このカテゴリ「軍事」の記事一覧です。(全420件、20件毎表示)

2008年02月20日
夜に家に帰って来るまでこの事故に気付いていませんでした。ニュースを見て驚きました・・・一体、ワッチは何をしていたんだか・・・ハワイ帰りで気が緩んでいたとしか思えない。漁船が無灯火で無かった以上、例え片側しか点灯していなかったとしても、自衛艦側に責任があるでしょう。この事故の場合は航海用レーダーの問題ではなく、単純にワッチ(海事用語で航海当直の見張り員のこと)が漁船を見落としていた事が事故原因です。




最新鋭艦が、就役から1年近く経って・・・乗組員も艦に十分に馴れている筈。インド洋派遣で、国内居残り組艦艇の人員定数割れが酷くなって大変になっている、だなんて言い訳も通りません。戦闘で支障を来たすというならともかく、只の通常航海でそんな情けない主張など出来る筈も無いでしょう。責任者は処罰されなければならないし、行方不明の漁船の二名の捜索に全力を尽くさなければなりません。あってはならない事故で、自衛隊は謝罪しなければいけません。


ですが。ドサクサ紛れに全く無関係な事を結び付けて批判を行う事は、謹んで頂きたいと思います。


膨大経費、MDに逆風も イージス艦衝突事故:共同通信
防衛省内では、今回の事故がMD計画に波及することへの懸念がすでに生じている。同省幹部は「足元の国民を守ることさえできずに、莫大な金を出して配備する必要があるのかと言われかねない」と話す。


この共同通信の伝える「防衛省幹部」なる人物が実在するとは思えません。今回の事故とMDを関連付けるのは、あまりにも関連性が無いと言うか突拍子が無いというか・・・まだ誰もそんな事を言い出していないのにマスコミにこんなコメントをしたら完全に薮蛇でしょう、そのような間抜けの存在は不自然です。

それでもまだ今回の事故の件とMD計画を結びつけて「イージスMDは駄目だ」と言うのであれば、その代替として地上配備型迎撃ミサイル(GBI)やTHAADシステムの導入ないし同等品の自主開発を選択する方法もありますから、イージスMDのみを叩いた所で日本のMD計画は頓挫するわけではありません。そうなると、今回の事故の件に絡めて批判できるMDはイージスMDだけですから、そのようなMD批判をしたところで特に意味は無いのです。
03時12分 | 固定リンク | Comment (223) | 軍事 |

2008年02月13日
「ゲリラに対処」新型戦車を公開=通信機能高め、軽量化も−防衛省:時事通信

(時事通信Yahoo掲載写真)

1両7億、陸自が新型戦車:産経新聞 

↑現在、掲載写真が総計84枚に増殖中

新型戦車:20年ぶりモデルチェンジ…試作車公開 防衛省-毎日jp



レオパルト2A5のショト装甲風味なものを採用しているので、パっと見、似ています。一瞬、メルカバMk.4にも見えましたが、気のせいでした。これまで発表されていたTK-Xの完成予想図とはかなり違った印象です。

完成予想図前期イラスト:Missiles & Armsより
完成予想図後期イラスト:2005年防衛白書より

砲塔のシルエットは側面の空間装甲がある分、90式戦車より大きいです。RPGなどで側面攻撃を受けることを想定した対処なのでしょう。それに産経新聞掲載写真2の側面写真を見ると、TK-Xは車体サイドスカートの下に更にゴムスカートを付けています。(新開発の足回りを隠す為か、消音対策なのか)そして価格の7億円は、90式戦車よりも安く、ほぼ同時期に開発された韓国の新型戦車K-2が83億ウォン(約9億円)であるのと比べてもかなり安いです。産経新聞は7億円を高いかのように書いていますが、間違いです。

細かいスペック、主砲や車体長の詳細、即応弾の数、エンジンの詳細など、これから少しずつ出てくると思います。重量44トンだというのは公式公開の前から情報が出ていました。すると主砲は50口径というのも本当なんでしょうか。50口径にしては全長が短い感じもしますが、エンジンが小さく纏まっている為に短くなっているのかもしれません。

産経新掲載写真:9枚目

側面写真を見る限り短めの砲身です。50口径砲ではなく44口径?


TK-X - Wikipedia

90式戦車 - Wikipedia

74式戦車 - Wikipedia
12時56分 | 固定リンク | Comment (306) | 軍事 |
2008年01月30日
ロシアの独立新聞(Независимая газета:ニェザヴィーシマヤ・ガゼータ)が以下のように報じています。

Военно-экспортный тупик
(兵器輸出が袋小路に陥った)
Москва теряет крупнейших импортеров оружия
(モスクワは最も重要な兵器輸入業者を失います)


原文のロシア語記事は長いので、以下の時事通信の要約記事をご覧下さい。


ロシアの対中兵器輸出、ほぼゼロに=最新鋭技術の提供めぐり対立:時事通信
 【モスクワ29日時事】ロシア紙・独立新聞は29日、ロシアの中国向け兵器輸出がほぼゼロに激減していると伝えた。この問題を協議するため、セルジュコフ国防相が5月のプーチン大統領退任までに訪中する可能性があるという。
 
ロシアから中国への兵器輸出は最近まで、年間18億〜20億ドルに上り、兵器輸出全体の約4割を占めていた。しかし、同紙によると、ウズベキスタンにある軍需工場の技術者不足から、総額15億ドルに上る軍用機輸出契約が最近頓挫し、現時点で大型契約は残っていない。

また、対中警戒感が根強いロシア軍内で、中国に最新鋭兵器をどこまで提供するかをめぐり意見が統一されていないことから、中国が求める兵器の売却やライセンス生産の権利付与に応じていない。ロシアは一方で、インドには戦闘機を含む最新鋭兵器を売却しており、中国側の不満が高まっているとされる。


ロシアと中国の兵器取引関係悪化は、数ヶ月前からジェーン・ディフェンス・ウィークリー(JDW)でも語られており、購入して暫くしたら勝手にコピー品を大量生産する中国のやり方に嫌気が差したロシアが怒ったのではないか、とKojii.netの井上孝司氏の見解です。

しかし結局の所、この関係悪化は一時的なもので、中国はロシアからの兵器輸入に頼らざるを得ないという分析も為されています。以下は昨年11月の、アメリカのUPI通信の分析です。


Analysis: China eyes new Russian tech - UPI.com
Military observers based in Moscow and Beijing say they believe the recent nadir of military cooperation between China and Russia is only temporary. China will have to rely on Russia to develop its military technologies, as Beijing has no other alternative.

The first new project involves Su-33 shipborne fighters. Experts from the Russian aviation industry are convinced that China is about to start the construction of an aircraft carrier.


