このカテゴリ「ミサイル防衛」の記事一覧です。(全137件、20件毎表示)

2015年04月02日
イスラエルとアメリカが共同開発している弾道ミサイル防衛システム「ダビデスリング」の迎撃試験が成功しました。このミサイルはダビデスリング/スタンナー/マジックワンドという三つの別々の名前を持ち、さらにイスラエル本国ではヘブライ語で「シャルビットクサミーム」と呼ばれ、これは英語でマジックワンド(魔法の杖)の意味です。

צפו: ניסוי מוצלח של מערכת "שרביט קסמים"


ניסוי "שרביט קסמים"

ただこの動画の冒頭の静止画像の部分のみ画像のアスペクト比がおかしくて、実際より太短く見えてしまってますね・・・以前にも同じような事があったような。

dvi1.png

ダヴィデスリング迎撃試験に初成功:週刊オブイェクト(2012年11月27日)

ダヴィデスリング/マジックワンド/スタンナー

なにやってるんでしょう、イスラエル航空宇宙軍。
21時45分 | 固定リンク | Comment (37) | ミサイル防衛 |

2014年06月23日
アメリカミサイル防衛局は22日、本土防衛用対弾道ミサイル迎撃システムの地上配備迎撃ミサイル「GBI」に搭載される大気圏外迎撃弾頭を改良、新設計した「EKV-CE2」の迎撃試験を行い、成功させました。

14-NEWS-0005 June 22, 2014 - Missile Defense Agency
Target Missile Intercepted Over the Pacific Ocean During Missile Defense Exercise

20140622

マーシャル諸島クェジェリン環礁にあるレーガン射撃試験場から発射された中距離弾道ミサイル標的は、前方展開されたイージス駆逐艦「ホッパー」が追跡。更に海上配備Xバンドレーダーが追跡を継続し、標的発射から6分後にカリフォルニア州にあるヴァンデンバーグ空軍基地から迎撃ミサイルGBIを発射。ミサイルは順調に飛行し、新設計された第二世代の大気圏外迎撃体「EKV-CE2」が目標に命中、破壊しました。

迎撃方法は「ローンチ・オン・リモートとエンゲージ・オン・リモート」で紹介したリモート射撃によります。今回のGBIの実験で詳しい説明はまだリリースされていませんが、エンゲージ・オン・リモートで射撃していると思われます。

GBIはこれまで迎撃試験が失敗続きで、「EKV-CE2」弾頭の設計をやり直しての試験はこれが初めてでした。もし失敗していれば去年決定されたGBIの追加配備計画に大きく影響するところでしたが、今回の迎撃試験成功で関門はクリアされた事になります。また最近ではカナダがアメリカの弾道ミサイル防衛網に参加するかどうか再考しており、これにも影響を与える事になりそうです。


2014 FTG-06b
12時47分 | 固定リンク | Comment (26) | ミサイル防衛 |
2014年05月22日
欧州のルーマニアに2015年から配備する予定の弾道ミサイル防衛システム「イージス・アショア(地上型イージス)」の試験がハワイのカウアイ島で始まりました。ハワイ時間5月20日に、カウアイ島の地上に設置されたイージス・システムから弾道ミサイル迎撃用のSM-3ブロック1B迎撃ミサイルが発射されています。今回の試験は迎撃ミサイルの発射だけで、標的を撃墜する試験ではありませんでした。

Standard Missile Completes First Test Launch from Aegis Ashore Test Site - Missile Defense Agency

イージスアショア
※米ミサイル防衛局より、カウアイ島に設置されたイージスアショア


2014 AegisAshore CTV 01

赤外線映像では3つの光点が映っていますが、それぞれ第二段ロケット、第三段ロケット、キネティック弾頭だと思われます。

イージスアショア

発射の様子で少し気になったのは、ランチャーを傾けてミサイルを発射している点です。イージスアショアのランチャーは艦船用のVLS(垂直発射ランチャー)がベースで、本来は真上に発射します。

イージスアショア

しかしカウアイ島に設置されたイージスアショアのランチャーは、発射角度をある程度自由に設定できる機構が備わっていました。

以下は1年前にUPされたロッキード・マーティン公式のイージスアショアCG動画です。このCG動画はカウアイ島に設置されたイージス・アショアの設置状況をシミュレートしています。CG動画の最後のランチャーからの射撃の様子でも、斜めに傾けて発射されています。


Aegis Ashore

なぜ傾けているのか公式説明は見当たらなかったのですが、傾けて発射することでミサイルが何らかの不具合で誘導できずそのまま落ちてきた場合でも、安全に海に落とす事を狙っているのかもしれません。艦船の場合だと自走で移動しているので真上に発射したミサイルが落ちて来ても自艦に当たることはありませんが、地上設置で垂直発射だと不具合が起きればそのまま落ちて来てぶつかってしまう可能性があります。
19時46分 | 固定リンク | Comment (112) | ミサイル防衛 |
2014年04月29日
4月27日にインド国営の国防開発機構(DRDO)で開発中の弾道ミサイル迎撃システム、大気圏外迎撃ミサイル「PDV(プリトビ・ディフェンス・ビークル)」の試験が行われ成功しました。名前から分かる通り「PAD(プリトビ・エアー・ディフェンス)」の改良型です。つまり大元は短距離弾道ミサイル「プリトビ」から発展したもので、迎撃ミサイルとしては異例に太短いものになっています。(加速性能は細長い方が良い)

