このカテゴリ「平和」の記事一覧です。(全164件、20件毎表示)

2008年05月31日
これは記者が単純に勘違いした結果の記事なのか、それとも防衛省筋からの情報なのか。恐らく前者だと思うのですが・・・


クラスター弾搭載陸自システム 2000億円の装備全廃へ:東京新聞
クラスター弾の使用を一部を除き全面的に禁止する条約案に日本政府が同意したことで、陸上自衛隊が保有する多連装ロケットシステム(MLRS)が全廃される見通しとなった。約二千億円を投じた九十九両がすべて無駄になるばかりでなく、代替兵器の購入に巨額の防衛費が投じられることになる。

MLRSは子弾六百四十四発を内蔵したロケット弾(クラスター弾)を十二発搭載できる専用の装甲車両。海岸に上陸してきた敵にロケット弾を発射して、子弾を一面にばらまき、一瞬にして地域を制圧する。

「着上陸侵攻対処」の切り札として一九九二年度から米国から購入を開始し、現在は五個の特科大隊が合計九十九両を保有している。

陸上自衛隊幹部は「戦術の見直しが必要になるだろう。MLRS一両の火力は、大砲三門分に当たる」と言う。一両約二十億円のMLRSを補うには一五五ミリ砲が三門、合計約十二億円が必要になる計算だ。

MLRSには、クラスター弾ではない地対地ロケット弾「ATACMS(エータクムス)」も搭載できるが、自衛隊は保有していない。ATACMSについて、別の幹部は「防衛専門商社『山田洋行』が輸入に関係しており、収賄罪に問われた前事務次官、守屋武昌被告が熱心に購入を主張した。筋が悪すぎる」としており、購入の見込みはない。


ATACMSがクラスター弾頭(対人用M74子弾を950個搭載)であることを理解しておらず(単弾頭型はまだ開発中)、戦術弾道弾であるATACMSを「地対地ロケット」呼ばわりしている点から見て、この記事を書いた記者は軍事についての理解が乏しいものと思われます。自衛隊がATACMSを購入出来そうに無いことは確かですが、MLRSには規制の対象外である単弾頭M31ロケット弾が実用化されており、このM31を購入すればMLRSは継続して運用できます。今回のクラスター爆弾規制で廃棄対象となった陸上自衛隊の装備はMLRS用のM26ロケット弾であり、MLRSという発射システムそのものについては今後の代替兵器購入計画次第で継続して使う事が可能です。

MLRSは6連装×2で合計12連装のロケットランチャーであり、M26やM31といったロケット弾は直径227mmあります。一方、戦術弾道弾であるATACMSは直径が607mmと大きく、MLRSのランチャーのうち227mmロケット弾用6発分のスペースを占有します。つまりMLRSはATACMSを最大2基搭載できます。このようにATACMSとM31は全く別種の兵器であり、守屋被告はM31に関わっていない以上、日本が購入する事に支障は無い筈です。

どうもこの記事を書いた東京新聞記者は、GMLRS(GPS誘導型)のM31単弾頭ロケットの存在自体をご存じ無いようです。ATACMSに対する認識も出鱈目であり、もし「MLRS全廃」という記事内容の根拠が防衛省への取材結果ではなく記者の推測オンリーであるならば、捏造報道と呼んで差し支えありません。

この記事は署名記事ではないのですが、東京新聞の防衛省担当記者は半田滋記者ですので、書いたのは彼である可能性があります。
23時29分 | 固定リンク | Comment (114) | 平和 |

2008年05月30日
クラスター爆弾の規制について話し合ったダブリン会議は、事前に想定していたものより遥かに厳しくなりました。会議の様子はずっとチェックしていましたが、仏独どころかイギリスにまで裏切られた以上、日本単独で粘っても無理でした。

クラスター爆弾禁止条約受け入れ 自衛隊保有分廃棄へ:朝日新聞

今後、保有が許されるのは以下の条件に当て嵌まる場合のみです。

・子爆弾が10個未満
・1個あたりの重量が4kg以上
・攻撃対象を識別する機能
・自爆装置または無能力化装置

(追記:この条件の他に「子弾が20kg以上あればクラスター弾とは見なされない」という条件が、会議の最終局面で追加されていた模様)

会議ではこれを「最新型」と呼び、自爆装置または無能力化装置のみを備えたものを「改良型」と呼んでいますが、この最新型は文字通りの意味での最新型というわけではなく、以前からあった種類のものです。それは対戦車用スマート子弾のことで、目標を赤外線で識別し、誘導装置付きの成型炸薬弾頭または自己鍛造弾頭を突入させる、対戦車兵器です。

つまり無誘導の対人専用、対人・対装甲兼用型は規制の対象となります。この結果、面制圧兵器としてのクラスター爆弾は保有できなくなりました。子弾10個未満で対装甲専用の誘導タイプでは、面制圧など出来ません。対戦車攻撃にのみ絞るのなら通常のクラスター爆弾と同等以上の効果を発揮できますが、対人・対軽車両が相手となると一気に効率が落ちます。そして誘導装置は高価で、この種の兵器は数を配備できません。安価な上に一発で広域を制圧できるコストパフォーマンスの高い兵器であったクラスター爆弾の利点が失われます。

廃棄すると決めた以上、代替兵器を確保しなければなりませんが、誘導兵器を多数配備するとなると予算の面で厳しく、予算を増やせなければ戦力は減少します。現時点で代替兵器の調達が急務なのは陸上自衛隊の多連装ロケットシステム「MLRS」です。航空自衛隊は既にGPS誘導爆弾「JDAM」の導入が始まっているので影響は比較的(あくまで比較的)少ないのですが、陸上自衛隊のMLRSに装填されているロケット弾は禁止の対象となるクラスター弾頭タイプしか保有していない為、このままでは一切使えなくなります。規制に触れないMLRS用のGPS誘導型単弾頭タイプ「XM31」ロケット弾を全車両分、緊急に用意する必要が出てきました。ただしこれは単弾頭なので、対戦車には殆ど意味がありません。弾頭は90kgの炸薬なので直撃すれば戦車も破壊できますが、単弾頭では確率論的に期待できません。そうなると対戦車誘導タイプと併用しないと、これまでの汎用型クラスター弾頭「M26」の代わりは務まりませんが、対戦車誘導タイプ「XM29」は開発中止になっていて選択できません。現状では取り合えず単弾頭のXM31を揃えるしかないのです。航空自衛隊についてはGPS誘導爆弾JDAMの導入促進の他、レーザー誘導爆弾やTV誘導爆弾など、他の誘導兵器を検討していく事になりますが、結局これらの兵器では面制圧はできません。

そうなると、対戦車には効果がありませんが燃料気化爆弾(サーモバリック爆弾)の導入についても検討すべきなのかもしれません。しかし日本がこれを検討する可能性は、低いでしょうね。これは不発弾問題は無いのですが・・・この種の兵器に熱心なのはアメリカよりもむしろロシアや中国なので、何処から買うのか、それとも自主開発するのか、簡単には導入の出来ない兵器です。

オスロ・プロセスより始まった今回のクラスター爆弾の規制には、アメリカ、ロシア、中国、韓国は参加していません。言うまでも無く北朝鮮もです。つまり日本の周辺国は全てこれまで通りなのに、日本だけが戦力を削られる羽目になっています。ただし韓国が参加しなかった事は責められません。どうせ北朝鮮や中国がこの規制に賛同する筈が無い上、陸地で敵国と直に向かい合っている韓国の条件では島国の日本の場合よりもMLRSの面制圧火力に頼る比重が遥かに大きく、保有するMLRSやATACMSが使えないとなると致命的な事になりかねません。韓国が地雷の規制にも参加しなかったのは、切実な戦略環境の為です。

しかしそれは結果として、日本は東アジアで唯一、地雷を廃棄した上にクラスター爆弾を廃棄することになります。
21時23分 | 固定リンク | Comment (386) | 平和 |
2008年05月22日
昨日、徳島県小松島港に米海軍のフリゲートが入港して来たのですが、何時ものように反戦団体や共産党などが非核三原則を根拠に寄港反対運動を行っていました。一部の艦船マニアも駆けつけています。

アメリカ海軍フリゲイト「ルーベン・ジェームズ」、予定通り小松島に入港!:fromとくしま

写真を見る限り、O・H・ペリー級フリゲートFFG-57「ルーベン・ジェームズ」の前甲板にはMk.13ミサイルランチャーが見当たらず・・・同型艦のバンデグリフトやゲアリーと同じく、撤去していたみたいです。

何故ミサイルランチャーを撤去してしまったかについては、旧ブログで2005年02月07日に書いた記事「米フリゲート艦が山形県酒田港に寄港予定。海上臨検行動の下準備?」と全く同じ解説内容になってしまうので、詳しくはそちらを参照して下さい。

なお今月15日には、鹿児島県谷山港にカナダ海軍のハリファックス級フリゲートFFH-341「オタワ」が入港していましたが・・・

カナダ軍艦「オタワ」入港/鹿児島市・谷山港:南日本新聞
『核保有国でないカナダの軍艦が核兵器を搭載する可能性は低いとして、目立った抗議行動はしなかった。』

ははぁ。でも東京の晴海港にロシア海軍やインド海軍やパキスタン海軍や中国海軍が来た時にも、抗議行動は皆無で全く騒いでいなかったような気がするのですが・・・同じ核保有国なんですけどね。過去に日本の港に寄港した核保有国の艦艇で非核証明書を提出したのは、フランス海軍のヘリ空母R97「ジャンヌ・ダルク」、コマンダン・リヴィエール級フリゲートF727「アミラル・シャルネ」ぐらいだったと思いますが、前者はヘリ空母といっても練習空母であり、後者は植民地配備用に設計された警戒通報艦です。どちらも核兵器を搭載する事自体が無意味な話です。

ちなみに何故、軍艦の寄港に反対する人達が非核三原則を持ち出すのかというと、実はそれ以外に反対できるような大義名分が無い為です。日米地位協定の有る無しに関係無く、国際港は制限なく外国船籍の入港を許可するのが国際慣行(明文化された条約ではないが各国が守っている事柄)なので、基本的に艦船の寄港を拒否できません。しかし非核三原則は法律ではないので拘束力は無く、入港拒否はお願いレベルでしかなかったりします。この辺の話も旧ブログで3年前に「核搭載疑惑の裏事情」で書いた事ですね。
01時52分 | 固定リンク | Comment (48) | 平和 |
2008年05月14日
「某所」というのは、此処の事なんでしょうね。まぁ状況的に此処しか無いですが・・・


[AML 19549] 「死んでも治らないバカ」が送ります2
ご親切にありがとうございます。
 
私は、人の事をバカだとかアホだとか、ネットで書き込んで、一人悦に入る人たちを相手にするほどの暇はありません。
勝手に言わせておけ、と思っています。
 
とにかく、ジェット戦闘機の騒音は耐えられないほどひどいのです。うるさいのです。そのことを多くの人々に判ってもらいたいのです。
 
どのようなつっこみ方をされているのか知りませんし、知ろうとも思いません。
自分が払った税金が、「思いやり予算」という無駄金に使われ、日本の空の一部がアメリカ軍に占領されている事を知らず、関心もない「賢い」人たちにはなりたくないと思っています。
 
