このカテゴリ「オスプレイ」の記事一覧です。(全114件、20件毎表示)

2012年09月22日
防衛省・自衛隊の「オスプレイについて」・「MV−22オスプレイの沖縄配備について」に、とても興味深い資料の追加がありました。

別添4:MV−22オスプレイ オートローテーションについて(PDF:266KB)

オートローテーションに付いての結論です。

オスプレイのオートローテーション手順
※図の「又は」とあるのは翻訳ミスか意味が不明、無視しても問題ない。

シミュレータによるオートローテーション訓練視察結果

1.初期設定
○ 飛行モード:転換モード(ナセル角87度)
○ 飛行高度 :海抜2000ft(約610m)
○ 飛行速度 :約120kt(時速約222km)

2.オートローテーション開始
○ 両エンジン停止後、垂直離着陸モードへの移行操作を直ちに開始
○ エンジン停止後約2秒でナセル角後方一杯(96度)へ移行完了

3.途中経過
○ フラップを0度に設定
○ 飛行速度は120ktを維持
○ 機体姿勢を制御
○ 降下率は5000fpm(毎秒約25m)

4.飛行最終段階
○ 高度1000ft(約305m)あたりからフレア操作(※)開始
※ 着陸時における一連の機首上げ操作で、通常の進入姿勢から着陸姿勢へ移行するもの
○ 降下率を2000fpm(毎秒約10m)から1000fpm(毎秒約5m)に徐々に減少
○ 高度約500ft(約152m)からは、700fpm(毎秒3.6m)から500fpm(毎秒2.5m)の降下率で降下

5.接地段階
○ 速度も徐々に低下、着地した時は約70kt(時速約130km)
○ 着地の際に脚を出したが、2、3回のバウンドがあった。

降下率のfpmとはフィート/分の事です。5000fpmは毎秒25m、時速約90kmです。これは他のヘリコプター(機体重量によるが降下速度は時速40〜60km、重量級のCH-53Eだと3600fpm、時速65km)に比べて高い値ですが、フレアを掛ける事で降下率を抑える事が出来ます。フレアはオートローテーションを行う全てのヘリコプターが行う重要な操作ですが、この防衛省資料によるとオスプレイのフレアによる降下率の減少は以下の通りです。

・降下率5000fpm(時速91km)高度610m フレアに必要なローター回転力を蓄える。
・降下率2000fpm(時速35km)高度305m フレア開始。
・降下率1000fpm(時速18km)高度305m〜152m 
・降下率700fpm(時速12km)高度152m
・降下率500fpm(時速9km)高度152m〜0m 着地。

接地段階での降下率は時速9kmです。なお速度約70kt(時速約130km)とあるのは前進速度(水平速度)を意味します。オスプレイのヘリコプターモードのオートローテーションは通常のヘリコプターと異なり、フレアを掛ける前はかなり急な角度(滑空比2:1)で降りて行きますが、フレアを掛けた後の前進速度が依然として速いままで、着地段階では浅い角度でのアプローチになり、ヘリコプターというよりは固定翼機の滑空着陸に近い印象を受けます。しかしフレアによって降下率が時速9kmまで落とせるなら着陸そのものは可能です。水平速度70ノット(時速130km)は、第二次世界大戦時のレシプロ戦闘機の着陸速度とほぼ同じです。オスプレイのオートローテーションは滑り込むような形になるのである程度広い着地場所を必要とするという点でヘリコプターより劣りますが、広い着地場所を必要とするのは通常の固定翼機の滑空着陸でも同様です。

オスプレイはオートローテーションそのものは可能です。ただし条件が限定される為、頼らないようになっています。このシミュレータでは前進速度120ノット(時速222km)で開始していますが、これはオスプレイのヘリコプターモードでの最大速度に近く、この領域では固定翼機モードへ転換を行っている場合が殆どで、そもそも両エンジン停止時にはオートローテーションの出番よりも固定翼機モードで滑空を行うケースが殆どになります。オスプレイのオートローテーションに出番があるとしたら、基地周辺でのヘリコプターモードでの場周経路の遷回中でなら速度も出ているので試みる事が可能です。なお前進速度が遅く高度が低い場合はオートローテーションが失敗する確率が高くなりますが、それは通常ヘリコプターでも同じ傾向はあります。機体重量が重いほどその傾向は強くなります。

現実的に見てオスプレイで飛行中にエンジン停止が発生する事態は、飛行中の95%を占める固定翼機モードの最中になるでしょう。そもそも両エンジンが同時停止する事態そのものが極端に低い確率で、しかも飛行時間の5%を占めるヘリコプターモードの最中に起こるとなると、確率は更に桁違いに低くなります。オスプレイは両エンジンが離れているので片方のエンジン破損がもう片方に影響を及ぼさないため、両エンジンが同時停止する確率は理論値に近くなります。両エンジンはシャフトで繋がっており、片方のエンジンだけでローターは両方とも回ります。オスプレイは片方のエンジンのみでの安全な着陸は実地で成功しています。

連結シャフト

またCH-53EやMCH-101などの大型ヘリコプターはオートローテーションの訓練はシミュレータだけで済ませる場合が多く、それ以下の中型ヘリコプターでも実地訓練は途中までで、接地まで最後までやるのは小型ヘリコプターだけです。オスプレイのオートローテーション訓練がシミュレータだけなのは他の大型ヘリコプターと同様です。

オスプレイはオートローテーション機能自体はあります、ただし使う機会が訪れ無いでしょう。

関連記事:FAAとオートローテーション(2012/07/11)
06時21分 | 固定リンク | Comment (84) | オスプレイ |

2012年09月16日
防衛省・自衛隊の「オスプレイについて」より、フロリダにおけるCV−22墜落事故に関する報告書関連。

フロリダにおけるCV−22墜落事故に関する分析評価報告書(PDF:175KB)
フロリダにおけるCV−22墜落事故に関する分析評価報告書(概要)(PDF:80KB)
事故の概要(PDF:340KB)
米空軍航空機事故調査委員会報告書(英文)(PDF:1.9MB)
米空軍航空機事故調査委員会報告書(仮訳)(PDF:5.8MB)

事故状況はナセル角度80度、対気速度80ノット(ほぼヘリコプターモードに近い中間モード、転換途中ではない)で、1番機の後方乱気流に後続の2番機が巻き込まれた事で事故が起きています。後方乱気流は固定翼機モードよりもヘリコプターモードの時の方が遥かに強く(一般的にも同サイズの航空機ではヘリコプターの方が後方乱気流は強い)、オスプレイは固定翼機モードならば編隊飛行の制限は緩いのですが、ヘリコプターモードでは制限が厳しくなります。事故機はヘリコプターモードの操縦マニュアルの制限、「1番機の後方150度〜210度の方向には位置しないこと」「1番機の後方を横切る際には1番機より50フィート以上上方に位置すること」「降下旋回中には1番機の後方を横切らないこと」などに付いて違反していました。水平距離に付いては間隔を取っていたものの、後方を高度差不足のまま横切った事が事故の要因です。

後方乱気流(Wake turbulence)そのものはどんな航空機でも発生します。日本では2003年に岩国基地でUS-1飛行艇の後方乱気流に巻き込まれて1500m後方で訓練していたU-36Aが墜落した例があります。ヘリコプターの事例ではUH-1イロコイの後方乱気流に巻き込まれて463m(0.25海里)後方のCessna172が墜落した例(1984年6月30日、アメリカ、ミシシッピ州グレナダ)もあります。後方乱気流の影響範囲は先行機の大きさや機種によって変わり、大型旅客機では後方乱気流が数kmに渡って伸びて1分間も持続します。


C-5A Wing Vortice tests at NASA Langley Research Center - Youtube

オスプレイの2010年アフガニスタンでの事故調査委員長だったハーベル元空軍准将は、この2012年フロリダでのオスプレイ事故に付いて「操縦ミスが原因」「オスプレイの特有性に起因したものではない」「操縦マニュアルに回避策を明記すべき」と沖縄タイムスの電話取材に答えています。


Osprey Fly Over - Youtube
オスプレイ4機編隊(ヘリコプターモード)。約250フィート(75m)間隔。

オスプレイ編隊飛行
VMM-365’s Last Flight of 2011 - Marine Corps
オスプレイ8機編隊(固定翼機モード)。写っているのは6機、密集。
04時17分 | 固定リンク | Comment (255) | オスプレイ |
2012年09月15日
海兵隊のMV-22オスプレイ、2006年12月から2011年12月6日のクラスA事故2件、クラスB事故6件、クラスC事故22件の事故状況が全て掲載された表が以下の通りです。

MV-22 Osprey Class A Mishaps
YearDateGroupSQDNNarrative
20076-Nov-07MAG-26VMMT-204NACELLE FIRE DURING NIGHT CAL PRACTICE
20117-Jul-11MAG-26VMM-264Crew chief was ejected out the back of an MV-22B from 200 feet

MV-22 Osprey Class B Mishaps
YearDateGroupSQDNNarrative
2007 VMMT-204AFTER LANDING ON TAXIWAY, ACFT EXPERIENCED LEFT NACELLE FIRE. NO INJS.
2007 VMM-162NOSE GEAR COLLAPSED DURING LANDING. NO INJURIES.
200927-May-09MAG-26VMMT-204ACFT WAS RESTARTED FOR TROUBLESHOOTING. ENGINE EXHAUST IGNITED FIRE.
200910-Jun-09HQMCVMX-22ACFT HAD RIGHT ENGINE COMPRESSOR STALL IN FLIGHT. NO INJURIES.
20111-Apr-11MAG-16VMM-161While taxiing, the nose landing gear of an MV-22 collapsed from under the aircraft.
201123-Jun-11MAG-16VMM-161Aircraft experienced a hard landing shortly after takeoff with pax onboard. No injuries.

