このカテゴリ「軍事」の記事一覧です。(全419件、20件毎表示)

2017年04月16日
4月15日の北朝鮮軍事パレードに登場した新兵器に付いて。

今回初登場の新兵器。装軌型の自走発射機に搭載された地対艦ミサイル。ソ連が開発した亜音速対艦ミサイルKh-35の北朝鮮版を4連装ランチャーに収めてると推定される。北朝鮮はシルクワーム系の地対艦ミサイルも装軌型の自走発射機に搭載しており、上陸直前の敵を射程に収めるべく沿岸部で移動を行い待ち構える必要上、野外機動力を重視している。

今回初登場の新兵器。スカッドないしノドンの改良型? ミサイル先端側の翼は1点のピボットで装着されており、操舵翼であることが分かる。終末誘導能力を持つと思われる。対地型なのか対艦型なのかは不明。対艦型の場合は短距離弾道ミサイルであると思われる。(対艦用で中距離弾道ミサイルでは索敵も誘導も困難になる為)

パレードでは初登場の北極星1号SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)。モックアップなのかそれともカバーで覆われているのか、ノズル部分は機密扱いとして隠されている。

パレードでは初登場の北極星2号(KN-15)。SLBMの北極星1号(KN-11)を地上発射型に改良した中距離弾道ミサイル。コールドランチ式の固体燃料型弾道ミサイルで、ミサイルはキャニスターの中に収納されている。

KN-08長距離弾道ミサイル。従来は16輪TELに搭載されていたが、今回のパレードはムスダン中距離弾道ミサイル用の12輪TELに搭載されている(そのため、ミサイルの先端が車両より飛び出ている)。タイヤカバーはホットランチ時の膨大な熱からタイヤを守るためで、ムスダン発射試験の際にも装着されていた実用的なもの。

今回初登場の新型ICBM。16輪重野戦機動トラック型TELとトレーラー型TELの2種類。コールドランチの固体燃料型と推定される。

韓国の最新鋭複合型ライフルK11にそっくりなライフルを持つ北朝鮮軍特殊部隊の兵士。複合型ライフルとはライフルとグレネードランチャーを一体化したコンセプトの銃で、グレネードは小型軽量のものを使う代わりに高度なスマート時限信管を用いて最適な位置で起爆させる。
21時56分 | 固定リンク | Comment (15) | 軍事 |

2017年04月15日
4月15日、北朝鮮で故金日成主席生誕105年記念式典が行われ、軍事パレードで新型ICBMが登場しました。驚くべきことにキャニスターに収められたICBMは発射方式がコールドランチ式であることが確定し、固体燃料式である可能性が高いと言えます。これまで知られてきたKN-08やKN-14といったホットランチ式のICBMよりも、北朝鮮のミサイル技術が進化を続けている事を見せ付けました。

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新型ICBM(重野戦機動トラック式TEL)

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新型ICBM(トレーラー牽引式TEL)

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KN-08長距離弾道ミサイル(TELが全長の短いムスダン用のもの?)

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新型弾道ミサイル(正体不明、短距離ないし中距離?)

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ムスダン中距離弾道ミサイル

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北極星2号(SLBM転用の地上発射型弾道ミサイル)

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北極星1号(SLBM、潜水艦発射弾道ミサイル)

関連:16輪の大型TEL車両に搭載された北朝鮮の新型長距離弾道ミサイル(2012年04月15日)
13時19分 | 固定リンク | Comment (30) | 軍事 |
2016年11月17日
ロシア製の爆撃照準装置SVP-24(СВП-24)は「精密誘導爆弾並みの精度で無誘導爆弾を使用できる」とされていますが、これは明らかに事実ではありません。喧伝されるCEP数mという数字は宣伝目的の誇大広告と受け取るべきでしょう。

というのも、母機側の照準装置がいくら正確に機能したとしても、いざ爆弾投下時に母機の姿勢が乱れると誤差が生じてしまいます。投下後に風向きや風量が変化しても誤差が生じます。無誘導の自由落下爆弾では投下後に修正が効かないのです。投下高度が高ければ高いほど大きく外れてしまう結果になります。