坂井貴司


私自身は記事内で坂井貴司さんの事を馬鹿だの阿呆など書いてないわけですから、記事のツッコミ部分だけでもチェックされた方が御自身の今後の反戦活動にとって有用だと思うのですが・・・事実の説明を拒絶してしまったら、この方は今後二度と正解に辿り着く事は無いでしょう。同じ間違いを何度も繰り返す筈です。

 とにかく、ジェット戦闘機の騒音は耐えられないほどひどいのです。
 うるさいのです。そのことを多くの人々に判ってもらいたいのです。


多くの人に判って貰う為には、現実感のある説得力が必要です。それなのに、自分の目と耳で確かめた上で間違えるような人に、どんな説得力があるというのでしょう? 坂井貴司さんが岩国FSDで見たF/A-18戦闘機は単発ではなく双発であり、音速を突破していません。戦闘機は市街地付近で超音速を出したりはしないのです。ソニックブームの被害は基地周辺ではなく訓練場付近で発生する、これは反戦運動をする人なら常識としていい筈です。

私達は「思いやり予算」を知っています。ですが全てが無駄金とは思いません。「松山空港が米海兵隊岩国基地の管制下にある」事を知っています。ですが「山口宇部空港は航空自衛隊築城基地の管制下にある」事も把握しています。

私達は、事実を知らず関心もない人達ではありません。事実を知り、関心を示し、問題を認識した上で安全保障と天秤に掛けています。しかし坂井貴司さんは、関心だけあって事実を知らずに問題を語ろうとしているように見えます。知識だけならまだしも、自分の実体験ですら事実と乖離しているようでは、問題について一体何が語れるのでしょうか。

[AML 19393] 米軍岩国基地の中で見たこと
↓ツッコミ
「岩国まで行って自分の目で確かめた上で間違えた人」

[AML 19517] 「死んでも治らないバカ」が送ります
↓ツッコミ
「岩国でソニックブームを体感!ってオイッ」
↓検証
「動画で見る音速突破の瞬間」

坂井貴司さんは、言い訳をすればするほどド壷に嵌っているような気がします。
23時59分 | 固定リンク | Comment (197) | 平和 |
2008年05月12日
最近、当ブログの記事が許可無く丸ごと転載されてしまう被害に遭いました。出典元を明記し、引用の範囲を逸脱しなければ許可は要りませんが、これは明らかに引用というレベルではありません。

[AML 19494] 岩国まで行って自分の目で確かめた上で間違えた人

元記事:「岩国まで行って自分の目で確かめた上で間違えた人」

勝手にAMLに転載した「ikeda kayoko」氏に抗議します。丸ごと転載したい場合はコメント欄ないしメールで問い合わせてからにしてください。(事前に打診があれば許可を出しています)なお、引用の範囲ならば特に許可は要りません。

ただ、この転載騒動は結果として坂井貴司さん御本人からの反応を得ていますので、それを紹介しておきます。


[AML 19517] 「死んでも治らないバカ」が送ります
坂井貴司です。
 
ikeda kayokoさん[AML:19494]は、私が岩国基地で見たF/A-18ホーネット戦闘機はエンジンは1基ではなく2基だと指摘されました。私はエンジンが一つだと思っていましたけれど、それは間違いでした。
 
私は近眼ですので、F/A-18のエンジンが2基だとは判りませんでした。次は度のあった眼鏡をつけて見に行きます。
間違いを指摘していただき、ありがとうございます。
  
それから、F/A-18はエンジン騒音が、出力の大きなF-15よりも大きいということも教えていただきました。貴重な情報です。
 
でも、私はF/A-18とF-15のどっちが静かなのか比べても無意味だと思いますけれど。両方とも音速を越えます。音速を越えた時に発生する衝撃波のすさまじさを、私は岩国で自分の体で感じました。毎日これを聞かされる岩国市民や周辺の人々の苦痛を想像すると、それはたまりません。


>私はF/A-18とF-15のどっちが静かなのか比べても無意味だと思いますけれど。

おかしいですね、そもそも比べようと言い出した張本人は、坂井貴司さんの筈ですが。

>両方とも音速を越えます。音速を越えた時に発生する衝撃波のすさまじさを、私は岩国で自分の体で感じました。

航空ショーのデモフライトで超音速を出すことは無いです。あんな低空で20万人も観客が居る前で音速を超えてソニックブームを発生させていたら、大惨事ですよ・・・出店のテントは全部吹っ飛んじゃいます。そんな馬鹿な事をする筈が無いし、被害が発生していない以上、音速突破は行われていません。(昨年の高速フライパスデモではマッハ0.99とアナウンスされています。今年は速度のアナウンス自体が無かった模様)坂井貴司さん、貴方は"超音速の衝撃波"を体感していません。それでも超音速の衝撃波を体感した、と言い張るなら「衝撃波って音だけで衝撃なんて無いんですね」という事になりますが、良いんですか? 

ソニックブーム - Wikipedia

とりあえずソニックブーム(超音速衝撃波)について調べる事から始めた方が良いと思います。なお岩国FSD当日は湿度が高かったので飛行中の機体には頻繁にベイパー(霧)が掛かりましたが、あれは音速突破の証ではありません。ベイパーの雲は機体が音速に達していなくても発生します。

>毎日これを聞かされる岩国市民や周辺の人々の苦痛を想像すると、それはたまりません。

音速突破による衝撃波の被害があるとしたら、基地周辺よりはむしろ訓練場付近が多くなる筈です。離発着時は速度が乗らないのですから、基地周辺で音速を超えるケースは殆ど無いはずです。

F/A-18C戦闘機は、高度5000フィート(1524m)でマッハ0.8巡航からマッハ1.08まで加速するのに21秒掛かります。そしてこの間に5kmくらいは飛んで行ってしまいます。これは水平飛行の話ですから、離陸から上昇しつつ速度を上げていくとしたら、仮にアフターバーナー全開で飛ばしても音速を突破する頃には基地から遠く離れてしまっています。

また当然ですが、特に必要性も無いのに超音速は出しません。F/A-18C戦闘機は巡航速度がマッハ0.8〜であり、迂闊に超音速を出していると燃料を大量消耗してしまいます。だから基本的に音速突破は訓練で決められた場合でしか行いません。ですから超音速突破による衝撃波云々を問題にするなら、超音速巡航を可能とする新世代機F-22戦闘機の配備を注意した方が良いでしょう。従来機は早々頻繁に超音速を出す事はありません。

坂井貴司さんは[AML 19517]の最後で「そして、初歩的な事実の間違いを指摘されて、そこから攻撃されないよう注意しなければならないと改めて認識しました。」と締め括っています。しかし言った傍から間違っているわけですから、前途多難です。
02時30分 | 固定リンク | Comment (155) | 平和 |
2008年05月07日
岩国フレンドシップデーのレポートが幾つか上がっていますが、航空ファンの報告以外にも、反戦平和派が批判対象である米軍基地を実際に見てやろうと行って来た例もあります。相手をよく知らずに批判するよりも、よく知った上で批判するという姿勢自体は大変良い事だと思います。ですが・・・

以下は坂井貴司さんの報告です。


米軍岩国基地の中で見たこと‐レイバーネット
実際に聞いた爆音はすさまじいの一言です。

「これはたまらん。毎日こんなのを聞かされたら死んでしまう!」

と思いました。そして、一基のエンジンを搭載しているF18でもこんな爆音が出るのだから、二基のエンジンを積んだF15イーグル戦闘機はもっと酷いのではないかとも思いました。


        ∧∧
       ヽ(・ω・)/   ズコー
      \(.\ ノ
    、ハ,,、  ̄
     ̄

F/A-18


2基! F/A-18はエンジン2基だから!

あーあ・・・実際に基地まで行って、飛んでる所を見て、地上展示の機体まで見ておきながら、どうしてエンジン一基だなんて誤認ができるんだろう・・・坂井貴司さん、貴方は何を見て来たの・・・

F/A-18はエンジン騒音が煩いことで有名な機体です。エンジン出力の大きなF-15よりも騒音が大きいのです。これはF/A-18が搭載するGE製F404エンジンの特性であり、エンジン騒音は出力に比例するわけではありません。なお新型のF/A-18EはF404の改良型エンジンF414を搭載していますが、騒音は更に煩くなっており、アメリカ本国ではC型からE型の機種転換時に基地付近の住民が騒音訴訟を起こし、裁判沙汰になっています。

基地騒音問題を抗議したい、戦闘機の騒音を批判したいというなら、こういうことを良く理解した方が良いと思います。それなのにエンジン搭載数を誤認するは、F-15の方が煩いだろうと間違った憶測をしてしまうはでは、説得力を持った抗議にはなり得ないでしょう。

海兵隊は将来的にAV-8Bハリアー2+垂直離着陸戦闘機とF/A-18ホーネット戦闘機の両方を、最新鋭機F-35ライトニング2戦闘機(垂直離着陸仕様のB型)に更新する予定です。F-35はエンジンが一基であり、エンジン自体の特性も騒音を抑えた設計で(静かな事はステルス性に繋がる)騒音問題が改善される事から、米軍に早急な機種更新を要求するというのも有りでしょう。とはいえF-35のB型はまだ量産段階には至っていませんが。

なお航空自衛隊は古くなったF-4戦闘機の更新を行う為、代替機の選定を行っている最中ですが、その候補の中にはF/A-18EとF-35Aが両方入っています。
12時27分 | 固定リンク | Comment (151) | 平和 |
2008年05月01日
注)来ないと予想していたのはベタ藤原さんであって私ではありません。




爆撃機B52のショー中止/日米親善デー‐スポニチANNEX
米海兵隊岩国基地(山口県岩国市)報道部は1日、「日米親善デー」の5日に同基地で予定していたB52戦略爆撃機の航空ショー参加を取りやめることを明らかにした。

報道部は「スケジュールの都合」としているが、藤田雄山広島県知事や秋葉忠利広島市長らが、核兵器搭載能力のあるB52のショー参加を中止するよう、米側に文書で要請していた。


米空軍としては「去年もB-52飛ばすと予告したけど行かせなかったしぃ〜、抗議なんて無関係〜(去年は抗議自体が無かった)、大体なんで海兵隊の為に頑張らなきゃならないの〜」ってな感じでしょうか。



   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \   <いいじゃないか。とりあえず秋葉市長に
 |   ( ●)(●)   抗議が実ったと思わせとこうじゃないか
. |     (__人__)____
  |     ` ⌒/ ─' 'ー\
.  |       /( ○)  (○)\
.  ヽ     /  ⌒(n_人__)⌒ \
   ヽ   |、    (  ヨ    | 抗議しなくても来るわけgむぐっ・・・
   /    `ー─−  厂   /
   |   、 _   __,,/     \



抗議と関係なく来なくなっても、秋葉市長の戦果という事になっています。
しかしこれ、最初から米空軍の釣りだったのだろうか・・・。


   ∧_∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  (・(・・)・) <   釣りに決まってるでしょ!
  /JベタJ   \__________

  去年も書いてあって、来なかったんだから〜 (w`;


いやまぁ、その。
23時27分 | 固定リンク | Comment (39) | 平和 |
2008年04月28日
最近、超党派で「クラスター爆弾禁止推進議員連盟」(代表=河野洋平・衆院議長)が発足しました。

