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2010年02月10日
パキスタン・タリバーン運動(TTP)の指導者がアメリカの無人攻撃機によって殺害されました。昨年8月に死亡したベイトゥラ・メスード司令官に続き、後を受けたハキムッラー・メスード司令官もまた攻撃により死亡しました。


総司令官の死亡、タリバン側認める:産経新聞
パキスタンで複数の武装勢力を傘下に抱える「パキスタン・タリバン運動」(TTP)は9日、指導者のハキムラ・メスード総司令官が死亡したことを確認した。TTP側が死亡を認めたのは初めて。ハキムラ氏は同国北西部部族地域南ワジリスタン内で1月中旬にあった米無人機の空爆によって重症を負い、その傷が原因で同月末に死亡したとの見方が強まっていた。

死亡状況については不明だが、部族地域オラクザイ地区の武装勢力は産経新聞に、ハキムラ氏が「南部カラチでの治療に向かう途中で死亡した」と語った。パキスタン政府は「死亡は未確認」としている。

空爆による傷が原因で死亡したことが事実なら、TTPはハキムラ氏の前任総司令官、ベイトラ・メスード氏に続いて米国の攻撃で指導者を失ったことになる。


まるでチェチェン紛争時のロシアのやり方を彷彿とさせる敵指導者の連続殺害です。ロシアの手口と違うのは、無人攻撃機を使用する事です。

(2009/08/08)パキスタン・タリバーン運動のメスード司令官が米無人機の攻撃で死亡

半年前に米軍は連続して狙うだろうと書きましたが、こうも早く結果が出るとは・・・また、無人攻撃機の戦術も変化しつつあります。




8機の無人攻撃機が集中運用され18発のミサイルを発射し、16人の戦闘員を殺害しています。無人攻撃の大規模使用が今後、更に増える事になるでしょう。

また、アフガニスタンでの大規模掃討戦の開始が春の雪解けを待たずに開始される可能性が出てきました。以下は読者の方からの情報です。



春までは開始されないと思っていましたが、
掃討作戦は思ったより
早く開始されるかも知れません。
場所はアフガニスタン、Helmand県Marjah、
ここのPashtun部族は
原理主義的で強硬派として知られ、
タリバンに協力的で
タリバンの拠点と思われています。

作戦名:Operation Moshtarak

Fallujah In Afghanistan
http://www.strategypage.com/htmw/htiw/articles/20100207.aspx

Hundreds flee south Afghan town ahead ofoffensive
http://www.forbes.com/feeds/ap/2010/02/07/general-as-afghanistan_7336760.html?boxes=Homepagetopnews


嘗てのイラクのファルージャ市掃討戦を参考にして、アフガニスタンのマージャ市で大規模市街戦を行う「ムスタラク作戦」が計画されているとの事です。
00時28分 | 固定リンク | Comment (138) | 軍事 |

2010年02月09日
今日はニュースが多いので時事ネタ増刊連発になります。


無人偵察機のエンジン停止=飛行試験中、落下処理−防衛省:時事通信
 防衛省技術研究本部は9日、硫黄島周辺で飛行試験していた無人偵察機の試作機のエンジンが停止し、安全確保のため海に落下させたと発表した。水深が深いため、回収はしないという。
 技本によると、同日午前9時45分ごろ、F15戦闘機に搭載された無人機を発進させたが、約1分後にエンジンが停止しているのを地上で確認。同50分ごろ、F15からの指令で硫黄島の北北西約155キロの海上に落下させた。
 無人機は全長5.2メートル、全幅2.5メートル、全高1.6メートルで、事前のプログラムに従って飛行し、基地に戻る仕組み。
 2004年度から開発に着手しており、総経費は103億円。試作された4機のうち2号機が落下した。1機約8億円という。4機は昨年12月に飛行試験を開始。来年度、空自に引き渡し、運用方法などを検討する予定になっている。


TACOMのエンジン自体は既存のアメリカのテレダインまたはアリソン製ですし、どんなトラブルだったのだろう。試作機はまだ3機あるので試験は続けられますが、原因を探ろうにも回収不能ですか。うーむ。

(2009/01/27)航空自衛隊は研究用無人偵察機TACOMをそのまま配備する方針

以前にも書きましたが、TACOMは長時間滞空型ではなく短時間飛行の強行偵察用の無人偵察機です。



これは昨年12月の試験時の動画です。
23時47分 | 固定リンク | Comment (70) | 軍事 |
2010年02月08日
新戦車TK-Xについて何度か記事にしてきましたが、火力・装甲・機動力、そしてC4Iと戦略機動性について、もう一度纏めてみたいと思います。今回は特に「火力」について書いて置きます。

■火力・・・新開発120mm44口径滑腔砲

TK-Xの搭載する主砲については、従来の90式戦車が搭載していたラインメタル120mmL/44滑腔砲とは異なる、新設計の120mm44口径滑腔砲を採用しています。

新開発120mm44口径滑腔砲

この新型砲には受動式のエバキュエーター(evacuator;排煙器)が付いていません。ルクレール戦車のGIAT CN120-26/52滑腔砲と同じく、圧縮空気を砲尾から吹き込む強制排煙方式です。排煙器 - Wikipedia

TK-Xの主砲を強制排煙方式とした理由は推測になりますが、新型砲は砲腔内圧を従来砲より高めるので、排煙器は砲身の途中に小さな孔を空ける必要があり、損失となるのを嫌ったからではないかと思います。44口径のまま高威力化する為の選択なのでしょう。

新型砲には新型砲弾が用意されます。これはもちろん弾体が改良されていますが、装薬の中身を変更し、薬莢の大きさを変えずに威力を高めてあります。高威力化された装薬の爆発に合わせて新型砲の薬室(chamber;チャンバー)も強化されています。砲身は44口径のまま、長大化した弾体と強化された装薬により、高威力化を達成します。

DM33 DM43 DM53

90式戦車が使用しているJM33はラインメタルDM33のライセンス生産品です。ラインメタルは新型砲弾の開発を続け、最新型はDM63となっています。

DM63とM829A3

アメリカは最新型のM829A3で弾体を限界まで長くし、直径も太くした上でLD比を大きくし、弾体重量を大きなものとしています。装薬も強化され、44口径砲から発射するにも関わらず、砲口エネルギーは55口径砲のDM63よりも高く、長砲身砲よりも大きな貫通力を有します。TK-XにもM829A3に準じた形状の新型砲弾をタングステンで製作するものと思われます。

なお日本ではこれまで幾つかの種類の戦車砲を試作してきました。

・120mm軽量砲
・120mm長砲身砲
・135mm大口径砲

日本は長砲身砲や大口径砲を実際に作ってみた上で、新戦車TK-X搭載用の新型砲として120mm44口径砲を採用しました。これはイスラエルが最新鋭戦車メルカバMK.4(2004年配備開始)に、敢えて国産のIAI 120mm44口径滑腔砲を搭載した事と併せてみると、必ずしも独仏の戦車のような長砲身砲が最善の選択とは言えないのではないか、と考える事が出来ます。メルカバMk.4は登場前は140mm砲搭載が噂されていながら、実際に出てきたら120mm44口径砲で、従来のメルカバMk.3(1990年配備開始)とサイズは変わりがありませんでした。IAIの120mm44口径砲のモデル名は、MK.3用が「MG251」でMk.4用が「MG253」と、新設計になっています。90式戦車とメルカバMk.3はほぼ同時期の戦車です。その次に現れた日本とイスラエルの新戦車、TK-XとメルカバMk.4が同じ120mm44口径という主砲サイズを選択してきたのは、両国とも検討を重ねた上での事であり、単純に「主砲サイズが以前の戦車と変わり映えしない」と批判する事は、浅はかな行為ではないかと思います。TK-Xをそのように批判する場合、メルカバMk.4も同様に批判しなければなりませんが、そのような事をしている者は見た事がありません。

