
 普天間飛行場における離発着の際,基本的に,既存の固定翼機及び回転翼機の場周経路等を使用する。運用上必要な場合を除き,通常,米軍の施設及び区域内においてのみ垂直離着陸モードで飛行し,転換モードでの飛行時間をできる限り限定する。(日米合同委員会合意骨子(PDF)より)

垂直離着陸モード(ヘリコプターモード)は基地内と演習場内でのみ使用し、転換モードの飛行時間を出来る限り限定するとあります。これは転換モードで市街地を飛ぶ事を許容する内容です。オスプレイのヘリコプターモードとは「ナセル角度85度〜97.5度」の状態を指します。「ナセル角度1度〜84度」は転換モードに分類されます。下の図のピンク色の線が各モードの範囲です。

3モード

VTOL MODE (Vertical Takeoff and Landig mode) 垂直離着陸モード(ヘリコプターモード)
CONV MODE (Conversion mode) 転換モード(転換途中の状態で角度固定も可能)
APLN MODE (Airplane mode) 航空機モード(固定翼機モード)

オスプレイのナセル角度85度

転換モードの範囲はとても広くヘリコプターモードに近い角度では見分けが大変付き難く、ナセル角度85度と84度など見ただけでは判別は出来ません。転換モードは転換途中のナセル角度固定も可能ですが、合意には「転換モードでの飛行時間をできる限り限定する」とあるので長時間の途中角度固定は行わず、なるべく遷移のみとする方針です。

防衛省・自衛隊:オスプレイについてから「MV−22の普天間飛行場配備及び日本での運用に関する環境レビュー最終版(2012年5月)」より、Appendix C:Aircraft Noise Study for the Basing of MV-22 at Marine Air Station Futenma and Operations at Marine Corps Facilities in Japan(PDF:71MB)にオスプレイの普天間周辺の運用における離発着および場周経路のパターン9種類が記されています。これには飛行経路の図とどの地点でナセル角度を何度にするか記されています。普天間環境レビューは5月に発表された文書であり、9月の日米合意の結果が反映されていないので、参考程度に留めておいてください。

オスプレイ離陸 オスプレイ離陸 

離陸に付いてはどのパターンでも直ぐに遷移が完了し、基地内で固定翼機モードまで転換し終えます。操縦マニュアルには「ナセル角度75度以下に倒す際には対気速度40ノット以上」が要求されますが、この図では77度で71ノット、70度で115ノットとあるので、75度近辺では80ノット前後は出すように設定されており、2倍の安全マージンを取っています。管制塔から風速風向の指示も出るので、モロッコでの事故のような離陸から速度不足の状態で転換飛行を行い墜落するような事態は先ず起こり得ないでしょう。

オスプレイの発進は他の固定翼機と同様に、普天間基地の南西端から行い北東に向かって飛び上がります。他のヘリコプターには離陸直後に旋回し北側へ抜けて行ったり、発進そのものを逆方向から行って離陸する経路がありますが、オスプレイには設定がありません。

普天間オスプレイ場周経路ヘリモード オスプレイ固定翼機場周経路

「回転翼機の場周経路」とは他機種のヘリコプターと同様に、普天間基地の場内をヘリコプターモードで旋回する経路です。「固定翼機の場周経路」は他機種の固定翼機が取るのと同様な普天間周辺の旋回経路です。オスプレイが「回転翼機の場周経路」を周回している間はヘリコプターモードであることが確実なので、はみ出していれば合意違反と分かり易い点です。今のところはまだオスプレイによる回転翼機の場周経路の訓練は始まっていません。

オスプレイ着陸 オスプレイ着陸

着陸アプローチ寸前に基地外直ぐの場所でナセル角度87度以上になっている箇所が記載されています。基地施設外でのヘリコプターモードになりますが、これは環境レビューが提出された4ヶ月後の日米合意によって変更されるのか、それとも着陸アプローチにおける「運用上必要な場合」と見做されるのかはまだよく分かりません。なお転換モードの範囲であるナセル角度80度付近は基地よりかなり離れた状態でも行われます。このあたりのナセル角度はヘリコプターモードと誤認されやすいので注意してください。

オスプレイ着陸

オーバーヘッドブレイクという着陸前に旋回してから降りる方式です。

オスプレイ環境レビューTACAN

戦術航法装置(TACAN; tactical air navigation system)を使用した計器着陸方式です。地上局からの極超短波により距離と方向が伝わります。

