このカテゴリ「軍事」の記事一覧です。(全420件、20件毎表示)

2009年06月22日
4月の北朝鮮テポドン発射の際には、日本とロシアはMDによる迎撃態勢を整えましたが、アメリカは偵察や警戒、観測は行ったものの、迎撃については特に目立った動きは見せませんでした。しかし北朝鮮は二回目の核実験を強行した後、ICBM(大陸間弾道弾)の発射を行うと宣言、実際にテポドン級の弾道ミサイルを発射する準備を整えつつあります。

4月のテポドン発射は人工衛星打ち上げロケットと称しながら、今度は同じ物をICBMと称して発射する構えを見せている北朝鮮。アメリカは「ICBMなら遠慮は要らない」とばかりに、今回はMDによる迎撃態勢を整えています。




ハワイへはTHAAD迎撃ミサイルと海上配備型Xバンドレーダー(SBX)を配備し、現状におけるMDの中で、移動可能タイプで最も性能の良い物を集めました。加えて海軍のイージス艦に搭載しているSM-3もあります。

ハワイには元々カウアイ島にTHAAD実験部隊が居ますが、今回派遣されるのはアメリカ本土テキサス州のフォートブリス陸軍基地にて編成中のTHAAD実戦部隊を空輸して展開します。編成完了は秋だと聞いていましたが、未成のまま実戦投入されることになります。しかしIRBMならともかくICBMが相手となると、THAADでは少々荷が重く、迎撃可能範囲は著しく狭くなります。そうなるとホノルル市街地中心付近に布陣する必要があります。



※THAADがランチャーから飛び出てくる瞬間がよく見えます。

海上配備型Xバンドレーダー(SBX)については、元々アリューシャン列島付近に配備されているものです。今回はたまたまパールハーバーでメンテナンス中だったらしく、そのままハワイで待機することになったようです。アラスカ方面にはコブラ・デイン早期警戒レーダーもあるので、単発のICBM程度ならそれでも対処できると踏んだのでしょう。



※昨年10月にハワイへメンテナンスの為に寄港したSBX

アラスカとカリフォルニアに配備しているGBI(MD用大型迎撃ミサイル)がハワイにあれば、ハワイから少し離れた場所に落下するテポドンの迎撃も十分可能だったのですが、THAADではホノルル市街地に向かって落ちてこない限り、迎撃する事は出来ません。後はイージス艦のSM-3でやれるかどうかです。

あと一応、パトリオットPAC3もハワイに用意しているようですが、流石にICBMが相手ではPAC3ではちょっと無理があるでしょう。
22時42分 | 固定リンク | Comment (56) | 軍事 |

2009年06月18日
逆神がF-22を諦めてF-35をプッシュし始めた瞬間にこの動き・・・これが誤神託の神通力なのか。まさかこれ程までとは・・・


F22輸出調査研究で43億円計上=生産中止回避狙う、補正予算−米下院:時事通信
米下院が可決した2009会計年度(08年10月〜09年9月)補正予算案に、日本が次期主力戦闘機(FX)の有力候補に挙げている最新鋭ステルス戦闘機F22の輸出仕様の調査研究費として、4500万ドル(約43億円)が計上されていることが17日、分かった。

F22をめぐっては、上院歳出委員長ダニエル・イノウエ議員(民主)が日本への輸出を支持する考えを表明している。軍事機密保持から輸出を禁止している法律の改正論議が両院で今後高まる可能性もある。国防総省はF22の調達中止を決めている。

補正予算案は上院の承認とともに、オバマ大統領の署名が必要。ゲーツ国防長官がF22の輸出に消極的なだけに、最終的に認められるかどうかは不透明な面もある。


とはいえ、あくまで首の皮一枚で繋がっただけで、日本への輸出が実現する可能性は低いままです。

(2008/08/24)空自FX候補F-22ラプターに関する誤神託の変遷

逆神がF-22からF-35に乗り換えたのは最近の話で、それ以前はF-22を絶賛していました。

※「日本のFX(次期主力戦闘機)はF−22ラプターしかあり得ない。」
※「Fー22以外に日本のFXはあり得ないというのが現状である。」

このようにF-22関連では非常に強力な絶対断言が飛び出しているのに対し、F-35に関しては、まだトーンが弱い感じです。

※「大本命のF−22が消えるとなると、当然ながらF−35が最有力です。」
※「F35が次期主力戦闘機(FX)に適していると思う。」

これが最近の逆神のF-35に関する発言です。見てのとおり「最有力」とか「適している」とかでは、絶対断言には程遠く・・・今のままでは、過去の誤神託を覆すには御自身の神力が足りないのではないかと思います。


神浦元彰 最新情報 2009.05.24
制空能力とは、外国の軍用機が日本領空に侵略してくれば、これを迎撃して制空権(支配権)を維持するというもの。これもF35が日本に適している理由となる。


F-35は元々戦闘爆撃機としての性格が強い上、しかも開発中に機体重量が重くなりすぎたせいで加速性能が悪く、制空戦闘機に向いていないという話は、逆神には・・・通用しません。
20時48分 | 固定リンク | Comment (295) | 軍事 |
2009年06月16日
4月の北朝鮮によるテポドン発射の時、ロシアは「万が一北朝鮮のテポドンがロシア領内に飛んできたら、S300Vミサイル防衛システムで撃ち落とす」と、日本が準備していたMD迎撃と同様の体制を取っている事を明かしました。

しかしS300ではまだ心配だったのか、今度は最新鋭のS400を極東に配備する方針を示しています。S400は本格的なMD能力を持つ最新鋭の迎撃ミサイルです。


極東に対空ミサイル ロシア、北への警戒強める:東京新聞
【モスクワ=中島健二】インタファクス通信によると、ロシアのノゴビツィン参謀本部次長は十一日、最新鋭の対空ミサイル「S400」を極東地域に配備する考えを示した。モスクワなど大都市を除く地方での同ミサイル配備は初。北朝鮮の二回目の核実験実施や、新たな弾道ミサイル発射の兆候を見せていることなどを強く警戒した措置とみられる。

ロシアは、北朝鮮が核保有国となることへの懸念を強めており、十一日に合意に達した北朝鮮の核実験に対する国連安保理の制裁決議案の協議でも、消極的対応から強硬姿勢に転換。オバマ米政権との協調を重視するロシア政権の思惑も背景にあるが、核開発を加速する北朝鮮の脅威が最大の理由だ。

一方で、ロシアは、制裁強化による北朝鮮の暴走も懸念。ロシア外務省筋は同日、タス通信に「決議は問題解決のために必要だが、北朝鮮が緊張を高める行動を取らないことを望む」と述べた。

S400は、ロシア版ミサイル防衛(MD)の主力ミサイルとされ、モスクワとサンクトペテルブルク近郊にも配備されている。



S400はアメリカのパトリオット・システムと同様に、大きさの異なる複数種類の対空ミサイルを使い分け、航空機から巡航ミサイル、弾道ミサイルにまでありとあらゆる空中目標に対処する事が出来ます。

(2009/05/13)ロシア版MD、S300&S400ミサイル・コンプレクスについて

ただしS400については、本格的なMD能力のある肝心のミサイル「40N6」について未だに詳しい情報が出ておらず、外観すら分からない状況です。その為、まだこのミサイルは技術的に完成していないのではと疑っていたのですが、実戦を想定して極東方面に配備してくる以上は、既に運用可能状態にあるようです。

4月の北朝鮮によるテポドン発射の時、日本の迎撃準備を「大袈裟だ」と主張する人も居たようですが、むしろ私にはロシアの方がノリノリで迎撃準備を整えているように見受けられます。

そしてロシアではもっと以前から北朝鮮核危機に対し、自分達が攻撃を受ける可能性は少ないにも拘らず、戦争が起きた際の準備を整えています。2003年にはロシア沿海地方セルゲイ・ダリキン知事が「北朝鮮難民20万人を受け入れる準備がある」と発言、実際に訓練も行われました。同年のロシア軍の演習では放射能汚染の除去訓練まで行われ、核戦争ないし核施設の破壊という状況を想定しています。翌2004年にはソ連崩壊後初の大規模戦力移動演習が実施され、ウラル以西のヨーロッパ方面から極東方面へ戦力を移動展開する戦略機動訓練が行われています。実施目的が朝鮮半島有事への事前訓練である事は明白でした。

そしてそれらの動きよりも更に直接的な行為についても言及が及んでいます。

2003年7月30日、ロシア紙イズベスチアはこのように報じています。内容は、朝鮮半島有事が起きれば放射能の影響がロシアにも降り懸かるというものですが、ロシア軍筋からの情報で、北朝鮮に対する先制攻撃に触れられている個所があるのです。


Если завтра война | Известия(30.07.03)
Но у нас самих есть вполне еще боеспособный крейсер "Варяг". Его крылатые ракеты легко уничтожат северокорейские пусковые установки на начальной стадии подготовки к пуску.


要約すると「我々(ロシア太平洋艦隊)には優秀な巡洋艦ワリヤーグがある。搭載されている巡航ミサイルは北朝鮮のミサイルランチャーを発射前に簡単に破壊する事が出来る」とあります。

ロシアのスラヴァ級巡洋艦が搭載している巡航ミサイルはP-500バザリト(SS-N-12サンドボックス)ですが、これの射程を500kmから700kmに延長した改良型のP-1000ヴルカンが新たに用意されています。スラヴァ級3番艦ワリヤーグには就役時から搭載されています。射程延伸を達成したP-1000ヴルカンですが、対艦攻撃専用だったP-500バザリトと異なり、対地攻撃能力も付与されており、上記のロシア軍による北朝鮮攻撃を実行可能としています。

参考:長距離対艦ミサイル複合体バザリト/ヴルカン - ロシア・ソ連海軍報道・情報管理部機動六課

P-1000ヴルカン巡航ミサイルの対地誘導方式については詳しい情報はありませんが、恐らくはロシア版GPSのグロナスを使用した誘導システムであると思われます。
11時12分 | 固定リンク | Comment (87) | 軍事 |
2009年06月14日
コメント欄を見ていて気付かされたのですが、「イージスMDに対処されてしまう対艦弾道ミサイルに何の意味があるのだろう?」という疑問に、一つの答えが出ていました。



○イージスには無力化される、イージスが護衛についている空母には打撃を与えられない・・・すると護衛の付いていない補給艦を対艦弾道ミサイルで狙うのが、実は中国の本来の狙いである可能性がある。


そうか・・・その手がありましたか・・・当のアメリカが「空母破壊兵器」だと騒いでいるので、空母攻撃用だとばかり思い込んでいましたが、後方に展開している支援艦艇を叩く兵器と考えれば、地味ですが非常に厄介な兵器となりますね。補給艦、給油艦、弾薬集積船、今のアメリカ海軍はこれらの艦艇を民間船員で動かしており、武装も全て外しています。最前線に出す事は無いから危険な任務には就かないという前提が、長射程の対艦弾道ミサイルによって崩されてしまうかもしれません。もしかするとアメリカは、中国の本当の狙いに気付いていてるが、政治的な分かりやすい説明として「空母破壊兵器だ」としているだけなのかもしれません。

陸上での戦術弾道ミサイルの使い道も、湾岸戦争でのATACMSの場合、長射程を活かして敵後方の兵站拠点を叩くというものでした。つまり海上でも戦術弾道ミサイルは同じ使い方という事ですか・・・弾道ミサイルの長射程を活かして敵後方の兵站線を叩く。目の前の戦闘部隊を狙うものではない。確かに合理的です。

イージス艦の護衛が無ければ、対艦弾道ミサイルを防ぐ手段がありません。例え命中率が悪くても一方的に撃たれるのであれば、危険な海域に踏み込む事が出来なくなります。攻撃側は数を用意する必要は無く、少数の威嚇的な攻撃で有力な艦隊の支援部隊の行動を制約できます。