TK-Xを批判する人の多くが、「なぜ長砲身化しなかった」「なぜ大口径化しなかった」「90式戦車と同じじゃないか」という意見を述べています。代表的な例では小説家・吉岡平氏のTK-X批判で「主砲も従来のまま」というものです。しかし実際には同じでは有りません。全くの別物です。

なおロシアは新戦車T-95の主砲に135mm戦車砲ないし152mmガンランチャーを予定しています。ただし大口径化といっても、ガンランチャーの場合は大威力のAPFSDS(装弾筒付翼安定徹甲弾)は撃てません。APFSDSを撃つだけなら撃てますが、口径に相応したサイズのものは無理で、軽量の低威力なAPFSDSを撃てるのみです。ガンランチャーの主要兵器は砲発射ミサイルであり、HEAT(成形炸薬)弾頭です。一般的なAPFSDSを発射する高初速戦車砲とは同じ土俵で比べる事は出来ない事に注意して下さい。つまり152mmガンランチャーが120mm高初速戦車砲より強力とは一概に言う事は出来ません。その辺りの事を何も解説せずに152mm=強力だとする軍事ライターが居るようですが、MBT70やシェリダンの存在を忘れているかのようです。

MBT-70 ‐ Википедия
XM150

Бронебойно-трассирующий подкалиберный с отсоединяющимся поддоном, APFSDS-T

ХМ578Е1

Вес выстрела, кг 18,2
Вес снаряда, кг  9,1
Начальная скорость, м/с 1478

152mm砲弾であるにも拘らず、XM578E1の重量は120mm滑腔砲弾と同程度になっています。短口径のガンランチャーで初速を稼ぐ為でしょう。スペック上、XM578E1の初速は一般的な120mm戦車砲弾よりも若干劣る程度です。XM150ガンランチャーの主要兵器は砲発射ミサイル「MGM-51 シレイラ」であり、APFSDSであるXM578E1は接近時または二線級目標用です。

(なぜロシア語版Wikipediaなのかというと、英語版のMBT-70やドイツ語版のKampfpanzer 70よりも遥かに情報量が充実しているからです。ロシア新戦車T-95の主砲がガンランチャーになりそうなので、ロシア人はMBT70に大きく注目しているようです)
22時09分 | 固定リンク | Comment (625) | 軍事 |
2010年01月31日
PAK-FAのキャノピーを開けた状態の写真があったわけですが・・・

PAK-FA canopy

やっぱり一部スライド式の開閉機構です。分割ラインが入っている以上、こういった構成とは思いましたが、ステルス機としてこれはどうなんだろう・・・アメリカはF-22やF-35でキャノピーには分割ラインの入っていない一体型を採用し、ITOコーティングを施しています。日本のステルス実験機ATD-X「心神」はF-1支援戦闘機のキャノピーを流用しているので分割ラインが入っているのは仕方がないのですが、PAK-FAは流用品ではなく新規設計でこのようなデザインとなっています。分割ラインが入っている以外は、F-22やF-35と似たデザインなのですが、敢えてこうしているのはロシアなりに一体成型は必要無いという結論を得ているのかもしれません。

それと機体表面処理がまだで、RAM(電波吸収材料)が貼られておらず塗装も行われていない状態なので、リベットが目立っていますが量産機では綺麗に仕上げて来ると思います。キャノピーへのITOコーティングも行われるでしょう。

アメリカのF-35戦闘機も機体の表面処理を行ってない状態では似たようなものでしたからね。

F-35B

意外と表面処理について理解していない人が多いので、紹介しておきました。


祝! PAK FA初飛行:大石英司の代替空港
あと興味深いのは、Youtube の動画の最後、パイロットが降りてくるシーンで一瞬コントラストのせいでクローズアップされる機首のリベット部分ですよね。
ロシア機って、昔からリベットには無頓着なんです。昔、MIG−31が確かパリで初公開された時に、エンジニアな方と見に行って、「これでマッハ3出すのか!?」と絶句された記憶があります。

第5世代と言った時に、それに求められるいろんな要素があるだろうけれど、少なくともこれはどこから見てもステルスじゃない(^_^;)。米空軍がらぷタソのステルス性能を維持するために日々払っている(こんな所まで!?という)涙ぐましい努力を聞くと、せいぜい4.5世代が良い所じゃないの? という気がします。


MiG-31はマッハ3を出したりしませんし、リベットの件も、表面仕上げすらまだのPAK-FAを捕まえてどうこう言われても・・・技術に疎い方だと、こういう出鱈目な見解になっちゃうんですね。全体的に見てロシア機がアメリカ機よりも仕上げが粗いのは事実ですが、ステルス機を表面仕上げもせずにそのまま配備するわけがないことくらい、想像できそうなものです。



    /^l'"'"~/^i''''''ツ'ッ.,
  ヾ           ヾ    もふもふ。
  ミ ´ ∀ `       彡
  ッ       _     ミ
 (´彡,. ( ̄A ̄)(,,_,ノ" _,,.ヽ
 ̄ ̄ ̄ ̄↑>11 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

それはそうと、ロシアの飛行機の機体表面は
場所ごとに、気流状態に応じて粗度が管理されているもさね。
MiG-31はその典型と言われるもさが、大石さんは「いっしょに見学した技術者さん」にその件を教えてもらえなかったもさかな。

Posted by 大きなもっさりさん(TFR) at 2010年02月01日 00:47:27


もさもさ。

さて、F-35やPAK-FAのようなステルス戦闘機はキャノピーの側面が機体の傾斜角と同じようになっています。

PAK-FA nose

これがそれ以前の戦闘機のバブル・キャノピーだと、こうなります。

f-16c-3.jpg

これはF-16戦闘機のキャノピーです。この丸く膨らんでいる形状は、第二次大戦の後半からイギリスとアメリカの戦闘機に採用された形状で、パイロットが頭を動かせる範囲を広くし、良好な下方視界を得られる利点があります。ステルス機は、その利点を捨ててでもステルス性を高めるべく、機体の傾斜角度と合わせたキャノピー形状となっています。

なおF-35戦闘機の概念実証機「XF-35」にはキャノピーに分割ラインが入っています。

XF-35

それを考えると、PAK-FAのキャノピー構成もあまり不思議ではないのかもしれません。そのまま出してくるのか、F-35のように一体型キャノピーに丸ごと取り替えてくるのか、注目したいところです。

F35B BF01

F-35ではキャノピーを一体型で作り、内側から補強を入れています。電波はキャノピー表面のITOコーティングで反射させ、コクピット内部に電波が透過して乱反射するのを防ぎます。
23時53分 | 固定リンク | Comment (114) | 軍事 |
2010年01月29日
28日に予定されていたロシア空軍の新型ステルス戦闘機「PAK FA」の初飛行は、一日遅れて29日の今日に行われました。ロシア語で"ПАК ФА"、Перспективный Авиационный Комплекс Фронтовой Авиации(戦術空軍向け将来航空複合体)と呼ばれるこの第五世代戦闘機開発計画は、これまで機体の詳しい姿が明らかになっていませんでした。これが世界初公開となります。







史上初の実用ステルス戦闘機はアメリカのF-117ナイトホークでしたが、1981年にF-117が初飛行してから29年の歳月が過ぎ、遂にアメリカ以外の国が作り上げたステルス戦闘機が初飛行を行いました。航空史に残る重大な出来事です。今後、戦闘機はステルス能力を有して当たり前という時代がやって来ます。「PAK FA」計画にはインドも資金提供を行っており、ロシア軍の次にインド空軍も調達する予定となっています。