クラスター爆弾:超党派の議連、発足 禁止条約締結促す−毎日jp

構成は何時もの面子かとおもいきや、中川秀直議員や逢沢一郎議員のような保守派の有力議員も含まれています。保守派と言えど軍事に詳しいわけではない人ばかりなのが困りもの。むしろ軍事面の理解に左右はあまり関係無いかもしれません。民主党の前原議員は内政面ではリベラル色が強いですし。


クラスター爆弾:禁止シンポジウム 政治の力が必要だ−毎日jp
●防衛に有効か

 河野氏 国防上、クラスター爆弾をどう位置付けるのか。防衛戦術として意味があるのか、議論が必要だ。人道上の観点から入るのはいいが、兵器として保有する以上、軍の問題としての議論も不可欠だ。日本はこれまで軍や兵器の議論は避けてきたが第三国の軍関係者も交え、この兵器の意味を考えなくてはいけない。(その際)日米同盟と日本固有のポジションを分けることが必要だ。

 藤田氏 日本では(クラスター爆弾廃棄を論じる際)「海岸線を守る」ための爆弾だという論理が、(廃止に抵抗する)一つの防波堤だ。対人地雷廃止の際もそうだった。しかし近年、クラスター爆弾が使われたアフガニスタンなどはほとんど内陸国だ。日本だけが敵の襲来のため自国内で使う根拠はない。

 河野氏 (日本政府は)海岸線の防衛のために態度が煮え切らないのか、それとも米国が反対しているから遠慮しているのか。人間の安全保障というなら、クラスター爆弾の現状を踏まえ、(防衛)戦略の議論をしてみてもいいと思う。


自民党の河野太郎衆議院議員は父親の河野洋平衆議院議長とは違い防衛面に理解があるようで、人道上の観点だけでなく防衛戦術上の観点からも議論していくべきだと話しています。クラスター爆弾についての議論をする上で、規制派からこのような意見が出てくるのであれば身のある議論が出来そうですが、果たして今後どうなるのか。民主党の藤田幸久参議院議員のコメントを見る限り、「この人何にも理解してないな」としか思えず、防衛面での議論が十分行われるかどうかは前途多難です。



●旧式維持する日本

 藤田氏 自衛隊が持つ4種類のクラスター爆弾のうち、3種類は不発弾が多く出る旧式で、他国は廃棄を進めている。米国は、対人地雷禁止条約に加盟していないのに地雷を多数廃棄した。日本も、(将来的に)クラスター爆弾禁止条約に加盟する前に、旧式の爆弾を廃棄するという政治意思を発揮できないか。

 目加田氏 オランダは旧式の廃棄を開始した。(全面禁止に慎重という点で)日本が「同じ立場」と言っているドイツやイギリスも、旧式は廃棄するよう政策変更した。オスロ・プロセスに参加する大半の国が旧式廃棄で臨んでいる。しかし日本は旧式も廃棄しない、としている。


4種類? 

CBU-87/Bクラスター爆弾(BLU-97/B子弾202個内蔵)
MLRS(M26ロケット弾1本あたりM77子弾644個内蔵)
155m榴弾砲用03式多目的弾(子弾内蔵数不明、推定60〜80個)

これ等の他に何かあったっけ・・・と思ったら、AH-1S及びAH-64D攻撃ヘリが搭載するハイドラ70ロケット弾にありました。M261弾頭、買ってたんですね。

HYDRA70ロケット弾M261弾頭(M73子弾9個内蔵)

この内、不発弾が出難い「新式」は03式多目的弾の事を指すのでしょう。旧式を廃棄して新式に揃え直す、という選択ならばそれで良いと思います。欧州主要国もそういう判断ですから。では何故、現時点で日本は旧式を廃棄しないとしているのか・・・

予算を下さいな、別枠で。

そうしたら直ぐにでも対処できます。取り合えず300億円程度あれば一通りは買い換えられます。なお今年1月17日に毎日新聞は「クラスター爆弾:一部を除き禁止方針を表明 日本政府」と報じている通り、日本政府は旧式の即時廃棄はしないものの使用制限には賛同しています。



●求められる判断

 目加田氏 (オスロ・プロセスは)来月19日から、アイルランド・ダブリンで会議を開く。ここで、最低でも旧式爆弾は禁止する、との国際合意がなされるのは間違いない。旧式のクラスター爆弾を廃棄しない日本はこの会議で何をするのか。

 河野氏 永田町、霞が関周辺で軍縮という言葉を聞かなくなった。一時は軍縮で日本が先頭に立つ動きがあった。日本ができることはたくさんある。

 ねじれ国会で政治が機能不全になっているが、こういう問題は政治が旗を振って具体策を考えろと下に落とす必要がある。皆さんから政治のリーダーシップが必要だと働きかけていただきたい。

 目加田氏 本当に待ったなしだ。ダブリン会議まで約1カ月でどこまで政治判断を進められるかが課題だ。


もしかして目加田説子・中央大教授は、今年1月のジュネーブでの「特定通常兵器使用禁止制限条約」(CCW)専門家会合で日本政府代表が何を言ったのか、把握していないのでしょうか。使用禁止と即刻廃棄は別の話ですし、ダブリンの会議で予想されているのは旧式の使用禁止です。日本はこの会議で何をするのかって、それは英仏独と共同歩調を行うだけでしょう。

それと河野太郎議員、日本はここ6年連続で軍縮中です。軍縮の意味を取り違えていませんか? そもそもクラスター爆弾の問題は人道問題であり軍縮問題ではありません。代替兵器の選択次第では軍拡の必要性も有り得ますし、既に各国でそういった議論は行われています。

それは何かというと、もしクラスター爆弾のように1発が安価で一挙に広域を面制圧できる兵器が全面的に使用できなくなれば、高価な誘導兵器を多数投入するしか代替手段が無い(戦術核兵器は論外だし、燃料気化爆弾は装甲貫徹力が低い)以上、これまでより余計に軍事費が掛かってしまうからです。
22時30分 | 固定リンク | Comment (123) | 平和 |
2008年04月27日
5月5日に開催される岩国海兵隊基地の航空ショー「岩国フレンドシップデー2008」に、空軍のB-52戦略爆撃機がフライバイにやって来る(地上展示無し)予定だと明かされた後に反対の声が上がっています。


岩国にB52核爆撃機:しんぶん赤旗

B52戦略爆撃機の岩国飛来を中止せよ:市会議員藤本博司

航空ショーのB52参加中止を:中国新聞


共産党の笠井亮衆議院議員と藤本博司岩国市議員、秋葉忠利広島市長、藤田雄山広島県知事がB-52飛来への反対の声を上げています。反対理由は「核搭載可能」だからだそうですが、そんなことを言い出したらF/A-18戦闘機やF-16戦闘機にもB61戦術核爆弾やB83戦略核爆弾を搭載可能なわけで、それら戦闘機は毎日飛んでいるわけです。枯葉剤にしてもB-52爆撃機ではなくC-123輸送機で撒いた筈ですし、色々と無茶が有ります。結局、反対理由についてはそういった細かい事が問題なのではなく、「ベトナム戦争のイメージが強烈なB-52が感情的に許せない」という話なのでしょう。B-52がB-29のような「戦略爆撃機らしい戦略爆撃機」の分かりやすい形をしていることも大きいのかもしれません。やってくるのがB-1戦略爆撃機やB-2戦略爆撃機だったらこれほど過剰な反対はしなかったでしょう。(もしB-2が来た場合、その特異な形状から航空ショーは大盛り上がりすることは確実で、反対したら航空ファンから猛抗議を受けるでしょうし)

ところがそもそもB-52は当日、ちゃんと来るのか? という疑問の声が上がっています。抗議が功をそうして飛来しないのではなく、米空軍の都合で気やしないのではないかという指摘です。ベタ藤原さんによると、昨年2007年の岩国フレンドシップデーでも配布されたパンフレットの飛行プログラムに「B-52 Fly-by」とあったのですが、結局飛んでこなかったそうです。その時はB-52飛来反対の抗議そのものが無かったにも関わらず来なかったので、今回も抗議に関係なくどうせ来ないのではないかと、半信半疑な反応です。



   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \   <いいじゃないか。とりあえず共産党に
 |   ( ●)(●)   抗議が実ったと思わせとこうじゃないか
. |     (__人__)____
  |     ` ⌒/ ─' 'ー\
.  |       /( ○)  (○)\
.  ヽ     /  ⌒(n_人__)⌒ \
   ヽ   |、    (  ヨ    | 抗議しなくても来るわけgむぐっ・・・
   /    `ー─−  厂   /
   |   、 _   __,,/     \



まぁ、そんなこと言っていると来ちゃいそうなんですけどね。
21時43分 | 固定リンク | Comment (64) | 平和 |
2008年04月21日
前回の4/17記事がコメント100を超え、幾つかの指摘がありました。それを受けて大元の記事を書いた井上孝司さんが更なる解説を行っています。

Kojii.net - Opinion:防衛産業陰謀論者の無理・無茶・無謀 (2008/4/21)

2年前の記事に対しても直後に解説が行われているので、そちらもご覧下さい。

Kojii.net - Opinion:防衛産業って戦争でボロ儲けできるの ? その後 (2006/8/28)

こちらでも説明されている通り、そもそもの井上氏の狙いは「防衛産業はボロ儲けするために政府に働きかけ戦争を起こさせる」という都市伝説(軍産複合体陰謀論)を、無力化させることにあります。その点を踏まえた上でコメント欄で上がった指摘についてお答えします。

『black water辺りは儲けてるんじゃ?』

仮に一部の中小企業が儲かっていても、大企業が儲かっていない場合、軍需産業全体は儲かっていません。井上氏や私がブラックウォーターのような民間軍事会社(PMF:Private Military FirmないしPMC:Private Military Company)の事を言及していないのは、企業規模が大手軍需企業に比べるとかなり小さい為です。例えばブラックウォーター社は軍事関連の年間契約額はロッキード社の数百分の1であり、アメリカの軍事関連会社としては小規模な部類です。

井上氏は4/21の記事で、米軍への兵站業務とイラク復興支援事業を請け負っているKBRを引き合いに出していますが、KBRとてアメリカ軍需産業に占める割合は僅か3%に過ぎず、しかもKBR社全体の業績は2004年以降年々下がっているという事実を数値で示されました。KBRは石油会社ハリバートンの子会社であるだった建設企業で、イラク復興支援と米軍への補給物資(生活消耗品)を請け負っており、アメリカ最大の民間軍事会社でもあります。要するに自分達の商売を自分達自身で護衛するという発想です。これに対しブラックウォーターは軍事専門会社です。

以上のように、民間軍事会社の規模そのものが大手軍需企業と比べてかなり小さく、また「軍産複合体」の範疇に入らない(少なくともアイゼンハワーの言ったソレではない)為に、軍産複合体陰謀論の代わりに陰謀論を唱える事が出来るかと言うと、かなり無理があります。

『違う。いまや軍事産業は「人道復興支援産業」と一体化している。戦争のための武器は売れなくても巨万の「人道復興支援産業」を受注できるし、現に受注している。だから奴らは戦争と混乱を望んでいる』

KBRは元々、武器を造っておりません。武器を造っている会社が(武器が売れない額以上に)人道復興支援産業を受注しなければ、武器の代わりに儲かるという話にはなりません。はっきり言いますと、つまり軍事産業は人道復興支援産業と一体化などしておりません。そもそも人道復興支援産業の規模自体が、「軍事産業」の規模よりも小規模なので、仮に一体化できていたとしても兵器製造産業の代替とは成り得ませんので、儲かりません。