オスプレイ環境レビューGCA GCAサーマリー

着陸誘導管制(GCA; Ground Controlled Approach)という方式での着陸で、視界不良時に管制官の指示に従って降ります。

着陸経路に付いては、オスプレイは固定翼機と同様に普天間基地の南西から進入し北東へ滑走路を使う経路とブレイク(旋回)してから着陸の経路がありますが、ヘリコプターのような北東から進入し南西方向に降りたり、北側から進入したり、南東から一直線に進入し滑走路をほとんど使わず垂直に降りるという経路の設定がありません。普天間環境レビューでは離陸に付いても着陸に付いてもオスプレイは固定翼機と同じ経路を取る事が書かれています。オスプレイはCH-46ヘリコプターの代替でありながら飛行経路はC-130輸送機などの固定翼機に準拠するという変化により、騒音の分布が変わってくる事が予想されます。

なお「オスプレイは転換飛行時の遷移中に空力的に不安定になりやすい」と解説されることがよくあります。これは確かにオスプレイに限らず垂直離着陸機(推力方向を遷移する航空機)には全般的に言える話なのですが、オスプレイは試験飛行時代の4回と実戦配備後の3回の計7回の墜落事故のうち、実は転換飛行時の空力的不安定さが原因で墜落したのはモロッコの離陸時での1例のみです。そして離陸時ならば基地内で転換は完了するので、仮に同様の事故は起きても基地内で済みます。

1991年6月11日 ヘリコプターモード 整備ミスによる配線の逆接続 …デラウェア
1992年7月20日 転換モード オイル漏れによるエンジン火災 …バージニア
2000年4月8日 ヘリコプターモード ボルテックス・リング・ステート …アリゾナ
2000年12月11日 転換モード 油圧系統とフライトコンピュータの不具合と操縦ミスの複合 …ノースカロライナ
2010年4月8日 ヘリコプターモード 不明(操縦ミスないしエンジン不調) …アフガニスタン
2012年4月11日 転換モード 速度不足での転換飛行(操縦マニュアル違反) …モロッコ
2012年6月13日 転換モード(ナセル角度80度固定) 後方乱気流 …フロリダ 

後方乱気流で墜落した2012年6月のフロリダの事故は、実はナセル角度80度固定での飛行であり遷移中ではありませんでした。ナセル角度80度は転換モードに分類されますが角度固定状態だったのでほとんどヘリコプターモードに近く、遷移中ではなかったフロリダの事故例を不安定とされる転換中の事故と説明するのは間違いです。実は意外かもしれませんが、着陸前の固定翼機モードからヘリコプターモードに遷移する途中の転換モード時に空力的な不安定さが原因で墜落した例はありません。ナセルを傾けた結果としてオイル系のトラブルが生じて墜落した例はあります。墜落事故はヘリコプターモードと転換モードで約半分ずつで固定翼機モードでの墜落は有りませんが、そもそも航空事故の8割は離着陸時に集中することを考えると、オスプレイが離着陸時に使うモードに事故の割合が多いのは当然とも言えます。

現実問題として、オスプレイは離陸時はともかく着陸時を基地内だけで転換し終えるのは無理です。滑走路の距離上では減速が間に合いません。普天間基地の立地条件では市街地上空をヘリコプターモードと転換モードの両方とも飛ぶなというのは不可能です。

A.「市街地をヘリコプターモードで飛ばない(市街地で転換飛行で飛んでよい)」
B.「市街地を転換飛行で飛ばない(市街地でヘリコプターモードで飛んでよい)」

どちらか片方なら運用次第で可能です。そして日米合意は「市街地をヘリコプターモードで飛ばない(市街地で転換飛行してよい)」を選びました。この理由は、

●離陸時なら基地内で転換飛行を終えることが出来る。
●着陸アプローチの転換飛行中に空力不安定さが原因で墜落した例はまだ一度も無い。
●転換飛行でナセルを立てた結果、オイル漏れが原因で炎上墜落した例はあるが、対策が施されて以降は同様例の墜落発生無し。

なお逆の「市街地を転換飛行で飛ばない(市街地でヘリコプターモードで飛んでよい)」を選択した場合の着陸方法は、

1.演習場ないし海上でヘリコプターモードにしてから基地に戻る。
2.固定翼機モードで基地上空に進入し、基地施設内だけでヘリコプターモードに転換、しかしそのまま着陸は間に合わないのでそのまま通過し、オーバーヘッドブレイクして周辺をヘリコプターモードで一周してから着陸する。

