このカテゴリ「報道」の記事一覧です。(全135件、20件毎表示)

2009年04月05日
NORADの発表によると、テポドン2による衛星打ち上げは失敗、人工衛星は軌道に投入出来なかった模様。


「北朝鮮、弾頭も含めて太平洋に着水」 米軍発表:朝日新聞
北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)と米北方軍司令部は5日、北朝鮮が発射したミサイルについて、「2段目以降は弾頭も含めて太平洋に着水した」と発表し、北朝鮮が衛星打ち上げに失敗したことを明らかにした。


1998年のテポドン1でも人工衛星「光明星1号」の軌道投入に失敗しており、今回のテポドン2による「光明星2号」も失敗した事になります。

と思ったらロシアからは逆の情報が。


北の人工衛星、軌道に=「追跡システムで特定」とロシア:時事通信
インタファクス通信によると、ロシア外務省のネステレンコ情報局長は5日、「北朝鮮が人工衛星を打ち上げた」と確認した上で、「軌道に乗せた」と語った。さらにロシアの航空宇宙追跡システムを通じ、「衛星の軌道データが特定されている」と明らかにした。


これはまた一体・・・?


NORADの公式発表は以下の通りです。

NORAD and USNORTHCOM monitor North Korean launch
Stage one of the missile fell into the Sea of Japan. The remaining stages along with the payload itself landed in the Pacific Ocean.

ペイロード(人工衛星)自体も太平洋に落ちたとあります。


【追記】

時事通信が記事の文面を変更しています。「軌道に乗せた」という部分が無くなっています。「特定された」という部分も「特定中だ」と変わっています。記事タイトルも「特定」から「特定中」に変わっています。

ということは時事通信の翻訳ミスなのでしょうか?

ではインタファクス通信の記事でアンドレイ・ネステレンコ情報局長のコメントをチェックしてみます。

Что запустила Северная Корея? | Интерфакс

МИД РФ подтвердил факт запуска КНДР искусственного спутника Земли | Интерфакс

どうも「北朝鮮の衛星が地球周回軌道に乗った」という意味ではなく、ネステレンコ氏が言っているのは「テポドンは宣言どおり東向きの弾道で放たれ、ロシア領域には来ていない」という意味の事を言っているように見受けられます。

共同通信はネステレンコ氏の発言を以下のように翻訳して報道しています。これが正解なのでは?


ロシア「人工衛星と確認」 関係国に自制求める:共同通信
また、打ち上げで軌道は外れておらず、ロシアの領空にも入っていないと指摘。公式な評価を出す前に、軍事専門家による分析が必要だと述べた。


この場合の軌道とは人工衛星の周る地球周回軌道を意味せず、東向きに放たれた弾道軌道を意味していると、共同通信の記事からは読み取れます。私がロシア語の記事を見て思った感想に近い感じです。



「軌道に乗せた」の部分は"It is clear that there were no deviations from the trajectory."の部分だね。英文ソースでは内容は同じだで単語が違うものがあるが、これはロシア語からの翻訳の違いだろう。これは「打ち上げ軌道から外れなかった」であって、「軌道に乗せた」だと誤解を招く。

trajectoryは普通は弾道や飛翔経路の意味。軌道の意味もあるが衛星の場合orbitが普通は軌道の意味だな。でorbit投入確認と報じたところはない。

Posted by 名無しT72神信者 at 2009年04月05日 22:07:31


この方の分析が分かりやすいですね。時事通信は「ロケット飛翔経路(trajectory)」と「衛星軌道(orbit)」を混同して翻訳して、誤報を発した可能性が高いです。

インタファクス通信のロシア語記事でも「траектория」という単語が確認できます。英語で言う「trajectory」です。そしてロシア語記事には「orbit」に相当する単語である「орбита」は使われていませんでした。

時事通信はロシア語の翻訳を間違ってしまい、誤報を発した事になります。ロシアは北朝鮮のテポドン2によって打ち上げた人工衛星が、地球周回軌道に乗ったとは言っていません。危うくロシアが悪者にされる所でした・・・
19時26分 | 固定リンク | Comment (129) | 報道 |

2009年04月01日
記事は自衛隊が千葉県の警戒レーダーFPS-5(FPS-XXとして開発試験に使われていた機材を解体せずに残したもの)を実戦モードに移した事を伝えていますが、同時に紹介している在日米軍が青森県車力に配備したXバンドレーダーの説明について、間違いがあります。


新型地上レーダーも実戦モードに 高い探知能力、北全域をカバー:産経新聞
地上レーダーでは米軍が青森県に配備している「Xバンドレーダー」も稼働する。FPS−5よりもさらに探知距離が長く、遠方監視に優れる。ミサイルの形状まで識別できるが、雨や雲で電波が減衰して探知能力が低下するため、天候の影響を受けにくいFPS−5と能力を補完し合う。


在日米軍が青森県の車力に配備しているXバンドレーダーは車載移動式の通称「FBX-T」と呼ばれるモデルで、正式名称は「AN/TPY-2」と言います。固定基地型のFPS-5よりも出力がかなり小さいので、探知距離は短くなります。だからなるべく北朝鮮に近い位置へ配備されています。今回の北朝鮮が打ち上げる予定のテポドン予定飛翔コースは東北地方上空を横断する形なので、青森県車力に配備された米軍のFBX-Tは最適の位置で監視をすることになります。

産経新聞は米軍のXバンドレーダーについて、米本土防衛用の大型基地タイプと車載移動タイプを取り違えた可能性が高く、FBX-Tを3年前に車力に配備する時に多くのマスコミが勘違いしていた事を、今だに修正出来ていない様子が見て取れます。Xバンドレーダーが複数種類ある事を理解していないのでしょう。

レーダー用の波長として、Xバンド(波長3cm)は精度が高くなる代わりに探知距離が短くなります。同じ出力、同じアンテナ面積であった場合、Lバンド(波長24cm、FPS-5の使用バンド)の方が探知距離は長くなります。米軍の車載移動式Xバンドレーダー「FBX-T」は基地固定型レーダー「FPS-5」に対して出力とアンテナ面積でも劣っており、使用バンドの特性を考えてもFPS-5よりも探知距離が長くなる事は有り得ません。一方で米本土防衛用の大型基地設置型Xバンドレーダー「GBR-P」及びそれを海上移動基地型にした「Sea-based X-band Radar」は非常に巨大な代物で、探知距離の面で使用バンドの不利を、広いアンテナ面積と強大な出力でカバーしています。

Xバンドレーダーの探知距離 2006年03月14日

Xバンドレーダーと東奥日報 2006年04月03日

在日米軍のXバンドレーダー「FBX-T」が配備された東北地方の地元紙「東奥日報」は当時、このレーダーの配備について特集を組んでいました。報道当初は性能面について間違えた記事を書いていましたが、最終的には私が説明している主張と同じ結論に辿り着いています。



これは昨年の10月に撮影された映像です。ハワイのオアフ島にある真珠湾に、Sea Based X-Band Radar (SBX)がやって来ています。右の方に見える白くて丸いものがレドームです。本来はアラスカ近海に配備されていますが、メンテナンス修理の為に戻って来ていました。排水量が5万トンに達する巨大なもので、レーダーパネルだけで2千トン近い代物です。



これも昨年の10月の映像で、イスラエルに配備されたFBX-T(AN/TPY-2)です。車載移動式であることが分かります。重量は数十トン程度です。Xバンドレーダーが最初に話題になった時から何年も経つのに、今だに全然違う大きさの物を混同しているマスコミがあることにゲンナリしてしまいます。

北朝鮮「ミサイル」発射 鹿児島・下甑島で「ガメラレーダー」量産1号機完成 - FNNニュース動画

FPS-5通称ガメラレーダーの大きさと、FBX-Tの大きさをちゃんと見比べて下さい。
12時00分 | 固定リンク | Comment (45) | 報道 |
2009年03月08日
これはちょっと苦笑するしかない勘違い。元記者のお爺ちゃん、旅行中に現役時代を思い出して張り切り過ぎです。微笑ましい記事なのかもしれないですけれど、何も悪い事をしていない自衛隊が悪者扱いされているのでちょっとツッコミを入れておかないといけませんね。


危ない!潜水艦と漁船が接舷:中国新聞 '09/2/17
桜島フェリーから見る潜水艦


鹿児島市沖の鹿児島湾で昨秋、海上自衛隊の潜水艦に接舷する漁船の写真を、広島市安佐北区の元中国新聞社写真部長千原忠二さん(70)が撮影していた。1月に潜水艦と漁船の接触事故が起こった同じ湾内だった。

撮影は、桜島へ旅客船で渡っていた11月7日。停泊する潜水艦の左側に接舷した漁船に、潜水艦の乗組員が乗り移る様子をとらえている。「危険な光景と思いシャッターを切った」と千原さん。

約2カ月後、約20キロ北東の霧島市沖で接触事故があったのを受け、「潜水艦と漁船が近距離で行き交う状況が恒常化していたのではないか」と本社に写真を提供した。


千原さんが撮影した、この「はるしお」型潜水艦の写真は、別に危険な光景というわけでは有りません。単に沖合い停泊している潜水艦に、渡船が接舷して物資や人員を輸送している様子を写しているだけです。

衝突した様子を撮影したならスクープですけど、単に接舷しているだけで何で危険な光景だと思い込んじゃったんだろう・・・地元の人に聞けばよいのに。桜島水道のあの位置には海上自衛隊の潜水艦が頻繁に投錨停泊していて、桜島フェリーからよく見かける光景に過ぎないんです。