「モスクワと北京に拠点を置く軍関係者は、最近の露中軍事協力でドン底まで悪化した関係は、一時的なだけであると言います。北京は他のいかなる選択肢も持たず、中国はその軍事技術を開発するためにロシアに頼らなければなりません。

(空母戦力化の為の)最初の新しいプロジェクトは、Su-33艦上戦闘機を必要とします。ロシア航空業界の専門家は、中国が航空母艦の建造を始めようとしていることを確信しています」

冷戦時代にソ連との関係が悪化した中国は、敵の敵は味方の論理で西側と接近を図り、軍事技術協力を得ようとしましたが、天安門事件でその関係は崩れ、冷戦終結後にロシアと再接近を図り、大量のロシア兵器を購入してきました。しかしロシアは国境を接する中国への兵器輸出に制限を設け、T-90戦車は売らず、フランカー戦闘機も最新型レーダーを搭載したバージョンは売っていません。(一方、地理的にロシアと敵対し得ないインドには最新ロシア兵器が納入されている)

このような状況に不満を募らせる中国は、西側との兵器協力関係を再開したいと考えていますが、アメリカの反対に遭いヨーロッパは二の足を踏んでいる状態で、何時になったら再開できるかは目処が立っていません。そこで中国は仕方なく戦略的パートナーであるパキスタンと兵器共同開発を行っていますが、パキスタンは特筆するような独自技術を持っているわけではなく、金銭的にも裕福な国では無い為に開発資金出資額も限定され、中国が独自開発するのと似たり寄ったりの結果となっています。
21時21分 | 固定リンク | Comment (82) | 軍事 |
2008年01月11日
飛行停止措置の取られていた米空軍のF-15戦闘機(除くE型)ですが、このほど漸く飛行再開となりました。ところが検査の結果、機体構造の疲労が予想以上に進んでいた機が結構な数に上っていたみたいで・・・。

以下は「純銀16%weblog」さんによるロサンゼルス・タイムズ紙の纏め。



Air Force may shrink its F-15 fleet
[LAT 1/9]
(本文略&まとめ)
  • 空軍はF-15部隊を縮小する
    • 機体構造が寿命を迎えたっぽい

    • 180機は二度と飛べないほどヤバス

    • F-15Eはまだおk

    • 仕方ないのでF-16飛ばしてる
  • 空軍の中の人「F-22が倍ぐらい欲しい」

  • 国防長官な人「給油機だけかと思ったら戦闘機も老朽化していた」



元々、F-15戦闘機(E型除く)の設計寿命は4000飛行時間と想定されていました。しかしその後、強度試験を経て「新素材や新設計部品のおかげでもっと長く使える」と判定され、倍の8000時間に延長されました。

今になって機体のロンジェロン(Longeron:縦通材)に経年劣化による金属疲労が目立ち始め構造破損「Structural Failure」が問題になっているのは、機体寿命8000時間に延命した見積もり予測そのものが甘かったのだと言えるでしょう。当初の設定通り4000時間のままだったならば、今頃慌てるような真似にはなっていない筈です。

しかしこうなった以上、F-15の代替問題を考えねばなりません。最悪の場合、180機が補修作業すら出来ずスクラップとなる運命で、これをF-22で代替できれば空軍としては嬉しいでしょうが、予算的に非常に苦しく、かといってF-35は本格的に量産開始されるまでまた暫く掛かります。するとF-15EやF-16Cの再生産で補充という線が出てくるわけですが・・・これに日豪の「F-22獲得キャンペーン」が絡んでくるのでまたややこしくなります。更にF-35は依然として諸問題を抱え(先行量産機AA-1はエアインテイクの改修問題で、まだマッハを超えられていない)、これに大統領選挙が加わり(候補者の方針如何で調達計画は大きく影響を受けるでしょう)、事態はどうしてよいのやら議会ではなかなか結論を下せそうにありません。
00時37分 | 固定リンク | Comment (89) | 軍事 |
2008年01月10日
オーストラリアの新しい左派労働党政権は、軍事力の整備については前保守党政権よりもアグレッシブで、更なる軍事力強化に勤しもうとしています。左派政党が政権を取れば、ミサイル防衛が見直され、イージス艦や空母の購入計画が見送られるかと思っていた人も多い筈ですが、そのような動きは全く有りません。

それどころか前政権が取得を諦めたF-22ラプター戦闘機を、やはり購入したいと名乗りを上げたのです。


Australia wants the US F-22 Raptor for RAAF | Herald Sun
THE Australian Government wants to include one of the world's most expensive fighter jets, the US-built F-22 Raptor, in its lineup of deadly weapons.

Russian-built Sukhoi and MiG fighters will also be on the table when Defence Minister Joel Fitzgibbon sits down with air force chiefs to review the nation's air combat capability.

Until now, US law has banned the export of the Raptor to any country, even close allies such as Australia, but Mr Fitzgibbon said he would take up the matter with the US.

"I intend to pursue American politicians for access to the Raptor," he said.


ソースがヘラルド・サン(大衆紙)ですが、ジョエル・フィッツギボン国防相とのインタビュー形式なので、嘘は無いでしょう。まだこれは国防相としての見解であり、オーストラリア政府としての公式見解ではありませんが、そのまま政府方針となる筈です。実は野党時代の2006年にも労働党は、政府に対し導入予定のF-35の代わりにF-22を購入するよう進言しているからです。

Buy Raptor instead of JSF, says Labor | The Australian April 06, 2006

政権交代で軍事計画が全面的に見直される事になりましたが、F/A-18E/F戦闘機配備の話や、F-35計画そのものまで白紙化されかねない勢いです。そしてその代替はより強力な戦力を望んでいます。

こうして捕鯨問題では衝突している日豪ですが、軍備計画については共闘する事になりました。

日本は「F-22を売ってくれないなら自主開発するぞ」とアメリカを牽制しましたが、オーストラリアは「F-22を売ってくれなければロシア製戦闘機を買うぞ」と言い出しました。なまじ左派政権だけに勢い余って本当にロシア戦闘機を購入してしまいかねず、政権交代したが故の脅迫効果が出ています。

フィッツギボン国防相は、あらゆる可能性が選択肢にあるとして、ロシア製のSu-35戦闘機やMig-29戦闘機の名を上げました。記事ではSu-34の名も挙がっています。オーストラリア軍の用兵上、航続力はなるべく長いほうがよいので、脚の短いMiG-29は考えられず、Su-35については隣国インドネシアが同じフランカー系列のSu-30MKを配備しているので選び難い面があります。Su-34も同じフランカー系列ではありますが、これは面白い選択かもしれません。Su-34はシリーズ中でも最も特異な機体であり、そしてオーストラリア軍が運用しているF-111アードバーク戦闘爆撃機と大変似通った性格を持った機体です。

長大な航続力。高い爆撃能力。並列複座配置の二人乗りコクピット。Su-34はF-111と多くの共通点を持っています。Su-34は東側のF-111とも言えるSu-24「フェンサー」の後継機ですから、より進化した戦闘爆撃機です。オーストラリア軍は広大な国土を少ない兵力で守るため、高い哨戒能力が求められます。二人乗りでコクピットに簡易ベッドやキッチンまで備えるSu-34ならば、長距離飛行も快適に過ごせます。F-111の代替としては最適と言えるかもしれません。(アメリカはF-111の代替にB-1戦略爆撃機を売り込んだこともあるが、あまりにも高価なので商談にならず)

しかしオーストラリアの求めるものが何よりも「空戦性能」であるならば、F-22以外に選択肢はありません。


Kojii.net 1/8更新分 (DefenseNews 2008/1/7)
オーストラリアの Joel Fitzgibbon 国防相は近く、オーストラリア空軍の航空戦能力に関する評価作業に乗り出す。F-35A の調達に関する意志決定に備えたもの。現行の F-111C/G×21 機、F/A-18A/B×71 機、B.707 給油機は、200 億豪ドル (176 億ドル) F-35A×100 機、B.737 AEW&C "Wedgetail"×6 機、A330MRTT (KC-30B)×5 機で代替する計画になっている。それとは別に、F-111C/G の退役と F-35A 導入までのギャップフィラーとして F/A-18F×24 機を 60 億豪ドルで調達する予定。F-35A は 10 月に議会による "2nd Pass Approval" を控えており、この承認を得られると初めて発注が可能になる。

オーストラリアでは以前から、F-35A では Su-27/30 に対抗できないとして F-22A の導入を求める声がある。


前政権の予定ではF-111の退役による穴埋めは、グローバルホーク無人偵察機の導入で哨戒能力については確保し、F-35は空中給油機の活用で航続力の不足をカバーする筈でした。(それにF-111に比べれば劣りますが、F/A-18と比べればF-35は航続力が高い)