こちらを採用しなかった理由は、1は固定翼機モードより騒音の大きいヘリコプターモードで市街地上空を飛ぶ時間が長くなってしまう事、2は条件によっては転換し終えるのが難しい事です。なるべく本国での訓練内容に近くしておきたい上に騒音問題も考えると、この方式はマイナスが大きく、安全性の面でも特に有利な点が無いのでしょう。

日米合意はオスプレイの市街地での転換飛行を禁止しておらず、ナセル角度によってはヘリコプターモードと転換モードの見分けは付き難いので、合意違反かどうかの判別はなかなか難しいものとなっています。転換モードがナセル角度80度前後の状態の場合、ヘリコプターモードと誤認してしまう場合が有り得ます。
22時10分 | 固定リンク | Comment (420) | オスプレイ |
2012年10月01日
10月1日、一時的に山口県岩国基地に置かれているアメリカ海兵隊のMV-22オスプレイが配備先の沖縄県普天間基地へ移動を開始しました。当初は先週金曜日に移動開始する予定でしたが、沖縄に接近する台風を避けるために週明けの月曜日から移動となりました。


オスプレイ6機が普天間に飛来 - Youtube


オスプレイ普天間飛行場に到着 - Youtube

ランディングギアを出しながらの着陸アプローチ中のナセル角度は75度前後の転換モード(ヘリコプターモードと固定翼機モードの中間)で行っているのが分かります。徐々にナセルを立ててヘリコプターモードに近付けて着地しています。

普天間基地に今日飛来したオスプレイのナンバーは02、03、06、07、09、11の計6機です。VMM-265ドラゴンズは12機が定数なので半分です。残りのナンバー00、01、04、05、08、10はまだ岩国基地に居ます。ナンバー00が尾翼が赤く塗られた機体です。

岩国基地のオスプレイ6機のうち2機で、部品交換などの整備必要:FNNニュース

半分ずつ移動しているので残り6機は明日来るのかと思いきや、岩国基地に残っているナンバー04、05は整備に必要な部品の到着待ちでまだ試験飛行を行っていない為、整備と試験をこれから行い、移動が完了するまで数週間掛かる可能性があるようです。12機中2機が動けないわけですが、10機が動いている事が確認されているので稼働率は83%、軍用機の稼働率としては十分なレベルです。(海兵隊では平時稼動率82%が求められているので合格点。)

III Marine Expeditionary Force/MCI Pacific's photostream - flickr

第3海兵遠征軍の公式flickrより。普天間基地到着の写真が多数upされています。

DVIDS - Search: Okinawa Video

海兵隊がUPした動画が置いてあります。普天間基地へ着陸する様子。
23時43分 | 固定リンク | Comment (171) | オスプレイ |
2012年4月11日に起きたMV-22オスプレイのモロッコでの墜落事故は3つの操縦ミス要因が重なって起きたものでした。詳しくは過去の詳細記事→「転換飛行時僅か5ノット」

・追い風の中に入って転換飛行に入った。
・機首下げ姿勢を直さず転換飛行に入った。
・速度不足のまま転換飛行に入った。

この中で最も重大だったものは「速度不足のまま転換飛行に入った」ことで、記者会見で説明を行った海兵隊のシュミドル中将が「前進スピードを確保するまで、回転翼を上向きで維持していれば事故は起きなかった」と説明しています。ヘリコプターモードのまま暫く飛んで、対気速度40ノット以上確保してから転換に入れば、追い風があろうと問題はありませんでした。事故当時の15〜27ノットの風速は確かに重要な要素でしたが、突風がいきなり吹いて落ちたというわけではありません。そもそもどのような航空機でも離着陸で低速時は追い風は危険な要素です。モロッコの事故はオスプレイが風に弱い事を意味しません。ヘリコプターがホバリング中に追い風を受けて墜落した例は幾つもあります。

国土交通省:運輸安全委員会:航空事故インフォーメーション検索より
 朝日航洋株式会社所属ベル式206L-3型JA9365(回転翼航空機)は、平成2年8月20日取材飛行中、18時20分ごろ沖縄県中頭部勝連町ホワイトビーチの約500メートル沖合に墜落して水没した。同機には機長ほか3名が搭乗していたが、全員死亡した。同機は大破した。
 本事故は、取材飛行中、機長がヘリコプタの飛行特性についての判断に適切を欠き、強風下において海上・低高度で背風に近い状態でホバリングを行ったため、機体が突然右旋転に入り、これを回復することができず右旋転が継続し、メイン・ロータ・マストが破断したことによるものと推定される。