[PDF]Maiden Launch of PDV interceptor - DRDO


New Indian interceptor missile Prithvi Defence Vehicle (PDV) tested

PADは原形のプリトビと形状は殆んど変わりがありませんでしたが、PDVは安定翼と操舵翼の装備位置や形状が変更されています。

プリトビ・ディフェンス・ビークルとプリトビ・エアー・ディフェンス

試験は標的ミサイルの射程が2000km、迎撃高度120km、終末誘導方式は赤外線シーカーで行ったと発表されています。PDVはPADを置き換えるもので、能力的には射程5000km級の中距離弾道ミサイルを迎撃する事を目標に置いています。つまり念頭にあるのはパキスタンの核ミサイルだけでなく、中国の核ミサイルを迎撃できるシステムの構築です。

しかしこの迎撃ミサイルには見た目の形状からして疑問が湧きます。元々、プリトビ短距離弾道ミサイルはソ連の地対空ミサイル「SA2ガイドライン」の推進システムを参考にして作られたと言われおり、それが元の地対空ミサイルに戻っただけというにしても、太短くした形状をそのままで迎撃ミサイルにするという不合理な事をしているように思えます。これは実用的な兵器というよりは試験用あるいは間に合わせの兵器のように見えますが、しかしインド当局の発表ではPDVが実戦配備されたら射程5000km級の中距離弾道ミサイルと交戦可能と謳われています。

本来のインドの弾道ミサイル防衛計画は開発を終えたフェイズ1(射程2000km級の弾道ミサイル迎撃、AAD迎撃ミサイルとPAD迎撃ミサイル)の次にフェイズ2(射程5000km級の弾道ミサイル迎撃)として迎撃ミサイル「AD-1/AD-2」というものが開発されている筈でした。AD-1とAD-2はアメリカのTHAAD迎撃ミサイルを二段式にしたような形状で、細長く迎撃ミサイルらしい予想図が発表されています。しかしこの迎撃ミサイルに付いては殆んど情報が出ていません。AD-1とAD-2の開発の目途が全く立っていない為に仕方なくプリトビがベースの間に合わせ的なPADやPDVの開発を行っているのか、それともPADやPDVは実験用で入念なテストを行ってからAD-1とAD-2の開発に移行するのか。しかしインド当局からはPADやPDVが実戦配備用の迎撃ミサイルであるという説明があるばかりです。

私の個人的な見解ですが、PADやPDVは試験用の兵器で、実戦配備用としての大気圏外迎撃ミサイルの本命はAD-1およびAD-2であると思います。インドが対外宣伝用にPADやPDVの計画を誇大に発表している疑いが、どうにも拭いきれません。
01時58分 | 固定リンク | Comment (33) | ミサイル防衛 |
2014年03月26日
3月26日未明、北朝鮮がノドン弾道ミサイル2発を発射しました。移動式発射台が用いられ、西海岸に近い粛川(スクチョン)から朝鮮半島を東に横断して日本海に着弾しています。

北朝鮮 日本海に向けノドン発射か:NHK
米韓 「発射台の移動段階から把握」:NHK

平安南道(ピョンアンナムド)粛川(スクチョン)

ノドン弾道ミサイルは最大射程1300kmと推定されていますが、今回の飛行距離は半分の650kmだったとされています。韓国政府の金報道官は「高度が160km以上であり最高速度もマッハ7以上だった」「軌跡を見てノドンと判断した」と述べています。低い弾道で発射されたと推定されています。

정부 "北 노동미사일 발사, 안보리 결의 위반" - 연합뉴스

これまでノドンの試射は東海岸から行われており、今回の西海岸側からの発射は初めてとなります。移動発射台により何処からでも撃てることが実証されました。今回は米韓は移動発射台の動きを事前に掴んでいましたが、最近の北朝鮮は短距離弾道ミサイルや大型ロケット弾を連日のように発射しており、警戒レベルが上がっていたために発見しやすかった面があります。
23時23分 | 固定リンク | Comment (41) | ミサイル防衛 |
中国が開発している対艦弾道ミサイルDF-21Dは目標が動き回る空母であるので、地上の固定目標に対する命中精度とは別の命中精度が要求されます。原形のDF-21の地上固定目標への半数必中界(CEP)を論じてもあまり意味はありません。

・散布界・・・最も近い弾着点と最も遠い弾着点の距離。
・半数必中界・・・発射された弾の半数が入る弾着中心の距離。公算誤差ともいう。

散布界と半数必中界は似ていますが計算のやり方が異なります。同じ大砲でも散布界の方が半数必中界より大きくなります。第二次世界大戦までの戦艦の砲撃では散布界を用いて比較することが多く、弾道ミサイルの着弾では半数必中界を用いる場合が多くなります。