ところがF-35計画の遅延により導入時期は遅れることが確実で、機体単価も上昇する事が問題となり、兼ねてからF-22導入論のあったオーストラリアは日本と共にアメリカに対しF-22購入を購入できるよう、要請していく事になりました。F-22はF-35よりも航続力が高く、空戦性能では大きく優越しています。しかし果たして、日豪両国はF-22を購入できるのでしょうか? 現状では全く見通しが立っていません。
18時29分 | 固定リンク | Comment (76) | 軍事 |
2008年01月02日
今やエコロジーの時代です。当然、軍隊だって環境問題を考えなければなりません。最近、ヨーロッパのAFV(Armored Fughting Vehicle:装甲戦闘車両)はEURO-III排ガス規制に対応しているのが当たり前で、アメリカや日本でもAFVのクリーン排ガス化は当然のように行われています。

そして以前、以下のような報道がありました。


地球に優しい自衛隊を・・小池環境相、防衛庁で講演 [2006年6月30日 熊日新聞]
小池百合子環境相は29日、防衛庁で幹部自衛官らに地球温暖化問題で講演。 「自衛隊の二酸化炭素(CO2)排出量は数百万トンに上るのではないか」とした上で、「ハイブリッド戦闘機とか燃料電池戦車とか、環境の観点からの発想は安全保障の面でも大きな効果をもたらすのではないか」と”持論”を展開した。しかしあまりの奇抜さに反応はいまひとつだった。


これを読んで「ハイブリッド戦闘機って何だ?」「燃料電池戦車・・・」「環境最優先では馬力が落ちてしまう。軍事の現場を知らないのじゃないか」という感想を抱く人も多いでしょう。(最後の感想文は小池百合子氏が防衛庁長官に就任した頃のゲンダイ記事2007/7/4より)・・・ですが、そういった認識は誤りです。実はこの環境相時代の防衛庁での講演内容自体は、あながち間違ってはいないのです。結果的には正しいとすら言えます。(偶然の可能性が高いけれど)

信じられないかもしれませんが、ハイブリッド戦闘機は過去に存在しており、将来にまた出現する可能性が高いのです。燃料電池を軍用車両に活用する可能性については、ごく近い将来に現実の物となるでしょう。燃料電池潜水艦は既に実用化されています。そしてハイブリッド戦車ならば、もうすぐ登場します。それどころか近い将来、あらゆるAFVはハイブリッド化される可能性があります。海軍の戦闘艦についても同じ事が言えます。

アメリカ軍が現在開発している次世代AFVの数々は、ことごとくハイブリッド化されているのです。


MCS (戦車) - Wikipedia

米陸軍、ハイブリッド大型トラックの評価テストを開始|WIRED VISION

Shadow RST-V - Army Technology


『MCS』はアメリカ陸軍の開発している戦車で、FCS(フューチャー・コンバット・システム)で用意される派生車両の戦車版です。動力ユニットはディーゼルエンジンとモーターで構成されるシリーズハイブリッド(エンジンは発電に専念する)方式。

ハイブリッド大型トラックの『FTTS-MSV』はパラレルハイブリッド(モーターアシスト)方式。

海兵隊の開発している『シャドウRST-V』はホイールインモーターのシリーズハイブリッドですが、大型リチウム-イオンバッテリーを搭載したプラグインハイブリッド(電池に電気を供給する)方式の要素もあり、ユニークな点として完全電動走行モードによる静粛走行性を生かした偵察車両として期待されています。まだ計画にはありませんが、補助電源として燃料電池を搭載すれば静粛走行モードのまま大速力が発揮出来ます。

この三種類のどの車両も燃費の改善を視野に入れています。燃料消費量が少なくなれば、それだけ兵站が楽になり、軍隊の行動に戦略面で大きな利点が生まれます。また、RST-Vのようにモーター駆動による静粛走行性が戦術的な利点にも成り得ます。近い将来、アメリカ軍のAFVはハイブリッド車両ばかりで構成されていくことになるでしょう。

そして海軍艦艇でも同じ動きがあります。通常動力潜水艦がハイブリッドなのは水中航行の為に当然なのですが、水上戦闘艦でも次世代艦は『統合電気推進』というハイブリッド駆動システムを採用する傾向にあります。


Zumwalt class destroyer - Wikipedia

Type 45 destroyer - Wikipedia

Queen Elizabeth class aircraft carrier - Wikipedia


これらの新型戦闘艦は、ロールスロイス社製の新型ガスタービンエンジンと電気モーター・スクリューポッドによる統合電気推進システムで、ガスタービンエンジンが苦手とする中低速域での大幅な燃費改善を果たしています。(ガスタービンエンジン自体も中間冷却器を備えた新設計)これでアメリカとイギリスの次世代水上戦闘艦は原子力空母以外の多くがハイブリッド駆動となり、自衛隊も同じシステムの導入を計画しているとされています。

このように、近い将来に海でも陸でもハイブリッド化の波が押し寄せてきます。ちなみに、実は戦車や軍艦のハイブリッド駆動は何十年も前から存在しています。第一次世界大戦に登場したフランスのサンシャモン戦車は電気モーターのハイブリッド駆動方式でしたし、第二次世界大戦でのポルシェ・タイガー戦車やフェルディナント駆逐戦車、超大型戦車マウスもハイブリッド駆動です。ワシントン軍縮条約以前のアメリカ海軍の戦艦群もタービンエレクトリック推進、つまりハイブリッドでした。しかしこれらは燃費向上を意図したというよりも、シリーズハイブリッドならばトランスミッションが必要無い(モーターによる無段階変速、前進後進の切り替えも簡単に行える)という利点を狙ったもので、最近のハイブリッドシステムとの意味合いは異なっています。

そしてハイブリッド戦闘機についてですが、ハイブリッド(複合)動力システムを搭載した機体は、第二次大戦末期から冷戦初期に掛けて幾つか現れています。


FR (戦闘機) - Wikipedia

B-36 (爆撃機) - Wikipedia

XF-91 (戦闘機) - Wikipedia


初期のジェットエンジンは燃費が悪いという欠点があった為、燃費の良いレシプロエンジンと組み合わせて欠点を解消しようと言う試みが行われました。またロケットエンジンとジェットエンジンを組み合わせて戦闘時に大速力を得ようという発想もありました。ただしこれ等は、ジェットエンジンの一種でありながらプロペラを主な推進力とするターボプロップエンジンの登場や、ターボジェットエンジン、ターボファンジェットエンジンの更なる進化により不要となり、現在は廃れています。

ですが将来登場するであろう新型エンジンを積んだ機体は、ハイブリッド(複合)動力となります。新型エンジンとはスクラムジェットエンジン(supersonic combustion ramjet)の事です。

スクラムジェットエンジン - Wikipedia

スクラムジェットエンジンは音速を超えなければ作動しないので、それまで別のエンジンで加速する必要があります。この為、ハイブリッド(複合)動力であることを余儀なくされます。またスクラムジェットエンジンは燃料にスラッシュ水素を使用する為、環境に対する負荷は石油を燃やすエンジンよりも低いものとなっています。

アメリカは将来の戦略爆撃機について、このスクラムジェットエンジンを積んだ機体を考えており、実際に極超音速爆撃機開発計画が進行中です。

[全地球到達極超音速巡航爆撃機] - Hyper Arms

またスクラムジェットエンジン以外にエアターボラムジェットエンジン(ATR:Air Turbo Ramjet)というものもあります。これは複合サイクルエンジンの一種で、ターボジェットエンジンとラムジェットエンジンのハイブリッド(機構的に直接組み合わせている為、むしろコンバインドと呼ぶべきか)方式で、日本のJAXA(ISAS)ではこのATRを使った極超音速機の実験を行っています。これも燃料は液体水素です。JAXAのATRは吸入空気を液体水素で冷やし密度を増し出力を上げる方式で、ATREXと呼ばれています。