2ヵ月後に別の潜水艦(おやしお)が鹿児島湾の奥(試験所がある)で海自側が試験警戒用にチャーターした漁船と接触事故を起こしたので、この写真も危険な様子だったに違いないと中国新聞本社も勘違いしちゃったんですね。仮にこの「はるしお」型の写真が接触事故だったとしても、投錨停泊中で動かない潜水艦側は何も悪くないですし、それ以前にそもそも事故ですらないわけです。接舷しているだけで危ないとか言われても、それは苦笑するしかないのですよ。
01時49分 | 固定リンク | Comment (76) | 報道 |
2009年02月22日
スペースデブリ(space debris)とは、地球を周回しているゴミ屑の事を言います。周回軌道に乗らず、地球の重力に引かれてすぐに落ちてくるゴミは、スペースデブリとは呼びません。


衛星の衝突―宇宙ゴミの恐怖が現実に:朝日新聞社説 2009年2月16日(月)付
07年に世界を驚かせた中国による古い衛星の破壊実験では、2千個ものゴミがまき散らされた。昨年末にこのうちの1個が欧州の気象衛星に接近し、関係者をひやりとさせた。また昨年には米国も古い衛星を破壊した。

こうした軍事実験は、宇宙を軍拡の場にするだけでなく、ゴミを増やすことによっても、宇宙をいっそう危険な場所にする。禁止に向けた働きかけを改めて強めたい。


2008年2月にアメリカ軍は軌道を外れて落下してくる人工衛星を、高度240kmでMDシステムのスタンダードSM-3によって撃墜しました。落ちてくる人工衛星は第一宇宙速度を維持できずに、地球周回軌道を外れています。またSM-3も地球周回軌道に達する第一宇宙速度まで加速出来ないので、撃墜時に発生する破片は直ぐに地球へ落下する為、スペースデブリとはなりません。

一方で2007年に発覚した中国の衛星破壊実験は、高度850kmを周回している人工衛星を破壊しており、軌道を周回中の物体を破壊した為にスペースデブリとなって問題化しています。スペースデブリの問題点とは、何時までも地球をグルグル周り続ける事にあります。

つまり両者の事例は同列に扱えるものでは無いのに、朝日新聞はゴチャ混ぜにしてドサクサ紛れにアメリカ批判を行っています。しかも中国の衛星破壊実験に対して「世界を驚かせた」と肯定的な書き方をしているのが不思議です。せっかくスペースデブリの問題を提起した社説なのに、なぜ「世界中から非難された」と書けないのか、朝日新聞の中国への配慮振りが垣間見えてくる社説ですね。

なおこの手の間違いは、2年前の中国の衛星破壊実験の時にも毎日新聞の金子秀敏編集委員(元中国総局長)が「中国製のデブリが悪いなら、ミサイル防衛で出る米国製デブリも非難されなければならない」等と記事を書き、中国を擁護する目的でアメリカを非難しようとして失敗しています。

朝日新聞は毎日新聞の失敗から何も学んでおらず、軍事知識以前に一般的な科学知識の欠落と、政治的な偏向から来るデマ記事を社説として上げてしまったわけです。誰かチェックする人は、居なかったんでしょうか。
20時58分 | 固定リンク | Comment (54) | 報道 |
2009年02月21日
「内張り装甲」には定義が存在していました。これにより清谷信一氏が主張する「スポールライナーとは別物である」という苦し紛れの言い訳は通らなくなります。

初めて見る方は、関連記事の『内張り装甲とは結構、分厚いもの』『「見た事が無い」のに「別物である」と断言』をご覧下さい。


今さらだけど、「内張り装甲」の定義 - 下総ミリタリースクエア
ただ、定義論争に終止符を打つ最良の方法は定義を示すこと。それさえすれば終わりです。では、「内張り装甲」の定義は存在するのでしょうか?



答え

 内張り装甲

 内張り装甲とは、装甲裏面に内張りしたアラミド繊維(ケブラーなど)とプラスチックの複合材などである。装甲裏面からの剥離物を受け止める耐弾性向上効果(スポールライナー)のほかに、図1.5.2-12に示すように破片の飛散角度を小さくするといった残存性向上効果(スプラッシュライナー)が存在する。

― 弾道学研究会編「火器弾薬技術ハンドブック(改訂版)」財団法人防衛技術協会刊 ―



 「火器弾薬技術ハンドブック」は、「戦後わが国の火器弾薬の専門知識を集約した唯一の資料」を謳っており、日本の火器弾薬技術の基礎技術向上を目的とする弾道学研究会により編纂された、わが国における火器弾薬技術の集大成と言える本です。少なくとも日本において、これ以外の定義は無いと言っても過言ではないと思うのですが、これでも清谷氏は別物と言い張るのでしょうか。ミスや勘違いなど、誰にでもあるのだから、潔く訂正するのが最良でしょう。



さて、今後に予想される清谷氏の反応ですが・・・軍事研究2009年3月号43ページでの清谷氏の主張は、正確にはこうでした。

■軍事研究2009年3月号43ページ 清谷信一
>(スポールライナーと内部装甲はよく混同されるが、別物である)。

つまり清谷氏は更なる言い訳として『「内張り装甲」とは言ってない、「内部装甲」の事を指しているんだ!』と言い出す可能性も有りますが、じゃあ「内部装甲」って具体的に何ですか、スポールライナーと混同するようなものなんですか、そもそも「よく混同される」と主張されているのですから、混同された具体例を幾つか出してください、とツッコミを入れられた場合は清谷氏は八方塞になると思うので、無駄な言い訳はせずに素直に訂正された方が良いと思うのです。

結局の所、防衛省技術研究本部が発表した「内面取付型付加装甲」がスポールライナー(内張り装甲)である事を崩せない限り、言い訳には何の意味も生まれません。そして既に述べられている通り、「内面取付型付加装甲」はFRP製と明記されている以上、別物であるとする余地は残されていないのです。

恐らく清谷氏は「スポールライナー」という言葉は以前から知っていたのでしょう。でも実物を見た事が無く、材質がどういうものなのか把握しておらず、「内面取付型付加装甲」を初めて見た時にそれがスポールライナーであると気付かなかったのだと思います。気付かなかった事は過ぎてしまった事なので仕方が無いのですから、訂正すれば済むだけの事なのに、どうして根拠も無く「別物である」と強弁するのか、理解してあげる事は出来ないです。
03時13分 | 固定リンク | Comment (52) | 報道 |
2009年02月16日
・・・よりによって元空将の肩書きを持つ人が、二階堂ドットコムのF-15FXハッタリ記事を信じ込むだなんて・・・



ふりーまん 2009/02/13 22:39
佐藤様、お疲れ様でございます。

さて、この記事は如何でしょうか?

http://www.nikaidou.com/2009/02/post_2322.php


satoumamoru 2009/02/14 12:03
ふりーまん様≫
闇の世界の一部が浮かび上がりつつありますね。F・・・については、過去の疑獄事件を調べれば、更に鮮明になってきます。nikaidou氏はご承知のことでしょうが。情報感謝します。


貴方には情報リテラシーというものが無いんですか、佐藤守さん。

私は前回の記事「デマとハッタリしか言えない二階堂さんは軍事ネタを書かずに黙ってて下さい」で二階堂ドットコムに対し、「素人さんを騙して何が楽しいんだか」と書きましたが・・・まさか玄人、それも元空将が騙されているとは全く思っていませんでした。ボーイングのパンフレットは機密情報でも何でもない物を、二階堂ドットコムがハッタリで見せかけている事に気付いていないばかりか、「闇の世界の一部が浮かび上がりつつある」などと陰謀論部分まで肯定して、どうするんですか。

田母神俊雄・前航空幕僚長はM資金詐欺に引っ掛かりかけたそうですが、元空将もこんな有様では航空自衛隊の行く末が心配ですよ。現代の戦争は情報が一にも二にも重要である事は常識でしょう? お願いですから怪しいネタに対して軽率な判断は控え下さい。「元空将が肯定したなら二階堂ドットコムのネタは本物だ」と思い込んだ人が既に出ています。御自分の立場というものを、よく考えてから発言して下さい。
23時23分 | 固定リンク | Comment (278) | 報道 |
2009年02月14日
軍事ネタで与太話を飛ばされると困るんですよ・・・ある掲示板で画像だけ見せられて「某所で拾いました。真贋判定求む。」と相談されたんですが、その某所というのを自力で探し当てたらこの有様でしたよ。



F−15FX 新世代マルチロール戦闘機 : nikaidou.com
今からお見せする資料は、おそらく全世界で初めて出るモノではないだろうか。何せ、ボーイングという武器商社のF−15FXの売り込みパンフレットの一部なのだから。

画像1

画像2

こんなふざけたパンフレット作って売りに来ているのだが、F-15FXのパンフレットとしてはこれが世界初公開。なぜかわたしのところには国防総省を通じて武器カタログがあれこれ送られてきていたのだが、今回公開していいということになったので公開するものだ。

「こんなくだらないパンフレットを持っているからなぁに?自慢したいの?」と思う人がいるかもしれないが、これが出ること自体、びっくり仰天な訳です。このパンフレットは本当に防衛省でもごく一部の人しか見たことがない。たぶん、一部の連中は「いったいnikaidou.comは誰とつながっているんだ」と震え上がると思いますが、別にたいしたことありません。というのはウソで、たいしたことあるわけです。


本当に大した事が無いですね。だってこれは1月21日発売の航空ファン3月号でとっくに紹介されていたボーイングのパンフレットに過ぎないですから。

航空ファン2009年3月号

すごく・・・馬鹿馬鹿しいです・・・こんなパンフ程度、入手なんて簡単な代物に過ぎません。それを軍事機密か何かであるようにハッタリを噛まして、素人さんを騙して何が楽しいんだか。