【散布界の大小】
散布界
※概念図と違い、実際の大砲やロケット弾の散布界は縦長になる。

大砲やロケット弾は散布界の小さい方が精度が高く優秀とされます。目標を散布界の中に捉えていれば、命中率が高くなるのは小さな散布界の方であることは図を見ても一目瞭然です。しかしそれは目標を散布界の中に捉えていることが条件です。変針を繰り返して逃げ回る艦艇を相手にした場合、小さな散布界では捉えきれない場合があり、そうなると命中する見込みが全く無くなってしまいます。一方、散布界が広ければその中に目標が入る可能性が高くなり、命中する確率は低いけれども有るという事になります。

地上の固定目標を狙う場合は散布界が小さい方が有利ですし、戦艦同士の砲撃戦のように目標の未来位置を予測しやすい場合も散布界が小さい方が有利です。しかし逃げ回る駆逐艦を砲撃する場合は、散布界はむしろ大きい方が命中を期待できる確率が高くなるのです。

それでは弾道ミサイルで空母を狙った場合はどうなるのでしょうか?

【半数必中界】
半数必中界

目標である空母が変針を繰り返していた場合は半数必中界が広い場合が有利で、直進し続けている場合は半数必中界が狭い場合が有利・・・という考え方はしなくてよいと思います。というのも、弾道ミサイルの精度は大砲よりもかなり悪く、移動目標に対して数を撃ってどれかが当たるのを期待するというやり方が出来ません。第二次世界大戦当時の戦艦の遠距離砲撃は数百m×数十mの散布界で、目標への命中率は数%程度であり、何十発何百発と撃ち込んでいくものでした。これに対して現代の弾道ミサイルは半数必中界で数百m、悪いもので数千mになります。散布界に直せばもっと広くなります。その上、大砲ならば着弾まで長くても数十秒ですが、弾道ミサイルでは射程1000km級で着弾まで10分も掛り、その間に目標は大きく移動してしまいます。また弾道ミサイルは大砲の砲弾よりも遥かに高価な貴重品で、一つの目標に何百発と撃ち込むような浪費はとても出来ません。確率的には数千発を用意しないと命中は期待できないでしょう、つまり単なる弾道ミサイルでは移動する空母に当たるわけがなく、対艦弾道ミサイルは弾道ミサイルとしての精度はあまり要求されません。必要なのは中間誘導と大気圏再突入後の目標捜索および終末誘導能力となります。

そして対艦弾道ミサイルのジレンマに「速度が速いと迎撃され難いが、目標捜索と終末誘導が困難になる」「速度を落とせば目標捜索と終末誘導が容易だが、今度は簡単に迎撃されてしまう」という事が挙げられます。前者は高い命中率が期待できず、後者は迎撃網への高い突破率が期待できません。数を増やせば低い命中率や突破率をカバーできますが、高価なのでそれは出来ません。DF-21Dは射程1500kmの準中距離弾道ミサイルと推定され、速度はマッハ10に達します。この速度のまま突入してきた場合に動き回る目標を捕捉して誘導が可能なのかどうか、疑問視されています。
20時45分 | 固定リンク | Comment (185) | ミサイル防衛 |
2014年03月07日
アメリカ国防総省が「北朝鮮の軍事力2013」を議会に提出しました。これは昨年から初めて提出されるようになった年次報告で、今年で二回目になります。

[PDF] Military and Security Developments Involving the Democratic People’s Republic of Korea 2013 - U.S. Depertment of Defense

北朝鮮の軍事力2013
※「北朝鮮の軍事力2013」より

弾道ミサイルの図表にある車載移動式長距離弾道ミサイル「Hwasong-13(火星13)」はこれまでKN-08というコードネームで呼ばれていたミサイルです。火星(ファソン)はこれまで北朝鮮ではスカッド弾道ミサイルなどに命名されてきた名前です。

短距離弾道ミサイル「Toksa」・・・KN-02
中距離弾道ミサイル(IRBM)・・・ムスダン(推定)
長距離弾道ミサイル「TD-2」・・・テポドン2
長距離弾道ミサイル「Hwasong-13」・・・KN-08

昨年の年次報告に引き続きムスダンは固有名が与えられず、ただIRBMと記載されています。KN-02のToksaというのはハングルで독사(トクサ)、毒蛇の意味です。

北朝鮮の軍事力2013
※元資料を和訳(IRBMはムスダンと推定)

注意しなければならないのは、昨年に引き続きこの資料の表はミサイル数ではなくランチャー数が記載されている点です。ランチャー1基あたりのミサイル数は戦術用途の短距離弾道ミサイルならば5本前後は予備弾が用意されています。戦略用途の、つまり核弾頭が前提の長距離弾道ミサイルの場合は予備弾無しでランチャーに乗せている分だけです。ファソン13のミサイル数はランチャー数と同じで、一方でスカッド系が500〜600発、ノドンが200〜300発はあると推定されています。

なお長距離弾道ミサイルの射程5500kmは北朝鮮から発射するとアラスカを射程に捉え始めます。ハワイを狙うには8000km、アメリカ本土西海岸を狙うには1万km必要です。射程5500km以上ということは何処までの射程があるのかまだよく分かっていないということですが、ファソン13が今後試射を繰り返して性能を確かなものとした場合にはアメリカ本土への直接的な脅威となりえるでしょう。

