このカテゴリ「政治」の記事一覧です。(全153件、20件毎表示)

2009年11月16日
前記事にも青字で追記しておきましたが、改めて記事で紹介します。

鳩山首相のアジア政策演説の全文が分かりました。それによると友愛ボート構想とは、米国主導のパシフィック・パートナーシップへの参加を意味するとありました。


鳩山首相アジア政策演説全文<2> : 読売新聞
衛生面では、日本は来年、自衛艦を「友愛ボート」と名付けて民間人やNGOの人たちも乗せ、太平洋・東南アジア地域で医療活動や文化交流などを行います。これは米国が2007年から行っている「パシフィック・パートナーシップ」への参加となります。米国、豪州、インドネシアなどと共に働き、現地の人々の役に立てることを期待しています。


鳩山首相はパシフィック・パートナーシップへの参加を最初から明言していました。マスコミの初期報道でこの事が書かれていなかったばっかりに鳩山首相は叩かれていますが、首相の真意からすると、この方針自体は何も悪くはありません。パシフィック・パートナーシップの詳細については前記事で紹介したとおりです。

演説の全文をチェックすることなく、マスコミが一部だけを切り張りした記事を鵜呑みにしたことを、自らの反省点にしたいと思います。鳩山首相、申し訳ありませんでした。


※鳩山首相が14日に講演した際には、友愛ボート構想についてパシフィック・パートナーシップへの参加を意味するとは言っていないようです。翌15日の演説で再び友愛ボート構想について触れた時に、そこで初めてパシフィック・パートナーシップへの参加だと明言した事になります。そうなるとマスコミが一部だけ切り張りした結果ではなく、報道の流れとしても問題はありません。

と、なると、鳩山首相は最初から明言していたわけではないようです。とはいえ批判されたからといって翌日に急遽変更したとも考え難い話なので、単純に鳩山首相の最初の説明が不足していた事も否定できません。

そういうわけなので、鳩山首相への謝罪を撤回し、マスコミの責任を疑った事に対して謝罪し直す事にします。切り張り報道はありませんでした。また、落ち着いて経緯をちゃんと把握せずに記事を書いて訂正の連続となった事を、深くお詫び致します。


今年度のパシフィック・パートナーシップ09では、アメリカ海上輸送司令部(MSC)所属のルイス・アンド・クラーク級貨物弾薬補給艦「リチャード・E・バード」を使用して行っています。(昨年は大型病院船マーシーを使用)

ルイス・アンド・クラーク級貨物弾薬補給艦 - Wikipedia

なお、日本海上自衛隊の高速補給艦「ましゅう」型は、阪神大震災の教訓を踏まえ、医療区画を充実させており、簡易的な病院船としても使用が可能です。

ましゅう型補給艦 - Wikipedia

つまり鳩山首相は、インド洋海上補給を止めて、補給艦「ましゅう」型2隻のどちらかをパシフィック・パートナーシップへ参加させようと決断した事になります。来年度からの参加を予定している為、新造艦や既存艦の改造は間に合いません。今ある補給艦か輸送艦を回す事になります。

なおパシフィック・パートナーシップ09は、本来はクリーブランド級ドック型輸送揚陸艦「ダビューク」で行う予定でしたが、乗組員の間で新型インフルエンザが蔓延した為に、補給艦「リチャード・E・バード」に急遽交代した経緯があります。

クリーブランド級ドック型輸送揚陸艦 - Wikipedia

この種の任務は専門の病院船以外では、補給艦や輸送艦などが向いています。
03時56分 | 固定リンク | Comment (136) | 政治 |

2009年11月15日
戦闘用の護衛艦を「友愛ボート」と呼んで使用するのは論外ですが、海軍所属の病院船や輸送船を「友愛ボート」としてNGOを乗せて医療支援活動するなら有りではないか、という意見を頂きました。



こういうことなら、もうアメリカ太平洋軍がPacific Partnershipという名称で、やってますよね。
(例としてhttp://www.pacom.mil/web/site_pages/media/news%20200907/20090702-MissionInSamoa.shtml
2004年のスマトラ沖津波の救援を契機として始まったもので、去年は例の巨大な病院船マーシーで、今年はMSCの補給船リチャード・E.バードで、サモアからソロモン諸島、マーシャル諸島、パプア・ニューギニアとか各地で、医療や保健衛生(蚊の駆除とか)、教育、建設とか支援をやってます。
オーストラリア海軍も協力してるんですね。
http://www.pacom.mil/web/site_pages/media/news%20200906/20090625-PPartnershipAustralia.shtml 
「友愛ボート」って、あからさまにこれのパクリでしょ。
鳩山首相も、単に「アメリカのパシフィック・パートナーシップに参加します」っていえばいいだけのことを、さも自分の独自案みたいなことをいうのは、アメリカと張り合うつもりとか?




昨年のパシフィック・パートナーシップ2008の様子は以下の通りです。


カインホア省:米海軍病院船が医療支援活動|VIETJO ベトナムニュース
南中部カインホア省人民委員会は16日、米海軍の病院船「マーシー(USNS Mercy)」 が医療支援活動のため同省ニャチャン湾に入港し活動を行うと発表した。

これは米国・オーストラリア・カナダ・韓国・シンガポールの5カ国と5つの非政府団体が参加して実施している「パシフィックパートナーシップ08」プロジェクトの一環で、「マーシー」は19日午前9時に入港し、29日午後まで停泊する予定。

この期間中、米国の医療チームと地元の医療関係者は協力して、ニャチャン市と同省ジエンカイン郡の各地に簡易診療所を設け、約1万人の地元住民に対し診療や薬の配布を行う。また同艦内でも約200人の患者を対象に手術や治療を行うという。


なるほど、11月10日の産経新聞にあったような「ソマリア海賊対策の護衛艦を友愛ボートと称する」のは論外としても、11月15日の産経新聞にあった「医療支援の為に自衛艦を活用する友愛ボート構想」ならば検討の余地はあります。

でも、既にアメリカ主導で行っている「パシフィック・パートナーシップ」に参加するとした方が、日本単独でやるよりも効果的な話でしょうね。鳩山首相のパクリ疑惑もありますが、既にアメリカが同様の構想を行っていると知らなかっただけ、という可能性があります。


【追記】鳩山首相のアジア政策演説の全文が分かりました。それによると友愛ボートとは、米国主導のパシフィック・パートナーシップへの参加を意味するとありました。


鳩山首相アジア政策演説全文<2> : 読売新聞
衛生面では、日本は来年、自衛艦を「友愛ボート」と名付けて民間人やNGOの人たちも乗せ、太平洋・東南アジア地域で医療活動や文化交流などを行います。これは米国が2007年から行っている「パシフィック・パートナーシップ」への参加となります。米国、豪州、インドネシアなどと共に働き、現地の人々の役に立てることを期待しています。


※鳩山首相が14日に講演した際には、友愛ボート構想についてパシフィック・パートナーシップへの参加を意味するとは言っていないようです。翌15日の演説で再び友愛ボート構想について触れた時に、そこで初めてパシフィック・パートナーシップへの参加だと明言した事になります。

ただし日本海上自衛隊には病院船が有りません。そもそも病院船とは、海外遠征を行い多数の将兵が負傷する事を想定した軍隊が用意するもので、米海軍ですら2隻しか所有していません。

マーシー級病院船 - Wikipedia

海上自衛隊の補給艦「ましゅう」型の二隻は阪神大震災の教訓を踏まえ、医療設備が強化されているので小規模な病院船として使えますが、やはり補給艦はなるべく本来の任務に使いたいですし、輸送艦「おおすみ」型三隻や次期多目的空母「22DDH」にしても、本来の任務が忙しいので数に余裕があるわけではありません。またパシフィック・パートナーシップのような任務は停泊中に行う為、軍艦としての能力は不必要なので、費用対効果に劣ります。そこでこのような方針が回って来ているようです。



念のために言うと、現時点においてはDDHはそれに宛がわれることはないです。軍艦はC/Pが異常に低すぎるという事らしいので。政府専用機のような感じで、商船構造の船を用い(建造中もしくは建造途中の船(非国産…まぁ、お隣の国の船でしょうが)を購入し)、艦船運用は自衛隊という線で、今頃になって調整が回ってきているようです。まだ打診の段階っぽいので、まだどうなるかはわかりませんが。




本格的な病院船の建造は行わず、手頃な商船を購入して転用し、只でさえ乗組員の数が不足している海上自衛隊から、人員を捻出して政府専用で使う友愛ボートを運用しろと・・・防衛費の中の人件費の予算を増額してくれるならいいですけどね、予算は削減するのに仕事は増やすでは、通して欲しくない話です。
20時05分 | 固定リンク | Comment (84) | 政治 |
数日前にこのような報道がありました。


海自補給艦のソマリア沖転用 北沢防衛相が改めて検討指示:産経新聞
また、護衛役の海自護衛艦を「友愛ボート」と称して、社民党などの理解を得ようという案もある。


はいはいバーボンバーボン、産経新聞さんトバすなぁ、そんな馬鹿な事を主張する人が居るわけないじゃない、それともソマリア沖でピースボートが海上自衛隊によって護衛された事に対する、痛烈な皮肉を社民党に浴びせているのかな・・・と思っていたら、昨日このような報道が。


友愛ボートで日本びいきに? 鳩山首相が構想:産経新聞
講演で首相は「命を守るための協力として友愛ボート、フラタニティーボート構想を持っている。日本の自衛艦にNGO(非政府組織)の人やアジアの多くの人が協力して乗り込んで、あちらに紛争があったぞ、人の命が危ないぞといえば、その船が行って医療の手術などの協力を行う。あるいは大規模な災害を救うため、医療の援助をするなど柔軟に活用できる船をつくる」と述べた。自衛隊の海外派遣に加え、自衛艦に外国人や民間人を乗せて任務を行うことになり、各方面に波紋を広げそうだ。



ジ  ハ ,,ハ
デ (;゚◇゚)z
!?

産経新聞は正しかったのか・・・疑ってしまってすいません。

ええっと・・・これどうしたらいいんですか?

インド洋給油の補給艦をソマリア海賊対策に転用する案ならば、政権交代した際に私も触れています。

(2009/08/31)総選挙で民主党が勝利、政権交代へ

というより、この発想は誰にでも思い浮かべる事が出来るものです。ソマリア沖での海上護衛戦は、インド洋給油活動よりも陸地に近い場所での作戦なので、補給艦の存在意義は一段低くなりますが、それでも韓国海軍が海賊対策に駆逐艦を派遣した際に、自国の補給艦の数が少なくて連れていく事が出来ず、日本政府に対してインド洋で活動する海上自衛隊の補給艦の支援を受けられないかと要請して来た事があります。つまり明確なニーズが存在しています。


韓国、海自に給油を打診 ソマリア沖で 日本は拒否:2009年2月22日 朝日新聞
韓国政府関係者などによると、韓国側は外相会談前の実務協議で、海軍駆逐艦「文武大王」を近くソマリア周辺に派遣する計画を説明。「最も助かるのは給油支援だ」と日本側に打診した。国際テロ組織「アルカイダ」がソマリアで活動していることから、補給支援特措法を適用できるのでは、との期待もあった。

しかし、日本側は、特措法での給油対象はテロ対策の海上阻止活動に参加している艦船に限定されているため、不可能だと説明した。



それにソマリア周辺国の港湾は既に海賊対策の各国海軍の拠点として飽和しつつあり、かなり手狭になっている為、洋上で補給を行い寄港回数を減らさないとこれ以上の展開は難しくなるという面もあるので、補給艦の増援は有り難い話でしょう。

しかし護衛艦を友愛ボートと称するとか、民間人や外国人を乗せるだとか、お花畑過ぎて全然付いていけないです・・・政府の方針としてインド洋対テロ作戦からの撤退を決めてしまった、これは変えられないが次善の策として可能な限り現実的な良い代替案を提示しよう、という努力を行っている北沢防衛大臣と比べ、鳩山首相は何をやっているのでしょうか。友愛ボート構想について、防衛省や専門家の意見を聞いた上で発言しているとは、とても思えません。


【追記】

(2009/11/15)友愛ボート構想と米太平洋軍パシフィック・パートナーシップ(追記)
(2009/11/16)鳩山首相は友愛ボート構想=米国主導のパシフィック・パートナーシップへの参加と最初から明言していた

15日の産経新聞の報道は戦闘用の護衛艦を友愛ボートと呼称する案とは別で、特に問題は無いことが判明しました。
03時18分 | 固定リンク | Comment (189) | 政治 |
2009年10月10日
あれぇ・・・

防衛大綱見直し、来年末に先送り…政府方針:読売新聞

またブレたんですか。

(2009/09/24)民主党政権は防衛大綱を先送りしない方針に

あれから三週間も経ってないですよね?

