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2010年10月13日
本日19DD(5000トン型護衛艦)が進水しました。命名は「あきづき」(DD-115)です。


 海上自衛隊の新型護衛艦「あきづき」の進水式が13日、長崎市の三菱重工業長崎造船所で行われた。
 同艦は基準排水量約5千トンで、全長151メートル、幅18・3メートル。ヘリコプターを搭載できるなど多様な事態に対応できる。これまでに配備された同型艦と比べ、新たに最新の多機能レーダーを備えて対空戦闘機能が強化されている。
 この日は市民を含め約3500人が見学に訪れ、船体が無事に進水すると、大きな拍手が沸き起こった。今後、レーダー類を取り付け、平成24年3月末に就役する予定。

新型護衛艦「あきづき」進水に歓声、三菱重工長崎造船所:産経新聞


後日、海上自衛隊Youtube公式で進水式の動画がUPされるそうです。



UPされました。
21時21分 | 固定リンク | Comment (472) | 軍事 |

2010年10月11日
軍事アナリストの小川和久さんはF-2戦闘機の事を欠陥機であると、『全力を出すと空中分解するのでまともな空戦は出来ない』(ビジネス社「日本の戦争と平和」2009年5月21日発行)と唱えています。また、平成17年3月31日の参議院外交防衛委員会ではこのように証言しています。


○参考人(小川和久君)「第二点、これは航空自衛隊が導入を進めてまいりましたF2型の対地支援戦闘機、これが石破防衛庁長官の時代にもうこれ今後の調達はしないということが決まったわけであります。これは、まず大変な欠陥機であります。これはもうパイロットだれに聞いても、本音を言う人は、こんなもの欠陥機で困るよと。」

第162回国会 外交防衛委員会 第5号 平成十七年三月三十一日(木曜日)


これまで明らかにされた中では、小川和久さんの主張の根拠は上記のみです。しかし、今年9月末日の最新の取材では全く違う証言が得られています。


結論を先に言えば、F-2批判には根拠はないし、そもそもパイロット達はそんな批判など気にもしていない。
それどころか彼らは名の通った軍事評論家や航空マニアの間で、F-2の機動性に疑問を投げかける言説が横行していることさえ知らなかった。
「はぁ? そんなこと言っている人がいるんですか? なんのこっちゃやら」てな感じの答えが返って来る。
考えて見れば当たり前の話で、自分らの乗っている機のことは自分らが一番良く知っている。外野がなんと言おうと、その能力も限界も彼らが一番熟知している。当事者でもない人達の言動など関心外でも当然だろう。

「F-2戦闘機の機動性は万全〜パイロットの証言〜」


そもそもF-2戦闘機のパイロットは欠陥があるとは全く認識しておらず、欠陥機説がある事すら全く気付いていなかったという有様でした。

これは小川和久さんのF-2欠陥機説の根拠を覆すものである為に、本人にTwitterで伝えたところ、思いがけない反応が帰ってきました。


@obiekt_JP 空幕に来てもらいたいと思いますので、所属、階級、氏名を教えていただけますか。less than a minute ago via web



パイロットをいきなり空幕(航空幕僚監部)に呼び付ける? どんな理由で何を聞く積もりですか、 防衛秘密を漏らした訳でもない隊員を呼ぶ理由が分からないです。また空幕と関わる仕事をしているとはいえ、立場上は民間人の有識者である小川和久さんにこのような命令を発する権限があるのですか。このような現場に対する恫喝とも受け取られる発言を衆人環視のTwitter上で行う行為を、空幕は認めているのですか?

とても軽率な発言であるように思います。

小川和久さんに対してF-2欠陥機説の根拠を何度も尋ねても明確な回答は帰って来ず、小川和久さんは自身の空幕との関わり合いを強調するだけで、はぐらかす事に終始していました。そんな中で「現場のパイロットは小川和久さんの説明と違う事を言っている」と伝えたところ、この様な反応となっています。

小川和久さんの行動には整合性がありません。F-2は欠陥機であると主張していながら根拠を言おうとしない、欠陥機説を自ら仄めかしておきながら、追求はするなと隠そうとする行為は非常におかしい話です。

これはマッチポンプ行為としか映りません。

小川和久さんは、自ら火を付けておきながら消火活動を行っています。これは大変におかしな行動です。本当に隠しておきたい事なら仄めかすような真似は厳禁な筈です、しかし小川和久さんは何度も仄めかしています。自ら仄めかしておきながら、しかし根拠は言わない、追求も拒否し、今度は立場上言えないのだとはぐらかす。しかし立場上言えないのであれば最初から口を噤んでいればいい筈です。