昨年の年次報告解説→「北朝鮮の軍事力2012」
20時21分 | 固定リンク | Comment (66) | ミサイル防衛 |
2014年01月19日
来月2月11日から行われるシンガポール航空ショーで、イスラエルのラファエル社が短距離ロケット弾迎撃レーザー砲「アイアンビーム」を初めて披露します。

RAFAEL at Singapore Air Show 2014
http://www.rafael.co.il/Marketing/195-1951-en/Marketing.aspx
For the First time Rafael will present the new member of Rafael's Air Defense Systems:
• IRON BEAM - High Energy Laser (HEL) based system Against Rockets, Mortar and Airborne Target Attacks

アイアンビームは高出力レーザー砲です。過去にイスラエルはアメリカと戦術高エネルギーレーザー(THEL)を開発して来ましたが、システムが大きすぎて実用化が難航していました。アイアンビームはその問題点をクリアできたのでしょうか、出力を落として小型化を図ったものなのか、それらのスペックが判明するのは来月になります。

それにしてもラファエル社のネーミングはちょっと安直な気がしますね、既存のアイアンドーム迎撃ミサイルでは対応が困難な小さな軌道の目標を迎撃し補完するからアイアンビームという命名らしいです。レーザー兵器アイアンビームは来年には実戦配備する事が出来るという報道もあり、性能が確かならばイスラエルのロケット弾防空網は隙間なく詰められる事になります。

※イスラエル報道ではレーザー兵器アイアンビームはヘブライ語で "קרן ברזל"(ケレンバルゼル)
 קרן(ケレン)は梁のビームではなく光のビームの意味です。


Nautilus Tactical High Energy Laser THEL

※戦術高エネルギーレーザー(THEL)の動画。アイアンビームはこの技術を元にしている(と推定される)。

【関連】
(2012年11月16日)ロケット弾迎撃システム「アイアンドーム」による12発同時迎撃
(2012年11月24日)雲の柱作戦に置けるアイアンドームの任務達成率
23時57分 | 固定リンク | Comment (104) | ミサイル防衛 |
2014年01月05日
イスラエル軍は1月14日に弾道ミサイル防衛システム「アロー」の基地を「ダニエル・イノウエ」と命名する式典を行う予定です。日系アメリカ人で第二次世界大戦での英雄、戦後は長らく議員を務め、2012年12月17日に亡くなられたあのダニエル・イノウエ氏です。イスラエル軍の基地名にイスラエル以外の名前が付くのはこれが初です。 ダニエル・イノウエ - Wikipedia

Israel to name Arrow site after former US senator Daniel Inouye - The Jerusalem Post
The ceremony is scheduled to take place on January 14 at a secret military facility, and Inouye’s wife, Irene, will be the honored special guest of the Defense Ministry.

命名式典にはイノウエ氏の妻アイリーンさんが呼ばれています。どの場所のどの基地かはまだ秘密のようです。エルサレムポストの記事では「アロー・システムはイスラエルの頭脳とアメリカの資金援助で作られたが、イノウエ無しではアメリカからの援助は無かった」という証言が紹介されています。

なお1月3日に大気圏外迎撃システム「アロー3」は2回目の飛行テストに成功しました。昨年の第1回目の飛行テストと同様に、大気圏外まで駆け上がって模擬迎撃弾頭を切り離し、切り離した弾頭側に仕込んでいたカメラから離れて行くミサイル本体の様子が撮影されています。


ניסוי טיסה מוצלח נוסף של מיירט חץ 3


アロー3は2015年に迎撃テストを行う予定で、これに成功すれば2015年後半から2016年前半に実戦配備に就く予定です。

【関連記事】
(2013年02月26日)大気圏外迎撃ミサイル「アロー3」飛行テストで宇宙空間まで到達
(2012年04月23日)アロー3ミサイル防衛システム
20時57分 | 固定リンク | Comment (41) | ミサイル防衛 |
2013年11月21日
イスラエルとアメリカが共同開発している弾道ミサイル防衛システム「ダビデスリング」が2回目の迎撃実験に成功しました。ダビデスリングは長距離ロケット弾や短距離弾道ミサイルを迎撃するよう設計された直撃方式の二段式地対空ミサイルです。

“הושלם ניסוי מוצלח נוסף במערכת ”שרביט קסמים


משרד הביטחון השלים בהצלחה ניסוי יירוט שני של מערכת שרביט קסמים

「ダビデスリング」は3種類の名称があり他に二つ(スタンナー/マジックワンド)あるのですが、イスラエル軍はマジックワンドのヘブライ語「シャルビットクサミーム」と読んでいます。

(2012年11月27日)ダヴィデスリング迎撃試験に初成功
(2012年11月28日)ダヴィデスリング迎撃試験映像(発射から命中まで)