MV-22 Osprey Class C Mishaps
YearDateGroupSQDNNarrative
2008 MAG-29 NACELLE BLOWER FAILURE.
20085-Feb-08MAG-26VMMT-204ACFT LEFT NACELLE FELL FM 90 D TO 0 D DRNG MAINTENANCE. 1 BLD HAS DMGE
200814-Mar-08MAG-26VMMT-204ACFT RT ENG NACELLE CAUGHT FIRE DRNG START-UP. 2 MARINES HOSPITALIZED.
200830-Sep-08MAG-26VMMT-204ACFT WAS PARKED ON THE ECHO LINE WHEN LANDING GEAR RETRACTED.
200918-Jul-09MAG-26VMM 261ACFT HAD MIDWING FIRE INDICATION & WFPS ACTIVATION DUR POST FLT INSP.
201025-Mar-10MAG-26VMMT-204ACFT HARD LDG DUR FAM FLIGHT RESULTED PERS INJURY. NO ACFT DAMAGE.
201018-May-10MAG-26VMM-263AIRCRAFT SUSTAINED DAMAGE DURING LANDING TO UNIMPROVED SURFACE. NO INJ
201013-Jul-10MAG-26VMM-365SINGLE ACFT CONDUCTING BROWN OUT LDG STRUCK BOTTOM OF L NACELLE & LMLG
201021-Jul-10MAG-26VMM-365SNM STANDING ON RIGHT NACELLE WORK PLATFORM FELL BKWARD LANDED ON GRND
20101-Nov-10MAG-26VMM-365AN AIRFRAME MECHANIC fell from NACELLE WORK PLATFORM.
20109-Nov-10MAG-26VMM-365Aircraft nose gear collapsed during a night reduced visibility landing.
20103-Dec-10MAG-26VMM-263MV-22 Maintainer fell off nacelle of static aircraft and hit head. Loss of work in excess of 5 days
201016-Dec-10MAG-26VMM-263MV-22 Nose gear collapse led to FLIR damage.
201021-Dec-10MAG-26VMMT-204SPINNER DOME SCREWS DEPARTED AIRCRAFT.
201025-Dec-10MAG-26VMM-266MV-2WHILE CONDUCTING APPROACH TO A HIGH HOVER, AIRCRAFT EXPERIENCED HARD LANDING TO UNPREPARED ZONE.
201114-Apr-11MAG-26VMM-162Engine fire ocurred during maintenance ground turn. Fire was extinguished. No injuries to personnel.
201121-Apr-11MAG-26VMM-365A bird struck the FLIR ball of an MV-22. The damage was discovered on post flight inspection.
20112-May-11MAG-16VMM-161Damage to drive system occurred during maintenance
201122-Jul-11MAG-26VMM-162Ladder struck spinning proprotor blades while troubleshooting an unsecured latch on the nacelle
20115-Aug-11MAG-26VMM-261Suspended Marines injured during Special Patrol Insertion /Extraction (SPIE) operations
20115-Aug-11 VMX-22Aircraft landed with gear up while conducting a functional check flight
201127-Aug-11MAG-26VMM-162Damage to drive system occurred during maintenance

Safety Division - Marine Corps
http://www.marines.mil/unit/safety/Pages/Aviation.aspx
- Aviation Mishap Database v.1
 http://www.marines.mil/unit/safety/Documents/Aviation_Mishap_Database.xls

上記の海兵隊安全管理部の航空機事故データベースよりMV-22オスプレイの部分のみを抽出しました。データベースには海兵隊側の明らかな年月日の打ち間違いが複数個所見受けられたのでその部分は修正済みです。このデータベースがJウィング2012年10月号49ページ、青木謙知氏の記事の表の元ネタだと思います。2011年4月21日のバードストライク事例はJウィングの表には載っていませんでしたが、これは単純な記載漏れだったようです。なおこの4月21日のバードストライク事例は海軍安全センターでは4月20日と記載されていました。軍の一次資料でも数字の打ち間違いはよくあるので、資料を読んでいて困る時があります。20日か21日かは取り合えず保留しておきます。
01時24分 | 固定リンク | Comment (43) | オスプレイ |
2012年08月27日
最近、オスプレイはクラスA事故(重大事故)は少なくても、クラスB、クラスCといった軽微な事故が多いから問題だという論調が新聞やテレビなどで繰り返されています。しかしクラスB、C事故は住民被害に繋がるような事故は殆ど無く、重大事故であるクラスAと同じように扱う意味がありません。それをはっきりさせる為にオスプレイのクラスC事故の個別の事故事例を全て調べ上げて紹介しようと資料を集めていましたが、一部しか見付けられず半ば諦めかけていました。

しかし発売中のイカロス出版のJウィング2012年10月号49ページ青木謙知氏の記事に、MV-22オスプレイのクラスABC事故事例の表が掲載されているのを見付けました。是非とも本を読んで確かめて下さい。


J Wings (ジェイウイング) 2012年10月号[雑誌]J Wings (ジェイウイング) 2012年10月号

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2006年12月から2011年12月6日のクラスA事故2件、クラスB事故6件、クラスC事故22件の事故状況が全て掲載されています。詳しくはJウィング2012年10月号を読んで下さい。マスコミがクラスC事故で騒ぐ意味の無さ、馬鹿馬鹿しさがよく分かると思います。

・整備士が整備中に作業台から転落して負傷。
・立て掛けていた梯子が外れてローターに当たり損傷。
・整備中にナセル操作を間違えてローター破損。

このような例ばかりでMV-22オスプレイのクラスC事故の半分近くは地上で起きており、整備中の事故や駐機中の事故でした。当然、基地周辺住民に被害が及ぶような話ではありません。また残り半分の飛んでいた時の事故例にしても、その殆どが着陸時の接地の際で、何かあっても基地内で被害が収まるような状況ばかりでした。脚を出すのを忘れて着陸して損傷したという例さえあります。

結局、クラスC事故ではっきりと分かる住民被害に繋がりそうな例は2010年12月21日に起きた「飛行中にプロップローターのスピナーが落下」の1件くらいで、22件中の殆どが「地上もしくは着地中」であり、住民被害に繋がったりはしないものでした。市街地の上空で何か起きない限りは住民を巻き込むという事故にはまず発展しませんが、そもそもクラスC事故例は着地中を除いた空中で発生した事故自体が殆どありませんでした。

[PDF] アメリカ海軍安全センター「Mech Magazine」2011年夏号
http://www.public.navy.mil/navsafecen/Documents/media/mech/issues/Mech_Summer_2011.pdf
4/20/2011 MV-22B A bird struck the FLIR ball of an MV-22. The damage was discovered on post flight inspection.

バードストライクがたまたまオスプレイの機首に付いているFLIRボール(球形の赤外線前方監視装置)に当たって壊され、クラスC事故に分類された例も見付かりましたが、これはオスプレイの問題ではなくどうしようもありません。(※後から気付きましたが、この2011年4月20日のバードストライク事例はJウィング10月号49ページの表には載っていませんでした。資料によってはクラスC事故事例にカウントされないのかもしれません。)

クラスC事故が多くなったのは恐らく、オスプレイという新型機に整備士が慣れていないために整備中の事故が多くなってしまったのだと思います。操縦士も新型機に慣れておらず、着地中の軽微な事故が多くなってしまったのでしょう。自動車で言えば、大きさの違う車両に乗り換えた直後は車庫入れに苦労するのに似ています。どちらも慣れてくれば急速に改善していくでしょう。

事故の状況を説明せずに「軽微な事故でも大事故に繋がりかねない」と声高に叫ぶ事は、こじ付けに近い難癖付けだと思います。詳細な事故状況を調べて見ると、クラスC事故は大事故には発展しようの無い軽微な事故が殆どです。逆にクラスAの重大事故であっても、事故状況によっては住民被害に繋がらない場合や、大きな問題にされない場合もあります。

・2009年2月2日、CV-22オスプレイが飛行中に左エンジン異物混入、片肺飛行で安全に着陸。
・2011年7月7日、MV-22オスプレイが飛行中に後部貨物ランプからクルーチーフが転落、死亡。

どちらもクラスA事故(200万ドル以上の損害または死亡事故)ですが、CV-22のエンジン異物混入(ボルトを吸い込んだ)事故の場合は、エンジンが片方でも動いていれば安全に着陸できる事を実証したと言えますし、MV-22の場合は単なる乗員の転落事故で機体や整備の問題ではない為、この転落死事故は事故率の計算にはカウントされていません。

重大事故とされるクラスA事故ですら、事故状況の内容によっては大きな問題とされない場合があります。たまたま高価な部品が壊れたり、ハーネスを付けずに転がり落ちた転落死だったり。他機種では地上で「脚が溝に嵌った」「格納庫の壁にぶつけた」という、うっかり事故でクラスA相当の大損害を出したケース(でも住民被害には繋がらない)もあります。ましてや軽微な事故とされるクラスC事故では、住民被害に繋がる事故例は殆ど有りませんでした。それなのに事故状況を全く説明せずに伝える報道には、違和感を感じざるを得ません。
19時00分 | 固定リンク | Comment (421) | オスプレイ |
2012年08月25日
2012年4月11日に起きたMV-22オスプレイのモロッコでの墜落事故最終報告書が米国防総省の公式サイトで発表されました。

[PDF]Command Investigation into the Facts and Circumstances Surrounding the Class "A" Mishap Involving the MV-22B Crash That Occurred Near Cap DRA'A Morocco On 11 April 2012

事故の主要因はパイロットの操縦マニュアル違反で、3つあります。

・追い風の中に入って転換飛行に入った。
・機首下げ姿勢を直さず転換飛行に入った。
・速度不足のまま転換飛行に入った。

どれも操縦マニュアル違反ですが、最も重大で決定的だったのは速度不足です。

93. At the moment transition of the nacelles begins, the aircraft data recorder calculated KCAS at 5 knots and thrust was calculated at 86 percent.

