このカテゴリ「ミサイル防衛」の記事一覧です。(全137件、20件毎表示)

2012年04月12日
北朝鮮のロケット打ち上げに対応するために自衛隊はイージス艦とPAC3を配備しています。アメリカ軍からも海上配備Xバンドレーダーや各種観測機、イージス艦などが日本周辺に出動しており、その中にハワイのパールハーバーを母港とするイージス駆逐艦オカーンの姿がありました。ちょうど1年前、イージス艦による弾道ミサイル迎撃実験FTM-15「星のカロン」で射程3700km級の中距離弾道ミサイル標的の撃墜に成功し、迎撃ミサイルSM-3ブロック1Aが優秀な性能を持つ事を証明して見せたのがこのオカーンです。現在、中距離弾道ミサイルを撃墜した実績を持つ世界で唯一の艦です。

O'Kane
(2011年4月18日)イージス弾道ミサイル防衛が中距離弾道弾の迎撃実験に成功

イージス艦弾道ミサイル防衛の大気圏外迎撃用ミサイル「SM3ブロック1A」は最大射程1200km、迎撃高度500km、速度4km/sを目標に開発されています。※PDF資料 AEGIS TMD: Implications for Australia 18ページ
"The SM-3 Block 1 missile is being developed to achieve exoatmospheric intercepts of medium to long range ballistic missiles at ranges to 1,200 km and altitudes of 70–500 km. Based on the SM-2 Block 4 design, the SM-3 also employs a third stage dual-pulse rocket motor as well as a fourth stage autonomously manoeuvring 23 kg kinetic warhead to impact the target at a speed in excess of 4 km/s." 

欧州ミサイル防衛の配置場所からも、SM3ブロック1Aと1Bは迎撃高度500kmは上がれると推定できます。イラン西部から射程3000km級の中距離弾道ミサイルを発射するとドイツのベルリンやイタリアのローマに届きますが、ルーマニアの地上配備SM-3や地中海、黒海のイージス艦から迎撃するにはそれだけの能力が必要です。

欧州ミサイル防衛

北朝鮮は今回のロケット発射で人工衛星を高度500kmの地球周回軌道に乗せると発表しています。つまりロケットは正常に飛行した場合でも高度500kmまでしか上がりません。

「衛星、高度500キロを周回」=資源探査にも活用と主張−北朝鮮:時事通信

テポドン2改造ロケット「銀河3号」は、本来2段式ミサイルであるテポドン2の弾頭ペイロードを第3段ロケット+小型人工衛星に置き換えたものです。弾道ミサイルとして弾道軌道を飛ばせば最大到達高度はもっと高く上がれますが、人工衛星を軌道投入する必要上、目的の高度以上に上がる事はありません。

イージス弾道ミサイル防衛は2008年に、制御を失って落下してくる人工衛星NROL-21をイージス艦レイク・エリーのSM3ブロック1Aで撃墜しました。この時は速度17,000mph (7.8km/s)のNROL-21を高度247kmで破壊しています。"DoD Succeeds In Intercepting Non-Functioning Satellite"

能力的にSM-3は正常飛行する銀河3号に届きます。ただし正常飛行する場合は日米のイージス艦は迎撃を行わない方針です。万が一、沖縄方面に落下する場合は韓国の西を飛行中に何らかの不具合が発生した場合です。この場合は済州島の西あたりで弾道頂点を迎える射程1500km級の準中距離弾道ミサイルと類似した軌道になります。不具合が起きた後は弾道ミサイルとして軌道を計算し、領土に落ちてきそうなら迎撃します。なお大気圏外ならば空気抵抗が無いので、不具合発生して以降は再突入するまで複雑な動きはしません。

テポドン

赤い四角は北朝鮮が発表した第1段ロケットと第2段ロケットの落下区域です。ロケットの燃焼はそれぞれの落下区域より前に止まります。第2段ロケットの燃焼途中で不具合が起きた場合、済州島の西あたりで弾道頂点に達し、沖縄周辺に落下してきます。東倉里から沖縄本島まで約1500km、石垣島まで約1700kmです。第2段ロケットに問題無ければ日本周辺には落ちてきません。第3段ロケットは成功すれば衛星と共に軌道に乗ります。なお衛星フェアリング落下区域については北朝鮮から通告がありませんでした。
04時19分 | 固定リンク | Comment (52) | ミサイル防衛 |

2012年04月11日
北朝鮮のロケット発射予告を受け、アメリカ軍は海上配備XバンドレーダーSBX-1を監視に投入する事を決定、ハワイから移動させました。SBX-1は石油採掘リグの上に大型レーダーを搭載したもので、自走も可能ですが、長距離移動の際は重量物運搬船に載せるか外洋曳船で曳航してやる必要があります。

そのSBX-1を曳いて移動する目的でアメリカ海軍海上輸送司令部にチャーターされている外洋曳船DOVEが、4月9日にグアムのアプラ港に入港とあります。AIS(自動船舶識別装置 )の情報からです。