防衛大綱を先送りしよう→先送りはやっぱり良くないので改定する→時間が無くて結局、無理でした

はぁ・・・とはいえ、注目すべき事が読売新聞の記事中には有ります。



防衛力整備に関しては、「緊密で対等な日米関係」を構築するためにも、日本が東アジアの安全保障について応分の負担を担う姿勢を示すことが重要だとの考え方が強まった。このため、今後1年間、慎重に検討し、中期的な計画を決定するべきだ、と判断した。


これを素直に読めば「在日米軍の削減の代わりに自衛隊の戦力を強化する」となります。韓国が在韓米軍を削減した時に自国軍を強化したのと同じ理屈です。しかし軍拡に転じる覚悟が民主党政権に本当にあるのでしょうか・・・現段階では信用できません。更に言えば「東アジアの安全保障について応分の負担」とは、この地域が不安定化した場合に積極的に自衛隊を介入させる、という事になるわけですが・・・憲法9条の改正を行わないと、その役割は達成できないでしょう。
11時20分 | 固定リンク | Comment (114) | 政治 |
2009年09月29日
これは・・・良い意味で予想外です。先日に「民主党政権は防衛大綱を先送りしない方針」が決まり、良い方向転換だと思いましたが、ここまで変わってくるとは思っていませんでした。


■北澤防衛大臣「予算減額の考えない」:News i - TBSの動画ニュースサイト
 鳩山総理が来年度予算の概算要求の見直しを各省庁に指示したことに関連して、北澤防衛大臣は「減額する考えは私の頭の中に無い」と述べ、防衛予算の削減に消極的な姿勢を示しました。

 防衛省では北澤防衛大臣が幹部を集め、来年度予算の概算要求の見直し作業を進めるよう指示しました。

 北澤大臣は会見で、7年連続で削減されている防衛省関連の予算を、概算要求のおよそ4兆8000億円から削減することに消極的な姿勢を示しました。

 北朝鮮の弾道ミサイルに対応するための地対空誘導弾=PAC3の配備を増強するなど、新たな装備についても北澤氏は「トータルの額に影響がないよう工夫されている」と述べました。

 一方、沖縄の普天間基地の移設など、アメリカ軍再編に関連する予算が前の年度と同額で仮置きの形で要求されていることについては、「極めて微妙で、十分協議していく」と述べるに留まりました。(29日13:10)


もちろんこれは北澤防衛大臣の考え方であって、鳩山首相(あるいは小沢幹事長)の鶴の一声で吹き飛ぶ可能性もあります。ですが、防衛大臣がはっきりと予算削減に反対する姿勢を示した以上、かなり大きな望みが出てきました。

(2009/08/25)民主党の安全保障政策が問題視されている最大の原因

とはいえ、過去に機甲師団廃止や防衛費5000億円削減などあまりにも酷い防衛政策を掲げた事もある民主党です。最終的な方針が決定しない限りは、安心は出来ません。今後は北澤防衛大臣の頑張りに期待したい所です。

これまでアジアの国々は日本が軍縮を続けている間にも、ずっと軍拡を続けてきました。もうこれ以上、日本一国だけ軍縮を続ける状況は、軍事バランスが崩れていく事を意味し、地域の安定の為にも、許容出来ないのです。

防衛省:大臣会見概要 平成21年9月29日平成21年9月29日(11時40分〜11時59分)

此処に今回の詳しい会見内容が掲載されています。勉強会の効果はかなり高かった事がよく分かる内容です。大臣は現場の説明を理解し信頼していることが伝わってきます。
21時09分 | 固定リンク | Comment (225) | 政治 |
2009年09月24日
民主党の防衛政策に関する当初の腹積もりは、来年の参院選で勝利して社民党を放り出すまで防衛大綱を先送りする予定だったようですが、ここに来てその方針は取り止めた模様です。

■防衛大綱、改定作業が加速…鳩山政権が積極姿勢:読売新聞

■北沢防衛相 大綱、中期防「先延ばしせず」年内とりまとめに意欲:産経新聞

日本の防衛指針の決定を先延ばししない事や、補正予算の執行停止が難しい案件については撤回するなど、方針転換を行っています。この動きについては歓迎すべき事だと思いますが、しかしこれで「民主党政権の防衛政策」が近い時期に示されるという事になります。最終的な評価はその中味を確認してからになるでしょう。

ただ、早速こんな事を言い出しています。

与那国島への陸自配備を撤回 防衛相インタビュー:日経新聞

確かに元々、陸上自衛隊の島嶼防衛の基本方針は「取らせてから取り返す」ですから、その方針に忠実に従う戦略は別に間違ってはいませんが・・・奪い返す逆上陸作戦用戦力の充実を図って貰える・・・ようになるとは思えないですね。あまり期待が出来ません。

ちなみに何故、離島は「取らせてから取り返す」が基本なのかというと、小さな島に少人数の防衛戦力を張り付けても、敵侵攻側は事前に情報を収集してそれ以上の兵力を用意してやってくるので、どっちみち防ぎきれず短時間で制圧されてしまうからです。対馬のように大きな島なら、少数戦力であっても山に逃げ込んで遅退戦闘が出来ますが、そのスペースも無い小さな離島では、大戦中の硫黄島のように要塞化する以外に抵抗する手立てがありません。そこで防御力の低い小さな島の場合は一度相手に取らせてから、それ以上の戦力を用意して奪い返す事が効率の良い戦い方となります。太平洋戦争の島嶼戦での戦訓ですね。

では与那国島への陸上自衛隊配備方針は一体何かというと、地元住民による地域振興を目的とした自衛隊誘致活動、そして政治的に「自衛隊を最前線に置いて周辺諸国への意思表示」をするという意味です。実は配置予定だったのは通信部隊(というか沿岸監視・通報部隊か)ですので、戦闘は最初から行うつもりの無い配備方針でした。

結局は島嶼戦の「取らせてから取り返す」という基本方針について、陸上自衛隊はずっと一貫しています。
22時38分 | 固定リンク | Comment (211) | 政治 |
2009年08月31日
総選挙で民主党が勝利し、自民党は下野する事になります。安全保障政策(特に防衛予算)の面で民主党が政権に就く事には大きな不安がありますが、選挙とは国民の選択の結果であり、結果が気に入らないからといって国民を愚民呼ばわりしたり、安易に日本終了などと言い出す行為はすべきではありません。もし防衛予算5000億円削減を本当に実施してきたら、言いたくはなりますが、まだ決まってない話です。

asahi.comの「2009総選挙」によると、結果は以下の通りです。

自公系・・・140議席(改選前332議席)
民社国系・・・322議席(改選前127議席)
共産その他・・・18議席(改選前19議席)

改選前と勢力がほぼそっくり逆転する結果となっています。民主党は単独で三分の二を獲得までには至らず、来年夏の参院選で単独過半数を確保しないかぎり、連立を組む社民党の影響力は色濃いままです。

民主党の安全保障政策で最大の問題点は「防衛予算」です。この点については5年前から警告を発し続けています。最近、纏めた記事が以下の通りです。

(2009/08/25)民主党の安全保障政策が問題視されている最大の原因とは?

それでは「防衛予算」では既に語っているので、今度は「安全保障外交」について語っていきましょう。民主党は海賊対策では海上自衛隊の投入を認めると従来の主張を転換しマニフェストに書いているので、先ずはインド洋給油活動とアフガニスタン地上部隊派遣の問題について取り上げます。

民主党はアフガニスタン対テロ作戦で活動中の海上自衛隊艦艇を撤退させる気です。ただし一方的に撤退した場合、アメリカとの軋轢が生まれるので、恐らく海上自衛隊の補給艦をソマリア沖の海賊対策に差し向ける事になるでしょう。そうすればこの方面で活動する補給艦の全体数は変わらず、給油活動としては他国に悪影響は出ないと言い訳が出来ます。ただしアメリカは「日本がアフガニスタン対策で協力している」事を重要視しているので、代わりに陸上での支援を要請してきます。そして民主党は小沢一郎代表代行が代表時代の2年前にISAFへの陸上自衛隊派遣を主張しており、実施する可能性があります。しかし社民党は反対するでしょうし、民主党内部でも異論があるので、実際に派遣するかどうかは流動的です。なおアメリカは陸上自衛隊の輸送ヘリコプターの派遣を望んでいます。

実際のところ、インド洋給油活動は当初はともかく現在は活動そのものが低調で、今はパキスタン海軍艦艇に給油しているぐらいで、海上自衛隊補給艦の給油全体量は小さなものです。パキスタンは自国の目の前が作戦海域ですから、本来は給油艦無しでも作戦参加は可能です。2〜3隻でローテーションを組めばよく、それに加え、自前の補給艦が2隻あるので、能力的には問題は無い筈です。 つまり海上自衛隊が給油活動を継続しているのは政治的な意味合いだけが理由となっています。アメリカは日本が対テロ作戦に協力している事実が欲しく、日本は海で協力しているから陸には行かなくて済むという口実の為です。その他の意味合いは見当たりません。

それでも無理矢理に他の政治的意味を捻り出そうとする意見もありましたが、私は過去に以下のような回答を出しています。



【質問】 「何かと不安定なパキスタンを、反テロ戦線に繋ぎとめてきた役割は、海上自衛隊の給油活動が果たした」って本当ですか?