エンジンナセルを傾ける転換飛行を始めた時に、事故機はKCAS(対気速度)で僅か5ノットの状態でした。操縦マニュアルには転換飛行を始めるには40ノット以上が必要と記載されており、速度不足は明白でした。

VTOL/CONV Mode Conversion Protection

オスプレイ操縦マニュアルの「VTOL/CONV Mode Conversion Protection」の表では、ナセルの角度を75度より倒す場合は対気速度で40ノット以上でなければならない事が明記されています。しかしモロッコでの事故機は対気速度5ノットの状態でナセル角度を87度から71度へ倒そうとしていました。しかも操縦マニュアルでは転換飛行の際は機体を水平にするよう指示されてるのに、5〜10度の機首下げ姿勢のまま転換飛行に入っています。つまりナセル角度は実質77度の状態から転換飛行に入ったに等しく、転換を始めて直ぐ図の薄ピンク色の危険領域に入ってしまったものと思われます。

この「パイロットが回転翼を傾けた際、十分な前進速度に達していなかった」という速度不足が最も大きな事故原因であったことは、記者会見で説明を行った海兵隊のシュミドル中将が「前進スピードを確保するまで、回転翼を上向きで維持していれば事故は起きなかった」と明言していることからも分かるでしょう。パイロットは3つのミスを犯しましたが、速度さえ十分に出ていれば他の2つのミスは帳消しに出来ていた筈なのです。

VTOL Mode and Hover Low Speed Flight Airspeed Limits

また、操縦マニュアルの「VTOL Mode and Hover Low Speed Flight Airspeed Limits」という円形の図では、ヘリコプター(VTOL)モードでのホバリング低速時の対気速度の制限が記されていますが、モロッコの事故機はホバーターン終了時に後方から15〜27ノットの追い風を受けていたので、AVOIDゾーン(回避領域)に入っていました。事故機のパイロットは離陸時から風の強さを把握できておらず、回避すべき領域に飛び込み、禁止された操作を行って墜落した事になります。現場が管制施設のある航空基地ならば、気象ドップラーレーダーなどの情報から風速や風向きを伝える事が出来たので、事故は回避出来ていたかもしれません。普天間基地の離着陸ならば同種の事故は起き難いと言えます。それ以外の空域ではパイロット自身が十分に注意する必要があります。

なお航空事故は統計上、7割が操縦ミスに起因するそうです。

[PDF] 2011.03.28日本HEM-Netシンポジウム報告書 ドクターヘリの安全を考える スライド5より

故に操縦ミスによる事故がちょっと続いたからというだけでは、欠陥機と断じる事は出来ません。
06時30分 | 固定リンク | Comment (150) | オスプレイ |
2012年08月09日
オスプレイの事故率は現時点で、海兵隊型MV-22が10万飛行時間あたりクラスA事故2件弱であり、海兵隊平均事故率約2.5を下回ります。一方で空軍型CV-22が約13件と極端に悪い数字となっています。MV-22とCV-22の違いはCV-22に地形追従レーダーが付いているくらいで、機体構造は殆ど同じです。両者の違いは任務にあり、CV-22は戦闘捜索救難と特殊部隊の輸送任務を担う特殊作戦機です。

参考としてCV-22オスプレイと同じ特殊作戦任務を行っていた前任機、MH-53ペイブロウの事故率の表です。

MH-53ペイブロウ事故率

ペイブロウは2008年に全機退役しました。クラスAの生涯事故率7.51、最後の10年間で12.34。非常に高い数字となっています。ペイブロウは海兵隊で使っているCH-53Dシースタリオンと基本的に同じで特殊作戦用の装備を付けています。基本構造は変わりません。なお海兵隊のCH-53Dの事故率は以前にも紹介した表の通りですが、

MH-53ペイブロウの最後の5年間(FY04〜FY08)の事故率 7.40, 同期間のCH-53Dは 4.65
MH-53ペイブロウの最後の10年間(FY99〜FY08)の事故率 12.34, 同期間のCH-53Dは 4.75

空軍特殊作戦軍団のMH-53ペイブロウは海兵隊のCH-53Dシースタリオンより事故率が高くなっています。機体そのものは基本的に同じである以上、MH-53ペイブロウが特殊作戦任務を行う運用上の差という事になります。ベテランパイロットが集められる特殊作戦ヘリコプターですが、それを上回る過酷な任務と猛訓練が課せられているという事なのでしょう。つまりオスプレイも空軍特殊作戦型のCV-22の方が海兵隊型MV-22より事故率が高くなるのも同様の事で、CV-22とMV-22の事故率を分けて考えるのは妥当だと思われます。

CV22事故率

MH-53ペイブロウはアフガニスタンで戦争が始まって以降に事故が多発しているのが見て取れます。実戦任務中の事故や訓練の強化が始まった事が原因だと推定出来ます。FY05はクラスA事故こそゼロ件ですがクラスB事故が5件と多いのですが、FY06にCV-22オスプレイが投入され始めて以降、MH-53ペイブロウの事故率が改善していきます。これは後継機であるオスプレイにバトンタッチしてペイブロウは引退が始まったからだと考えられます。ペイブロウは2008年に全機引退を終え、翌2009年からオスプレイ空軍特殊作戦型は本格的な実戦投入が始まります。空軍特殊作戦軍団はこの経緯と事故件数の推移を把握している為、CV-22の高い事故率を問題と思っておらず、特殊作戦用ならペイブロウを含めてこんなものだと認識しているでしょう。

なお特殊作戦機の事故が多いのは激しい訓練と過酷な任務によるもので、事故現場は演習場と戦場に集中します。基地への離着陸や単なる移動での事故は少なく、通常飛行に限った場合は一般機と事故率に大きな差はありません。CV-22とMV-22の基本構造は同一で、事故率の差異は運用の違いから来るものである以上、同じ運用条件ならば安全性に違いはないのです。
02時49分 | 固定リンク | Comment (268) | オスプレイ |
2010年4月8日にアフガニスタンでアメリカ空軍のCV-22オスプレイが夜間着陸中に墜落した事故は、予備調査段階ではブラウンアウト(砂漠地帯でヘリコプターが巻き上げた砂埃で視界が失われる現象)が疑われていましたが、その後の調査で原因がはっきりとせず、空軍側と事故調査委員長との見解が対立する事態となりました。ブラックボックスは破損、操縦士は死亡、副操縦士は記憶喪失で事故の完全究明は出来ませんでした。空軍側は操縦ミスが主要因だと主張し、事故調査委員長ドナルド・ハーベル准将(当時)は「エンジンが砂埃を吸い込んで故障し出力低下した事」が主要因だと主張しています。


産経新聞:オスプレイ墜落事故 米元事故調委員長インタビュー「空軍から圧力あった」 (2/2ページ)
 −−アフガニスタンでの墜落事故については

 「事故調内部で、原因をめぐって大変な議論となった。私は今でもエンジンの故障の可能性が高いと信じている。ただ、100%エンジン故障だと断定するには至らなかった。報告書作成の際、空軍内部からさまざまな圧力がかかった。機体の故障と断定すれば、配備の見直しや導入の責任問題が生じるからだ」

 −−日本への配備についてどうみる

 「沖縄県など受け入れ自治体が反対しているのは知っている。過去の(試験飛行段階での)事故が機体の故障によるものだったからだと思うが、改良を重ねた現在は他のどのヘリコプターよりも安全だ。イラクやアフガニスタンでは、離着陸の際に砂漠の砂や土埃でエンジンが傷むケースがあったが、普天間飛行場は滑走路がコンクリートなので問題ない。ただ、操縦が難しいのは事実。パイロットは十分な訓練が必要だ」




 ドナルド・ハーベル退役空軍准将 米ニューメキシコ州出身。1976年、陸軍士官学校卒。80年、空軍安全調査研究学校卒。C130輸送機パイロットなどを経て空軍准将。2010年4月、アフガニスタンで起きたオスプレイ墜落事故の事故調査委員長。同年11月に退役。現在デルタ航空パイロット。57歳。