外洋曳船: DOVE
目的地: APRA, GUAM
入港予定日時: 2012-04-09 05:00


image-20120411215949.png

AIS情報はDOVEのもので、SBX-1を実際に曳いて来たかは断定できませんが、DOVEはSBX-1を曳航する目的で海上輸送司令部に所属していること、移動のタイミングからSBX-1を曳航してきた可能性が高いでしょう。DOVEはSBX-1を展開海域まで曳航し、アメリカ海軍の戦闘艦に護衛を任せた後、グアムのアプラ港に入港したものと思われます。
22時07分 | 固定リンク | Comment (27) | ミサイル防衛 |
北朝鮮は2012年4月12日〜16日の期間に人工衛星を打ち上げるロケットを発射すると予告しました。この動きに対し、日本を含む各国(米韓のみならず中露も)は、北朝鮮のロケット発射は国連安保理決議違反であると非難しています。2009年の北朝鮮による核実験後に、国連安保理は北朝鮮に対し「核実験および、弾道ミサイル技術を使ったいかなる発射もしてはならない」と決議した為です。人工衛星を打ち上げる目的の宇宙ロケットであろうと禁止されています。

それを分かりやすく説明した声明文を紹介しておきます。

北朝鮮に「ロケット」発射計画の中止を求める / 日本共産党 志位委員長が声明 / 国連安保理決議を順守し、6カ国協議の共同声明に立ち返れ:しんぶん赤旗

 一、何よりもそれは、2009年6月12日に全会一致で採択された国連安全保障理事会決議1874号に違反するものである。同決議では、09年5月25日に実施された北朝鮮による核実験を強く非難するとともに、「北朝鮮に対し、いかなる核実験または弾道ミサイル技術を使用した発射もこれ以上実施しないことを要求する」と述べている。すなわち、国連安保理決議は、「弾道ミサイル」だけでなく、「弾道ミサイル技術を使用した発射」をこれ以上行わないこと―すなわち、それが「弾道ミサイル」であろうが、その「技術を使用」した「人工衛星」であろうが、これ以上の発射を中止することを強く求めているのである。それは、北朝鮮が、国連安保理決議に違反して2度目の核実験を強行したという深刻な事実を踏まえての国際社会の重い決定である。

 今回の「ロケット」発射について、北朝鮮政府は、「宇宙空間の平和的開発と利用は、国際的に公認されている主権国家の合法的権利」、「衛星の打ち上げは、主権国家の自主権に属する問題」と述べているが、こうした合理化論は通用しない。


この日本共産党声明文は実に端的に「北朝鮮にロケットを打ち上げる権利は無い」という事を説明しています。

北朝鮮は宇宙ロケットを打ち上げる事を国連安保理決議で禁止されています。またロシア外務省は「北朝鮮は宇宙を平和利用する権利を有しているが、ロケットの発射は国連安保理決議違反である」としています。これは北朝鮮は人工衛星を平和利用してもよいがロケットの発射は禁止なので、北朝鮮の衛星は他国が打ち上げてやればよいという考え方です。実際にアメリカは北朝鮮に対し、衛星は中露に打ち上げてもらえばいいと打診しています。北朝鮮側はこれを拒否し、発射を強行する構えです。

日本はロケットを打ち上げてもよいのに北朝鮮が打ち上げてはいけない理由は国連安保理決議の有無です。北朝鮮は核実験を実施した為に制裁を受けて、宇宙ロケットを打ち上げる権利は制限されています。
20時54分 | 固定リンク | Comment (76) | ミサイル防衛 |
2011年10月5日、ハワイのカウアイ島でTHAAD弾道ミサイル防衛システムが2連続発射された弾道ミサイル標的を同時に撃破する実験に成功しました。THAADが複数目標を同時に撃破する事に成功したのはこれが初です。

THAAD Weapon System Achieves Intercept of Two Targets at Pacific Missile Range Facility | Lockheed Martin


TD_2011_FTT-12 - YouTube

この実験で使用された弾道ミサイル標的は、発射地点を自由に選べる空中発射型標的と海上発射型標的の2種類で、発射コースも発射時刻も事前予告されない不意打ちで行われています。空中発射型標的は恐らくイスラエルと共同開発したスパロー標的(まぎらわしいですが空対空ミサイルのスパローとは別物の大型標的ミサイル)で、海上発射型標的は退役したヘリコプター揚陸艦トリポリを発射台にしたものです。

200km以上の防護範囲を持つTHAADシステムは広域防空を可能としており、アメリカ以外ではアラブ首長国連邦に売却が決まっており、サウジアラビアも興味を示しています。
19時33分 | 固定リンク | Comment (30) | ミサイル防衛 |
2011年04月18日
アメリカ軍はイージス艦によるMD実験「FTM-15 星のカロン」で射程3000km以上の中距離弾道ミサイル(LV-2標的)を使用し、迎撃ミサイルSM-3Block1Aによって撃墜する事に成功しました。この実験によりSM-3Block1Aは北朝鮮のノドンの迎撃だけでなくムスダンやテポドン、中国の東風3といった本格的な中距離弾道ミサイルを迎撃可能である事を証明して見せました。そして欧州ミサイル防衛構想の実現(イランが開発中の5000km級中距離弾道ミサイルを迎撃)に向けて最初のステップを踏み出しました。これは開発中のSM-3Block2Aの実験を始める前の準備実験です。

April 15, 2011 Sea-based Missile Defense Flight Test Results in Successful Intercept : Missile Defense Agency


