China did not notify US before anti-missile test: Pentagon | AFP
"We did not receive prior notification of the launch," said Pentagon spokeswoman Major Maureen Schumann.
"We detected two geographically separated missile launch events with a exo-atmospheric collision also being observed by space-based sensors," she said after China announced a successful test of its missile intercept system.
アメリカ国防総省のシューマン報道官は、中国のミサイル防衛実験は大気圏外(exo-atmospheric)で行われたと発言しています。しかし具体的な高度は示しませんでした。ただ大気圏外であることは明言されており、そうなると、初期報道で各国が予想していた地対空ミサイルHQ-9(ロシア製S300PMUのコピー)による実験ではない事が確実となりました。HQ-9はパトリオットと同様、大気圏内でしか使用できません。つまり実験に使われたのは別の何かです。
中国側の報道でも、依然として当局からの公式発表の追加はありませんが、識者の見解では「PAC3やHQ-9のような終末防御系統ではない」「今回行われた実験は中間段階防御系統である」「陸基中段反導の核心技術は確定することは出来ない」といった内容のものが見受けられるようになりました。
果たして中国は本当にアメリカのGMD(Ground-based Mid-course Defense)に相当するものを作成できたのでしょうか? GMDの使用ミサイルGBI(Ground Based Interceptor)の弾頭部分EKV(Exo-atmospheric Kill Vehicle)に相当するものを作り得たのでしょうか?
私は懐疑的に思えます。というのも、実はミサイル迎撃実験はインドも実行済みなのですが、2006年11月27日に行われた最初の実験は、単に弾道ミサイル2つを飛ばして空中で衝突させる実験で、迎撃ミサイル実験というよりは2つのミサイルが交差するように飛行させただけの空中衝突実験といった趣向のものでした。インドはその後に2007年と2009年にミサイル防衛実験を行い、こちらはちゃんとした迎撃ミサイルを使用したものでした。
インドが短距離ミサイルの迎撃実験に成功 (2006年11月28日 朝日新聞)
インド国防省は27日、東部オリッサ州沖で短距離弾道ミサイル「プリトビ2(射程250キロ)」を使ったミサイルの迎撃実験をし、成功したと発表した。時間差で発射した同型の二つのミサイルを、敵のミサイルと迎え撃つ自国のミサイルに見立てて衝突させた。迎撃実験はインドでは初めてで、ミサイルを使った防衛能力の強化のためとしている。
プリトビ2は核弾頭の搭載可能なミサイル。隣国のパキスタンへの対抗上開発され、96年1月に初めて実験に成功した。すでに軍は実戦配備をしているが、「軌道の正確性にはまだ課題がある」と言われてきた。
つまり、インドが2006年に行った最初のミサイル防衛実験のように、迎撃実験というよりは衝突実験といった感じのものならば、特別な技術が無くても実行可能です。これはむしろ人工衛星破壊実験に近い内容のもので、二つのミサイルの軌道を正確に計算し、適切なタイミングで交差させればよいわけです。そして中国は既に2007年に宇宙空間での人工衛星破壊実験を成功させています。ならば大気圏外で二つの弾道ミサイルを交差衝突させる事も可能だと思われます。インドのプリトビ2は短距離弾道弾なので大気圏外での衝突ではありませんでしたが、中国ならば中距離弾道弾を使用して実行可能でしょう。
勿論、インドがその後にちゃんとした迎撃ミサイルを使用した実験へと進化させているように、二つの弾道ミサイルを衝突させるだけの実験はそれだけでは迎撃ミサイルとは成り得ません。本格的な迎撃実験の前の下準備、あるいは単にデモンストレーションでやって見せただけ、どちらかの可能性があります。
もちろん、これは私の勝手な憶測であり、中国が今回行ったミサイル防衛実験はちゃんとした迎撃ミサイルである可能性も有り得るのですが、大気圏外で自律機動する迎撃体の制御が最先端技術であることを考えると、ロシアですらまともな実験すらできていない物を、中国が一足飛びに作ってくるとは考え難く、このような予想となりました。
もし中国がミサイル防衛でミッドコース迎撃能力を本当に取得した場合、将来的にICBM迎撃能力を獲得してくる事になります。そうなればミサイル防衛という軍事技術の持つ意味が、劇的な変化を迎えることになるのは間違いないでしょう。