ハーベル氏の懸念は「砂漠地帯のアフガニスタンで砂埃や土埃をエンジンが吸い込んで故障し出力が低下した事」なので、普天間基地の滑走路のコンクリート上では発生しないのでこの件では心配要らないというものです。湿度の高い沖縄では乾燥した砂漠地帯のような土埃は発生しませんし、アフガニスタンのように標高の高い高地ではヘリコプターのホバリング能力が低下して少しの出力低下が命取りになるのですが、これも標高の低い沖縄では心配しなくていい要素です。


アフガニスタンの土埃 - Youtube

仮に2010年のアフガンの事故がハーベル氏の言うとおりだとしても、日本での運用では問題が無く、それはハーベル氏自身が述べています。なおハーベル氏は今年起きたモロッコとフロリダの事故については、パイロットの操縦ミスという軍側の見解を支持しています。(前述の産経新聞記事1ページ目


[PDF]2010年アフガニスタンCV-22オスプレイ墜落事故報告書(英語):アメリカ空軍特殊作戦軍団
01時54分 | 固定リンク | Comment (70) | オスプレイ |
2012年07月13日
V-22 オスプレイ (世界の名機シリーズ)V-22 オスプレイ (世界の名機シリーズ)

ムック
出版社: イカロス出版 (2012/7/13)
言語 日本語
ISBN-10: 4863206143
ISBN-13: 978-4863206144
発売日: 2012/7/13
Amazonで詳しく見る
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イカロス出版よりV-22オスプレイの本が出ます。オスプレイ単独での特集本は日本でこれが始めてなので、今注目のオスプレイを知る為に最適な一冊となるでしょう。イカロス出版から現在発売中のJ-Wings2012年8月号でもオスプレイの記事が載っていて、その内容は興味深いものでした。このムックも期待が持てると思います。誤解される事の多いオスプレイに付いてもっとよく知ってもらう為に、多くの人に読んで見て欲しいです。

【7月25日追記】
なおムック執筆陣の一人、坪田敦史氏が御自身のブログで補足説明をされていますので、こちらもご覧下さい。→ 別冊 『V-22オスプレイ』 発売中:SKY MONOLOGUE


【10月14日追記】
V-22オスプレイ 増補版 (世界の名機シリーズ)V-22オスプレイ 増補版 (世界の名機シリーズ)

ムック
出版社: イカロス出版 (2012/10/13)
言語 日本語
ISBN-10: 4863206496
ISBN-13: 978-4863206496
発売日: 2012/10/13

Amazonで詳しく見る
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僅か3ヶ月後に増補改打ち版が出る事になったそうです。
08時30分 | 固定リンク | Comment (484) | オスプレイ |
2012年07月11日
これはオスプレイ試作5号機の事故映像です。21年前の1991年6月11日、オスプレイ初めての大事故にして映像に記録された唯一のものです。機体は左右に揺れながら離陸して傾き、横転し大破しています。奇跡的に死亡者も重傷者も出ていません。そして事故原因は操縦系統のロールレイト・ジャイロの配線が逆に接続されていた整備ミスと判明しています。

つまりこの事故は機体の欠陥でもないしパイロットの操作ミスでもありません。


V22 CRASH - Youtube

V-22 Osprey Losses | GlobalSecurity
http://www.globalsecurity.org/military/systems/aircraft/v-22-losses.htm
11 June 1991 -- An Osprey crashed three minutes into its maiden demonstration flight at a Boeing helicopter flight test center in Wilmington, DE. There were no serious injuries in the crash, which was blamed on gyro wiring problems. Two crew members safely ejected, and the aircraft was badly damaged the accident.

同様の操縦系統の配線を逆に接続した整備ミスは、航空自衛隊のF-2戦闘機でも発生しています。

事故原因は配線ミス F2墜落炎上で防衛省:共同通信(2007/11/15)
http://www.47news.jp/CN/200711/CN2007111501000463.html

このオスプレイの事故映像はテレビで報道される事も多いのですが、事故原因が整備ミスである事に言及して紹介されておらず、大きな誤解が産まれてしまっています。操縦系統の3つあるジャイロのうち2つが逆に繋がっていたら飛んだ直後に挙動が無茶苦茶になってしまうのは、どのような飛行機でもそうなってしまうでしょう。この事故映像はオスプレイが危険である事の証左にはなり得ません。この事故映像を事故原因の説明無しに報じる事は視聴者をミスリードする事になり、報道の倫理に反する行為ではないでしょうか。
06時45分 | 固定リンク | Comment (198) | オスプレイ |
日本の報道では「オスプレイは未亡人製造機と呼ばれている」と紹介される事があります。確かに開発段階で事故が多発していた頃はアメリカでそう言われていました。しかし今、何処の誰がそう呼んでいるのでしょうか。実はアメリカではオスプレイの事はもう未亡人製造機とは呼ばれていません。今年オスプレイが配備されるイギリスも同様です。

アメリカやイギリスでは航空ショーでV-22オスプレイがデモ飛行を披露しています。ニューヨークのマンハッタン上空やロンドンのテムズ川の上空といった都心の市街地も飛んでいます。ですがそれを騒いで非難するような報道は見受けられません。反対する市民運動も起きていません。それどころか一般市民は体験搭乗でオスプレイに乗っています。


V-22 New York Manhattan - Youtube


Cleveland locals hitch a ride in Marine Ospreys - Youtube


Bell Boeing MV-22B Osprey RIAT 2012 - Youtube


Farnborough Air Show 2012 MV-22 Osprey (Sun) - Youtube

アメリカで毎年開かれるフリートウィーク・ニューヨーク、マリーンウィーク。先週末のイギリスのRIAT航空ショーでもオスプレイは姿を見せました。そして今週始まったファーンボロ航空ショーにも。6年前のRIAT参加の際はロンドン上空にも姿を見せました。 (ビッグベンの上を飛ぶオスプレイ) 今年もロンドン上空を飛んだそうです。(大観覧車ロンドンアイ横を飛ぶオスプレイ)

なおイギリスではミルデンホール基地へアメリカ空軍のCV-22オスプレイが配備される予定ですが(来年の春を予定)、このように反対運動は起こっておらず、オスプレイについて英と日本では全く空気が違っています。
00時57分 | 固定リンク | Comment (360) | オスプレイ |
V-22オスプレイはオートローテーションが不完全にしか出来ず、FAA(連邦航空局)がヘリコプターに求める基準をクリアしていないという指摘があります。しかしFAAはそもそもオスプレイのようなティルトローター機を「パワードリフト(Powered lift)」というカテゴリーに分類しているので、ヘリコプターの基準は当て嵌まりません。またオスプレイはFAAの形式証明を取得していない初の軍用輸送機と紹介される事もありますが、元々オスプレイは民間市場に売り出す計画が無かったので、戦闘機と同様に形式証明は取っていません。民間市場にはオスプレイの兄弟機であるアグスタウェストランドAW609(旧称;BA609)が投入される予定で、2015年を目標にFAAの形式証明を取得する予定です。


AW609 - Youtube

AW609はベル・ヘリコプターとアグスタウェストランドの共同開発でBA609と呼ばれていましたが、アグスタウェストランドが権利を全て買い取りAW609と改称しました。ベルが持っていたV-22オスプレイの技術を元に小型化したティルトローター機です。このAW609がFAAの形式証明を取得するという事は、オスプレイと同種の航空機が市街地の上空を飛んでよいというお墨付きを得る事になります。

FAAはパワードリフトのカテゴリーについてまだ明確な基準を定めていませんが、ティルトローターに対してオートローテーションを要求しないか条件を回転翼機より緩和する方向で対応した措置が取られる事になります。AW609がFAAの形式証明を取得した時、オートローテーションが出来ない機体は民間では飛ぶ事が出来ないという主張は言えなくなるでしょう。

オスプレイやAW609のようなティルトローター機は両エンジンが主翼を通してシャフトで繋がっていて、エンジンが片方だけでもローターは両方回せます。両エンジン同時停止という事態が非常に稀で可能性は低い上に、ティルトローター機は飛行の大部分が固定翼機モードで行われるので、ヘリコプターモードの最中に両エンジンが止まる可能性は更に低くなります。また垂直離着陸戦闘機のハリアーは物理的に回転翼が無いのでオートローテーションは当然出来ませんが、その事で欠陥扱いはされません。JAXAが研究・提案している「クラスターファンVTOL機」「空飛ぶクルマ」がもし実用化された場合はパワードリフト機に分類されるでしょうが、これもオートローテーションは出来ません。パワードリフトとはそういうものという扱いになるでしょう。

また、オスプレイのようなティルトローター機は固定翼機モードのまま着陸を試みようとするとローターが地面を叩いてしまいます。その為、滑走しながら接地する前にエンジンナセルを斜めに傾けてローターが地面に接地しないように持ち上げます。エンジンナセルが動かせない場合、水平のまま着陸を試みる場合でも、

PDF "V-22 Osprey Guidebook." Naval Air Systems Command, United States Navy, 2011/2012, p. 63.
http://www.bellhelicopter.com/MungoBlobs/919/124/EN_V-22_GuideBook.pdf
The proprotors are designed to fray or“broomstraw” rather than splinter on impact with the ground.
(プロップローターは地面に当たった場合には、破片になるよりも、磨り減るか藁箒(broomstraw)のように裂けます。)