これが精密誘導爆弾ならば操舵翼を動かして修正が効くので、母機の姿勢が乱れたり風向きや風量が変化しようと問題が無く、投下高度が高ければ高いほど修正する余裕が生まれて命中精度が高まります。無誘導の自由落下爆弾と決定的に違う部分がこれです。仮に「正確な照準装置で無誘導爆弾を落とす」場合と「正確な精密誘導爆弾を大雑把に落とす」場合を比べた場合、精密誘導爆弾の方は最後まで誘導を続けられるため、命中精度はこちらの方が上になります。機械の構造的な特性の問題で、この差は基本的に埋まりません。

つまり「精密誘導爆弾並みの精度で無誘導爆弾を使用できる」という謳い文句は有り得ないのです。風の変化が無く母機の姿勢も乱れない理想的な状態なら精度を近付けることは可能であっても、戦場で使う以上は望むべくもありません。風は変化し、対空砲火は撃ち上がり、過酷な状況が待ち受けています。

「ロケットと大砲ロシア科学アカデミー」会員で「地政学問題アカデミー」創設者の一人、コンスタンチン・シヴコフ軍事学博士はVPKニュースで以下のような見解を述べています。

Основная часть целей в Сирии поражается неуправляемым оружием, применяемым с высокой точностью
С учетом всех названных факторов можно оценить точность боевого применения свободно падающих бомб с использованием СВП-24 показателем в 20–25 метров.

要点だけ抜き出して紹介しますが、様々な要因から戦闘時におけるSVP-24照準装置を用いた無誘導爆弾の命中精度は20〜25mと推定できる、としています。シヴコフ博士は開発者が喧伝している精密誘導爆弾並みの数mという数字を実戦では達成不可能とみています。

もともとSVP-24はSu-24攻撃機の改修計画で精密誘導爆弾の運用能力を持たせたいがコストが掛かるので妥協案として選ばれた安上がりな改修です。安い妥協案である以上は高価なシステムと同等の性能を発揮することができないのは明白なことですし、既に説明した通り機械の構造的な特性の問題で、母機側の照準装置がいくら精度が良かろうと爆弾投下以降は誤差を修正できない無誘導爆弾は、どうしても精密誘導爆弾の命中精度よりも劣ってしまうことは仕方が無い事なのです。


Видео ударов палубных истребителей Су-33 по позициям боевиков в Сирии

これはSVP-24照準装置を搭載したSu-33艦上戦闘機がシリアで爆撃する様子を無人偵察機で撮影した動画ですが、大きな工場らしき建造物を狙った爆撃は直撃できず至近弾となっています。工場の中央を狙ったと仮定した場合、数十mは外れているでしょう。

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17時00分 | 固定リンク | Comment (61) | 軍事 |
2016年06月23日
6月22日に通算6回目の挑戦で発射成功した北朝鮮のムスダン中距離弾道ミサイル。翌23日に北朝鮮メディアは発射成功を祝う宣伝を行い映像を公開しました。北朝鮮の発表では「火星10号戦略弾道ミサイルは高度1400kmに到達し水平距離400kmを飛行して海に着弾した」とあり、実験成功としています。

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※発射直後のムスダン

注目すべきなのは、ムスダンの底部に簀の子状の翼が付いている事です。8枚付いているように見えます。

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※上昇中のムスダン

Grid fin - Wikipedia 簀の子(すのこ)、あるいは格子(こうし)の形をした小翼。

簀の子状の翼は操舵翼や安定翼に用いられることがありますが、中距離弾道ミサイルへの適用例としては冷戦時代のソ連のRSD-10(SS-20セイバー)があります。これを模倣して役割が同じものだとすると、上昇中にのみ効果を発揮するもので、大気圏突入後の終末誘導用ではありません。簀の子状の翼は4枚の安定翼と4枚の操舵翼を平行に交互に取り付けたものだと思われます。(追記; 8枚とも全て安定翼の可能性も考えられます)

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※RSD-10(SS-20セイバー)の簀の子状の翼。畳まれている。

参考:РСД-10 Пионер - SS-20 SABER

ムスダンはこれまでソ連のR-27弾道ミサイルを模倣して大型化させたものと思われてきましたが、RSD-10の特徴も兼ね備えていたことが新たに判明したことになります。過去に平壌のパレードに登場した時のムスダンには、このような装備は付いていませんでした。