【回答】 断じていいですが、それは思い上がりです。パキスタンは自国内でタリバーン勢力と激しい戦闘を行っており、それを継続するか和平を行って停戦するかは、日本の給油活動の如何とは全く関係が無い次元の話です。


パキスタンは自国の陸地でずっと対テロ戦争を実行中で、昨年にタリバーン運動を非合法化して全面対決路線に入り、今年はアメリカ軍の無人機がミサイル攻撃でパキスタン・タリバーン運動の指導者、ベイトゥラ・メスード司令官を殺害しています。もう和平の道は遥か遠くへ行ってしまっています。パキスタンは対テロ戦争から抜ける事は出来ません。

以上のように現状のインド洋給油は「アメリカは日本が対テロ作戦に協力している事実が欲しく、日本は海で協力しているから陸には行かなくて済むという口実の為」でしかありません。しかし私はこれが日本にとって最も賢い選択であったと思っています。アフガニスタンの陸地はこれから激しい戦場になります。パキスタンでの戦闘激化はアフガニスタンに波及し、アメリカは兵力を増強して厳しい局面が訪れます。

最悪のタイミングでアフガニスタンの陸地に飛び込む可能性など、あまり考えたくない話だったのですが・・・
06時46分 | 固定リンク | Comment (347) | 政治 |
2009年08月26日
それでは前回の記事への疑問の声について返答したいと思います。とはいえ、記事コメント欄に書き込まれた疑問・反論の類は常連さん達が皆で手早く処理してしまったので、私が対応するのは「はてなブックマーク」へ書き込まれたコメントへのものです。

これはお願いなのですが、このように疑問や反論は記事コメント欄に書き込んで貰えれば即座に手の空いた誰かが対応してくれるので、ブックマークで呟くより素早く答えが返って来ます。ですので、今後は疑問や反論はなるべく記事コメント欄に書き込んで下さい。正直、ブックマークのコメントにはレベルが低過ぎてわざわざ記事に書いて対応するのが馬鹿らしいものがあるので、こちらも時間の無駄は省きたいです。

それでは、はてなブックマークコメント回答編に行きます。

はてなブックマーク - 民主党の安全保障政策が問題視されている最大の原因とは? : 週刊オブイェクト

man.jpgscopedog オーストラリアの財政が赤字ってのは間違いでしょ。経常収支と勘違いしてないか?GDPは3%の成長だし、失業率も低下している。財政収支は黒字が続いている。経常収支が赤字なのは民間の消費が活発なためだと思うが? 2009/08/26

面倒だから一言でいいですか? 「ググれカス♪」・・・では以下を参照して下さい。

連邦政府2009年予算案発表 戦後最大の財政赤字 黒字化は6年後:The Japan Australia News
「国造り」予算案、財政赤字は戦後最大[経済]:NNA.ASIA
豪、09年度予算が財政赤字に転落 経済失速で税収落ち込む :日経新聞

と、いうわけでオーストラリアは戦後最大の財政赤字に陥りながらも、防衛予算の大幅増額を決断しました。むしろ「防衛予算も公共事業の一環だ!」とばかりに予算を注ぎ込んでいる様子が見て取れます。景気対策なのでしょうね。

man.jpgasahichunichi というよりさ、経済がめちゃくちゃな時に軍事費減らさない国がどこにあるの。バカなのかねえJSFは 2009/08/25

というかさ、経済がめちゃくちゃな時だからこそ軍事費増やした国の例(オーストラリア)を前回の記事で示した筈じゃないの。scopedogより読解力無いのかねぇ、asahichunichiは。

まぁそのscopedogさんのブクマコメントでさえも相変わらずピント外れだったんですけどね。

それと、防衛予算の圧縮を図ったアメリカのオバマ政権ですら、今年に決めた予算は前ブッシュ政権の時よりも210億ドルの増額となっています。つまり結果的には軍拡しているのですね。もし大統領選挙で共和党のマケインが勝っていたら、それを遥かに上回る増額を行ったでしょうから、それに比べればオバマ政権は軍縮指向にはあります。自国経済も大変な状況ですから。ですが、オバマ政権はいきなり軍事予算大幅削減という真似はしていません。突然の方向転換をした場合、軍事力の構成そのものが破綻をきたし、一時機能不全に陥るからです。増やす分にはいくら増やしても構いませんが、減らす分には慎重にしないといけません。オバマ政権はイラクから撤退する方向ですが、アフガニスタンでは本格的な掃討戦を始める予定なのですから。

日本は自民党政権下で長年に渡って防衛予算を少しずつ減らしていました。7年連続で減少していたと思います。横ばい状態も含めれば10年以上、この傾向は続いています。それは一気に減らすことは軍事力の崩壊を意味し、周囲に軍事的緊張が存在している中でそのような真似が出来る筈も無いからです。オバマ政権が防衛予算を減らすどころか増やした事を合わせて見ても、日本の民主党が掲げていた防衛予算5000億円削減という数値が如何に危険なものかは分かると思います。

man.jpgbogus-simotukare 皆して軍拡を始めたらチキンレースでまずいと思うけど、そこをどう考えているんだろ、JSFは/教育、福祉、景気対策とか軍事以外に大事な物もたくさんあるしね 2009/08/25

貴方もかなりコメントの毒気が抜けてきましたね、bogus-simotukareさん。それは良い傾向です。なにしろ脊髄反射で噛み付いていったら、scopedogさんやasahichunichiさんのような目に遭うだけですから。学習する事は大事です。

皆で軍拡レースを行う事は確かに不毛な事です。ですが日本が10年近く軍縮を続けても周辺国は誰も付いてきませんでした。アジアの軍拡傾向は日本の動向とは全く無関係であり、日本が軍縮をしようが軍拡をしようが全体の傾向に影響を及ぼす事はありません。もう手遅れなのです、軍拡レースは既に始まっているのですから。既に不味い状況に陥っているのです、我々の意思とは無関係に。

我々は予算の許す限り、可能な範囲で、できるだけ軍事力の強化を図らねばなりません。予算的に日本が大幅な軍拡をすることが無理なのは承知しています。ですが大幅な削減だけは止めて貰わなければ、取り返しの付かない事になるでしょう。下手をすれば10年以内に中国どころか韓国にすら防衛予算額で追い抜かれる可能性すらあります。なお中国には既に抜かれています。

(2005/10/24)韓国は軍拡中なのです

韓国も左派政権下で軍拡を続けています。ただし4年前に韓国が制定した軍拡規模は流石に無理があり過ぎて、軍備増強の勢いは鈍化しており、10年以内に日本を追い抜く事はまず無いとは思います。しかし日本が、民主党が過去に掲げた単年での防衛予算5000億円削減を実行した場合、近い将来に追い抜かれます。事態は其処まで切迫しているのです。


さて意外と長くなりましたので、この他の疑問・反論コメントへの対処は当記事コメント欄で行いたいと思います。

疑問・反論を書きたい方へ。なるべくでいいですからブックマークではなく記事コメント欄へ書き込んでください。大抵は数十分から数時間以内に、早ければ数分で読者の誰かが対応してくれますので。
23時53分 | 固定リンク | Comment (376) | 政治 |
2009年08月25日
民主党を批判する理由として「安全保障政策」を掲げる人に対して、そんなことは心配要らない、むしろ民主党政権になれば安全保障政策はより前進する、と解説する人が居ます。

民主党政権だと安全保障政策が進展するというパラドックス | 政局LIVEアナリティクス 上久保誠人

「マニフェスト選挙」に踊らされる民主党の愚(前編) - かみぽこぽこ。

政権を担う立場になれば安全保障政策は現実的なものに転換せざるを得ず、事実、民主党は以前からの主張を変えて来ています。それは確かにそうです。過去の事例を見れば日本でも海外でも、左派政党がいざ政権に参加したら、以前の右派政権よりも前進した安全保障政策を取るケースが非常に多い事は確かです。

しかし実はこの点について私は最初から問題視していません。なにしろ民主党は一部の安全保障政策では、主張の転換前から自民党よりも戦闘的な案(陸自アフガンISAF参加)を出しているケースすらあります。むしろ「外交面での安全保障政策」では、民主党は自民党よりも自衛隊を危険に晒す可能性を批判していたほどです。

(2007/10/20)海での貢献で済むなら陸に派遣する必要は無い

私が民主党の安全保障政策を批判していた最大の理由は、外交面ではなく内政面、それも憲法9条や集団的自衛権とかそういうものではなく、もっと直接的なもの、つまり「防衛予算」の金額そのものを、民主党が大幅な削減をするのではないかという懸念です。過去に民主党は「防衛予算5000億円削減」を掲げています。その上に過去に民主党は「機甲師団の解体」を主張しており、それを実行してくるのではないかという懸念です。最大の不安は予算であり、次の不安は機甲戦力の存続に関するものです。この点について政治評論家や政治系ブロガーに不安をぶつけて見ても、恐らく有効な回答は返って来ません。彼らの分析能力の埒外にある話だからです。

(2007/09/26)民主党の国防政策と長島昭久議員を評価しない理由
(2009/07/16)民主党鳩山代表が過去の「機甲師団廃止」の公約を匂わせる発言

なお民主党の掲げた防衛予算案の推移は以下の通りです。

【菅直人】2004年民主党政府対抗予算案防衛費「1000億円削減」
【岡田克也】2005年民主党政府対抗予算案防衛費「5000億円削減」
【前原誠司】2006年民主党政府対抗予算案「金額を提示せず」
【小沢一郎】2007年民主党政府対抗予算案「そもそも作成せず」

2004年の時も民主党は当初は防衛予算5000億円削減を掲げていましたが、党内の抵抗に遭い1000億円削減に落ち着いています。ところが2005年では何の抵抗も無く5000億円削減となっています。この時の民主党の党首は岡田克也です。なお同氏は今年の5月にも防衛予算の削減に言及しています。

岡田克也幹事長が防衛費と私学助成の削減に言及: たむたむの自民党VS民主党

岡田克也幹事長の過去の行動、最近の言動から見ても、この人が今、民主党の代表ではないという事実はせめてもの救いです。この人が民主党の代表であった場合、かなり高い確率で防衛予算の大幅な削減が実行されていたでしょう。5000億円削減も有り得たかもしれません。現在の民主党の鳩山-小沢ラインならば、幾らなんでも5000億円削減と言う無茶な削減幅は実行しないでしょう。しかし1000億円程度の削減を実行してくる可能性は残ります。

何故ならば民主党の掲げる政策はどれも金が掛かることばかりなのに、財源がまるで見当たらないからです。無駄な部分を省いて捻り出すと言っていますが、そんなものが何兆円と見付かる筈も無く、必要な部分もカットせざるを得なくなります。既に民主党の一部の福祉政策は実質増税となっており、防衛予算にも手を付けてくる事は簡単に予想できます。


朝日新聞と東京大学の共同調査(2009年8月23日)
減らしたほうがよいという意見が多かったのは、自民候補は国際協力(21%)、公共事業(17%)、防衛(7%)の順。ただこの3分野でも8〜9割は削減を求めず、削減分野をひとつも選ばなかった候補が64%に及んだ。予算削減に消極的な姿勢は鮮明だ。

民主候補は72%が公共事業を選び、防衛(29%)、国際協力(19%)が続いた。公共事業と防衛で削減に前向きなのが、自民との違いといえそうだ。

公共事業減額を求める声は民主のほか、みんな(92%)、共産(91%)、社民(76%)で強かった。防衛の削減論が強いのは共産(100%)、社民(同)、公明(51%)。国民は40%が国際協力の減額を唱えた。


現状では民主党が政権に就いた場合、防衛予算を大幅に削減してくる懸念が強いです。自民党も過去7年、防衛予算を削減し続けてきました。微減をずっと続けていたわけですが、周辺国の大幅な軍拡競争、いや周辺どころかアジア全体の大軍拡が始まった事を受けて、軍縮傾向を転換しようと方針を固めていた矢先でした。果たして民主党は地域の軍事バランスを無視して大幅な軍縮を行ってしまうのでしょうか。その可能性は高いと言わざるを得ません。

民主党の直嶋正行ネクスト防衛大臣は、「民主党は防衛政策について何も決まっていない」と言っているようです。また8月5日の朝日新聞記事では、以下の様な民主党の方針が語られていました。


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鳩山氏は政権交代後にオバマ米大統領と信頼関係を築くことを優先する考え。安保政策の各論に踏み込めるのは来年夏の参院選単独過半数を確保してから、というのが党内の共通認識だ。年末の防衛計画大綱見直しも「先送りすればいい」(政調幹部)といった声が早くも出ている。


社民党を切り捨てるまでの1年間、安全保障政策の制定は棚上げする目論見だそうです。1年後の参院選で単独過半数を得たら社民党との連立は解消し、民主党の自由な安全保障政策を打ち立てるそうですが・・・その為に1年間も安全保障政策を空白なまま放っておく? 防衛大綱も放置? 呆れてモノが言えないです。只この懸念は、総選挙で民主党が大勝すれば心配する必要が無くなります。