ベル206

1990年8月20日、沖縄県ホワイトビーチ桟橋付近の海上で、NHKのチャーターした取材ヘリコプターが米軍艦の周囲を旋回後にホバリング中、24ノットの追い風を受けてコントロール不能に陥り、遂には負荷の掛ったメインローターマストが千切れて墜落しています。機体は全世界で1万機近く売れたベストセラー機、ベル206でした。

「台風の多い沖縄で風に弱いオスプレイは使えない」とする主張は間違いです。オスプレイが他機種と比べて特に風に弱いとする根拠が無いことと、そもそも全ての航空機は低速時には風に弱いのです。
00時21分 | 固定リンク | Comment (59) | オスプレイ |
2012年09月30日
アメリカの大手報道ではオスプレイが実戦投入される前までは機体の問題を批判する記事もありましたが、実戦投入が開始され始めた2007年を最後に「欠陥機」「未亡人製造機」呼ばわりは控えるようになりました。その最後の批判とも言えるのがタイム誌のマーク・トンプソン記者による「V-22オスプレイ:空飛ぶ恥」という記事でした。

V-22 Osprey: A Flying Shame - TIME
 By MARK THOMPSON Wednesday, Sept. 26, 2007

しかし、オスプレイが実戦投入開始され、運用実績が積み上がり事故率が平均レベル以下であることが示されていくと、このような批判はアメリカでは過去のものとなっています。一部のマイナー誌や個人ブログで懸念の声はまだあるものの、メジャー誌では欠陥問題を指摘する声はほぼ消えました。それは5年前に「空飛ぶ恥」と書いたタイム誌も例外ではありませんでした。今年になってタイム誌が報じたオスプレイの記事(機体への批評が入ったもの)は以下のカーク‧スピッツァー記者の記事です。

No Love For The Marines’ V-22 In Japan - TIME
 By KIRK SPITZER | June 14, 2012

Overall, it’s hard not to sympathize with the V-22’s opponents. Local residents have long put up with crime, aircraft noise and the threat of a catastrophic crash at the Futenma base. A CH-53 helicopter crashed − or made a controlled emergency landing, depending on whose version you believe − on the grounds of a university near the base in 2004; no one on the ground was hurt (school was in recess), but a building was damaged and the incident served as a stark reminder of what could happen.
「全体として、V-22反対派に同情しないのは難しいです。地元住民は、フテンマ基地で犯罪、航空騒音と破滅的な事故の脅威を長く我慢しました。2004年に基地付近の大学で起きたCH-53ヘリコプターの墜落事故-あるいは制御された緊急着陸(貴方が信じる方に従います)-は地上の誰も怪我をしなかったものの(学校は休みでした、建物は壊れました)、何が起こり得るか赤裸々に思い起こさせます。」

The irony is, for all its perceived faults, the V-22 is almost inarguably safer and quieter than the aircraft it’s supposed to replace. The CH-46s have been around since the 1960s, and while you can swap out engines and components and step up maintenance, at some point they’re going to wear out. I’ve flown on CH-46s dozens of times in Iraq and Afghanistan (and probably on the exact same aircraft years earlier in the first Gulf War), and I hate ‘em. They’re noisy, leak hydraulic fluid all over passengers and cargo and are often forced to divert from their intended destination because of mechanical problems.
「皮肉なのは、検知された全ての欠点を考慮した上でも、V-22は交換することになっている航空機よりほとんど議論の余地なくより安全でより静かです。CH-46は1960年代から飛んでいます、いくらエンジン交換や部品交換、整備を繰り返しても、そのうち機体寿命は尽きてしまうでしょう。私はイラクとアフガニスタン、第一次湾岸戦争でも何十回となくCH-46で飛びましたが、騒がしく、乗客と貨物にオイルを漏らして、しばしば機械的な故障で行き先が変更され、大嫌いでした。」

カーク‧スピッツァー記者は防衛関係を30年近く担当しているベテラン記者で現在東京駐在です。マーク・トンプソン記者とも同じ時代からオスプレイの開発配備の経緯を最初から見てきた人物で、ただ2007年のトンプソン記者の記事と異なり、オスプレイ擁護の立場であると記事中ではっきり言っています。