オスプレイのローターは破片が飛び散り難いように設計されています。

【追記】オスプレイムック執筆陣の一人、坪田敦史氏が御自身のブログでオートローテーションについて補足説明をされていますので、こちらもご覧下さい。→ 別冊 『V-22オスプレイ』 発売中:SKY MONOLOGUE
00時43分 | 固定リンク | Comment (41) | オスプレイ |
V-22オスプレイの起こす下方への風圧(ダウンウォッシュ)が強いから問題だと言われる事があります。確かにオスプレイはCH-46よりもダウンウォッシュは強いのですが、CH-53Eと同程度です。風圧の問題はどの機種のヘリコプターでも起こりえます。

 
Libyan chinook blows away a tent - Youtube V-22 Osprey Takes Down Tree - Youtube

陸上自衛隊で広く使われているCH-47チヌークは、2005年のスマトラ沖地震の救援の際、空き地に着陸した際に民家の屋根を吹き飛ばし木を倒し現地民間人の負傷者を出しています。

陸自ヘリの風圧で2人けが・スマトラ島で医療支援:日本経済新聞(2005年2月3日)

 インドネシア・スマトラ島西海岸のトゥノムで、2日午前9時半(日本時間同11時半)ごろ、医療支援に 訪れた陸上自衛隊の大型輸送ヘリ(CH47JA)が空き地に着陸した際、回転翼が起こす強風で近くの民家の屋根を損壊した。現地の陸自によると、地元の子供が首を負傷したほか、倒れた木で1人が腰を打った。


またオスプレイは垂直離着陸時にエンジン排気が下を向くので排気熱の影響が懸念されていますが、排気デフレクタという装置で排気方向を横にする事が出来るので、発火などの懸念は極めて低いという説明が為されています。

osprey_exhaust_deflector.jpg
00時07分 | 固定リンク | Comment (56) | オスプレイ |
2012年07月10日
2012年10月に普天間基地への配備される予定のアメリカ海兵隊のオスプレイですが、4月11日にモロッコでMV-22(オスプレイ海兵隊仕様)が墜落、6月13日にフロリダでCV-22(オスプレイ空軍仕様)が墜落するという事態になりました。

モロッコで発生したMV−22事故について:防衛省
http://www.mod.go.jp/j/approach/anpo/20120626a.html

フロリダで発生したCV−22事故について:防衛省
http://www.mod.go.jp/j/approach/anpo/20120626b.html

事故が2回続いた事で安全性を懸念する声が出るのは仕方がないですが、問題となるのは事故の内容次第です。事故が2回起きたというだけなら、日本の海上自衛隊のSH-60J対潜ヘリコプターも今年の2月8日に横転大破、4月15日に墜落と重大事故が連続していますが、パイロットの操縦ミスが原因であり、機体の欠陥などではないとされています。オスプレイについても現時点では機体の問題は発見されておらず、パイロットの操縦ミスの可能性が高いとされています。

Marines Peg 'Bad Flying' As Cause of April V-22 Crash in Morocco - AOL Defense
http://defense.aol.com/2012/07/09/marines-peg-bad-flying-as-cause-of-april-v-22-crash-in-morocco/

AFSOC Osprey Pilot's Crash Was His Second In CV-22s; Was Copilot First Time - AOL Defense
http://defense.aol.com/2012/06/22/afsoc-osprey-pilots-crash-was-his-second-in-cv-22s-was-copilot/

詳細な事故報告書は8月になるのでまだ断定は出来ませんが、アメリカの報道で伝わっている事故の解説記事にはこうあります。

◯モロッコの事故は経験の浅い操縦士が機体の速度が遅いまま転換飛行を試みる操縦マニュアル違反を犯し、機首下げ状態で追い風の中、失速した。

◯フロリダの事故は前方の僚機との距離が近過ぎた事で僚機の出す乱流に巻き込まれた可能性があり、操縦マニュアル(ヘリコプター形態では250フィート離れる)に違反していたかもしれない。操縦士はベテランだがアフガニスタンでCV-22が墜落した2010年の事故機の副操縦士であり、2度目の事故だった。

モロッコでのMV-22の事故は根本的に機体の速度が出ていなかった事が主要因ではないでしょうか。フロリダでのCV-22の事故はまだ判明していない点も多いのですが、僚機との距離が近過ぎたとなれば操縦マニュアルの規定違反となるでしょう。

この二つの事故を入れたオスプレイの実戦配備以後の事故件数は、MV-22がクラスA事故2件(うち墜落1回)、CV-22がクラスA事故3件(うち墜落2回)、計5件です。総飛行時間についてはMV-22が11万5千時間、CV-22が2,2266時間(2012年6月15日時点)で、MV-22とCV-22を合わせて約13万7千飛行時間です。ここからオスプレイの事故率は10万飛行時間あたり約3.65件となります。最近10年の軍用ヘリコプターの事故率の平均が10万飛行時間あたり2〜3件なので、若干悪い程度です。MV-22単独では2件未満で平均以下となります。

ただし「特殊作戦用CV-22オスプレイとMH-53ペイブロウの事故率」から、特殊戦型のCV-22は通常輸送型のMV-22と分けて集計するのが妥当と思われます。

1964_2010.JPG

この表は海兵隊の主要ヘリコプター、H-46(CH-46)やCH-53(D型は双発、E型は三発)、垂直離着陸戦闘機AV-8Bハリアーの1964年から2010年までの事故率です。全体的に配備直後から暫くは事故が多い傾向が見て取れます。CH-46は配備初期に機体構造の不具合と戦場での酷使(ただし撃墜はカウントされない)のせいで事故が多発し、2010年までの生涯事故率5.74とかなり悪い数字になっています。ただし2000年代の10年間は事故率1件台と大幅な改善が見られますが、これは飛行時間の減少、つまり前線から引き上げられ退役が始まったことと歩調を合わせています。退役が始まる前の1990年代の10年間は事故率3件台です。CH-46は製造から40年以上経過した機体が出始め、これ以上使い続けようとすれば事故率はU字曲線状に上昇を始めてしまうので、その前に交代させている途中です。またCH-53Dは事故率が配備初期より改善するも、最近10年で事故率4件台とオスプレイより悪く、今年で全機退役しています。


【関連記事】
(2012/08/09)特殊作戦用CV-22オスプレイとMH-53ペイブロウの事故率
(2012/08/25)モロッコのオスプレイ事故原因は操縦ミス、転換飛行時僅か5ノット
(2012/09/16)フロリダのCV-22オスプレイ事故原因は後方乱気流
(2012/09/22)防衛省資料よりオスプレイ事故率データ決定版
23時39分 | 固定リンク | Comment (66) | オスプレイ |
2010年10月28日
アメリカ海兵隊は米ノースカロライナ州ニューリバー基地に日本の報道陣を招き、MV-22オスプレイを公開しました。


海兵隊は、今回報道陣をオスプレイに搭乗させたうえで、イラクやアフガニスタンで、すでに使っているほか、オバマ大統領も乗っていることなどを説明し、安全性に問題はないと強調しました。さらに、住宅街の上空などを飛行しているものの「住民からは騒音の苦情が出ていない」と説明したほか、部隊の司令官も「離着陸時の騒音は、従来の中型ヘリコプターと変わらない。飛行中はむしろ非常に静かだ」とアピールしました。

普天間配備の最新鋭機を公開:NHK


海兵隊の説明にある「飛行中はむしろ非常に静か」という理由は、「従来機よりも6倍静かです」で説明した通り、ティルトローター機であるオスプレイは転換飛行を行いヘリコプター形態から巡航形態になると、ヘリコプター特有のブレードスラップ騒音が消え去るためです。それは環境アセスメントで数値として出ています。

オバマ大統領も乗っているのはこの通りですし(正確には大統領に就任する直前の時期)、オスプレイ配備基地周辺で反対運動が起きていないのは、米南部ニューリバー基地だけでなく米西部ミラマー基地の地元紙の報道でも分かります。

日本では元朝日新聞記者の田岡俊次氏が新聞、TV、週刊誌、軍事雑誌等で、オスプレイは騒音が激しいと間違った説明(田岡氏の主張の根拠はエンジン出力のみの比較で、肝心の騒音の大半を占めるブレードスラップ騒音の言及が無かった)を繰り返していましたが、それは完全に間違いですので、注意して下さい。

あと日本テレビはオスプレイ機内の騒音を測って「こんなに煩い!」とやってましたが、それは何の意味もありません。住民が聞く機外の騒音で測らないと意味が無いです。そして従来機のCH-46ヘリコプターと比較しないといけない筈です。

オスプレイは騒音が従来機より静かである、そろそろマスコミはこの事を認めて下さい。安全面でも老朽化が著しいCH-46を使い続ける方が危険です。騒音対策でも安全対策でもオスプレイ配備で状況は改善されるのです。
21時02分 | 固定リンク | Comment (175) | オスプレイ |
2010年10月19日
MV-22オスプレイはアメリカ本土では配備が始まっており、カリフォルニア州サンディエゴにあるミラマー基地にも配備されています。ミラマーはアメリカ本土の基地としては珍しく住宅街が近いのですが、サンディエゴ地元紙の報道を見る限り、住民の反対運動は起こっていない模様で、それらしい記事は見つかりませんでした。海兵隊は自信を深めているようです。


"I think you'll see this airplane has an enviable safety record. Particularly in the last few years," argues Lt. Col. Boorstein. "It compares favorably to every other airplane out there."
(「私は貴方がオスプレイにはうらやましい安全記録があるのを見ると思います。特に過去数年間に。」と、ブーアスティン中佐が主張します。 「それは他のあらゆる航空機に勝るとも劣らないです。」)