噴射炎から硝酸系ベースの液体推進剤ではないかという指摘。


ムスダン発射時の噴射炎。メインノズルからの太い噴射炎の周囲に小さな噴射炎も見えるという指摘。

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※高解像度写真。小さな噴射炎は姿勢制御用と思われる。

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TEL(輸送起立発射機)2両を並べてムスダン発射成功を祝う記念集合写真。TELにはタイヤカバーが装着されており、初確認となる。
16時45分 | 固定リンク | Comment (48) | 軍事 |
2016年06月21日
6月18日にシリアを電撃訪問したロシアのショイグ国防相の様子を伝えるRT(ロシアトゥデイ)の動画ニュースに、シリアのフメイミム基地でSu-34攻撃機にクラスター・テルミット焼夷爆弾が搭載されている決定的な証拠が写っていました。



RBK500ZAB25SM.PNG

ZAB25SM.PNG
「РБК-500 ЗАБ-2,5СМ」と書かれている爆弾

Su-34攻撃機に搭載されているРБК-500 ЗАБ-2,5СМ(RBK-500 ZAB-2.5SM)と書かれている爆弾は、大型のクラスター・テルミット焼夷爆弾です。RBK-250 ZAB-2.5の大型版になります。誤解されることも多いのですが、これは白燐弾ではありません。それよりも遥かに強力な焼夷兵器です。

00時41分 | 固定リンク | Comment (6) | 軍事 |
2016年06月09日
6月7日と8日に、内戦中のシリアのアレッポ周辺でロシア軍/シリア軍の航空機からロシア製クラスター・テルミット焼夷爆弾「RBK-250 ZAB-2.5」が使用されました。着弾の様子が似ているために大手メディアも含めて白燐弾と誤解されていますが、航空機用の爆弾にクラスター型の白燐弾は何処の国にも存在しません。シリア内戦ではテルミット焼夷弾「RBK-250 ZAB-2.5」は以前から使用されており、着弾地点での残骸を見た限りでも、ZAB-2.5子弾で間違いないでしょう。





現地からの報告者やトルコ・アナドル通信のツイートには燐(phosphorus)とありますが間違いです。これはテルミット焼夷弾です。以前に大々的に報道された白燐弾の影響で、焼夷兵器は何でも白燐弾だと誤解される風潮が広まってるのですが、クラスター・テルミット焼夷爆弾「RBK-250 ZAB-2.5」は攻撃用に専用設計された焼夷兵器(子弾は焼夷剤だけでなく炸薬も内蔵)であり、発煙弾として設計された白燐弾(アメリカ軍やイスラエル軍が使用したM825A1)よりもはるかに殺傷力が高い兵器です。

また、数日前にアレッポでの市街戦でロシア軍/シリア軍のTOS-1A重火炎放射システム(多連装サーモバリック・ロケット弾発射機)が対戦車ミサイルで撃破されています。TOS-1Aはサーモバリック弾薬に誘爆、大爆発となっています。


(着弾は45秒から)

TOS-1A重火炎放射システムは誘爆の様子を見ても分かる通り非常に強力な威力を持つ兵器です。そして多連装ロケットという兵器の性格上、目標へのピンポイント精密攻撃は不可能であり、本来は市街戦に投入していいものではありません。
05時10分 | 固定リンク | Comment (20) | 軍事 |
2016年02月16日
シリア内戦ではロシア軍およびアサド政権軍がクラスター爆弾を大量に使用しています。様々な種類のクラスター爆弾が使用され、爆発の瞬間が撮影され、不発弾が発見され、動かぬ証拠となって上がっています。そして遂に2016年2月15日、シリアのアレッポ北部の市街地に投下されている様子が動画に収められました。ロシア空軍のSu-34攻撃機による爆撃とされています。


العدو الروسي في أقذر أسلحته العنقودي يفتك في حريتان بريف حلب

ロシアもシリアもクラスター爆弾を禁止制限するオスロ条約には加盟していません。しかし、それ以前の前提として戦時国際法であるジュネーブ条約は市街地への無差別な攻撃を禁止しています。クラスター爆弾はピンポイント攻撃が出来ない面制圧兵器であり、無差別に広範囲を破壊・殺傷するものである以上、市街地での使用は戦時国際法に違反した行為であることは明白です。そして一つの親爆弾に数十個から数百個の子弾が入っている為に不発弾が大量に発生し、戦争が終結した後も民間人に犠牲を強いる事になります。