衆院選:民主320議席超す勢い 本社世論調査 - 毎日新聞
民主党は衆院選後、社民、国民新両党と連立政権を組む方針を示しているが、衆院の3分の2(320議席)以上を占める大勝となれば、提出法案が参院で否決されても単独で再議決が可能となる。


民主党が衆議院で3分の2を占めれば、社民党の影響力を大幅に落とす事が出来るので、連立政権を組んだ場合でも民主党は踏み込んだ安全保障政策を取る事が出来ます。いざとなれば再議決をチラつかせれば社民党は何も抵抗できなくなります。ただしこれは1年後の参院選で自公が勝利して単独過半数を奪い返したとしても、民主党の政権運営に大きな支障を来たさないということでもあります。


それでは最後に、各国で左派政権が誕生した際に安全保障政策がどうなったかを紹介しておきます。

○イギリス労働党政権・・・イラク戦争、アフガニスタン戦争に参加。

○ドイツ社会民主党政権・・・単独政権時代に安全保障政策の大転換を決断。


独軍改編へ、介入・平和維持・後方支援の新3軍に(2004/1/17/ 読売新聞)
第二次大戦後長らく、国外派兵に厳しい足かせをはめてきたドイツ軍が、全世界への展開にむけて名実とも生まれ変わることになった。全軍(現在28万5000人)を世界各地の紛争や危機に即応できる「介入軍」、平和維持を主任務とする「安定化軍」、および両軍の後方支援などを担う「支援軍」の3軍に新編成する方針を明らかにしたからだ。
第二次大戦の反省から、ドイツは1990年代半ばまで、派兵を北大西洋条約機構(NATO)域内に限定してきたが、今回の新編成で「戦後」と完全に決別することになる。
 
シュトルック国防相は昨年5月、ドイツ軍の主任務を「専守防衛」から「国際紛争への対処」に切り替える方針を示し、今月13日、その新編成を発表した。


○スペイン社会労働党政権・・・イラクからの撤退を実行するも、代わりにイージス艦をペルシャ湾に派遣。そしてトマホーク巡航ミサイルの購入をそのまま実行。

(2006/01/02)スペイン海軍のイージス艦がペルシャ湾で米艦隊と合流


●政府、トマホーク購入へ【スペイン マドリッド 2007年5月14日】
スペインは、アメリカ合衆国、イギリスに次いで世界3番目にトマホークミサイル保有国となる。政府は、米海軍を仲介に、24基のトマホークミサイルを米国Raytheon社から7200万ユーロで購入予定。トマホークは1,600キロ先の標的を10メートルの誤差で狙えるミサイルで、湾岸戦争やコソボ紛争、アフガニスタン、イラク戦争で米軍により使用された。スペイン軍では、2008年から2012年の間にフリゲート艦F-100及び潜水艦S-80に配備する予定。


F-100級フリゲート=アルバロ・デ・バサン級イージス艦
S-80級潜水艦=スコルペン級潜水艦

○イタリア民主党(ルニオーネ)政権・・・イラクからの撤退(ただしこの方針は右派の前政権が決めていたことだったので総選挙の争点にはなっていない)、アフガニスタン派遣継続、ヴィチェンツァ米軍基地拡張。


プローディ首相が米軍基地拡張に賛成:La STAMPA News Clips
プローディ首相が、ヴィチェンツァ(ヴェネト州)の米軍基地拡張を認める意向を示した。この基地はエーデレキャンプと呼ばれ、Setaf(南欧機動部隊)の司令部が置かれている。今回の拡張では1,800人の兵士を増員し、規模を倍にしたい考え。関係者と合わせて1万2,000人が生活することになる。ベルルスコーニ前政権は既に同意の意向を示していたが、現プローディ政権ではPrc(共産主義再建党)、Pdci(イタリア共産主義者党)、Verdi(緑の党)などの政党を始めとして反対の声が多かっただけに、この決定を受け、中道左派内には亀裂が入り、中道右派とアメリカは大満足しているようだ。


○オーストラリア労働党政権・・・イラク撤退、防衛予算拡大、ミサイル防衛システム導入の継続、潜水艦の倍増(6隻→12隻)、多目的空母の建造継続。

(2009/05/08)東南アジアに拡散する潜水艦

ラッド首相は家族ぐるみで親中国派ですが、その政権は中国の軍拡が原因による地域全体の軍拡競争を指摘、対抗する為にオーストラリアも軍拡を行う事を表明。なお今年のオーストラリア財政は戦後最大の赤字を記録しそうな勢いであるにも拘らずに、です。


さて、日本の民主党がオーストラリア労働党政権のような決断を降してくれるでしょうか・・・望みは薄いのですが、ただ日本の民主党はミサイル防衛システムの導入には終始一貫して賛成の立場にあり、その点については心配が要りません。ただし、鳩山由紀夫党首は過去にレーザー兵器によるミサイル防衛システムの開発を主張しており、何か技術的に過度な期待を掛けている恐れがあります。

今年の年末にアメリカでエアボーンレーザーの実地迎撃試験が初めて行われます。これが成功を収め、レーザーで破壊される弾道ミサイルの映像が報道された場合、鳩山党首の勘違いが更に進化してしまう事を心配してしまいます。
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2009年07月16日
民主党は6年前の2003年に「陸上自衛隊の機甲師団を廃止する」というマニフェストを掲げた事があります。それを思い起こさせる発言が最近、鳩山党首の口から飛び出ています。


【鳩山会見】「第七艦隊発言は誤解、党として考えず」:産経新聞
もっと分かりやすく言えば、特に私の選挙区であります北海道にも自衛隊の戦車がたくさん存在しておりますが、果たして今の時期、陸からの侵略のような話が、北海道に起こるとはとても考えられない。


単なる現状分析としては、別に外れてはいません。しかしもし、北海道の千歳市に駐屯している日本唯一の機甲師団、第7師団を解体するという6年前の公約を政権交代後に実行すると言うなら、話は別です。


民主党政権政策3-5/マニフェスト 2003/10/05:江田五月 公式サイト
(7) 国民を守ることができる防衛力整備への転換を図ります。

平成17年中に新しい防衛構想を策定して、ミサイルの脅威やテロなど多様な危機に柔軟に対応できるようにします。

新しい防衛構想では、(1)陸上自衛隊の削減、(2)テロなどに対処する特殊部隊導入強化、(3)予備自衛官の拡充、(4)機甲師団の廃止、戦車、火砲の20%縮減、(5)陸海空3自衛隊の統合運用強化、(6)軍事技術のハイテク化・IT化、(7)ミサイル防衛力の向上―などを5年以内に実現することをめざします。

また、弾道ミサイル防衛については、その必要性を踏まえ、費用対効果など総合的観点から検討を進めます。

これらに必要な予算は約5000億円となりますが、従来の防衛予算の中での振替で対応します。


この2003年の時はまだ防衛費削減を掲げていなかった民主党ですが、翌2004年に「防衛費1000億円削減」を、翌々年の2005年には「防衛費5000億円削減」も掲げており、その出鱈目な国防政策にはもうウンザリしています。周辺国が全て軍拡している最中に防衛予算の余りにも大きな削減幅を掲げる事自体がナンセンスであり、機甲師団の解体は日本の機甲兵力の消滅を意味します。分散配備されたら集中運用される敵機甲戦力に対抗する手段が無くなるでしょう。

冷戦が終結し、ソ連が崩壊し、ロシアの機甲戦力が攻め寄せてくる可能性が低下したヨーロッパでも、ドイツ、イギリス、フランス、イタリア、どの国も機甲師団(旅団)は残しています。万が一の為に備えるのが軍隊であり、迂闊に廃止すれば再編成は大変な労力が掛かる事を考えると、安易な廃止論は行うべきではありません。戦車の代わりに輸送ヘリコプターを配備して空中機動師団にした方が良い、という意見もありますが、ヘリコプターは戦車よりも高価である、という認識はちゃんと出来ているでしょうか。数を揃えないと意味は無く、予算を増額して貰わないとヘリコプター中心の戦力は配備できません。

民主党は選挙前に、国防政策に関してハッキリした公約を掲げて下さい。過去の公約を見る限り、このままではとてもではないですが支持は出来ません。何も言わないのであれば過去の公約をそのまま踏襲するものとして、「民主党は防衛予算を単年で5000億円削減し、機甲師団の廃止を目論んでいる」と見做して、今後も記事を書く事にします。

一方、民主党はミサイル防衛(MD)については以前から終始一貫して推進の立場を表明しており、現在の鳩山党首はその中でも最も強力なMD推進論者ですが、その主張を見ているとレーザー兵器によるMDに過度な期待を寄せた妄想的なもので、現実のMD技術について正しい認識を持っているものとは到底思えず、逆に不安になります。

民主党の鳩山党首は妄想ばっかりのお花畑な人かと思えば、核の持ち込みについては「現実的な対応」と言ってみたりと、現状では評価に苦しむ所があります。取り合えずは今後の防衛予算のあり方についてどう認識しているのか、はっきりさせて欲しいです。選挙前に社民党の機嫌を損ねたくないと黙っているなら、過去の公約をそのまま踏襲すると見做すしかありません。
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2009年07月15日
これでマスコミは梯子を外された格好に。


核持ち込み“黙認”、鳩山代表「現実的な対応」 :読売新聞
民主党の鳩山代表は14日の記者会見で、日米両政府が核兵器を搭載した米艦船の寄港などを黙認する密約を交わしたとされる問題について、「非核三原則が堅持される中で、北朝鮮の問題も含め、必要性があったからこそ現実的な対応がなされてきた。(今後も)その方向で考えるべきだ」と述べた。


とはいえ現在、核トマホークは分解されて陸上に封印中、他にも空母にも核兵器は積まれておらず、日本に寄港する米軍艦に核搭載艦は居ません。現在ロシアとの核軍縮交渉次第では、封印中の戦術核弾頭の完全廃棄も有り得る為、もしそうなれば「核の持ち込み」など今後は考慮する必要が無くなります。ロシアは保管中の核兵器の廃棄を要求している上、3年前にアメリカ戦略軍はトマホーク巡航ミサイル用の戦術核弾頭を維持する必要は無いと政府に報告しており、後はオバマ政権の決断次第になります。更にいえば寿命延伸改修を施されていない古い核弾頭は、放って置けばもうすぐ使用不可能になります。


トマホーク退役を懸念 政府側が米に伝達:中国新聞
米国が巡航核ミサイル・トマホークを数年後から退役させる計画に対し、日本政府側が米側に「懸念」を伝えたとみられることが10日分かった。「核の傘」の弱体化を回避したい意向とみられ、核兵器廃絶を唱える被爆国が核軍縮を妨げる矛盾を浮き彫りにしている。

米議会の諮問委員会「戦略態勢委員会」(委員長・ペリー元国防長官)は今年5月、米核戦略に関する最終報告書で「アジアの同盟国の一部が、巡航核ミサイルの退役を非常に憂慮している」と記述した。

同委員会の審議過程に詳しい米国の安全保障専門家は中国新聞の取材に対し「同盟国とは日本だと複数の関係者が証言した。(2013年にも耐用年数が切れる)トマホークに特段の関心を表明したものだ」と解説する。

委員会名簿には在米日本大使館の4人が「顧問」として名を連ねている。また最終報告書は、米政府が年末までにまとめる長期方針「核態勢の見直し(NPR)」に影響するとみられている。

ウェブサイト「核情報」主宰の田窪雅文さん(58)は「日本政府が拡大抑止(核の傘)の有効性に疑心暗鬼になっている表れ」と分析。一方、外務省北米局は「米国の個別の核戦力に日本が意見を挟むことはない。わが国に重要なのは、究極的な核兵器廃絶目標と日本の安全保障との全体的なバランスだ」としている。