Aegis BMD (FTM-15) Stellar Charon Mission Success

使用された標的ミサイル「LV-2」は退役したトライデントC4水中発射弾道ミサイルの1段目と2段目を再利用したもので、3000〜5500kmの射程を持ちます。マーシャル諸島クェジェリン環礁のメック島にあるロナルド・レーガン弾道ミサイル防衛試験場から発射され、11分後にハワイ西方の海域に居たイージス駆逐艦「オカーン」がSM-3Block1Aを発射、LV-2標的を破壊しました。実験の一部始終は新型早期警戒衛星「STSS」が記録しています。この実験の特筆すべき点は標的ミサイルの射程だけではなく、ウェーク島に前進配備された車載移動式Xバンドレーダー「AN/TPY-2」からのデータをC2BMC(指揮管制戦闘管理通信システム)を介してイージス駆逐艦「オカーン」へと送られた事です。弾道ミサイルは非常に高速なので対処時間が少なく、迎撃には各種センサーからの情報を統合し、可能な限り早期に迎撃態勢を整える事が求められます。システム全体としての完成度が高くなければ幾ら高性能な迎撃ミサイルがあっても機能しません。これこそが最重要点と言えます。

FTM-15推定経路

米ミサイル防衛局はイージス艦の位置や迎撃高度といった詳しい数値は発表しておらず、上の図は推定です。撃墜時のLV-2標的は秒速4km以上、高度は300〜400kmと予想されます。これまでの迎撃実験では高度160〜180kmで行われてきたものが2倍以上となり、3年前に制御不能となり落ちて来る人工衛星を撃墜した時の高度240kmすらも上回っています。遠隔レーダーからの情報はSM-3Block1Aの迎撃能力を著しく高め、「目標をヘッドオンで捉えられたら中距離弾道ミサイルでも撃墜可能」と実証しました。これが開発中のSM-3Block2Aとなるとヘッドオンせずとも横からでも迎撃が可能となり、SM-3Block2Bになると大陸間弾道弾とも交戦が可能となるでしょう。

(2010年02月06日)「ルーマニアSM-3地上型配備から推定できるBlock2の最大射高」

開発中のSM-3Block2Aは最大射高1000km級になると1年前に推定しています。つまり今回の実験でSM-3Block1Aが示した性能の更に2倍以上を目指しています。
18時00分 | 固定リンク | Comment (767) | ミサイル防衛 |
2010年10月31日
ハワイ沖で実施されて来た日本海上自衛隊イージス護衛艦ミサイル防衛システム発射試験JFTM(Japanese Flight Test Mission)はシンボルマークが設定されて来ました。これまで「JFTM-1 キジ」 、「JFTM-2 ハヤブサ」、「JFTM-3 ライチョウ」、そして今回は、「JFTM-4 タカ」です。ミサイル防衛局のYoutubeAegisBMD公式にPV動画がUPされました。



ちなみにアメリカ海軍のイージスMD迎撃試験でも同様のシンボルマークがあり、FTM-13ではグリフォンでした。
09時29分 | 固定リンク | Comment (205) | ミサイル防衛 |
2010年10月29日
海上自衛隊イージス艦「きりしま」がハワイで弾道ミサイル迎撃テストを実施し、標的をスタンダードSM-3ブロック1で撃墜する事に成功しました。

Joint Japan-U.S. Missile Defense Flight Test Successful :Missile Defense Agency

ついさっき動画も上がったようです。(イージスMDギャラリー)

今回はノドン級の射程1000kmで弾頭分離型の準中距離弾道ミサイルを想定した試験でした。 Japanese Flight Test Mission (JFTM-4)、無事に成功しました 。



21時18分 | 固定リンク | Comment (187) | ミサイル防衛 |
2010年10月22日
弾道ミサイル迎撃用の空中レーザー砲が迎撃テストに失敗しました。以下は米ミサイル防衛局の公式リリースです。


The Terrier Black Brant target missile was launched successfully. Preliminary indications are that the system acquired and tracked the plume (rocket exhaust) of the target, but never transitioned to active tracking. Therefore, the high energy lasing did not occur.

Airborne Laser Test Bed Exercise Conducted | Missile Defense Agency


第一段階の標的ミサイル熱源探知は出来たものの、アクティブトラッキング(測距用レーザー照射と追尾用レーザー照射)が上手く行かずに、破壊用レーザーを発射する事が出来ませんでした。

2月に行われた迎撃テストでは成功していますが、レーザー砲の実用化はそう簡単には行かないようで、実験を積み上げていく必要があるようです。
19時50分 | 固定リンク | Comment (128) | ミサイル防衛 |
2010年09月15日
民主党の長島昭久防衛大臣政務官がTwitterで爆弾発言を行いました。


もちろんです。当該紛争が解決するまでは禁輸ということになります。 RT @21century_po 中曽根政権以降、米国は武器輸出三原則の例外とされました。では米国が国際紛争の当事国である場合どうするか。オリジナルに戻す=対米武器輸出全面禁止。実行していただけますね長島さん?less than a minute ago via web



日米共同開発のスタンダードSM3 block2の部品も供給停止する、そういう解釈で宜しいか? RT @nagashima21: もちろんです。当該紛争が解決するまでは禁輸ということになります。less than a minute ago via Echofon



長島政務官は武器輸出三原則を原則通りに運用する事を主張し、日本の武器輸出に道を開こうとすると共に、原則通りに紛争当事国には禁輸する、それはアメリカであっても同じだと仰られました。

そうすると、日米共同MD開発計画(スタンダードSM3ブロック2A)について日本生産担当分が輸出停止、共同開発はご破算となってしまうでしょう。そしてアメリカは報復として日本向け武器輸出を補修部品を含めて全て停止する可能性があります。自衛隊の兵器が稼働しなくなる最悪の事態が想定されます。

長島政務官は其処まで考えた上で発言されているのでしょうか?