アメリカが対抗するには、全ての支援艦艇にイージス艦の直衛を付けるか、或いはイージス迎撃部隊を中間海域に展開し、対艦弾道ミサイルを可能な限り早期に撃墜し、広大な海域の上空をエリア防空とする方式が有ります。前者は沢山の護衛艦を必要とし、後者は数が少なくて済みますが、敵の対艦弾道ミサイルが高速・長射程で高高度まで駆け上がってくる場合、生半可な性能の迎撃ミサイルでは対処出来ません。相手が射程1500kmのDF-21クラスの対艦弾道ミサイルの場合、現状のイージスMD装備SM-3Block1では直衛での迎撃は出来ても中間迎撃は無理で、開発中のSM-3Block2でなら広域エリア防空が可能です。ただし対艦弾道ミサイルが中距離弾道ミサイル以上の性能になってくると、SM-3Block2でも直衛は出来てもエリア防空は段々と厳しくなってきます。

その場合にエリア防空を行う為には、各海域の要所にGBIクラスの長射程MD装備を、大型Xバンドレーダーと共に配備して対処する必要が出てきます。海上プラットフォームを使って配備するか、或いは・・・色々と騒がれそうですが、沖縄の嘉手納基地に陸上配備すれば広範囲をカバーできます。どちらにせよ迎撃側は嫌がらせ目的の散発的な攻撃相手にすら、莫大な費用と戦力を掛けて迎撃態勢を構築する必要に迫られるでしょう。

なお、この対艦弾道ミサイルによる「後方の兵站を叩く」という作戦を、日本が真似をする事は出来ないです。南西諸島での島嶼戦を考えた場合、侵攻側の中国軍は自分達の基地が直ぐ近くにあるわけで、兵站拠点とは艦隊泊地とイコールなので、これを対艦弾道ミサイルで攻撃を仕掛ける行為は中国本土攻撃と同じ事になるからです。中国東海艦隊の拠点・寧波は沖縄本島から700kmほどしか離れていませんが、命中精度の悪い弾道ミサイルが何かの拍子で逸れた場合は、人口560万の大都市への都市爆撃となってしまいます。もしどうしても東海艦隊拠点を攻撃したい場合は、弾道ミサイルなどよりも潜水艦で水中から隠密接近してハープーンBlock2対艦ミサイル(停泊中の艦船、地上施設を攻撃可能)を撃ち込んだ方が市民への巻き添えも極限できるでしょう。勿論これも専守防衛から逸脱している攻撃ですが・・・。


それともう一つ、気付かされた事です。



○射程600km程度の弾道ミサイルだと、実は専用のMDじゃなくても撃破可能なんだよね。湾岸戦争でイスラエルに撃ち込まれたアル・フセイン弾道ミサイルが射程600km、速度マッハ6。これを弾道ミサイル対処能力が無かった初期型PAC2で迎撃して、撃墜している。都市防空であったため、命中しても完全破壊できずに落ちてきて被害が発生、迎撃失敗扱いされたケースが多いが、艦隊防空なら僅かにコースを逸らされるだけでも迎撃は成功する。

つまり現状の中国艦隊に向けて射程の短い対艦弾道ミサイルを放っても、全て無力化されてしまう可能性がある。というか高い。

48n6Ye艦対空ミサイル
http://wiki.livedoor.jp/namacha2/d/48n6Ye%b4%cf%c2%d0%b6%f5%a5%df%a5%b5%a5%a4%a5%eb%28SA%2dN%2d20%20%a5%ac%a1%bc%a5%b4%a5%a4%a5%eb%29
>48n6yeは、航空機や対艦ミサイルだけではなく、限定的ではあるが
>戦術弾道ミサイルの迎撃能力も有しているとされる。

中国はロシア製のS300F艦対空ミサイルを保有している。性能はPAC2GEM+に匹敵するか、それ以上だ。短距離弾道ミサイルなら撃破可能。

よって日本が対艦弾道ミサイルを保有する意味は存在しない。射程の長い弾道ミサイルなら少しは意味が出て来るが、それだと中国の陸地を攻撃すると思われても仕方が無いので、保有は無理だ。


中国艦隊のエリア防空艦はまだ数は少ないですが、世界的に見ても最高クラスの性能を持つロシア製のS300Fを装備する艦もあり、短距離弾道ミサイルに対抗する事が可能です。弾道ミサイルは飛翔速度が速くても機動の自由度が低く、単純に山なり弾道で飛んでくるので、捕捉は簡単です。巡航ミサイルのように大きくS字蛇行しながら突入したり、海面レベルの高度を飛翔(シースキミング)したり、敵防空網を突破する為の大きな機動が出来ません。性能の良い対空ミサイルならば、本格的なMD装備でなくても、短距離弾道ミサイルクラスが相手なら迎撃可能です。ましてや都市防空と異なり、僅かに逸らすだけでも任務達成するならば、従来型対空ミサイルの近接爆破方式の方が、専用MD対空ミサイルの直撃方式よりもむしろ有利とすら言えます。

中国はロシアからの輸入のS300Fとは別に、S300シリーズを参考にして造った国産のエリア防空ミサイル「HHQ-9A」、SA-N-12を参考にした「HQ-16」があり、これらも短距離弾道ミサイルとの交戦能力があるとされています。とはいえHHQ-9Aの性能に自信があるなら、S300Fの輸入は行わない筈で、中国海軍のエリア防空ミサイルの整備は始まったばかりです。今後、中国製防空ミサイルの性能が上がってくれば、自衛隊も新たな対艦攻撃手段を模索する必要が出てきます。しかしそれについて「対艦弾道ミサイル」などという兵器は不適当であると、言える事が出来るでしょう。
23時55分 | 固定リンク | Comment (616) | 軍事 |
2009年06月13日
対艦弾道ミサイル(ASBM;Anti-Ship Ballistic Missile)にどう対処すればいいのか? 答えは簡単、護衛に付いているイージスMD(海上型弾道ミサイル防衛)で撃墜してしまえばよい事です。自分達に向かってくる目標ならばヘッドオンで捉えられることが確約されているわけですから、捕捉も撃墜も容易です。仮に途中で軌道を変更してMD監視網を掻い潜ろうとする特殊な弾道ミサイルだとしても、結局は最後に有力なMD能力を持つイージス艦数隻が目標の空母のすぐ傍で待ち構えている為、突破は非常に困難です。また対艦弾道ミサイルは終末誘導装置にスペースと重量を食われる為、単弾頭となります。


中国、1年以内に空母破壊兵器を実験か 米国防関係者が警戒:産経新聞
 【ワシントン=山本秀也】米議会の政策諮問機関「米中経済安保調査委員会」で11日、中国が日本、台湾周辺の西太平洋に展開する米海軍の空母撃破を狙った新型兵器を開発中で、1年程度で実験段階に入る可能性があることが米防衛関係者の証言で明らかになった。同関係者はこうした中国の動きに対して警戒を呼びかけた。

 中国の新型兵器については、ポール・ジアラ元国防総省日本部長が証言。「向こう1年程度で洋上標的への実験段階を迎える」と分析した。

 米国防総省によると、中国が開発中とされる新型兵器は、洋上の大型艦船を標的にする「対艦弾道ミサイル」(ASBM)。移動式の中距離弾道ミサイル東風21型(DF21)がベースになっており、誘導性能を高めたものだという。射程は約1500キロ。台湾、沖縄周辺のほか、横須賀、佐世保など、在日米軍の港湾拠点を含む日本近海が射程に収まる。

 ASBMは、中国近海に米海軍の空母戦闘群が接近するのを妨げる戦略の柱と位置づけられる兵器で、さきに公表された米国防総省の年次報告書でも開発動向に懸念が示されていたが、開発がどの段階にあるのかなどはこれまで明らかにされていなかった。

 また、マイケル・マクデビット退役海軍少将は、西太平洋で米海軍の行動が中国に抑えられれば、「日本の孤立化を招く恐れがある。東京にとっては戦略的脅威だ」と指摘した。


中国が開発しているとされている対艦弾道ミサイルについては、アメリカでは以前からその存在に警鈴が鳴らされ、今年3月に発表された「Military Power of the People’s Republic of China 2009(PDF)」でも触れられています。しかし前述のようにMD能力を備えた艦隊ならば、特に気にする必要が無い兵器でしかありません。艦載MDについては対弾道ミサイル迎撃専用のSM-3の他に、対艦ミサイル迎撃用のSM-2系列をMDにも使えるように改良したSM-2Block4、そしてSM-2系列の後継SM-6、更にはPAC-3艦載型の提案もあります。つまりイージスMDだけで多層防御網を構築可能で、空母自体の近接防御用にPAC-3を搭載しても良いですし、既にアメリカ海軍は対艦弾道ミサイルに十分対応できる体制を構築する事が出来ます。

穿ったモノの見方をすれば、中国の対艦弾道ミサイルの脅威を必要以上に煽る行為は、イージスMDの予算獲得のため、と言えそうです。もちろんそれは勝手な想像でしかありませんが、殊更大騒ぎする必要性があるとは思えません。射程1500kmのDF-21改ならば、現行のSM-3Block1であってもヘッドオン迎撃が確約されているなら十分対処可能であり、開発中のSM-3Block2ならば、より射程の長い弾道ミサイルにも対処可能です。慌てる必要性が何もありません。

対艦弾道ミサイルは嘗てソ連でも計画された事があります。NATOコード名「SS-NX-13」と呼ばれていたそれは、対艦巡航ミサイルによる同時飽和攻撃戦術に目処が付いた為、開発は中止されています。

この種の兵器は弾道ミサイルである故に命中率が低く、高速過ぎて誘導も困難であり、絶えず動き回る空母機動部隊への命中を期待するのは、余りにも分の悪いギャンブルであると言えるでしょう。弾道ミサイルはブースト中に燃料を使い切って、後の殆どの飛翔コースは大砲の砲弾と同じく勢いだけで飛んで行きます。つまり機動の自由度は非常に小さくなります。これに対し巡航ミサイルは目標に突入する瞬間まで燃料噴射を続けるのが普通で、機動の自由度は高く、もし目標を見失ったとしても付近を再捜索してから発見次第に突入という真似も可能です。元々の兵器としての特性上、対艦弾道ミサイルは対艦巡航ミサイルと比べて命中精度が大きく劣ります。

つまり対艦弾道ミサイルを装備する意味とは「自軍の巡航型対艦ミサイルによる攻撃が通用しないほど防空能力が高い敵艦隊に対し、通常の防空装備では対処不可能な弾道ミサイルで攻撃する」という主旨となります。つまり多数の対艦巡航ミサイルで同時飽和攻撃を行う能力があるなら、より確実性の高いそちらを選びます。現実にソ連はそうしました。そして当然のことながら敵艦隊が弾道ミサイルすら迎撃できるようになってしまったら、対艦弾道ミサイルの利点は何もかも失われてしまいます。

それでも中国が対艦弾道ミサイルを諦めていないのでしたら、未だに米空母機動部隊に対抗可能な対艦巡航ミサイルの戦力を確保できず、遠距離からでも撃てる対艦弾道ミサイルによるラッキーヒットを期待するしか無い、と考えているのでしょう。つまり自軍の巡航ミサイル攻撃が通常防空網を突破する可能性と、対艦弾道ミサイルによる攻撃がイージスMD網を突破する可能性を計りに掛けて、前者も後者も望みは少ないが、後者ならば少なくとも人が乗った攻撃機が撃墜される事は無い・・・或いはただ単に長い期間を掛けて対艦弾道ミサイルの研究をしていたが、まさかその間に米軍がイージスMDなんて代物を実用化するとは想定しておらず、引くに引けないまま計画を放棄できなかったのか、どちらにせよ中国自身の見解はまだ語られておらず、アメリカ側からの情報のみなので、実際に弾道ミサイルによる対艦攻撃実験が行われるまでは存在自体の信憑性も何とも言えない代物です。