ATREX: スペースプレーン用空気吸い込み式エンジン|ISAS

将来、このような新型エンジンが実用化され、軍用機にも使われ始めたら、戦闘機型も出現する可能性があります。既に爆撃機型は計画が進行中です。しかし、果たしてマッハ5以上の速度で空対空戦闘を行えるものでしょうか・・・旋回半径がとてつもない事になるでしょう、少し想像が付かない世界です。ですが、有り得ない話ではありません。


このように、小池百合子氏が環境相時代に防衛庁(現防衛省)で行った講演内容は、世界的な軍隊のエコロジー化と方向性を同一にしており、ハイブリッド戦闘機にしても燃料電池戦車にしても将来に出現する可能性があるものです。もし「ハイブリッド戦車」と発言していたら、「小池百合子は米軍の新型戦車の事を知っているのか、石破茂以上の軍オタだ」と騒がれていたかもしれません。ですが、発言当時と防衛庁長官に就任した時にこの講演内容は叩かれました。それはまだ世間に軍隊のエコロジー化が知られていなかったせいなのでしょう。軍隊の行う戦争行為、破壊行為はそれ自体が環境破壊ですから、「何がエコロジーだ」と反発を受けるのも無理はありません。

ですが、軍隊のエコロジー化は世界的な流れです。戦争をする時以外の平時でも、軍隊は環境に負荷を与え続けます。それを減らす取り組みは大きな意味を持つ筈です。「軍隊を無くせ」と言うのは簡単でも、実行するのは無理があります。ならば出来る限りの改善を図っていかなければなりません。軍隊にとっても環境問題に対する取り組みは戦略的、戦術的に意味を持ち得るので、積極的に推進する事はマイナス面ばかりでは無くプラスの面もあるのです。既にこの記事で述べた事の他にも、例えば海上自衛隊の新型哨戒機XP-1は低騒音なのですが、これは基地周辺の住民の負担を減らすだけでなく、静粛性が高い事で被発見率を減らす効果も期待できるのです。地球環境問題、地域環境問題を改善していく事は、これからも軍隊に求められていく話なのです。
01時38分 | 固定リンク | Comment (117) | 軍事 |
2007年12月26日
日本のTK-Xも全然情報が入って来ないと思っていたら、ロシアのT-95戦車は配備計画がこっそり進行中。2008年に試験を終了し、2009年には採用予定であることが発表されました。

以下は雑誌「軍事研究」にも寄稿されている、「Historical If」の小泉悠氏のブログより。

T-95は現在試験中 配備は2009年から:★くろいあめ、あかいほし

本邦(我が国)でこのロシア報道を最初に紹介したのは上記ブログということになります。ロシア報道では22日ですので、日本では23日以降には把握できるのですが、私はノーボスチ通信のチェックを入れたのが21日が最後で、ブログの更新は23日以降暫く止まっていたのでまるで気付かず。25日に朝鮮日報日本語版がこの件を報道して翌日の今日、ようやく気づきました。しかしその朝鮮日報の記事は、大変問題がある内容でした。

凄く弱そうな戦車:MURAJIの戯れ言

相変わらず朝鮮日報は、引用部分以外の記者による解説が思いっきり間違っています。つい最近もPAK FA(Su-50)の記事で正式発表されてもいない余計な事(Su-50はプラズマステルス採用云々)を付け足していました。・・・それでも、日本の報道では先ず紹介されないロシア軍事情勢が記事になるのは有り難い事なのかもしれません。いやでも、間違った知識が広まっているのはやっぱり駄目だよなぁ・・・


ロシア新型戦車「T-95」(正式採用前なので現在はОбъект195)は、これまでのロシア戦車のコンセプトをより発展させ、砲塔を無人化して徹底的な小型化を図り、被弾率を大幅に下げる事を目指しています。ロシア戦車の砲弾自動装填システムは車体側に組み込んでいる為、極端な砲塔小型化が可能となりました。(90式戦車やルクレール戦車の採用している自動装填システムは、機構が砲塔に全て組み込まれ、即応弾が砲塔後部バスルに搭載されている為、ここまでの小型化は出来ない)


t95.jpeg

砲塔のシルエットは有人型の半分以下で、大きな砲塔の西側戦車に比べると三分の一程度でしょうか。来年の試験中に動いている映像は公表されるのか、注目です。

って、既にそれらしき画像が。カバーを掛けられてますが。





Т-95:Танковая мощь - Сталь и Огонь

現在試験中のT-95は、以前発表されていた完成予想図とはかなり違った形態のようです。それでもハッキリと見える形で示されているわけではないので、依然としてまだ謎のヴェールに包まれたままです。
20時21分 | 固定リンク | Comment (57) | 軍事 |
2007年12月20日
進水時には気付いてませんでした。


16年度潜水艦「そうりゅう」進水 - 朝雲新聞
海自潜水艦の命名基準は訓令により、これまで「海象、水中動物の名」と定められていたが、11月5日付の改正でこれに「瑞祥動物」が加わった。「そうりゅう」はその第1弾で、海自では初。


龍も水中動物の一種だという解釈じゃなくて、キッチリ改正してたんですね。海上自衛隊新聞でも『今回、訓令を改正し、瑞祥動物を加えた。龍、鳳凰、雉、麒麟などが考えられるが、18年度艦までは同型艦として「りゅう」シリーズで命名される模様だ』と紹介されていました。

旧帝国海軍の空母の命名基準は「空を飛ぶ瑞祥動物」ですから、それより広い範囲での命名が出来そうです。水中に拘る必要が無いので、玄武や麒麟でもOK。いや、玄武は亀だから水中の要素もあるのか。
02時47分 | 固定リンク | Comment (67) | 軍事 |
2007年12月17日
去る12月6日、フランス空軍のラファール戦闘機がコレーズ県で墜落事故を起こしました。Rafale comes down to earth」-AFP

10月2日、米国ミズーリ州でF-15C戦闘機が墜落。
10月31日、名古屋空港でF-2B支援戦闘機が墜落。
11月21日、中国の安徽省蕪湖基地でSu-30戦闘機が墜落。
11月26日、イランのコナーラク港近くでF-4戦闘機が墜落。
12月6日、仏蘭西コレーズ県でラファール戦闘機が墜落。

最近、軍の戦闘機墜落事故が各地で連続発生しています。アメリカ、日本、中国での事故は何れもパイロットは脱出に成功していますが、フランスでの事故はパイロットの死亡が確認されました。(イランの件は詳細不明)

そんな重苦しい状況の中、10日にラファールが初めて対外販売に成功しました。売却先はリビアです。とはいえまだ正式調印する前のMOU(覚書)に調印した段階です。




しかしなんでAFP日本語版は、ラファール販売のニュースを流していながらラファール墜落のニュースを流していないのでしょう。折角フランス通信社なのだから、フランスの報道に偏っていても良いくらいなのですが。
01時16分 | 固定リンク | Comment (79) | 軍事 |
2007年12月05日
新型艦「蒼龍」進水。ただし空母ではなく、潜水艦です。"おやしお"級潜水艦をベースに補助機関スターリングエンジンを搭載した"おやしお"級改、2900トン型潜水艦16SSとして計画されていた新型潜水艦は「そうりゅう」と名付けられました。


新鋭潜水艦「そうりゅう」進水 [12/5 産経新聞]
海上自衛隊の新型潜水艦「そうりゅう」(排水量2900トン)の進水式が5日、神戸市中央区の三菱重工業神戸造船所で行われた。従来の「おやしお型」(同2750トン)を上回る新型艦の1番艦で、平成21年3月に自衛隊に引き渡され、配備される予定。