このマッチポンプ行為を説明するには、二通りの理由が考えられます。まず小川和久さんと空幕の間にきちんとした意思疎通が出来ていた場合、

「F-2は特に大きな欠陥はないが、欠陥機であるという噂を流す必要があった」

となります。もしF-2が欠陥機であり隠しておきたい事なら欠陥を仄めかす事は自殺行為です。またF-2が欠陥機であり知られても構わないならば欠陥の根拠は公表してしまうでしょう。つまり小川和久さんの行動(欠陥を仄めかしておきながら根拠は秘密だと言おうとしない)からはどちらも該当しないと推定出来ます。そうでなければ全く合理的ではない不自然な行動です。

次に小川和久さんと空幕の間にきちんとした意思疎通が出来ていない場合、

「カーボン繊維を多用した航空機に共通した問題を誤解している可能性」

という可能性があります。CFRP(カーボン繊維強化プラスチック)は新しい素材でありノウハウがまだ蓄積されておらず、接合部の強度の寿命を判断するのが難しいという問題点を抱え込んでいます。つまり今は良くても将来的に予想より早く経年劣化して問題を生じる可能性があります。しかしそれはCFRP一体整形主翼のF-2開発当初より認識されて来た事であり、最近では民間旅客機でもボーイング787やエアバスA350XWBのようにCFRP一体整形の主翼を持つ機体が出て来ています。戦闘機でもF-22やF-35といった最近の機体はCFRPを多用(主翼桁にチタンを一部使用)しており、CFRP素材問題は航空業界全体に言える話であり、F-2固有の問題ではありません。故にF-2の欠陥として隠すような話でもない筈です。

Togetter - 小川氏とJSF氏のF-2に対する対話

Togetter - 小川氏とJSF氏のF-2に付いての対話とその周辺の見方

対話した流れでの小川和久さんのボーイング787の取り上げ方から、小川和久さんが技術的な問題を理解出来ておらず勘違いしている可能性があります。

どちらにせよ小川和久さんは空幕(航空幕僚監部)の権威を盾にしながらF-2欠陥機説の根拠を示していない以上、空幕はこの件を納税者に説明すべきであると考えます。国民の税金を投じて調達した戦闘機なのですから。
11時15分 | 固定リンク | Comment (773) | 軍事 |
2010年10月03日
以下は航空評論家の浜田一穂氏による最新インタビューです。


今回の三沢行きには隠された目的があった。
実際にF-2に乗っているパイロット達に、巷に流れるF-2批判について聞いてみたかったのだ。
これは編集部の依頼ではなくて、私の個人的な願望であった。
根拠の疑わしいF-2批判を、直接の関係者の証言で打破したかった。


結論を先に言えば、F-2批判には根拠はないし、そもそもパイロット達はそんな批判など気にもしていない。
それどころか彼らは名の通った軍事評論家や航空マニアの間で、F-2の機動性に疑問を投げかける言説が横行していることさえ知らなかった。
「はぁ? そんなこと言っている人がいるんですか? なんのこっちゃやら」てな感じの答えが返って来る。
考えて見れば当たり前の話で、自分らの乗っている機のことは自分らが一番良く知っている。外野がなんと言おうと、その能力も限界も彼らが一番熟知している。当事者でもない人達の言動など関心外でも当然だろう。

まずASMを4発搭載した場合の機動性については、もちろんクリーンのときに比べてGの制限はあるものの、ミッション遂行に支障があるようなものではない。当たり前だがASMや増加タンクを満載にしたまま空中戦機動を行うわけはなく、制約があっても問題とはならない。
論より証拠で、ASM4発(+600ガロン・タンク2本)搭載のコンフィギュレーションでTさんが空中撮影を行って来ている。その写真は10月25日前後発売のJ-WINGに掲載される。それを良く見てくれと言ったところだ。
ちなみに搭載しているASMはダミーだが、ダミー弾は弾頭やロケット・モーターが付いていないだけで、重量や重心は本物と厳密に合わせてある。そうでなければダミー弾を載せてテストや訓練する意味がない。だからダミー弾を搭載して出来ることは、実弾でも出来ると思って良い。

F-2の空戦機動性に関しては、実際にF-16との異機種間空中戦訓練(DACT)も行って来ているし、それで遜色ない機動性を発揮しているそうだ。
幸いなことには第8飛行隊の指揮官クラスはアメリカ空軍に派遣された経験があり、向こうでF-16にも乗って来ている。新任の飛行隊長など、F-16の飛行時間が数百時間、F-2はまだ数十時間と言ったレベルだ。その彼らがF-2の飛行性能はF-16C/Dと比べても見劣りしないと太鼓判を押している。

またアメリカ側のF-16パイロットからF-2の印象を聞いて来たTさんからも、彼らがF-2を手強いと感じている様子を聞いた。
F-2の方が主翼面積が大きく、翼面荷重や翼幅荷重がやや低いことから、最新仕様のF-16と比べても、持続旋回性能では若干だがF-2優位なようだ。
F-16は新しい型になるほど戦闘爆撃機色を強めて重量が重くなって来ており、その点では軽くて機動性の良いF-2をうらやましがっている節すら伺える。
ちなみにTさんも巷のF-2の悪口はまったく知らなかった様子だ。
私が唐突にF-2批判の話題を始めたのにびっくりして、後で「浜田さんはアンチF-2なんですか?」と真剣に問われたくらいだ。