さて6月11日の記事で新防衛計画の大綱について自由民主党の出した提言について紹介しましたが、この提言の中で「日本も対艦弾道ミサイル配備を検討すべき」という主旨の部分が有りました。

teigen3.jpg

これについても6月11日の記事で既に説明してある通り、敵艦隊攻撃は弾道ミサイル狩りのような即応性は要求されておらず、対艦弾道ミサイルを装備すべき根拠には成り得ないこと、そして命中精度などからいって巡航対艦ミサイルの方が確実であり、弾道ミサイルで対艦攻撃を行うメリットが何も存在しない以上、この提言内容は完全に的外れであると言わざるを得ません。

日本は世界でも有数の対艦ミサイル同時飽和攻撃能力を保有しています。中国の艦隊は巡航対艦ミサイルで対処可能です。無理に対艦弾道ミサイルなどというようなギャンブル兵器に手を出す必要性が微塵もありません。

提言内容では通常の巡航対艦ミサイルの射程や即応性の問題(亜音速巡航ミサイルは飛翔時間が長い)を挙げ、それを補完する為に対艦弾道ミサイルの研究開発が必要と説いています。つまり長射程の兵器が欲しいと言ってるわけですが、ロシアの巡航ミサイルを見れば分かるように、長射程で超音速な巡航ミサイルは幾らでもあります。一から研究する気であるならば、長射程・超音速の巡航ミサイルを開発した方がよほど有用でしょう。また長射程といっても、余りに長すぎる場合は認められません。

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南西諸島の防衛を考えるに当たって、仮にミサイル発射拠点を沖縄本島とすると、上図の様な射程範囲となります。射程2000kmで北京を直撃、射程1000kmでも上海を直撃可能です。そして対艦弾道ミサイルは対艦巡航ミサイルと異なり、無改造で対地攻撃を行える為(対艦用の誘導装置は無駄になる)、あくまで対艦攻撃用だと主張した所で相手はそう認識してくれません。射程1000〜2000kmの準中距離弾道ミサイルは、たとえ対艦攻撃用という名目を掲げようとも日本が取得することは、国際関係的にも、国内の法制度上でも、非現実的です。

では短射程の対艦弾道ミサイルはどうでしょうか。しかしミサイル技術管理レジームで移転が認められているような、射程300kmの短距離弾道ミサイルでは、対艦攻撃用途には何の意味も存在しません。このクラスの射程の弾道ミサイルは速度マッハ3〜4程度であり、通常のラムジェット超音速巡航対艦ミサイルでも達成可能な数字です。射程についても、ロシア製の巡航ミサイルにはもっと長い500km以上の射程のミサイルも有り、実現は可能です。そして巡航タイプの方が対艦攻撃時の命中精度は遥かに高く、短距離対艦弾道ミサイルには利点が何も存在しません。

射程500〜600km級の弾道ミサイルならば、マッハ5〜6くらいです。中国大陸への陸地攻撃を疑われない射程は、これが限界です。下地島あたりに前進配備すればそれでも届いてしまいますが、前線過ぎて残存性は低いので意味も少ないですし、何とかなるでしょう。これについてもマッハ5程度なら、ロシア/インド共同開発の巡航ミサイル「ブラモス」が改良によって将来的に目指している速力で、通常のラムジェットエンジンの作動限界が此処までです。つまりラムジェットエンジンを用いた超音速巡航対艦ミサイルでも、短射程の弾道ミサイルと同等の速力・射程を達成する事は可能です。そして対艦攻撃時の命中精度は比較にならないほど高いです。それならば、どうせ日本が一から開発するのであれば、対艦弾道ミサイルよりも超音速巡航ミサイルを新たに開発した方がよほど有効なものを作り出せます。いっそブラモス計画に出資してロシア/インド/日本の共同開発という選択だってあります。

更に言えばロシアに「クラブS」という巡航ミサイルが有ります。これは亜音速で巡航し、目標突入前に弾頭が切り離されてロケットブースターに点火、マッハ3に増速して目標に突入する特殊な対艦巡航ミサイルです。これと同じコンセプトを超音速巡航ミサイルで試みるとどうでしょう。巡航速度はマッハ3〜5で、目標突入時に弾頭がロケットブースターで加速し、マッハ6〜10に到達すれば、準中距離弾道ミサイル並みの突入速度が得られます。弾頭を切り離さずともエアインテークを投棄して空気抵抗を低減、最終ブースターに点火して増速という手段も有ります。

つまり既存の技術の組み合わせだけで、弾道ミサイル並みの速度と射程を持つ巡航ミサイルの開発は可能です。ICBM並みの速度と射程は難しいですが、準中距離弾道ミサイルぐらいならそんなに難しくありません。スクラムジェットエンジンを用いれば、巡航ミサイルでICBM並みの速度も達成できますが、これはまだ夢の未来技術です。
23時58分 | 固定リンク | Comment (466) | 軍事 |
2009年06月12日
超音速で飛行し、即応性が高く、GPS誘導等によって精密誘導能力を与えられた戦術弾道ミサイルならば、速度の遅い巡航ミサイルでは不可能だった弾道ミサイル狩り(移動式ランチャーが発射準備で短時間展開している際を狙う)に投入する事が出来ます。

しかし現在、この任務に使える適切な戦術弾道ミサイルが存在していません。日本が運用するならば短射程の艦上発射方式が良い(必要以上に長過ぎる射程の攻撃用ミサイルは専守防衛の方針と逸脱する)のですが、海軍版ATACMSとも呼べる存在で開発中のALAM戦術弾道ミサイルは、開発状況の様子が殆ど伝えられず、計画は推進されているのか打ち切りなのかもよく分からない状況です。またALAMはMk.57VLSでしか撃てず、既存艦には搭載不能であり、出来ればMk.41VLSから撃てるタイプのものが欲しいところなのですが・・・

Raytheon RGM-165 LASM | designation-systems.net

実は以前、正にそういったものが計画され、中止されています。艦対空ミサイルの「スタンダードSM-2」をベースに対地攻撃用に改造したランドアタック・スタンダードミサイル、略称は「LASM」ですが「SM-4」と呼んだ方が通りが良いでしょう。弾道飛行を行い、GPS誘導による精密誘導能力を与えられ、射程は280kmです。しかし移動中の目標には命中を期待できず、ミサイル自体が小さいので弾頭重量も軽く、貫通能力も思ったほどでは無かったので取り止めになりました。

同時期にトマホーク巡航ミサイルの最新型、タクティカル・トマホークの製造コストが従来型に比べ大幅に安くなった事や、ハープーン対艦ミサイルに対地攻撃能力を与えたハープーンBlock2の登場などで、SM-4の必要性が下がった事も原因に挙げられます。しかしSM-4の飛行速度マッハ3〜4という利点を活用する方策を、当時見い出せなかった事は残念でした。

対北朝鮮の弾道ミサイル狩り任務・・・アメリカとすれば韓国配置の戦闘爆撃機やATACMS戦術弾道ミサイルを使えば済む事なので、どうしても必要という訳では無かったのです。ところがこれは、韓国に展開できない日本にとっては有力な装備と成り得ます。しかしSM-4開発中止が決定した当時、近い将来に日本が北朝鮮への攻撃能力を模索する事態になるとは誰も想定できなかったでしょうし、そもそも日本の為だけにアメリカが無償で兵器を開発してくれる訳も無い話です。

そこで、アメリカが開発放棄したスタンダードミサイル地上攻撃型、SM-4の開発データを日本が対価を払って取得し、日本独自に開発して装備してしまうという選択について検討して見てはどうでしょうか。SM-4の射程距離と弾頭重量はミサイル技術管理レジームの対象外で、国際法的にも技術移転に障害はありません。

ただしSM-4の性能では物足りない事も確かで、SM-4をさらに改良したものを用意できた方が良いでしょう。そしてそれを行う為の素材は、既に当てがあります。


RIM-161スタンダードSM-3

弾道ミサイル防衛用のスタンダードSM-3Block1は、SM-2をベースとしており、外見上、基本的な形状に変わりはありません。SM-3はSM-2の弾頭炸薬スペースを第三段ブースターに充てて、その先にキネティック弾頭を積んでいます。そして日米が共同で開発している改良型のSM-3Block2は、弾体直径をMk.41VLSの限界まで増やして大型化させています。

このSM-3Block2のガワ部分を流用し、キネティック弾頭と第三段ブースターを外して弾頭炸薬と対地誘導装置に充て、SM-4性能向上型とすれば、元の射程距離や弾頭重量を倍以上に増やす事も可能であると思います。これによりATACMSと同等以上の性能を確保できますので、ALAM戦術弾道ミサイルの代わりになる上に既存艦艇にも搭載可能という利点が生まれます。

アメリカが研究のみで終わった艦載戦術弾道ミサイルを日本に技術移転し、シリーズの中から部品を流用して改良型を開発すれば、全くのゼロから新しいものを開発するよりも、労力と期間を少なくする事が出来ます。そして弾頭部分を通常型に加えクラスター誘導弾型と貫通弾型を用意すれば、敵ミサイル策源地への攻撃をあらゆる状況で対応する事が出来ます。後は目標情報をどうやって得るか、これを解決できれば、短射程艦対地弾道ミサイルの存在価値はかなり高いと思います。

このSM-4性能向上型は、巡航ミサイルよりもかなり対北朝鮮向きの装備と思いますが、どうでしょうか。
23時18分 | 固定リンク | Comment (138) | 軍事 |
2009年06月11日
年末の防衛大綱改定に向けて、自民党が提言した防衛政策の報告書が公式ページに掲載されていました。その内容には、事前の報道には無かった種類の兵器も候補として上がっていました。敵基地攻撃能力の手段として巡航ミサイルの他に弾道ミサイルが挙げられ、ミサイル防衛用としてTHAADの他にSM-3地上配備型について言及がありました。更には島嶼作戦の為に取得すべき兵器の名前に、妙な兵器についての言及もありましたが・・・

提言・新防衛計画の大綱について:自由民主党

teigen1b.jpg

つまり自民党は巡航ミサイルの弱点として速度が遅く、即応性に劣る事を認めており、速度の速い弾道ミサイルを即応性の高い攻撃戦力として用意する事も重要であると述べています。

どういうことかと言うと、液体燃料式の弾道ミサイルは発射準備まで数十分から数時間掛かります。ノドンの原型であるスカッドミサイルの場合、移動式ランチャーを固定して発射準備態勢が整うまでに1時間半掛かるとされています。発射状態にあるランチャーを見つけても、猶予は短い時間しか残されていません。発見したのが準備直後とも限らず、最大でも1時間前後、短ければ数分から数十分で発射されてしまいます。ところが速度の遅い巡航ミサイルでは、飛んでいくだけで数十分から数時間掛かってしまい、間に合わないのです。目標データ入力の時間も考えれば(ただし地形等高線や情景データの情報入力をカットし、GPS情報だけで撃ち出せば時間短縮可能)、余計に無理です。これが弾道ミサイルならば速度が速く、数分以内に目標まで到達します。巡航ミサイルでも超音速化すれば目標到達時間が短くなりますが、それでも弾道ミサイルの速度には及びません。スクラムジェットエンジンでも積まない限り、同等の即応性は確保できないのです。