ウェブサイト「核情報」では、一ヶ月前にこの話が記事になっています。

墓場行きを免れるか核トマホーク、日本の協力で?:核情報

W80核弾頭に寿命延伸改修を施せば、2040年代まで保持は可能です。しかしロシアとの格軍縮交渉が今のところは前進している感触ですので、米露の戦術核兵器は全廃される可能性が高く、核トマホークは消え去る方向にあります。

そうなれば今後の東アジアに於ける核戦力は、グアムのアンダーセン基地に配備されたB-2ステルス戦略爆撃機とB83戦略熱核爆弾が担う事になります。

しかし日本政府は核トマホークが消え去る事に懸念を示しているようです。どちらみち、アメリカ海軍の艦艇には核トマホークは積まれておらず、有事の際に封印中の陸上の倉庫から引っ張り出して現役復帰させない限りは核抑止力として機能しないのですから、それならグアムの戦略爆撃機と戦略核爆弾の組み合わせでも問題は無いように思えます。なぜ、艦艇に積んで日本の港に寄港しなければならないのでしょうか。トマホーク最新型は射程3000kmもあり、グアム沖から発射しても北朝鮮を直撃できる能力があるのですから、日本に寄港する必要も、海峡を抜けて日本海に入る必要すらありません。

核兵器搭載艦を寄港させる事で見せ付ける目的の核抑止力となる? それはないです。現状、もう核トマホークは積んでいない事を宣言しており、平時に置いては核抑止力としてすら機能しません。有事の際にトマホークを再核武装してから配備するにしても、相手が先制攻撃で核を使ってきたら間に合わず、結局はICBMやSLBM以外では、航空機搭載の自由落下核爆弾に頼る事になります。核トマホークではもう抑止力としても機能できていません。

核トマホークはそのうち完全に消える方向にあります。だから核を持ち込ませず、というお題目は別に真剣に考える必要性そのものが無くなります。
23時05分 | 固定リンク | Comment (71) | 政治 |
2009年07月04日
今日のバカネタ第二弾は毎日新聞の名物男、取材もせずに妄想だけで記事を書く毎日新聞の偉い人、金子秀敏さんより。関連記事としては最近の「共同通信が調子に乗り過ぎて自爆、核搭載艦について」 から端を発するネタですね。


早い話が:核の密約と北朝鮮の核=金子秀敏:毎日新聞
6月、韓国の李明博(イミョンバク)大統領が訪米しオバマ大統領と会談した。北朝鮮の核の脅威に対抗して米国の「核の傘」を再確認し、それを共同文書に初めて明記した。

「核の傘」を、最近は「拡大抑止」と呼ぶ。「拡大抑止(核の傘)」と書く新聞もある。「拡大抑止」と「核の傘」を同じ概念と見ている。ところがである。米韓が発表した「同盟未来ビジョン」では「拡大抑止(核の傘・を含む)」になっていた。「を含む」に注目だ。「拡大抑止」のほうが「核の傘」より大きいのだ。なにが増えたか。

韓国当局によると、バンカーバスターだ。レーザー誘導の地中貫通爆弾である。通常爆弾だが、岩盤を貫通して地下深く構築されたミサイル基地を破壊するという強力な兵器である。首脳会談の直前、米国はこの新兵器を韓国軍に供与することを決めた。


増えて無ぇ・・・「拡大抑止」は最初から「核の傘」より大きい範囲の概念です。同じものではなく、含むものです。それなのにこの書き方では、まるで米韓が突然新たに概念に追加したかのような誤解を読者に与えてしまいます。バンカーバスターは確かに新たに韓国軍に追加された兵器ですが、従来からある敵基地攻撃能力の延長に過ぎません。

「拡大抑止(extended deterrence)」とは簡単に言えば「同盟国に対する攻撃は我が国への攻撃と見なす」というもので、核攻撃に対して核反撃を行う「核の傘」が含まれますが、当然ですが通常兵器での攻撃に対する反撃も含まれますし、防衛兵器による迎撃(ミサイル防衛など)も含まれます。「拡大抑止」という単語には何処にも「核」という言葉は含まれていません。核に限定された話ではない事は、軍事に詳しくなくても分かりそうなものなのですが・・・

もう忘れているのでしょうか? アメリカの言う「拡大抑止(核の傘を含む)」とは、2年前に日本に対して明言されていた事を。


日米安全保障協議委員会共同発表 日本外務省 2007年5月1日
米国の拡大抑止は、日本の防衛及び地域の安全保障を支えるものである。米国は、あらゆる種類の米国の軍事力(核及び非核の双方の打撃力及び防衛能力を含む)が、拡大抑止の中核を形成し、日本の防衛に対する米国のコミットメントを裏付けることを再確認した。


今回、アメリカが韓国に明言した事は、過去に日本に対して明言した事の焼き直しで有り、別に目新しい事ではありません。アメリカの同盟国に対する基本スタンスを明言化しただけです。そして明言化した事に大きな意味があります。


早い話が:核の密約と北朝鮮の核=金子秀敏:毎日新聞
「核の傘」とは、陸上発射の大陸間弾道ミサイル(ICBM)、潜水艦発射の弾道ミサイル(SLBM)、戦略爆撃機の核ミサイルの3本柱である。米ソ冷戦時代、両国が吹き飛ぶほどの悪魔的な破壊力で「恐怖の均衡」を作りだした。

そんなものを北朝鮮が保有する程度の核には使えない。「鶏を割くにいずくんぞ牛刀を用いん」というが、牛(旧ソ連の核)に使う牛刀では大きすぎて鶏(北朝鮮の核)はさばけない。そこでバンカーバスターや日米ミサイル防衛システムが登場した。

それだけだろうか。かつて日本周辺に展開する米軍艦には、小型の核を搭載した巡航ミサイル「トマホーク」が装備されていた。冷戦後、核は外されたが、北朝鮮の核の脅威が生まれたいま、鶏を割く小刀としてトマホークによる「拡大抑止」が復活しないか。

米国は、日本や韓国に小型であっても核兵器を渡す気はない。日韓が拡大抑止ここにありと誇示するには、核付き米軍艦の寄港という手がある。核密約の時代が終わり、「非核二原則」の時代が来るのだろう。


面倒臭ぇ・・・こういう輩の勝手な妄想があるから、ミサイルから外して保管中のトマホーク用核弾頭(W80)をサッサと完全退役させて廃棄すべきなんでしょうね。前ブッシュ政権の時に軍側は「もう核トマホークは使う事は無いからW80は完全廃棄しちゃいましょう」と提言したんですが、ブッシュ政権には聞き入れられませんでした。


米、核巡航ミサイル保持へ/軍縮消極姿勢に反発も 共同通信 2007年2月20日
ブッシュ米政権が巡航ミサイル用の核弾頭「W80」の全廃を見送り、当面は弾頭を保持する方針を決めていたことが20日、分かった。米国の核兵器を統括する戦略軍(司令部ネブラスカ州)をはじめ制服組は弾頭の「退役」を進言したが、文民の政権高官が反対した。議会筋や政府高官が明らかにした。

制服組の意向が決定に反映されなかったことについて、議会筋は「核軍縮に消極的なブッシュ政権の姿勢の表れだ」と語った。有用性が疑問視される核兵器システムの保持にこだわる政権に対し、議会や軍縮団体から批判が強まりそうだ。

議会筋によると、戦略軍のカートライト司令官と海軍はW80の退役を主張。しかし文民の高官から異論が出たため、政権全体の総意を形成することができなかった。


軍の制服組が廃棄を要望しているので、核廃絶を掲げるオバマ政権なら直ぐにやってくれると思ってましたが、微妙な動きもあります。


米、保管核弾頭の削減に反対 ロシアとの新軍縮条約で:共同通信 2009年5月5日
米国のガテマラー国務次官補(検証・順守担当)は、インタファクス通信に対し、ロシアと交渉中の第1次戦略兵器削減条約(START1)に代わる新たな核軍縮条約について、ミサイルから外して保管している核弾頭は削減対象にすべきでないとの考えを示した。同通信が4日報じた。

これにより、オバマ政権もブッシュ前政権と同様、新条約では削減対象を、実戦配備されている核弾頭に限るよう変更を求めていることが判明。START1に比べ、新条約は軍縮面で一定の後退につながる可能性も出てきた。

核軍備で劣勢のロシアは昨年末、こうした米国の要求に対し、核管理体制を揺るがし、米ロ関係を損ないかねないと非難している。


「チェンジ」と言っていた割には意外とブッシュ政権からの引き継ぎが多いオバマ政権なのですが、ロシアとの核軍縮交渉は今行っている真っ最中で有り、話し合いは進展を始めている状況です。上手くいけばロシアの頑張り次第でトマホーク用核弾頭は完全に消え去ることになるでしょう。しかしオバマは率先してW80核弾頭の廃棄の方針を打ち出すと思っていたのに、消極的なのが残念です。

北朝鮮への「核報復」については、戦略爆撃機からの核巡航ミサイルや自由落下型の単純な核爆弾があれば十分でしょう。金子氏は理解していないようですが、ICBMやSLBMと違い、戦略爆撃機の核戦力はその使用に柔軟性があり、「牛刀を持って鶏を割く」とはならないのです。

なにしろ金子氏の言う核抑止力の三本柱の一つ「戦略爆撃機の核ミサイル」とは、トマホークと同じW80核弾頭を持つ空中発射巡航ミサイル(「AGM-86 ALCM」及び「AGM-129 ACM」)なのですから。保管中のトマホーク用W80核弾頭が消えても、ALCMやACMに搭載中のものは廃棄されないでしょう。

見せる為の核抑止力として、これ見よがしに「核付き米軍艦の寄港」を行うという選択の可能性は、米露の核軍縮交渉が大幅な後退を見せない限り実現する事は有り得ず、現時点での核軍縮交渉の推移を見る限り、核攻撃型トマホークの本格的な現役復帰は無いでしょう。逆にロシアが粘って保管中のW80核弾頭が廃棄される事になれば、今後二度と「核付き米軍艦の寄港」という懸念は行う必要が無くなります。

私は保管中のW80核弾頭を全て廃棄するべきだと思います。馬鹿げた難癖を付けられない為にも。
12時13分 | 固定リンク | Comment (39) | 政治 |
2009年06月17日
これは酷い。予防攻撃が国際法に違反する行為である事を理解していない人が、国防部会に居たんですか? 勉強不足にも程があります。


小池元防衛相が自民国防部会特別委員長を「抗議の辞任」:産経新聞
自民党の小池百合子元防衛相は16日、党本部で記者団に、党国防部会の基地問題対策特別委員長を辞任したことを明らかにした。

党の国防関係合同会議が麻生太郎首相(党総裁)に提出した提言の「敵基地攻撃能力の保有」の項目に「予防的先制攻撃を行わない」との文言が盛り込まれたことに抗議したという。

この文言は、提言の作成過程で、自民党の防衛庁長官・防衛相経験者会議が「外国に誤解を与えてはいけない」とする山崎拓元副総裁らの主張を取り入れて採用した表現。

敵基地攻撃は国際法や憲法、専守防衛の範囲内の「先制攻撃」の一種。「予防的先制攻撃」は差し迫った脅威ではないが放置すれば将来、受け入れがたい脅威をもたらす可能性のある相手を攻撃する国際法上違法な「予防攻撃」を指す。

小池氏は産経新聞の取材に対し「『専守防衛』で手足を縛り、『予防的先制攻撃』でさらに縛る。縛る話ばかりだ。日本の防衛政策を縛り続けていいのか。近隣諸国への配慮といっても、向こうは配慮なんてしない」と語った。