ロシア軍に詳しい軍事ライターの小泉悠氏は最近の記事で、以下のように述べています。

PAK-FAが28日に初飛行か:★くろいあめ、あかいほし

PAK-FA/FGFAに関する印露協定が間近? :★くろいあめ、あかいほし

「PAK FA」は機体の5箇所にアクティブフェイズドアレイ・レーダーを搭載する方式であるとの事。日本の新型対潜哨戒機XP-1も4箇所にレーダーを配置する方式ですが、戦闘機サイズでは「PAK FA」が世界初となります。今回飛んだ試作機にはまだ付いていません。またインド紙の情報によると「PAK FA」のRCS(レーダー反射断面積)は0.5平方メートルだそうですが、これが事実であるならばアメリカのステルス戦闘機F-22やF-35には遠く及ばない数値で、ステルス機としてのインパクトに少し欠けます。ただし、インド紙「ビジネス・スタンダード」の情報が正しいかどうかは確定情報とは言えるものではなく、全くの出鱈目かインド軍向けにデチューンした仕様の数値である可能性があります。

ところで2個目の動画、初飛行を終えて無事帰ってきたパイロットを胴上げしていますが、日本発祥の文化である「胴上げ」をロシアでやっている様子が面白いですね。ロシアにまで普及しているとは思いませんでした。※南ロシアでは18世紀ごろからよく行われている伝統とのご指摘がありました。

pak_fa

上から見るとこんな感じ。機体が幅広いです。

pakfa.jpg

それと、ちょっと見難いですが・・・

pak_fa_intake

エアインテークはF-22と同じくダイバータが付いています。F-35のようなダイバータレスではない模様。

pak_fa_R

pak_fa_R2.jpg

後ろからの図。エンジンは取り敢えずの既存のもので、量産機に載せるものとは異なります。※搭載エンジンは量産機に載せるAL-41Fであった模様。

pak_fa_side

横からの図。そういえばキャノピーに分割ラインが入っている・・・ステルス機としてはどうなんだろう、一体型キャノピーでは無くてよいのでしょうか。それと透明なようで、対電波コーティング処理(金箔あるいはITO(Indium Tin Oxide)を蒸着させる)が行われていないように見えます。量産型ではキャノピー構成を丸ごと変更してくるのかもしれません。

pak_fa_nose

機首周りはF-35にも似た感じですが、他の場所はYF-23だったり、F-22だったり、Su-27だったり、МФИ-1.44だったり・・・見る箇所によって印象は様々です。キャノピー直前の小さくて丸いのがIRSTなのでしょうね。ステルス性の観点からすると形状にもう一工夫欲しいかも。

後はウェポンベイがどうなっているかなど、興味の種は尽きませんね。

pakfa_bay

PAK-FAを下面から見た構図です。



一通り見ましたが、この動画が一番よく纏まっています。でもキャノピーを開放した状態が写った写真や動画は見当たらないですね。探してはいるんですが・・・
19時47分 | 固定リンク | Comment (506) | 軍事 |
2010年01月28日
国土交通省運輸安全委員会が関門海峡くらま衝突事故の事故調査の進捗状況を公開しました。1月27日時点での報告です

[PDF]コンテナ船CARINA STAR 護衛艦くらま衝突事故調査の進捗状況:国土交通省運輸安全委員会

レーダー画像が掲載されていたので纏めて見ました。

radar1a.PNG

韓国コンテナ船「カリナスター」がパナマ船籍の中国貨物船「クィーン・オーキッド」に追突しかかり、急に左へ転舵したところ護衛艦「くらま」と直角に近い形で衝突しています。

なお現場の海峡の浅瀬部分などはこのような状況です。

kurama0126.PNG

護衛艦「くらま」は浅瀬を考えれば航路の右端を航行していた事が分かります。東海大学の山田吉彦教授は事故の当初NHKのニュース番組で「護衛艦はもっと右に寄れた筈」とコメントしていましたが、恐らくレーダー画像だけ見て海図の水深をチェックせずに口走ったのだろうと思います。山田吉彦教授は海賊事件の専門家ですが海難事故の専門家ではないので、初歩的なミスを犯してしまったのでしょう。
20時31分 | 固定リンク | Comment (87) | 軍事 |
2010年01月26日
今帰って来ました。C-X飛んだ? よし、無事飛んでます!



C-X改めXC-2、無事に初飛行おめでとう!
順調だったP-1と比べて開発が難航していたので、ようやくホッとしました。


祝初飛行 - CHFの日記
  nハ,_,ハn  モサーイモサーイ
  ,:' ´∀`';, XC-2初飛行おめでとうモサいます
  ミ     ミ  という訳でYSFのC-2も公開モサリ
  ι''"゙''u  ついでに昔書いたC-2関係のテキストも公開モサリ


チビモサことCHF氏も大喜びです。
なおYSFのC-2とは「CHFの部屋-と言う名の物置」の所にあるモデリングデータ「chf_pack解説-川崎C-2」の事です。
20時19分 | 固定リンク | Comment (369) | 軍事 |
2010年01月25日
1月26日初飛行という話は結構前から出ていましたが、防衛省から正式発表がありました。


次期輸送機試作1号機の初飛行について:防衛省 平成22年1月25日
 現在開発中の次期輸送機については、飛行試験への移行に向けて行う必要な確認作業を全て終了しました。 
 試作1号機の初飛行について、航空自衛隊岐阜基地において1月26日以降に行う旨、製造会社である川崎重工業(株)より報告を受けておりますが、初飛行は、当日の天候等の諸条件により直前に中止、延期される可能性が十分ありますので予めご了承下さい。
 なお、初飛行に際して、当該飛行試験機に対して、「XC−2」の型式を付与したところであります。

 参考(PDF:101KB)


岐阜県各務原市の明日は晴れ。明後日から天気が崩れ始め28日には雨という予報なので、明日が良い日取りです。無事に初飛行する事を心より願います。

一方、エアバスA400Mは・・・

Engine had problem on A400M maiden flight: report | Reuters

処女飛行でエンジンが軽いトラブルを起こしていた事が判明しました。A400MのTP400-D6ターボプロップエンジンは新規開発の為、こういうことも起こり得るわけです。CXのエンジンはGE社のCF6-80C2ターボファンエンジンで、これは様々な機体に採用された実績のあるエンジンなので、そういう問題は生じないでしょう。
20時30分 | 固定リンク | Comment (236) | 軍事 |
2010年01月22日
ここずっとV-22オスプレイの航続距離について調べ物をしているのですが、はっきりとした認識を得る事が出来ないでいます。既に普天間基地移設問題でオスプレイの配備を前提とした移転案について記事を一通り書いて、何時でも投入できるように準備しているのですが、前提となる海兵隊仕様のMV-22Bの強襲作戦における作戦行動半径が、様々な値があり、どれを適用すべきか分かっていません。24名の武装兵を乗せた場合の作戦行動半径について、200nm〜430nmと幅広い数値が飛び交っています。

海兵隊仕様のMV-22Bと空軍仕様のCV-22Bで機内燃料タンクの大きさが違う事や、輸送ペイロードの多寡、任務内容、離着陸形式(垂直離着陸と滑走離着陸)、更には空中給油の有無などで数値がバラバラになる上に、同条件であるにも拘らず他資料で数値が食い違う場合も多く、特定が困難です。