『元々正規軍を蹴散らしたらさっさと引き揚げる予定だったはずなので、想定外・予定外・予想外の「対テロ・対ゲリラコマンド戦を続ける羽目になった」事を理由にするのは筋の通らない話なのでは?』

もし当初の予定通りに敵正規軍を蹴散らしてさっさと引き揚げる短期決戦であった場合、戦闘消耗そのものが少なくなるので軍需企業は殆ど儲かりません。典型例が「湾岸戦争」です。

アメリカの国防費:UNITED DEFENCE

ロシア軍の詳しい装備解説を載せている軍事サイト「UNITED DEFENCE」の「軍事統計局」より、アメリカの国防費の推移を見てください。

冷戦終結が見え始めた1980年代終盤からアメリカの国防費は下がり始めていますが、1991年の湾岸戦争はその軍縮傾向にまるで歯止めを掛けていません。1988〜1998年の10年間は、過去に最も国防費が継続的に減った期間です。敵を一撃で蹴散らして帰って来る短期決戦は、軍需産業にとって特に旨みがありません。

『BAEはイラク戦争で儲けたそうです』

イギリスのBAEシステムズがここ数年、売り上げを急増させている理由は戦争で儲けた結果ではなく、同業他社の買収によって巨大化していったからです。井上氏が2006/8/28の記事で、

「どこかで戦争が始まった後に売上が急増したメーカーがあったとしても、その売上急増が M&A によるものだったり、あるいは戦時需要と関係ない部門によるものだったりしたのでは、「戦争でボロ儲け」とはいわない。」

と解説している通りで、BAEシステムズはここ10年で14社も企業買収しており、特に2005年に買収したユナイテッド・ディフェンス・インダストリー社と2007年に買収したアーマー・ホールディングス社は大きく、BAEシステムズの規模を飛躍的に伸ばしました。ただしこれが軍需産業内での食い合いであり、共食いによって大きくなった事を意味します。井上氏によればBAEは当時、エアバス株をドイツのEADS社に売り払った事による潤沢な資金があり、アメリカでM&Aを仕掛けてきたとの事。

『その程度では陰謀論者は納得しないでしょう』

陰謀論者に対しどんなに懇切丁寧に説明しても納得させる事は難しいでしょう。井上氏も私も、陰謀論者を説得する目的でこんな話をしているのではありません。「陰謀論」そのものを無力化できれば、信じ込む人が居なくなります。大勢の人に相手にされない陰謀論は、意味を失います。それで十分なのです。
22時30分 | 固定リンク | Comment (249) | 平和 |
2008年04月17日
軍需産業は戦争を欲していません、少なくとも対テロ戦争については。何故なら、兵器が売れなくなるからです。俄かには信じがたいかもしれませんが、これは事実であり、実証されました。

ライターの井上孝司さんが2年前に分析した事を、当のアメリカ防衛関連企業の団体が言い出すようになったのです。


Kojii.net - Opinion : 防衛産業って戦争でボロ儲けできるの ? (2006/8/14)
これらの話を簡単にまとめてしまえば、目先の戦争で必要な消耗品や作戦経費のために予算を食われてしまい、その分だけ大手防衛関連メーカーが得意とする大型正面装備に予算が回ってこなくなるということ。その正面装備も、システムの大規模化・複雑化でスケジュール遅延やコスト上昇、それに伴うキャンセルや規模縮小のリスクが大きくなっていて、必ずしも儲かるとは限らない。


Kojii.net ココログ別館: 正しかったのは、どっち ?(2008/4/17)
これは、アメリカの航空宇宙・防衛産業が集まって構成する業界団体・AIA (Aerospace Industries Association) がまとめた報告書なんですが、骨子は以下の通りです。

「国防予算全体の伸びと比べて、装備調達・研究開発関連の伸び率は低い。これは、(進行中の戦争のために) O&M (Operation and Maintenance) 経費、兵士の待遇改善のための経費、戦闘で損耗した装備の修復・補充にかかる経費が嵩んでいるため。そのせいで、装備の近代化に必要な調達や研究開発に回る資金が不十分になっている。かかる現状が、将来の米軍の即応体制に悪影響をもたらす可能性について懸念する」


イラクやアフガンでの対テロ戦争は、大型正面装備(戦闘機や戦車などの高価な兵器)をあまり消耗しません。戦闘機や爆撃機は撃墜された数よりも事故で失われた数の方が多いくらいで、戦車についても撃破された車両は両手で数えられる程度、比較的損害の多いトラックやハマー、輸送ヘリにしてもベトナム戦争と比べて少ない被害です。ベトナム戦争ではヘリコプターを含む約1700機ものアメリカ軍航空機が撃墜されましたが、イラク戦争では現時点で数十機の損害で済んでいます。この損害差はベトナム戦争がべトコンとのゲリラ戦だけではなく、北ベトナム軍という正規軍が存在し、ずっとアメリカ軍と相対していた事によるものが大きいと言えるでしょう。

イラクやアフガンの場合、敵正規軍は一瞬で蹴散らして、自軍の損害は殆ど無かった。その後の占領統治に置いて、対テロ・対ゲリラコマンド戦を続ける羽目になった。こういった形態の戦争では、軍需産業はまるで儲からないのです。最も儲けの幅が大きい、ハイテク大型兵器が必要とされないのですから。
21時31分 | 固定リンク | Comment (149) | 平和 |
2008年04月04日
絶滅の心配がある海生哺乳類のジュゴンですが、絶滅の危機に至った原因の一つに乱獲があります。ジュゴンの肉は大変美味しいらしいのです、実際に食べた人によると。


【食べられる水族館】ジュゴン:asahi.com-和歌山
●味は豚のヒレ肉そっくり/オーストラリア

「森さんはジュゴンの研究をしてるのに、ジュゴンを食べたんですか?」
「『ジュゴンの肉が美味(おい)しいから密漁された』って説明してるのに、『食べたことない』じゃ、嘘(うそ)をついたことになるでしょ」

〜中略〜

現在もアイランダー(島土着の人々)やアボリジニー(オーストラリア原住民)に限り、伝統文化の保護を目的としたジュゴンの生存捕獲が認められていて、ジュゴンハンターと呼ばれる人たちがいる。

もっとも、国や州政府は国際世論への配慮から、あまり大っぴらにされることを喜ばず、私が取材を申し込んだら写真撮影を拒否されてしまった。

ところが、幸運にも木曜島滞在中にたまたま有力者の家で祝い事があり、ジュゴンのシチューのお相伴に与(あずか)ることができたのだ。

「味は豚のヒレ肉にそっくりだね」

食べてみて初めて、これでは密漁してまで食べようという不届きなヤツがいるのも無理はない、と納得した。  (すさみ町立エビとカニの水族館長 森 拓也)


森さん豪快すぎ。研究者の鏡だなぁ、研究者じゃない素人の保護活動家は激怒しそうだけど、これこそが科学者の探究心なのですよ。

でもこの記事を見る限り、オーストラリア政府は自国がジュゴンの捕獲を行っている事を隠したがっているようです。少数民族による伝統猟の捕獲圧ならば大きな影響は無いので、捕獲枠をきちんと定めていれば問題ないのですから堂々としていればよいのに・・・と不思議に思っていたのですが、理由を知って納得しました。日本への捕鯨批判とダブルスタンダードになるからなんですね。


Australia 'hypocritical' over dugong hunts:The Sydney Morning Herald
The New Zealand-based spokesman for Japan's Institute of Cetacean Research, Glenn Inwood, said Australia was being hypocritical by supporting the harvesting of dugongs by indigenous hunters, while rejecting all "lethal use" of whales, The Australian reports today.


オーストラリア政府がクジラの致死利用を一切認めないとする一方で、先住民族のジュゴン猟を支持しているのは偽善だ、ダブルスタンダードだという話です。そして日本政府は6月のチリでの会議で、このジュゴン猟を取上げてオーストラリアを槍玉に挙げる気だと。なお島の少数民族(アイランダー)の代表は「ジュゴンを多く獲り過ぎてしまった」とも言っているようです。

そりゃ、部外者の日本人の研究員がジュゴンのシチューを御相伴に与れるくらいには獲っているようですから・・・


なお、日本の沖縄はジュゴン生息域の北限であり、数は激減していて絶滅寸前となっています。この絶滅危機に至る原因は食用目的の乱獲です。これは原因の一つではなく、主要因です。



【質問】 辺野古沿岸への基地移設が行われなければ,ジュゴンは保護され,個体数は増加するでしょうか?

【回答】 沖縄のジュゴンが急激に頭数を減らしたのは,明治から大正期にかけてです.
この頃,沖縄ではジュゴン漁が盛んに行われ,沖縄県下で明治〜大正年間で最低でも500頭が捕獲されました.
この結果,宮古島,八重山諸島では大正初期に絶滅.沖縄本島周辺でも大正初期に個体数が僅少となり,ジュゴン漁自体が中止されます.
 
【種を維持しつつ,捕獲できるのは全個体数の2%以下】 と云う話があります. 
明治〜大正年間の全生息数は不明ですが,漁が中止される程に減少してしまった時点で,沖縄のジュゴンの絶滅は決定的となったと言っていいでしょう.

【ジュゴンの自然増加率は,5%以下,最良の環境でも1%前後】 と云う話があります.

つまり,【ワンシーズンで100匹以上の子供が産まれないと,生息域を人間が保護しようがしまいが,全体の個体数は増えない.
まして,それ以下だと全体の個体数が減り,自然に絶滅してしまう】ワケです.

