米国、迎撃ミサイルでスパイ衛星撃破を決定 - WIRED VISION
Carwright将官は、今回の撃破をモデル化するのに十分な技術情報を提供した。David Wright氏が現在、撃破のモデル化に取り組んでいるが、完了まで待てない読者のために重要なデータを紹介しておく。
1.撃破は130海里(240キロメートル)水域で行なわれる。
2.衛星の質量は2300キログラム
3.迎撃ミサイルの質量は20キログラム(米議会予算局のデータより)
4.衝突速度(closing velocity)は秒速9.8キロメートルで、実質的に正面から衝突する模様。
他にも関連情報がある。240キロメートル上空での衛星の移動速度は秒速7.8キロメートル、SM-3の到達速度[全ての推進薬を使いきったときの最高速度]は秒速3キロメートルだ。
(注:「撃破は130海里(240キロメートル)水域で行なわれる」とあるのはWIRED日本語版の誤訳。元の英文をあたると「撃破は130海里(240キロメートル)で行なわれる」が正解です。そしてこれは高度の話です。あと「Carwright」じゃなくて「Cartwright」将軍です。カートライトさん)
以前に制御を失った偵察衛星NROL-21は12トンだと聞いていたのですが、実際には2.3トンの衛星だったようです。この衛星には有害物質のヒドラジン燃料が500kg近く積み込まれたままで、衛星を迎撃して破壊、バラバラに分割し、大気圏突入時に燃やし尽くしてしまおうという作戦です。今回の作戦は高度が低く軌道から外れ始めた所を狙うので、破壊した結果発生するスペースデブリはすぐに地表に落ちてきます。
スタンダードSM-3で高度240km(130海里または150マイル)で偵察衛星NROL-21を迎撃する予定―これは、一つの重要な事実を指し示しています。
スタンダードSM-3は高度240kmまで駆け上がれる。
これまでのSM-3の迎撃実験では標的ミサイルの性能上の制約からか、高度160km近辺での迎撃テストが殆どでした。ですが、SM-3は高度240kmでNROL-21を迎撃できる・・・SM-3の隠された性能が、今、明らかにされようとしています。
高度240kmまで上がれるなら、ノドンに対する迎撃は弾道頂点付近も含めて殆どの領域をカバーできます。SM-3の性能は、これまで想定されてきた以上のものなのかもしれません。