戦術弾道ミサイルに関して言えば、アメリカ軍がATACMSという短距離弾道ミサイルを装備しており、韓国軍も保有しています。これにはGPS誘導型もあり、ピンポイントで目標を狙う能力が有ります。更にATACMS海軍版のALAM弾道ミサイルも開発中で、これを装備すべきであるというのが自民提言の内容なのでしょう。ですが幾つか障害があります。ALAM弾道ミサイルの開発は停滞しているのか、全く進捗状況が掴めません。またALAM弾道ミサイルは直径が太く、イージス艦のVLSでは搭載不可能です。現状、これを積めるのは最新鋭のズムウォルト級駆逐艦に内蔵されているMk.57VLSのみで、海上自衛隊が装備する気なら新型艦を作る必要があります。一番手っ取り早いのはアーセナルシップ計画のようにVLS弾薬庫船を建造し、ミサイルの発射管制はデータリンクで随伴するイージス艦に任せてしまう方式です。ただの貨物船を改造すれば数ヶ月で用意できます。

Advanced Land Attack Missile [ALAM] -GlobalSecurity.org

alam.jpg

弾道ミサイルは巡航ミサイルよりも命中精度が低い弱点がありますが、大まかな精度はGPS搭載によってカバーできます。そして弾頭部分を誘導クラスター弾頭にしてしまえば、弾道ミサイル狩りに十分転用できます。クラスター爆弾禁止条約は誘導型クラスター弾ならば一定の条件で条約の対象外としており、日本が保有しても問題ありません。また貫通弾頭を用意すれば、巡航ミサイルの貫通タイプなどよりも遥かに貫通力の高いものが出来上がります。

目標をどうやって見つけるのか、という疑問はまだ残りますが、ピンポイント攻撃可能な戦術弾道ミサイルによる敵基地攻撃能力は、巡航ミサイルよりも実効性が高く、今すぐ調達できる適当なものはまだありませんが、アメリカのALAM弾道ミサイルやあるいは自主開発などで、誘導型クラスター弾頭付きのものや貫通弾頭タイプを用意することは良い選択ではないかと思います。

ただし国際条約上、弾道ミサイルはミサイル技術管理レジームに引っ掛かる為、輸入品は射程300kmまでのものに限定されます。ALAMは本来射程500kmですが、そのままの性能では導入できません。それでも艦船に搭載し、北朝鮮沿岸に可能な限り接近して攻撃する場合、日本海と黄海の両方に艦隊を派遣すれば、北朝鮮国土の殆どを攻撃圏内に収める事が出来ます。また射程が短ければ中国を刺激する事も無く、ATACMSは韓国も既に取得している事から、周辺国は反対する事も無いでしょう。

この自民党の提言で問題がある部分は、目標を見つける為に挙げられている手段が偵察衛星だけでは、不十分であるという点です。湾岸戦争でイラク軍は、偵察衛星が上空を通過する間は弾道ミサイルランチャーを隠していました。数の多いアメリカの偵察衛星が相手でもこのような真似が出来るのであれば、数の少ない日本の偵察衛星から身を隠す事は更に簡単でしょう。元々、偵察衛星だけでは常時監視など到底無理な話で、アメリカ軍は地上警戒版早期警戒管制機E-8ジョイントスターズで警戒を行っています。日本が敵弾道ミサイルの発射阻止を攻撃によって行う為には、攻撃能力以前に目標を発見する偵察能力、警戒能力の方が遥かに重要な要素であり、その方策について真面目に検討していないのであれば、敵基地攻撃能力など片手落ちな話に過ぎません。有人機、無人機などによる偵察能力をどう確保するのか、それとも目標は全てアメリカから提供される情報に頼るのか、どちらにせよ、偵察衛星だけの情報では不十分である事を認識しなければなりません。

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MD(弾道ミサイル防衛)については、THAADだけでなくSM-3地上発射型について言及があります。まさか記載されてるとは思わず、びっくりしました。以前に記載すべきだとは書きましたけど、どんなレーダーを使用するかまだ何にも決まっていないプランについて明記するとは、なかなか思い切った判断です。これは嬉しい提案です。あとSM-3改というのはBlock2の事でしょうね。

最後に、お馬鹿な新提案についてです。

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アハハ、全然お話にならないです。

敵艦隊への攻撃は、弾道ミサイルの移動式ランチャーみたいに、可能な限り早く潰すような必要性は全くありません。弾道ミサイルの高速性、即応性なんて必要性が何も無いのですよ。中国が地対艦弾道ミサイルを開発しようとしているのは、即応性の為ではなく、長射程を利用して攻撃する為です。それと生半可な対艦ミサイル攻撃では、とても米機動部隊に打撃を与えられないからです。

あの全盛期のソ連海軍による対艦用巡航ミサイル同時飽和攻撃ですら、イージス艦を含めた防御ラインを突破できるか危ぶまれていたのに、中国軍の戦力では空母直衛のイージス艦どころか、空母艦載機の防空網すら突破できず、とても対抗できない為、既存の兵器では撃墜不可能な弾道ミサイルによる攻撃を画策したのです。一発逆転を狙ったのですね。ですがこの目論見は現在、イージス艦に弾道ミサイル防衛能力が備わってしまった事により、無意味なものになりつつあります。そもそも中国はどうやって遠距離に居る米空母を発見する気だったのか、その時点で無茶な計画でした。ソ連ならレゲンダという、軍事衛星を用いた全地球洋上監視システムがありました。しかし中国にはそれに相当するものがありません。

ソ連も嘗てはSS-NX-13という地対艦弾道ミサイルを計画しましたが、実用化は困難と見做され計画は破棄されています。そして対艦用巡航ミサイルによる同時飽和攻撃戦術へと傾斜していきました。

私は、中国が地対艦弾道ミサイルを実用化するとは思いません。確かにソ連ですら開発できなかったとはいえ、現在の技術力ならば完成させる事だけなら出来るかもしれません。ですが今や米空母を守るイージス艦は、弾道ミサイル防衛能力を手にしています。米空母を狙って落ちてくる弾道ミサイルは、直衛のイージス艦から見れば自分達に向かって落ちてくる目標です。つまりヘッドオンで捉える事が出来ます。はっきり言いましょう。撃墜は容易です。例えICBMクラスの弾道ミサイルを使おうとも、スタンダードSM-3Block2ならば、自分達に向ってくる目標ならば撃破出来ます。例え弾頭が軌道変更するタイプであっても、最終的に自分達に向ってくるならば、捕捉も撃墜も容易です。対艦弾道ミサイルは、対艦巡航ミサイルよりも命中精度が低く、高価な為に数も用意できず、イージス艦がMD能力を持った今では、何の脅威にもなりません。更に防御側はSM-3の他にもSM-2Block4やPAC-3MSE艦載型など、各種艦載MDによる多層防御網も構築可能です。

もう弾道ミサイルで一発逆転だ、という状況ではありません。意味がありません。そんな馬鹿なことをするくらいなら、攻撃原潜で魚雷攻撃を仕掛けた方が遥かに成功率は高いでしょう。そのような判断を行えないほど、中国は愚かと思いますか? 中国は対艦弾道ミサイルの計画を放棄するでしょう。たとえ万が一実用化しても、怖くも何ともありません。そんなものを意識する必要なんて何にも無いです。

自民党の政策提言チームは、もうちょっと頭の良い軍事評論家の意見を聞くべきなのですよ。中国も持っているから自分達も欲しいです、とか全然話にならないのですよ。何の為に持つか、どうして必要なのかが重要なのであって、日本が敵艦隊攻撃に弾道ミサイルを使わなければならない理由なんて何にも有りません。敵艦隊攻撃は弾道ミサイルが必要なほど即応性が要求されるわけではなく、しかも中国艦隊の防空力は米空母機動部隊ほど高くは無いのですから。

まさかドサクサ紛れに弾道ミサイルを取得して、対地攻撃用に改造だーとか、馬鹿な夢は見ていないでしょうね?

日本が弾道ミサイルを取得する行為は、長射程のものとなると周辺国の反発を招きます。国際的にもミサイル技術管理レジームによって、射程300kmまでの短距離弾道ミサイルまでしか加盟国は売買行為を認められていません。仮に300kmの射程の短距離弾道ミサイルを対艦用にしたところで、何の意味も無いでしょう。将来、中国が空母を取得するとして、空母艦載機の行動半径よりも短いです。つまり発射前に空爆で叩かれて終わりです。地上基地から発進する航空機からの対地巡航ミサイル攻撃にだって晒されるでしょう。残存性は低いです。

つまりこの自民の提案は、長射程の弾道ミサイルでなければ意味が無く、そしてそれは弾頭を対地用に換装すれば中国本土を狙う事が出来ます。必要性の全く無い「地対艦弾道ミサイル」を要求するだなんて、最初からそれが目的としか思えません。有権者を舐めたような真似は謹んで頂きたいです。

地対艦弾道ミサイルだなんてゲテモノ兵器、必要ありません。そんなものより、試験中の超音速空対艦ミサイル「XASM-3」へ予算を沢山下さい。中国艦隊の防空力ではこれを防御する事は困難でしょうし、超音速なので目標まで一気に突っ込んでいけます。航空機搭載型なので射程内に運ぶまでは時間が掛かりますが、一旦発射すれば直ぐに命中しますよ。

F―2が XASM−3 試験で離陸!!:岐阜基地の翼(画像有り)

また、どうしても即応性の高い地上発射式の対艦ミサイルが欲しいのでしたら、弾道ミサイルではなくこのXASM-3の射程を長大化させるか、ロシア/インド共同開発のブラモス超音速巡航ミサイルのような大型のものを新規開発すれば良いです。

ブラモス (ミサイル) - Wikipedia

ブラモスは高空をマッハ3で飛翔しますが、インドは更なる改良型でラムジェットエンジンの作動限界に迫るマッハ5を目指しており、ここまで行くと短距離弾道ミサイル並みの速度が出ています。

とはいえ、敵艦隊攻撃にそこまで即応性が重視されるとは、私には到底思えません。普通にASM-3超音速対艦ミサイルの量産で済む事でしょう、たとえ中国が空母を建造しようと、これと潜水艦の増強で十分な筈です。

それとも自民党の政策提言チームは「敵艦隊攻撃に対艦弾道ミサイルの即応性がどうしても必要だ」とちゃんと説明できますか? やって見せて下さい、その場で叩き潰して上げます。ドサクサ紛れに国民を騙して必要以上の武装を持とうとする行為は、認められません。

そんな馬鹿なことを画策するくらいなら、「アメリカの保有するズムウォルト級駆逐艦を全部買い取って、対北朝鮮攻撃用装備とする。ALAM短距離弾道ミサイルと155mmAGS砲で釣瓶撃ちだ!」くらいの案を提案してください。これも無茶ですけど夢がある上に、対北朝鮮用装備として周辺国も理解し、何にも言わないでしょう。まぁ、私の趣味なんですけど。

ズムウォルト級ミサイル駆逐艦 - Wikipedia
02時03分 | 固定リンク | Comment (382) | 軍事 |
2009年06月09日
誘導ミサイルの推進方式は、ロケットエンジンが使われる事が多いです。長距離を飛ぶ対艦ミサイルや巡航ミサイルなどではジェットエンジンが用いられる事もあります。速度を出すならロケットエンジン、長距離を飛ぶならジェットエンジンが向いていますが、速度と射程を両立させたい場合には、ジェットエンジンの中でも「ラムジェットエンジン」を用いる場合があります。

ラムジェットエンジン - Wikipedia

ラムジェットエンジンは主に超音速巡航ミサイルや超音速対艦ミサイルに採用され、ロシアでは多用されています。対空ミサイルでもイギリスのシー・ダート艦対空ミサイルやアメリカのボマーク地対空核ミサイルなどに採用例があります。