艦名は第二次世界大戦時の空母「蒼龍」に由来。全長84メートル、幅9.1メートルで魚雷発射管6門を装備。日本の潜水艦では初めて「スターリング機関」を搭載し、従来型より隠密行動がとれるという。

式典では関係者ら約200人が見守るなか、吉川榮治・海上幕僚長が支鋼を切断すると、船台から黒い艦体が海面に向かってゆっくりと降りていった。


遂に今まで潜水艦に名付けられていた「○○しお」シリーズはネタ切れとなり、大胆な命名となりました。少し前に新型ヘリコプター護衛艦(ヘリ空母)に「ひゅうが」と旧国名を与えた事に続き、海上自衛隊がこれまで遠慮してきた旧帝国海軍時代の戦艦・空母の名前が復活していきます。

それでも自衛隊艦艇の命名基準からは逸脱していません。「ひゅうが」は旧国名を地方名と解釈、そして「そうりゅう」も潜水艦の命名基準、「海象、水中動物の名」という規定から水中動物として空想上の動物まで当て嵌めてクリアしています。

ただしそうである以上、飛龍(ひりゅう)や翔鶴(しょうかく)のような空を飛ぶイメージの強いものは潜水艦への命名は無理があるでしょう。

それともそんなことを無視して「○○りゅう」シリーズなら何でもありとするのか(しかし飛龍や応龍は空のイメージ)、或いはこれから水中動物シリーズを各種拡張していくのか、今後の新型潜水艦の命名に注目です。潜水艦「ごまふあざらし」とかは流石に無いでしょうけど、「○○りゅう」ではすぐネタ切れになるでしょうし。

潜水艦に「○○りゅう」と命名する事は太平洋戦争中にも行われており、蛟龍(こうりゅう)や海龍(かいりゅう)といった特殊潜行艇が存在しています。今後の自衛隊の潜水艦にこれ等の名前は受け継がれる可能性が高いです。ただし伏龍(ふくりゅう)だけは勘弁してください。


・・・と思っていたら潜水艦命名基準の方が改正されていました。
20時59分 | 固定リンク | Comment (160) | 軍事 |
2007年11月30日
香港への寄港を拒否された米空母キティホークの一件は、米中間の新たな火種となりかねません。最初は小さな事だと思っていたのですが・・・




アメリカ政府も事を荒立てる気が無いようです。

ホワイトハウスのダナ・ペリノ(Dana Perino)報道官:「われわれは説明を求めており、じきに回答を得られると考えている。そうすればこの問題は終わりだ」

そして正式回答が来ました。↓


米中関係の後退が背景にと中国、空母戦闘群の香港寄港拒否 [11/30 CNN]
北京――中国政府が11月21日、米海軍横須賀基地(神奈川県)を拠点とする空母キティホークと戦闘群の艦艇の香港寄港を一時拒否した問題で、中国外務省の報道官は29日、入港拒絶は米国の行動で米中関係が損なわれていることが背景にあるとの考えを示した。

〜中略〜

また、ブッシュ大統領が28日、ホワイトハウスで訪米中の楊外相と会談し寄港拒絶問題を取り上げ、同外相が双方の誤解が原因と説明したとする報道を事実誤認と打ち消した。外相の説明は、ホワイトハウスのペリーノ大統領報道官が明らかにしていた。


ホワイトハウスのぺリノ報道官が勝手な事を語ったのか、それとも楊外相は実際に事態の沈静化を図ろうとしたものの、北京に否定されたのか。どちらの可能性も有り得ますが、中国はこれでアメリカに喧嘩を売った事になります。事態を収めようとしたホワイトハウスの思惑は外れてしまいました。

しかし入港を拒否された海軍はキッチリと意趣返しを行い済みでした。


米空母が台湾海峡を通過 香港寄港拒否で示威行動
中国政府から香港寄港を一時拒否された米空母キティホークが、香港近海から事実上の母港の横須賀基地(神奈川県)に戻る際、台湾問題への配慮から航行を控えてきた台湾海峡を通過していたことが29日、米軍関係者の話で分かった。

寄港を拒否した中国に対する事実上の示威行動とみられる。米空母が台湾海峡を通過したのは、1996年の台湾総統選に端を発し、米空母2隻の派遣で情勢が緊迫した「台湾海峡危機」以来とされ、米中関係に波紋を広げそうだ。

関係者によると、21日に香港入港を断られたキティホークと随行するイージス駆逐艦など計6隻は南シナ海を北上し、23日から24日にかけて台湾海峡を通過。その際、不測の事態に備え、艦載機を飛ばして周辺の警戒監視活動を行ったという。


もし中国側の入港拒否の真意に「台湾へ武器を売った事」があるとしたら、米側が香港入港拒否の意趣返しとして空母キティホーク戦闘群に台湾海峡を通過させた事は、中国側にとって重大な意味を持ちます。もしかしたら思惑が外れたのは、北京の方なのかもしれません。

なお同じ頃、韓国釜山港にはシーウルフ級攻撃型原潜「コネチカット」が入港しています。

世界最強の米原潜「コネチカット」、釜山に寄港 [11/27 朝鮮日報]

ただし日程的にコネチカットの釜山入港は、今回の米空母香港入港拒否の一件とは無関係でしょう。
23時08分 | 固定リンク | Comment (33) | 軍事 |
2007年11月20日
F-15も飛行を再開、16日に飛行を再開したF-2と共に航空自衛隊の全戦闘機は通常体制に復帰します。この間、日本の空を守っていたのはF-4だけでした。


F15も飛行再開=空自:時事通信
航空自衛隊は20日、米国ミズーリ州で州空軍所属の同型機が墜落した事故を受け、4日から見合わせていたF15戦闘機(約200機)の飛行を再開した。米軍から「原因は操縦席後方付近の胴体が損傷したため」とする調査結果の連絡を受け、事故機以外に問題はないと判断した。

愛知県営名古屋空港の事故で、飛行停止していたF2支援戦闘機(75機)も16日に再開しており、これで空自の全戦闘機が飛行可能となった。


以前「F-2、F-15戦闘機が相次いで飛行停止」で説明したとおり、「構造の破損」であって「構造の欠陥」ではない、ということです。F-15事故の報道にあった「Structural Failure」という用語は、設計ミスでの欠陥のみを指し示す言葉ではありません。経年劣化での疲労蓄積による構造破壊を含みますし、設計寿命内でも機体の飛び方次第で寿命は早くなる事もあります。例えばドイツがポーランドに売却したMiG-29は、アグレッサー部隊で過酷な使用を繰り返していた為にボロボロで、1機僅か1ユーロで売り飛ばされました。*米欄6.より「破格の理由は別です」

結局、F-15もF-2も墜落した機体個別の問題であり、その他の機体の飛行には問題無いと判断されています。F-2の事故の原因はピッチレートジャイロとロールレートジャイロの配線を付け間違えるという有り得ないミスで、整備時の単純ミスの可能性に加え意図的な破壊工作の可能性すら疑われており、問題は根が深くなるかもしれません。なお機体はメーカーでの点検修理中に失われており、防衛省は三菱重工に対し機体納入額の約半分(62億円)を損害賠償として請求しました。*米欄4より「防衛省にはお金はまわりません」

ところでミズーリ州で墜落したF-15Cの調査結果、アメリカの報道ではまだ語られていないのか見付からなかったのですが、どうして日本の時事通信の方が早いのでしょうか。米空軍のサイトやDefence Newsでも見当たらず。星条旗新聞にもまだ載っていないです。米Yahooで記事検索を掛けても無し。
22時01分 | 固定リンク | Comment (48) | 軍事 |
2007年11月08日
F-2支援戦闘機が事故を起こし全機飛行停止処置されている中、今度はアメリカでF-15戦闘機が事故を起こし、日本でも飛行停止処置になりました。現在、一時的に日本の空を守るのはF-4ファントム戦闘機だけになっています。