ダビデスリングの開発はイスラエルのラファエル社とアメリカのレイセオン社で行われています。なおレイセオンではダビデスリングのミサイル弾体をパトリオットのシステムで発射するPAAC-4(Patriot Advanced Affordable Capability-4)という形態を提案しています。これはPAC-3より能力は限定されるものの、安価な弾道ミサイル防衛システムを構築する事が出来るというのがセールスポイントです。
20時20分 | 固定リンク | Comment (19) | ミサイル防衛 |
2013年11月09日
MEADS(Medium Extended Air Defense System; 中距離拡大防空システム)が新たにFT-2実験に成功しました。逆方向から飛んで来る異種二目標を同時に撃墜する実験で、標的はランス地対地短距離弾道ミサイルと、もう片方は退役戦闘機を利用したQF-4ファントム無人標的機を使用しています。


MEADS Dual Intercept Flight Test 02

MEADSの特徴としては、使用するミサイル本体はパトリオットPAC-3の改良型「PAC-3MSE」である事です。これは既存のPAC-3を改良して直径を拡大したもので、射程は1.5倍に伸びています。ミサイルは従来型の改良程度ですが、MEADSが注力しているのはレーダーや火器管制、車載方式などシステム全体を新たな設計ですることで、パトリオット・システムと違いレーダーパネルは回転し、今回のFT-2実験のように逆方向からの目標も同時対処が容易です。パトリオット・システムのレーダーは固定パネルなので、全方位に対処するにはレーダー(パトリオットのレーダーは水平方向の捜索範囲が左右45度)を4基設置しないといけませんが、MEADSなら探知は1基で可能です。MEADSのシステム構成は探知以外に火器管制レーダーがあり2基のレーダーが必要ですが、全方向同時交戦能力はパトリオットシステムの半分の数のレーダーで済みます。

しかしMEADSはアメリカ政府の配備予算が付きませんでした。それでも開発元のロッキードは採用を諦めておらず、自国への採用を再度働きかけている他、元々のMEADS計画共同出資国であるドイツやイタリア以外の他国(ポーランドなど)にもMEADSに出資して貰えるようにも働きかけています。MEADSの将来は不透明なままですが、ロッキードは復活できると自信を持っているようです。


MEADS Flight Test #2 Mission Preview

こちらはロッキード公式で実験当日の数日前に公開されたFT-2実験の準備動画。実験の動画より長い約10分となっています。
23時44分 | 固定リンク | Comment (100) | ミサイル防衛 |
2013年10月15日
イージスBMD公式がYouTubeに新たにPV動画をUPしました、FTM-21ステラーニンジャ(Stellar Ninja)とFTM-22ステラーレイヴン(Stellar Raven)を纏めたものです。どちらもイージス巡洋艦レイク・エリーがSM-3ブロック1Bを発射したもので、動画には標的ミサイルの説明も有ります。


Aegis BMD FTM-21 & 22 Combo Quicklook

その動画のコメント欄に日本人が「Why Ninja?(ニンジャナンデ?)」と書き込んだところ、イージスBMD公式が回答しています。

AegisBMD
"To represent a warrior who is proficient in warfare tactics and weapons."

「忍者は戦術や武器に堪能である戦士なのでこれに決めた」

アメリカでは忍者は戦士や魔法使いと同じ扱いになってるんでしょうね。
02時26分 | 固定リンク | Comment (56) | ミサイル防衛 |
2013年10月06日
ハワイ時間10月3日、アメリカ海軍のイージス巡洋艦レイク・エリーが迎撃ミサイルSM-3ブロック1Bを用いて中距離弾道ミサイル標的を迎撃するFTM-22実験に成功しました。イージス巡洋艦レイク・エリーは先月9月18日にもFTM-21実験を成功させたばかりで、9月10日にはイージス駆逐艦ディケーターがFTO-01実験に成功と、僅か一ヶ月間に3回のMD実験を連続して行い全て成功しています。


Aegis BMD Stellar Raven (FTM-22) Flight Mission Success Quicklook

前回のFTM-21実験はステラーニンジャ(星の忍者)でしたが、今回のFTM-22実験はステラーレイヴン(星のワタリガラス)です。前回の衝撃に比べるとごく普通・・・ですね。

ステラーレイブン

(2013/09/28)弾道ミサイル防衛実験FTM-21「星の忍者」に成功
(2013/09/14)SM-3とTHAADによる複数の弾道ミサイル迎撃試験に成功

SM-3およびTHAADはより高度で実戦的な迎撃実験を繰り返し積み上げて、高い信頼性を獲得しています。目標発射時間の秘匿、目標発射位置の秘匿、複数目標への同時対処、単一目標への複数迎撃体誘導、異種ミサイル目標同時対処、中距離弾道ミサイル標的への対処、リモートセンサーからの情報取得、射撃。10年近く前には「そんなこと出来ないだろう、出来てないだろう」と言われていた事が、今では出来る事を実証して見せました。今後は更に複雑な迎撃実験が行われる事になります、開発中のSM-3ブロック2Aのテストが始まれば、エンゲージ・オン・リモート射撃のテストも行われるでしょう。交戦可能距離は1000kmを超える事になります。

(2013/02/16)ローンチ・オン・リモートとエンゲージ・オン・リモート
02時33分 | 固定リンク | Comment (80) | ミサイル防衛 |
2013年09月28日
9月18日にアメリカ海軍はイージス巡洋艦「レイク・エリー」によって迎撃ミサイルSM-3ブロック1Bを用いた弾道ミサイル迎撃実験に成功しました。SM-3では初めて行われた同一目標に2発の迎撃ミサイルを誘導する実験でした。