記事を見る限り、産経新聞はちゃんと予防攻撃が国際法違反であることを理解しています。そして予防攻撃=先制攻撃ではなく、先制攻撃の中でも自衛行為と認められないものが予防攻撃であり、先制攻撃自体が否定されたわけではないにも関わらず、小池氏の過剰な反応は安全保障の基本事項である自衛権についての論議を何も理解していない事を露呈してしまっています。

恐らく小池氏は「予防的先制攻撃」と「自衛的先制攻撃」の区別が付いておらず、「全ての先制攻撃が否定された」と勘違いしたのだと思います。しかし自民提言で否定されたのは、事態が切迫していないにも拘らず将来の可能性だけで仕掛ける「予防的先制攻撃(予防攻撃)」という行為であって、切迫した脅威が差し迫っている場合は「自衛的先制攻撃(自衛攻撃)」として先制攻撃行為が自衛行動として正当性が認められる場合があります。

イスラエルによるオシラク原発攻撃のケースでは、自衛的先制攻撃であると主張して認められなかったケースです。これは違法な予防攻撃であると国際社会は認定しました。

そして自衛的先制攻撃が認められるケースは、キャロライン・ドクトリンのウェブスター見解に合致する場合です。これは1837年にイギリスが、カナダの反乱に加担したアメリカ人義勇兵によって武器を輸送していた船キャロライン号を破壊した事件で、攻撃側のイギリスが自衛権の概念を史上始めて登場させたもので(しかも自衛的先制攻撃に該当)、それに対し被攻撃側であるアメリカのウェブスター国務長官が示した自衛権の範囲の見解を指します。これは今でも適用される概念です。

●ウェブスター国務長官による英国フォックス公使宛の書簡(1841年4月24日付)

「英国政府としては、目前に差し迫った重大な自衛の必要があり、手段の選択の余地がなく、熟慮の時間もなかったことを示す必要があろう。カナダの地方当局が、一時的な必要から米国領内に立ち入る権限を有していたとしても、非合理若しくは行き過ぎたことは一切行っていないことを示す必要があろう。自衛の必要によって正当化される行為は、このような必要性によって限定され、明らかにその限界内に止まるものでなくてはならないからである。」


(PDF)国際法と先制的自衛 清水隆雄
すなわち、キャロライン事件において、ウェブスター国務長官の挙げた条件、差し迫った自衛の必要があり、手段選択の余地がなく、熟慮の時間もないとき、という条件に合致するものであるならば、先制的自衛行為も許されるとする解釈を、国連憲章が締結されている現在でも採用している。このような解釈が可能なのは、国連憲章第51条が、先制的自衛に関して、以前から存在していた慣習国際法を廃止していないことをその理由としている。


上記は国立国会図書館の立法考査局外交防衛調査室の主任専門調査員である清水隆雄氏の論文です。キャロライン号事件の詳しい顛末も掲載されています。

つまり現在、日本政府が主張する先制攻撃とは、キャロライン・ドクトリンのウェブスター見解に合致する範囲の「先制的自衛攻撃」に限定されるものです。この主張は大量破壊兵器による攻撃についてどう対処すべきか、という議論への回答でもあります。仮に敵の攻撃を受けた後に反撃する行為のみが許される場合、最初の一撃で全ての決着が付く核戦争では一方的に滅ぼされる事になるからです。通常攻撃ならば一撃は耐えろという論理も成り立ちますが、核攻撃に対しては非現実的な対応です。その為、敵による核攻撃の意図を察知した場合、その手段を先制攻撃で阻止する行為は、正当な自衛権の行使であるという解釈が得られます。

しかし、難しい面がある事も確かです。ウェブスター見解に合致するかどうか判断する基準が曖昧であり、主観的に判断するしかないからです。その為、先制的自衛行動と主張して認められなかったケースが出てくる事が避けられません。



先制的自衛は、周辺国の動きに疑心暗鬼となりその対応を考えている国家にとって、極めて魅力的な考え方である。軍事的な利点から考えると、第一撃を加えることは、「武力攻撃が発生した場合」に、これに対応するよりも遥かに多い。しかしながら、客観的に見て、本当に差し迫った攻撃が予想されると判断を下すのはかなり困難な作業である。

先制攻撃を加えなければならないほど事態が切迫しているかどうかは、それを判断する人間の見解や感受性等に関わる問題である。このため、概して客観的な判断であるというよりも、主観的になってしまう傾向があることを免れない。その結果、濫用されやすくなる。

実際、人間は、自らの主観により判断を行うことが多いと言われており、時として相手の意図を見誤ってしまうことも多い。それを警戒してか、第二次世界大戦終了後においては、先制攻撃を行った例は少ない。

一方、実際、「武力攻撃が発生した場合」にのみ自衛権を発動するのであれば、武力攻撃という客観的な事態が、現に発生しているのであるから、客観的な判断が可能といえるであろう。


このように清水隆雄氏はこの論文で、先制的自衛攻撃の合法性に関する解釈を認めていながらも、その適用は困難な作業を伴うとも述べています。


日本国憲法は意外と先制攻撃を認めている - リアリズムと防衛を学ぶ
1.予防攻撃(preventive attack)…敵がミサイル発射に着手する前に攻撃/国際法違反/違憲
2.攻勢防御(Offensive Defense)…敵がミサイル発射に着手した時点で攻撃/ミサイルの場合ならば国際法と整合/合憲
3.反撃/反攻策源地攻撃(counter attack)…日本が攻撃の被害を受けた後に反撃/国際法に適合/合憲


zyesuta氏のこの記事は先制攻撃論について分かりやすく纏められており、はてなブックマークでも大きな反響を呼んでいます。

ただし「攻勢防御(Offensive Defense)」は使用する言葉としては不適当で、「先制的自衛(preemptive self‐defense)」の方が適当だろうと思います。この言葉は清水隆雄氏の論文でも、アメリカ政府が使用している事が紹介されていますので、日本政府も英文の資料で作成する場合に使用する言葉となるでしょう。
02時06分 | 固定リンク | Comment (204) | 政治 |
2009年06月10日
中国海軍の張召忠少将は国防大学で戦略学を指導している教授で、世界的にも有名な軍事識者です。冷静な分析を行う侮れない人物で、海軍に籍があるにも拘らず空母保有に消極的であり、国威発揚を目的に見栄を張るよりも、予算をもっと有効な箇所に投入すべきだと主張していた事もあります。空母建造が決定的となった後では「空母は必要だ」と主張を転向させていますが、以前はそうではなかったのです。

また張少将は、今年4月の北朝鮮によるテポドン2発射では「日本には迎撃を行う当然の権利がある」と、自衛隊が万が一の際に備えMDによる迎撃準備を整えていた事に理解を示しています。いえ、理解を示すというよりは「そんなの当たり前だろう」と常識を口にしているだけ、という風でした。

(2009/04/04)中国とロシアからも迎撃準備に理解する声

しかし空母の件にしろMD迎撃の件にしろ、"中国の将官"が行った発言としては特筆すべき話で、張少将が国防大学の教授というある程度自由に発言が出来る立場にあることも大きいでしょうが、少将自身の物事を見つめる姿勢の公平さが、たとえ日本を利する発言となっても、当たり前のことは当たり前だと言える態度に繋がっているのでしょう。ただ、いつかは上層部に問題視されそうな気もします。空母保有に関する持論を転向したのも、色々とあったのかもしれません。

その張少将が、日本の敵基地攻撃能力に関する論議で明快な判断を見せています。「日本は北朝鮮への先制攻撃を行ったりしない」と。


【識者の見方】日本の北朝鮮先制攻撃はない―中国軍少将:サーチナ
■平和憲法を持つ日本は先制攻撃を行なわない

 日本の平和憲法は、戦争の発動を認めていない。戦争の発動とは何か? 日本は1941年12月7日、脅威と考えた米太平洋艦隊を奇襲した。真珠湾攻撃だ。これが戦争の発動だ。現在の日本が、同様の行動をとることは絶対にない。北朝鮮が核兵器を持ち、ミサイル基地が存在すると知っても、日本がそれだけで先制攻撃することは、ありえない。

 麻生首相の発言は、政治上の観測気球だ。日本ではよくある話で、「気球」を上げて、周辺の反応をみてながら実際の行動を決めていく。反対の声があまりなければ、急激な軍拡を進める可能性もあるが、日本はそのような状況にはない。

■日本は北朝鮮攻撃用の武器も持たない

 また、日本は北朝鮮の基地を攻撃する能力が十分でない。これも、平和憲法の制約のためだ。日本のこんごう型とあたご型の護衛艦は、航続距離が最大3000キロメートルの巡航ミサイルを搭載できる。しかし、このような装備導入は、日本の防衛原則の重大な変更を意味する。米国から購入したり自主開発するとは思えない。

 朝鮮半島の緊張に伴い、日本では軍国主義を復活させる勢力が台頭しているとの見方がある。たしかに、軍国主義は警戒すべき問題だ。では、現実はどうなのだろう。日本は1945年に米戦艦のミズーリ号上で、無条件降伏に応じた。当時、日本の軍国主義は非常に恐れられていた。日本に進駐した米軍は、軍国主義の復活防止策に心血を注いだ。

 イラク、アフガンなどの問題に忙殺される米国の状況を見て、日本が「同盟国を助けるため、中国と北朝鮮の見張役を引き受けたい」と言い出す可能性はある。米国もある程度、許すだろう。しかし、米国が日本にすべてを許す可能性はない。他国への攻撃力を持たせることは、ありえない。

■中国の軍事力増強が日本で「脅威論」を助長

 世界第2位の経済大国になった日本にとって、警戒しなければならない対象は多い。ロシア、北朝鮮、中国、韓国、すべてを警戒しなければならない。本当のことを言えば、日本にとっては米国も警戒の対象だ。

 客観的にみて、北朝鮮脅威論、中国脅威論を理由に、日本は軍事力を増強させてきた。核兵器やミサイル実験などの北朝鮮の行為により、日本が軍備増強を一層進めることは、確実だ。ただし、具体的にどのような方向になるかは、まだ分からない。

 われわれが注意しておかなければならないのは、中国の軍備増強も日本の中国脅威論を招いてきたことだ。近年来、中国は軍事力増強を加速させた。そのため、日本でも「中国が強くなるなら、自らも強くなる必要がある」との考えが発生した。日本の軍国主義復活の問題は日本だけでなく、北東アジア全体の情勢と関わっている。

■米国も日本の「他国攻撃力」を許さない

 私の考えでは、日本が北朝鮮を先制攻撃する可能性は、現在のところ非常に小さい。ただし将来的には、可能性を排除できない。日本が過去半年間、専守防衛の範囲を少しずつ拡大してきたのは事実だ。しかし、先制攻撃を積極的防御と解釈するためには、法律面での準備が必要になる。

 また、軍事同盟関係にある米国が、日本が先制攻撃力を保有することを許すとは思えない。日本があまりにも強大になれば、米軍が北東アジアに展開する理由がなくなるからだ。これは、米国が決して望まないことだ。。


あれ? 張少将が言っている「先制攻撃」とは、予防攻撃を意味しているんじゃ・・・真珠湾攻撃を持ち出しているあたり、何か勘違いしている様子です。予防攻撃については日本は最初から検討の対象外です。

自民、敵基地攻撃能力保有を了承 予防的先制攻撃は行わず:産経新聞

ちゃんと文章としても明記しています。この事を明記する以前に、日本の敵基地攻撃能力論争は「海外から見れば、まさか反撃や攻勢防御の話をしているとは思われず、誤解を招く」という指摘が行われており、自民党が「予防攻撃は行わない」と明記した事は正解でしょう。