ただこれについて巷では、報道記事が原因で誤解が広まっているような気がします。


空軍発表によると、F15戦闘機の事故原因は現在調査中ながら、予備調査結果から構造的欠陥によるものとの可能性が高いという。また、今回の飛行停止命令は一時的な措置だとしている。


元文の英語では「構造的欠陥」の部分は「Structural Failure」であり、これを和訳する時は「構造的破損」とする方が的確(材料力学での専門用語)です。「欠陥」ではまるで設計上のミスが発覚したかのような印象を持たれますが、そうではなく、経年使用による機体構造劣化の結果壊れてしまった場合を含みます。F-15は登場して30年以上経ちますが、これまで名機として知られていますので、今更になって設計ミスによる欠陥が発覚したということではありません。機体寿命の問題となります。

つまり米空軍の発表した『事故原因は現在調査中ながら、予備調査結果から構造的破損によるものとの可能性が高い』という情報は、今回の事故原因は機体側にあり、「パイロットの操縦ミス」「エンジンの故障」「搭載兵装の暴発」といった可能性は低いという事を表しています。



現在、米空軍はF15戦闘機は700機以上を保有しているが、F15機の老朽化に伴い、航空宇宙機器大手ロッキード・マーチン(Lockheed Martin)の最新鋭ステルス戦闘機『F22ラプター(F-22 Raptor)』への置き換えを進めている。

だが、厳しい予算制約のため新型機の購入は進んでいない。米軍ではF22戦闘機381機が必要だとしているが、米議会が購入を認めたのは183機のみだ。

しかし、F15機の事故により、新型機購入の必要性への理解が得られやすくなるとみられる。


今回の事故を受け「F-15はもう古いのでF-22ラプターを購入しよう。せめてF-35の量産が起動に乗るまでF-22の調達は続けよう」という動きが米議員の間で出てきました。

以下、関連がありそうな過去記事。

(2006/12/01)古い機体を撤去しろ→じゃあ新しいのと入れ換えますね
(2007/01/10)F-15を欠陥機呼ばわりするものだから嘉手納にF-22ラプター配備
(2007/02/22)【ネタニュース】嘉手納町長、配備戦闘機の萌え化を要求
23時14分 | 固定リンク | Comment (94) | 軍事 |
2007年10月29日
AFP通信が今日の記事で、新型バンカーバスター「MOP」の貫通性能比較図を紹介しています。(内容はグローバルセキュリティからの引用)・・・私が昨日書いた記事、今日まで待ってコレと併せて紹介しておけば楽だったかも。(しかしなんでAFP通信はMOPが新型である事を強調しないんだろう? 其処が少し不満です)




ただこの新型バンカーバスター Massive Ordnance Penetrator「MOP」の性能比較表に、疑問があります。

1.圧縮強度1万psiの鉄筋コンクリートで8mまで到達可能
2.通常の硬岩で40mまで到達可能
3.圧縮強度5000psiの鉄筋コンクリートで60mまで到達可能

1、2、3、と並べて見て少しおかしいな、と思いました。比較対象の従来型バンカーバスターGBU-28が「コンクリート6m、地中30m以上まで貫通」と書いてあるだけで、圧縮強度が分からないので何とも言えませんが、MOPの性能表の最後の部分が俄には信じ難いのです。コンクリート60m貫通は有り得るのだろうか、と。

元となった「グローバルセキュリティ」の説明でも Penetration の項目は以下の通りとなっており、AFP通信(日本語版)はこれを紹介している順番が違います(最初と最後を入れ替え)が、内容は正確に和訳して載せてあります。

60 meters [200 feet] through 5,000 psi reinforced concrete
40 meters [125 feet] through moderately hard rock
8 meters [25 feet] through 10,000 psi reinforced concrete

reinforced concrete は直訳して「強化コンクリート」と書かれる事も多いのですが、鉄筋コンクリートの事です。

60m貫通・・・これコンクリートではなく、普通の地中を貫通した場合の数値じゃないかと思うのですが、どうなんでしょう。
21時51分 | 固定リンク | Comment (53) | 軍事 |
2007年10月28日
以下のAFP通信の報道で(一部修正)とありますが、残っていたキャッシュを見る限り、最初は「B-2戦闘機」としていたみたいです。ありがちな間違いですが、即座にB-2爆撃機と修正された模様。




空軍は「作戦上、緊急に必要」と予算を請求したようですが、単に配備計画そのものを潰される事を防ぐ為のパフォーマンス、と見ることも出来ます。

一般にバンカーバスターと呼ばれる地下貫通爆弾には実は色々な種類があり、今回の緊急予算請求で話題になっているのは既によく知られているバンカーバスターGBU-28「ディープスロート」レーザー誘導貫通爆弾(GPS誘導型はGBU-37)ではなく、今年に入ってから実地試験を始めた新型貫通爆弾 Massive Ordnance Penetrator「MOP」の方です。B-2爆撃機はディープスロートの方なら既に運用能力を得ています。ディープスロートが重量約4700ポンド(2.1トン)なのに対し、MOPは30000ポンド(13.6トン)もある大重量弾です。

Massive Ordnance Penetrator - Wikipedia
Massive Ordnance Penetrator - GlobalSecurity.org

ABCニュースでは以下のように報道。


Bomb Iran? U.S. Requests Bunker-Buster Bombs [10/24 ABC News]
The item: $88 million to modify B-2 stealth bombers so they can carry a newly developed 30,000-pound bomb called the massive ordnance penetrator, or, in military-speak, the MOP.


例によって緊急予算請求について「イラン爆撃の為か?」というタイトルが付けられていますが、実はB-2爆撃機のMOP搭載改修作業は今年の夏頃から話は出ていましたので、本格的な改修作業の為の予算の追加請求なのだと思います。
20時35分 | 固定リンク | Comment (30) | 軍事 |
2007年09月28日
遂に無事に飛びました。これでゲル長官も今更「アメリカの737MMA計画に相乗りしよう」なんて馬鹿な事は言わない筈。なにしろ計画が遅延しているMMA計画P-8「ポセイドン」は開発費が高騰し、日本のP-X計画よりも高く付きそうな有様だからです。


純国産の新型哨戒機 初飛行 [9月28日 14時12分 NHK]
初飛行を行ったのは、防衛省が平成13年度から開発を進めている海上自衛隊の哨戒機「PX」の試作機です。PXの試作機は、ことし7月に機体が完成し、岐阜県各務原市にある川崎重工業の工場で試験を行っていましたが、28日午前9時半すぎ、工場に隣接する自衛隊基地の滑走路を離陸して初めての飛行を1時間にわたって行いました。


とりあえず今の所はNHKが報じているだけです(NHK記事リンク切れの為TRDIの記事を参照して下さい)。もうちょっと注目されてもいいのに・・・P-X哨戒機は多年度調達を使えば1機あたり170億円で調達できる事が分かっています。対潜システムやフライ・バイ・ライトなどの新機軸に加え、国産エンジン4発を搭載する関係上、同時開発のC-X輸送機よりも単価が高くなる事が確定している状況で170億円ですから、開発費が比較的安い事と併せC-X/P-X計画はこのまま順調に進めば大きな成功を収める事になるでしょう。(なにやらC-Xがゴタゴタしてきましたが)

P-Xはあのサイズで4発エンジンという、近年では珍しい形態なのですが、長時間哨戒する為にエンジンを1〜2基停止させて燃料を節約する飛行ができる利点があります。(双発機だと片肺飛行は不安定になるのに対し、4発機ならエンジンを1〜2基止めても両翼側に推力を残せるので安定的)これを理由に国産を強行決定、批判も沢山ありましたが、P-8があの有様である以上、結果的に好判断だったと言えます。


16時06分 | 固定リンク | Comment (129) | 軍事 |
2007年09月24日
最初に断わっておきますが、これはまだ確定した情報とは言えません。



Israelis seized nuclear material in Syrian raid
[9/23 The Sunday Times]
Israeli commandos seized nuclear material of North Korean origin during a daring raid on a secret military site in Syria before Israel bombed it this month, according to informed sources in Washington and Jerusalem.