現在,沖縄で生息するジュゴンの個体数は18頭前後……
【自然増加率は,5%以下,最良の環境でも1%前後】

つまりは,そういう事です……


これは琉球王朝時代にはジュゴン猟を抑制してきたのに、明治維新の結果、王朝が解体され日本政府の完全な支配下に置かれた時に、タガが外れた結果の乱獲だといえるでしょう。すると日本政府が悪いとも言えますが、かといってあの帝国主義時代に琉球王国が自主独立を保てる筈も無く、中国ないし欧米列強が琉球諸島を手に入れていたら同じ事が起こっていたでしょうから、避けられない運命だったのかもしれません。
23時05分 | 固定リンク | Comment (119) | 平和 |
2008年04月03日
平良夏芽牧師が代表を務めていた沖縄平和市民連絡会のサイトにて、辞任についての正式発表がありました。


平和市民連絡会 うまんちゅぬ部屋(4/1更新)
《沖縄平和市民連絡会よりお知らせ》

代表世話人 辞任の件

「平良夏芽氏より体調不良により代表世話人辞任の申し出があり、
会として了承しました。」


・・・え、それだけですか? 本当に体調不良が原因で辞任するなら、もっと心配してあげてもいい筈でしょうに、あまりにも淡白すぎます。 今まで辺野古反基地運動の中心として頑張ってきたのに、この対応は少し冷たいですね。 この発表には凄く疑問があります。まさか4/1だといってエイプリルフールだと誤認させる気は無いでしょうし。

・3月初めには辞めているのに、なぜ発表がこんなに遅れたのか。
・体調不良というならば、病名は何なのか。
・今後の復帰も見込めないほどの大病なのか。
・治るまでの一時的な辞任ではないのはなぜか。
・闘病を応援するのが当然ではないのか。
・元気付けよう、お見舞いに行こうとしないのはなぜか。
・療養先が伏せられているのはなぜか。

発表が一ヶ月も遅れたのが凄く疑問です。病名が伏せられているのがおかしな話ですし、療養先も示されていない。これではお見舞いにも行けないです。なんで隠す必要があるのでしょうか。3/22に書いた当ブログの記事「平良夏芽牧師が辞任?」で紹介しましたが、関係者から聞いた証言にこうあります。

「今は心身の休養を兼ねて、ある場所にいらっしゃるそうです」

"ある場所"とは一体何処なのか、なぜ隠す必要があるのか。数々の疑問は、不穏な話への疑惑を一層より駆り立てます。病名も療養先も伏せられ、発表は辞めた後の一ヵ月後。平良牧師が「体調不良」で3/16の名古屋中央教会の講演を中止した際は、その二週間前には「うふざと伝道所」から中止が通達されていたそうです。3月初めにはもう辞めていた筈なのです。

Natsume Taira.のホームページ

平良牧師のサイトでは何も説明がありません。身内からの発表も無いです。プロテスタントの牧師は妻帯者が普通で、平良牧師にも奥さんが居たと聞いています。うふざと伝道所のサイトは消えてしまっています。

「ジュゴンの家」日誌 2008年分

こちらでも報告はまだありません。今のところ、動きがあるのは沖縄平和市民連絡会のサイトだけのようです。果たして辞任は本当なのか。形式上は辞任だが、実質的には解任されたのではないかという疑惑は、一層に深まったと言えるでしょう。これまでの運動の功労者が辞めるというのに、お見舞いの連絡先すら告げず、病名も告げず、発表自体が一ヶ月も遅れたことは、あまりにも不可解です。


沖縄タイムス 2008年2月28日(木)朝刊23面
沖縄平和市民連絡会の平良夏芽共同代表は「県民をばかにしている。時間を割いてでも対応すべきだ」と批判した。


2月の終わりには元気一杯だった事は確認されています。
00時52分 | 固定リンク | Comment (50) | 平和 |
2008年03月22日
一年近く前に書いた平良夏芽牧師の発言についての日記「沖縄の飛行場は原爆投下に不可欠の存在だった???」のコメント欄へ、一週間くらい前に不穏な書き込みがありました。沖縄まちBBSの辺野古スレにも同じ時期に同様の文面の書き込みがあります。最初は悪質な悪戯かと思い、事実でないなら自分の日記のコメント欄については削除対応しなければならないと思っていたのですが、Wikipediaに以下の内容が書き加えられている点が気になりました。


平良夏芽 - Wikipedia
2008年3月 うふざと伝道所牧師及び沖縄の全ての市民団体の役職辞任(解任とする声もある)


この項目の履歴を見ると、3月4日の時点で新たに書き加えられた内容だと分かります。その後に複数の人が書き換えているのですが、内容の相違点は辞任か解任かの認識の違いであり、誰も「役職から外れた事」自体を否定して書き換える人が居らず、最終的に辞任または解任の両論併記となっています。

Wikipediaですから、本当の事を正しく知っている人が書いているとは限らず、これだけでは事実関係について分かりません。ただ、この件について複数の関係者にメールや掲示板で事実関係を聞いた所、誰も「役職から外れた事」自体を否定する人が居らず、辞任か解任かで認識が違うという点については同様でした。


21 2008年03月18日 22:23  月下美人
夏芽先生は辞任です。解任ではありません。直接ご存じの方から、日曜日に伺いました。
今は心身の休養を兼ねて、ある場所にいらっしゃるそうです


この方の認識では辞任であるとの事です。他の方からメールでの説明では解任との事でしたので、Wikipediaの履歴と同様に認識の違いはあっても、役職から外れたこと自体への否定の声が聞かれません。

そして愛知県在住の方の日記によると、その日曜日、3月16日には名古屋中央教会で平良夏芽牧師の集会が予定されていたのですが、中止されたそうです。


第654話「 抗議行動 」
まず前回の日記第653話「 リアリティ 」で紹介した、名古屋中央教会での平良夏芽牧師の集会は中止でした。教会の人に理由を聞いたところ平良夏芽牧師の体調によるものらしい。


体調不良とのことですが、「心身の休養」をしているという情報とあわせて、もし辞任が本当ならば辞任理由が体調問題である可能性も有ります。ですがそれなら普通に公表されても良い筈です。


沖縄タイムス 2008年2月28日(木)朝刊23面
沖縄平和市民連絡会の平良夏芽共同代表は「県民をばかにしている。時間を割いてでも対応すべきだ」と批判した。


沖縄タイムスの記事によれば2月27日の時点で代表のままです。一体、3月になってから何があったのでしょうか? 明日23日は沖縄県民大会です、何らかの事実説明があると良いのですが。
06時25分 | 固定リンク | Comment (51) | 平和 |
2008年01月20日
(注・追記:5/19〜5/30の日程で行われたオスロ・プロセスのダブリン会議において、「新型クラスター爆弾」の定義が新たに設定され、不発率を低くしただけのものは「改良型クラスター爆弾」と呼称されるようになりました。しかし当記事の書かれた1/20の時点では「不発率を低くしたもの=新型」という扱いであり、ダブリン会議以降の設定とは異なっています。その点を注意して読んで下さい。)


17日のジュネーブCCW専門家会合で、日本政府はクラスター爆弾の規制について英仏とほぼ同じ立場を表明しました。不発率の高い旧型は廃棄し、不発率を低くした新型へ切り替えることになります。


クラスター爆弾:一部を除き禁止方針を表明 日本政府 - 毎日jp
政府は「信頼性に欠けるクラスター爆弾」を禁止対象にし、新規開発生産を即時禁止▽猶予期間を設け、使用を限定▽猶予後に使用も禁止する−−方針を表明。CCWでも条約で合意するよう提案した。一方、自爆装置付きなど不発率の低い新型爆弾は容認する。


予算的には、先ずはアメリカからのGMLRSの購入を最優先とし、航空機用クラスター爆弾は後回しになるでしょう。航空機は通常爆弾やJDAMがありますが、自衛隊のMLRSは旧型クラスター弾頭を使用するロケット弾しか弾薬を保有していないからです。

GMLRSはMLRS(多連装ロケットランチャー・システム)の改良版で、従来のM26ロケット弾にGPS誘導機能を付与し命中率を上げ、若干の弾頭重量と引き換えに射程の延伸を図ったモデルで、米英仏独伊の共同開発です。GMLRS計画のM30ロケット弾に搭載する子弾(submunition)は自爆機能付き新型DPICMのM85を搭載しています。またこの計画にはM30の他に200ポンド炸薬単弾頭型のM31ロケット弾も有ります。M85子弾は従来のM77子弾を改良し、自爆機能を持たせたものです。M30ロケット弾でなくてもM26A1(M26射程延伸型)にも搭載されています。

アメリカはMLRSの子弾に自爆機能を持たせましたが、戦術短距離弾道弾ATACMSのクラスター弾にはこういった新機能を持たせる計画は特に無いようです。これはATACMSのM74子弾が対装甲貫通力の無い対人用(ボール形状)のもので、成型炸薬を下方に指向する為にパラシュートやリボンで姿勢安定を行う必要が無く、何処から当たっても爆発する為に不発率が元々低い事から、新型開発の必要性が無い為です。

ただし、M85にしろM74にしろ、不発弾発生率1%以下は達成出来ているとは言えず、今後の更なる改良が待たれます。・・・防衛省独自に開発した方が良いかもしれない。輸出されないので実戦投入される機会そのものが滅多な事では無いであろう為、「この新型は不発率1%以下です」と言い張れば第三者には検証しようが無い・・・うん、ちょっとセコいか・・・

結局今回の表明で、航空用爆弾も入れ換えないといけないし、MLRSのロケット弾入れ替えと合わせて、弾薬類調達だけで300億円弱は追加で申請しないといけなくなりました。
21時11分 | 固定リンク | Comment (45) | 平和 |
2007年12月12日
厚木爆同(厚木基地爆音防止期成同盟)は嘘を吐き、住民の不安を煽ろうとしているとしか思えないですね。それにしても爆同って、他によい略称は無かったんでしょうか。


市民集会:厚木基地の航空機騒音など抗議 大和で市民780人デモ行進 /神奈川 - 毎日jp
集会前の8日午前11時すぎ、厚木爆同のメンバーら約50人が同基地正門で海自関係者と面会。同基地で来年度からジェット機の次期対潜哨戒機(PX)が性能評価試験を実施することに「爆音を増大させる」と訴える一方、同機は静強度試験で水平尾翼の一部変形と胴体の床構造に亀裂と変形が発生している欠陥機と指摘し、PXの乗り入れ中止を申し入れた。


「爆音を増大させる」→嘘

新型哨戒機PX(XP-1。正式採用後はP-1と呼称)は、従来機の哨戒機P-3Cよりも騒音が低く抑えられています。ターボファンエンジンのXP-1がターボプロップエンジンのP-3Cよりも騒音が低いのですから、これは相当な技術的進歩です。(通常はターボプロップ、つまりプロペラ式の方が騒音は低い)


次期哨戒機性能実験4年で500回案回答/自衛隊厚木基地 - カナロコ
騒音レベルについては「XP1はP3Cに比べ、巡航出力で十デシベル程度、離陸出力で五デシベル程度低減している」とした上で「騒音の影響は従来より拡大しない」との見解を明示。

11月20日 XP1視察:綱嶋洋一活動日記
同行した綾瀬市基地対策課職員の測定器による調査ではアイドリング時、P3Cが83デシベル、XP1が76デシベル、離陸時がP3Cが81デシベル、XP1が70.6デシベルだった。


「欠陥機」→嘘

試験飛行前の静強度試験で変形したら欠陥機呼ばわりならば、世界中の飛行機は殆ど全て欠陥機です。



ボーイング主力旅客機B777の静強度試験(主翼の終極荷重試験)


静強度試験とは機体が実際に飛ぶ前に不具合が出るかどうか確かめる試験ですから、むしろ事前に変形が見付かって良かったと言えます。新型機の開発は普通、不具合の発生が連続して起こるものであり、開発の遅延は当たり前の話です。しかし自衛隊のCX/PX計画は全体としてみればとても順調な開発スケジュールの進行であり、CX/PX計画と対比される欧州のA400M輸送機計画やアメリカのP8A哨戒機計画が大幅な開発遅延を招いている事に比べれば雲泥の差が有ります。

大きな開発トラブルも殆ど無く、順調に計画が進行しつつあるPXに対しこのような難癖を付ける行為はとても浅ましく残念です。何でもかんでも針小棒大に騒ぎ立てて無闇に欠陥機呼ばわりし「欠陥機認定」を行っていったら、欠陥機のインフレを招き世の中の飛行機は皆、欠陥機になってしまうでしょう。この手の活動家による無見識な欠陥機呼ばわりに強く抗議します。

新型機XP-1は従来機P-3Cよりも騒音が低いのであれば、基地爆音に抗議する立場であるならば、厚木爆同は「一刻も早い新型機との入れ替えを望む」と表明すべきです。それなのにXP-1に対しても難癖を付けるのであれば、もはや騒音の低下など彼らには眼中に無く、ただ反対運動ができればそれでいいという、目的と手段を取り違えた間違った市民運動と評される事になります。