今月号の軍事研究2010年2月号で航空評論家・青木謙知氏のV-22オスプレイ解説記事では、56ページにMV-22Bについて「24名を乗せて325海里を行動半径にする」とありました。これは兵員輸送任務の数値で、航空強襲・襲撃任務とは違う条件であるようです。しかし63ページの表では行動半径ではなく全体の航続距離の値として、揚陸強襲時の航続距離が515海里、輸送任務で条件に応じて350〜950海里、荷物や人員を積まないフェリー輸送で2100海里とありました。

しかしMV-22Bの2100海里という航続距離の数値は、空中給油1回を行った上での数値(Self-deploy, with one aerial refueling)であるという資料がアメリカ側で多数見受けられます。

またV-22オスプレイはボーイング社とベル社との共同開発ですが、ボーイング社のスペック数値は混乱しています。

http://www.boeing.com/rotorcraft/military/v22/v22spec.htm
http://www.boeing.com/rotorcraft/military/v22/docs/V-22_overview.pdf

MV-22Bについて行動半径が390nmとあったり430nmとあったり、しかも以前は370nmと書いてあったようです。

http://www.bellhelicopter.com/en/aircraft/military/pdf/V-22_64214_pGuide.pdf

ベル社の表を見る限りは、強襲任務で行動半径400nmを超えたりは出来ないようにも見えます。

http://www.navair.navy.mil/v22/?fuseaction=aircraft.main

海軍公式サイトでは行動半径200〜300nmです。海兵隊公式サイトでは見当たらず・・・

http://www.airforce-technology.com/projects/osprey/

http://www.globalsecurity.org/military/systems/aircraft/v-22-specs.htm

http://www.fas.org/man/dod-101/sys/ac/docs/99-033.pdf

http://en.wikipedia.org/wiki/V-22_Osprey

http://www.flightglobal.com/landingpage/v-22.html

http://www.g2mil.com/Duma.htm

メーカーや軍以外の、シンクタンクや航空専門誌、個人サイト、Wikipediaなどでは数値が食い違うばかりです。V-22オスプレイは開発途中で航続距離が変化していったのか、仕様要求と実際の性能の数値が食い違うだけなのか、よく分かりませんが、果たしてどうしたものでしょうか。

MV-22Bの強襲作戦に置ける戦闘行動半径の数値をちゃんと確定させないと、普天間基地移設問題V-22オスプレイ編はお蔵入りのままで終わりそうです。海外移転や県外移転の可能性についても論じるものだったのですが・・・

02時08分 | 固定リンク | Comment (117) | 軍事 |
2010年01月18日
夜戦に必須の暗視装置ナイトビジョン(Night vision)。私も詳しいわけではないのですが、大きく分けて三種類があります。

■第1世代・・・アクティブ赤外線方式。不可視光である赤外線を照射して赤外線カメラで捉えるが、相手が同じ装備を保有して赤外線ライトを付けずに待っているとこちら側はバレバレなので、廃れていく。

■第2世代・・・可視光増幅装置。スターライトスコープとも呼ばれる。光電子増倍管を使用するもので、原理上、高解像度の像は映し出せない。強烈な光を浴びるとリミッターが作動して使用不能になる。

■第3世代・・・パッシブ赤外線方式。物体から放出される赤外線を捉えることの出来る高感度赤外線カメラ。絶対零度以上の物体は全て自ら赤外線を放射している為、これにより外部から何らかの光を照射する必要が無い。民間での流通が規制されている。

※)上記と異なるアメリカ政府による暗視装置の世代分類があります。こちらの方がより正式な分類となります。Night vision device#Generations

また最近ではデジタル式のCCD(Charge Coupled Device)を用いた「蓄積型高感度カメラ」というものも出てきています。「冷却CCDカメラ」とも呼ばれます。

[PDF] 高感度カメラの原理と技術:浜松ホトニクス株式会社

これはCCDを冷却し、熱雑音を減らして高感度映像を得るものです。スターライトスコープはアナログ式の光電子増倍管を使って可視光を増幅するものでしたが、これは解像力の方を上げて像を得ます。解像度は(第2世代と比べれば)こちらの方が上になります。

そしてアクティブ赤外線方式とは異なる照射タイプの暗視装置として、レーザー光線を使用するものが出てきています。レーザーレーダー(Laser radar)とも呼ばれますが、電波を利用したレーダーとの混同を避けるために「ライダー(LIDAR;Laser Imaging Detection and Ranging)」という用語が使われています。

レーザ光を利用した悪環境下での長距離・高分解能監視システム技術の開発:三菱重工技報

これは極短パルスのレーザー光を照射して反射信号光が到達する瞬間のみ画像として撮像する事で、ノイズを大幅に減らし従来の高感度カメラや赤外線暗視装置を上回る高解像度を実現しています。夜間において車のナンバープレートや船の船名まで綺麗に読み取ることが出来るので、警察や海上保安庁が採用しています。

国内初の「テロ対策特殊装備展」開催:ASCII.jp

2007年のイベントで三菱重工は「SLC-750」というレーザーレーダー監視システムを出品していました。

なおこちらはカナダL-3ウェスカム社製MX-20可視光/赤外線画像センサーシステムです。



MX-20 | L-3 Communications WESCAM

これは可視光カメラ、赤外線カメラ、レーザーレンジファインダー、レーザーイルミネーターを一つに纏めたシステムです。レーザー照射が単なる照射なのか、パルス発振のライダーなのかはよく分かりませんでした。


現在、暗視装置の専門書は和書では見当たらず、商業誌では存在しないようで、簡単な解説が書かれている同人誌しかありません。

眼鏡っ娘MAGAZINE 表表紙眼鏡っ娘MAGAZINE 裏表紙
■眼鏡っ娘MAGAZINE

発行:Gewalt
商品番号:212001027448
ジャンル/属性:ミリタリー
備考:B6/36ページ
作家:EXCEL
指定:一般
発行日:2009年12月30日 [コミックマーケット77]
価格:735円 (本体:700円+税:35円)
委託:メロンブックス

これが日本初の暗視装置解説書です。過去にもあったかもしれませんが、全国通販できる存在の本としては初となるようです。需要は一部にはあるのだから、商業誌で出せばいいと思うのに・・・なにしろ競合者が居ないのだから、最初にやった者が独壇場になるのですから。

ちなみに私はサバイバルゲームは殆どやらないので、夜釣りに使えないものかと模索中なのですが・・・



■DVD「鯰 キャットフィッシュハンター」ナイトゲームの真実

視野が狭いので危ないから止めろと皆に諌められました。うーむ・・・普段の視界の他に、魚を取り込む時に可視光ライトを当てなくて済むのであれば、魚が暴れることも無く楽に取り込めるかとも思ったのですが。

実は船上で使う水中カメラに、赤外線を使うものもあります。

水中カメラ「FISH EYE」:GPS魚探専門店

これは夜釣り用ではなくて、昼間用です。深々度や濁った水中で視界を確保したいが、可視光ライトでは魚が怯えてしまう為、赤外線ライトを使うという発想です。
01時03分 | 固定リンク | Comment (181) | 軍事 |
2010年01月12日
今の所この件を報道しているのは西日本新聞のみのようです。


関門衝突事故 「追突避けようと旋回」 韓国船長 「管制に従う」翻す:西日本新聞
関門海峡で昨年10月、海上自衛隊護衛艦「くらま」と韓国籍コンテナ船「カリナ・スター」が衝突した事故で、事故につながったとみられるコンテナ船の衝突直前の左急旋回について、韓国人船長が、門司海上保安部の調べに対し、減速しなかったため前方の貨物船に急接近し「追突を避けようとして行った」という趣旨の供述をしていることが11日、海保関係者への取材で分かった。事故直後は、急旋回について「関門海峡海上交通センターの管制官の追い越し誘導に従った」と主張していた。