【シリアで確認された各種ロシア製クラスター爆弾の子弾】
・対人クラスター子弾AO-2.5RTM(航空爆弾RBK500)
・対人クラスター子弾AO-1SCh(航空爆弾RBK250-275)
・対人クラスター子弾ShOAB-0.5(航空爆弾RBK500)
・対人クラスター子弾9N235(スメルチ多連装ロケット、9M55K弾)
・対人クラスター子弾9N24(トーチカ短距離弾道弾、9N123K弾頭)
・対人クラスター子弾O10(240mm重迫撃砲M240、3O8迫撃弾)
・焼夷クラスター子弾ZAB-2.5(航空爆弾RBK500、テルミット)
・対戦車クラスター子弾SPBE-D(航空爆弾RBK500、自己鍛造弾)

上記に挙げたものはシリアで確実に確認されたクラスター子弾ですが、これで全ての種類ではありません。更に多くの種類のロシア製クラスター爆弾が使われている可能性があります。クラスター航空爆弾はRBK500やRBK250-275といった親爆弾の中に子弾が収納されています。不発弾は親爆弾、子弾ともにシリアで大量に発見されておりロシア軍とアサド政権軍による使用は明白なのですが、ロシア政府、アサド政権ともに「クラスター爆弾は使用していない」と言い張っています。しかしロシアによる介入以後、突然に使用が確認された物や使用量が急増した物がとても多く、ロシアが供給しロシア自身も使用している事は間違いないでしょう。
21時51分 | 固定リンク | Comment (43) | 軍事 |
2015年11月18日
11月17日、ロシア政府は10月31日にエジプトで墜落したロシア旅客機に付いてイスラム国による爆弾テロと断定、報復攻撃を開始しました。戦略爆撃機から発射された巡航ミサイルによる大規模な集中攻撃です。

ロシア国防省の発表によると投入された戦略爆撃機は「Tu-160」、「Tu-95MS」、「Tu-22M3」の三機種で、ロシア空軍が保有する大型戦略爆撃機と中型戦略爆撃機の全種類です。空中発射式の巡航ミサイルや爆弾を投下したとあります。また公開された動画からは最新鋭の空中発射巡航ミサイル「Kh-101」らしい物も確認できます。攻撃目標はイスラム国の本拠地ラッカでした。


Массированный удар самолетами Дальней авиации по объектам инфраструктуры ИГИЛ в Сирии




※Kh-101と思われる巡航ミサイル

また、地中海に展開したロシア海軍のキロ級ディーゼル潜水艦「ロストフ・ナ・ドヌー」が巡航ミサイル「カリブル」で攻撃を行ったことを一部ロシア紙が伝えていますが、こちらは戦略爆撃機の攻撃と違い、ロシア国防省からの正式発表はまだありません。(潜水艦からの攻撃は誤報の可能性が有ります)
01時19分 | 固定リンク | Comment (79) | 軍事 |
2015年11月10日
11月5日のアメリカ陸軍の報道によると、日本陸上自衛隊の03式中距離地対空誘導弾改(略称:03式中SAM改)が今年の夏にニューメキシコ州にあるホワイトサンズ・ミサイル射撃実験場で迎撃試験を行い、10回の試験に全て成功した事が伝えられています。そして標的の中には高空でマッハ3〜4、海面すれすれでもマッハ2.5を発揮できるGQM-163Aコヨーテ超音速巡航ミサイル標的も含まれていました。

Japanese Test Engages Supersonic Target on WSMR | The Official Home Page of the United States Army

03式中SAM改
※米陸軍より陸上自衛隊03式中SAM改(クリックすると大きい画像)

03式中SAM改は従来の03式中SAMより小型化されたミサイル弾体を使用したもので、1発当たりのコストが削減されています。これは本来は海上自衛隊の護衛艦に搭載するために開発されていた艦対空誘導弾XRIM-4が元になっています。(XRIM-4は海上自衛隊には不採用)

03式中SAM改
※03式中SAM改

中SAM比較
※03式中SAM、新旧の形状比較(縮尺の対比は不正確

関連記事:03式中距離地対空誘導弾(改):2014年11月27日
20時32分 | 固定リンク | Comment (66) | 軍事 |
2015年11月05日
10月31日、米ミサイル防衛局はTHAADとイージス艦を用いた弾道ミサイル防衛の多層防御試験「FTO-02 イベント2a」を成功させました。成功とは言ってもイージス艦のSM-3迎撃ミサイルは途中で不具合が起き、THAADによって目標を撃墜しています。アクシデントはあったものの多層防御の目的は達成されました。