ただ実際に三沢のF-2部隊が、同じ三沢に基地を置くアメリカ空軍のF-16C/DとばんばんDACTを行って来ているわけではない。またお互いのパイロットが相手の戦闘機に相互乗り入れを行っているわけでもない。
双方に(政治や予算を含めて)いろいろ事情はあるし、第8飛行隊はF-2部隊としてはまだ若く、他流試合をするほどには育っていないと言ったこともあるかもしれない。
ただ個々の隊員はやる気十分で、自分達の乗っているF-2にまったく不安も引け目も感じていない様子だ。
DACTでもなんでもどんと来いと言った自信すら伺える。
国産だから悪く言わないなんてこともなく、最初からF-2に乗っているパイロットからは「レーダーには最初は苦労してねえ」と言った苦労話も聞かれるのだが、現在の機体の能力に大きな不満はないようだ。
これが以前飛行隊が使っていたF-1の話になると、「ともかくパワーがなかったからねえ」と言った愚痴を、古顔のパイロットから聞かされたりするのだが。
指揮官クラスのパイロットの要望としては、性能的な面よりもむしろ装備の充実を望む声が強かった。これに関しては確かに自慢出来たものではない。しかしそれはF-2の機体そのものではなくもっと上の方の問題だ。


以上の話は今回の取材の本筋を外れるので雑誌にはあまり大きく書くことはないだろうから、とりあえずここで書いておく。
これは航空評論家浜田一穂の見聞としてどこにでも引用して構わない。


元の文章は浜田氏のmixi日記(公開範囲:全体に公開)からです。何処でも引用して構わないと宣言されているので、この場で紹介する事にしました。事前に許可は得てあります。

とても貴重な証言の紹介、どうもありがとうございました。
19時20分 | 固定リンク | Comment (719) | 軍事 |
俄かには信じ難い話です。まさかインドネシアがこれ程までの軍拡を・・・


Индонезия намерена приобрести до 180 истребителей компании ≪Сухой≫ | ВПК.name
(インドネシアは180機のスホーイ戦闘機を購入する計画)

ЦАМТО, 30 сентября. Министр обороны Индонезии Пурномо Юсгианторо выступил с сенсационным заявлением о планах закупки для ВВС страны в течение следующих 15 лет до 180 истребителей компании ≪Сухой≫, сообщило государственное агентство ≪Антара≫.
(TSAMTO、9月30日。インドネシア国防相プルノモ・ユスギアントロは、空軍が今後15年間で180機のスホーイ戦闘機を調達する計画についてのセンセーショナルな声明を発表した。国営アンタラ通信が報告した。)


現時点で一線級の戦闘機を20機程度しか保有していないインドネシア空軍が、一挙に10倍の戦力を手にすると言うのです。インドネシアは海軍も潜水艦やフリゲートを大幅増強中、陸軍もこれまで軽戦車しか保有していなかったのですが新たにMBT(ロシア製T-90)を購入します。陸海空の全てで大軍拡が始まる事になります。このままでは周辺国を巻き込んで、アジア軍拡競争が更に過熱する事になるでしょう。
13時12分 | 固定リンク | Comment (284) | 軍事 |
2010年10月02日
ノルマンディー上陸作戦で使われたマルベリー人造港と浮体桟橋(ポンツーン橋)についてあまり知られていないのかなと思い、映像で紹介しておきます。



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揚陸地点が遠浅の海だったので、浮体桟橋は1km以上の長さになっています。人造港も浮体構造で、長大なスパッド(杭)を海底に打ち込んで固定しています。急深の海ならば浮体桟橋の長さはもっと短く出来ますし、ランプドアを持つRORO船ならば人造港を使用せずとも浮体桟橋をそのまま陸地まで繋げる事が可能です。このように人造港や浮体桟橋を用いれば、埠頭設備の無い海岸からでも民間船の利用が可能となります。

なお、「揚陸作戦に民間徴用船は使ってはならない」という摩訶不思議ルールを唱える隅田金属ぼるじひ社の文谷数重さんは勝手な勘違いをされているようですが、これは揚陸作戦で民間船を港湾で利用するという主張を後退させるものではありません。「民間船は港湾の埠頭を利用するし、埠頭の無い場所でも機材があれば揚陸出来る」と、侵攻側は複数の手段が有る事を提示しただけです。民間船を揚陸作戦で活用する方法は以下の五通りが考えられます。

1.海岸に揚陸後に港湾を奪取する。
2.港湾に直接揚陸して奪取する。
3.人造港と浮体桟橋を設置する。
4.機動埠頭(浮体桟橋)の利用。
5.ヘリコプターを用いて輸送。