門司海保は船長の供述が翻ったことから、事故の主因はコンテナ船にあったと断定。くらま側にも事故回避の努力を怠った疑いがあるとみて、業務上過失往来危険容疑でコンテナ船長とくらまの操縦責任者を書類送検する方針。管制官については誘導が事故に与えた影響は軽微とみているが、送検するかどうか詰めの捜査を急いでいる。

海保関係者によると、航跡の解析などから、コンテナ船は事故直前まで減速せず、貨物船の後方20−30メートルの距離まで近づき追突寸前になった。このため左に急旋回し、前方から航行してきたくらまと衝突したという。事故の数分前、管制官が「貨物船の左舷側を追い越してください」と無線で誘導していたが、コンテナ船は実際は、右側から追い越す進路を取ったことも分かっている。


これにより事故の主要因が韓国コンテナ船「カリナスター」にある事が確定しました。カリナスターは、門司港管制の誘導を無視して最後まで右側から追い越そうとしていたので、誘導の責任は問われようがありません。自衛隊側についても、突然曲がって突っ込んで来たカリナスターに対処しろと言われても、それは無理な要求です。護衛艦くらま側の航行速度について速過ぎたのではないかという報道もありましたが、続報があれから一切無く、今回の記事でも言及がありません。お互い動いている以上は0対100の過失割合は望めない(それどころか停船状態で突っ込まれても0対100はまず無い)ので、くらま側にも責任割合は生じるのでしょうが、一体どれだけの割合になるのでしょう。


護衛艦くらま、三菱長船で修理へ 10月に韓国船と衝突:長崎新聞
関門海峡で10月、韓国籍コンテナ船と衝突した海上自衛隊佐世保基地所属の護衛艦くらま(5200トン)が、年明けにも長崎市の三菱重工長崎造船所で修理に入ることが24日、分かった。

海自佐世保地方総監部によると、防衛省が随意契約で修理を発注。費用は約9億4千万円の見込み


昨年末の報道で、修理費用は9億4千万円ということが判明しています。修理費用よりも修理中に使えないことが最大の損失ですが、出来る限り韓国船主側の保険金から払って貰わない事には・・・完全な貰い事故ですからね。くらま側が幾ら気を付けていても、避けようが無い事故でした。

今回の関門海峡くらま衝突炎上事故で、多くのマスコミは自衛隊側を悪く言おうとしたり、海上保安庁の門司港管制側を悪く言おうとしましたが、結果がこうなると報道自体が殆ど無くなってしまいました。それは、あまりにもおかしい態度だと感じます。何故、主要マスコミは韓国船側が悪いとハッキリと報道しないのでしょうか。別にカリナスター船長の名前を出せとか、韓国船を糾弾しろとか、そういう事ではありません。どうして自衛隊や海上保安庁に無実の罪を擦り付けようとしたのですか? 今回の事故は、ほんの少しでも海の交通のルールを知っていればどちらが悪いかなんて誰にでも判別の付く話です。自動車で言えば対向車線から突然飛び出してきたに等しい状況です。それが分からない筈がありません。

今後、西日本新聞以外に報道が続かないような事は流石に無いでしょうが、おざなりな報道になってしまうでしょうね・・・
20時44分 | 固定リンク | Comment (209) | 軍事 |
2010年01月09日
数か月前から噂のあったCX年明け初飛行の話は本当だったようです。

空自次期輸送機CX、今月にも初飛行:東京新聞

月末に予想される初飛行まで、とりあえず地上をタキシングしている動画を置いておきます。散々既出ですけど。



これだけじゃ何なので、他のサイトでのCX輸送機についてどんなネタが上がっているか紹介しておきます。


CX、1月にも初飛行か? :清谷信一公式ブログ
今後CXが順調に生産に移るにしてもC−130あるいはC−27Jクラスの輸送機は依然必要だと思います。それはCXでは運用可能な飛行場が限れられているからです。


うん? 一体根拠は何なんだろう? ちなみにチビモサ氏は「もしYCXパンフの離着陸滑走路長を根拠として出してきたら盛大に吊るし上げてやるモサリ」とワクテカしながら待っているようですが、依然として清谷氏は具体的な根拠を提示して居られません。直接コメント欄で根拠を聞いている人も居るのですが・・・


CXでなければ駄目なのか?: 大石英司の代替空港
ただ、仕様の疑問は今でも残るわけです。空自はもともとスピード狂w。世界にあまり類を見ないC1なんていう高速輸送機を未だに運用している。その後継が自前で欲しかったのは解る。たとえそれが諸々の部分でKC−767より劣ったとしても。そりゃ私だって一飛行機ファンとして、国産の飛行機が飛べば嬉しいですよ。とても海外じゃ売れない代物だとしても。なぜか偶然にも、その要求性能に見合う軍用輸送機は海外には存在しなかったわけだしぃw。

しかし、納税者に対して、「C17じゃ降りられない基地があるし、日本列島は南北に長いから、ペラじゃ駄目なんです。だから独自開発しか無いんです」という理屈が通用するのか? C17で降りられない滑走路なら130JでもA400Mでも良いでしょう。遠くまで飛ばなきゃならない、というんなら、それこそ鹿児島以南の離島て何処もジェット化されているからC17すら要らん、今あるKC−767で十分ということになるじゃないですか。


ちょっと前にも紹介したこの記事。何度見ても理解が出来ません。パレット/コンテナ輸送しか出来ないKC-767を持ち出して「これで十分」と言い張るセンスはちょっと・・・大石氏は4年以上前には「驚異のCX輸送機」とCXの特徴的な仕様「高速巡航性能」を褒めていたのに、今ではその仕様に疑問を感じるそうです。恐らく、CXに何故そのような高速巡航性が求められたのか、ちゃんと理解していなかったのでしょう。

ちなみにC-17輸送機はランディングギアの接地圧が異様に高いので滑走路に大きな負担を与えるので、日本国内の基地では「降りられない滑走路」ばかりです。でもCXで運用可能な飛行場が限れられるという話は、特に聞いたことが無いですね。


PCがお亡くなりになった場合に備えて - CHFの日記
        ハ,_,ハ
       ,:' ´∀`; OS再インストール+HDD総換装の前に幾つか書き残しておくモサリ
       ミ,;    ッ  もしC-2が初飛行しても沈黙していたらPCが力尽きたことになるモサリね
Y⌒Y⌒Y  ゙"'''"


その場合はこちらでコメント宜しくですー。



せっかく初飛行したのにドイツメディアは御通夜モード、メーカーとユーザーは資金の問題で睨み合い、祝賀ムードも何処へやらなA400M。

重量問題がさっぱり解決する兆しを見せないことがメディアのネガティブな反応を招いてるようだが、さて具体的にA400Mの重量はどんな具合なのか。

AirbusMilitary公式サイトには最大離陸重量、最大着陸重量、最大燃料重量、最大積載重量の4つしか記載されていない。

ところが同サイトで公開されているゲームの中になんと運用自重が書かれているのだ。


このゲーム製作者は意図的なのかウッカリなのか・・・A400Mの秘密がごにょごにょされていました。詳しくはCHF氏の所でご覧下さい。
23時58分 | 固定リンク | Comment (450) | 軍事 |
2009年12月25日
TK-Xと22DDHは無事に予算を確保出来ました。社民党は特に強くは反対して来なかったみたいです。防衛予算全体については、ここ数年の削減幅とほぼ同じ割合で減少しています。結局のところ、民主党政権は防衛大綱策定を来年に先延ばしした為、平成22年度予算は特に自民党政権時代と変わりが無いものに決定せざるを得なかったのでしょう。