XP-1の騒音は実は低い、欠陥機でもないと知れたら、厚木爆同は反対理由について国が1971年に「ジェット機は緊急の場合を除き使用しない」と使用制限を定めた「46文書」を持ち出してくるでしょう。しかしこの文書はジェット機はプロペラ機よりも騒音が激しいという前提の下に作成されており、数十年経って「ジェット機だがプロペラ機よりも騒音が低い」機体が登場した事により意味を失っています。それでも反対派が46文書に固執するのであれば、それは少しでも騒音を減らしていこうという意思を放棄したものと見なします。

果たしてそれは騒音に悩む地域住民の意思とは、とても言えないでしょうね。


P-1とF7-10ネタをダラダラと - CHFの日記
P-1とP-3Cの騒音レベルの差は歴然としており、更に言うなら速度や飛行高度が高くなったP-1は特定地点を騒音に曝す時間そのものも短い。

逆にP-3Cは老巧化と設計そのものが古いことによる信頼性の低下などが指摘出来よう。

ついでに指摘しておくなら、P-1への更新はP-3Cと1対1を超えることはありえない、つまり機数が増えることなど無いという訳でもある。

要するに単純に周辺の環境被害低減という観点で見るなら、寧ろP-1への早期更新を訴えるべきなのだ。


新型哨戒機への更新は基地騒音の低下に貢献します。その事をきちんと理解し、市民活動家は「反対の為の反対」をもう止める時が来たのだと思います。
21時17分 | 固定リンク | Comment (69) | 平和 |
2007年12月07日
欧米では反戦平和派(ただし一部のインテリ層)が「徴兵制を採用せよ」と唱える場合があります。それは犠牲は平等に課されるべきだ、という考え方です。自分の意志とは無関係に戦争に行く可能性がある―若者が戦争について真摯に向き合い、考え、結果としてそれは戦争反対に繋がる。為政者達も自分の子供達が戦争に行く可能性があるとすれば、安易に戦争を選んだりしないだろう、言わば戦争そのものへの抑止力として徴兵制採用を唱えるのです。それは、念仏のようにただ戦争反対!戦争反対!とだけ唱える、宗教じみた反戦運動から脱皮した、理論的なものです。反戦平和だからこそ徴兵制・・・しかし日本ではこれまでこういった主張を声高に叫ぶ人は今まで居ませんでした。

何故ならそのような主張は護憲運動の邪魔でしかないからです。


朝日新聞社の『論座』に徴兵制必要論書いたよ - ベイエリア在住町山智浩アメリカ日記

日米よ、徴兵制度を復活させよ:論座 2008年1月号
日本では右も左も徴兵制に反対らしい。憲法9条を改憲して自衛隊を正式な国軍にすると主張する人々ですら「徴兵制度を復活させるわけじゃない」と言って賛同者を増やそうとしている。


町山智浩氏のこの主張は時系列を端折っている点で問題があります。

先ず護憲派が「改憲したら徴兵制が復活してしまう!」と主張。
対して改憲派が「徴兵制は復活させません」と返答。

護憲派は徴兵制復活の恐怖を煽って賛同者を増やそうとしています。改憲派は、護憲派が徴兵制を持ち出さない限りそれに対し言及しないでしょう。言われてもいないのに自分から持ち出す意味が無いからです。なぜ日本では右も左も徴兵制に反対なのかなんて、とても簡単な事です。改憲問題で徴兵制採用を唱える事は双方にとってマイナスでしか無いからです。右派が徴兵制採用を唱え改憲を主張すれば、左派はここぞとばかり「徴兵制復活を許すな」キャンペーンを張るでしょう。そして左派が護憲を主張する時に徴兵制復活を唱える事はおかしなことになります。徴兵制を採用するには憲法を変えなければならず、改憲派となってしまうからです。

私は、以前から欧米では反戦平和だからこそ徴兵制を唱えるという主張があることを知っていました。しかしそのような主張は日本では、少なくとも憲法が改正されてしまった後で無いと一定の勢力として存在出来ないと予測していました。反戦派が徴兵制採用を唱える事は護憲運動にとって足を引っ張るものでしか無いからです。

町山智浩氏のような主張は、現状の日本で多くの反戦派が唱えだす事はありません。アメリカに対しそのような物言いをすることは考えられますが、日本国に対し徴兵制の採用を迫る事はありません。今回は、アメリカ在住の方が現地でこういう考え方があるよと紹介しただけに終わるでしょう。


また、為政者に従軍経験があれば、為政者の息子が軍隊にいるならば、安易に戦争を始めたりしないだろうというのは、結局の所は希望的観測に過ぎません。いえ、そういった条件が無い場合よりは安易な戦争の選択は減るだろうとは思いますが、決定的な抑止力にはなり得ません。イラク戦争はチキンホークが始めたとしましょう。では湾岸戦争は誰が始めたのか。当時の大統領、ブッシュ父は元海軍航空機パイロットであり、太平洋戦争への従軍経験がありました(マリアナ沖海戦と父島上空で二度、撃墜されています)。ベトナム戦争は何時の間にか泥沼に引きずり込まれていましたが、戦争を継続していった指導者達は殆ど皆、従軍経験があった筈です。

第一、アドルフ・ヒトラーだって従軍経験はあります。

若者に対し戦争について身近に考えてもらう為の徴兵制、というのも難しい面があります。この場合、徴兵忌避者は許されません。抜け道があれば政治家の息子だって徴兵逃れするでしょうし、一般人の徴兵逃れもあるでしょう。それらを取り締まり、全て徴兵しなければ「反戦側からの主張としての徴兵制採用論」は穴が開きます。無論、女性も徴兵しなければなりません。(実際に3年前に民主党議員から提出された徴兵制復活法案は女性も対象となる)当然、ドイツ連邦軍で採用されている良心的兵役拒否制度も駄目です。ドイツ軍はこの制度のおかげで全軍の2割しか徴兵が存在せず、既に実質志願制軍隊と化しているからです。それでは意味がありません。

しかし果たして、徴兵逃れが許されない男女両方採用の徴兵システムが上手く機能するのか、それ以前にそのような制度が法律として成立するのか(選挙で支持を得られるのか)、甚だ疑問です。



9条改憲論者の「徴兵なき国軍」というインチキに話を戻すが、欧米諸国は徴兵を「停止」しても「廃止」は絶対にしない。


いいえ、これは町山智浩氏の間違いです。アメリカやイタリアが法律上、徴兵制の「停止」であるというのは確かですが、イギリスやフランスは法律上「廃止」しました。特にイギリスはスエズ以東からの撤退を決めた時に徴兵制度を廃止し、志願兵制度に「戻り」ました。この時は1960年代であり、ソ連との冷戦が最も激しかった時代であるにも関わらずです。

イギリスにとって伝統的なことなのですが、戦争をなるだけ志願兵だけで済ませようという傾向があります。(例えば19世紀末のボーア戦争でも本国兵は志願兵だけで済ませた)自国民から徴兵を募る事はギリギリまで遅らせて、どうしようも無くなった時(世界大戦)だけ徴兵制度を設けています。イギリスは島国なので大きな陸軍が要らないという条件も志願兵制度と相性が良く、そしてなによりノブレス・オブリージュ(高貴な者の義務)の国だからです。フォークランド紛争では多数の貴族が戦死し、王族までも最前線に送り込まれました。



国民皆兵制は民主主義国家の基礎だからだ。近代以前は王や諸侯が職業軍人と傭兵による武力を独占していた。しかし、民主主義国家では国民が武力を共有することで、軍の独裁を防ぎ、権力の横暴に対して国民が抵抗する能力を維持する。


これは「民主主義国家の軍隊は徴兵制であるべきだ」というもので、左右を問わず徴兵制採用論を唱える人達の基本と言えるものです。ただ現在となっては理念だけの在り方といってよく、徴兵制軍隊であるならば軍部独裁が防げるとするのは幻想です。理念は理念として大事に取っておけば良い。イギリスなど欧州の軍隊を見ているとそう思えます。



また、国民皆兵制度は戦争のためだけにあるのではない。国民を作るためにあるのだ。人は国民として生まれてくるのではない。国だけでなく、未開の部族や宗教団体、一般の企業まで、人はグループの一員になるために通過儀礼(イニシエーション)を経る。通過儀礼は臨死体験だ。バンジージャンプは、本来は成人式だ。人は儀式的に一度死んでグループの一員として生まれ変わる。

通過儀礼は地域共同体や徒弟制度、宗教がそれぞれに行ってきたが、国民国家では学校と軍隊がそれを担当する。新兵訓練が理不尽なほど厳しいのは、心の中の子どもを切り捨てる儀式だからだ。戦後の日本では各企業が「社会人を作る役割」を担った。それらが崩壊した現在、大人になれない人間が増えたのは当たり前だ。

徴兵しないのなら代わりの制度を確立しろ。でなきゃカルトやニートも増える一方だよ。


最後はまるで東国原知事のような主張(若者を鍛え直す目的)で終わってしまい、少し残念なのですが、こういった通過儀礼目的でのシステムを望まれているのでしょうか。「国民国家では学校と軍隊がそれを担当する」と言うなら学校でやれば良いと思うのですがね。

しかし実は、そういった通過儀礼目的でのドラフト・システムがあります。軍事教練を行わない、徴兵ではない(名目は徴兵制だが)代わりの制度をマレーシアでは採用しています。


徴兵制 復活?−番外編2・マレーシアの徴兵制−
徴兵制導入で訓練始まる=「愛国心と規律」育成へ−マレーシア [04/02/17 時事通信]

マレーシアでこのほど徴兵制が導入され、第1期生8万5000人のうち、2万6000人に対する訓練が17日、各地の軍事キャンプで始まった。徴兵制はマハティール前首相が愛国心や規律の育成を目的に提唱していた。
東南アジアの友好国に囲まれたマレーシアに、戦争の緊迫感は全くない。徴兵の狙いは人口の約6割を占めるマレー系住民の意識改革が狙いの1つとされる。


林間学校みたいなものでしょうか。東国原知事もこういうものを提案すれば誤解を生まなかったかもしれませんね。
22時26分 | 固定リンク | Comment (113) | 平和 |
2007年11月28日
中国海軍の051B型駆逐艦「深セン」が晴海埠頭にやって来ます。滞在期間は11/28〜12/1で、一般公開はありません。入港中は満艦飾・電灯艦飾を行います。日本海上自衛隊のホストシップは、むらさめ型護衛艦「いかづち」です。中華人民共和国の軍艦が日本に寄港するのは初めての事です。

051B型駆逐艦(ルハイ型/旅海型) - 日本周辺国の軍事兵器

そして反戦平和団体による抗議運動は行われない見通しです。神戸港のような非核証明書を提出させる運動も聞きません。最近、核保有国のインドやパキスタンの軍艦が入港した時も特に反対運動はありませんでしたから、今回も同様になると思います。5年前の国際観艦式の時にロシア海軍の巡洋艦ワリヤーグが来た時もそうでしたし、10年前にウダロイ級駆逐艦アドミラル・ヴィノグラードフが来た時もそうです。英空母や仏フリゲートの寄港もスルーですし、何時も通りといえば何時も通りです。