この件で現役ライターの井上孝司さんと話していると『nikaidou.com がそんな駄法螺を吹いてるなら、手元にある Active Sky Flash 空対空ミサイルのパンフレットを公開しちゃうぞー (マテ)』と冗談めかして仰られたので、それはそれでF-15FXのパンフなんかよりも貴重品?なので自分も見てみたくなり、無理を言ってUPをお願いしました。

二階堂.com の駄法螺 : Kojii.net ココログ別館

アクティブ・スカイフラッシュ空対空ミサイルも日本語でパンフレットが作ってあります。イギリスさんもマメですね。
23時30分 | 固定リンク | Comment (133) | 報道 |
2009年02月12日
今月号の「軍事研究」誌は色々とツッコミ所が多くて大変です。取り合えず事前に、年末に書いた記事「内張り装甲とは結構、分厚いもの」をご覧になってから読み進めて下さい。


軍事研究2009年3月号p43(イギリス海兵隊が装備するBvS10バイキング装甲車の紹介文) By清谷信一
車体は鋼鉄製で、レーダー反射率を下げるため車体の角は丸められており、全周的に七・六二mm弾や砲弾破片に耐えられる。また内部には跳弾や装甲の剥離を防ぐためにスポール・ライナーが張られている(スポールライナーと内部装甲はよく混同されるが、別物である)。


さて、清谷氏の言う「内部装甲」とは一体何を指しているのでしょう? スポール・ライナーについてはどういうものか説明しているにも関わらず、「内部装甲」については一体どういうものか、何の言及もありません。両者の何がどう違うのか説明が全く無いのです。それなのに別物だと力説されても、何の説得力も有りません。でも、それはある意味仕方の無い事です。どうしてかって? それは実に簡単なお話なのです・・・


コンバットマガジン2009年2月号p135(技本発表会で展示された「内面取付型付加装甲」の紹介文) by清谷信一
複合増加材の研究。既存装甲車などの装甲強化が目的との事ことが、車体外部に装着するのではなく、内部用とのこと。ただでさえ狭いに、このような分厚い装甲を装着するのか不明である。少なくとも、筆者はこのような形状の装甲材を見たことがない。恐らく道路法の制限による横幅よりも突出しないためのものだと思われる。


つい最近、内部に取り付ける装甲について「見た事が無い」と告白した人なのですから、「内部装甲って何ですか」と問われて説明出来る筈がないですし、「内部装甲の定義を言ってください」と問われて答える事も出来ないでしょう。つまり清谷氏の言う「別物である」という断言は、何の根拠も無い思い込みであると言えます。思い込みではない、ハッタリじゃないと仰られるなら、内部装甲とは何か、定義の説明をお願いします。

なお私が技本発表会で展示された「内面取付型付加装甲」をスポールライナーであると判断したのは、材質がFRPであると説明ボードに書いてあったからです。これはスポールライナーに使われる素材と同じです。

説明ボード1 説明ボード2

使われている素材が同じFRP(繊維強化プラスチック)なのに、ライナーと装甲は別物だとする必要性など何も無いでしょう? スポール・ライナーとは内張りであり装甲の一種です。「内張り装甲」と呼んでも、別にそれは混同ではありません。

もし「内部装甲」とされるものが、ボロンカーバイドなどのセラミック素材かなにかであるなら、スポールライナーとは別次元の装甲と言えるでしょうが、少なくとも技本発表会で展示された「内面取付型付加装甲」はFRP製ですので、それはスポールライナーと呼ばれるものです。お分かり頂けたでしょうか?

m2

これはイラクでRPG-7と推定される兵器に被弾し車内まで貫通したM2ブラッドレー歩兵戦闘車の写真です(クリックすると拡大)。HEATのメタルジェットにスポールライナーが貫通されている様子や、その厚みが見て取れます。ちなみにM2ブラッドレーは登場初期にはスポールライナーを装備しておらず、途中の生産分から追加装備されています。スポールライナーの取り付け方法は、かなり大きめのワッシャー(平座金)とボルト&ナットで固定されているのが見えるでしょうか。

内面取付型付加装甲

技本発表会で展示された「内面取付型付加装甲」と、取り付け方法が同じである事が分かります。一方で、一緒に展示されていた外面取付型付加装甲(ケースは金属製)の方は小さなワッシャーで済んでいました。もしFRP板を小さなワッシャーで取り付けるとボルト周辺に応力が集中して割れてしまう事があるので、なるべく幅広のワッシャーを入れて力を分散させる必要があるのです。


軍事研究2009年3月号p46(自衛隊が開発中の装輪装甲車の紹介文) By清谷信一
現在我が国でも新型の8×8装甲車の開発が進んでいるが、詳細が洩れ伝わってこないので、水陸両用が可能かどうかは不明である。


つまり清谷氏が以前主張されていた「コマツがピラーニャ装甲車をライセンス生産する」という話は、無くなってしまったという事なのでしょうね。

「コマツがピラーニャ装甲車をライセンス生産するという誤報から・・・もう何年経ちましたっけ?」

コマツとモワグは技術提携をしているので、一部の技術を採用してはいるかもしれませんが、全体丸ごとライセンス生産という話では無いのでしょう。


軍事研究2009年3月号p46(自衛隊が装備する軽装甲機動車の紹介文) By清谷信一
また偵察、対戦車、通信中継、対空などには軽装甲機動車の派生型を開発すればよい。本来軽装甲機動車のような軽装甲車はこれらの任務に使うのが主であって、陸自のようにAPCとして使うのは理にかなっていない。少なくとも他国ではあまり例がない。


まさか清谷氏は、アメリカが開発中のハンヴィー後継車両JLTV (Joint Light Tactical Vehicle) をご存じないのでしょうか?

JLTV(BAE案)

これはBAE案の「Payload Category A」ですが、軽装甲機動車より一回り大きな4輪装甲車で、搭乗人員は同じ4名を予定しています。そしてAタイプの使用目的は、陸自の軽装甲機動車と同じです。つまり陸自のコンセプトは、アメリカ軍に先行していたと言えるのです。


軍事研究2009年3月号p46(自衛隊が装備する軽装甲機動車の紹介文) By清谷信一
また軽装甲機動車の装甲は五・五六mm弾に耐えられる程度で、七・六二mm弾には耐えられない(採用後に仕様が変更されているならば別であるが)。しかも、コストを削減するためにスポール・ライナーさえ貼られていない。


ああ、これは全て間違いですね。恐らく清谷氏は、軽装甲機動車の開発中の耐弾試験に置いて5.56mm弾で貫通した事を誤解しているのでしょう。そのまま量産されてはいません。軽装甲機動車は全周囲7.62mm弾防御仕様で、正面は12.7mm弾にも耐えられます。

AK47の7.62mm弾に耐えられないような装甲車など何の意味も有りませんよ。そんな仕様がまかり通る筈が無いでしょうに。


なお軍事研究2009年3月号の清谷信一氏の記事タイトルは『自衛隊に「海兵隊」を創設せよ』という物なのですが、これの全てにツッコミを入れていくと夜が明けそうなので、今回はこの辺りで勘弁して下さい。
00時00分 | 固定リンク | Comment (130) | 報道 |
2009年02月01日
Wikipediaの編集合戦はよくある光景ですが、これはちょっと凄まじい様相です・・・既に「ウィキペディアで戦闘が展開中 - 飛べない豚」で紹介されていますが、これは戦闘と言うにはあまりに一方的な展開でしょう。まさにフルボッコ。

清谷信一 - Wikipedia
 └ノート

舞台はノートの『ネットストーカーによる「憶測や願望に基づいたと思われる記述」』との指摘について、です。要するに清谷信一氏が2003年頃に幾つかの軍事誌で「コマツ社がモワーグ社のピラーニャW装輪装甲車のライセンス生産権を獲得した」と特ダネ記事を書いたのですが、結局は誤報でした。その事がWikipediaに記載されていたのですが、ライセンス生産の件は正しいと主張する人が現れて編集合戦となった模様です。

なお当時、防衛庁の関係者の言によると「コマツはモワーグと技術提携はしたが、ピラーニャのライセンス生産なんて話は出ていない」「この技術提携の背後には防衛庁以外の官庁が噛んでいる」という話のようです。



ピラーニャのライセンスを取ったなんて話は微にも聞いてないな。
技術提携を締結したという話は聞くけど。実際、既に技術者交流始まってるし。

そり以前に、わざわざ適用除外の装輪をつくって何が楽しいんだろう?という思いの方が大きいね(笑)
>ピラーニャの国産化という妄想

#モワグとの技術提携の背後には防衛庁でわなく、某官庁主導というか、イッチョ噛みしているところが見逃せない(謎)
#ウチに他省庁がチャチャ入れてくるくらいのおいしい利権(省権)構造があるなんて思いも寄らなかった(笑)



ぶっちゃけ、某官庁って経済産業省の事なんですけどね。



というか、自衛隊が装備する兵器の法制上の所轄が経済産業省にあって、自衛隊はそれにまったくタッチできないという泣くに泣けない状況が存在しているのも、日本ならではだね。
おかげで、小松とモワグが経済産業省の肝いりで提携して、あげくアクティブサスペンションを始めとする各種の高度機密情報を洗いざらい持っていかれてしまったわけで(藁
ちなみに、モワグから小松へと提供された情報は、ピラーニャの第一車軸の保護技術、ぶっちゃけていえばあの車体正面の鋭角的な三角形くらいなもんなのだから、モワグ社は笑いが止まらなかっただろうねえ(苦藁