日本国憲法は意外と先制攻撃を認めている - リアリズムと防衛を学ぶ

詳しくはこちらで述べられています。敵基地攻撃能力には「予防攻撃」「攻勢防御」「反撃」 と三つのパターンがあり、日本は予防攻撃を行う積りは最初からありません。(注;ただし「攻勢防御(Offensive Defense)」は使用する言葉としては不適当で、「先制的自衛(preemptive self‐defense)」の方が適当)

張少将は何か誤解している恐れがあります。日本国内で誤解されやすい論争をしていた以上、仕方無いのかもしれませんが、ちゃんと「予防攻撃はしない」と明記されたので、今後はその誤解も解けると思います。

張少将のブログの主張は、ある意味で日本人よりも日本の事を信頼し、アメリカ人以上にアメリカを信頼しているとも言えます。日本は憲法の制約があるから先制攻撃は行わないし、アメリカも必要以上に日本に攻撃能力を与えたりしないと分析しています。いえ、信頼しているというと語弊があるかもしれません。現状の政治状況からいきなり敵基地攻撃が出来るように変貌したりはしないと判断しています。ただしそれは、法律面の整備が必要であり、これが出来れば可能となるという主張でもあります。

張少将の言う「航続距離が最大3000キロメートルの巡航ミサイル」とは、最新型のタクティカル・トマホークを意味します。張少将は、アメリカは日本にこれを売ったりしない、と断言しています。実際にこの巡航ミサイルの性能は、日本が対北朝鮮用に使う気ならば射程が過剰過ぎ、日本近海から発射すれば余裕で北京まで射程圏に収まってしまいます。海岸線に接近すれば中国奥地も全て射程圏です。張少将が「有り得ない」と言っているのは、アメリカが売ったりしないという信頼の他に、中国はアメリカに圧力を掛けるから日本は購入できない、という自分達の予定している行動を加味したものなのかもしれません。

またトマホークのような巡航ミサイルは基本的に照準システムが固定目標攻撃用であり、しかも巡航時間が長すぎるので、弾道ミサイルの移動式ランチャーのような動き回る目標への攻撃には向かず、貫通能力も高くないため、簡易なバンカーならともかく山をくり抜いた強固な地下格納庫には有効ではありません。

北朝鮮の核とミサイルの脅威を理由にして、ドサクサ紛れに北朝鮮相手には過剰な射程を持つ、中国奥地まで叩ける攻撃兵器を導入する行為は、例え日本が画策していてもアメリカが許可しないと張少将は判断しています。実際に、アメリカはトマホークの販売先を選択してきました。イギリスやスペインには売りましたが、販売を熱望するフランスには売りませんでした。日本が購入できる保証など、何処にも無いのです。売るにしても「発射にはアメリカの許可を必要とする」という条件が付けられる可能性も考えられます。

張少将はまた、日本が軍拡を行うにしても、北朝鮮の脅威の他には中国の軍拡が原因でもあることを認めています。自国の軍拡行為を認めて日本がそれに対応することを理解する発言で、中国側からこのような見解が出て来ることは、実に意義深い事だと言えます。
20時25分 | 固定リンク | Comment (137) | 政治 |
2009年06月04日
今年は天安門事件20周年なのですが・・・各社が無難な記事を出す中、あの新聞がやってしまいました。いや、「あの新聞が」、というより「あの記者が」、という記事なのですが・・・


早い話が:天安門事件は良き時代=金子秀敏 - 毎日新聞
 6月4日。20年前、1989年のこの日に天安門事件が起きた。中国では日付から「六四(リュースー)」と呼ぶ。当時、北京支局で事件を体験した。いまでも断片的に記憶がよみがえる。

 前日の3日の午後。広場にはきたないテントが林立していた。ビラを集めながら、広場中央の人民英雄記念碑に向かった。民主化運動の司令部があった。碑の周囲は、竹や角材を組んだ壁を組み合わせた複雑な迷路で、リーダーのいる指揮所には簡単に近づけない仕掛けになっていた。

 迷路をうろうろして記念碑の石段を上がり、広場を見渡せる高台に出た。西に大きな人民大会堂のビル。その上空が真っ赤に焼け、紫色の雲が浮かんでいた。妙な静寂が漂っていた。後から知ったことだが、この時、指揮所では、学生リーダーたちが、徹底抗戦か撤退かで激しい論争をしていた。

 少年が石段を駆け上ってきた。伝令の腕章をつけていた。大学の新入生だろう。顔立ちが幼く、はあはあ息を切らせていた。「ここは危険です。外国人は早く広場から出てください。あとは私たちがやります」。そう言うと、ほかの外国人記者を探しに走り去った。

 北京の東西を走るメーンストリートが長安街、その東の外れの建国門に支局があった。深夜、原稿を書いていると、近くのアパートから知人が電話をしてきた。「おれの家の真下を戦車が走っているぞ! あーっ、自転車の男をひき殺しやがった」

 時計の針が0時を回る。夜明け前、ゴーゴーという異様な音が響いてきた。アパートの上の階の踊り場から建国門陸橋を見下ろすと、長蛇のような戦車の列が長安街を天安門広場に向かって進んでいた。

 戦車を見ながら、あの少年の無事を祈った。一党独裁体制への反逆行為なのに、学生たちは心の中で中国共産党を信頼していた。正義の要求は受け入れられると信じていた。それは少年の幼い顔つきでもわかった。

 事件からずいぶんたって車で天津に行った。突然、中国人の運転手が車を止めた。二つ先の交差点を長い車列が横切っていた。護送車、2両連結のバス、その後に布団や洗面器を山積みした軍用トラック。車列は延々と続いた。「北京で監獄が足りなくなったんでしょう」と運転手が言った。

 中国でまた天安門事件は起きるか。もう起きないだろう。あれは、中国人が共産党を信頼していた良き時代の事件だからである。(専門編集委員)


こんな書き方はねーわ・・・タイトルと最後の段落で一気に意味が分からない代物になってます・・・それに、

>学生たちは心の中で中国共産党を信頼していた。正義の要求は受け入れられると信じていた。それは少年の幼い顔つきでもわかった。

この人、相変わらず肝心の主張の根拠部分が「思い込み」なんですよね。この記事に限らず、コラム「早い話が」シリーズは尽くそうです。例えば5月14日の「先軍政治の危機一髪」なんて、100%妄想によって構築されています。これで専門編集委員とか・・・毎日新聞は大丈夫なんですか?

天安門で虐殺が行われた事自体は否定していないようです。ですが、中国批判をしているようには見受けられないタイトルと最後の段落を挿入して、何がしたいのやら・・・誤魔化すにしても美化するにしてもおかしいですし、批判するにしても意味不明な行動で、何がしたいのか全く分かりません。

(2009/05/07)毎日新聞・金子秀敏が中国人民海軍を礼賛

この人は過去にも中国の軍備増強を手放しで褒め称えるという真似をしており、この天安門事件20周年の記事でも同じようなことをしようとして、しかし虐殺は無かったとは言えず(何しろ事件当時に現地に居た)、葛藤が鬩ぎ合った結果がこの意味不明なタイトルと最後の段落なのでしょうか。

もし皮肉のつもりで書いているのでしたら、皮肉であるとはっきりわかる形で書かないといけないのに、この記事からはそういった意図がまるで見えてきません。過去にもこの人は中国を無理矢理に擁護したり(中国による衛星破壊実験の際)、擁護どころか賞賛したりと(前述の中国人民海軍観艦式の際)、あからさまな行動が目に付きます。

ある意味、ここまで分かりやすい人は貴重かもしれませんが、古い時代の遺物に過ぎず、何時までもコラムを書かせているなら毎日新聞の評判は下がり続ける一方でしょう。
23時59分 | 固定リンク | Comment (303) | 政治 |
2009年06月03日
アメリカとNATOはイランにアフガニスタンでの対テロ戦争への協力を要請、イランを通過する補給ルートの使用を打診しています。現在、パキスタン国内でのタリバーンとの戦闘が激化しており、この方面の補給ルートが危うくなっている為、イラン経由で海から陸へ補給物資を輸送し、アフガニスタンに届ける戦略です。


NATO:アフガン対テロ戦、イランに補給路要請 米も非公式に|毎日新聞
【テヘラン春日孝之】アフガニスタンでの米国と北大西洋条約機構(NATO)の対テロ戦を巡り、NATOがイランに補給路の提供を公式に要請、米国も非公式レベルで折衝していることが31日分かった。複数の関係筋が毎日新聞に明らかにした。外国部隊の主要補給路であるパキスタン・ルートが武装組織の攻撃にさらされる中、イラン・ルートの重要性は高い。実現すれば、米イラン関係修復の突破口になる可能性も出てくる。

NATO:補給路要請 イラン見返り要求も 対タリバン、リスク大きく|毎日新聞
【テヘラン春日孝之】米国や北大西洋条約機構(NATO)がアフガニスタンでの対テロ戦で、イランに対し、補給路の提供を呼びかけている。イランにとって補給路の提供はNATOなどへの軍事支援に他ならず、アフガンの旧支配勢力タリバンや国際テロ組織アルカイダとの全面対決を意味する。大きなリスクを抱えることになるイランは、米国に相応の見返りを求める可能性が大きい。

イランは01年の米同時多発テロ後、米英軍のアフガン侵攻に水面下で協力した。関係筋によると、タリバンやアルカイダの拠点など軍事情報を提供。米英軍のイラン領空通過を認め、負傷兵をイラン国内で治療するなどした。だが、翌02年に当時のブッシュ米大統領がイランを「悪の枢軸の一角」と非難、協力関係は解消した。

イランは「米国の裏切り」が繰り返されることを警戒するが、タリバンなどの壊滅を目指す点で米国と利害が一致する。イランはアフガン復興支援に役割を果たすと強調しており、対米関係修復を志向する中、補給路提供は実現可能性がある。


アメリカと敵対しているイランがこのような要請に応じる可能性があるのは、イランにとってもタリバーンは不倶戴天の敵であるからです。シーア派原理主義のイランにとって、スンニ派原理主義のタリバーンはずっと敵対してきた犬猿の仲です。1998年のマザリシャリフ陥落後にタリバーン兵がイラン外交官9名を殺害した時、怒ったイランは国境線へ20万人もの大兵力を集結させ、一触即発の状況に陥りました。この時は戦争にはなりませんでしたが、両者は非常に仲が悪い事が分かる筈です。関係は全く改善されていません。

2001年に911テロの報復としてアメリカがアフガン対テロ戦争を始めた時、イランは独自に反タリバーン作戦を行い、自国が支援する反タリバーン系武装組織をアフガニスタンに越境侵入させて送り込んだ他、アメリカ軍との協力関係も築いており、この時に既に対タリバーン共闘体制は出来ていました。これを台無しにしたのが前ブッシュ政権の中東戦略ですが、現オバマ政権ならば再び共闘体制を築く事も可能というわけです。

今年1月30日、セイエッド・アッバス・アラグチ駐日イラン大使は時事通信のインタビューに対し、タリバーンとの対話について『テロ組織との対話は認められない』と述べ、明確に反対を表明しています。あの頃はアメリカ政権内でもタリバーンとの和平を推す声がそれなりにあったのですが、今となってはすっかり雲散霧消しています。

それはパキスタン政府が国内のタリバーン勢力と和平協定を結んだものの、タリバーン勢力は協定を無視して支配地域を拡大させ、首都イスラマバードまで100kmまで迫った為、パキスタン政府は和平協定が意味を為さなかったと大規模反撃を決断、逆にタリバーン勢力の拠点都市を奪い返しに打って出たからです。

約束を守らない相手に対話も交渉も無意味・・・それはアフガニスタン国内のタリバーンにも言える事でしょう。しかしパキスタン軍の反撃が現在は上手く行っているといっても、パキスタン情勢が一気に好転したとは言えません。都市の奪還自体は比較的容易です。市街地ならば区画を一つずつ虱潰しに掃討していけばよいのですが、山間部のゲリラ拠点の掃討は見つけ出す事自体が難しく、これから長い戦いになる事は間違いありません。