1と2は既存の港湾を利用します。1については仁川上陸作戦は海岸に上陸後、その日の内に仁川港の奪取に成功しています。2についてはヴェーゼル演習作戦で港湾に直接揚陸しています。3は港湾を作ってしまいます。ノルマンディー上陸作戦です。4は中国海軍が揚陸演習でRORO船を用いて何度も実施しており、ロシア海軍の新型揚陸艦イワン・グレン級の標準装備でもあります。5については、ヘリコプターを用いれば港湾設備は必要ありません。客船からヘリコプターで兵員を輸送したり、貨物船からヘリコプターでスリング輸送(吊り下げ輸送。大砲や小型車両、物資を運べる)を行えます。イギリス軍に至ってはフォークランド紛争で貨物コンテナ船を簡易改装し、ハリアー搭載空母として活用しています。

つまり民間船を揚陸作戦で活用する方法は、様々な方法を侵攻側が自由に選べるのです。複数の手法を同時に実行してくる場合も有るでしょう。故に文谷数重さんは大きな思い違いをしています。複数種類の手段の提示は最初に示した手段からの後退を意味しません。「Aという手段も出来るし、Bという手段も出来るよ」という並列的な主張であるからです。

なお、揚陸作戦の実行にあたって航空機とSAMで限定的にでも航空優勢を確保しながら遂行するのは一々言うまでも無い話です。完全な制空権の奪取は必ずしも必要では無い、と云うより「制空権」という言葉自体が使われなくなり「航空優勢」という言葉が普及した意味を考えてみるべきでしょう。
21時14分 | 固定リンク | Comment (313) | 軍事 |
2010年09月30日
揚陸作戦とは専用の揚陸艦だけで行われるものではなく、多数の民間徴用船が参加して行われます。通常は先ず専用の揚陸艦が砂浜に上陸、地上部隊が進撃し港湾を奪取した後に、民間徴用船を港湾に接岸させて大量輸送を始めます。他には港湾を直接奪取する場合もありますし、砂浜の海岸に移動式の人工港を持って行った場合もあります。港湾を使わない場合でも、客船や貨物船ならば人員や物資をヘリコプターで輸送すれば活用出来ますし、カーフェリーやRORO船ならば沖合からポンツーンを架橋する事でビーチングをせずとも重装備を降ろす事が出来ます。

以下は1996年11月に中国人民解放軍が陸海空協同で大規模揚陸演習を行った時の様子です。



大型の民間ロロ船(RORO船)を使用して機械化部隊を輸送し、工兵が水際に短時間で機動式埠頭を架設して大量の戦車・装甲車・各種火砲を迅速に上陸させる訓練が実施され……次のような成果をあげた。

1 民間の大型貨客船を使用して機械化部隊を隠蔽し、巧妙に偽装を行って海上発射装置を設置し、重装備大部隊の迅速渡海作戦に新しい道を開いた。

2 部隊の制式機材を民間施設と相互に結合する方式を採用した。舟橋とバージ船を組み合わせて迅速に橋梁を架設する野戦式機動埠頭は、埠頭のない条件下での大量の戦車・装甲車・各種火砲を迅速に上陸させる重要な難題を解決した。……

(平松茂雄著「台湾問題」p5-6 元記事は「解放軍報」の1996年1月21日および1999年9月26日)


舟橋(ポンツーン)とバージを組み合わせた「野戦式機動埠頭」を用いれば、民間の大型RORO船を埠頭の無い条件下で投入する事が出来て、戦車を含む重装備を降ろす事が可能となります。

この機動埠頭を用いて大型RORO船を揚陸作戦で活用する中国軍の様子を写した写真が以下で閲覧出来ます。

中国民间隐藏着强大的海运登陆能力:铁血网BBS

「中国の民間には強大な揚陸作戦能力が隠されている」と題される写真投稿掲示板の記事には、1枚目と2枚目には小型フェリーから洋上発進する水陸両用戦闘車両、3枚目にはプッシャー・バージ船、4枚目に大型RORO船と機動埠頭(ポンツーン橋)を用いて装甲車を揚陸させている写真があります。

この「ポンツーン橋を用いる事で直接ビーチングせずとも重装備を陸上に降ろせる」事のメリットは、ビーチング能力を持たない民間RORO船を埠頭の無い状況で使える事と、ビーチング能力を持つ専用の揚陸艦であっても重量制限を気にする事無く物資を積み込める事にあります。そしてこれは台湾上陸を念頭に置いた中国軍の特殊装備という訳ではありません。実はロシア軍もまた新型揚陸艦「イワン・グレン」級に同様の装備を積み込んでいるのです。以下は9月10日のロシア紙クラスナヤ・ズヴェズダ(赤い星)が、イワン・グレン級2番艦の建造決定を伝える記事です。


≪Янтарь≫ – флоту | Красная звезда
Данный проект является единственным в мире, где реализована идея неконтактной выгрузки десанта и техники из корабля на необорудованное или пологое побережье – это будет происходить за счет использования серийных понтонных средств. Корабль сможет нести в трюме комплекс серийных понтонов, которые будут затем монтироваться в понтонный мост, соединяющий БДК и побережье, или использоваться как отдельные плавающие средства.