ピラーニャの車体正面の鋭角的な三角形、大きな障害物を乗り越えるのに有利だそうですが、だからどうしたという技術です・・・こうしてモワーグとの技術提携は散々な結果に終わり、コマツは大して得るものは無くモワーグに与えた方が遥かに大きいという有様で、もう懲り懲りなんじゃないですか。ピラーニャのライセンス生産? なにそれ? ふざけてるの? って感じでしょうね。実際、清谷信一氏の記事からもう6年も経つのに一向にライセンス生産の話なんて聞かないです。


ところで、
http://ja.wikipedia.org/wiki/ノート:清谷信一
の最後の方で以下のような記述があるわけですが・・・


基礎知識に関する部分だけでも、…あ)「丸」誌2007年6月において掲載された「スパニッシュ“レオパルド”2E IDEX2007」において、グローサを「これはRPGなどを想定した装甲で、表面が×字型の凸になっているのは重量軽減のためである。」と誤った解説を行った、/い)項1)と同じ記事において、ユーロパック(MTU社MT883エンジン+Renk社の自動変速トランスミッションHSWL295TMの組み合わせ)を「パワーパックはユーロパックと呼ばれるMTU社のMB873Ka501、12気筒1500馬力のディーゼルエンジンとレンク社のトランスミッションHSWL354の組み合わせで、現在MBT用として最も評価の高いパワーパックである。」と誤った解説を行った、/う)コンバットマガジン2009年2月号において掲載された「技本発表会 ガラパゴス化する日本の防衛技術」において「複合増加材の研究。既存装甲車などの装甲強化が目的との事ことが、車体外部に装着するのではなく、内部用とのこと。ただでさえ狭いに、このような分厚い装甲を装着するのか不明である。少なくとも、筆者はこのような形状の装甲材を見たことがない。恐らく道路法の制限による横幅よりも突出しないためのものだと思われる。」と、スポールライナーの機能・構造を知らずに誤った解説を行った、/え)「軍事研究」誌2008年9月号において掲載されたユーロサトリ記事中において、スポールライナーを「スペルライナー」と誤訳しているが、未だに訂正されていないところからスポールライナーの存在自体知らない可能性が高い。…といったファクトを示すことができます。


この部分の殆どが、私がこれまで書いてきた記事内容からなものだから、消印所沢氏から「ツッコミ入れているのはJSF氏ご本人だとばかり思っておりましたが…」と勘違いされてしまいましたけど、違いますよう。私はこれに限らずWikipediaの編集はした事はないですし、ノートで「ファクトを示してください」と反論しておられる方の理路整然とした書き方と、普段の私の書き方を見比べてみても、全然別の人だと分かると思いますけど・・・

Wikipediaの編集に私の書いた記事内容を反映させるのは好きにやっちゃって貰っても構わないです。ちょうど良い頃合ですし、新たにカテゴリ「【ピラーニャ】清谷信一」を作って置きました。キヨタニさんと言えばこれだ、というフレーズを思い浮かばなかったので取り合えず【ピラーニャ】にしておきましたが、他に良い単語があったら提案してください。
22時22分 | 固定リンク | Comment (131) | 報道 |
2008年12月31日
内張り装甲、というものがあります。これはスポールライナー(spall-liner)と呼ばれるもので、スポール(破片)ということから分かるように、本装甲を破ってきた敵弾による破片の飛散を和らげ、被害の拡大を防ぐ為のものです。また砲弾や爆弾の破片、小口径弾などが被弾した際に、本装甲を破って勢いが削がれたそれ自体を受け止める効果も期待できます。更に敵弾が本装甲を破れなかった場合でも、着弾の衝撃による装甲の内面剥離が発生する場合もあるので、剥離破片を受け止める為にもこのような装甲が用意されます。

内張り装甲の材質はアラミド繊維強化プラスチックやボロン繊維強化プラスチックなど、内張り装甲自体が破壊された時に鋭い破片となりにくいものが使われます。形状も通常の板状のものもあれば、粉末状にした装甲材を混ぜたウレタンフォームによって隙間に充填するものや、防弾繊維シートのような柔軟なものなど、様々な種類があります。また、NBC防御の放射線対策として内張り装甲の樹脂に鉛を入れている場合があります。

ところがコンバットマガジン最新号では、内張り装甲の事を存在自体理解していないような記事が掲載されていて・・・


コンバットマガジン2009年2月号p135 「技本発表会 ガラパゴス化する日本の防衛技術」 清谷信一
複合増加材の研究。既存装甲車などの装甲強化が目的との事ことが、車体外部に装着するのではなく、内部用とのこと。ただでさえ狭いに、このような分厚い装甲を装着するのか不明である。少なくとも、筆者はこのような形状の装甲材を見たことがない。恐らく道路法の制限による横幅よりも突出しないためのものだと思われる。


現物の展示会での写真は「下総ミリタリースクエア」さんのブログに掲載されているので、先ずはこれを見て下さい。


防衛省技術研究本部発表会 展示セッション簡易レポ(軽量装着型付加装甲) - 下総ミリタリースクエア
内面取付型付加装甲

内面取付型付加装甲

車両や艦艇の内側で内張りとして使用する付加装甲です。FRP(繊維強化プラスチック)の多層構造になっており、触ると思った以上に固かったです。これを用いることで、小銃弾防護の車両でも20mm弾の攻撃を受けても人命が助かるようにするといったことができるそうです(数字はあくまでも例えとのこと)。



次に「大砲と装甲の研究」さんのサイトに掲載されている、戦車の内張り装甲の写真についてご覧ください。


ロシア戦車の内張り装甲の写真 - 大砲と装甲の研究
砲塔内面を見ると、内張装甲が設置されていることが判ります。砲塔上面の孔の端の厚さと比較すると、内張装甲の厚さが、かなり厚いことが判ります。砲塔上面の厚さを30mm程度とすれば、内張装甲は40〜50mm程度はありそうです。材質は見た目からして、一般的な繊維系複合材の一種だと推測されます。


このような感じです。ロシア戦車に装着されている内張り装甲は見た目には硬そうな代物ですが、当然、本装甲よりは軟らかい材質です。硬い材質では破壊された時にそれ自体が鋭い破片となってしまい、破片防止の意味が無いからです。そして軟らかい以上、ある程度の厚みが必要になってきます。

M2ブラッドレー歩兵戦闘車 M2ブラッドレー歩兵戦闘車(内張り装甲まで貫通)

上の写真はイラクで損害を受けたM2ブラッドレー歩兵戦闘車の装甲貫通状況です。ロシア戦車と同様の方法で内張り装甲が装着されている様子が確認できます。
09時34分 | 固定リンク | Comment (118) | 報道 |
2008年12月25日
今年の5月に田岡俊次氏はビデオニュース・ドットコムで「在日米軍(の戦闘機)は42機だ」と言っていましたが、その内訳が分かりました。


オバマ就任後の米軍事政策(田岡俊次「軍略」探照灯) 2008年12月22日 FACTA
国防費を削るには、新規の軍艦、航空機などの発注や開発を停止、縮小し、冷戦後進めてきたドイツ、韓国、日本などでの駐留米軍の削減を速めるしかあるまい。沖縄の第3海兵師団はすでに形骸化しているから、グアム移転よりは解体するほうが節約になる。嘉手納のF15戦闘機24機、三沢のF16戦闘機18機も削減可能だ。日本の防衛はすでにほぼ全面的に自衛隊が担当しており、米軍がいなくても穴はあかない。


はい? 嘉手納のF-15が24機? 三沢のF-16が18機?

嘉手納のF-15だけ数えてそれ以外を全部丸ごと忘れてたんじゃなく、嘉手納と三沢には戦闘機がそれだけしか居ないと認識してるんですか? 田岡さん・・・その機数、実際の定数の半分ですけど・・・嘉手納のF-15は2個飛行隊で計48機です。それに三沢のF-16は去年、5機が追加配備されたので2個飛行隊で計40機(1機がイラクのバラド空軍基地で事故により墜落していたので35機だった)になっています。しかもその上、岩国の海兵隊機や厚木の海軍機は相変わらず忘れられてるような・・・あれから半年以上経って、誰も身近な人はツッコミ入れてないんですか・・・

航空自衛隊の戦闘機が300機以上ありますから、もし在日米軍の戦闘機が42機程度なら大した重みはないかもしれませんが、実際には嘉手納と三沢だけで88機、これに岩国の海兵隊機や海軍の空母艦載機まで含めれば、在日米軍の戦闘機の数は200機近くになります。アメリカ軍は遠征もやるので常にこの数が日本周辺にいるわけではありませんが、戦力的な空白が生じそうな場合はアメリカ本土から穴埋めの部隊がやってきますし、必要に応じて増強もあります。例えば年明けには嘉手納にF-22戦闘機がまたやって来ます。在日米軍の航空戦力は、航空自衛隊に比しても非常に有力な存在であることは間違いないでしょう。
23時17分 | 固定リンク | Comment (36) | 報道 |
2008年12月20日
・・・宮嶋さん、貴方、本気で信じ込んでいたんですか。


グルジア紛争 : 不肖!宮嶋茂樹のウェブサイト
ゴリ市郊外、撤収準備にはいるロシア軍。しんがり、ケツもちは戦国時代から、現在まで、ロシア軍から日本の暴走族までもっとも気合のはいった部隊が務める。グルジアの最前線では海兵隊があたった。なぜかロシアも海兵隊は米軍と同じイニシャルは「M C」。