Capt. Mike Murray said, "I think it is tremendous. I think the people of San Diego are going to appreciate it. It's certainly a quieter airframe. It's going to fly at higher altitudes. Hopefully we will get few noise complaints.
(マイク・マレイ大尉は言いました 。「私は、オスプレイは物凄いと思います。私はサンディエゴの人々がオスプレイを正しく評価する事になると思います。オスプレイは確かにより静かな機体です。より高い高度で飛べます。上手くすれば、我々は殆ど騒音不満を受ける事が無いでしょう。」)

V-22 Osprey Stationed at MCAS-Miramar | San Diego 6 News
(ミラマー海兵隊航空基地に配備されるV-22オスプレイ:サンディエゴ6)


騒音面でマレイ大尉が「V-22オスプレイはとても静かだ」と自信を込めて言っているのは、以前別の地元紙で「従来機よりも6倍静かです」とルブラン中佐が豪語した根拠となる環境アセスメントに裏打ちされたものです。

安全面でブーアスティン中佐が言いたい事は「V-22オスプレイは2005年からの配備から5年(実戦参加は2007年から3年)で事故で失われたのは1機だけ」という事実です。その失われた1機である空軍型のCV-22の事故原因は機体の欠陥では無くブラウンアウトによるパイロットの操縦ミスという中間報告が出ており、今のところ問題化していません。ブラウンアウト現象はローター風圧で粒子の細かい乾いた土埃を巻き上げて視界が失われてしまう、ヘリコプターではよくある事故原因ですが、当然舗装された滑走路では発生しません。

最近の新型機で言えば、例えばアメリカ空軍のF-22ラプター戦闘機、フランスのラファール戦闘機、欧州共同開発のユーロファイター戦闘機、いずれも配備以降1回、墜落事故を起こしています。開発中に2回墜落したスウェーデンのグリペン戦闘機は配備後に墜落はありません。

ヘリコプターではイギリス海軍のAW-101マーリンHM.1が配備開始から5年後の2004年に、コーンウォール州カルドローズ海軍基地で墜落し機体は大破(BBCの報道、画像付き)、この際にテイルローターハブの構造欠陥が判明し、改善が施されています。他にも配備後に3回事故を起こしており、2007年にはイギリス空軍のマーリンHC.3がアイルランドのゴールウェイ航空ショーで、離陸直後にドアが外れて落下し観客が3人負傷という事故(Youtube動画)を起こしています。

このAW101マーリンはV-22オスプレイと同世代のヘリコプターで、配備前の開発段階で重大な死亡事故を起こしている点は共通で、配備後はむしろマーリンの方が機械トラブルが多い感じも受けますが、あまり問題にされていません。マーリンは日本では既に警視庁と海上自衛隊で採用済みですが、配備反対の声は聞いた事もありません。

ミラマー基地周辺でも、オスプレイの配備に反対し抗議する動きは見られません。マスコミが取り上げないだけで何処かで声を挙げているのかも知れませんが、もはやアメリカではオスプレイは「開発中は事故が多かったが配備後は普通で特に問題は無い」という認識が大勢であり、危険だとは思われていないのでしょう。
01時44分 | 固定リンク | Comment (136) | オスプレイ |
2010年08月19日
尖閣諸島に関する共同通信の報道に対して、アメリカ政府が説明を行いました。


米国:国務次官補「尖閣諸島は日米安保対象」 - 毎日新聞
 【ワシントン草野和彦】中国が領有権を主張する沖縄県の尖閣諸島について、クローリー米国務次官補(広報担当)は16日の記者会見で、過去の米政権同様、日米安全保障条約の適用対象になるとの認識を改めて示した。

 次官補は「尖閣諸島の領有権についての米国の立場は示さない」とする一方、(1)尖閣諸島は日本の施政下にある(2)安保条約5条は日本の施政下にある領域に適用される−−と指摘。その上で、「条約が尖閣諸島に適用されるかと問われれば、そうだ」と語った。

 次官補の発言は、尖閣諸島を巡る共同通信の報道に関するもの。報道は、オバマ政権が中国に配慮してブッシュ前政権の政策を変更し、安保条約の適用対象と直接的に言及しないことにしたという内容だった。


日本政府は以下の説明を行いました。


外務省「尖閣は日米安保の適用対象」:産経新聞
 外務省の児玉和夫報道官は18日の記者会見で、日本固有の領土である尖閣諸島(沖縄県石垣市)について、日米安全保障条約の適用対象との見解を強調した。児玉氏は「米政府から(安保条約適用の)方針変更が伝達されたことはない」と強調した。尖閣諸島が他国から攻撃された場合について児玉氏は「日米一緒に対応するのも当然だろう」と述べた。

 尖閣諸島をめぐっては中国と台湾が領有権を主張している。共同通信などが、オバマ政権が尖閣諸島を安保条約の適用対象とする直接的な言及を控え、対外的には間接的な言い回しにとどめる方針を決めた−と報じていたが、児玉氏の発言はこれを明確に否定したものだ。


そして宣言した以上はその意思を実力を持って示す必要があります。


自衛隊が離島奪還訓練、南西諸島想定し12月:読売新聞
 防衛省が今年12月、新たに策定した沖縄・南西諸島の防衛警備計画に基づき、陸海空自衛隊による初の本格的な離島奪回訓練を、大分・日出生台演習場などで実施することが、18日、明らかになった。

 東シナ海における中国海軍の勢力拡大をけん制するのが狙いとみられる。訓練は日米共同統合演習の一環として行われ、米海軍第7艦隊が支援する。


訓練は大分県の日出生台演習場のほか、沖縄の訓練海域も使って行われます。現状の情報ではまだ分かりませんが、米軍の訓練参加艦艇に強襲揚陸艦が居る場合は、在沖縄の米海兵隊も同乗する事になるでしょう。日本自衛隊は西部方面普通科連隊(離島防衛用逆上陸部隊。実質上は特殊部隊)を中心に陸海空の部隊が参加します。

アメリカ政府は尖閣諸島を日米安全保障条約の適用対象であると示し、日米は合同で離島奪還訓練を行います。つまりそれは尖閣諸島の奪還訓練を意味します。仮想敵国は必ずそう受け取ります。

アメリカのクローリー国務次官補は「領土問題についての立場は示さないが、日本の施政下にある尖閣諸島は安全保障条約の適用対象である」という表現を使いました。これはアメリカの基本政策として「同盟国の領土問題に介入しない」というものがあるので、こういった表現にならざるを得ないのです。同盟国(及び準同盟国)が勝手に仕掛けた領土紛争にアメリカが巻き込まれる事を避ける為です。例えば2年前のグルジア戦争の様な巻き込まれ方は避けなければなりません。結局アメリカとNATOは積極介入は行わず、勝手にロシア相手に仕掛けたグルジアを見捨てています。一方、尖閣諸島の場合は既に日本の施政下にあるので、日本から勝手に仕掛ける事は有り得ません。
21時19分 | 固定リンク | Comment (510) | オスプレイ |
2010年07月03日
在沖縄海兵隊キャンプ瑞慶覧バトラーにある第1海兵航空団司令部のグアム移転が無くなり、沖縄に残る事になりました。これはかなり重要な決定です。


海兵隊司令部の一部沖縄残留、同規模部隊グアムへ - 読売新聞
【ワシントン=小川聡】日米両政府が米軍再編実施に向けて2006年5月に合意した「再編実施のための日米ロードマップ(行程表)」のうち、沖縄に駐留する米海兵隊約8000人のグアム移転について、米側が移転部隊の構成を見直す、と日本政府に伝えてきたことが1日、わかった。複数の日米関係筋が明らかにした。

グアムに移転予定だった司令部の一部を沖縄に残し、同規模の戦闘部隊を代わりにグアムに移す内容で、不透明さを増している朝鮮半島情勢や中国の動向への即応性を高める狙いがある。

行程表では、沖縄からグアムに移転する対象は、司令部や後方支援機能の部隊とするとしていた。しかし、司令部機能すべてをグアムに移転すると、運用に支障が生じる恐れがあるとの見方が米政府内で強まったという。

米軍に近い日米関係筋によると、米側が今回まとめた見直しの素案の柱は、ヘリコプター部隊などを指揮する「第1海兵航空団司令部」を沖縄に残すというものだ。その代わり、同規模の歩兵部隊をグアムに移転する。この歩兵部隊は、海兵隊が海外展開する際に組織される「海兵空陸任務部隊(MAGTF)」には含まれない部隊だという。

米側は、戦闘部隊が移転すれば沖縄での訓練が減るほか、事件や事故の可能性も減るとし、地元の負担軽減につながるとしている。


前線基地である沖縄に航空司令部が残るという事は、隷下の航空部隊(普天間基地のヘリコプター部隊)も沖縄から動く事は有り得ません。危険の多い前線に司令部が残るのに、実戦部隊だけ後方に下がる事は有り得ないからです。これは宜野湾市の伊波洋一市長や民主党の川内博史議員が唱えていた「海兵隊ヘリコプター部隊は全てグアムに移転する予定」という主張と全く逆の動きである事が分かります。