Ballistic Missile Defense System Demonstrates Layered Defense While Conducting Multiple Engagements in Operational Test - The Missile Defense Agency (MDA)


US Defense Against Aggression: Layered Missile Defense System Test

発射された標的ミサイルは短距離弾道ミサイル模擬標的「SRALT」と準中距離弾道ミサイル模擬標的「eMRBM」、そして巡航ミサイル標的「BQM-74E」です。「SRALT」と「eMRBM」はC-17輸送機から空中投下される弾道ミサイル模擬標的で、ウェーク島の南東から発射され、「SRALT」と「eMRBM」はTHAADによって、「BQM-74E」はイージス艦が撃墜しました。イージス艦は「eMRBM」の迎撃を試みたものの失敗、THAADが迎撃を引き継ぎ撃墜に成功しています。THAADの配置は発表されていませんが、クェジェリン環礁にある射爆試験場だと思われます。(追記:動画の方の説明文でTHAADはウェーク島に配置されてあるのを見落としていました。訂正します)

eMRBM
C-17輸送機から空中投下されるeMRBM

eMRBM
上昇するeMRBM(弾頭部は修正され隠されている)
19時23分 | 固定リンク | Comment (33) | 軍事 |
2015年10月27日
10月27日、南沙諸島に中国が建設した人工島の12カイリ内に、アメリカ海軍のイージス駆逐艦「ラッセン」が進入しました。中国の人工島を領海の起点とは認めず、南シナ海の航行の自由を実力で示す目的です。日本の横須賀を母港とするイージス駆逐艦「ラッセン」は数日前までマレーシアのコタキナバルに寄港しており、哨戒機の援護を受けながら単艦で南シナ海へ乗り込んでいます。(発表は有りませんでしたが、海中から攻撃原潜も援護していたものと思われます。)

ラッセン
先月9月17日、南シナ海で演習を行うイージス駆逐艦ラッセン(米海軍より

また10月24日には空母「セオドア・ルーズベルト」がシンガポールのチャンギに寄港しており、その後の動向は発表されていませんが、今回のイージス駆逐艦「ラッセン」の活動を直ぐに支援できる準備を整えていたものと思われます。空母「セオドア・ルーズベルト」は中東のペルシャ湾での任務を終えて本国へ帰還する途中で、インド洋のベンガル湾で日本海上自衛隊やインド海軍との合同演習を終えて来たばかりでした。

ルーズベルト
今月10月24日、シンガポールのチャンギ軍港に入港する米空母ルーズベルト(米海軍より
21時17分 | 固定リンク | Comment (63) | 軍事 |
2015年10月23日
シリア内戦にロシア軍が介入して以降、対戦車クラスター爆弾「RBK-500 SPBE-D」の使用が確認されましたが、その後に対人用クラスター爆弾「RBK-500 AO-2.5RTM」の不発弾が大量に発見されました。更にBM-30スメルチ多連装ロケット発射機からのクラスターロケット弾攻撃が確認されるなど、ロシア製各種クラスター弾の大量使用が始まっています。この内戦ではアサド政権軍もクラスター爆弾を使用して来ましたが、ロシア軍の介入以降に報告例が急増しています。

10月7日、ハマでのBM-30スメルチと思われる攻撃。



同じくBM-30スメルチと思われる攻撃。数十本のクラスターロケット弾から数十個ずつ子弾が放出され、地表で数千発の子弾が炸裂している様子。

 

10月11日、シリアのハマ。ロシア製多連装ロケット発射機BM-30スメルチのクラスター・ロケット(親弾)の残骸。子弾を放出した後のもの。

 

対人用クラスター爆弾「RBK-500 AO-2.5RTM」の大量の不発弾。これは航空爆弾でBM-30とは別の物。

19時23分 | 固定リンク | Comment (52) | 軍事 |
シリア内戦に介入したロシア軍が持ち込んだTOS-1A重火炎放射システムが、22日にラタキアの山岳部で活動している様子が動画で報じられています。


TOS-1 MLRS Launch and Hit in Latakia Today (Latakia 22-10-2015)

ロシア軍自身が運用しているか、またはアサド政権軍に引き渡されて運用されている事になります。

 