このラムジェットエンジンの一種に「ダクテッドロケットエンジン」というものがあります。通常のラムジェットエンジンは航空機用の液体燃料を使用しますが、ダクテッドロケットエンジンは固体燃料を使用します。先ず一次燃焼室で固体燃料を不完全燃焼させ、この可燃ガスを二次燃焼室でエアインテークからの圧縮空気と混合し、再燃焼により完全燃焼させて推進力を得ます。ジェットエンジンの固体燃料化というよりはロケットエンジンのエアブリージング(空気吸い込み)化なので、「ダクテッド(空気取り入れ口付き)ロケットエンジン」という名前で呼ばれています。

日本でのダクテッドロケットエンジンの研究は、1992年の防衛白書にある「第2章 わが国の防衛政策」に日米共同開発が始まった事が記載されています。

1992.gif

しかしこの白書、この図を「(4) 装備・技術面での協力」の所に挿入すべきなのに「(5) 在日米軍の駐留を円滑にするための施策」の途中に入れてしまってるのはウッカリ間違えたのでしょうか。紙媒体の方は正しくてネット上にUPする際に入れ違えたのかも・・・。

なお現在、防衛省は「ダクテッドロケット飛しょう体」の研究を川崎重工を主契約者として開発を行っており、将来的に99式空対空誘導弾(AAM-4)へ搭載する計画があると言われています。

これはアメリカのAMRAAM中距離空対空ミサイルにダクテッドロケットエンジンを追加搭載した「FMRAAM」に対応するもので、ロシアでもR-77中距離空対空ミサイルに追加搭載されたタイプが開発中、欧州でも「ミーティア」という、最初からダクテッドロケットエンジンを搭載済みの空対空ミサイルが登場予定です。これらの射程は100km以上を予定しており、これにより空中戦の様式が一変する可能性があります。

Meteor | Bayern-Chemie

このサイトにミーティアの詳しい断面図が載っていますので、構造の理解の参考にして下さい。なおこの企業はドイツのバイエルン化学で、ミーティアを開発しているMBDA社の100%子会社です。ミーティア搭載の固体燃料を製造担当しているようです。


しかし対空兵器としてみると、ダクテッドロケットエンジンは通常のロケットエンジンに比べて不利な点があります。急激な機動を行ってエアインテークからの空気流入量が減った場合はエンジン出力が落ちますし、固体燃料の燃焼が終了すると、エアインテークの空気抵抗により速度が急激に落ちる為、滑空による有効射程の延長を行えず、この時点で目標に追従する機動性も確保できなくなります。対地巡航ミサイルや対艦ミサイルならば滑空による射程延長は最初から行わないので問題になりませんが、対空ミサイルの場合は重要な要素で、これを解決する方法が模索されました。

そうだ、空気抵抗となるエアインテークをエンジンごとゴッソリ捨てちゃえばいいのだと。


誘導飛しょう体:J-Tokkyo
【課題】ダクテッドロケット推進による誘導飛しょう体の終末飛しょう時は、エアインテークの空気抵抗のため空力特性が悪く運動性能が劣っていた。また、ラム燃焼終了後は飛しょう速度が激減するため、ラム燃焼中にターゲットに会合させなければならず、射程を延ばせないという課題があった。

【解決手段】上記誘導飛しょう体において、ダクテッドロケットの燃料消費後にダクテッドエンジンを機体から分離し、空気抵抗が小さい状態すなわち飛しょう体の運動性能が向上された状態で、飛しょう体をターゲットに接近到達させることにより撃破確率を向上させた。また空気抵抗の削減により更なる長射程化を可能とし、母機の安全性を向上させた。


三菱電機も色々やってるんですね。他にもエアインテークからの空気流入量を維持するために可変式エアインテークにしてみたり、ダクテッドロケットエンジンを対空ミサイル用エンジンとして使う際の弱点を克服する研究が以前から進められています。それらが何処まで採用されていくのかは分かりませんが、燃焼終了後に邪魔になるからエアインテークごとエンジンを投棄というアイデアは、そうかその手があったか・・・って納得はしましたが、本当にいいのかな、それ。
07時34分 | 固定リンク | Comment (136) | 軍事 |
2009年06月07日
軍事の逆神・神浦さんがF-22を諦め「次期FXはF-35を待つしかない」と言い始めたので、神通力が発動した・・・まさか?


F22戦闘機は247億円 米議員、輸出解禁に期待:産経新聞
ロイター通信は5日、米議会多数派民主党の重鎮ダニエル・イノウエ上院歳出委委員長がゲーツ国防長官と藤崎一郎駐米大使に書簡を送り、米空軍の最新鋭戦闘機F22Aラプターの輸出解禁に期待感を表明するとともに、輸出した場合、日本への売却価格は1機約2億5千万ドル(約247億円)程度になると伝えていたことを報じた。

現在、F22の輸出は軍事機密を守るため禁止されている。ゲーツ国防長官は5月の日米防衛首脳会談で、「オービー修正条項」と呼ばれる歳出法を理由に、日本への輸出は厳しいと伝えていた。歳出委員会が輸出解禁を支持すれば、F22を航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)の最有力候補と位置付けている日本側に取得の望みが出てくる。

米軍は1機約1億4千万ドルで調達している。日本に輸出する場合、輸出仕様にするための設計・改造費などを含め約1億ドルを上乗せした格好だ。7〜9年で納入可能という。


ダウングレード版を7〜9年掛けて開発して、当然費用は全部こちら持ちですか・・・元の性能を考えれば多少性能が落ちたとしても250億円は高くは無いかもしれませんが(どちらみち米軍納入価格では買えない)、7〜9年も待つならF-35でも別にいい訳で、待っている間の穴埋めにF-15EかF/A-18Eをリース使用するとしても、あまり良い提案には見えません。航空自衛隊が何としてでもF-22を欲しいというなら、そういう選択を行うのかもしれませんが・・・


米上院歳出委、空軍への輸出向けF22戦闘機開発の打診検討:ロイター
米空軍は最近これまでの方針を翻し、F22戦闘機の輸出用機種の開発は不可能ではないとの姿勢を示した。ソンプソン氏によると、米上院歳出委員会の防衛分科会の議長を務めるダニエル・イノウエ上院議員は、F22戦闘機の日本への輸出を支持し、規制解除に向け努力しているという。

ただ、米上院軍事委員会に以前補佐官としてかかわったグレッグ・キリー氏は、輸出に関する規制解除には約1年かかり、米国の軍事機密技術の輸出を禁止する法律の厳しいハードルを乗り越える必要があるため、日本への輸出に関する合意が承認されるにはさらに時間がかかるとの見方を示した。

キリー氏は、こうした手続きの間にロッキードの生産を継続させるための資金の拠出には米議会の4つの委員会の賛成を得る必要があるが、こうした委員会内には、最近日本に対してF22戦闘機は輸出しないと言明したゲーツ国防長官に対抗する動きは今のところないと指摘。同氏は「F22戦闘機の輸出は実現しないと思われる」としている。


どっちみち実現性は低いみたいです。一部の議員が頑張ってはいるが、大局を押し返すまでには至らないようです。すると逆神の誤神託の方向性は「次期FXにF-22もF-35も選択技より外れつつある」となるのでしょうか。

ダニエル・イノウエ - Wikipedia

日本の為にロビー活動を頑張っている日系議員のダニエル井上さんは、第二次世界大戦に従軍しドイツ軍との戦いで右腕を失ったものの数々の栄誉を受けた、英雄の1人です。
02時05分 | 固定リンク | Comment (406) | 軍事 |
2009年06月03日
どうも首を捻る話です。当時の事情をよく知らないので、何とも言えないのですが・・・


イ・イ戦争末期に幻の海保派遣計画 後藤田氏が反対:東京新聞 2009年5月14日
イラン・イラク戦争(1980−88年)末期、日本船を守るため海上保安庁がペルシャ湾への巡視船派遣を決め、派遣計画を練っていたことが国会議事録や関係者の証言で分かった。航続距離のある巡視船は1隻しかなく、防弾性も不十分ながら派遣を決定。しかし、当時の後藤田正晴官房長官(故人)が職を賭して反対し、計画は実行されなかった。


この件がスクープでも何でもないことは、以下の海上保安庁に詳しいブログ「蒼き清浄なる海のために」で指摘されている通りです。

「海保の中東派遣計画」を発見した(つもりになっている)東京新聞-蒼き清浄なる海のために

私が首を捻っているのはそういう面ではなく、純軍事的な視点から言えば「イラン・イラク戦争の最中に海上保安庁の巡視船を出しても、何の意味も無いのでは?」という点です。計画では当時派遣できる巡視船は「みずほ」だけで、『1隻では船団護衛は難しく、交戦中の両国軍艦がいない航路などの湾内の安全航行情報を、日本籍や外国籍船に毎日流す計画を立てた』とあるのですが、そのような行為に何の意味があるのかまったく理解が出来ないのです。

イラン・イラク戦争当時、ペルシャ湾の航行の安全を脅かしていたのは「タンカー戦争」と呼称される、イランとイラク両国がお互いのタンカーをミサイルと機雷で攻撃を仕掛ける行為に、無関係の第三国のタンカーが巻き込まれてしまう事でした。戦闘攻撃機に搭載する空対艦ミサイル、空対地ロケットによる航空攻撃、陸上からの地対艦ミサイルによる攻撃、そして敷設された機雷による被害などが主なもので、海上保安庁の巡視船では何れにも対処する事が出来ません。ミサイル攻撃には無力であり、機雷を除去する事も出来ません。航路上にイラン・イラクの軍艦が居るかどうかを調べても、何の意味もありません。脅威は空中と水中にあるのです。

タンカー戦争 - Wikipedia

このタンカー戦争に対してアメリカは本格介入を決断。ペルシャ湾奥に位置し、最も多くの巻き添え被害を受けていたクウェートのタンカーをアメリカ船籍に付け替え、護衛作戦「アーネスト・ウィル」を発動しました。作戦開始直前、アメリカ海軍のO.H.ぺリー級フリゲート「スターク」がイラク軍のミラージュF1戦闘機からエグゾセ対艦ミサイルの誤射を受ける事件が発生しており、現地の情勢は既に深刻な状態に陥っていました。アメリカ海軍は護衛作戦に空母を含む艦隊を派遣しています。

アーネスト・ウィル作戦 - Wikipedia

そしてこの護衛作戦の最中にO.H.ぺリー級フリゲート「サミュエル・B・ロバーツ」がイラン軍の敷設した機雷に触雷した為、アメリカ軍は報復として「プレイング・マンティス」作戦を発動。第二次大戦後にアメリカ海軍が行った最大規模の水上戦闘が実施されました。

プレイング・マンティス作戦 - Wikipedia

イラン海軍はアメリカ海軍に一矢も報いることが出来ず、数少ない貴重な自国の艦艇を多数喪失しています。

果たしてこんな状況下に置いて「海上保安庁を派遣しよう」とか、正気の沙汰とは思えないです。当時の政府関係者は馬鹿ばっかりだったのですか?「対空レーダーも対空ミサイルも搭載していない船で何が出来るの? 機関砲? CIWSでもないのに対空目標に当たるわけ無いし、第一、機関砲の有効射程では自艦の防御が精一杯で、護衛対象を守る事なんて出来ないですよ」という説明で門前払い出来るはずです。海保派遣なんて、口に出す事自体がおかしいです。

それとも当時の日本国内の軍忌避観とは、そのような話をせざるを得ないほど酷かったのでしょうか・・・対艦ミサイルに対処できる護衛艦を投入せず、対艦ミサイル相手には無力に等しい巡視船を送り込むだなんて、あの「タンカー戦争」の真っ最中によく言えたものです。私には理解できません。
23時55分 | 固定リンク | Comment (262) | 軍事 |
2009年06月02日
北朝鮮の核とミサイルの脅威は目に見えて増大しており、空母建造を目指す中国の軍拡は誰の目にも明らかであり、韓国と台湾は対地攻撃型巡航ミサイルを取得し、東南アジア諸国では潜水艦が拡散し、オーストラリアも潜水艦勢力を倍増する軍拡路線を明確に打ち出した・・・これが日本周辺を取り巻く状況です。周辺諸国全てが軍拡を行っている中、日本は7年連続で防衛予算を削減中で、それ以前の横這い期間も含めれば10年間も軍縮路線を取って来ましたが、狂いつつある地域の軍事バランスの均衡を取り戻す為に、とうとう日本は軍縮路線を捨て去り、軍拡路線に転じる決断を行おうとしています。

