公海上の海賊取締りは海軍に課せられた原始的任務であり、国際海洋法は全ての国の軍艦に公海上での海上警察権を与えています。それは海賊船の臨検、拿捕まで可能としています。ですがこの権利は日本の国内法が足枷となって、現状では他国の船が襲われていても助けに行く事が出来ません。日本と同様の事情を抱えるドイツは、法整備を行ってからフリゲートを現場海域へ送り込みました。韓国は、かなり以前から派遣しようと動きをみせていましたが、議会の審議で止まり、その間にロシア海軍や中国海軍に先を越されました。ですがこの度ようやく議会を通過し、駆逐艦を派遣します。
どうして日本政府はドイツや韓国のようにきちんとした手続きを踏まずに、不完全な法律のままで海上自衛隊に新たな任務を押し付けようとしているのですか?
そしてこの動きは日本政府だけが言い出したことではなく、そもそも最大野党・民主党の長島昭久議員が提案した事で、麻生首相はそれに乗っかる形で派遣する方針を固めました。各国海軍がソマリア海賊退治に参加しているし、国連も認めている。国連中心主義を掲げる小沢民主党も賛成してくれるだろうと・・・
麻生総理、海賊対策にようやく重い腰上げる - 長島昭久 WeBLOG 『翔ぶが如く
海賊被害の深刻化を見るに見かねて、政府にその対処を促す質問を行ってから早くも3か月が過ぎてしまった。その間にも海賊被害は拡大し、ソマリア沖・アデン湾を航行する我が国関係船舶は異常な緊張状態を強いられている。海賊に乗っ取られ拉致された日本人船長は未だに拘束されたままである。
ようやく麻生総理も重い腰を上げ、今日、浜田防衛大臣に検討を加速するよう指示を出したという。経済対策も、安全保障対策もあまりにも遅すぎる。
これは昨年の12月26日の長島昭久議員公式ブログの記事です。言いだしっぺの長島昭久議員は麻生首相が海賊対策に本腰を入れた事に満足し、それだけでなく「動きが遅すぎる」とまで言い出して、自身の主張の先見性を自画自賛しました。
この翌27日、私はmixiの某トピックで「そう言うお前は民主党の意向を取り纏めたのかよ? フザケやがって・・・」と悪態を吐きました。そしてその懸念は悪い事に、見事に当たってしまいました。まぁ誰にでも予測できる範疇の事かもしれませんが。これまでも似たようなパターンは何度も経験してきた、民主党の定番とも言える何時も通りの展開ですしね。
海自派遣、民主「反対」で調整 ソマリア沖海賊対策:北海道新聞
民主、社民、国民新の野党三党の幹事長は二十三日、東京都内で会談し、アフリカ・ソマリア沖の海賊対策に関し、社民、国民新両党は海上自衛隊護衛艦を派遣する政府方針に反対するよう民主党に求めた。鳩山由紀夫幹事長は「一致できるよう努力する」と述べ、反対の方向で調整する考えを示した。
社民、国民新両党は「海上保安庁が行うのが筋で、最初から海自に頼むのは危険だ」と指摘した。鳩山氏は会談後、記者団に「三党協力して麻生太郎政権を追い込んでいく過程だから、海賊対策もできる限り一致できるよう努力したい」と述べた。
ただ、海賊対策は民主党の長島昭久衆院議員が昨年十月、首相に提案した経緯もある。同党内には海自派遣容認派も多く、調整は難航が必至だ。
民主党は政権奪取後の政権運営を考え、連立政権のパートナーを組む予定の社民党に配慮し、ソマリア派遣に反対する方針を固めつつあります。
一方、この直前の長島昭久議員の動向。
政界:ソマリア沖派遣を評価|毎日新聞
民主党の長島昭久衆院議員は22日、衛星放送「BS11デジタル」の番組収録で、ソマリア沖の海賊対策として海上警備行動発令で護衛艦を派遣する政府方針について「警察活動であり、国際協力活動を展開するのは国益に資する」と評価した。長島氏は海賊対策を検討する超党派議員連盟の主要メンバー。
一方で政府・与党が検討している海賊対策新法については「自衛隊が準用するのは海上保安庁法で、その中の武器使用基準を緩和すればいい。新法には慎重だ」と述べた。
長島昭久議員、貴方はそんなコメントを行う資格は無い筈です。政府与党の対応を評価する前に、自分の党を説得しなければならない筈でしょう? しかも現行法のみで送り出せ、新法は必要無い、ですって? フザケないでください。
よく分かりました、もう民主党の国防政策は信用しません。
民主党の国防政策と長島昭久議員を評価しない理由 (2007年09月26日)
そんなの何年も前から分かっている事ですけどね・・・