昨年9月19日、FNNのインタビューに軍事評論家の岡部いさく氏はこう答えています。

「SM-3ブロック2Aの開発における日本政府の責任というのは、これはもう技術的にも、政治的にも非常に重いものになりますね。もし、このミサイルの開発が遅れれば、オバマ大統領のミサイル防衛構想にまで波紋が広がっていくわけです。」

これは昨年オバマ政権が新欧州MD構想にSM3ブロック2Aを中心に据えた事で、日米共同MD開発計画が日米間のみならず欧州にも配備される巨大な計画となっているからです。

長島政務官のTwitterでの発言は、非常に重大な国際政治問題に関わるもので、もし考え無しに発言したのであれば、うっかりでは済まされない軽率な行為だと言えます。
20時18分 | 固定リンク | Comment (450) | ミサイル防衛 |
2010年07月03日
試験成績も安定してきて成功するのが当たり前になりつつあるTHAADです。

THAAD System Intercepts Target in Successful Missile Defense Flight Test - The Missile Defense Agency



開発が難航していた2000年より前が嘘みたいですね。6年間の実験凍結・再設計期間を経て2006年に試験を再開してからは、迎撃失敗は有りません。THAADは技術的に信頼できる兵器へとなっており、グアムのアンダーセン空軍基地の防衛用に配備される事が決まっています。これは目標をヘッドオンで捉えられるなら中距離弾道ミサイルが相手でも迎撃戦闘が可能と評価されている事になります。
12時08分 | 固定リンク | Comment (93) | ミサイル防衛 |
2010年06月13日
米ミサイル防衛局は二段式GBI(通常型は三段式)の飛行テストを行い、これに成功しました。

Modified Ground-Based Interceptor Completes Successful Flight Test - The Missile Defense Agency



この二段式GBIは元々、欧州に配備する目的で用意する筈だったものでしたが、オバマ政権の方針転換により欧州へはSM-3Block2地上配備型を置く事になり、当面は配備する予定が無いにも拘らず開発は続行されています。万が一SM-3Block2の開発が失敗した場合の保険なのか、それとも欧州以外への友好国への配備(日本、オーストラリアなど)を考えているのか、或いはグアムやハワイの防衛用なのか、今のところは少し意図が掴めません。幾つかのアメリカの報道を見ると、SM-3Block2の保険として開発されているという論調がありますが、保険の方が高価で巨大な迎撃ミサイルというのはどうなのでしょう・・・もしかしたらまだ二段式GBIをヨーロッパに配備する事を諦めていないのかもしれません。
21時29分 | 固定リンク | Comment (47) | ミサイル防衛 |
2010年05月19日
MITのセオドア・ポストル教授、まだMD反対で頑張ってたんですか。2年前に「偵察衛星をMDシステムで撃破成功」して以降は音沙汰無かったので,
もう熱意を失ってたと思っていましたが・・・何と今回は「迎撃実験で標的の弾頭ではなく胴体に当たったケースは失敗扱いだ」と言い出して命中精度の下方修正を主張しています。教授、暫く見ないうちにセコい事を言い出すようになったんだな・・・

米ミサイル防衛に重大な欠陥、「技術的な神話」と米研究者:AFPニュース


ミサイル防衛:SM3の命中率は低い!?:朝鮮日報
米マサチューセッツ工科大(MIT)のセオドア・ポストル教授とコーネル大のジョージ・ルイス先任研究院は、軍縮専門誌「アームズコントロール・トゥデイ」最新号(5月)に発表した研究報告書で、「米国防総省が“命中した”と発表した過去10件のSM3迎撃実験の資料を分析した結果、実際にミサイルの弾頭に正確に命中したケースは1−2件に過ぎなかった」と主張した。残りの迎撃ミサイルは、最も小さなミサイルの弾頭ではなく、胴体に命中したもので、事実上の失敗だ指摘した。

ミサイルの弾頭を正確に迎撃した場合、上空で爆破され消滅するが、胴体に命中すると、ミサイルが当初の軌道を外れ、不特定の場所に落下する。このミサイルに、破壊力の弱い通常型の弾頭が積まれていても、大きな問題にはならないが、核弾頭が搭載されていた場合、ミサイルが墜落した地域では、核爆発による大規模な人命の損失が生じかねない。


ポストル教授は失念しているようですが(何でこんな基礎的な事を忘れてるのかさっぱり不明だが)、SM-3は海上配備型で迎撃も海上で行われます。仮に敵弾道ミサイルの弾頭を破壊できずに胴体に当てて軌道が狂って変な所に落ちて来ても、大抵は海上に落ちてポチャンです。だから別に被害は生じません。

・・・何か問題でもあるんですか?