いいえ、それは海兵隊ではありません。このロシア軍の「MC」とはロシア語で「Миротворческие Силы」の略です。これを英語に翻訳すると「Peacemaking Forces」となります。つまり日本語で言えば「平和維持軍」です。アメリカ軍の海兵隊は「Marine Corps」でイニシャルは「MC」ですが、ロシア軍の海兵隊は「Морская Пехота」でありイニシャルとするなら「МП」になります。しかもロシア軍の海兵隊は海軍所属であり、日本語での翻訳語は海兵隊ではなく、慣用的に「海軍歩兵」と呼称されます。つまり旧日本軍の「海軍陸戦隊」と同様の存在です。

宮嶋さんはこれと同じ事を月刊コンバットマガジン2008年11月号の記事に書いており、9ページ目に『ロシア軍も尖兵は海兵隊 ヘルメットに「MC」とあるところを見ると、海兵隊・・・・・ロシアでも最前線までやって来るのは海兵隊なのであろう』とありました。この間違いというか勘違いは軍事以前の問題です。ロシア軍なのだからロシア語のキリル文字で書かれているのは当然であって、アメリカ軍で使われている言葉(ラテン文字の英文)の略称と同じになると思い込む方が不思議な話なのです。宮嶋さんは公式サイトで「なぜか」と疑問を呈していますが、そこから調べるという発想に至らず思い込みのまま止まってしまっているのが残念です。雑誌掲載から2ヶ月以上経ちましたが、未だに宮嶋さんの身近な人が誰もこの初歩的ミスを本人に指摘していないとは驚きです。コンバットマガジン編集部も軍事武器関係の専門誌なのに全く気付いていないのは何故ですか。どうしてこう・・・ロシア軍関連は詳しい人が少ないからしょうがないのかもしれませんが・・・それでも、「ロシア軍なんだからロシア語のキリル文字」と理解していれば、このような勘違いは避けられる筈なんですが・・・

コンバットマガジン 2008 11月号(表紙画像)
『それにしてもロシアの海兵隊も「MC」がシンボルマークとは。』

この宮嶋さんが撮ったコンバットマガジン11月号表紙に写っているロシア軍兵士の写真、ヘルメットのMCワッペンとは別に右肩のワッペン、Web掲載写真の画像の大きさでは分かり辛いですけど、以下のものと同じ図柄です。


Миротворческие Силы


「МИРОТВОРЧЕСКИЕ СИЛЫ」=平和維持軍
「РОССИЯ」=ロシア

バッチリ書いてあるじゃないですか。雑誌掲載写真でも読み取れています。このワッペンを見て即座に「MCとは平和維持軍の事だ」と理解する事は無理でも、キリル文字を見れば「Marine Corps」じゃないことはすぐに分かる筈だし、「Marine Corps」に相当するロシア語が浮かんでくればその時点で違うと気付く筈です。そこまで連想できなくても、「Marine」ってロシア語だと「Миротворческие」になるの?でも長過ぎるし、違うのかなぁ・・・と発想できても間違いは回避できていました。

しかし、宮嶋さんは「MC=海兵隊」という思い込みが強烈なのでしょう、書かれているのがロシア語のキリル文字であることを忘れ、英語のラテン文字とは表記が別になる事に思い至らなかったのです。
04時23分 | 固定リンク | Comment (109) | 報道 |
2008年11月24日
久しぶりにキヨさんのブログを見に行くと、「陸上自衛隊は攻撃ヘリの代わりにターボプロップの軽攻撃機を採用しろ」という記事が二つもあり、果たしてこれは釣りか何かかと思いましたが、どうやら本気らしいのです。

どこからツッコメばいいのだろう?

ああそうか、「なぜヘリが対戦車攻撃に有効なのか」を一から説明しないとダメなのか・・・

攻撃ヘリの代わりにターボプロップの軽攻撃機、という選択。その1 : 清谷信一公式ブログ
攻撃ヘリの代わりにターボプロップの軽攻撃機、という選択。その2 : 清谷信一公式ブログ

知り合いの一等陸尉にこのネタを振ると『NOEとか地形利用の待ち伏せって意味がわかってないんじゃないかな。』という感想で苦笑いしていました。ヘリコプター(回転翼機)と軽攻撃機(固定翼機)の飛行特性の違いからくる運用方法の違いは、基本中の基本の筈なのです。

NOE(Nap-of-the-Earth)飛行とは地形追従飛行の事で、匍匐(ほふく)飛行と訳されます。地形に沿って低高度を維持したまま飛ぶ航法で、回転翼機は固定翼機に比べて地形追従能力が高く、より低い高度を飛ぶ事が出来ます。これは単に回転翼機が固定翼機より速度が遅いから地形追従し易いというだけが理由ではなく、速度を急激に落としても失速しない事、空中で停止する事さえ出来る事(車で例えるならブレーキの付いている車と付いていない車の差)の違いがあります。また他には、固定翼機が前方に障害物を見つけて回避の為に上昇するには、昇降舵を用いて機首を上げて高度を確保しなければならない為、高度を稼ぐには同時に距離が必要であり、前以て上昇を始めなければなりませんが、回転翼機の場合は回転翼のピッチ角と回転数を制御して上昇する為、機体の上下運動が直接的に行えるので反応も良く、いざとなれば停止してからの上昇すらできるので、障害物により接近してから上昇を始めても間に合います。固定翼機は断崖絶壁に直面した場合は地形追従飛行は出来ませんが、回転翼機ならば可能です。強力な推進力のある固定翼機なら崖に沿って垂直上昇も可能ですが、仮にそれをやっても崖の上に出た後に空中高く飛び出してしまいますし、小さな崖の連続ともなると全く対処できません。そもそも爆装して重くなった機体がそのような曲芸飛行をする事は不可能です。それに対し回転翼機ならば崖の連続した地形であろうが這うような飛行を維持する事が出来ます。

この為、ヘリコプターは森林地帯ならば樹木の梢(こずえ:tree-top)の上を掠めるように飛んでいく事が出来ます。渓谷地帯ならば川沿いに樹木よりも低く飛ぶこともお家芸で、市街地ならば電信柱の電線の高度レベルにすら下がれます。湾岸戦争やイラク戦争などの障害物の少ない砂漠地帯の戦場では、高度3〜5mという文字通りの地面スレスレで飛行し、小さな砂丘の陰に隠れながら侵攻していきました。もうこのような飛行を行われると目視での確認も難しく、障害物や地球の丸みの影に隠れてしまい、地上設置のレーダーでは捕捉が困難で、AWACSなどの空中からのレーダーでも、目標が低すぎてグランドクラッター(地表の障害物から反射するエコー)に紛れて捕捉は困難です。

回転翼機は固定翼機では真似する事の出来ない低高度の飛行維持が可能であるという利点の他に、垂直離着陸が可能である事、空中停止(ホバリング)が可能であるという点も重要です。つまり攻撃ヘリコプターは長時間、障害物に"隠れ続ける"事が可能です。ホバリングしながら地形に隠れて待機、目標を攻撃、後は地形に隠れながら離脱という戦術が取れます。また攻撃ヘリコプターを作戦地帯付近の隠匿できそうな地点に降下、地上で待機し、観測ヘリコプターないし無人偵察機などからの情報を持って出撃し不意打ちを行うなど、様々な戦術が取れます。

一方これが固定翼機ならば地形に隠れ続けるなど不可能で、単純に飛んできて攻撃、退避を行うだけになります。固定翼機は回転翼機ほどに低高度飛行を維持することはできないので発見されやすく、速度が多少速かろうと生存性は期待出来ません。現在、各国の軍隊が攻撃ヘリコプターの任務を固定翼の軽攻撃機に行わせようとしていない理由は其処です。個人兵士レベルで携帯対空ミサイルランチャーが装備されている現代に、発見されやすい高度を飛ぶ軽攻撃機が生き残れる筈が無いのです。ヘリコプターよりも発見されやすい以上、戦場で生き延びる為にはより速い速度と重装甲が必要で、ターボプロップエンジンの軽攻撃機というような中途半端なカテゴリーでは両立は難しく、結局はターボファンジェットエンジンを搭載して、被弾しても帰ってくるには双発じゃないと・・・となると、どうしてもA-10やSu-25といった本格的な対地攻撃機が必要となってしまいます。

結局の所、ターボプロップの軽攻撃機で対処して良い相手は、対空兵器を持っていないような装備レベルの低強度ゲリラ相手が限度です。対ゲリラ用装備としてよく売れたアルゼンチンのIA58プカラ軽攻撃機は、フォークランド紛争でイギリス軍相手には殆ど役に立ちませんでした。展開した25機壊滅と引き換えに得た戦果はヘリ1機撃墜のみです。エンブラエル・スーパーツカノは仕様用途が麻薬組織狩りであり、まともな軍事用としては最初から想定されていません。これ等の機体を攻撃ヘリの代わりに戦場へ投入する行為は、赤とんぼ練習機で特攻を仕掛けるのとあまり大差は無いでしょう。

撃墜されても構わないUAV(無人機)に武装を施したものなら、ターボプロップの軽攻撃機でも構わないと思いますし、実際にアメリカ軍がアフガニスタンとパキスタンの国境で多用しています。島嶼戦に投入する場合でも、航続距離が有人軽攻撃機よりも遥かに長い無人軽攻撃機ならばかなり役に立ちそうです。偵察、監視に加え攻撃も可能であるならば、攻撃ヘリの代替は無理でも無人軽爆撃機の存在価値は高いでしょう。こういった観点なら無理が無いのに、どうして有人軽攻撃機などを持ち出したのか・・・清谷さんの発想はよく分かりません。

ちなみに昨年、スリランカでは反政府ゲリラLTTE(タミル・イーラム解放のトラ)が空軍を結成、首都近辺の奇襲爆撃に成功しましたが、この時に使用した機体はチェコ製のZlin-143という小型民間機で、4人乗りの後部座席2つを潰して直下の機外に小型爆弾を4発積む改造を施したものです。