平成22年度予算政府案:財務省

この中で最も注目されるのは次期ヘリ搭載型護衛艦「22DDH」です。イタリアの新鋭多目的空母「カヴール」に匹敵する船体規模となります。それと「防空用高出力レーザー」の研究開発費用も通りました。所謂「レーザー砲」の研究です。なお新戦車「TK-X」については調達費用が高く見えるのは、初度費が入っているからです。


防衛省・自衛隊:第67回防衛調達審議会議事要旨 (平成20年2月20日)
委 今回の予算では、装備品の製造に係る初度費(※)を一括計上した旨の説明であった。従って、既に初度費を割掛けて負担してある装備品は、未償却分を一括計上し、初度費による負担を21年度以降には残さないようになるのか。

(※)初度費とは、特定の装備品のみで負担する(汎用品に効果を及ぼさない)設計費、専用治工具費、技術提携費等、主として製造の初期段階で投資される費用である。
 これまで装備品の初度費は、複数年度にわたり継続的に調達を予定している全調達数量で割った額を(特別)割掛費として、各年度の装備品価格(単価)に計上していた。なお、調達予定数量が途中で変更された場合は、未償却分の初度費を、見直し後の調達残数で均等に負担させている。

防 そのようになる。



数年前から初度費は最初の年に一括計上されるようになっているので、複数年に渡って調達が続く兵器の場合、最初の年の調達費用を単純にその調達数で割ると、異様に高い数値が出てしまう事になります。これを装備の平均単価と思い込んでしまうと、大きな間違いを犯す事になってしまいますが、さてはて一体誰が引っ掛かるやら・・・流石にプロの軍事ライターで引っ掛かる人は居ないとは思います。いや、居ないといいな・・・やっぱり居るかも? ちょっと心配。


さて、通過した予算の話だけではちょっと寂しいので、11月に行われた防衛技術シンポジウム2009の様子もご覧下さい。色々と興味深い研究が発表されています。
23時57分 | 固定リンク | Comment (246) | 軍事 |
2009年12月24日
自衛隊の新型戦車TK-Xと新型ヘリコプター護衛艦22DDHの予算が通りそうです。後は社民党が余計な抵抗をしなければ、このまま決定となります。


新型戦車、護衛艦導入へ 10年度防衛関連予算:共同通信
政府は23日、2010年度防衛関連予算編成の自衛隊主要装備品調達をめぐり、新型戦車の整備費や「空母」に近いヘリコプター搭載護衛艦の建造費を計上する方針を固めた。独自の抑止・対処能力が低下しかねないとの判断が働いたとみられる。ただ主要国で新型戦車を調達している国はなく、政府の判断には異論も出そうだ。


実に嬉しいニュースですが、共同通信は非常に悪質な嘘を吐いています。

中国が新型戦車の調達と開発を続けている事を知らないんですか? 
ロシアの新型戦車がもうすぐ登場する事を知らないんですか?
韓国が新型戦車の調達を始める事を知らないんですか?

日本の周辺国(中国、ロシア、韓国)では、新型戦車の調達が既に行われているか直ぐにでも始まる情勢なのに、共同通信の言うような寝言を主張したら即座に否定されて終わりでしょう。韓国は主要国扱いじゃないとしても、ロシアと中国を無視とか全然お話になりません。なんで目の前にいる仮想敵国の様子を把握していないんですか?

『ああ、共同通信さんはロシアのT-95や中国の0910工程や韓国のXK-2を知らないんですか。実に不勉強ですね。中国の99G式が毎年、調達されている事も知らない?』

僅か3秒で否定できます。政府の判断には異論も出そうだとか、馬鹿馬鹿しいです。日本の周辺国では新型戦車調達が行われるのに、日本だけが調達すべきではないという根拠を、出せるものなら出して見せて下さい。

Т-95 - Википедия

次期主力戦車(「0910工程」/99A2式戦車) - 日本周辺国の軍事兵器

K2戦車「黒豹」(XK2) - 日本周辺国の軍事兵器

まさか、共同通信は「露、中、韓では新型戦車の調達開始寸前だがまだ始まってない、中国の99G式戦車は新型とは言えない」とでも言い張る気なのでしょうか? しかし中国の99G式戦車は当然、新型戦車扱いですし、その後継の0910工程も直ぐに控えています。韓国のXK-2戦車の本格量産開始は2012年からを予定していますが、既に先行量産型は姿を現そうとしています。ロシアのT-95戦車は今年中に登場すると報道されていたのですが、来年以降に遅れるようです。あと1週間の内に突然お披露目という可能性もあるにはあります。また中国の0910工程は日本やフランスの戦車が採用している方式の自動装填機構が搭載されるという予測もあり、もしこれが事実なら99式系の改良型扱いではなく新たな形式番号が採用され、来年中に出てくれば「10式坦克(10式戦車)」と命名されて、日本の新型戦車TK-Xの予定名称「10式戦車」とモロに被る可能性すらあります。

22DDHについては過去ログを参照してください。名目上はヘリコプター護衛艦ですが、実質上は多目的空母そのものです。

(2009/08/31)22DDHは多目的空母として概算要求
(2009/08/31)22DDHと16DDHの比較図
(2009/09/06)22DDHのSeaRAMは2基搭載
01時48分 | 固定リンク | Comment (340) | 軍事 |
2009年12月18日
ベトナムのグエン・タン・ズン首相は15日、ロシアのプーチン首相との会談の後、「潜水艦と戦闘機を購入する契約に調印した」と語りました。

Russia clinches contract to sell submarines, warplanes to Vietnam | RIA Novosti

契約の詳細は公表されていませんが、インタファクス通信は匿名ソースを元に、潜水艦についてはキロ級6隻を20億ドルの契約であると報道しています。

Россия поставит во Вьетнам шесть подлодок "Варшавянка" стоимостью около $2 млрд | Интерфакс

これは今年春頃の初期報道とほぼ同じです。

(2009/05/08)東南アジアに拡散する潜水艦

これで遂に中国の軍拡を発端とするアジア海軍潜水艦建艦競争が、本格的に始まった事を意味します。
01時54分 | 固定リンク | Comment (137) | 軍事 |
2009年12月14日
11日にようやく初飛行を果たしたエアバスの軍用輸送機A400Mですが、実は当の欧州諸国では手放しに歓迎された話ではありません、特にドイツでは冷淡な受け取られ方をしています。何故かというと、深刻な重量超過の問題(「太り過ぎたエアバスA400Mは飛び立てるのか」)が何も解決しておらず、11日の初飛行は計画存続の為に無理矢理飛ばしたに過ぎなかった為です。A400Mは太り過ぎたまま、ダイエットを果たせていません。その失望振りはドイツのマスコミの反応を見れば分かります。

以下はA400M初飛行直後の、ドイツ公共放送連盟(ARD)のニュース番組「tagesschau」(ターゲスシャウ)のインターネット版記事より。


Jungfernflug des A400M: Kostenfragen ungelöst | tagesschau
Ein weiterer fader Beigeschmack: Die Besteller werden ein Flugzeug erhalten, das weit weniger leistet, als die Industrie versprochen hat. Ein Blick auf die maximale Nutzlast von 37 Tonnen verdeutlicht ein Problem: Nach Angaben des Berliner Informationszentrums für Transatlantische Sicherheit wird die A400M zum Beispiel keinen Schützenpanzer des Typs Puma transportieren können. Beim Transport von Militärgerät von Deutschland nach Afghanistan geht es wohl auch in Zukunft nicht ohne Mithilfe der Ukrainer.