(2010/04/20)宜野湾市・伊波洋一市長の「沖縄の海兵隊は全てグアムに移転する」という妄想プレゼンテーション

4月20日に書いた記事が、より補強された事になります。アメリカは前線基地である沖縄を放棄するような真似はする気はありません。グアムの安全を確保する為にも沖縄は重要な存在だからです。これまで「沖縄はもぬけの空になる」と言っていた人や「中国からの攻撃が恐ろしいからグアムに下がらせるんだ」と言っていた人は間違っていました。彼らの主張の根拠であった宜野湾市の伊波洋一市長の説明が間違っていたのです。・・・ここまではいいでしょうか。理解されたでしょうか。


海兵隊グアム移転計画見直し。ヘリコプター部隊等を指揮する第1海兵航空団司令部を沖縄に残すという米側の方針転換は、ヘリ部隊はグアムに移転するという伊波市長や議懇(川内博史会長)の指摘が正しかったことを証明した。とにかく議論の為の情報公開が先決。日米密約は厳禁。 #futenmaless than a minute ago via web


      ィ";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙t,
     彡;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ
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     t;;;;;;;リ~`゙ヾ、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ノ    i,;;;;;;!
     ゙i,;;;;t    ヾ-‐''"~´_,,.ィ"゙  ヾ;;f^!   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     ト.;;;;;》  =ニー-彡ニ''"~´,,...,,.  レ')l. < おまえは何を言っているんだ
     t゙ヾ;l   __,, .. ,,_   ,.テ:ro=r''"゙ !.f'l.   \____________
      ヽ.ヽ ー=rtσフ= ;  ('"^'=''′  リノ  
    ,,.. -‐ゝ.>、 `゙゙゙゙´ ,'  ヽ   . : :! /
 ~´ : : : : : `ヽ:.    ,rf :. . :.: j 、 . : : ト、.、
 : : : : : : : : : : ヽ、  /. .゙ー:、_,.r'゙: :ヽ. : :/ ヽ\、 
  :f: r: : : : : : : : !丶  r-、=一=''チ^  ,/   !:: : :`丶、_
  : /: : : : : : : : :! ヽ、  ゙ ''' ''¨´  /   ,i: : : l!: : : : :`ヽ、
 〃: :j: : : : : : : ゙i   `ヽ、..,,__,, :ィ"::   ,ノ:: : : : : : : : : : : :\
 ノ: : : : : : : : : : :丶   : : ::::::::: : : :   /: : : : : : : : : : : : : : : :\

「沖縄に残す」という話なのに、どうして逆の理解になってるんですか、頭は大丈夫ですか?
23時35分 | 固定リンク | Comment (460) | オスプレイ |
2010年06月23日
今回はかなり驚きました。


普天間問題:「ヘリ空母」に訓練移転案…鳩山前首相明かす - 毎日新聞
米軍普天間飛行場(沖縄県)移設問題で、鳩山由紀夫前首相が米海兵隊訓練の県外移転案として、海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦「ひゅうが」(基準排水量1万3950トン、全長197メートル、横須賀基地所属)を活用する洋上訓練案を検討していたことが分かった。前首相が毎日新聞に明らかにした。沖縄の負担軽減策として日米両政府が合意した全国への訓練分散移転の一環。ただ、防衛省が難色を示し、実現のめどはたっていない。

5月28日に発表された日米共同声明では、移設先を沖縄県の「キャンプ・シュワブ辺野古崎地区・水域」とし、訓練移転について(1)県外移転の拡充(2)日本本土の自衛隊施設・区域の活用(3)国外移転の検討−−を明記した。

「ひゅうが」は海自最大の護衛艦で「ヘリ空母」型。ヘリ3機を同時運用でき、約10機を搭載できる。日米合同演習にも参加している。鳩山氏は「3艦から4艦あれば(ヘリが)40機くらい積める。日米の共同訓練もできる。案は消えていない。引き継いでもらいたい」と強調した。洋上訓練による騒音緩和の利点もある。

鳩山氏は防衛省に検討を指示し、5月28日に記者会見で発表することも考えた、という。しかし、普天間の海兵隊航空部隊は県内駐留の陸上部隊と訓練しており、防衛省は航空部隊のみの洋上訓練に慎重。北沢俊美防衛相は毎日新聞の取材に「鳩山前首相から指示はまったく受けていない」と否定している。


何故私が驚いたかというと、実は「この報道内容に近い情報を事前に知っていた」からです。しかし私は懐疑的でした。けれどもそれが本当にソースが付いて出て来た以上、私が聞いていたのは信憑性のある情報源だったと認めるしかありませんでした。ただし、私が聞いた内容はこの報道内容と細部で異なっていました。その点について書こうと思います。

先ず、この計画は鳩山首相退陣後も消えておらず、引き継ごうとする流れが確かにあるようです。この計画はあくまで辺野古に新基地を建設する方針が前提で、訓練の分散移転に海上自衛隊のヘリコプター護衛艦(以下DDHとする)を使おうというものです。普天間基地の移設先にDDHを使おうという案ではありません。米海軍の強襲揚陸艦エセックスが佐世保のドックに修理や点検の為に入梁中の間、米海兵隊ヘリコプターの洋上飛行訓練を海上自衛隊がDDHを提供して行うというものです。

最大の問題点は以下の部分です。



鳩山氏は「3艦から4艦あれば(ヘリが)40機くらい積める。日米の共同訓練もできる。案は消えていない。引き継いでもらいたい」と強調した。


強襲揚陸艦エセックスの航空機搭載数は約40機です。これより小さな海上自衛隊のDDHでこれだけの機体数を収容する為には、鳩山前首相の言う通り3〜4隻が必要です。海上自衛隊のDDHの定数は4隻です。近い将来に海上自衛隊はDDH「ひゅうが」型2隻と建造予定の「22DDH」及び同型艦1隻の合計4隻のヘリコプター空母を保有する予定です。つまり米海兵隊の訓練の為に海上自衛隊のDDHの殆どを提供せねばならず、その間に何も出来なくなってしまい、日本の国防に穴が開いてしまいます。そんな事は出来る筈がありません。しかも軍艦というものは常に洋上で作戦行動できるものでは無く、補給や休養、修理や点検のために港に居る期間は長く、4隻が常に揃って使える保証は無いのです。鳩山前首相はこれらの解決策を述べていません。そこで・・・

※拡大型DDHを新規で2隻追加建造、海上自衛隊DDH6隻体制へ。

DDH「ひゅうが」型(基準排水量13950トン)、「22DDH」(基準排水量19500トン)を更に上回る拡大型DDHを追加2隻建造し、海上自衛隊DDH6隻体制にすれば、米海兵隊の訓練に何隻か引き抜いても日本の国防に穴は開きません。22DDHより大型のDDHを追加することで強襲揚陸艦エセックスの代替に必要な隻数が減りますし、全部で6隻あればローテーションが組めます。この提案に海上自衛隊内部の艦隊派は大きく喜び、計画を後押ししようと動き出している・・・という話を聞きました。これが毎日新聞の報道には無かった部分です。

私はこれを最初聞いた時に信じませんでした。物語であると思いました。とても追加予算が確保できるとは思えず、米海兵隊の訓練提供目的と格好を付けて海上自衛隊の戦力を増やすような真似が通るとも思えず、艦船乗組員や搭載機の新規確保ができるとも思えず、与太話であると・・・しかし、鳩山前首相自身の口から、計画の一部が白日の元に曝け出されました。現実として、これで無視できる情報ではなくなりました。この計画はまだ生きています。
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2010年06月20日
アメリカの政策に強い影響力を持ち、駐日大使の候補にもなった事がある、ハーバード大学のジョセフ・ナイ教授が毎日新聞のインタビューに答えました。


新安保50年:「米軍駐留、日本防衛に不可欠」…ナイ教授 - 毎日新聞
19日で新日米安保条約が自然承認されて50年となることを受け、クリントン米政権の国防次官補などを務めた知日派のジョセフ・ナイ米ハーバード大教授が毎日新聞と単独会見し、日米同盟の将来像などについて語った。ナイ氏は、「米軍地上部隊の日本駐留が拡大抑止に不可欠」と、海兵隊などの在日米軍が日本防衛に果たす意義を強調。一方で、将来、東アジアの安全保障環境が激変した場合、米軍駐留については日本国民が決めるべきだとの認識を示した。【ワシントン古本陽荘】

有事にのみ米軍が駐留する「常時駐留なき安保」論に対しては、「駐留抜きでも同盟関係を維持することはできるが、部隊が日本にいない状態で攻撃され、米国が日本を守るとの保障をどうやって担保できるのか」と疑問を呈した。

さらに「アフガニスタンなどに派遣され、在日米軍は海外で多くの時間を過ごしているが、それでも日本で訓練をしていることが米国による日本防衛を保障している」と強調した。

今後50年の同盟関係のあり方については、「50年後を想像することはきわめて難しいが、北朝鮮がなくなり、中国が民主化して友好的な国家となった場合、在日米軍の必要性は減じる」と明言。その後の駐留については「日本国民が自らの安全保障についてどのように考えるか次第だ。日本が必要ないと言えば、米国は部隊を駐留したいとは思わないだろう」と語った。

ただ、「自主防衛を選択した場合、国内総生産(GDP)比1%では不可能」と指摘し、大幅な防衛費の増加は免れないとの考えを示した。

また、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題をめぐり、日米関係がぎくしゃくしたことについては、「困難な時期だったが、学習の時期だった。両国が日米同盟の重要性について再認識し、この時期を経て同盟関係は弱くなるどころか、強化されたと考えている」と述べた。