それに、最近の迎撃実験では弾頭と弾体(胴体)が分離する新型の標的ミサイルで行っていますし、更にトライデント弾道ミサイルを改良した長射程の標的ミサイルも新たに用意されています。ポストル教授の今回の発表、ちょっと遅過ぎたんじゃないでしょうか。数年くらい周回遅れのような気がしますね。

Togetter - まとめ「MITのセオドア・ポストル教授のMD批判論文雑感」
23時56分 | 固定リンク | Comment (91) | ミサイル防衛 |
2010年04月18日
ロシア国営通信であるRIAノーボスチは2年半前の2007年12月に「もはや避けられないMD思想」という記事を出しています。ピョートル・ゴンチャロフ(Петр Гончаров)政治解説員はその中で、日本がミサイル防衛を取得する事に理解を示し、専守防衛の域を超えてはいないと明言、ロシア-アメリカ間以外で広がり出したミサイル防衛(日本、イスラエル、NATO)はもはや避ける事が出来ず、国際的にも現実的に考える必要があると説きました。ゴンチャロフ政治解説員の予測は後に正しかった事がはっきりと判明します。記事から1年以上経った2009年4月にアメリカのオバマ政権が新しいミサイル防衛体制の方針を発表し、今後も推進していく事が確認されました。そしてその1年後の2010年4月には、新たな米露核軍縮交渉でミサイル防衛に付いて特に制限が設けられる事はありませんでした。

そして当然ロシアも独自のミサイル防衛体制を構築する必要性が出て来ています。



そうなれば当然、中国も独自のミサイル防衛体制を構築する事になります。



今年1月11日に中国が大気圏外でのミサイル迎撃実験に成功したと発表し、実際にアメリカが大気圏外での爆発を確認すると、世界に衝撃が与えられました。事前情報が何も無く、当局による事後の詳しい説明も無く、一体どのような迎撃方式だったのか様々な推測が為されました。当初はHQ-9(ロシア製S-300の模倣品)が迎撃に使用されたと推測されていましたが、大気圏外ということでHQ-19(ロシア製S-400)に大気圏外迎撃体を搭載したのではないかという推測が行われています。今のところ有力な予測は、

「中国が2007年に実施した人工衛星破壊(ASAT)実験で使用されたSC-19衛星破壊ミサイルを今回のMD実験でもそのまま使用した」

というものです。SC-19はミサイルの打ち上げ準備と軌道計算に12時間も掛かる代物で、人工衛星を攻撃するならともかく弾道ミサイルの迎撃には実戦では役に立ちません。つまり今年1月11日の実験は実はミサイル迎撃実験ではなく低軌道衛星破壊実験だった可能性があります。ただ、インド軍がミサイル迎撃実験を始めた当初は手始めに弾道ミサイル同士を空中で衝突させる実験を行っており、中国もまた本格的なミサイル迎撃実験に入る前の予備実験としてSC-19を使用した可能性があります。


ミサイル防衛初期段階完成 中国軍系企業が報告 2010年4月13日 産経新聞
13日付の中国紙、北京青年報によると、中国人民解放軍系の大手国有企業「中国航天科工集団」は12日、2009年度の年次報告を発表し、多様な形式を備えた先進的なミサイル防衛システムの初期段階を完成させたと明らかにした。

報告は、ミサイル防衛システムにより、複雑な情勢や突発事件に対応する中国軍の能力は大幅に向上し、未来のハイテク条件下の防衛作戦に勝利する能力を得られるとした。(共同)


「初期段階」ということは、まだ「実用段階」には達していない事を意味しており、「多様な形式を備えた」とあるので、ミッドコース迎撃やターミナルフェイズ迎撃など複数の迎撃手段を研究していることが分かります。
13時50分 | 固定リンク | Comment (97) | ミサイル防衛 |
2010年03月20日
2月中に実験すると言っていたのに音沙汰ないのでどうしたんだろうと思っていたら・・・


India's missile shield test fails: officials | AFP
India's homegrown interceptor defence shield developed to detect and destroy incoming ballistic missiles failed during a test on Monday, military officials said.

The test was abandoned when the radars following the target, a nuclear-capable missile, lost track of it after it blasted off from a site 200 kilometres (120 miles) from Bhubaneswar in eastern India.

"The 'hostile' missile went off the radars after it took off and deviated from its trajectory and so the interceptor was not launched," an official from Defence Research and Development Organisation (DRDO) said, asking not to be named.


失敗してました。標的ミサイルが逸れてレーダーからロスト、迎撃ミサイルを発射できなかったみたいです。迎撃ミサイルを発射した上で外すよりはマシですが、事前にあれだけ「中国のMDよりもインドのMDの方が上だ!」と豪語しておきながら失敗していたとは・・・中国は中国で「成功した時だけ」発表する方式ですから、一概には比べられませんけれども。
09時22分 | 固定リンク | Comment (28) | ミサイル防衛 |
2010年02月14日
インドの弾道ミサイル防衛システムの実験が今月中に行われる予定とあります。


India readies propulsion system design for new cruise missile : Deccan Herald
India has completed the propulsion system design of its new cruise missile 'Nirbhay' which will have a strike range of 800 kms, DRDO chief V K Saraswat has said.

〜中略〜

Saraswat said the country is also gearing to test its indigenous Ballistic Missile Defence (BMD) shield in near future, a programme, he claimed, is more sophisticated than the Chinese one.

〜中略〜

He said the Indian programme had started in 2006 and had 60-70 per cent indigenous content in it.