プロジェクト11711「イワン・グレン」級は満載排水量約6000t、全長約120mの戦車揚陸艦でバウドアを持ちビーチング能力が有りますが、それとは別に船倉にポンツーン橋を搭載しており、架橋する事によって無防備の海岸(他の艦が先行して水陸両用戦車を投入、揚陸地点周辺の安全を確保)や傾斜のある海岸(砂浜以外のコンクリート護岸でも展開可能)から重装備を揚陸する事が出来ます。

今回の記事はzyesuta氏の記事「民間船舶を徴用する中国軍の上陸作戦」を大いに参考にさせて頂きました。中国軍が揚陸作戦に民間徴用船を大量に投入する予定である事、1990年代以降は実際に民間船を動員して上陸演習を繰り返している事(一度の演習で民間船1000隻を動員した事も)、そして中国軍がフォークランド紛争の戦訓(英軍は上陸戦力の7割を民間徴用船で輸送)を徹底研究し、自らの戦略に取り入れている事が分かります。中国海軍の揚陸戦力は専用の揚陸艦隊と多数の民間徴用船で構成されるのです。そして当ブログで数日前に報じた「中国海軍、ドック揚陸艦と強襲揚陸艦の大量建造に着手か」にある通り、専用の揚陸艦隊が大幅に増強される兆し(ドック揚陸艦6隻、強襲揚陸艦6隻)が有ります。民間徴用船と併せた中国軍の揚陸能力は、非常に強大なものとなりつつあります。

なお、中国軍のRORO船(機動埠頭使用)を用いた上陸演習の写真提供は某S氏(bosc1945)さん、イワン・グレン級2番艦のクラスナヤ・ズヴェズダ紙の情報提供は小泉悠(cccp1917)さんでした。御三方、どうもありがとうございました。

そしてこの中国軍の方針は「揚陸作戦に民間徴用船は使ってはならない」という摩訶不思議ルールを唱える「隅田金属ぼるじひ社」の文谷数重さんの間違った認識を正すものでもあります。

・・・揚陸作戦に民間徴用船を活用する事は、過去の幾つもの戦訓で示されている事であり、当然の話の筈なのですが・・・
20時42分 | 固定リンク | Comment (1071) | 軍事 |
2010年09月27日
まだ中国の公式な発表はありませんが、071型ドック揚陸艦「崑崙山」に続く大型揚陸艦建造計画が始動した模様です。


簡氏:071塢登將造6艘 081直升機登陸艦在:環球時報
簡氏還分析認為,首次部署船塢登陸 艦的舉動凸顯了中國打造一支更大型的能執行常規軍力投送任務的海軍。在6月中旬,第二艘071型船塢登陸艦的船身部件開始在上海組裝,來自亞洲的消息源披 露,最初階段,中國將建造6艘071型船塢登陸艦和6艘081型直升機船塢登陸艦(LHD),第一艘081型登陸艦已在建造,但是亞洲的消息源說,該艦在 在大小規模上類似于071型,並配置性能更強的防空係統。在2020年之前,中國的初步兩棲投送力量還將有多達四個新型航母戰鬥群與之伴隨。


この記事は中国誌の独自記事ではなく、イギリスの軍事誌ジェーン・ディフェンス・ウィークリー(中国語で簡氏防務周刊)の翻訳記事です。ジェーン=簡氏と略します。その内容は・・・

「071型の2番艦の建造が上海で行われている。071型ドック揚陸艦は6隻建造、081型強襲揚陸艦は6隻建造する予定で、081型の1番艦の建造は既に始まっている」

上記が揚陸艦に関する記述です。満載2万トン級のドック揚陸艦(LPD)を6隻、強襲揚陸艦(LHD)を6隻で合計12隻という非常に有力な揚陸戦力を新たに整備するという野心的な計画で、初期揚陸戦力の投入には新たに建造する4個空母戦闘群を随伴させます。2020年迄にこれだけの大戦力が整備出来るとは俄かには信じ難いのですが、中国は現在の主力揚陸艦である072-V型戦車揚陸艦を2003〜2005年の2年間に一挙9隻就役させるという調達の仕方を行った実績があり、短期間のうちに新造艦が次々に就役していくことは有り得る事態です。

081型強襲揚陸艦については情報がほとんど無く、071型と同程度の大きさで全通甲板を有するヘリコプター揚陸艦でウェルドックを持つらしいのですが、現段階ではまだ存在が直接的には確認されてはいません。一方、071型ドック揚陸艦に付いては、2番艦と推定される船体が上海で確認されています。