もう辛抱は限界に達しました。日本唯一国で軍縮路線の道を示しても、誰も付いて来なかったのですから。


自民の防衛大綱提言の最終案、防衛費縮減の撤回を要求:産経新聞
理由として提言の最終案は、「新しい安保環境から期待される防衛力に対して、縮減されつつある防衛力は、質・量とも不十分だ。陸海空自衛隊ともやりくりの限界を超えている」と指摘した。

さらに、「安全保障能力の整備は一般の公共事業と同列に扱われる(べき)ものではない。諸外国の防衛力整備状況も考慮して、必要な予算及び整備基盤の維持・拡充を行うべきだ」とした。日本を除くアジアのほとんどの国は防衛費を削減せず防衛力整備に努めていることが念頭にある。


最終案には敵基地攻撃能力についても触れられていますが、何を導入し、何を攻撃するのか、もっと具体的な議論を活発化すべきです。案には「海上発射型巡航ミサイル」という話が出ていますが、対地巡航ミサイルは基本的に固定目標を攻撃するもので、弾道ミサイルの移動式ランチャー狩りには向いておらず、一体何を目標に発射するのか、なぜ「海上発射型」なのか(空中発射型や地上発射型ではない理由は)、国民に対する説明がまだ為されていません。他には巡航ミサイル以外の敵基地攻撃装備についても検討をすべきですし、MD、ミサイル防衛ではTHAADの話も出ていますが、SM-3地上配備型も将来配備の検討に入れて置くべきと考えます。

さて、最大野党・民主党は自民党のこの動きにどう対応するのでしょうか。周辺地域の情勢を無視して更なる軍縮を掲げるのでしたら、安全保障面から民主党を支持する事は出来なくなってしまいます。

「民主党の国防政策と長島昭久議員を評価しない理由」

過去に防衛予算を政府案より5000億円も削減する公約を掲げた民主党は、現実が見えていません。もうあれから4〜5年も経ちますが、その間に安全保障面で民主党が路線転換したという話は聞きません。

民主党はミサイル防衛に積極的で、敵基地攻撃能力については「慎重に議論すべき」とはいうものの積極的な反対は行っていませんが、しかし「防衛費5000億円削減」の強烈なインパクトは未だに鮮烈で、それが民主党の国防政策であるのなら認める事が出来ません。

来る総選挙で民主党の国防政策について注目しています。北朝鮮が更なるICBM発射や核実験を強行する恐れがある中で、軍縮路線を掲げる事は支持を失いかねない事を民主党も理解はしているでしょう。しかし党内部の左派勢力、そして社民党との共闘関係なども考慮せねばならず、自民党のような思い切った防衛路線を掲げられない可能性があります。

もし民主党が軍縮路線を掲げた場合、軍拡路線への転換を唱える自民党と真っ向から対立し、総選挙の重要な焦点に浮上すると思います。しかしそれは北朝鮮の行動次第によって劇的な影響を受ける事になってしまうので、民主党が選挙での不確定要素を消して手堅く行く気なら、自民党と同じく軍拡路線を表明するべきですが、前述のように党内空中分解と野党共闘崩壊の可能性が出てくるので、難しい判断に迫られてしまいます。

もしかしたら、自民党はそこまでの政治的効果を狙って軍拡路線への転換を表明したのかもしれませんね。
04時00分 | 固定リンク | Comment (358) | 軍事 |
日本と同様に軍事力投入には政治的な制限のあるドイツですが、ソマリア沖海賊対策に連邦警察特殊部隊「GSG-9」を密かに投入していた事が分かりました。しかし救出作戦の直前になって・・・

なおドイツ国境警備隊は2005年に連邦警察局へと名称を変更しましたが、特殊部隊GSG-9(Grenzschutzgruppe 9;国境警備隊第9グループ)は伝統的な名前としてそのまま残されました。GSG-9はイラク戦争の際に大使館員警護要員として派遣され、戦死者を出しています。


ソマリア海賊:独が警察特殊部隊突入断念 「軍が救出を」改憲論浮上:毎日新聞
 海賊事件が多発する東アフリカ・ソマリア沖で乗っ取られた船舶の人質救出策をめぐり、ドイツで論争になっている。海賊に拘束されたドイツ船員らを救うために、独政府は警察特殊部隊をひそかに派遣したが、危険を避け現場突入を断念した。これをきっかけにメルケル独首相らは、より精鋭で大規模な軍特殊部隊を議会決議なしで派遣できる基本法(憲法)改正を呼びかけ、政権内部も含め反論が続出している。【ベルリン小谷守彦】

 ◇「警察では不十分」
 ドイツは、海賊事件が頻発するアデン湾やソマリア沖の航路海運に最も依存する輸出大国だ。海賊対策では米国が求める軍派遣に慎重だったが、メルケル首相の決断で連邦議会承認を経て昨年12月から欧州連合(EU)初の海賊対策海上軍事作戦「アタランタ」に海軍艦船3隻を派遣した。

 救出作戦の対象になったのは、4月4日に乗っ取られたコンテナ船ハンザ・スタバンガー号(乗員24人)。海運業界によると、ソマリア沖海域では昨年から、ドイツ海運業者の依頼で航行する7隻が乗っ取られた。ハンザ号は初のドイツ国籍船でドイツ人船員の人質も初めてという。

 首相府は極秘で危機管理対策本部を置き、連邦警察特殊部隊(GSG9)約200人の投入を決定。多数のヘリを搭載できる米海軍強襲揚陸艦が協力することになった。揚陸艦は4月12日、海賊の人質になった米貨物船船長を救出した奇襲作戦にも出動した。

 米独部隊はソマリア沖で合流し、共同演習を行った。だが、突撃予定5月1日の2日前の4月29日になって、独政府は急きょ作戦を中止した。

 この内幕を独メディアが暴露。米国のジョーンズ大統領補佐官(国家安全保障担当)が「あまりにも危険な作戦だ」と独政府に通告したことが明らかにされた。シュピーゲル誌は、独部隊の不十分な態勢に独国防・外務省自体が不安だったことを米側が察知した疑いを報じた。独政府はこの報道を否定している。しかし、ハンザ号の甲板で見張りの海賊が6人から35人に増え、急襲に備えたのは明白だったという。

 ◇軍活動には制限
 基本法改正論議は救出作戦断念を契機に浮上した。作戦責任者だったショイブレ内相は5月10日付の大衆紙ビルトで「軍がより強力に展開できる基本法改正が必要だ」と主張。メルケル首相もテレビインタビューで「軍の突入部隊と警察のGSG9は非常によく似ている。それぞれの任務を基本法改正により明確にしたい」と語り、軍特殊部隊活用の意向を示した。

 政府首脳の問題提起には、救出作戦で独海軍艦船を出動できなかった反省がにじむ。軍の活動は連邦議会決議で限定され、EUのアタランタ作戦とは別個の単独作戦実施は難しい。与党外交部会長のクレデン連邦議会議員は毎日新聞に「人質解放には最適の部隊を投入すべきだ。艦船、ヘリ、航空機など大型装備を持つ軍がふさわしい」と基本法改正による柔軟な対応策を主張している。

 一方、海運業界は奇襲作戦による人質解放に渋い顔だ。ドイツ海運協会のネル事務局長は「船の内部は非常に入り組み、突入は難しく、関係者が殺される恐れが飛躍的に高まる。特殊部隊なら解放できるという考えは神話だ」と批判した。海運業界は、身代金交渉を何カ月も続ける「平和的解決」に苦心してきた。身代金目的の海賊犯人を、人命を顧みないテロリストと同一視していない。

 ◇海運業界は困惑
 むしろ海運業界は「海賊乗っ取り予防策」として海軍の現地増派を政府に要求している。米・EU各国の軍艦船派遣は成果を上げ、多国籍軍が集中的に監視する「船団航路」ではアタランタ作戦が始まって以来、一件も乗っ取り被害は起きていない。ドイツ海軍高官も「実際に襲撃され、拉致事件が起きるのは船団を離れた船だ」と指摘した。

 ソマリア沖では軍出動により海賊を退散させ、難を逃れる実例が増えている。ネル事務局長は強調する。「人質解放作戦には反対する。それより安全航行できる保護海域の拡大を政府に求めたい」

 独内相の基本法改正提案は「軍は国際法のルールに従い、ドイツ連邦領土外で所管の連邦官庁を支援するため出動することがある」と追加する内容。連立与党の社会民主党にも反対論が沸騰した。9月の連邦議会選挙を見越して、与党の主軸、キリスト教民主・社会同盟を率いるメルケル首相は改憲論議をひとまず棚上げにする構えだ。



軍特殊部隊というのはドイツ陸軍特殊部隊「KSK」の事でしょうね。ドイツは、現在の法体制のままでは軍隊を自由に海外派遣できません。ドイツ憲法はNATO域外でのドイツ軍の行動を禁じていましたが、ドイツ憲法裁判所は1994年に「国連などが要請した軍事作戦ならば、議会の過半数の同意があれば、NATO域外派兵は合憲」としました。つまり根本的に憲法を改正しない限り軍隊派遣恒久法は整備できず、その都度議会を通さないといけません。

6年前にシュレーダー政権のシュトルック国防相(当時)による新国防方針の発表で、既にドイツ軍の中心任務は「専守防衛」から「国際紛争への対処」に切り替える方針が宣言されてはいるのですが、未だに法的な障害は残ったままで、このソマリア派遣が契機となって憲法改正の論議が活発化しているようです。
01時53分 | 固定リンク | Comment (45) | 軍事 |
2009年05月25日
北朝鮮が二回目の核実験を行いました。事前に短距離ミサイル発射の兆候は出ていましたが、囮だったのかそれとも無関係に行われただけなのか・・・



北朝鮮核実験〈朝鮮中央通信の報道全文〉:朝日新聞

【北核実験】露国防省も確認「爆発の威力は20キロトン」:産経新聞

ヒロシマ、ナガサキ級の威力ですか・・・前回の実験は不完全爆発を起こした部分的失敗でしたが、今回の実験は成功しているようです。日本の気象庁の観測ではもう少し威力が低いようですが、最低でも数キロトンから十数キロトンの爆発力は出ているものと思われ、北朝鮮の核兵器が深刻な脅威に発展している事は間違いありません。

同時に発射されたミサイルは恐らく地対空ミサイルSA-2ガイドラインと思われ、こちらはどうでも良い対象です。

もうこうなってしまうと中国も北朝鮮を庇いきれず、安保理での制裁に拒否権を発動しない可能性があり、朝鮮半島の危機レベルはテポドン発射の時よりも更に高まるでしょう。

ところで凄く間の悪い反核平和団体が一つ・・・


原爆資料館「核の地球儀」にイスラエルの保有追加(2009年5月11日)
原爆資料館(広島市中区)は、核兵器を持つ国とその核弾頭数を示す「核の地球儀」から北朝鮮を外し、初めてイスラエルを表示した。出典であるストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の資料に「忠実に従った」と説明している。


僅か二週間前に北朝鮮を外したばかりですが、早速付け替えするんですよね、大変な事です。
17時00分 | 固定リンク | Comment (209) | 軍事 |
何時になったらF-2戦闘機に関する誤解が解けるのでしょうか・・・この動画を見れば、不具合はもう直っている事を理解して貰えると思うのですが・・・