今のところ、サンデータイムズしか報じていませんし、「ワシントンとエルサレムの情報消息筋」といったあやふやな情報源です。とても確定情報とは言えませんが、事実ならば大変な事態です。とはいえ、今回のイスラエル軍の作戦については奇妙な事ばかりで・・・


シリア核:「イスラエルが攻撃」の欧米報道巡り謎の緊張 [9/19 毎日新聞]
シリアを巡り「不可解」な緊張が高まっている。同国が今月初め、イスラエル軍機による領空侵犯を公表したことが発端だが、その後、両国が沈黙する中で欧米メディアが「イスラエルがシリアの『核関連施設』を攻撃した」と報じ始めた。核開発で北朝鮮がシリアに協力したとの憶測も流れ、混迷する中東情勢を反映した「情報戦」の様相も呈している。

シリアが領空侵犯を公表したのは6日。同軍機が「爆発物を投下した」としたが具体的な被害も場所も特定しなかった。

真相が不明な中、北朝鮮が11日、イスラエルを非難する異例の声明を発表。これを機に欧米メディアのシリア・北朝鮮関係の報道が過熱した。


真相についてイスラエルもシリアも殆ど口を開きません。アメリカもです。そして何故か突然、北朝鮮がイスラエルを非難するといった行動に出ます。イスラエルがシリアに対し、何らかの軍事作戦を行った事は確かでしょう。そして北朝鮮が非難してきたのは、その事に関係していたのではないか・・・核兵器や化学兵器、ミサイルなどの北朝鮮関連物品ではないか・・・

今のところ、全て憶測です。既に情報戦の様相を呈し、怪情報も飛び交っている筈です。そんな中でイスラエル軍特殊部隊による核奪取作戦の報は、俄かには信じられません。

イスラエルはシリア空爆を実行した=ネタニヤフ元首相 (AFP=時事)

US confirms Israeli air strike on Syria [9/12 Telegraph]
The closest it came to acknowledging the affair happened was when it made an undertaking to Turkey to investigate how an Israeli long-range fuel tank was dropped on Turkish territory near the Syrian border.


しかし、空爆は事実のようです。侵攻ルートにトルコ上空を選んでいたらしく(爆撃目標自体がトルコ国境近く)、トルコ領内でイスラエル空軍のF-15I戦闘機の増槽(落下タンク)が発見されています。イスラエル空軍がシリアを空爆する事自体は、ヒズボラ叩きの名目でよくある事です。珍しい事ではありません。しかし、今回のように徹底した緘口令が敷かれる、しかも被害側のシリアまで詳細を語ろうとしない、アメリカも沈黙、北朝鮮が何故かイスラエルに怒っている・・・謎は深まるばかりです。
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2007年09月18日
サウジアラビアがブリティッシュ・エアロスペース(BAe)社とEF2000ユーロファイター/タイフーン戦闘機の購入について合意に至りました。機体そのものは結構良心的な値段となっています。


サウジ、英戦闘機72機を購入・1兆円規模、イラン警戒で軍拡 [9/18 日経新聞]
17日のサウジアラビア国営通信によると、同国政府は戦闘機「ユーロファイター・タイフーン」72機を英BAEシステムズから購入することで英政府と合意文書を交わした。戦闘機の購入額は44億3000万ポンド(約1兆200億円)にのぼる。核兵器開発が疑われるイランを警戒、軍事力を整備するものとみられ、ペルシャ湾岸の軍事的緊張が高まる可能性がある。

関係者によると、今回の英サウジの軍需契約は戦闘機の維持・補修、各種兵器を含めた200億ポンドのパッケージに膨らむ見通しだ。これは英側の獲得した輸出商談で過去最大の規模になるとみられる。

ユーロファイター・タイフーンは英国、イタリア、スペイン、ドイツの4カ国が共同開発した多目的機で、爆撃機や偵察機の機能も持つ。サウジ空軍は約280機の軍用機を保有しており、今回調達する機体数はこの4分の1にあたる。


機体だけで72機購入、44億3000万ポンド。1機あたり約141億円で、このクラスの世代の戦闘機としては妥当な数字です。その後の補修維持、兵装を含めたパッケージ全体で200億ポンド規模になるそうですが、サウジアラビアでの商談では何時ものやり取りです。(サウジは自分達で補修維持をせず、購入先に任せてしまう)

しかし、2年前の英マスコミの報道からすると、結果的に結構違ってますね。


サウジアラビアがユーロファイターを導入? [2005年09月27日]

サウジアラビアがユーロファイター導入決定 [2005年12月22日]


ガーディアン・・・400億ポンド説
ザ・タイムズ・・・100億ポンド説
BBC・・・60億ポンド説
実際・・・44億3千万ポンド(パッケージ全体で200億ポンド)

流石にガーディアンは吹かし過ぎていたような気が・・・あと、日本の日経新聞が「対イランで軍拡競争化か!」とか煽っていますが、全然違います。サウジは単に、古くなったトーネード戦闘爆撃機の更新でタイフーン戦闘機を選んだだけです。(選んだついでに汚職絡みの疑惑も持ち上がっていますが、それが無くてもトーネードの代替にタイフーンを数十機購入する事は順当です)仮に何百機と大量購入するなら軍事的緊張が高まるでしょうが、この程度では周辺国は「サウジはお金持ちだからまた高価なオモチャを買ったよ」程度の認識でしかないでしょう。当の相手のイランですら、そう思っているはずです。
21時41分 | 固定リンク | Comment (48) | 軍事 |
2007年09月16日
前回紹介したサーモバリック兵器「Папа всех бомб」についてですが、ロシア空軍参謀本部のアレクサンドル・ルクシン参謀次長は以下のような事を発言したと報じられています。(そーにゃさんに確認した所、ルクシン次長は実際にインタビュー動画でそのように喋っているとの事)

「国家の安全を守り、いかなる状況、場所でも国際テロに対処できる」

これに対してmixi支隊での会話。



2007年09月13日02:20 415: seld
気化爆弾をどうテロ対策に使うつもりなんだろう・・・・


2007年09月13日02:31 416: JSF
>415

既にベスラン学校占拠事件で、RPO-A Schmelを使用した実績があります。

チェチェンニュース Vol.05 No.22 2005.08.10
3月に、ロシアのモスコフスキー・コムソモーレッツ紙は、ベスラン事件の証拠品についての連載を載せた。強行突入に使われた戦車のキャノン砲もあった。そこにはウラジカフカスの軍関係者のコメントとして、「シュメル型火炎放射器やRPG−25グレネード弾、T−72型戦車が突入に使われ、人質たちにも重軽傷を負わせた」とある。7月21日のモスクワタイムスによると、ロシアのニコライ・シャペル副検事総長は、ベスランの学校で火炎放射器が使われた事実を認めつつ、それらは天井を焼いただけで、決して室内の火災の原因にはなっていないと言い放った。ジェーン情報グループの指摘では、<シュメル>は秘密保護上、火炎放射器と呼ばれているが、実際にはロケット推進の砲弾を発射するRPO−Aというタイプの燃料気化爆弾であり、シャペルの言う<治安部隊の使った火炎放射器>が命中すると火球が生まれ、周囲を激しく破壊する。