Saraswat said Indian BMD development programme would have two phases.
"In the first phase, which goes upto 2,000 km range, we will carry out exo-atmospheric, endo-atmospheric and high altitude interceptions and in the second phase, we will take care of targets beyond 5,000 km range."

On the dates of test of the BMD shield, he said it was expected to be carried out within this month.



インドDRDO(国防研究開発機構)の主任V.K.サラスワト氏によると、射程800kmの新しい巡航ミサイル『ニルバイ』の推進力システム設計を完了。また近い将来、国産の弾道ミサイル防衛(BMD)のテストを行う、その計画は中国のものより精巧(我々の方が先に着手したのだ)である。インドのBMD開発計画は2段階に分かれ、第一段階は射程2000km、大気圏外と大気圏内の高高度で迎撃を行い、第二段階は射程5000km以上の目標を対処する。BMDテストは今月中に行われる、とあります。

インドは大気圏外(exo-atmospheric)での弾道ミサイル迎撃テストを計画していると見るべきでしょう。先月に中国がやって見せたようにです。しかしまさか、中国やインドが大気圏外迎撃を試みて来るとは・・・
22時53分 | 固定リンク | Comment (116) | ミサイル防衛 |
2010年02月13日
弾道ミサイル防衛システムの空中レーザー砲による目標ブースト段階でのレーザー照射破壊実験が成功しました。米ミサイル防衛局(MDA; Missile Defense Agency)の2月11日の発表です。

Airborne Laser Testbed Successful in Lethal Intercept Experiment
[PHOTOS & VIDEO]



昨日の私の書き込みの時点ではまだ動画はUPされておらず静止画だけだったので、ずっと待っていました。2月3日の記事で「今月中に破壊実験が行われる」と伝え、2月10日の記事で1月10日に行われた予備実験の動画を伝えていたので、そろそろ行われると思っていましたが・・・実に感慨深いものがあります。エアボーンレーザー(空中レーザー)砲の迎撃破壊実験成功の報は、兵器の新たな時代の幕開けを告げるものとなるでしょう。レーザー兵器による弾道ミサイル迎撃の可能性が開けた事は、将来の技術革新によって弾道ミサイルが完全無力化される未来すら有り得るのです。今の技術では射程や威力の関係から、国境線より奥深くに配置されたICBMを迎撃する手段にはなり得ませんが、SRBMやIRBMを完封する力を与える事は夢物語ではありません。遠い将来では無く、近い未来で実現可能です。

今回の実験では2月3日に固体燃料型の弾道ミサイルを実験で撃墜済みで、2月10日に液体燃料型の弾道ミサイルを実験で撃墜に成功しています。
22時36分 | 固定リンク | Comment (239) | ミサイル防衛 |
2010年02月10日
ブーストフェイズでの迎撃を行う弾道ミサイル防衛システム「エアボーンレーザー(空中レーザー)」の非破壊試験の新たな映像が公開されていました。



2010年1月10日の試験映像です。

「This test engagement was not intended to lethally destroy the missile.」

これは目標の破壊を目的とした試験ではありません。



こちらは2009年8月10日の試験映像です。

AL-1 (航空機) - Wikipedia

迎撃の手順についてはこちらを参照して下さい。



これは3年前に行われた、主砲であるCOIL(酸素ヨウ素化学レーザー)砲のターレット回転試験です。この当時はまだ機密の為、鏡の真正面ではモザイクが掛けられています。



モザイク無しだとこんな感じです。(1分経過後の映像)
03時28分 | 固定リンク | Comment (78) | ミサイル防衛 |
2010年02月06日
新欧州MD構想(EPAA: European Phased Adaptive Approach)はルーマニアにSM-3地上型を配備する方針に決まりました。

米ミサイル防衛に参加=SM3配備に同意−ルーマニア:時事通信

それではルーマニアの位置を見て下さい。

ルーマニア

欧州ミサイル防衛はイランから発射された中距離弾道ミサイル(IRBM)を迎撃するという名目です。イランからパリやベルリン、ロンドンを狙い撃つ場、ルーマニアはその射線上にあります。平面からは理想的な設置条件に見えますが、ルーマニアにSM-3地上型を配備するという事から、もっと重要な事が見えてきます。それは高度です。

「SM-3地上型の最大射撃高度は1000kmにも達する」

という事が推測できます。SM-3地上型は、最大射程ではなく最大射高でこれだけの性能を有している事になります。欧州主要都市を射程に収める射程5000kmのIRBMがイランから発射されると、その弾道飛行はルーマニア上空付近で最高点に達し、高度1000kmを超えます。ルーマニアにSM-3地上型を配備する場合、高度1000km付近を飛行する条件での迎撃が出来なければ、何の役にも立たないでしょう。これが守るべき都市の近くに配置されたなら、高度を下げてきた弾道ミサイルを狙い撃つ事も出来ますが、IRBMの飛翔経路のちょうど中間点に配備するという事は、最大高度付近で迎撃戦闘が可能であるという事になります。

EPAA

SM-3地上型はイージス艦に搭載する予定で開発中のSM-3Block2を使用する予定です。SM-3Block2はこれまで推定されていた最大射高は500km"以上"とあり、上限が何処まであるか示されてきませんでした。今回のルーマニア配備計画で、最低でも高度1000km近くまで上がれる事が判明した事になります。