2010-5-12 05:12 PM
第八艘054A現身;第二艘071船塢登陸艦分段現身;海洋情報船完工(圖)
http://news.discuss.com.hk/viewthread.php?tid=12181367

FRIDAY, SEPTEMBER 24, 2010
Latest photos of LPD 999 under construction in Shanghai - CHINA DEFENSE BLOG
http://china-defense.blogspot.com/2010/09/latest-photos-of-lpd-999-under.html

071型の追加建造が確認された事で、今後の中国海軍の大型揚陸艦の大量建造計画について注視していく必要があります。もしドック揚陸艦6隻、強襲揚陸艦6隻の計12隻が配備されれば、中国海軍の揚陸戦力の劇的な変質が始まったと見做せます。それは台湾攻略に主眼を置いた中小揚陸艦艇の大量配備から、遠隔地への戦力投射を目指した大型揚陸艦の整備となり、力の向かう矛先がこれまでと異なって来る事を意味します。

071型ドック揚陸艦 - 日本周辺国の軍事兵器
18時38分 | 固定リンク | Comment (304) | 軍事 |
2010年09月16日
スペイン在住のSAWADAさんより、カスティーリャ・イ・レオン州 (Castilla y Leon)のバリャドリッド市(Valladolid)で開かれたバリャドリッド国際見本市「FERIA INTERNACIONAL DE MUESTRAS DE VALLADOLID」というイベントで野外展示された、スペイン陸軍のセンタウロ戦闘偵察車とレオパルト2A4戦車の写真を紹介します。

センタウロはアフガニスタンに派遣された車両で、増加装甲キットが付いています。

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なおレオパルト2A4はアフガンには投入されていません。

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気軽に内部を撮影しています。

バリャドリッド国際見本市は兵器の見本市ではなく貿易見本市で、一般向けのイベントです。雰囲気としてはキャラホビに展示車両を出した陸自と在日米軍みたいな感じでしょうか。
22時52分 | 固定リンク | Comment (146) | 軍事 |
2010年09月04日
産経新聞のルポに気になる数字が。


産経新聞:軽装甲機動車に化学防護車 東北の要「陸自第6師団」に潜入ルポ (2/3ページ)
シロサイを思わせるような鎧をまとった外観は、12・7ミリの重機関銃の弾丸もはねのける。


上記は軽装甲機動車の耐弾防御力に付いて。
下記は化学防護車の中性子線防御力に付いて。


産経新聞:軽装甲機動車に化学防護車 東北の要「陸自第6師団」に潜入ルポ (2/3ページ)
中性子線に対応するため、15センチもある特殊な防御板をフロントに取り付けるが、「それでも約半分しか防御できません」(隊員)。


これ等の具体的数字は陸自第六師団の広報がそう説明したと受け取って良いでしょう。

軽装甲機動車の防御力は以前に軍事誌でも取り上げられた事が有りますが、公式発表数値ではありませんでした。

(2010/06/30)PANZER誌の柘植優介氏「軽装甲機動車は前面で12.7mm弾に耐え、側面も7.62mm弾に耐える」
(※追記:PANZER誌の独自ソースではなく、インターネット情報がそのままPANZER誌に転載された可能性が高い事が分かりました。これでは雑誌記事ソースとは言えません…http://togetter.com/li/170832

なお化学防護車の「フロントに取り付ける中性子防御板」とはこういうものです。

陸上自衛隊車輌 化学防護車 81-9009 中性子遮蔽板:スポッターズ的ひこうき写真館

鉛ガラス製水素原子を多く含む特殊素材で、戦闘用ではなく、原子力災害派遣で使われます。
22時32分 | 固定リンク | Comment (156) | 軍事 |
2010年09月03日
中国海軍の揚陸戦力は現状では中小艦艇ばかりですが、掻き集めるとかなりの量になります。既にアメリカ海軍に次いで第二位の揚陸戦力を有しています。

【中国海軍揚陸艦艇】
 
●Yuzhao級 17600トン ×1隻 戦車 10両 歩兵 800人
●Yuting-U級 4800トン ×9隻  戦車 90両 歩兵 2250人
●Yuting-T級 4800トン ×8隻  戦車 80両 歩兵 2000人
●Yukan級 4170トン ×7隻  戦車 70両 歩兵 1050人 
●Yunshu級 1850トン ×10隻  戦車 80両 歩兵 1800人  
●Yudeng級 1850トン ×1隻  戦車 8両 歩兵 180人
●Yubei級 1000トン ×10隻  戦車 40両 歩兵 1500人  
●Yuhai級 800トン ×9隻  戦車 18両 歩兵 2250人