以前書いた記事のコメント欄で去年、小牧基地航空際(2008年10月4日開催)でのF-2戦闘機がデモフライトを行う動画が紹介されていましたが、これはその動画からF-2の飛行部分だけを抜き出したものです。



全体の流れの動画は「'08 小牧基地航空祭 地上展示機 帰投」でも確認する事ができます。ヴェイパーを曳きながら、離陸直後に捻りを加え、急上昇していくF-2戦闘機の姿があります。

F-2戦闘機は対艦ミサイルを抱えて急激な機動を行ったら空中分解する、だなんて与太話を信じている人達は、一体どの位の機動を想定しているのでしょうか。どんな飛行機でも爆弾やミサイルを沢山抱えていたら、機体に掛けるGの制限は当然あります。例えF-15Eストライクイーグルでも同じ事です。F-2戦闘機にだってミサイル搭載時のG制限はあって当然です。問題は、どれぐらいのGまで許されるのかという点です。

動画を見る限りは、かなり激しい機動でも大丈夫だと分かる筈です。
02時49分 | 固定リンク | Comment (357) | 軍事 |
2009年05月18日
遂に長きに渡ったスリランカ内戦が終結しつつあります。LTTEはスリランカ軍の最終攻勢を前に敗北宣言を行いました。

スリランカの「解放のトラ」が敗北宣言、指導者死亡か:読売新聞

LTTE(タミル・イーラム・解放のトラ)の指導者、ベルピライ・プラバカラン議長が自決して死亡したとの情報もありますが、まだ確定ではありません。(死亡が確定しました。自決ではなく射殺されています)



最終決戦場、ムライティブ周辺の海岸線を制圧したスリランカ軍。タンクデサントしていますが乗せ過ぎですね、これ。

映像で海岸から少し沖合いに見える船は、ヨルダン船籍の貨物船ファラーV号。2006年12月23日に座礁し、身動きが取れなくなったところをLTTEに乗っ取られました。その後乗組員は赤十字の仲介によって解放されたものの、LTTEの支配領域であった為に離礁もままならず、放置されていました。




酷い状態の残骸へと成り果てていますが、これはLTTEが鉄板を資材として剥ぎ取った為です。またファラーV号の通信設備も利用されていて、LTTE海上部隊(シー・タイガー)の指揮所としても使用されていました。最後の戦闘でLTTEは船上に迫撃砲を配置して抵抗していましたが、スリランカ軍によって制圧されています。



なおLTTEは最後の戦闘で、何万人もの住民を人質に取り「人間の盾」としました。最終的に残された数千人の人質も今は解放され、自暴自棄となったLTTEによる心中的な大量虐殺に発展する事態(スリランカ軍は実際にそれを警戒していた)は避けられました。それでも戦闘による巻き添えで多くの犠牲者が出ています。

自爆テロ戦術の始祖であるLTTEの殲滅は、しかし対テロ戦に於けるターニングポイントとはならないでしょう。他のテロ組織はLTTEの戦術を真似ただけで、LTTEは他のテロ組織と深い繋がりがあったわけではなく、タミル人独立運動として単独での闘争だったからです。

それでも、第二次チェチェン紛争がロシアの勝利で終結し、イラク戦争がアメリカの優勢下で治安が安定化しつつあり、その中でスリランカ内戦が政府軍の勝利で終結した事は、ゲリラ戦争の困難さを知らしめる結果となりました。

一方、アフガニスタンとパキスタンでは終わりの見えない戦いが今も続いています。
01時44分 | 固定リンク | Comment (69) | 軍事 |
2009年05月17日
イギリス軍がトヨタのプリウスを50台導入、とはいってもイギリス国内の一般道路で使う公用車です。



【話題/車】英国軍、プリウス50台を配備 [05/16] | ビジネスニュース+@2ch掲示板
1 :ライトスタッフ◎φ ★:2009/05/16(土) 17:55:03 ID:???
英国トヨタは15日、『プリウス』50台を英国軍に納車したと発表した。

英国陸軍本部は約6600台の車両を保有しているが、英国政府との協議により、 2011年までに1台当たりのCO2排出量を130g/km以下に抑えることを目標に掲げている。 そのため、英国軍はハイブリッドカー、プリウスの導入を決定した。

50台のプリウスは、18日に日本発表予定の3代目ではなく2代目だが、そのCO2排出量は 104g/kmと依然として欧州ではトップクラス。ヴォクスホール(オペル)『ベクトラ』の代替車として配備された。ちなみにベクトラのCO2排出量は154g/kmだから、プリウスとの差は歴然だ。

プリウス50台はリース契約となり、リースはVTグループとLexビークルリース社が担当。車両の納車やメンテナンスはトヨタRRGグループが受け持つ。15日に行われた納車式では、英国軍のニック・ミレン大佐がさっそくプリウスに乗り込み、トヨタRRGのハイブリッドスペシャリストから、操作系などのレクチャーを受けていた。

英国軍の調達担当、マーク・アームストロング氏は「軍用車は年間、かなりの距離を走行するため、コンスタントに代替する必要がある。代替に際しては、環境性能が高くコストパフォーマンスに優れる車両を探していた。プリウスは2011年のCO2削減目標にかなう車」とコメントしている。

英国政府はEVなど次世代環境車の普及において、世界のリーダーを目指している。今回の英国軍へのプリウス配備も、その一環といえそうだ。

●画像
http://images2.carview.co.jp/news/car/images/imgres124700_1_r.jpg
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armyprius.jpg

◎ソース http://www.carview.co.jp/news/0/108319/



84 :名刺は切らしておりまして:2009/05/16(土) 19:02:18 ID:uhzyqPiX
迷彩塗装のプリウス萌え〜


85 :名刺は切らしておりまして:2009/05/16(土) 19:05:33 ID:A1JqTqoL
トップギアでジェイミーがブチ切れそうな話題だなーw


86 :名刺は切らしておりまして:2009/05/16(土) 19:06:48 ID:tffIn2uj
トップギアでは機関銃でプリウスを蜂の巣にしてたぞw


87 :名刺は切らしておりまして:2009/05/16(土) 19:08:38 ID:sKTEakFq
初代プリウスはリアルでゴミだったからな。
2代目は神だが。


88 :名刺は切らしておりまして:2009/05/16(土) 19:09:42 ID:omMprg6q
>>78
公共入札だから外国企業も参入できる。イギリスの納税者から見れば
同一目的の為の歳出を削減できる。が、デメリットをどう評価するかが難しいな。


89 :名刺は切らしておりまして:2009/05/16(土) 19:10:25 ID:ztWMruf7
正直うらやましいな


90 :名刺は切らしておりまして:2009/05/16(土) 19:13:29 ID:CYueZcIh
日本もケーターハムの車採用すれば面白い事に


91 :名刺は切らしておりまして:2009/05/16(土) 19:17:03 ID:y9aZ+yTt
またトップギアのネタが出来たな


92 :名刺は切らしておりまして:2009/05/16(土) 19:18:03 ID:kpHI+FQz
>1台当たりのCO2排出量を130g/km以下に抑えることを目標に掲げている。
>そのため、英国軍はハイブリッドカー、プリウスの導入を決定した。

ここ読む限りは、仕様書に基づいて機種選定したみたいだよな。リース業者とは競争入札したのかもしれんが・・


93 :名刺は切らしておりまして:2009/05/16(土) 19:20:04 ID:Z9lB2zq2
>>80
わかってるけど想像したら楽しいだろ
「超・低排出ガス戦車」とかさ。


94 :名刺は切らしておりまして:2009/05/16(土) 19:20:32 ID:EJsg+7JA
こんなんじゃねー
http://cgi.2chan.net/f/src/1242469207062.jpg

collage.jpg


95 :名刺は切らしておりまして:2009/05/16(土) 19:23:18 ID:Ti+6Jqpu
みずぽが「トヨタは兵器を輸出している」とか言いそうw


96 :名刺は切らしておりまして:2009/05/16(土) 19:24:55 ID:0S2x3YzN
ってことは、軍用バイクはスーパーカブだな


97 :名刺は切らしておりまして:2009/05/16(土) 19:26:16 ID:hZEF0Gkz
こいつはいい的になるぜえ!


98 :名刺は切らしておりまして:2009/05/16(土) 19:28:14 ID:EJsg+7JA
>96
ベトナム戦争では実際にゲリラがカブに乗ってて、輸出禁止になったな。


99 :名刺は切らしておりまして:2009/05/16(土) 19:29:06 ID:wiPHyEYx
>>94 仕事はえーよw


遂に装甲プリウスがアフガニスタンの戦場を疾駆する時が来たコレ!・・・ってな話では無いですw

しかし勘違いした人が「プリウス兵器を回収しろ!」って言い出さないでしょうか。なにしろパナソニックのノートパソコン「タフブック」がアメリカ軍に採用されていた時に、「パソコン兵器を回収しろ!」とキャンペーンを張っていた杉原浩司という平和運動家も実際に居ましたからね。

Kojii.net - Opinion : 松下電器はパソコン兵器の回収を、だって !? (2006/5/1)
Kojii.net - Opinion : 松下電器はパソコン兵器の回収を、だって !?・その後 (2008/3/10)

ちなみにこの杉原浩司さん、ミサイル防衛反対キャンペーンの旗手でもあります。

さてそれは置いておいて・・・イギリスの軍ネタ満載の車情報番組「トップギア」はこのネタをどう扱ってくれるのだろう?



過去にプリウスを蜂の巣にしちゃってるんですよね。まさか自国の軍隊がプリウスを採用する事になるとは、思ってなかったんだろうなぁ。番組の企画で迷彩塗装の装甲プリウスを造ってくれたら、蜂の巣の件を水に流してあげてもいいかも。
19時47分 | 固定リンク | Comment (65) | 軍事 |
少し笑いましたけど、基本的にはどうでもいいかな。

ピースボート護衛受ける ソマリア沖 - MSN産経ニュース
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自分達の主張に殉じて護衛を受けるな、だなんて言う気は無いです。でもこれで「ソマリア沖を通らず喜望峰回りルートを選択しろ!」という主張が完全に終わっちゃいましたね。
19時14分 | 固定リンク | Comment (124) | 軍事 |
2009年05月11日
3月末の事、ロシア軍チェチェン人部隊「ヴォストーク大隊」の司令官を解任されて、半ば亡命に近い形でUAEドバイに滞在していたスリム・ヤマダエフが暗殺されました。ロシア軍がグルジアに侵攻した時は大隊を率いて作戦に参加していましたが、その後にチェチェン共和国の政敵であるラムザン・カディロフ大統領によって放逐されていました。ヤマダエフ暗殺の黒幕はカディロフでほぼ間違いないと思われます。

チェチェン大統領と対立していた人物、UAEで暗殺か:時事通信

この二人は、いやこの二つの氏族は、元々はチェチェン独立派でした。しかしチェチェンに流入してきたイスラム原理主義過激派の武装組織と袂を別ち、ロシア側に寝返った勢力です。内戦が始まってチェチェン独立派はイスラム原理主義過激派と結び付きましたが、本来チェチェンで一般に広く信仰されているイスラム教は、地域の土着信仰と融合したスーフィー派でした。これは宗教的に見れば緩い穏健派で、厳格なワッハーブ派から更に原理主義に走った過激派とは、本来は相容れないものでした。ワッハビーはスーフィズムをイスラム教とは認めず、単なる土着信仰に過ぎないと考え、改修を迫って来ました。そして宗教間対立が生まれて仲違いしていったのです。ワッハーブ派武装組織は素行も悪く、物資の調達で村落を襲撃する事もありました。こんな事をしているので現地でロシア軍よりも評判が悪いくらいで、チェチェン一般市民達は彼らを毛嫌いしていきました。第一次チェチェン紛争が一旦終結した後に、停戦協定を破り再びロシアとの戦争を始めたのはワッハーブ派武装組織であり、一般市民からすれば彼らはロシア人と同様に戦争を持ち込んできた招かれざる勢力でした。