Still No Luck for the V-22 in Japan - TIME
 By KIRK SPITZER | September 9, 2012

スピッツァー記者は沖縄の反対集会を受けても「オスプレイは運が無かっただけ。古くて漏れて騒がしいCH-46よりも、速くてスムーズで静かなオスプレイを。」と記事に書きました。かつて「空飛ぶ恥」と書いたタイムは、もうありません。マーク・トンプソン記者は4月のモロッコで起きたオスプレイの事故を伝える記事は書いていますが、ただ事実を伝えるだけで批判も擁護もしていません。つまりタイム誌のオスプレイに対する論調は、今はカーク・スピッツァー記者が担当して書いていると見做すことが出来るでしょう。
22時34分 | 固定リンク | Comment (71) | オスプレイ |
■ニューメキシコ州での山岳地帯夜間低空飛行訓練延期に付いて(キャノン空軍基地所属機)

「米西部ニューメキシコ州北部などで予定されていた垂直離着陸輸送機CV22オスプレイの飛行訓練計画について、米空軍は再検討を進めている。州内にある世界遺産に登録された先住民居住地区タオス・プエブロなどの住民による反対運動を受け、六月に計画見直しを余儀なくされたからだ。」(2012年8月5日、東京新聞)

CV22B_MC130J_teikuu.jpg

世界遺産タオス・プエブロ - Wikipedia

注1.この訓練はCV-22オスプレイだけでなくMC-130JコマンドウU(C-130ハーキュリーズ輸送機の特殊作戦型)を含む。最低高度200フィート(60m)を予定していた。
"The MC-130J, at top, and CV-22 Osprey would be used in low-altitude training flights over the Aspen area under a proposal now under consideration. " Aspen airs concerns over military training flights, October 11, 2011 The Aspen Times


2nd RAF C130J Hercules Mach Loop - 21st May 2012 - Youtube

注2.動画はイギリス空軍のC-130J輸送機による低空飛行訓練の様子。イギリスの低空飛行訓練空域LFA7(Low Fly Area)の一画、通称「Mach Loop」より。LFA7の最低高度は100フィート。(低空飛行訓練が容易に撮影できるポイントとして世界的に有名


■ハワイ飛行訓練の2空港での発着訓練中止に付いて(オアフ島カネオヘベイ海兵隊航空基地所属機)

「 訓練が中止されたのは、ハワイ州モロカイ島にあるカラウパパ空港とハワイ島にあるウポル空港。
 米軍の決定記録文書は「新機種のMV22は、既存のヘリに比べてローターからの下降気流が大きく、着陸地点から半径107メートルに影響する」と指摘。「カラウパパ空港の近くにある考古学的資源に対するMV22のダウンウォッシュ(下向きの気流)の潜在的影響を懸念して最終報告の計画を一部修正し、同空港でのMV22の訓練を取り除いた」と説明している。
 また、海兵隊とハワイ州歴史的遺産の保存に関する諮問委員会との間で交わされた計画合意書では、ウポル空港がハワイ王国初代国王であるカメハメハ1世生誕地の1・6キロ西にあることから、「緊急時の着陸以外は空港の使用を制限する」と記述している。」

米軍がオスプレイ訓練計画を中止 ハワイ2空港、環境に影響:琉球新報(2012年8月14日)

注3.カラウパパ空港(823m滑走路)は滑走路すぐそばに先住民の遺跡が存在する。 Archeology at Kalaupapa - National Park Service
 
カラウパパ空港 MV-22オスプレイ

更に空港付近にはモロカイ島カラウパパ国立歴史公園(元・ハンセン病隔離施設)がある。

注4.ウポル空港(1158m滑走路)の1.6km西にハワイ王国初代国王カメハメハ1世生誕地がある。

ウポル空港 MV-22オスプレイ

注5.アメリカ軍が公式に認めた訓練中止理由は「遺跡保護」のみであることは琉球新報の記事の通り。騒音や野生動物保護に対する懸念は提出されたものの、中止理由には採用されていない。事故に対する懸念の提出は無し。なお2空港の訓練はハワイに置けるMV-22オスプレイ訓練計画全体の数%以下で、13ある地方空港とヘリパッドで行う予定だった離発着訓練の内2つが中止になったもの。

・ニューメキシコ州とハワイの事例は、配備そのものが中止されたわけではない。
・特別な理由があれば、住民の要望は反映され訓練計画は見直される。
・世界遺産、文明生活を拒む先住民の暮らし、先住民の遺跡。
06時00分 | 固定リンク | Comment (47) | オスプレイ |
2012年09月22日
9月21日、一時的に山口県岩国基地に置かれているアメリカ海兵隊のMV-22オスプレイが試験飛行を開始しました。1週間後には配備予定地である沖縄県普天間基地に移動を開始する予定です。