揚陸艦艇合計 55隻 16万6740トン
戦車搭載合計 406両
歩兵搭乗合計 1万1830名

ただし、戦車を限界まで積んだら歩兵は減らさないと乗りませんし、戦車以外の車両も積んで行くのでこの数値そのままで揚陸するわけではないです。ただし揚陸作戦には民間徴用船も使用されるので(例:フォークランド紛争で英軍は陸戦兵の大半を徴用船で輸送)、専用の揚陸艦だけで何もかも輸送するわけではありません。港湾を占拠すれば商船でも自由に重装備を降ろせます。例え港湾施設(クレーン等)が破壊されても、Ro-Ro船ならば岸壁に横付け出来れば自前のランプから降ろせるので何ら問題になりません。

さて当ブログ8月22日の記事コメント欄で、ちょうどタイミングの良い記事を紹介して頂いたのでこちらでも紹介させて頂きます。



宴たけなわではございますが、アメリカのシンクタンク Jamestown Foundation の中国軍事外交ウォッチサイト China Brief に、ちょうど「中国軍の揚陸能力-抑止のための構成」というような題の記事がありました。

PLA Amphibious Capabilities: Structured for Deterrence - The Jamestown Foundation

その中身をざっと読んだところでは、中国軍の陸軍・海軍合わせての揚陸部隊兵力は3万〜3万5000人ぐらい、2個師団プラス3個旅団程度、海軍の揚陸戦艦艇の輸送能力はだいたい1万人ぐらい、つまり1個師団ほど、とアメリカ軍は見ているようです。
揚陸戦艦艇は、近年近代化されているものの(「崑崙山」とか)、輸送能力が大幅に増強されている様子はない、としています。
それやこれや、大規模な揚陸演習も最近は行われていないことから、中国にとって揚陸戦能力の大幅強化はそれほど優先度が高くないようだ、と結論してます。
 詳しい人がちゃんと読んでくれると、もっと面白いことが書いてあるような気もします。ま、ご参考までに。




これは逆を言えば「今はまだ揚陸戦力に力を入れていないのに既に世界第二位」「現状でも揚陸第一波で一個師団を投入可能」という事でもあります。既に中国海軍は冷戦期のソ連海軍の揚陸能力を上回っています。現在の中国海軍の優先順位としては更新中の原子力潜水艦と、建造が確実視されている航空母艦、およびその護衛の広域防空艦の順番であり、揚陸艦はその次になるのでしょう。先ずは最前線で戦う艦艇の強化を目指しています。確かに中国海軍の揚陸戦力は最近10年、特に此処5年間はあまり増強されていません。しかしこの間に中国初の大型ドック揚陸艦であるYuzhao級「崑崙山」が2007年に就役しています。このクラスは続けて同型艦が出て来る様子も無く、試験艦としての意味合いが強いと思われます。その崑崙山はソマリア沖アデン湾の海賊対策に投入され、遠隔地での運用テストを実戦も兼ねてこなしています。つまり近年は揚陸艦の量産が行われていないのはテスト期間だからであり、その成果を踏まえて改良を加えたYuzhao級同型艦、あるいは全くの新型艦を量産し始めた時こそが、中国海軍の揚陸戦力の変質が始まったと見做せます。それは台湾攻略に主眼を置いた中小揚陸艦艇の大量配備から、遠隔地への戦力投射を目指した大型揚陸艦の整備となり、力の向かう矛先がこれまでと異なって来る事を意味します。

※)最近、Yuzhao級「崑崙山」の二番艦について建造が着手されたという情報も出回っていましたが、それはまだ確定的なものではありませんでした。過去記事で不確かな情報を載せてしまい、申し訳ありません。
11時00分 | 固定リンク | Comment (445) | 軍事 |
2010年08月28日
去年から情報が出ていたアメリカ軍のM1エイブラムス戦車最新型「M1A3」開発計画。以下の記事の後半で軽く触れています。

(2009年10月08日)台湾次期主力戦車計画を見直し、M1A2戦車より小型のものを検討

そして今年もちらほらとより詳しい情報が出て来たので纏めて置きます。アメリカはM1戦車を大胆に軽量化する積もりでいるようです。

先ずは去年の米陸軍ニュース記事から。


Army looking into lighter Abrams tank - ArmyTimes
The Army is exploring the possibility of developing a 60-ton Abrams main battle tank that provides as much protection as the current 75-ton version.

The concept is under development at the Army’s Armor Center at Fort Knox, Ky. The Army Maneuver Center at Fort Knox and Fort Benning, Ga., will play a leading role in the effort. The new center would combine the work of infantry and armor centers into a unified effort.

Plans to lighten the vehicle complement an existing Army effort to build prototypes of a tougher, more high-tech M1A3 Abrams main battle tank by 2014, with an aim to field it by 2017.

The Army plans to preserve the Abrams through 2050 by improving networking capability and laser-designation, and providing composite armor upgrades.

