防衛省・自衛隊:我が国の防衛と予算−平成26年度概算要求の概要−(PDF:4.0MB) (平成25年8月30日掲載)
http://www.mod.go.jp/j/yosan/2014/gaisan.pdf来年度の防衛予算概算要求が発表されました。高高度型滞空無人機の導入検討、水陸両用準備隊(仮称)の編成、サイバー防衛隊(仮称)の設立などが掲載されており、他に幾つか気になる点を紹介します。
○ 災害派遣等多目的に対応する救難艦の建造 (1隻:508億円)
・ 事故発生時に潜水艦の乗員を救出し、大規模災害時には医療支援・被災者支援等を行うため、潜水艦救難母艦「ちよだ」の後継として、新型潜水艦救難艦(ASR)(5,600トン型)を建造
・ 大規模災害等に対応するため、手術用寝台2床と病床約10床を設置するなど、医療機能を強化し、医療支援、被災者生活支援、入浴支援等の拠点として使用
・ 水難事故等に際し、飽和潜水の高い技量を有する潜水士による行方不明者捜索や、無人探査機(ROV)による沈没船舶の状況確認を実施
※1 DSRV(Deep Submergence Rescue Vehicle):深海救難艇
※2 ROV(Remotely Operated Vehicle):遠隔操作式無人探査機
●新型潜水救難艇は病院船としての機能も併せ持ちます。○ 艦載型無人航空機の海上自衛隊艦艇との適合性等に関する調査研究 (2百万円)
・ 艦上での運用が可能な既存の無人航空機について、技術動向、各機種の飛行性能、操作性、武器やセンサーなど搭載装備品、海上自衛隊艦艇への艦載適合性の確認など、導入に向けた調査を実施
●MQ-8Cファイアスカウトでしょうか?○ 艦艇の水陸両用戦能力の向上 (4億円)
・ 水陸両用戦に係る輸送能力を強化するため、海上自衛隊の「おおすみ」型輸送艦を改修
・ 26年度は、今後の大規模改修に向けた試設計等のほか、水陸両用車の収納に必要となるすべり止め塗料のLCAC甲板への塗布を実施
・ また、水陸両用戦における司令部機能を強化するため、「いずも」型護衛艦の多目的区画への電子会議装置の整備等を実施
●輸送艦「おおすみ」の大規模改修はまだ概要が分かりませんが、水陸両用車の搭載対応は滑り止め塗料の塗布でよいようです。○ 水陸両用車の参考品購入 (2両:13億円)
・ 島嶼における不法行動及び侵攻事態に備え、島嶼を奪回する機能として水陸両用機能の整備に着手
・ 平成25年度予算においては、海上機動力や防護力等の性能や諸外国における運用実績、早期取得可能性等を踏まえ、参考品として、AAV7RAM/RS(人員輸送型)を取得
・ 平成26年度は、上記AAV7RAM/RSの性能確認及び運用検証等を行うとともに、AAV7RAM/RSの派生型である指揮通信型1両と回収型1両を追加取得
○ ティルトローター機の導入に向けた検討 (1億円)
・ ティルトローター機の性能情報や導入した場合の運用要領などに係る検討を実施
※ 平成27年度予算に、ティルトローター機の取得に係る経費を計上することを目指して検討作業を本格化
○ 次期戦闘機(F−35A)の取得 (4機:693億円※ )
※1 国内企業参画の範囲を拡大することに伴う初度費として、別途560億円を計上
※2 その他関連経費(教育用器材等)として、別途374億円を計上
●円安の影響などもあり、F-35A戦闘機は平成25年度の取得より単価が上昇しています。○ 戦闘機の能力向上改修 (386億円)
周辺諸国の航空戦力の近代化に対応するとともに、防空等の任務に適切に対応するため、現有戦闘機の能力向上改修を実施
・ 戦闘機(F−15)近代化改修 (12機:150億円)
・ 戦闘機(F−15)自己防御能力の向上 (1機:25億円)
・ 戦闘機(F−15)NVG※1搭載改修 (1機:0.8億円 )
・ 戦闘機(F−2)空対空戦闘能力の向上 (132億円※2)
・ 戦闘機(F−2)へのJDAM※3機能の付加 (4機:11億円)
・ 戦闘機(F−2)へのターゲティング・ポッド搭載試改修(1機(試改修経費):67億円※4 )
※1 NVG(Night Vision Goggle): 夜間暗視装置
※2 機体改修(12機:38億円)のほか、改修用レーダーの取得(30式:94億円)を含む
※3 JDAM (Joint Direct Attack Munition): 精密誘導装置付爆弾
※4 量産化改修については1機あたり数億円を想定
○ 南西地域の防衛態勢を早期に充実するための各種装備品を取得
・ 現有の88式地対艦誘導弾システムの後継として、射程や精度を向上した12式地対艦誘導弾を取得 (16両:302億円)
・ 中距離多目的誘導弾の取得 (18セット:71億円)
・ LJDAM誘導装置の取得 (13式:0.9億円)
航空自衛隊F−2から投弾されるLJDAM※を地上から誘導するためのレーザー誘導装置を陸上自衛隊に装備し、陸上・航空自衛隊による統合火力誘導を実施
※LJDAM:レーザー精密誘導装置付爆弾
・ 60mm迫撃砲(B)の取得 (12門:0.2億円)
○ 固定式警戒管制レーダーの換装(FPS-7)及びBMD対処機能の付加 (1式:48億円)
・ 見島(山口県)の現有レーダー(FPS-2)をFPS-7へ換装するとともに、弾道ミサイル対処機能を付加
○ 装輪装甲車(改)の開発 (47億円)
・ 国際平和協力活動、島嶼部侵攻対処等に伴う各種脅威に対応するため、96式装輪装甲車の後継として、被輸送性及び機動性(悪路走行能力を含む)を有し、防護力等の向上を図った装輪装甲車(改)を開発
今回の平成26年度概算要求の中でも特に気になるのは「おおすみ」型輸送艦の大規模改修です。概算請求の資料では内容に付いて殆ど説明されていませんが、産経新聞では「オスプレイ搭載改修」としてエレベーターの換装や耐熱甲板などの改修を施すと報じています。なおオスプレイの仕舞い寸法は長さ63フィート(19.20m)、幅18フィート5インチ(5.61m)、高さ18フィート3インチ(5.56m)と、かなり長く高いです。果たして格納庫に入るのでしょうか・・・、これまで「おおすみ」型輸送艦の格納庫(本来は車両用)にはSH-60やUH-60しか収納された事はありません。
海自輸送艦を大幅改修 4億円要求 離島防衛に本腰 - MSN産経ニュース(2013.8.24)
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130824/plc13082408140005-n1.htm