オスプレイ試験飛行日本国内で初 岩国基地を離陸(12/09/21)- Youtube

VMM-265ドラゴンズ、1機だけ尾翼が赤く塗られています。VMM-265ドラゴンズは米西海岸ミラマー基地で編成されたVMM-561ペールホースの名称とマーキングを変更して出来た部隊です。VMM-561ペールホースという名は無くなります。海兵隊普天間基地のオスプレイ配備は機材と人材を丸ごと入れ替える方式ですが、伝統的な部隊名であるHMM-265"竜"を引き継ぐ事になりました。VMM=中型垂直離着陸機中隊、HMM=中型ヘリコプター中隊。


MV-22 Osprey Conducts First Flights in Japan - Marine Corps Air Station Iwakuni - Youtube

岩国基地で試験飛行中のMV-22オスプレイと砕氷艦「しらせ」艦載機のCH-101とのツーショット動画。岩国基地はアメリカ海兵隊だけでなく日本海上自衛隊も使用しており、US-2飛行艇のほかに掃海ヘリコプターのMH-53EとMCH-101が置かれています。整備の関係で「しらせ飛行科」のCH-101は同型機MCH-101の居る岩国基地に居ます。

III Marine Expeditionary Force/MCI Pacific's photostream - flickr

第3海兵遠征軍の公式flickrより。赤い尾翼の機体の高解像度画像が置かれています。

DVIDS - Search: MCAS-Iwakuni Video

海兵隊がUPした動画が置いてあります。
13時45分 | 固定リンク | Comment (189) | オスプレイ |
防衛省・自衛隊の「オスプレイについて」・「MV−22オスプレイの沖縄配備について」に、とても興味深い資料の追加がありました。

別添5:MV−22オスプレイ 事故率について(PDF:294KB):防衛省・自衛隊

アメリカ軍(陸軍・海軍・空軍・海兵隊)全軍の主な航空機の最近10年間の事故率(FY02〜FY12)、全軍の主な航空機の初期10万飛行時間での事故率、オスプレイのクラスA,B,C事故の個別詳細(和訳済み)、といった貴重なデータが掲載されています。

オスプレイ事故率他機種比較

全軍種の主な航空機の事故率が載っています。事故率の全般的な傾向として「大型機の事故率は低く、戦闘機やヘリコプターの事故率は高い」という事が見て取れます。また同系統の機種でも任務が異なると事故率が極端に違ってくる事も見て取れるでしょう。特殊作戦機や救難機は任務が過酷で事故率が高くなります。大型機なのに事故が多いB-1戦略爆撃機は空軍の悩みの種ですし、F-22戦闘機は不具合の問題がなかなか解決せず、最近ようやく解決の目処が立ったばかりです。ヘリコプターでは海兵隊のUH-1ヒューイ、AH-1コブラ、陸軍のAH-64アパッチ、CH-47チヌークが事故率3前後と高く見えますが、全軍のヘリコプターとしては平均レベルです。「もしも海兵隊がCH-46シーナイトの代わりにMV-22オスプレイではなくCH-47チヌークを採用していたら」という提案をたまに聞きますが、実際には事故率の面ではチヌークよりもオスプレイの方が優秀な数字を示しています。

オスプレイ事故率他機種比較

どのような機体でも開発中や導入初期は事故が頻発し、運用実績が積み上がっていくと事故が少なくなる傾向があります。しかしオスプレイは導入初期の段階で既に事故率が低く、巷で言われている「開発段階から事故が多い」イメージとは逆である事が分かります。

防衛省の資料は更にオスプレイのクラスA,B,C事故の個別詳細(和訳済み)と空軍型CV-22の事故率解説の表が掲載されています。クラスA,B,C事故の個別詳細は和訳済みの防衛省資料が助かります。

【類似記事】
(2012/09/15)MV-22オスプレイ事故詳細表(クラスA,B,C)
(2012/08/27)オスプレイのクラスC事故とは「整備士の転落事故」まで含まれる
(2012/08/09)特殊作戦用CV-22オスプレイとMH-53ペイブロウの事故率

当ブログの過去の類似記事も参照してください。
10時47分 | 固定リンク | Comment (226) | オスプレイ |