その意味でアフガニスタンへの補給ルートとしてパキスタンルートは安全ではないままなので、新たにイランルートの可能性が重要性を持つ事になります。


【後日追記】
後追いの続報が全く無く、毎日新聞以外の報道機関からの情報も、アメリカやNATOからの公式発表も無い為、毎日新聞の春日孝之記者によるトバシ記事であると半年後の時点では判断せざるを得ません。

なお春日孝之記者が2006年に出版した著作「アフガニスタンから世界を見る」は、消印所沢氏によると疑問点・不審点が多く、情報の信頼性は低いとの事です。
19時53分 | 固定リンク | Comment (56) | 政治 |
2009年05月23日
韓国の大統領はその殆どが退任後に逮捕されているので、逮捕までは予測していましたが自殺ですか・・・


韓国の盧武鉉前大統領が死亡 自宅近くの山で自殺と:CNN

亡命、暗殺、逮捕 不幸な末路の韓国大統領:中国新聞



あの国は何にも変わってなかったんですね。
18時46分 | 固定リンク | Comment (131) | 政治 |
2009年05月16日
新しい民主党の代表は鳩山由紀夫氏に決まりました。岡田克也氏は代表選挙に敗れたわけですが、実はこの結果はちょうど一ヶ月前に予言されていたのです。


神浦元彰 最新情報 2009年4月15日
小沢氏は政治家として死に場所を探しているようにも思える。いくら麻生首相が引き延ばしを図っても、今年中には必ず総選挙が行われる。その直前に小沢氏は民主党代表を辞め、清廉潔白な岡田氏に党代表を禅譲し、岡田氏を民主党の顔として総選挙をやる覚悟を決めたのではないか。すなわち自分の死に場所を決した様に感じる言葉である。


逆神、恐るべし・・・とうとう神浦さんの神通力は軍事以外にも影響力を及ぼすようになったか・・・3ヶ月前の「小沢発言と逆神の誤神託」では、小沢一郎氏の「在日米軍は第七艦隊以外要らない」発言に対して、神浦さんは「我が意を得たり」と興奮して大暴走。「実はアメリカ政府の意思は小沢氏と一致しているのだ!」と勝手な思い込みで決め付けて解説してみたら、僅か数時間後にケビン・メア在沖米総領事によって「小沢氏は何も分かっていない」と全否定された上、数日後に西松建設からの違法献金疑惑が発覚、公設第一秘書逮捕、そして最近になって小沢氏は民主党代表を辞任するという、凄まじい結果となっています。

逆神に愛された者は、死神に愛されたのと同じなのか・・・

なお神浦さんは4月15日の記事で、西松建設違法献金疑惑で小沢氏公設第一秘書が逮捕されたのはアメリカの陰謀であると主張し、理由は「普天間基地移設合意に小沢氏が反対したから」としています。しかしこれでは小沢氏の第七艦隊発言の時の解説と矛盾してしまいます。


神浦元彰 最新情報 2009年2月25日
[コメント]この小沢氏の話を聞くと、米軍の再編構想とかけ離れていると感じるかも知れないが、私は米軍の再編戦略と完全に一致していると感じた。米軍が21世紀に描いてくる極東戦略は、日本には第7艦隊だけを前方配備するものと推測している。

〜中略〜

このような事情から、小沢氏の描く日本の将来的な安全保障は、米軍がすすめる再編計画と根本的な部分で一致している。この小沢案の安全保障政策を聞いて、米国は不安感を持つのではなく、逆に期待感を高めるだろう。


もしアメリカ政府が安全保障面で小沢案に期待感を高めているなら、普天間基地移設のような小さな問題ぐらいで小沢氏失脚を狙う筈が無い訳で・・・逆神が論理矛盾を引き起こせば引き起こすほど、神通力は高まり、誤神託の精度はより高まるのかもしれません。

もはや【逆神】神浦元彰は、【大明神】とすら称えられている森田実を超えつつあるのではないでしょうか。森田神も流石に歳であり、神通力も低下しているように見受けられる昨今、神浦神が逆神界の主神として【大明神】と呼ばれるようになる日も近いと思われます。


ところで神浦さんの運営するサイトJ-rcomがリニューアルされて驚きました。今月分の記事から個別の記事へのリンクが行い易くなって嬉しいです。出来ればコメント欄やトラックバック欄も付けて欲しいです。
18時49分 | 固定リンク | Comment (78) | 政治 |
2009年02月27日
民主党の小沢代表の発言が、与野党に波紋を広げています。


駐留は海軍だけで十分 小沢代表が表明:共同通信
民主党の小沢一郎代表は24日、在日米軍再編に関連し「米国もこの時代に前線に部隊を置いておく意味はあまりない。軍事戦略的に米国の極東におけるプレゼンス(存在)は第7艦隊で十分だ」と述べ、将来的に日本に駐留する米軍は海軍関係だけで十分との認識を明らかにした。

同時に「あとは日本が自らの安全保障と極東での役割をしっかり担っていくことで話がつくと思う」とし、政権交代を実現した場合は、国連活動への協力など日本の軍事的役割の拡大を通じて在日米軍基地の整理、縮小に取り組む考えを示唆した。奈良県香芝市で記者団の質問に答えた。


在日米軍は縮小、代わりに安全保障面での日本の役割を拡大するという方針は、自衛隊の軍備増強が不可欠であり、共産党や社民党は即座に警戒心を露にし、自民党は日米同盟の否定に繋がる事を懸念し、民主党内の反応も小沢代表のこの発言に対して一枚岩ではありません。

日本周辺は極東の火薬庫であり、朝鮮半島と台湾海峡で火種が燻っている状況が解決されていない中で在日米軍大幅削減を主張するのは時期尚早と言われても仕方は無いでしょう。自主国防を主張する人に取っては、この小沢発言は歓迎されるでしょうが、民主党は過去に日本の防衛予算を単年で5000億円削減すると公約に掲げた政党であるので、小沢代表の意向がイコール党の方針として採用される確約も無く、民主党の長島昭久議員によれば、小沢代表は政権を握った瞬間に「君子豹変」するらしいので、現段階での発言に真面目に取り合う必要も無さそうです。

そしてこの小沢発言に対し、あの人が反応してしまいました。逆神で名高いあの人が・・・小沢発言\(^o^)/オワタ


神浦元彰 最新情報 2009年2月25日
[コメント]この小沢氏の話を聞くと、米軍の再編構想とかけ離れていると感じるかも知れないが、私は米軍の再編戦略と完全に一致していると感じた。米軍が21世紀に描いてくる極東戦略は、日本には第7艦隊だけを前方配備するものと推測している。

〜中略〜

このような事情から、小沢氏の描く日本の将来的な安全保障は、米軍がすすめる再編計画と根本的な部分で一致している。この小沢案の安全保障政策を聞いて、米国は不安感を持つのではなく、逆に期待感を高めるだろう。


出ました、神浦元彰さんの碌な根拠の無い絶対断言。逆神として名高い神浦さんがこう宣言した以上、この小沢発言の行く末は決まったようなものです。

そしてこの逆神様の誤神託は、なんとその日の内に効力を発揮したのでございます・・・


米総領事「分かってない」と批判 小沢氏発言で:共同通信
米国のケビン・メア駐沖縄総領事は25日の記者会見で、民主党の小沢一郎代表が日本に駐留する米軍は将来的に海軍関係だけで十分との認識を示したことに関し「極東における安全保障の環境は甘くない。空軍や海兵隊などの必要性を分かっていない」と批判し、陸・空軍や海兵隊も含めた即応態勢維持の必要性を強調した。

また総領事は、米国務省で対日政策実務を統括する日本部長への就任が「先週、正式に決まった」と明らかにした。


相変わらず凄まじい神通力です。流石は軍事の逆神の名を欲しい侭にする存在・・・とても常人が真似できる精度ではありません。
06時00分 | 固定リンク | Comment (222) | 政治 |
2009年01月31日
なんという有り難い申し出。これでアフガニスタンの地上へ陸上自衛隊を派遣せずに済みます。防衛省としては願ったり叶ったりです。


自衛隊派遣「必要ない」 アフガニスタンの第一副大統領:共同通信
アフガニスタンのジア・マスード第一副大統領は29日、首都カブールで共同通信の単独会見に応じ「米軍が増派されるので外国部隊の増強はもう十分だ。日本の派遣は歓迎するが、必要はない」と述べ、日本に対し自衛隊の派遣を積極的に求めない考えを示した。


アハマド・ジア・マスード副首相はあの「パンジシールの獅子」こと故アハマド・シャー・マスード将軍の弟です。

アハマド・ジア・マスード 第一副大統領:駐日アフガニスタン大使館

アメリカのオバマ新政権がアフガニスタンでの対テロ戦争を重視する方針なので、日本もアフガニスタン地上へ部隊を派遣する事になるだろうと思っていましたが、このマスード副首相の言質を持って派遣しない言い訳をアメリカに対して行う事が出来ます。これは陸上自衛隊のISAF派遣を唱えていた小沢民主党にとって逆風となるでしょう。

またアフガニスタン関連でイランがこのような発言を行った事も、興味深いです。


タリバンとの対話に反対=日本政府との連携期待−イラン駐日大使:時事通信
イランのアラグチ駐日大使は30日、時事通信のインタビューに応じ、アフガニスタン問題をめぐり米政権内にイスラム原理主義勢力タリバンとの対話を推す声があることについて、「テロ組織との対話は認められない」と述べ、対話に反対する姿勢を明確にした。


このセイエッド・アッバス・アラグチ駐日イラン大使の発言は、事情を良く知らない人からは「エッ」という声が聞こえてきそうですが、実は元々、イランとタリバーンの仲は非常に険悪であり、同じ反米同士だからといって仲間というわけでは無いのです。二つは同じイスラム原理主義ですが、イランはシーア派、タリバーンはスンニ派(ワッハーブ派)なので、両者は不倶戴天の敵同士です。

実はイランとタリバーンは、タリバーンがアフガニスタンの政権を担っていた頃に戦争へ突入する寸前にまで緊張が高まった事があります。1998年にマザリシャリフが陥落した際、タリバーン兵がイラン外交官9名を殺害し、怒ったイランは国境線へ20万人もの大兵力を集結させ、両者は一触即発の状況に陥りました。しかし結局、イランはタリバーンから何の外交的譲歩も勝ち取れず、かといってそのまま攻め込む事も出来ず、自分から譲歩案を出してこの問題を終わらせています。この時の屈辱をイランは忘れていません。

その後、イランは2001年のアフガン対テロ戦争に置いて、アメリカとは別行動で自国の支援する武装勢力をアフガニスタンに越境侵入させ、反タリバーン作戦を行っていたとされます。

イランはタリバーンがシーア派を弾圧している事を知っています。また、アフガニスタンから自国へ流入する麻薬について非常に頭を痛めています。彼らはタリバーンが滅んでしまえばよいと思っています。だからタリバーンとの対話には反対するのです。

イランにとって、アフガニスタンが再びタリバーン政権になる事は許し難いことで、タリバーンが滅ぶか、アメリカとの戦争をいつまでも続けて決して政権に返り咲かない事を望んでいます。故にタリバーンが優勢になる事を望んでいません。もしタリバーンが政権に返り咲いた場合、イランとの戦争になる可能性があります。

この事実は、反米という理由だけでイランとタリバーンに感情移入している人達に大きな困惑を与える事になりますが、世の中は反米か親米かという二元論では語れないという、当たり前の事を指し示しているに過ぎません。
19時24分 | 固定リンク | Comment (90) | 政治 |