結局、彼等が反対するのは米軍の軍艦だけが対象のようです。どうも反戦平和団体の皆さんにとって晴海埠頭は民間港扱いではないのか(でも軍港じゃありませんよ?)、昔から軍艦が来ても常にスルーされています。晴海は外国軍艦艇の訪問が多いですから、一々反対するのが面倒なんでしょうか。

・・・そういえば香港への寄港を断わられた米空母キティホークが27日に横須賀に帰ってきているので、中国駆逐艦が居る間にキティホークを晴海に移動させて「親善訪問」させたら面白いかも。米海軍にそんな茶目っ気を期待するのは・・・いや、奴等ならやるかも・・・って、燃料代の浪費だしなぁ。

結局、中国の軍艦が来ても特に反対運動は無いでしょう。晴海以外の民間港に寄港するとか、原子力艦だとか、大型の空母だったりすると変わってくるのかもしれませんが。


さて問題はこの次です。今度は海上自衛隊の艦艇が、中国に親善に行くのです。予定はまだ決まってはいませんが、そういう約束です。あちらでは市民による抗議運動が予測されます。韓国へ親善訪問した時も、最初はそうでした。しかし回数を追う毎に友好的なムードになっています。


プサンハン(釜山港)の自衛艦旗−SECURITARIAN 1999年1月号
96年9月の練習艦隊(練習艦、護衛艦各1隻)の訪韓時は一部に「日本艦隊入港反対!」の声もあり、厳重な警備に守られての寄港だったという。しかし、今回は反対ムードなどまったくなく、釜山入港中の護衛艦の一般公開では、見学は3日間で1万人以上に上った。訪れた市民にたずねると、「日本の最新鋭艦が来た、とテレビニュースで見たので」(30代男性)というのが大部分で、中には「専攻している国際関係学の卒論の参考として日本の海軍を直接、見に来た」(釜山在住の女子大生)というように韓国では、まったくといっていいほど実像が知られていない自衛隊を紹介するいい機会になったようだ。


このように韓国との親善訪問は成功しています。中国とも親善訪問を繰り返し、お互いの友好を深める事も出来るかも知れません。取り合えず中国海軍にお願いしたいのは、次はソブレメンヌイ級を寄越して下さいということです。
03時11分 | 固定リンク | Comment (69) | 平和 |
2007年10月20日
furukatsu氏との議論の纏め。導入部はゲリラ戦からでしたが、実際には当初から実質的に徴兵制と志願制についての話でした。これは以前からfurukatsu氏側が私に対して、「一度話し合ってみたい」と思っていたテーマだったからです。

ゲリラ戦と徴兵制の軍事的、政治的解釈 - furukatsuの軍事


確かに現状の日本の作戦環境下で自衛隊を解散し民兵組織によるゲリラ戦を展開するのは無理無茶無謀である。しかしながら、例えば退職した自衛官や消防団のような組織を中心としてゲリラ的な戦闘を展開しうるような組織を作ることは十分に考えられうるし議論の余地のある考えになるだろう。また、いわゆる正規軍にあっても従来の近代型の官僚組織による軍隊ではなく、分散したゲリラ的な統帥法というのも十分に検討しうるであろう。RMAについての議論から考えても、官僚組織型のトップダウンによる統制は電信、電話による指揮に適合的なのであって、現代のコンピュータとデジタルネットワークにおいてはむしろゲリラ的な統帥法が適合的な場合も考えられるのである。


先ずfurukatsu氏の懸念は、自衛隊の予備役の少なさ、準軍隊組織が存在しない事への不安感(海には沿岸警備隊である海上保安庁があるが)があると思います。実際に他国(志願制軍隊を採用している国でさえ)と比べても日本自衛隊の予備兵力の少なさは際立っており、予算と政治的な事情さえ許せば、この部分を充実させるべきと私も同意します。(ただ、単純に予備役を増やすだけでも予算増が必要といった困難な事情があり、更に民間防衛隊設立となると政治的に議論は当面棚上げにするしかありません。)

そして分散したゲリラ的な統帥法とは何か。正規戦は分散と集合を繰り返し、決戦時にどれだけ兵力を集中できるかで勝負が決まります。これに対しゲリラ戦は決戦そのものを回避します。そうなると基本的に分散襲撃となるわけですが、敵勢力の弱い部分に攻撃を仕掛ける際に、局所的な戦術的優位を確保してから仕掛けるのは勿論なのですが、本格的に戦力を集中する事は行いません。ゲリラ側が不用意に戦力を集中すれば正規軍がこれに決戦を挑むチャンスが生まれ、一撃で壊滅してしまう恐れがある為です。(故にゲバラはゲリラ戦だけでは最終的勝利は得られない、と説く)

「分散したゲリラ的統帥法」とは、複数の独立した集団が分散して各個に敵に襲撃を仕掛けていく以上、一つの集団単位の行動の自由度を大きく認める必要性があります。それを統帥し、一つの意思の元に行動を決めて、命令を伝えて行かねばなりません。これについて現代のコンピュータとデジタルネットワークは正規軍よりもゲリラ側にとって適合性が高いのではないか、というのがfurukatsu氏の主張です。

これについて私は「イタチごっこ」になる、と考えています。確かにゲリラ戦の統制指揮には有効で、正規軍への適用よりも相性が良いかもしれない。ですが正規軍側はゲリラ側に比して膨大なリソースをデジタルネットワーク化とその進化に割く事が出来ます。相性の差があったとしても埋まってしまうかもしれない。そして正規軍のRMA化は既に始まっています。



まず、確かに多くの先進国が徴兵制をやめる、ないし縮小していることは指摘の通りである。しかし、それを以って否定する理由の補強とはなっても、洗練されたプロフェッショナル・アーミーが薄弱であるという指摘に対する反論とはならないだろう。プロフェッショナル・アーミーが数の厚みを超えてなお薄弱でないという議論を示してほしい。


少し論点がズレていると感じます。これまでの議論を見ても分かりますが、私とfurukatsu氏は基本的な面で殆ど合意に達しています。にも関わらず議論が続いているのは、このズレに拠るものが大きいのではないかと思います。これについては直接の反論も議論も必要なく、ただズレていることを指摘するだけでよいと思います。

例えば同一の国力の国同士が総力戦を行うと仮定すれば、マス・アーミーを採用した国の方が優勢になるのは当然である事は、そもそも前提のものです。

私は「マス・アーミーは必要ではない」「使う機会が訪れない」と言っているのです。先進国間での国家総力戦争そのもののが、意味を失ってしまった事。また総力戦争=全面核戦争となってしまっては、最早、市民軍の出る幕すら無いであろうという事。だから限定戦争下で投入兵力数が制限されるならば、質で勝るプロフェッショナル・アーミーを使う事が当然であろうという論議です。



しかし極東ではどうか。これについては冷戦終結による平和の配当は未だ受け取られていないだろう。むしろ地域大国となった中国の膨張主義的な政策や窮地へと追い込まれつつある北朝鮮の核開発、SCOというあらたな軍事同盟の締結、ヨーロッパ正面に兵力を張り付けずに済むようになったロシアとかえって冷戦期よりも状況は混迷している。

であるからこそ、韓国は徴兵をやめられないだろうし、わが国は日米同盟の強化に余念がないわけである。その意味ではドイツでの議論をそのまま適用するには無理があるだろう。我々は平和の配当を受け取っていないのだ。


そう、その通りです。これまで私もコレと同様の主張をあちこちで繰り返してきました。我々はまだ平和の配当を受け取っていないのです。(齟齬があるとすればロシア軍はソ連時代から大幅に兵力が衰えており、ヨーロッパ正面よりもむしろ極東方面の兵力減少が著しい点くらいか)

あと自己レスなんですが、

>最前線はポーランドとバルト三国のロシア国境まで伸びたわけだ。

ロシア国境ではなくベラルーシ国境でしたね。白ロシアの事をすっかり忘れていました。これは何時か直しておきます。



その上で日本に対する脅威という意味で考えると、彼らにとっての中規模な戦争が我々にとっての全面戦争となる可能性は十分にある。例えば、5コMD程度の着上陸を考えた場合、これは中国やロシア、ないし将来の統一朝鮮にとって決して国の全精力をかけた戦いとはならない。我々にとっては5コMDもの数だが、彼らにとってはたった5コMDとなることは十分に考えられる。つまり、我々にとっての全面戦争というのは十分に想像の範疇にある。我々の関わる戦争がすべて島嶼や一部地域のみを狙った限定戦争であれば何と楽なことかと思うが、そんなに世の中は甘くないだろう。


5個MD(MD:"Mechanized Division"・・・機械化師団の略)の揚陸。5年前にも貴方はそんな話をしていたような・・・確か自衛隊板の「反戦平和アクション議論板は自壊しました」スレッドだったかでしょうか? それと、過去の日米合同図上演習YAMASAKURAでも殆ど同じような想定があったと思います。(敵5個師団福岡着上陸)あの時の図演では一ヶ月で岡山まで攻め込まれ、その後に反撃に成功し追い落としていったという結果になっていましたから、我が方にとって「全面戦争」とは言えないでしょう。十分に対抗可能です。日本原の74式戦車がTKXに更新されれば特に問題無いと思います。



ではハイテク兵器についてはどうか。これについては確かにハイテク兵器の運用について徴兵ではやや困難があるという部分は否定しない。しかしながら考えてみれば分かるが現在の陸上自衛隊の任期制隊員は2年任期であり、概ね2任期勤めることから、4年の期間しか自衛隊に勤務していない。にもかかわらず、彼らは高度なミサイルの操作についてそれなりに習熟しているし、複雑な後方支援業務をそれなりにこなしている。


徴兵制だと1年が任期です。知り合いの一尉によれば「一年間ではやっと半人前」とのこと。いやニ年だったかな。北朝鮮のように10年近く徴兵する国は例外として、徴兵制度を取っている国は任期は短いですから、志願制度の国の兵士との練度はどうしても開いてしまいます。



社会契約というのは強制力(暴力)を共同体や政府に対して預けるところから始まっている。ホッブズ、ロック、ルソー、それぞれやや考えは違うが、人々が契約を結び強制力を預けているという点では基本的には同様である。

その意味では市民軍というのは当然の帰結である。つまり、人々がその実力を預ける端的な方法は一人一人が兵員となり強制力を担保するという方法であるという意味である。市民軍というのはそれが現実的に可能か、ないし効率的かという以前の問題として、近代国家がその構成員の実力の集合体であり、暴力の合法的な独占を要求する集団であるために当然の帰結なのである。この部分を無視してのプロフェッショナル・アーミーかマス・アーミーかという議論は片手落ちではないかと私は考える。


私はその部分に触れていません。「そうあるべき」理念は聖典にでも刻んでおけば置けばよく、現実の選択の前には何の意味も無い、と断じているだけですから。幾ら片手落ちだと言われようと、全く気にしていないわけですから、やはり無視しているのかもしれません。理念、思想、そういった議論とは別々に考えていると理解して頂ければ幸いです。



しかしながら、市民軍の理念は近代国家にとって非常に重要な価値を持つし、市民軍やゲリラ戦の思想は軍事的にもこれからの将来にわたって大きな影響を与えることだろう。

なお、私はこれから数十年に渡って徴兵制は現実性が無いと考えるが、数百年後は神ならざる身にとって予想出来る話ではない。約200年前のヨーロッパではプロフェッショナル・アーミーが破れマス・アーミーの時代が到来したのだから。