もし最大射高が500km程度ならば、かなり前方で上昇中のIRBMを撃墜せねばならず、ミッドコース迎撃用のSM-3では能力的に困難な上に、時間的余裕もありません。またIRBMが弾道頂点から落ちてくる時に迎撃する場合、ルーマニアからではIRBMを後ろから追い掛けて撃つ形になり、それでは間に合わなくなります。つまり、ルーマニアに迎撃ミサイルを配備して射程5000kmクラスのIRBMを迎撃する為には、最大射高1000km程の性能を持つ必要があり、現実に配備計画が示された以上、SM-3地上型はそれだけの性能を持つ事が判明したと言えるでしょう。

SM-3比較
17時31分 | 固定リンク | Comment (245) | ミサイル防衛 |
2010年02月03日
アメリカのオバマ政権は今年も国防予算を拡大し、過去最大規模となることが明らかとなりました。総額7082億ドル(64兆円)となり、戦争遂行費用を除いた予算は5489億ドル(50兆円)となっています。


国防、総額64兆円 予算教書、対テロ戦費は想定の3倍:日経新聞
対テロ戦費を除く国防総省の基本予算は5489億ドル(約50兆円)。10年度比では3.4%増で、同年度の4%増より抑制した。項目別では研究・開発費を10年度より5%削減する一方、装備などの調達費を同7%増やした。


前年比3.4%増となっています。またミサイル防衛予算も増額され、その伸び幅は防衛予算全体の伸び幅を上回り、今回の予算面で優遇されている事が分かります。


ミサイル防衛費増加=米予算:時事通信
オバマ米大統領が1日、議会に提出した2011財政年度(10年10月〜11年9月)予算教書で、ミサイル防衛局の予算は約7%増の84億ドル(約7631億円)が計上された。
イランの短・中距離ミサイルの脅威に対処するため、欧州で新たにミサイル防衛(MD)体制を構築する費用が加わったのが増加の主な理由。海上配備型、地上発射型の迎撃ミサイルやレーダーの整備などを行う。


ブッシュ政権時代の旧欧州MD構想(GBI)からオバマ政権の新欧州MD構想(SM-3、THAAD)へと変更され、SM-3とTHAADの増産と、SM-3地上配備型の研究開発が要求された事などがあります。


MDA Budget Continues Aegis, Thaad Focus | Aviation Week
WASHINGTON — The U.S. Missile Defense Agency (MDA) is requesting $8.4 billion in funding for Fiscal 2011 to continue implementing the “Phased Adaptive Approach” (PAA) defense architecture in Europe and to eventually broaden and apply it to other regions, including East Asia and the Middle East.


米ミサイル防衛局は、新欧州MD構想の成果を東アジアと中東を含む他の地域に広げる事を要求しています。これは日本にとって美味しい話で、以前のブッシュ政権時代のGBIを用いた旧欧州MD構想では日本に恩恵が回ってくる事は有り得なかっただけに(GBIは対北朝鮮用に日本に置くには過剰性能)、オバマ政権の新欧州MD構想への切り替えは日本も歓迎できる良い話でした。



MDA outlined no program terminations in its request – released Feb. 1 – although Fiscal 2011 would be the final year of activity managed by the agency for the Airborne Laser (ABL), a 747-400F-based chemical laser designed to destroy ballistic missiles in flight.

The first test of the system, which will be against two short-range ballistic missile targets, is set for later this month. MDA requests $99 million for directed energy work on ABL. After the agency’s flight test is complete, up to three more tests could take place. Then the ABL platform will be turned over to the Pentagon’s Director of Defense Research and Engineering to be used as a test bed for other directed-energy projects, according to David Altwegg, MDA’s executive director.


空中レーザー砲による弾道ミサイル迎撃試験が今月後半に行われる予定とあります。実際にレーザー砲を照射して目標を破壊する実験です。



MDA’s main focus remains on blocking threats from short- and medium-range ballistic missiles through the PAA implementation in Europe. Accordingly, the Fiscal 2011 request includes $859 million for the purchase of Terminal High-Altitude Area Defense (Thaad) batteries. Another $1.6 billion is set aside for the Aegis ship-based defense system, including research and development and testing.

The MDA requests $281.4 million for the land-based version, called Aegis Ashore, in Fiscal 2011. Another $319 million is requested for co-development with Japan of the SM-3 Block IIA, which will achieve faster speeds and longer ranges with the incorporation of a 21-inch booster. Altwegg says that MDA is leaning toward procuring a derivative interceptor dubbed the SM-3 Block IIB, as a future ICBM killer. However, a final determination hasn’t yet been made on whether there will be a competition to build the weapon.