SM-3ブロック1Bが4連続で弾道ミサイル迎撃試験に成功(JSF) - Y!ニュース


Aegis BMD Stellar Ninja (FTM-21) Flight Mission Success Quicklook

イージスBMD公式は今回の動画から英語の字幕を付けるようになりました。英語の聞き取りが苦手なのでとても助かります。英語圏以外にも内容を理解しやすい配慮なのでしょうか、宣伝動画はとても気合が入っています。

ところで・・・FTM-21実験の名前が Stellar Ninja (星のニンジャ)ってあるのは、どういう事なんでしょうか。ニンジャって日本の忍者ですよね?


NINJASLAYER PV

ニンジャ!? ニンジャナンデ!?

FTM-21NINJA

忍者・・・だなぁ・・・
21時26分 | 固定リンク | Comment (127) | ミサイル防衛 |
2013年09月14日
9月10日に米ミサイル防衛局は中部太平洋マーシャル諸島「ロナルド・レーガン弾道ミサイル防衛試験場」において複数の中距離弾道ミサイルを迎撃する試験「FTO-01」に成功したと発表しました。実験は1年以上前から計画されていたもので中東のシリア情勢に対応するものではないとしています。

Successful Missile Defense Test Against Multiple Targets - Missile Defense Agency


2013 Sept FTO 01 Video

使用した迎撃ミサイルは海上配備型の迎撃ミサイル「SM-3ブロック1A」をイージス艦「ディケーター」から、地上配備型の迎撃ミサイル「THAAD」は車載移動式のシステムをマーシャル諸島の島に配置して試験を行っています。発射された中距離弾道標的ミサイルは2発で、SM-3とTHAADでそれぞれ撃墜に成功。多層防御の状況を模す為にTHAADの迎撃はSM-3が迎撃に失敗したという想定(この実験でイージス艦はTHAADが迎撃する標的をわざと見逃している)で行われています。

米ミサイル防衛局は今回の試験で、2001年から弾道ミサイル迎撃試験は78回中62回成功(通算成功率約8割)としています。
18時07分 | 固定リンク | Comment (114) | ミサイル防衛 |
2013年08月01日
アメリカ軍の日本配備2基目のXバンドレーダーに付いて、配備候補地の自治体である京都府と京丹後市が受け入れを認める事になりました。車載移動式のXバンドレーダー「AN/TPY-2」が京都府京丹後市の航空自衛隊経ケ岬分屯基地(岳山レーダー施設・海沿い庁舎地区)の隣に配備されます。

丹後半島に新米軍施設 ミサイル警戒レーダー配備へ - 朝日新聞

Xバンドレーダー配備計画:電磁波「特に問題ない」 府が意見書公表 /京都 - 毎日新聞

日本配備Xバンドレーダー

もともと、航空自衛隊経ケ岬分屯基地(岳山レーダー施設)には第35警戒隊の固定式大型レーダー「J/FPS-3A」が在ります。これは新たにやって来るアメリカ軍の車載移動式のXバンドレーダー「AN/TPY-2」より大きく出力も高いのです。だからXバンドレーダーの電磁波を気にするのは今さらですし、Xバンドレーダーを配備したら狙われるという懸念も今さら過ぎます。そもそも岳山の周辺は人がほとんど住んでおらず、配備に反対する理由が特に無いので、自治体はあっさり受け入れに同意しています。

※訂正:当初は岳山レーダー施設に配備する事を検討したものの、空き場所が無いということで海岸部の庁舎地区にXバンドレーダー設置する事に。

レーダー施設
[PDF] 近畿中部防衛局 京都府からの質問に対する回答

庁舎施設
※航空自衛隊経ケ岬分屯基地(海沿い庁舎施設)

岳山レーダー施設
※航空自衛隊経ケ岬分屯基地(岳山レーダー施設)
23時47分 | 固定リンク | Comment (75) | ミサイル防衛 |
2013年07月06日
13-NEWS-0006
July 5, 2013
Missile Defense Test Conducted

The Missile Defense Agency, U.S. Air Force 30th Space Wing, Joint Functional Component Command, Integrated Missile Defense (JFCC IMD) and U.S. Northern Command conducted an integrated exercise and flight test today of the Ground-based Midcourse Defense (GMD) element of the nation's Ballistic Missile Defense System. Although a primary objective was the intercept of a long-range ballistic missile target launched from the U.S. Army's Reagan Test Site on Kwajalein Atoll, Republic of the Marshall Islands, an intercept was not achieved. The interceptor missile was launched from Vandenberg AFB, Calif.

Program officials will conduct an extensive review to determine the cause or causes of any anomalies which may have prevented a successful intercept.