こうしてチェチェン独立運動は内部分裂し、更には歴代の指導者が尽くロシア軍との戦闘で殺害され、あるいは暗殺され、首都グロズヌイは戦略爆撃と弾道ミサイルで崩壊し、紛争は終焉へと向かいます。ロシア側に寝返った勢力が増えてきたことで、チェチェン独立派は大きく数を減らし、第二次チェチェン紛争はロシアの勝利によって幕を閉じました。勝利と言うと語弊があるかもしれませんが、優勢のまま撤収に漕ぎ付ける事が出来たのです。




泥沼のチェチェン紛争は、アフガン侵攻と同様にロシアは敗退するだろう・・・この大方の予測は覆り、エリツィンからバトンを渡されたプーチンが決着を付けたのです。これと同様にイラク戦争もアメリカ優勢のまま撤退が可能なレベルにまで治安を改善し、オバマにバトンを渡す前にブッシュが平定の道筋を付けることに漕ぎ付けました。イラク戦争はベトナム戦争の二の舞になるという予測は、外れつつあります。




この二つの紛争が大国の優位に進んだのは、現地武装勢力の分断に成功した事が上げられます。宗教間対立を上手く利用し、過激派から民衆の支持を失わせて、逆に宗教的には穏健で戦闘力は有力な武装勢力を味方に付け、イスラム原理主義過激派の武装勢力を追い出す事に成功しました。チェチェンではヤマダエフ、カディロフといった有力氏族を、イラクではスンニ派武装勢力を寝返らせています。イラクでは2007年ごろに過激派テロリストが毒ガス(塩素ガス)攻撃を行いましたが、スンニ派武装勢力はこのような非道な真似に付いて行けず、アメリカ側に寝返る勢力が続出し、これを裏切りとみなし過激派テロリストがスンニ派民間人も毒ガス攻撃の標的になり始めると、益々スンニ派の離反が相次ぎ、毒ガス攻撃は返って逆効果になる事を思い知らされた過激派テロリストは、最近では毒ガスを用いたテロを行っていません。

チェチェンとイラクは抵抗勢力の敗退という形で決着を迎えつつあります。一方アフガニスタンの対タリバーン戦はパキスタンへと戦火が飛び火し、両国に跨っているパシュトゥーン民族の内部に潜むタリバーン勢力との終わりの見えぬ戦いが今も続いています。パキスタンでは一旦和平に漕ぎ着けましたが、和平期間中にタリバーンは勢力を拡大し首都イスラマバードに100kmまで迫った為、パキスタン政権はタリバーンとの和平協定を破棄、戦闘機や戦車を含む重装備を持って本格的な反撃を行い、駆逐しつつあります。しかし根絶を行うまでには、何らかの有力な手段(政治的軍事的に機能するもの)を見つけない限りは、これまでと同様に一進一退を繰り返す事になるでしょう。

しかしチェチェンとイラクとて不安定要因は今も抱えたままです。チェチェンのカディロフ政権は政敵であるヤマダエフ氏族を複数名、暗殺しており、チェチェン共和国を独裁恐怖政治で牛耳ろうとしています。ロシア軍の撤退はカディロフの独裁化を助長する事になり、果たしてそれが上手く行くのか、まだもって未知数です。

ヤマダーエフ殺害事件から見えてくるもの 岡田一男(映像作家) - チェチェン総合情報 Annex

ここは日本でのチェチェン独立運動擁護派のサイトです。イラク戦争でアメリカを批判する勢力やガザ紛争でイスラエルを批判する勢力は日本にも多いのですが、チェチェン紛争でロシアを批判する勢力は大変少なく、省みられる事は多くありません。

だから彼らは実現不可能と自分達で認識しているパフォーマンスを行い、耳目を集めようと必死です。

No.289 【声明】プーチン首相を逮捕せよ! - チェチェン総合情報 Annex

このパフォーマンスは産経新聞が取上げましたが、今の所、他のマスコミは報じていないようです。私は、このようなパフォーマンスが良い行いだとは思いません。確かに日本のマスコミや反戦平和団体はチェチェン紛争には冷淡でした。だから何とかして注目して貰いたいという願いは分かります。ですがこれでは、無茶な要求を唱えて駄々を捏ねる幼稚な集団と思われかねず、運動としてはマイナスでしょう。

ただし、ロシアはチェチェンで、アメリカやイスラエルが浴びたような大きな国際的非難を受けたようには見えません。この差別に異を唱える行為は、誰かがしなくてはならない事だとは思います。だからこそ、もう少しやり方を考えられなかったものでしょうか。
22時15分 | 固定リンク | Comment (204) | 軍事 |
2009年05月10日
この件、あまり報道されていませんよね。良い提案だと感心したのですが・・・


ソマリア沖海賊対策、中国が護衛海域分担案 「効率高まる」:日経新聞
【北京=佐藤賢】中国政府が東アフリカのソマリア沖の海賊対策を巡り、軍艦を派遣している各国に、護衛海域を分担して共同対処するよう提案していることが2日、明らかになった。現在は軍艦が自国にかかわる民間船舶に併走して安全を確保する「護送船団方式」を採用する国が多いが、国別の海域分担制に変えて効率を高めるのが目的。国際航路の安全確保に向けた国際協調体制を主導する狙いもある。

中国が米国などと担当海域を分担すれば、部隊運用で初の共同対処になり、中国と国際社会との軍事交流は新たな段階に入る。日本政府は中国の意図を分析しながら提案に乗るか慎重に検討している。


日本も海賊対処法案を通し次第、これに乗るべきでしょう。アメリカ、NATO、ロシア、インドにも声を掛けて実現できれば、世界の主要国全てが「人類共通の敵(海賊行為は国際法でそういう扱いを受けている)」に共同で対処する、人類史上でも稀有な事例が発生する事になります。

この提案が中国から出てきたことに驚いています。しかし、彼らの現地での活動内容を見ればこの発想に至った理由はよく分かります。中国海軍は当初、自国の船舶だけを護衛する気で行きました。現地で活動するアメリカ艦隊とNATO艦隊はそれでも歓迎、中国が自分達の船を自力で守れば、その分だけ全体の負担が減るからです。しかし実際に中国艦隊が現地で活動を開始すると、自国の船舶だけ守るというわけにはいかなくなりました。他国の船舶からの救難信号をキャッチした上で見捨てるような真似は出来ません。結局、中国艦隊は緊急時には積極的に他国の船舶の救援も行う事になりました。そうです、日本の派遣艦隊も同じ状況になっており、日本船舶の護衛だけをするつもりが、現実には短期間の内に何度も他国の船舶を救援に駆け付けるようになっています。

結果的にどうしてもそうなってしまうのなら、最初から各国海軍で分担して護衛や警戒を担当すれば効率が良い・・・誰でも思いつく発想です。ですが、複雑な国際関係の中でそのような提案をするのは現実には難しい面があります。そんな中で、普段はこういう提案に対する障害となる事が多かった中国から言い出してきたことは、大きな意味を持ちます。
21時39分 | 固定リンク | Comment (92) | 軍事 |
2009年05月08日
オーストラリア国防省の発表した2009年度防衛白書には、潜水艦6隻体制を倍増して12隻体制に移行する事を中心に、大規模な軍拡計画が記されています。

豪、30年までに潜水艦倍増 12隻に 09年度版国防白書:日経新聞

(PDF) Defence White Paper 2009 | Australian Government, Department of Defence

オーストラリアはこの軍拡を行う理由に、中国の軍拡とそれに伴う地域全体の軍拡に対抗しなければならなくなった為と説明しています。つまり中国が直接の仮想敵というよりは、中国の軍拡のせいで自分達(オセアニア地域)の目の前の東南アジア地域が軍拡を行っているのが原因となっています。具体的に言えば、オーストラリアと目と鼻の先にあるインドネシアの海軍戦力増強に対抗する必要性が出てきたからです。

実はインドネシア海軍も2024年までに潜水艦を12隻体制にしようと計画しています。現状でドイツ製Type209潜水艦を2隻保有し、最近新たにロシア製キロ級潜水艦を2隻購入していますが、近い将来にさらに潜水艦の数を増やすというのです。もしそうなればオーストラリア海軍の潜水艦6隻体制では対抗しきれなくなることから、こちらも12隻体制に移行するということになったのでしょう。

東南アジア地域では、各国海軍はあまり潜水艦に力を入れてきませんでした。インドシナ半島で1、2の軍事力を擁するタイ、ベトナムは潜水艦を保有しておらず、マレーシアも保有しておらず、この地域で潜水艦を運用していたのはシンガポールとインドネシアぐらいで、それぞれ数隻程度のものでした。これは潜水艦という兵器が船団護衛任務に使えないなど汎用性に欠ける為と、運用ノウハウを取得する事が大変なものだったからです。

ところが、中国の急速な海軍力を増強し、外洋艦隊を編成してこの地域に進出してくる可能性が高まってきました。遂には大型空母まで建造する事が確定し、東南アジア諸国は中国海軍の機動部隊に対抗する戦力を用意する必要に迫られました。しかし国力的に予算面でそのまま対抗できる筈がなく、相手が空母を持ってくるならこっちも空母だ、とやるのは不可能です。そこで安価に敵機動部隊を無力化できる兵器、それが潜水艦というわけです。

最近、ベトナムはロシアからキロ級潜水艦6隻を18億ドルで購入する計画であることが分かりました。これまでまともな潜水艦を運用してこなかったベトナムが、国家財政的にもかなりの無理をしなければならなくなったのは、中越戦争以来の仮想敵国である中国の大幅な海軍増強が原因である事は明白です。マレーシアもフランス/スペイン共同開発のスコルペン級潜水艦を2隻購入する計画が進行しており、潜水艦を初めて運用する国が次々と出ています。タイも潜水艦導入に踏み切るのは時間の問題と思われます。

シンガポールは現在、中古で購入したスウェーデン製スヨルメン級潜水艦を4隻保有しています。後継はやはり中古で購入するスウェーデン製ヴェステルイェトランド級が予定されており、シンガポール海軍はスウェーデン海軍の潜水艦のお古を熱帯仕様に改修して使っています。

現状で東南アジア諸国の稼動している潜水艦戦力は、シンガポールとインドネシアが保有する潜水艦を合わせても6隻でしかありませんが、今後20年以内にインドネシア×12、ベトナム×6、シンガポール×4、マレーシア×2で合わせて24隻。これにまだ計画は決定ではありませんがタイもべトナムと同程度は保有するでしょう。マレーシアもシンガポールの隻数を考えればもう2隻の追加が考えられます。これで32隻。

つまり東南アジア諸国の保有する潜水艦は一気に5倍以上へと跳ね上がるわけで、これは中国海軍が保有する潜水艦から旧式艦を除いた数に迫るか、むしろ抜いてしまう数になり、かなり強力な戦力となります。

中国が始めた海軍力の大増強は、近接する地域全体の緊張を一気に高める軍拡競争を引き起こし掛けています。潜水艦は現代の海戦に於ける最強ユニットであり、通常動力潜水艦は待ち伏せによる沿岸防御用にも秀でていますが、自国の海上通商路を保護するという任務には全く不向きで、逆に敵国の海上通商路を破壊する用途に適しています。そんなものが日本の海上通商路沿いで、急激に増殖してしまう羽目になってしまう・・・将来、何時これらの何処かの国が敵に回るかもしれないと考えると、気が重い話です。
22時14分 | 固定リンク | Comment (76) | 軍事 |