この兵器は目標の周囲を巨大な爆発火球で包み込み、制圧します。
18時54分 | 固定リンク | Comment (15) | 軍事 |
2015年10月07日
10月7日、ロシア海軍カスピ小艦隊の4隻の艦艇からシリアに向けて26発の巡航ミサイル攻撃が実施されました。長距離艦対地巡航ミサイル「カリブル」が使用されました。射程は1500km以上(最大2500kmに達する)で、能力的にはアメリカ軍のトマホーク巡航ミサイルに類似したものです。


Массированный удар высокоточным оружием по объектам ИГИЛ в Сирии из акватории Каспийского моря

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カスピ海から発射し、イラン領とイラク領の上空を通過してシリアに攻撃を加えています。イラン、イラクの了解を事前に取り付けた上で実施されたのでしょう。

攻撃を実施した4隻の艦艇は11661K警備艦「ダゲスタン」、21631小型ロケット艦「グラード・スヴィヤージスク」、「ウグリーチ」、「ヴェリキー・ウスチョグ」とされています。カスピ小艦隊のカリブル巡航ミサイル搭載艦の全てが投入されています。
22時33分 | 固定リンク | Comment (38) | 軍事 |
2015年10月05日
連日シリアで行われているロシア軍の空爆ですが、10月4日に北部アレッポの近郊で対戦車クラスター爆弾、自己鍛造弾が空中炸裂していると推測される動画が報告されています。




سلاح جديد يستخدمه الطيران الحربي الروسي في سوريا

ロシア軍のSu-24攻撃機から数発の爆弾が投下され、地表付近でそれ以上の多数の空中爆発が発生しています。これはスマート型の誘導能力を持つクラスター爆弾の子弾が空中炸裂し、自己鍛造弾を目標に発射しているように見えます。対戦車クラスター爆弾РБК-500 СПБЭ-Д(RBK-500 SPBE-D)か、それに類似したものではないかと推測できます。

しかし反政府軍は戦車をほとんど運用していない筈で(小数の鹵獲車両は使っている可能性が有るが)、なぜロシア軍がこのタイプの爆弾を使用したのかは不明です。本来ならば装甲車両の大集団に向けて使用すべき兵器です。
05時37分 | 固定リンク | Comment (45) | 軍事 |
2015年10月02日
ロシア国防省が10月1日分のシリア空爆動画を3本新たに公開しました。Su-24攻撃機、Su-25攻撃機、Su-34攻撃機の動画です。ロシアはこの他にSu-30戦闘爆撃機もシリアに展開させています。

Su-24攻撃機とSu-25攻撃機はイドリブ県の都市マアッラト・アン=ヌウマーンを攻撃したと説明にあります。しかしここはイスラム国の支配地域ではありません。

Su-34攻撃機はイスラム国の本拠地ラッカの近郊を爆撃したとあります。これが事実ならば初めてのロシア軍によるイスラム国への攻撃となります。


ロシア国防省YouTube公式よりSu-24攻撃機による爆撃


ロシア国防省YouTube公式よりSu-25攻撃機による爆撃


ロシア国防省YouTube公式よりSu-34攻撃機による爆撃
19時49分 | 固定リンク | Comment (12) | 軍事 |
2015年10月01日
9月30日から始まったロシア軍によるシリア空爆は10月1日になっても続いています。そしてロシア国防省が2つ目の空爆動画を公開しました。


Ночью российская авиация нанесла удары по 4 объектам ≪Исламского государства≫ на территории Сирии

動画のタイトルと説明文では夜間爆撃で4つの目標を撃破したとあります。また爆撃目標は前日より拡大し、シリア西部のホムスに加えてシリア北西部イドリブを爆撃しています。しかしホムスもイドリブもイスラム国の支配地域とは離れています。ロシアはイスラム国に攻撃を加えていると主張しつつ、全く無関係なところを爆撃していることを自ら公表しています。ロシアはアサド政権の延命を第一に考えて、イスラム国以外の、アサド政権軍との前線で相対している他の反政府組織を集中的に叩いています。その上で「ロシアはイスラム国を攻撃している」と言い張っています。


20時24分 | 固定リンク | Comment (11) | 軍事 |
2015年9月30日、ロシア軍がシリアでの本格介入に踏み切り空爆を開始しました。ロシアは対イスラム国連合を唱えていますがその本当の狙いはアサド政権の存続にあり、ロシア空軍の戦闘機による空爆はイスラム国ではない他の反政府勢力(アメリカが支援している自由シリア軍系列)に実施されている上に、さっそく誤爆で民間人に大量の犠牲者が出ました。それでもロシア国防省はあくまでイスラム国の拠点に対してピンポイント精密爆撃をしていると公式声明で発表しています。