Tamil Tigers unveil latest tactic : BBC News
ノリノリで写真撮影に応じるLTTE空軍の皆さん : Military photos . netより

迷彩塗装がスリランカの植生と合ってない気がしますが、とにかく軍用機っぽくなって気合が入っている感じです。防空警戒網が無いに等しいスリランカ空軍はZlin-143改の奇襲爆撃を食い止める事が出来ず、ロシア製のMiG-27M戦闘爆撃機やイスラエル製のクフィル戦闘機といった本格的な機体を保有しているにも拘らず、有効な反撃を行えていません。スリランカ空軍は以前、アメリカにA-10攻撃機が欲しいと要望した事もありましたが(保有するプカラ軽攻撃機の撃墜が相次いだ為)、それ以前にやる事があるような気がします。軽攻撃機が通用するような正規軍とは、これぐらいのレベルの低い軍隊ぐらいのものでしょうね。とはいえ本気で狩り出せばZlin-143程度が何時までも生き残れる筈が無いのですが・・・そういえば今年は機影すら見せていませんね。

【追記訂正】


┏┫ ̄皿 ̄┣┓<コンチワー
LTTEの空爆なんですが、今年になってからも続いてますよ。撃墜されたりもしてるようですが。
http://yy55.60.kg/test/read.cgi/robo7c7cplus/1195730213/601-602

http://anchorage.2ch.net/test/read.cgi/army/1218932240/134,136,154,375,378


Posted by ナナシ=ロボ at 2008年11月24日 10:17:43


LTTE空軍のZlin-143による空襲は今年に入っても続いており、通算7回目にしてスリランカ空軍のF-7戦闘機(殲撃7、中国版のMiG-21)に撃墜されてしまったようです。さすがに何時までも無傷というわけには・・・いや、よく持った方ですよね・・・
02時30分 | 固定リンク | Comment (299) | 報道 |
2008年11月04日
産経新聞がまたアレな軍事記事を・・・記事タイトルの時点で頭を抱えたくなるんですが・・・煽り記事を書くにしても、もう少しやりようがあるでしょうに。

【安全保障読本】(20)中国海軍による日独潜水艦戦術の恐怖:産経新聞

内容の要点を抜き出すと『帝國海軍顔負けの「漸減作戦」により米空母機動艦隊来援が遅滞すれば、中国海軍は次の一手・独海軍流の「通商破壊」を仕掛けて来るのではないか。』だそうです。・・・ああそうですか・・・取り合えず1点だけ突っ込んでおきます。



実際、ロシアから取得した12隻のキロ級通常型潜水艦の多くが装備する露製対艦巡航ミサイルを、米軍は「防御できない」(キーティング米太平洋軍司令官)。


キーティング司令が言及したのはロシアのクラブ巡航ミサイル(SS-N-27シズラー)の事です。潜水艦発射型はクラブSと言います。このミサイルは亜音速で巡航するのですが対艦型には2種類があり、目標に突入する直前にロケットブースター付きの弾頭が分離してマッハ3で突っ込んでいく「3M-54E」と、簡易軽量型でマッハ3突入弾頭が付いていない「3M-54E1」があります。アメリカ海軍が警戒しているのは当然オリジナルの3M-54Eの方で、特殊な構造の為に同様の模擬弾の開発が今まで検討されておらず、最近になって発注はされましたが完成予定の2014年まで迎撃テストが出来ない為、そういった理由で「防御できる保証が無い」という話になっています。つまり、ぶっつけ本番でやっても何とかなるかもしれないが、その限りではないというだけの話で、アメリカ海軍としてはそこまで深刻に警戒しているわけではないでしょう。本当に警戒しているならもっと早く模擬弾を開発している筈です。

というより、『空母戦闘群』にとってこの3M-54Eミサイルは致命的な脅威ではありません。何故かというと、巡航時は亜音速であり、通常の巡航ミサイルとなんら変わりが無いからです。そして空母艦載機が母艦より遠い地点で巡航中の3M-54Eを発見して撃墜してしまえば良いわけです。またイージス艦の対空ミサイルにしろ、開発中のスタンダードSM-6は射程400kmでアクティブレーダーシーカーを採用し、航空機による中間誘導があれば水平線を超えた目標をも狙えるようになります。つまり艦隊空ミサイルでも将来的には亜音速巡航中の3M-54Eを狙い撃てます。だから、「クラブSに狙われたらもうお終いだ、防御できない」なんて話にはなりません。

それ以前の問題として、ロシアがインドと中国に輸出しているクラブ巡航ミサイル対艦型は簡易軽量型の「3M-54E1」であり、これは亜音速のまま突入してくる普通の巡航ミサイルです。少なくともインドに手渡されたのは3M-54E1であることは確認されています。ロシアはこれまでインドには有力な兵器を渡すが中国には若干低い型のものを渡す差別化を行っており、インドに簡易型の3M-54E1を売っておきながら中国に通常型の3M-54Eを売るとは考え難いです。


Russia to Deliver SS-N-27 to China : SinoDefence.com
Russia is to deliver the advanced 3M-54E1 (NATO codename: SS-N-27) anti-ship cruise missile (ASCM) as part of its sale of eight Kilo class diesel-electric submarines to China, according to the U.S. intelligence.


中国に輸出されたのは簡易型の3M-54E1であり、オリジナルの3M-54Eは渡っていません。3M-54E1は確かにロシアの最新鋭対艦巡航ミサイルですが、最新鋭イコール最高性能ではなく、機能を簡略化させたダウングレード版となっています。
18時50分 | 固定リンク | Comment (35) | 報道 |
2008年10月11日
これは・・・何かの聞き間違いじゃないかな?


ミサイル発射はAN−2機から、追加発射の動きも|Yonhap News
軍内事情に詳しい消息筋が9日に伝えたところによると、北朝鮮が7日に黄海上で行ったミサイル発射実験には、軽飛行機「AN−2」が利用された。北朝鮮が兵力輸送用の航空機を利用しミサイルを発射したのはこれが初めて。軍当局はこれに注目し、同機を新たな脅威として分析しているという。この消息筋は、情報当局は北朝鮮が兵力輸送と落下傘部隊の降下訓練に使用しているAN−2からのミサイル発射にひとまず成功したとみていると話す。同機から核弾頭や化学弾頭、生物兵器弾頭を搭載したミサイルを発射する能力があることが今回、立証されたことになる。


韓国本国のYonhap News(韓国聯合ニュース)で幾つかAn-2輸送機に言及した記事を見つけましたが特に詳細が書かれておらず、細かい内容は分からなかったのですが、他の韓国の報道の様子を見ると「(Yonhap News曰く)北朝鮮はAn-2輸送機でKN-01対艦ミサイルを発射した」という凄い話になっています。当初は空中発射仕様に改造したKN-01対艦ミサイル(スティックスorシルクワームの北朝鮮版)をIL-28爆撃機で発射したという報道だった筈ですが・・・最大で3トン爆弾まで搭載できるIL-28爆撃機ならKN-01対艦ミサイルの搭載も可能ですが、単発エンジンで翼の一部が羽布張りの複葉機であるAn-2輸送機でどうやって発射するんでしょう?


North Korea Preparing More Missile Tests | The Korea Times
Yonhap said North Korea was believed to have used a Soviet-made Antonov AN-2 to fire two anti-ship KN-01 missiles, while some other sources raised speculation that the North fired air-to-ship missiles from an IL-28 bomber also built by Russia.

``I wonder if that is technically possible,'' the defense ministry's spokesman, Won Tae-jae, told reporters.

An Air Force official was quoted by Yonhap as saying, ``It is just technically not possible for the small AN-2 to lift off while carrying 2-ton missiles and to fire them in air.''

He also said it is impossible to equip an AN-2 with the Styx missiles because its wings are only a few feet from the ground.

Instead, the official believed the North could have used IL-28 bombers.


An-2輸送機の荷物積載量は1.2トン(搭載燃料と併せた最大積載量は2トン)であり、KN-01対艦ミサイル(重量2〜3トンと推定)は重過ぎる荷物です。ミサイルを積んだら燃料が積めなくなる、つまり飛べません。またKN-01は大きなミサイルなので、An-2輸送機の翼下や胴体下にはスペース的にも積めません。残る可能性は無理をして貨物室に積み込み、パラシュートを付けて空中に放り出してからロケットモーターに点火する方法がありますが、構造上、An-2輸送機の貨物ドアは機体真横にあり、C-130輸送機のような大型の機体最後部貨物ドアを有しておらず、貨物スペース自体にそもそも物理的にミサイルが入りません。

An-2輸送機 - 日本周辺国の軍事兵器

どう考えてもAn-2輸送機でKN-01対艦ミサイルを発射する事は不可能な話です。IL-28爆撃機でも爆弾倉を改造しないと搭載は無理だと思いますが、An-2輸送機では何をどう改造しようと積み込むことすら出来ないし、たとえ積み込んだところで重過ぎて、自機の燃料も搭載しなければならないことを考えると飛び上がる事すら出来ません。Yonhap News(韓国聯合ニュース)は一体何を考えているのでしょうか。妙な"自称事情通"に引っ掛かったとしても、基礎的な知識があればゴミ情報と分かる筈なのに・・・韓国では他のマスコミが早速、ツッコミを入れているわけですが、日本で報道されたニュースにはこのツッコミがまだ報じられていません。この流れでは日本では報道しっ放し、誰も訂正をいれず・・・という事態になりそうなので、ここでツッコミを入れて置きます。