前半について、私も肯定します。理念として価値は決して失われないし、ゲリラ戦の思想は今も第三世界で現在進行形で実行されているのですから。

後半、最後の部分でfurukatsu氏はこう言います。
『私はこれから数十年に渡って徴兵制は現実性が無いと考える』

それに対し、私が「徴兵制復活?」で書いたことはこうでした。
『数十年どころか数百年のスパンで、徴兵制復活は有り得そうに無い』

結論は殆ど同じです。「200年前のヨーロッパ」とはナポレオン時代の事を指します。200年なら「数百年」の範囲内ですから、結局furukatsu氏と私の結論には殆ど差が無かったということになります。

しかしそれが議論と成り得たのは、理念理想と現実の選択との差異があるからです。例えば石破茂防衛大臣が前の防衛長官時代、自身は徴兵制の採用に否定的でありながらも「徴兵制が憲法違反であるということには、そのような議論にはどうしても賛成しかねる」「国を守ることが意に反した奴隷的な苦役だというような国は、国家の名に値しない」と発言した事と同じような理由によるものでしょう。

石破茂もfurukatsu氏も、現状の世界情勢では徴兵制の採用など全く現実的では無いと考えています。その上で徴兵制そのものを否定してはならないと説きます。(軍隊を捨てたとされるコスタリカ憲法にすら堂々と徴兵制復活の手続きを記した項目がある)ただ、furukatsu氏はより戦略論、軍政論の深い所にまで踏み込んでいるのに対し、石破氏は浅めの理念理想で留まっている感じです。(実際にはより深く考えているのだと思いますが)


さてこの議論は一番上で述べたように、furukatsu氏側が私に対して、「一度話し合ってみたい」と思われていたテーマでした。

(JSF氏には私が81式だと言えば分かってもらえるだろうか)

しかしこの時点(2006年7月19日)で「81式」と名乗られてもさっぱり分からなかったと思います。私は、実は2ch軍事板のコテハンではありません。古くから見てはいますが、「JSF」の名で書き込んだ事は軍板では一度きりしかありませんでした。必然的に軍板コテハンとの交流は少なく(せいぜい消印所沢氏くらい)、自衛隊板でヤスツ氏が主導した「反戦平和アクション掲示板」との交流(というか論戦)にしても、名無しで少しだけ参加していた程度なので、「81式」の名前は覚えていませんでした。

この夏の騒動で一体誰なのか検索して、軍板と自衛隊板で有名だったコテハン「81式」=furukatsu氏とようやく理解しています。
10時55分 | 固定リンク | Comment (41) | 平和 |
2007年10月13日
前回のエントリ「笠井潔『国家民営化論』一億総ゲリラ戦理論の大穴」では、「一億総ゲリラ戦理論」の欠点を簡単に指摘しました。それについて戦略論家の「81式」ことfurukatsu氏が大筋で賛同されたものの、二つの異なる観点を提示して再検討して下さいましたので、それをこちらでも検証していこうと思います。


軍隊の余裕と、軍隊の文民統制 :furukatsuの軍事
笠井潔『国家民営化論』一億総ゲリラ戦理論の大穴というid:JSF氏の記事について、本稿では「日本は島国なので海上封鎖されたらお手上げ」という結論に関して大筋ではその通りであると考えるが、しかしながらその一面的な論述に二つの観点から問題を提起する。

確かに、日本は島国であり、海上封鎖によって容易に干上がってしまうという危険性を有している。しかしながら、その事実は笠井潔の提起する考えを否定するものの、市民軍やゲリラ戦の思想そのものを否定するという意味ではない。そのような観点からJSF氏の議論について再検討をする。


私もゲリラ戦そのものを否定する気はありません。ただ、ゲリラ戦の大家チェ・ゲバラ著の「ゲリラ戦争」に置いて、

・地元住民の積極的な支持と献身的協力
・逃亡、休養、訓練、再編成などを安全に行う後背地(聖域)
・兵器や物資の安定供給を約束してくれる支援国家

これら三要素がゲリラ戦には必須であり、そしてゲリラ戦だけでは最終的勝利は得られず、最後には正規戦争に発展させる必要があると問いています。「勝利は常に正規軍によってのみ達成され得る」、ゲバラはそう言っているのです。(私自身は3年前に楽天広場で、CHF氏は1年前にmixiでこの事を「反戦平和運動家」を相手に説明していました。)

つまり日本は島国という地理的条件で既に、ゲリラ戦理論の三大要素の一つである聖域の確保が困難であり、連絡線の維持も難しく、援助国からの補給も遮断されやすい事になります。


さて、furukatsu氏の言う二つの異なる観点とは、「軍隊の厚みの問題」「主体的文民統制の問題」に分けられています。その文章は体系的に戦略論を学んだ者だけが書ける理路整然としたもので、大変分かりやすく纏められています。

先ず「軍隊の厚みの問題」を私なりに一言で纏めてしまえば、「戦争は数が必要」(注;「数で"決まる"」ではない)という基本中の基本を説明したものです。プロフェッショナル・アーミー(職業軍人で構成された志願制軍隊)とマス・アーミー(徴兵制で構成された大衆軍)では、当然後者の方がより多くの人間を集められます。そしてfurukatsu氏は、過度の効率化によって余裕と冗長性を失った志願制軍隊が、システム的に破綻する事を懸念しています。

しかし現代の先進国の軍隊はプロフェッショナル・アーミーで構成される事が主流となっています。西側先進国で唯一、徴兵制を残しているドイツ連邦軍も既に全軍の8割が志願兵であり、それでいて軍全体を縮小しつつ主任務を「専守防衛」から「国際紛争への対処」に切り替える方針を示しました。そしてロシアも徴兵制軍隊から志願制への移行を探っています。中国軍も同様の動きがあり、既に米英仏伊などが志願制軍隊である以上、世界の主流はプロフェッショナル・アーミーへと移り変わっています。その理由は「徴兵制 復活?」を参照して下さい。


次に「主体的文民統制の問題」ですが、furukatsu氏は「一般にマス・アーミーは主体的文民統制にとって有利である。」と述べています。これは現在のドイツでもそのような論議が行われています。それは徴兵制廃止論議の理由の一つに「軍隊を職業軍人だけに任せては文民統制が効かなくなるのではないか」という懸念の声があるのです。(furukatsu氏が言う、ドイツが徴兵制を続ける「建前上」の理由の部分)先の大戦のトラウマがあるのでしょう。ナチスが台頭する以前から再軍備の準備を着々と進めていたドイツ軍。そういった職業軍人への警戒心です。(しかしこれはドイツの徴兵制廃止論議の中でも徴兵制維持の理由としては弱く、最も大きな理由は徴兵忌避制度に置ける代替ボランティアが徴兵制廃止で出来なくなることへの懸念〜ボランティア要員の消滅〜が要因なのですが。)

ただ、これについては私は何も懸念していません。ドイツ連邦軍が徴兵制であろうと志願制であろうと、軍部が暴走する危険性に差は無いでしょう。どちらみち徴兵は兵であり、軍の中枢には関与しないのですから。(既に全軍の8割が職業軍人であり、徴兵制そのものが有名無実化した現状もあります)

客体的文民統制と主体的文民統制を見比べれば、どちらも文民統制というシステムでは同じです。客体的文民統制は政治と軍事を切り離し、軍部が政治に介入する事を防ぐというものです。主体的文民統制は軍隊を完全に文民のコントロール化に置く事を優先します。

しかし例えば、ミサイルが10分で首都に着弾する事を察知したというのに、一々文民に迎撃許可を求めていたら迎撃自体が間に合わないように、主体的文民統制が行き過ぎれば軍隊はマトモに動けなくなります。客体的文民統制は軍隊に軍事の専門性を求めるため柔軟性が増しますが、これも行き過ぎれば軍隊による軍隊の為の戦争が行われる危険性があるとfurukatsu氏は説きます。

つまり、どちらも行き過ぎればよくないわけで、両方の折り合いを付けるしかないわけですが、この話と「市民軍」「徴兵制」との関係性は薄れていると私は思います。何故ならドイツの徴兵制廃止論議の中でも主流と成り得ていない、極一部での懸念だからです。


最後に

私とfurukatsu氏は、「一億総ゲリラ戦理論」についてはお互い、問題外であると一蹴しています。今回の議論に置ける市民軍とは徴兵の事であり、ゲリラ戦は議論の中心ではありません。

私が「徴兵制 復活?」で述べた事は、徴兵制を全否定するものでは無いのです。序章の部分で、

『今までの世界情勢から予測すると、日本では数十年どころか数百年のスパンで、徴兵制復活は有り得そうに無い。』

と述べている通り、現在とその後当分の間の社会情勢の中で、日本で徴兵制が復活する可能性は著しく低い、そもそも必要が無いのだから・・・というものです。これについてもfurukatsu氏は概ね合意してくれるでしょう。

要は現実の選択と、理念(こうあるべき)の違いであり、前回のエントリでの19氏と大屋准教授のコメントとも繋がっています。



19. Wikipediaの笠井潔の項には彼は新保守主義に転向しているみたいなわけわからんこと書いてありますね
彼は右に寄ったんじゃなくて左翼思想からリバータリアニズムに入っていったはずですよ

リバタリアニズム
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%90%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%82%BA%E3%83%A0

リバータリアン保守思想20の特色
http://www.soejimatakahiko.net/nlm/20.htm

確か副島隆彦や森村進なんかと同時期に初めて日本にリバータリアニズムを本格的に紹介した一人だったはずです
リバータリアニズムは突き詰めれば、外国の事に関わらない、敵が攻めてきたらオラのライフルで退治してやる、国家?シラネ、みたいな非常に原始的な考えまでいく思想ですから、こういうアナーキズムと紙一重の思想を持ってる人に国防を説いても無駄のような

後、どうでもいい個人的な話ですが笠井氏のヴァンパイア戦争は結構好きだったんですがねぇ
今にして思えばあれも最後は地球は北斗の拳みたいな無法地帯になってたなw

Posted by 名無しT72神信者 at 2007年10月10日 01:31:59


33. 19氏も書かれているとおり、笠井氏は「国家が個人に強制することはどの範囲までが道徳的に許されるか」という理念的な問いを前提として、その上でどのような社会の仕組みが可能かという議論をしているのです。なので、「それだと《現実的に》こんなに困ることが」と反論しても「なるほど、ではその現実は《不正》である」と言われてしまうのですね。
この問題についても、笠井氏はおよそあらゆる国家に該当する議論としていると思いますから(その点で日本国憲法の解釈として群民蜂起論を説いている憲法学者たちと異なる)、他国が大型兵器や海空軍を持っていることもない《はず》、ないし(最終的には)なくなるはずだ(だって不正なんだもん)という言い分があると思います。

……いやもちろん非現実的なんですが、理念中心で現実批判をするタイプの中では、笠井氏は余計な留保条項とか譲歩を付けないで《きっぱり間違う》人なので、アンチテーゼとか批判的検討の対象としては優れている人だと思いますよ。

Posted by おおや at 2007年10月10日 10:56:00


すると私は「現実中心で理念を批判するタイプ」になるのでしょうか。・・・その傾向はあるなぁ。
16時05分 | 固定リンク | Comment (86) | 平和 |