2007年09月13日08:31 417: seld
容赦ねーですな・・・さすがロシア。
遮蔽物とかすっ飛ばすには有効なんだろうか。


2007年09月14日18:12 428: CRS@空挺軍

RPO-A Schmel RPO-A Schmel

>416
>既にベスラン学校占拠事件で、RPO-A Schmelを使用した実績があります。

亀レスですが、その証拠画像


2007年09月14日18:13 429: 井上@Kojii.net
豪快にやるなあ…


2007年09月14日21:45 430: JSF
こんなあからさまな証拠画像があるとは・・・


2007年09月14日22:19 431: 鳥取の赤い雨
殺る気がすごい国だな・・・。


2007年09月14日22:37 432: 寄星蟲
本気というのは、こういうのをいうのですね



以下、RPO-A Schmelの解説(中国軍でも使用されている)

97式93mmサーモバリック弾ランチャー(PF-97/RPO-A) :日本周辺国の軍事兵器
97式93mm燃料気化弾ロケットランチャー(PF-97)はロシアのRPO-A Schmel(マルハナバチ) 93mm歩兵用火炎放射ロケットランチャーを中国で国産化したものである。

燃料気化(Fuel Air Explosive:FAE、燃料爆薬、気化爆薬)弾は、サーモバリック爆弾(High-Impulse Thermobaric:HIT、熱圧弾頭)とも表記する。従来の火薬による爆発ではなく、霧状に放出された可燃物と空気を適度な比率で混合させて爆発的に燃焼させるものである。酸化剤として空気を利用しているため、通常弾頭と比べて同じ重量なら爆風による破壊力(爆圧は通常の爆薬より低い)が格段に大きくなる。特に強化陣地や地下坑道、建造物等の閉塞された場所への攻撃に高い効果を有する。ロシア軍では1980年代末から燃料気化弾の幅広い運用を開始し、爆弾や砲弾に搭載するだけではなく、対戦車ミサイルや歩兵携帯ロケットランチャー用の燃料気化弾頭も開発して歩兵部隊の支援用火器としての運用を行うようになった。

これら歩兵携行用燃料気化弾兵器の1つが、RPO-A Schmel 93mm歩兵用火炎放射ロケットランチャーである。RPO-Aの開発は1984年に開始され、1988年から部隊での運用が開始された。RPO-Aは個人携行ロケットながらその弾頭威力は122mm榴弾に匹敵するとされる。RPO-Aは携行時にはランチャーを2つ束ねて輸送し、発射の際に分離して使用する。RPO-Aには、最初の生産型である燃料気化弾頭型と、成形炸薬弾頭と燃料気化弾頭を組み合わせた複合弾頭、煙幕弾の三種類の弾頭が存在する。後者は装甲車や強化陣地への攻撃に使用される。最初の成形炸薬弾頭で強化構造物を貫通後、燃料気化弾頭を爆発させることで内部へ爆発を浸透させる構造になっている。RPO-Aはアフガニスタン戦闘やチェチェン戦争に投入され、山岳戦や市街戦において、洞穴陣地や建築物内部の歩兵に対する攻撃に使用され高い制圧効果を挙げた。そのほか、氷結した河川の氷の破砕や予防的に雪崩を発生させる、爆風による消火などの民生利用も可能であるとされる。


ロシア軍はこの種の兵器についてはこれ以外にも実戦投入済みで、T-72の車体を流用したTOS-1「Buratino(ブラチーノ)」というサーモバリック弾頭多連装ロケットランチャーなどが使用されていることが確認されています。

A 'Crushing' Victory: Fuel-Air Explosives and Grozny 2000:FMSO(米陸軍対外軍事研究室)

ブラチーノ
ТОС-1“Буратино”

しかし、単にゲリラが潜んでいる箇所を攻撃するならまだしも、数百人(正確には1181人)の人質がいるところで平然と広範囲面制圧兵器を使用するとは・・・凄まじい殺る気です。

結果的にベスラン学校占拠事件では数百人の人質が死亡(正確な数は未だに不明)し、その前にあったモスクワ劇場占拠事件では突入時にKOLOKOL-1という無力化ガスを使い、人質922人のうち129人が死亡しています。


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2007年09月14日
ロシア軍が新兵器を開発しました。愛称は「Папа всех бомб」(パーパ・フシェフ・ボーンプ)、“全ての爆弾の父”です。(公式名称はまだ無い)


最大の破壊力「真空爆弾」投下実験に成功…ロシアが発表 [9/12 読売新聞]
ロシア空軍参謀本部のアレクサンドル・ルクシン次長は11日、露テレビ局「第1チャンネル」の番組で、通常兵器では世界最大の破壊力をもつ「真空爆弾」の投下実験に成功したことを明らかにした。


以上は読売新聞の記事です。そして以下はロシアの経済紙「ヴズグリャート」の記事です。(ロシア国営放送第1チャンネル提供の動画もあります)


Папа всех бомб (ВИДЕО):全ての爆弾の父(動画) [9/12 ВЗГЛЯД(ヴズグリャート)]
Самую мощную вакуумную бомбу в мире, соизмеримую по эффективности с ядерным боеприпасом, испытали в России. Взрывчатое вещество, использованное в новой бомбе, имеет большую разрушительную силу, чем тротил. У этой авиабомбы пока нет официального названия, лишь секретный шифр. Российская авиабомба существенно превосходит американский аналог по всем параметрам.
(ロシアは世界で最も強力な真空爆弾をテストしました。それは核兵器に相応する威力があります。新型爆弾の爆薬は、通常のTNT火薬よりも大きな破壊力を持っています。この航空機搭載型爆弾には、まだ公式名称がありません(秘密の通称だけある)。このロシアの航空機搭載型爆弾は、全てのパラメータに置いて大幅にアメリカの類似物を上回ります。)


ロシアではこの爆弾の種類を「вакуумная бомба(ヴァークウゥムナヤ ボーンバ)」としています。英訳すると「vacuum bombs」、和訳だと「真空爆弾」になりますが、これは元々、燃料気化爆弾(Fuel-Air Explosive, FAE)の別名です。だから真空爆弾という全くの新兵器が開発されたわけではなく、原理的には従来からある燃料気化爆弾の発展系となります。「真空」とすると、まるで窒息効果があるように思われますが、野外で燃料気化爆弾を使用した場合、燃料の燃焼に伴う窒息効果があるような範囲なら、どっちみち先に爆風効果で殺傷されてしまいます。そしてこの兵器の特性上、爆風範囲は広いのですが対装甲貫徹力は低いので、戦車や装甲車などで構成される敵装甲部隊には殆ど効果が有りません。

また、ロシア人設計者はこの新型爆弾を「Папа всех бомб(パーパ・フシェフ・ボーンプ,全ての爆弾の父)」という名称(正式名ではない)で呼んでいるのは、アメリカ軍のMOAB(Massive Ordnance Air Blast bomb)こと俗称「Mother Of All Bomb(全ての爆弾の母)」と対比させているのでしょう。「Папа всех бомб」はMOABより若干軽く(9t)、MOABの4倍の爆発力(TNT火薬相当で44t)、倍の殺傷半径(300m)を喧伝していますが、実はそもそも対比されるMOABは燃料気化爆弾ではない(スラリー爆薬、トリトナル、H6など諸説有るが燃料散布は行われない通常爆発方式)ので、直接比較する事に特に意味は有りません。また、「Папа всех бомб」はTNT換算で44トン級の爆発力、つまり0.044キロトンですので、核兵器と比較できるような破壊力でもありません。(広島型原爆は13キロトン級)


こちらはコムソモリスカヤ・プラウダ経由ですが、同じく第1チャンネルの動画です。





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