DoD Release: http://www.defense.gov/releases/release.aspx?releaseid=16140


5日に行われたアメリカ本土防衛用弾道ミサイル迎撃システムGBI(地上配備迎撃体)の迎撃テスト「FTG-07」は失敗しました。これは「現行型のGBIの性能をもう一度確かめる」という主旨のテストで、使用したGBIは弾頭部分の迎撃体(キルビークル)が現行型CE-I(Capability Enhancement-1)のままでした。開発中の新型迎撃体CE-Uは2010年の迎撃実験「FTG-06」「FTG-06A」と失敗続きで、2013年1月26日に迎撃を伴わない飛行実験「GM CTV-01」を再開しこれに成功していました。当初の計画ではCTV-01で成功していたらCE-Uの開発をそのまま続行、失敗していたらCE-Iの検証からやり直しという予定で、今回の実験ではCE-Uを使用するものと思っていましたが、実験前にCE-Tを使用する事が予告されていました。理由に付いてはアナウンスされていませんが、慎重を期したのかもしれません。しかしそれすら失敗しました。

GBIは迎撃テストが通算で成功率5割を切っており、信頼性を得る事が出来ていません。弾道ミサイル迎撃システムはPAC-3とSM-3はずっと順調で、THAADは初期に失敗続きで設計をやり直した後は一転して成功が続き、GBIはずっと不調のままと明暗が分かれています。

※来年行われる予定のCE-Uを用いた実験が「FTG-06B」で、今回行われたCE-Iによる実験は「FTG-07」でした。ナンバリングが前後していたので訂正します。

"Unclassified Statement of Vice Admiral James D. Syring Director, Missile Defense Agency". United States Senate via MDA.mil. pp. 5–6.
http://www.mda.mil/global/documents/pdf/ps_syring_050913_SASC.PDF
09時54分 | 固定リンク | Comment (107) | ミサイル防衛 |
2013年05月29日
5月15日、アメリカ海軍はハワイ沖でイージス弾道ミサイル防衛システムの第二世代SM-3ブロック1Bによる迎撃実験FTM-19「星のヘカテー」を成功させました。これでブロック1Bの実験は3連続成功となり量産にGoサインが出されています。

以下はアメリカ軍の公式YouTubeアカウントAegisBMDよりFTM-19実験のPV動画です。


Aegis BMD Stellar Hecate (FTM-19) Flight Test Mission Success Quicklook

ヘカテーとはギリシャ神話の女神の事です。

【関連】SM3ブロック1Bの迎撃実験に成功(JSF) - Y!ニュース
23時55分 | 固定リンク | Comment (52) | ミサイル防衛 |
2013年05月05日
アメリカ国防総省が5月2日に初めて提出した「北朝鮮の軍事力2012」年次報告には、北朝鮮の弾道ミサイル戦力に付いて以下のような記述が有ります。

[PDF] Military and Security Developments Involving the Democratic People’s Republic of Korea 2012 - U.S. Depertment of Defense

ランチャー数
※元資料より

ランチャー数
※日本語に翻訳(IRBMはムスダンと認識)

今回の報告書にはミサイル本数の記載は無くランチャー数だけでした。北朝鮮の保有ミサイル数は諸説ありますが、スカッド系が500〜600発、ノドンが200〜300発はあると推定されており、ランチャー1基あたり5〜6発のミサイルが用意されている計算です。比較として、中国軍の短距離弾道ミサイルでは移動式ランチャー×1輌(ミサイル1本搭載)と輸送車両(ミサイル2本搭載)×2輌の組み合わせなので、編成としては妥当な数字です。

・核弾頭ICBMはランチャー数=ミサイル本数
・通常弾頭SRBMはランチャー数<ミサイル本数


一般的に核弾頭ICBM(大陸間弾道ミサイル)はランチャー数とミサイル本数が同じで、通常弾頭SRBM(短距離弾道ミサイル)はランチャー1基あたり数発のミサイルが用意されます。ICBMは全面核戦争用の装備であり継続的な攻撃は求められていません。また地下に穴を掘って建設する固定式の硬化サイロや大型野戦機動トラックを改造して作る移動式ランチャー(TEL)はとても高価です。ミサイル1本当たりに発射機1基を用意するのは価値の高い核弾頭ICBMなら見合いますが、安い通常弾頭SRBMでは費用的に見合わないという面もあります。弾道ミサイルは射程が長く大きなミサイルほど値段が跳ね上がって行きます。

・北朝鮮の弾道ミサイルは殆どが移動式ランチャーでの運用

今回の報告書ではランチャーの種類には触れていませんが、その殆どが車両移動式のTEL(Transporter Erector Launcher 輸送起立発射機)である筈です。北朝鮮は縦深が少ない為、位置が暴露されやすく生存性が低い固定サイロ式発射基は役に立ちません。ただしテポドン2は大き過ぎる為にTELでの運用は無理で、実戦配備する積りなら固定サイロを用意する必要が有ります。テポドン2が実戦配備されるかは未知数で、TELで運用できる新型長距離弾道ミサイルKN-08が本命であるのかもしれませんが、KN-08は情報が無さ過ぎて今回の報告書では具体的な言及は有りません。

※固定サイロ発射式の大陸間弾道ミサイルは世界的に見ても新規開発計画はロシアが計画している新型の液体燃料式重ICBMくらいしか計画が無く、冷戦時代からある古いものが退役していくと殆ど消えてしまいます。