Воздушные удары по объектам террористической группировки ИГИЛ

そしてロシア国防省がシリアでの空爆動画をいち早く公開したのは、ロシア軍が精密爆撃を行っており無差別爆撃はしていないと国際社会にアピールする為かと思いました。しかし、公開された動画の最初の方に、地表に多数の小さな爆発が起きている様子が見えます。

ru_sy1.PNG

これはクラスター爆弾から拡散した多数の子弾が着弾している様子に見えます。つまりピンポイント攻撃ではなく、精密誘導無しで広範囲を面制圧しているのではないでしょうか? 

動画の空爆は3シーンあり、2シーン目の攻撃も同様に地表に多数の着弾が見えます。そして3シーン目の攻撃は単弾頭の爆弾を投下しています。

ロシア軍シリア空爆

建造物を狙って外しているように見えます。精密誘導爆弾ではなく、誘導装置の無い自由落下爆弾の可能性が有ります。この動画からはピンポイント精密爆撃をしているとは受け取る事が出来ません。アメリカ軍の爆撃と比べて、ロシア軍は非常に大雑把な爆撃を行っているようです。ロシア国防省は公式声明でピンポイント精密爆撃をしていると言いつつ、自ら発表した動画でそうではない事を明かしました。

参考:アメリカ軍による対イスラム国シリア空爆、12発の精密誘導兵器による面制圧攻撃(2014年9月14日)

一方でアメリカ軍は誘導兵器による精密爆撃で面制圧しつつ付随被害を局限するという、非常に高度な事を実行しています。
05時05分 | 固定リンク | Comment (27) | 軍事 |
2015年08月01日
7月31日、アメリカ海兵隊は新型ステルス垂直離着陸戦闘機F-35Bライトニング2の初期作戦能力(IOC)取得宣言を行い、実戦配備されました。アリゾナ州ユマ海兵航空基地の第121海兵戦闘攻撃飛行隊(VMFA-121)がアメリカ軍最初のF-35実戦配備部隊となりました。日本の山口県岩国海兵隊航空基地には2017年1月に展開する予定です。

U.S. Marines Corps declares the F-35B operational > The Official United States Marine Corps Public Website


F-35B: The Road to U.S. Marine Corps IOC

アメリカ海兵隊のF-35Bは空軍型のF-35Aより先に実戦配備されることになります。F-35Bのソフトウェアはまだブロック2B/ブロック3Iと呼ばれる未完成な状態で機関砲や短距離空対空ミサイルは使えず、中距離空対空ミサイルと対地誘導爆弾(GPS誘導爆弾、レーザー誘導爆弾)しか使用できません。それでも従来機のAV-8Bハリアー垂直離着陸戦闘機よりも優秀な戦闘能力を有すると評価され、実戦配備が急がれました。今後ソフトウェアはブロック3Fへ更新されて完全な戦闘能力を付与されることになります。その後もF-35用ソフトウェアは二年に一度のペースで新しいものが開発され更新され続ける予定です。

開発が難航したF-35戦闘機の中でも特にF-35Bは開発が危ぶまれていた時期がありましたが、この時期を脱して以降はむしろ三形態(空軍型、海兵隊型、海軍型)のなかでは最も早く開発が進み、一番先に実戦配備される運びとなりました。
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2015年07月18日
7月10日、中国広東省の湛江海軍基地で半潜没式重量物運搬船(Flo-Flo船)が中国海軍南海艦隊に就役しました。アメリカ海軍のMLP(機動揚陸プラットフォーム)「モントフォード・ポイント」型と同じような能力を有し、遠隔地に重量物を運ぶだけでなく、揚陸作戦で港湾を確保していない段階からでも民間輸送船の荷物を陸地に揚げることが可能になります。


China's PLAN MLP Mobile Landing Platform Donghaidao 868 中国海军

「東海島」は通常の揚陸艦には搭載できない大きさのウクライナ製ポモルニク型(ズーブル型)エアクッション揚陸艇を遠隔地に運ぶことが可能という点も中国海軍にとっては大きな利点であり、動画でその様子を見る事が出来ます。


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