誤報の原因としては、KN-01対艦ミサイルとAn-2輸送機とKN-02短距離弾道ミサイルがゴッチャになった可能性が考えられます。AN-2とKN-2を勘違いしたのかもしれません。

KN-02短距離弾道ミサイル - 日本周辺国の軍事兵器

しかしKN-02短距離弾道ミサイル(SS-21 Scarab)の空中発射は無理ですし・・・無理というか、意味が無いです。短距離弾道ミサイルの空中発射は、目標に当たるように改良する為の労力が大き過ぎます。その割りに得られる効果は少なく、見合いません。一方、地対艦ミサイルの空中発射型なら改良する労力は少なくて済みますし、運用上も役に立ちます。もし北朝鮮が発射したミサイルの正体がKN-02の場合は、空中発射ではなく地上移動発射機からのものの筈です。しかし空中発射が事実なら、弾道ミサイルではなく対艦ミサイルか対地巡航ミサイルという事になります。

なおKN-01対艦ミサイルはスティックスないしシルクワーム対艦ミサイルがベースですが、この系列のミサイルは各種派生型があり、大きさや重量も様々です。基本的に地対艦型と艦対艦型となりますが、中国軍はこの系統で空中発射型のYJ-6空対艦ミサイルを開発済みで、これをH-6爆撃機(ツポレフTu-16バジャー)に搭載しています。

SY-1艦対艦ミサイル - 日本周辺国の軍事兵器
 └SY-1対艦ミサイルの派生型 - 日本周辺国の軍事兵器

H-6爆撃機 - 日本周辺国の軍事兵器
IL-28爆撃機 - 日本周辺国の軍事兵器

ただしH-6爆撃機は爆弾倉の改造をしておらず、YJ-6空対艦ミサイルを主翼下に吊るす運用です。しかしIL-28爆撃機の搭載力では主翼下に2発積む事は無理で、胴体の爆弾倉をKN-01専用に改造する必要があるでしょう。
03時14分 | 固定リンク | Comment (64) | 報道 |
2008年09月29日
ちくま文庫の林信吾の新刊「防衛黒書」を買って来ました。共著を除けばほぼ1年ぶり、軍事本としては「反戦軍事学」以来の本となるわけですが・・・全体的に見て退屈な本でした。「国防問題の全貌を解き明かす」と銘打っていましたが、内容は広く浅く、ネタ的にも「反戦軍事学」ほどのパワーを全く感じません。この方の著書のチェックは止めにするか、せいぜい立ち読みで済ませようと思います。

そして今回の新刊の最も致命的な部分はこちら。



【珍説】 「アフ【ガ】ーニスタン紛争において,アラブ義勇兵の中核を為したのはパキスタンのイスラム神学校の学生たちで,彼らはタリバンと呼ばれた(林信吾)」???

【事実】 当時,義勇兵の中核をなしたのは,黒井文太郎著『イスラムのテロリスト』(講談社,2001/10/20),p.55-57によれば,エジプト人とアルジェリア人だったとされています.
 また,同書によればナジブッラー政権崩壊時には,サウジアラビア人が約1000人程度,イエメン人,イラク人,スーダン人,チュニジア人,パレスチナ人,ヨルダン人がそれぞれ数百人程度だったそうです.
 パキスタンの神学生が中核だったなんて初耳です.



これソ連のアフガン侵攻の際の話をしている筈なんですよね。

「防衛黒書」の記述には、ソ連のアフガン侵攻の際に「アラブ義勇兵の中核を為したのはパキスタンのイスラム神学校の学生」であったとあり、完全に時系列を間違えています。組織としてのタリバーンが出現したのは1994年以降で、その中心はパキスタン領内のアフガン難民でマドラサで学ぶイスラム神学生であり、ソ連侵攻時にはまだ生まれていないか幼かった者ばかりで、当然、ソ連侵攻時にムジャヒディンとして実戦経験がある者など殆ど居ませんでした。なおタリバーンに戦闘訓練を施したのはパキスタン軍です。タリバーンは内戦で勢力を拡大する内にムジャヒディン勢力を多数取り込んでおり、これはタリバーンの一員であり尚且つソ連との交戦経験のある元ムジャヒディンとなるわけですが、結局これも「パキスタンのイスラム神学校の学生」では無いわけです。一体、どんな資料を読んでこんな思い込みに至ったのか・・・

「防衛黒書」は他にもおかしな記述が見付かりますが、「反戦軍事学」ほどパワフルでは有りません。ただ「第4章 三島由紀夫はなぜ死んだか」129ページで、筆者が中学生時代に同級生をイジメた事を自慢げに書いている箇所があり、さすが中学生時代のエピソードには事欠かない人だな、と思いました。

なお観測目的で注目しているのが「防衛黒書」のAmazon書評です。星五つの評価の新着レビューを載せている「朝霞市在住の坂本」さんは、現在2件のレビューしか載せておらず、もう片方のレビューは林信吾著『「戦争」に強くなる本』のAmazon書評です。其処までなら特に興味を引かないのですが、現在は消えているようですが記録として残したものとを照合すると興味深い事が出て来ます。実は以前に「反戦軍事学」のAmazon書評を書いた後に消すという謎の行動を取っており、これは当時「反戦軍事学」のAmazon書評で頻発していた事象でした。
01時06分 | 固定リンク | Comment (311) | 報道 |
2008年09月25日
豊後水道の入り口付近で発見したとされる潜水艦騒動、後になって鯨だったかもしれないとの見方が出てきました。しかし1km先で、最初に発見した砲術長は10秒間見ていたそうで、果たして見間違えるものなのでしょうか。鯨の背鰭だと、背鰭だけ長い時間出しっ放しにする事は出来ません。鯨は魚と違って上下に体をくねらせて泳ぐので、背鰭を海面上に出す場合は背中も大きく晒す事になります。

東京新聞:潜水艦でなくクジラ? 高知沖 領海侵犯情報なし (写真)

ニタリクジラとは|ホエルコ

YouTube - Falsa orca - False killer whale(オキゴンドウ)

現場海域はニタリクジラが多く回遊してくるのですが、東京新聞の写真にあるように小さな背鰭よりもむしろ大きな背中そのものが海面上に突出します。オキゴンドウのような歯鯨類は背鰭が顕著なのですが、大型ヒゲ鯨類のように海面上で漂泊するような行動を取らず、泳ぎ続けるので背中を出すのは一瞬だけです。そうなると潜望鏡と見間違えそうな「10秒間、背鰭だけ出し続けて泳ぐ」生き物となると、大型のホオジロザメぐらいしか・・・でもクジラと違い、海面ギリギリを泳ぎ続けるサメはそうはいません。そうなると「10秒間、潜望鏡らしきものを目視し続けた」という証言そのものの信憑性も問題になってきます。

なお防衛省の公式見解は依然として「潜水艦の公算が高い」のままです。

防衛次官会見概要 平成20年9月22日(15時04分〜15時09分)
「私どもの認識は、今申し上げたとおりでございまして、潜水艦の可能性が高いと判断をしているということでございます。その点に変更はございません。」

つまり「防衛省がクジラではないかとの見方を固めた」という報道を公式には認めないことを示しました。ただし実際の省内の見方がどの方向に支配的であるかは不明です。表向きには、このまま潜水艦ともクジラとも断定できる証拠もなく、結論は迷宮入りになりそうなのですが・・・


そこで頼りになるのが我らが【逆神】の誤神託なのです。


神浦元彰 メールにお返事
HPを読んでいる何人の方から、「潜水艦はクジラの可能性ありと防衛省が言い出しました」というメールを頂き、何のことかわからず、ニュースをネットで調べましたが、それらしい記事を見つけることができませんでした。このニュースだったのですね。

むろん、こんなものは無視して結構です。こんなゴミ情報に振り回されるようでは軍事稼業をやっていられません。そうですか”土佐の高知の沖では 潜望鏡を出すクジラが泳いでいる ヨサコイ ヨサコイ”ですか。民謡の”ヨサコイ節”に新しい歌詞ができそうですね。

まあ、ご察しの通り、外務省あたりから何か言われたのでしょう。ヨサコイ、ヨサコイです。


ヨサコイオワタ\(^o^)/

誤神託が来たんじゃ、しょうがないですね・・・


領海侵犯事件は「クジラ」説で結論か?|スパイク通信員の軍事評論
専門家の中に誤認説を唱える人は1人くらいはいる、と思っていたのですが、どの記事を読んでも見当たりませんでした。「俺だけが変なのか?」とも思いましたが、素朴な疑問を捨てないことが大事だと再認した次第です。

インターネットの掲示板などを見ると、兵器のデータで頭がいっぱいの軍事オタクたちは、外国潜水艦の存在を疑いもしなかったようです。海軍の兵器の性能に詳しいつもりでも、情報を分析する基本的な能力がないと、こうした推測はできません。


スパイクさんのこの推測は情報を分析する基本的な能力のおかげじゃなくて、「直感では「誤認」の可能性が高いと思います」という正に直感力によるものと、自分で言っていたんじゃあ・・・とはいえ直感だろうと事前に誤認の可能性に触れていた点は事実ですので、得意になって当然です。しかしこれで以前は神浦さんのサイトに頻繁にメール投稿していたスパイク通信員さんが、「クジラ説なんてゴミ情報」と断言した神浦元彰さんと師弟対決を行う事になりました。

けれど逆神フラグの方が強烈なので、対決になるかどうか。
21時33分 | 固定リンク | Comment (58) | 報道 |
2008年09月22日
P-X/C-X関連に強いCHF氏が「週刊東洋経済」9/20号の航空機特集について論評されています。