・移動式ランチャーを発射前に狩り切るのは不可能

有事が近付くと北朝鮮の弾道ミサイル部隊は移動式ランチャーと予備弾運搬車両が全て基地から出て全土に散開し、身を潜める事になります。基地は蛻の殻であり攻撃しても無意味です。そして逃げ回る移動式ランチャーを狩る事は著しく困難で、湾岸戦争では失敗に終わっています。砂漠の中で数千機の航空機を投入していた多国籍軍ですら多くを撃ち漏らしました。これが隠蔽しやすい森林と山岳の北朝鮮では更に困難になる事が予想出来ます。森林の多いユーゴ空爆でも航空攻撃で車両を狩り切る事はとても無理でした。

弾道ミサイルの攻撃に対しては発射されてしまったものを弾道ミサイル防衛システムで迎撃する事、発射された後に判明した位置へ攻撃を行い再発射を阻止する事、監視を継続し発見次第攻撃する事で逃げ回る弾道ミサイル部隊は散発的な攻撃をせざるを得なくなり、飽和攻撃の企図を挫き、弾道ミサイル防衛システムの迎撃を容易にさせる事が重要になります。

現在、海上自衛隊とアメリカ第7艦隊のイージス艦が搭載しているSM-3迎撃ミサイルは合計で推定100発近くありますが、北朝鮮のノドン部隊50発射基が3回目の発射を行う頃には足りなくなってしまいます。1〜2回目の発射後の空爆によって数を減らさないと防ぎ切れません。あるいはイージス艦のSM-3搭載数を増やすかハワイやサンディエゴからイージス艦の増援、フォートブリスからTHAAD部隊を送り込むかが必要になって来ます。
02時43分 | 固定リンク | Comment (141) | ミサイル防衛 |
2013年05月03日
イージス艦による弾道ミサイル防衛システム(イージスBMD)は既に複数目標同時撃破を達成済みです。2007年11月6日のFTM-13「ステラーグリフォン」実験でアメリカ海軍のイージス巡洋艦「レイク・エリー」が2発の弾道ミサイル標的を同時に迎撃する事に成功しています。


Aegis BMD (FTM-13) Stellar Gryphon Documentary

The first successful multiple simultaneous engagement involving two short range ballistic missiles.

この実験には日本海上自衛隊のイージス護衛艦「こんごう」も長距離監視と目標追跡の訓練で参加しています。迎撃実験そのものはアメリカ海軍イージス巡洋艦「レイク・エリー」だけで目標を捕捉、2発の迎撃ミサイルSM-3ブロック1Aを発射して2目標同時撃破に成功しています。イージスBMDは他に「弾道ミサイル標的と巡航ミサイル標的の同時迎撃」実験も何度か実施しています。なお、イージスBMDの複数目標同時処理能力が最大で幾つになるかは公表されていない機密事項です。SM-3迎撃ミサイルはSM-2と異なり終末誘導用イルミネーターSPG-62を使用しないので、SM-2の最大同時誘導可能数は参考になりません。SM-3の同時誘導数はSPY-1レーダーのパネル1面あたり最低でも2個以上、恐らくはそれ以上あると思われます。(パネル1面あたり4〜12個を同時誘導可能?)

FTM-13 ステラーグリフォン

以上の事実が有る通り、以下の読売新聞の解説記事は間違っています。

Q.弾道ミサイル攻撃への備えは大丈夫なのですか? - 読売新聞
A.ミサイル防衛(MD)システムの中核は、イージス艦から発射される迎撃ミサイルSM3ですが、能力は極めて高いものの、決して万全ではありません。

 挑発を続ける北朝鮮。

 弾道ミサイルの発射に備え、自衛隊はMDシステムを稼働させ、弾道ミサイルを高高度で迎撃するSM3を搭載したイージス艦2隻を日本海に展開したほか、撃ち漏らした場合に備え、地対空ミサイルPAC3を防衛省などに配備しました。

 こうした態勢について安倍首相は「国民の生命と安全を守るため、万全な態勢を取っている」と説明。自衛隊トップの岩崎統合幕僚長も「いかなる事態にも対応できるように、万全な態勢を取っている」と話しています。責任ある立場の2人から「万全な態勢」と聞けば、国民は安心するでしょう。しかし実際は、かなり危ういと言わざるを得ません。

一度に複数のミサイルを追跡できない

 その理由は、イージス艦のレーダー能力です。北朝鮮は2006年7月、スカッドやノドン、テポドン2などの弾道ミサイルを複数の基地から相次いで発射しました。この時にも指摘されましたが、イージス艦は1発の弾道ミサイルの航跡を追跡し、SM3で迎撃することはできますが、一度に複数のミサイルを追跡することはできません。従って、北朝鮮が、日本が配備したイージス艦の隻数よりも多くのミサイルを、同時もしくは連続して発射すれば、迎撃できないミサイルが日本に着弾する可能性があります。

 (調査研究本部主任研究員 勝股秀通) (2013年4月24日 読売新聞)


読売新聞の記事は全くの事実誤認です。
21時30分 | 固定リンク | Comment (135) | ミサイル防衛 |