「A400Mが重量超過で最大ペイロード37トンが達成できそうにない問題は、プーマ装軌装甲車(ネイキッド状態31トン)を輸送する事が出来ず、アフガンへの重車両の輸送はこれまで通り、ウクライナ(のアントノフ輸送機)に頼る羽目になるでしょう」、とあります。

また高級日刊紙「ターゲスシュピーゲル」は初飛行より一週間ほど前の12月3日に、以下のような手厳しい記事を書いています。


Militärtransporter A400M: Später, teurer, leistungsschwächer - Tagesspiegel
Klar ist dagegen, dass die Nutzerstaaten ein Flugzeug bekommen werden, das weit weniger leistet, als die Industrie vor der Bestellung versprach. Die maximale Nutzlast erlaubt es nicht mehr, den Schützenpanzer Puma im A400M zu transportieren. Auch das Vorhaben, einen einsatzfähigen Radpanzer vom Typ GTK Boxer nonstop von Deutschland nach Afghanistan transportieren zu können, wird sich wohl zerschlagen.


「このままではA400Mはプーマ装軌装甲車(ネイキッド状態31トン)を最大ペイロードでも積む事が出来ず、GTKボクサー装輪装甲車(ネイキッド状態25トン)をドイツからアフガンまで無給油で運ぶ事も、たぶん無理だろう」

Später(遅い), teurer(高価な), leistungsschwächer(未完成)

もう何もかも諦めかけたような、絶望的な状況が垣間見えます。ドイツ連邦軍にとって新型装甲車を輸送できなければ何の意味も見い出せません。しかし最も多くA400Mを購入する予定のドイツが計画を脱退してしまえば、共同開発計画そのものが全てお終いになってしまう為、他国の手前、抜けるに抜けられません。そして計画を存続させるにしても、立て直しの為には国民の税金を投入する羽目になると懸念しています。

そしてこれがタブロイド紙になると露骨な表現が目立ち始めます。

Endlich! Der Pannenvogel fliegt | Hamburger Morgenpost

地方タブロイド大衆紙「ハンブルガー・モルゲンポスト」はこの通り、タイトルだけ見ればいいでしょう。直訳すると「最後に!欠陥飛行機が飛ぶ」です。

Pannenvogel = パネンフォーゲル(故障した鳥)

THEMA: ERSTFLUG DES MILITÄR-AIRBUS A 400 M: Pannen-Flieger | Vlothoer Anzeiger

Pannen-Flieger = パネンフリーガー(故障した飛行機)

ドイツではA400Mを欠陥飛行機扱いする表現が目立ちます。せっかく初飛行したにも関わらず・・・



A400Mの置かれた困難な状況は、まだ何も解決されていません。これからどうにかして重量軽減に取り組み、プーマ装甲車を積めるようにならなければなりません。しかし何とか積めたとしても、ドイツからアフガンまで無給油で重装甲車を運ぶ事は、出来ないかもしれません。大変に厳しい状況です。

そんな中、日本ではこの状況が殆ど知られて居らず・・・



おめでとう! A400M: 大石英司の代替空港
ひとまず黒豚より早く初フライトしたですよ(^_^;)。で、どこかの国で引っかかっている機体がありますが、飛ばないんなら、このまま浜松のミュージアムにでも飾っておく、というのでどうでしょうか? その代わりにC17とA400Mを買うということで。


A400Mの初飛行は手放しで喜べる状況にありませんし、日本が開発中のCX輸送機はA400Mより後から始まった計画なのですから、初飛行が後になっても順番通りに過ぎません。またアメリカ製のC-17輸送機は大き過ぎて自衛隊が使うにはオーバースペックですし、欧州製A400M輸送機は巡航速度が遅い為に自衛隊の仕様要求に合致していません。

CXとA400Mは双方とも開発遅延で苦しんでいる機体ですが、より深刻なのは恐らくA400Mです。もし同じように重量増加に苦しんでいたとしても、CXは売りの高速巡航性能にあまり影響は出ませんし、自衛隊にはドイツ軍のようなどうしても運びたい重装甲車両が特に無いからです。一方でA400Mの重量超過はA400Mの利点を大きく損なっています。


CXでなければ駄目なのか?: 大石英司の代替空港
 ただ、仕様の疑問は今でも残るわけです。空自はもともとスピード狂w。世界にあまり類を見ないC1なんていう高速輸送機を未だに運用している。その後継が自前で欲しかったのは解る。たとえそれが諸々の部分でKC−767より劣ったとしても。そりゃ私だって一飛行機ファンとして、国産の飛行機が飛べば嬉しいですよ。とても海外じゃ売れない代物だとしても。なぜか偶然にも、その要求性能に見合う軍用輸送機は海外には存在しなかったわけだしぃw。
 しかし、納税者に対して、「C17じゃ降りられない基地があるし、日本列島は南北に長いから、ペラじゃ駄目なんです。だから独自開発しか無いんです」という理屈が通用するのか? C17で降りられない滑走路なら130JでもA400Mでも良いでしょう。遠くまで飛ばなきゃならない、というんなら、それこそ鹿児島以南の離島て何処もジェット化されているからC17すら要らん、今あるKC−767で十分ということになるじゃないですか。


パレット/コンテナ輸送のみで規格外貨物の輸送が出来ないKC-767(本来の任務は空中給油機)を、規格外貨物(装甲車や重機など)の輸送が出来る専用の軍用輸送機と同列に比べている時点で話になりません。また空中給油機は基本的に空中給油任務に使用され、物資輸送任務は必要に応じて行います。何故これを同列に並べて論じようとしているのか、やはり理解できません。まさかと思いますが国内有事を想定せずに定期便輸送の話だけで物を語っているのでしょうか? 軍用輸送機の本来の役割を一体なんだと・・・そもそも、大石英司氏は以前CXの利点については「民間航路を使える高速巡航性のコンセプト」だと自分で言及していた筈なのに、この記事ではそれについて何も触れていないのは何故なのでしょう、もう何もかも忘れてしまったというなら、それは深刻なお話ですね。

なおCX輸送機の利点「民間航路を使える高速巡航性のコンセプト」は、かなり先見の明が有り、今ではアメリカ空軍も同様のコンセプトが重要だと考えるようになっています。


次期輸送機/次期固定翼哨戒機ロールアウト - CHFの日記-と言う名の駄文倉庫
最大の優位点はいわゆる民間航空路線を使用可能ということである。

既存の軍用貨物輸送機は何れも高高度での巡航速度が民間旅客機に比して低いという傾向がある。

比較的最近に開発されたC-17やAn-124でさえも高高度での巡航速度はM0.8に届かず、現時点でこの要求に届く機体は無い。

特にC-17はイラクやアフガンへの輸送任務でその速度が問題視され、結果として米軍は新たな輸送機計画AMC-Xへの要求に民間航空路への対応を盛り込んだ。


なぜCXでなければ駄目なのか? など、聞くまでも無い事です、旧来型コンセプトのA400Mよりも、世界をリードする最新コンセプトを体現しようとしているCX輸送機の方が魅力的な存在です。

とはいえA400M同様CXの開発は未だに茨の道であり、順調なものではありません。ですが何とか成功させれば、ドイツが羨む性能を持った輸送機となるでしょう。年度末の初飛行を目指しているCXが、無事飛び立てる事を願います。
17時12分 | 固定リンク | Comment (486) | 軍事 |
2009年12月11日
9日にノルウェーで「螺旋状に回転する異常な青白い光」が観測され、UFO騒ぎになっていましたが、正体はロシアの新型SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)「ブラヴァ」の発射失敗だった模様です。