ジョセフ・ナイ教授の主張を要約解説すると以下の通りになります。

●「米軍地上部隊の日本駐留が拡大抑止に不可欠」⇒在沖海兵隊は抑止力であり、国外への後退は有り得ない。

※米軍地上部隊で日本に駐留するのは殆どが在沖海兵隊です。ナイ教授は国外移転を完全に否定しつつ、県外移転には含みを持たせています。ただしナイ教授は政治学が専門で、軍隊の戦術上の要求については専門外なので、この点については割引いて考える必要があるでしょう。

※拡大抑止(Extended Deterrence)」とは簡単に言えば「同盟国に対する攻撃は我が国への攻撃と見なす」という宣言により、敵国が同盟国への攻撃を躊躇する効果の事です。⇒(2009/07/04)「拡大抑止」と「核の傘」はイコールではない

●「駐留抜きでも同盟関係を維持することはできるが、部隊が日本にいない状態で攻撃され、米国が日本を守るとの保障をどうやって担保できるのか」⇒基地を米国に提供しないなら、代わりに「米国が攻撃されたら日本は米国の味方として自動参戦する」という約束を担保にしなければならない。即ち集団安全保障集団的自衛権に基づく相互防衛条約である。

※同盟とはお互いにメリットが無ければ結ぶ意味がありません。「貴方には何も提供しないが困った時だけ助けてくれ」などという幼児的な要求は、国際社会どころか対人関係レベルでも対等なものとして通用しません。

●「日本で訓練をしていることが米国による日本防衛を保障している」⇒在日米軍への攻撃は明らかに米国への攻撃である。

※拡大抑止の「同盟国に対する攻撃は我が国への攻撃と見なす」という宣言をより確実にする事ができます。

●「北朝鮮がなくなり、中国が民主化して友好的な国家となった場合、在日米軍の必要性は減じる」⇒北朝鮮が滅び中国共産党が倒れない限り在日米軍の駐留は必要である。

※朝鮮半島問題と台湾海峡問題が解決しない限り、在日米軍の撤退は有り得ません。

日米同盟を解消し自主防衛に走るならば、大幅な防衛予算増が必要となるのは誰にでも分かる話ですし、最後の「両国が日米同盟の重要性について再認識し…」というのは、日本の新政権が日米同盟を重視した現実路線を打ち出した事を表しています。
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2010年05月25日
「抑止力」についてですが、これは「相手が躊躇する力」というものであるので、相手がどう思っているかが全てです。我々が友軍戦力をどう認識していようと、その抑止力の発揮には何ら関係がありません。つまり相手(仮想敵国)が脅威に思っているなら、それで沖縄の米海兵隊が抑止力であると証明する事が出来ます。

現在、我々の仮想敵国は北朝鮮と中国です。嘗てはソ連が第一仮想敵国とされていましたが、ソ連崩壊後のロシアはまだ力を回復しておらず、今の所は仮想敵国から外れています。残るは北朝鮮と中国ですが、北朝鮮は情報そのものが少な過ぎて、海兵隊に付いて彼らがどう思っているかは簡単な類推は出来ても具体的な分析までは出来ません。そこで中国の見解を参考にする事にします。中国が沖縄の米海兵隊に付いてどう思っているのか、それを調べて分析していきます。

先ず最初に、この「相手国の意図を分析する」という作業は、中国自身がとても得意としているものであることを理解して下さい。当ブログで普天間基地問題の関連記事では何度か中国の識者の見解を紹介しています。昨年12月の段階で中国の識者4人の見解を紹介しました。それは以下のようになります。(ただし日経新聞の方は元記事が消えており、リンクを貼っていません)

普天間問題と日米同盟の行方、中国専門家による分析―中国紙 - レコードチャイナ 2009年12月22日
 ・梁雲祥教授 「沖縄県西南部への前進配備」
 ・洪源事務局長 「国外移設は有り得ない」
「普天間、日米同盟への影響は限定的」 中国軍関係者ら - 日経新聞 2009年12月23日
 ・江新鳳研究員 「現行案(辺野古)で解決するのではないか」
 ・于鉄軍教授 「日米同盟を安全保障政策の礎にする日本の方針は揺るがない」

なんと誰一人として「沖縄県外」「日本国外」への基地移転を予想しておりません。沖縄県内で決着する、むしろ西方へ前進配備してくるという意見すらあります。中国の分析能力はとても高く、侮れない実力を持っている事が分かります。特に江新鳳研究員の予測は現在の状況を完璧に言い当てています。昨年12月の段階で現行案回帰となる辺野古移転を予想していた者は日本の識者では誰も居らず、江新鳳研究員の優秀性が際立っています。今回は江新鳳研究員を着目してみる事にします。

.江新鳳氏って、どのような立場の人ですか?

.中国人民解放軍の最高学術機関、軍事科学院の研究員で陸軍上級大佐です。所属は世界軍事研究部亜太研究室。亜太とはアジア太平洋の意味です。

江新鳳上級大佐は中国でも権威のある研究者である事が分かります。上級大佐とは中国人民解放軍の「大校」という階級の日本語訳です。日本で言う大佐は「上校」と呼称します。我々には馴染みの無い階級ですが、上級大佐が他国に訪問すれば准将と同等に扱われます。ただしかし、中国国防大学戦略研究所の朱成虎少将のように、階級が高くても極端な意見の持ち主は居ます。そこで江新鳳上級大佐の人物像について調べてみましょう。日本防衛省の防衛研究所では日中防衛研究交流を行っており、昨年12月7日から8日の2日間にわたって中国国防大学、中国軍事科学院との間で防衛研究交流を実施しています。その中に江新鳳上級大佐の姿がありました。


[PDF]防衛研究所ニュース 2010年1月号“NIDS NEWS”- 日本防衛省
翌8日には江新鳳陸軍上級大佐(中国軍事科学院世界軍事研究部亜太研究室研究員)が、「新たな脅威・多様な事態」への対処を自衛隊が重要な任務の1つに設定し、その実際の活動や実効性を高めるためにとっている様々な措置について、分析結果を発表しました。 江大佐は、災害派遣やPKO活動における自衛隊の実績と経験を高く評価し、これらの分野で中国人民解放軍と自衛隊が経験したことを紹介し合い、共同して研究を深めていくことが、両国にとり利益になると指摘しました。


これを見る限り、江新鳳上級大佐は謙虚で聡明な人物である事が読み取れます。そして普天間基地移設問題を早い段階から的確に予測していたその実績を踏まえると、とても優秀な研究員である事が分かります。その江新鳳上級大佐が今年2月に以下のような見解を述べています。この2月の時点で普天間問題について江新鳳上級大佐は「5月までに結論が出る」としており、先送りは無い事を予見して、またしても的確な分析が為されています。そして今回特に注目する部分は次の段落のこれです。


普天間基地、下地島に移設されれば中国に影響 - 中国網 2010年2月3日
「移設先は3つの案がある」

記者:日本が5月までに移設の承諾を履行する場合、どの案に基づき移設するか。

江新鳳氏:現在、移設先として3つの案が出されている。一つ目は原案通りで、沖縄県内の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部に移設するという案。二つ目は海外への移転で、これは社民党が主張している。三つ目は沖縄県内で移設先を決定するという案で、現時点では下地島に決まる可能性が最も高い。

下地島は一般住民がおらず、米軍側も同意する可能性が高い。下地島は台湾まで400キロメートルと比較的近いため、中国への影響も大きい。最終的にどの案に決まるのか、私たちは引き続き観察する。


江新鳳上級大佐は持論を変更し、2月の時点で「下地島への移転になる可能性が高い」と述べています。現行案は地元住民の抵抗が強く頓挫するのではないか、しかし米軍の後退は有り得ないから、グアムや徳之島など問題外であり、西方への前進配備となる下地島への移転となるのではないかという分析です。これは北京大学国際関係学院の梁雲祥教授の意見と同じです。

(2009/12/23)中国側の予想「普天間基地移設先は沖縄西南部への前進配備となるだろう」

つまりこれは中国では主流の意見なのだと言えます。中国の識者は「自分がもしアメリカの立場だったら」という思考方法で分析を行い、「海兵隊の後退は有り得ない、むしろ前進してくる可能性が高い」と判断しています。そして中国の識者がこのように分析している事こそが、海兵隊の抑止力の存在を明確に証明していると言えます。

>下地島は台湾まで400キロメートルと比較的近いため、中国への影響も大きい。
>最終的にどの案に決まるのか、私たちは引き続き観察する。


アメリカ海兵隊が台湾に向けて前進して来ると、中国への影響が大きくなる・・・これが「抑止力」の存在を証明しています。仮想敵国である彼ら自身が認めています。『海兵隊には中国に与える影響力がある』と。この影響力こそが抑止力なのです。

最初に述べたように、「抑止力とは相手を躊躇させる力の事であり、相手がどう思っているかが全て」です。我々がどう思っているかなど無関係に抑止力は発揮されます。相手である中国が明らかに警戒している以上、沖縄のアメリカ海兵隊には抑止力がある、と言う事が出来ます。
23時38分 | 固定リンク | Comment (689) | オスプレイ |