大変に注目すべき箇所があります。

「Altwegg says that MDA is leaning toward procuring a derivative interceptor dubbed the SM-3 Block IIB, as a future ICBM killer.」

SM-3ブロック2B。MKV開発計画が、復活の可能性です。



オバマ政権の新欧州MD構想で、SM-3地上配備型とSM-3ブロック2Bが開発されるというなら、日本への恩恵は計り知れないほど大きいものになりそうです。

アヴィエーションウィークの記事には他に、無人機(リーパーUAV)を使用した弾道ミサイルの発射炎を探知するシステムの事やSTSS早期警戒衛星、アメリカ本土防衛用のGMD(使用する迎撃ミサイルはGBI)について、先月の1月31日に行われたばかりのGMD実験(対イランを想定したもの)が失敗した原因は海上配備型Xバンドレーダーの不具合によるものとしています。イスラエルのアロー3計画は進展している模様。また迎撃実験に使用している標的ミサイルに対して性能面と信頼性について不満があり、新しい標的ミサイル(恐らくトライデントC4転用の事)を調達するという事が書かれています。

何よりもこの記事での収穫はSM-3ブロック2B・・・ただし、これが本当にMKV計画の復活を意味するのかはまだ分かりません。同じSM-3ブロック2Bという名前で新たに単弾頭での計画を用意してくるかもしれません。どちらにせよICBMと交戦可能という凄まじい性能を、Mk.41VLSに収まるサイズのミサイルに付与するという計画には変わりはありません。
22時12分 | 固定リンク | Comment (148) | ミサイル防衛 |
2010年01月14日
これは驚きました、中国が「陸基中段反導迎撃技術試験」と称していたのは、実際に中段(Mid-course)で行われた迎撃実験だった模様です。アメリカ側も大気圏外での二つのミサイルの衝突を確認しました。


China did not notify US before anti-missile test: Pentagon | AFP
"We did not receive prior notification of the launch," said Pentagon spokeswoman Major Maureen Schumann.

"We detected two geographically separated missile launch events with a exo-atmospheric collision also being observed by space-based sensors," she said after China announced a successful test of its missile intercept system.


アメリカ国防総省のシューマン報道官は、中国のミサイル防衛実験は大気圏外(exo-atmospheric)で行われたと発言しています。しかし具体的な高度は示しませんでした。ただ大気圏外であることは明言されており、そうなると、初期報道で各国が予想していた地対空ミサイルHQ-9(ロシア製S300PMUのコピー)による実験ではない事が確実となりました。HQ-9はパトリオットと同様、大気圏内でしか使用できません。つまり実験に使われたのは別の何かです。

中国側の報道でも、依然として当局からの公式発表の追加はありませんが、識者の見解では「PAC3やHQ-9のような終末防御系統ではない」「今回行われた実験は中間段階防御系統である」「陸基中段反導の核心技術は確定することは出来ない」といった内容のものが見受けられるようになりました。

果たして中国は本当にアメリカのGMD(Ground-based Mid-course Defense)に相当するものを作成できたのでしょうか? GMDの使用ミサイルGBI(Ground Based Interceptor)の弾頭部分EKV(Exo-atmospheric Kill Vehicle)に相当するものを作り得たのでしょうか?

私は懐疑的に思えます。というのも、実はミサイル迎撃実験はインドも実行済みなのですが、2006年11月27日に行われた最初の実験は、単に弾道ミサイル2つを飛ばして空中で衝突させる実験で、迎撃ミサイル実験というよりは2つのミサイルが交差するように飛行させただけの空中衝突実験といった趣向のものでした。インドはその後に2007年と2009年にミサイル防衛実験を行い、こちらはちゃんとした迎撃ミサイルを使用したものでした。


インドが短距離ミサイルの迎撃実験に成功 (2006年11月28日 朝日新聞)
インド国防省は27日、東部オリッサ州沖で短距離弾道ミサイル「プリトビ2(射程250キロ)」を使ったミサイルの迎撃実験をし、成功したと発表した。時間差で発射した同型の二つのミサイルを、敵のミサイルと迎え撃つ自国のミサイルに見立てて衝突させた。迎撃実験はインドでは初めてで、ミサイルを使った防衛能力の強化のためとしている。

プリトビ2は核弾頭の搭載可能なミサイル。隣国のパキスタンへの対抗上開発され、96年1月に初めて実験に成功した。すでに軍は実戦配備をしているが、「軌道の正確性にはまだ課題がある」と言われてきた。


つまり、インドが2006年に行った最初のミサイル防衛実験のように、迎撃実験というよりは衝突実験といった感じのものならば、特別な技術が無くても実行可能です。これはむしろ人工衛星破壊実験に近い内容のもので、二つのミサイルの軌道を正確に計算し、適切なタイミングで交差させればよいわけです。そして中国は既に2007年に宇宙空間での人工衛星破壊実験を成功させています。ならば大気圏外で二つの弾道ミサイルを交差衝突させる事も可能だと思われます。インドのプリトビ2は短距離弾道弾なので大気圏外での衝突ではありませんでしたが、中国ならば中距離弾道弾を使用して実行可能でしょう。

勿論、インドがその後にちゃんとした迎撃ミサイルを使用した実験へと進化させているように、二つの弾道ミサイルを衝突させるだけの実験はそれだけでは迎撃ミサイルとは成り得ません。本格的な迎撃実験の前の下準備、あるいは単にデモンストレーションでやって見せただけ、どちらかの可能性があります。

もちろん、これは私の勝手な憶測であり、中国が今回行ったミサイル防衛実験はちゃんとした迎撃ミサイルである可能性も有り得るのですが、大気圏外で自律機動する迎撃体の制御が最先端技術であることを考えると、ロシアですらまともな実験すらできていない物を、中国が一足飛びに作ってくるとは考え難く、このような予想となりました。

もし中国がミサイル防衛でミッドコース迎撃能力を本当に取得した場合、将来的にICBM迎撃能力を獲得してくる事になります。そうなればミサイル防衛という軍事技術の持つ意味が、劇的な変化を迎えることになるのは間違いないでしょう。

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