Russia's latest Bulava missile test unsuccessful | RIA Novosti

発射テストで失敗続きの「ブラヴァ」は、開発計画の存在自体が危ぶまれる状況に陥りつつあります。しかしこれが実用化しないと、ロシア海軍には固体燃料式のSLBMが何時まで経っても配備されないということになってしまいます。R39は失敗作だったので、もう退役していますし・・・。



これがノルウェーで観測された「螺旋状に回転する異常な青白い光」です。2分ある動画の中で最初の1分間に写っています。「ブラヴァ」の第3段ロケットに異常が発生、回転を始めて最後に弾け飛んでいるようで、確かにいきなり目撃したらUFO騒ぎになるでしょうね・・・。
03時51分 | 固定リンク | Comment (125) | 軍事 |
徐々に週刊化する予定でしたが、「詳しい考察は要らないから、是非ともこのネタで直ぐに記事を書いて欲しい。」という要請がメールフォームで3種類3件あり、どれも大きなネタなので、3連投します。


A400M、11日に初飛行=欧州期待の新型軍用輸送機−エアバス:時事通信
 欧州航空機大手のエアバス社は9日、新型の軍用輸送機エアバス「A400M」の初めての試験飛行を11日午前10時(日本時間同日午後6時)ごろ、スペイン南西部セビリアにある同社のサンパブロ工場で行うと発表した。
 同機の巡航速度はマッハ0.68〜0.72。欧州航空界が命運をかけた次世代機だが開発が大幅に遅れ、仏独両国の当局者は、年内に開発進展を証明するよう圧力を掛けていた。
 A400Mの開発構想は1980年代に打ち出された。しかし欧州各国の調整が遅れ、エアバス社が2003年に総事業費200億ユーロ(約2兆6000億円)を投じて生産に着手した後も、技術的問題で試験飛行が延期されてきた。


日本時間の今日の夕方、遂にA400Mが初飛行します。開発遅延で後発の日本のCX輸送機に追い抜かれかけましたが、CXの方にも問題が見付かり開発遅延している間に、何とか先に飛び立てそうです。

A400M First Flight Planned For Dec. 11 | AVIATION WEEK

地上でタキシング中のA400M。


同じくタキシング中のCX。


A400Mが実際に飛んだら直ぐに動画が公開されるでしょうから、また初飛行後にUPします。



無事に飛んで帰って来ました。
03時01分 | 固定リンク | Comment (126) | 軍事 |
久々の「くらま」事故の続報です。しかし事故状況について何らかの新事実が判明したわけではありませんが・・・


海自「くらま」乗員立件へ、韓国コンテナ船員も:読売新聞
関門海峡で今年10月、海上自衛隊の護衛艦「くらま」と韓国のコンテナ船が衝突した事故で、第7管区海上保安本部(北九州)は、操船に携わった護衛艦とコンテナ船の船員ら数人を業務上過失往来危険容疑で立件する方針を固めた。

コンテナ船が急旋回したことが事故の主な要因とみられるが、事故直前に回避行動をとった護衛艦についても、7管は「回避措置を講じるのが遅かった」として、一部過失があると判断した。

捜査関係者によると、コンテナ船の船員らは対向する護衛艦をレーダーなどで認識していたにもかかわらず、前方の貨物船に急接近し、追突を避けようと左側に急旋回するなどした結果、護衛艦との衝突事故を招いた疑いが持たれている。

護衛艦側は、航行の際、総員配置で見張りをしており、衝突の直前には、停止のために逆進をかけていた。しかし、衝突の約1分半〜2分前に、かじを切り始めたコンテナ船の姿が見え始めていた可能性があり、7管は、回避措置がやや遅れたとみている。



この事故では、直前に「関門海峡海上交通センター」の男性管制官が、コンテナ船に「(前を行く貨物船の)左側から追い抜いて下さい。前方に護衛艦が接近。注意して下さい」と無線で誘導していた。関係者の間には、これが事故につながったとの指摘もあり、管制官に過失があったかどうかも焦点となっている。

法的には、管制官に「命令」や「指示」をする権限はなく、あくまで「情報提供」しか出来ない。

海上交通センターは7管の一部門で、身内に対する捜査が行われている。7管幹部は「管制官の行為が情報提供に過ぎないとしても、安易に過失がないとは言えないだろう。身内だからこそ時間をかけて調べたい」としており、捜査が越年する可能性を示している。


お互いに動いている以上、10対0のような事故責任割合は滅多な事では発生しない為、こういうことになるのでしょう。(過去記事でも過失割合10:0が難しい事は述べています)だから、この件について海上保安庁を逆恨みはするべきではありません。海上保安庁の管制官は法的に立件にしようが無いのですが、身内への調査もきちんとしています。

・・・それにしてもこの読売新聞の記事は、おかしな記事タイトルです。記事内容ではちゃんと「主要因は韓国コンテナ船」「護衛艦は一部過失」となっているのに、タイトルだけを見たらまるで逆の関係のような印象を受けてしまいます。この記事に限らず新聞には妙な印象操作の目的の為か、記事タイトルと記事内容が食い違う場合がよく見受けられますが、止めて欲しいですね。

例えば以下の産経新聞の記事も記事タイトルと記事内容が食い違っています。


米海軍厚木基地に新鋭艦載機を追加配備へ スーパーホーネット:産経新聞
米海軍は1日、空母ジョージ・ワシントンの艦載機として、今月中に新鋭の戦闘攻撃機FA18Eスーパーホーネットを厚木基地(神奈川県大和市など)に追加配備すると発表した。老朽化したFA18Cホーネットを更新するもので、今月上旬に12機程度を配備する。厚木基地の戦闘攻撃機数に増減はないとしている。


記事本文では「更新で機数に増減はない」と書いてあるのに記事タイトルでは「追加」配備とか書かれています。これは意図的に変な印象操作を狙ったのか、それとも単に日本語が不自由だったのか、知りませんけれど。
02時41分 | 固定リンク | Comment (99) | 軍事 |
2009年12月09日
ようやく、台湾の次期潜水艦調達計画「光華八号」が実現に向けて動き出しそうです。


米、台湾に潜水艦と軍用ヘリ供与へ:読売新聞
台湾の馬英九総統は7日、総統府で日本メディアと会見、米国が近く台湾に対してディーゼル潜水艦と多用途ヘリUH60「ブラックホーク」を供与する見通しであることを明らかにした。

「数か月以内に米国で正式決定される」という。


アメリカは当初、ヨーロッパ製の潜水艦(ドイツ製「Type214」潜水艦ないしフランス/スペイン製「スコルペン」級潜水艦)を台湾に引き渡す予定でしたが、北京からの横槍でヨーロッパ勢は腰が引けてしまい、アメリカ最後の通常動力潜水艦「バーベル」級潜水艦(1番艦は1959年就役)を再設計して引き渡す事になりそうです。他にはイギリスの「アップホルダー」級潜水艦(1990年代に就役、現在はカナダ海軍に売却済み)の改設計案や、武器売却関係が北京と冷え込んできているロシアの「ラーダ(アムール)」級潜水艦も一応の候補に上がるかも知れませんが、流石にロシアは無いですね。

China’s Noisy Nuclear Submarines » FAS Strategic Security Blog

一方こちらは「中国の最新鋭原潜はまだまだ煩く、ソ連1970年代の原潜と雑音放射レベルが同等」という記事です。FASのハンス・クリステンセンのブログです。まだロシアの技術に追い付くレベルにはないようです。
19時12分 | 固定リンク | Comment (168) | 軍事 |