特集と言いながらいい加減の巻 - CHFの日記

防衛省のプロジェクトであるF7エンジンと経産省のプロジェクトであるエコエンジンとを良く理解していない点を除けば、週刊東洋経済の特集はかなり気合が入った記事なのですが(日本の経済誌はどれも軍事が絡む部分が途端にダメになる傾向があり、これもその例)・・・載っていた石破茂議員のXP-1哨戒機に関するコメントが・・・あ、頭が痛いです。



XPは将来、民間転用も視野に入れているのに、エンジンは双発ではなく4発にする、と言う。今どき、なぜ、経済性で劣る4発なのか。「海自の幹部は『4発はパイロットの安心感です。これに命を懸けるパイロットの気持ち、わかりませんか』と言う。2年間、大喧嘩した。わかった、あなた方が国益、防衛力、パイロットを考え、それでも国産4発がいい、と言うなら、そうしよう。ただし、私が発言したことを記録しておいてくれ」(石破氏)


ゲルりん・・・まだそんなことを言っていたの?
2年前・・・いや、4年前にも大喧嘩していたでしょ?
(注;見間違えていました。「2年前」ではなく「2年間」大喧嘩していた、ですね)

というかこれ、その時の話じゃないかな。2年前だと既にP-X(現在XP-1と呼称)は静強度試験用の機体が技術研究本部に納入された時期なので、双発だ4発だと議論するような段階はとっくに過ぎている筈ですから。


次期哨戒機、国産エンジンを採用 - 2004/12/02,日本経済新聞
次期哨戒機をめぐっては、石破茂・前防衛庁長官が在任中、国産方針を見直し、米ボーイング社が開発中の多任務洋上哨戒機(MMA)の購入を検討するよう求めた経緯がある。最終的には石破氏も国産化を容認したが、「国産は高すぎる」と難色を示した。


737MMA(P-8ポセイドン)哨戒機は、ボーイング737旅客機(双発)をベースにアメリカで開発されているのですが、開発は難航しており開発費はウナギ登り、機体の調達単価もどんどん上昇し、もはや一歩間違えれば失敗プロジェクトになりかねない惨状で、P-8は昨年の段階で1機あたりPCUで2億8660万ドル(300億円近い)を予定しています。対する日本のP-X(XP-1)は最初の調達価格が1機170億円で取得済み、量産単価は70機取得の場合、1機124億円を予定してあり、開発費を加えてもP-8の半額であり、「国産は高過ぎる」とする石破茂議員の主張は間違っていた事がハッキリしています。

・・・ゲルりん、まさかアメリカのMMAプロジェクトのグダグダ振りを知らなかったの? もうとっくに気付いて反省しているものとばかり・・・駄目だこの人、早く誰か教えてあげないと・・・

海上自衛隊の幹部が『4発はパイロットの安心感です。これに命を懸けるパイロットの気持ち、わかりませんか』と言ったのは、哨戒機は経空脅威に晒される任務を担っているからです。不審船に対処する任務や、場合によっては有力な水上戦闘艦相手にも接近する事もあります。もし不審船が携行SAM(対空ミサイル)で攻撃してきたら? 敵水上戦闘艦が攻撃してきたら? 4発機ならエンジンを1基失ったところで十分に帰ってくる事が出来ます。しかし双発機では長距離任務の際は戻って来られる可能性は大幅に下がります。また、哨戒機は海面上を低空で飛ぶ事が多く、エンジンが塩害で不調になりやすいのですが、その際も4発機の方が双発機よりも安心感が大きいのです。

737MMA計画は双発のP-8でエンジン1基での片肺飛行を行わせるつもりでしたが、双発機の片肺飛行は長時間を飛べず、推力がアンバランスになり機体の安定性が大きく落ちる問題点が指摘されています。その点、4発のP-Xは1〜2基エンジンを止めても機体の安定性は保ちやすく、長時間飛行する事が可能です。
21時00分 | 固定リンク | Comment (405) | 報道 |
2008年07月23日
これは・・・田岡氏の説が、本当に信憑性を帯びてきたのかもしれません。調査結果次第ですが、以前書いた記事は謝罪した上、撤回しなければならないかもしれません。


千葉沖漁船転覆:乗組員「船底に衝撃」 潜水調査を検討 - 毎日jp
千葉県犬吠(いぬぼう)埼沖で6月、福島県いわき市の巻き網漁船「第58寿和(すわ)丸」(全長38メートル、135トン)が転覆し死者4人、行方不明者13人を出した事故で、原因究明をしている横浜地方海難審判理事所が、救助された乗組員から「右舷船底に強い衝撃を受けた」との証言を得たことが分かった。理事所は衝撃による損傷の有無を調べるため、海洋研究開発機構(神奈川県横須賀市)に対して、深海潜水調査船の派遣依頼を検討し始めた。


記事内では何処にも「潜水艦」という言葉は述べられていませんが、135トンの船がクジラとぶつかった程度で沈まないですし、浮流機雷はとても考え難いので、新証言が確かならば潜水艦犯人説が有力な候補です。そうなると海上自衛隊の潜水艦や米原潜、露原潜、中国の漢級原潜、韓国の潜水艦が考えられますが、海域的にロシアや中国や韓国は考え難い話です。台湾のたった2隻の実働潜水艦が居る筈も無く・・・

6/23の沈没事故の前後、日本の港に寄港している米原潜は4隻。「コロンバス」は佐世保港に入港中(6/16〜6/26)でこれはアリバイがあります。「アッシュビル」は20日と26日に沖縄のホワイトビーチ(艦艇の修理は出来ない泊地)に一時寄港。「プロヴィデンス」は7/15に横須賀に寄港、少しタイミングが合いません。そして「ヘレナ」の横須賀入港が「プロヴィデンス」の前です。

実はこの「ヘレナ」は、6年前に韓国沖で演習中に潜望鏡を漁船に引っ掛ける事故を起こしています。(この時は重大事故に発展せず)


米原潜が漁船に接触 韓国沖の公海上 (2002/10/03)
ヘレナは韓国海軍との合同演習に参加し、韓国西岸から約160キロの海域で水面近くを航行中に潜望鏡が漁船と接触した。現場付近には2隻の漁船がいるのが確認された。  ヘレナはそのうち1隻の漁船に無線連絡したが、「救助は不要」との返答があった。残り1隻とは無線連絡ができなかった。米海軍当局が事故の原因を調べている。


まさかとは思いますが・・・
04時24分 | 固定リンク | Comment (311) | 報道 |
2008年07月15日
6月23日に千葉県犬吠埼沖で巻き網漁船第58寿和丸が転覆、沈没した事故で、事故原因を巡って様様な憶測が流れています。当初は三角波だと思われていたのですが、その後に三角波が発生する条件ではなかったという話になり、フリーク波という三角波とは異なる発生メカニズムの自然現象ではないかという説(今年5月4日に韓国忠清南道保寧市の海岸で突如として謎の大波が襲い9人が死亡した事故の原因とも疑われている)、或いはパラアンカー(パラシュートアンカー)が原因ではないかという説が出されていますが、これに新たな説が加わった模様です。



ちょうど田岡さんがらみの話題なので本日の「パックインジャーナル」から紹介させてもらいますが、田岡氏は同番組で先月23日、千葉県銚子市沖で漁船が転覆したのは潜水艦の衝突ではないか?
という説を唱えていました。来週のAERAに執筆記事が載るそうです。
まだ再放送もやっているので興味のある方は。
もしこれが事実だったら大問題になるし、田岡氏も大スクープということになりそうですが・・・
本人はかなり自信のあるようす。

Posted by Gryphon at 2008年07月12日 19:56:52


AERA今週号をチェックしてきました。田岡俊次氏は、

「原因は三角波」のウソ「第58寿和丸」転覆 潜水艦当て逃げの可能性

という記事を書いていました。そして海事関係者からの反応は以下の通りです。


★第58寿和丸転覆海難、海難原因を大胆推測(その6)!★
潜水艦説に関しては、読み物としては興味を引くでしょうが、現時点において、海事専門家の我々が、確固たる科学的な証拠固めなしで、それを真っ向から取り上げるにはかなりの勇気が必要です。いわば珍説です。


この海事関係者のブログの方は、パラアンカーが正常に作動していなかったのが転覆事故の原因ではないかと推測しています。

大波については生存者や僚船からの証言も有りますし(田岡氏は記事内で僚船の証言には触れず)、パラアンカーは第58寿和丸が事故当時に使っていた装備です。つまりこれらは原因に取り上げる物が当時現場に実際にあった、ないし、あったという証言があるわけです。しかし潜水艦説だけが、そういうものが一切ありません。目撃証言は無いし、物的証拠もありません。これでは勝手な妄想だと言われても仕方が無く、珍説扱いされてしまう所以です。

田岡氏の「三角波原因説は怪しい」とする見解は別に良いと思います。京都大学の防災研究所も三角波の発生条件ではないという報告書を出しています。

[PDF] 第58寿和丸転覆事故 海象解析結果

ただこの報告書は纏めで突発的な大波の可能性を指摘しており、フリーク波説を唱えています。

寿和丸、なぜ転覆 パラアンカーに死角 (魚拓)

こちらは船を安定させるためのパラアンカーが、横波を受けて逆に不安定な状況を招いたという説です。

現時点では事故原因がなんであったかまだ分かりませんが、他に有力な説が幾つも上げられているにも関わらずそれらを無視し、消去しきれていないのに「消去法なら潜水艦犯人説」だとするのは無茶な話で、新たな証拠でも見付からない限り、海事関係者から田岡氏の唱える説に追随する者は出てきたりはしないでしょう。
23時53分 | 固定リンク | Comment (80) | 報道 |