One advantage of a lighter armored vehicle is a better capability to cross bridges.


この記事での75トン、60トンというのは「米トン」という単位なので、メートルトンに直すとそれぞれ68トン、55トンになります。つまり最大68トン(基本重量62トン+TUSKキット6トン?)もあるM1A2を55トンに軽量化を図るのがM1A3計画なのです。基本重量分で7トンの軽量化を狙います。フォートノックスの陸軍機甲センターで開発中で、2014年までに試作型を作り、2017年には試験投入を行う予定です。軽くする利点としては「より多くの橋が渡れるから」という理由が挙げられています。

そして今年のより詳しい情報の記事です。(但し此方は公式発表ではない)


How An Autoloader Can Hurt M-1 Tanks - StrategyPage
The M1A3 model would be a radical upgrade, compared to previous ones. One goal is to make the 62 ton M-1A2 a few tons lighter. This would involve a lightweight 120mm gun, which would allow for the installation of an autoloader, new fiber optic wiring, and new (and lighter) armor. A new engine and running gear would also save weight. The M-1A3 might get down to 55 tons, or less.


軽量120mm戦車砲への換装、自動装填システムの組み込み、車内電気配線を光ファイバー化して引き直し、新型軽量装甲の挿入、新しいエンジンと駆動装置・・・外側だけ残して内部総入れ替えといった様相を呈しています。基本重量62トンのM1A2を7トン軽量化して55トンにするのは、かなり困難な事ではないかと思います。また技術的な事とは別に、自動装填化で乗員数が減る事に軍内部で強い抵抗があり、計画がすんなりとは行かないであろうと上の英文記事で伝えられています。

軽量120mm戦車砲は、中止されたMCS計画用に開発していた120mm滑腔砲「XM360」を流用するのだと思われます。この砲は重量わずか1860kgで、従来の44口径120mm滑腔砲M256の3023kgよりも1163kg軽くなります。この砲には最大射程12kmの誘導砲弾(XM1111 MRM)が用意されています。

とはいえ軽量砲だけでは軽くなっても1トンです。一体他にどうやって軽量化を図るのか・・・105mm砲装備の初代M1の頃が55トンでしたから、やってやれない事はないのでしょうが、火力と装甲を落とさずに重量だけ戻すのは困難な話になります。

最終的な結果としてM1A3計画は7トンの軽量化は無理かもしれません。ですがどんどん重くなっていく戦車は運用が困難になるばかりで、どこかで軽量化を図らないといけなくなるという事をアメリカが方針として示した、という事実が重要です。

我が国の10式戦車のコンセプトの正しさが証明される事になるからです。
22時41分 | 固定リンク | Comment (608) | 軍事 |
20日に富士演習場で発生した90式戦車の砲身破裂事故は人為的なミスによるものでした。


戦車砲身破裂 重なった人為ミス 届かなかった中止命令:毎日新聞
 ●再発防止へ対策

 事故が起きたのは20日午前11時5分。陸自富士学校の説明によれば、事故を起こした戦車は縦列4両の最後尾にいた。左斜め前方に砲身を向けて走行中、右カーブで、砲身が左側の土手にぶつかりそうになった。車長の2曹は砲身を前に振ろうとしたが、手順を怠り、レバーから手を離していたため先端部が土手を削る。削った長さは2・5メートル、幅85センチにわたったが、車長は「草をなぎ払っただけ」と思い込んだという。

 4両の動きを見ていた幹部は、戦車の砲口に草が付いているのに気付き、小隊長に「射撃中止」を無線で命じた。だが、最後尾の戦車は無線で使った周波数では受信出来ない状態だった。

 命令は届かず、土を砲口に詰めたまま砲撃した。砲身の先端40センチが吹き飛び、破片は約200メートル離れた仮設の観客席を直撃し椅子を割った。回収した砲身の破片は計81個。最大で縦40センチ、横15センチあったという。

 事故を受け、富士学校は、(1)隊員の再教育(2)戦車の発進位置を改める(3)安全係を各戦車に配置し発射前に砲口を確認する(4)命令をすべて受信できる無線機にする−−などの対策を講じたとしている。


何にせよ本番での事故でなくて不幸中の幸いでした。安全対策が取られ、総合火力演習に90式戦車も参加できるようになったようです。
16時54分 | 固定リンク | Comment (176) | 軍事 |
隅田金属ぼるじひ社さんが資料を全く読めない人だという事はよく分かりました。・・・というか目の前に転がっている数字すら理解する能力が無いというか・・・妄想で決め付けて、またしても豪快に間違えています。


「敵は来る」・「上陸戦は戦車の質」と信じなければならないJSF氏:隅田金属日誌
> 05式水陸両棲突撃車
> エンジンが74式戦車の2倍近い出力で高機動を誇る

 水上では10ノットもでないでしょうね。操縦性もよくない。よい標的でしょう。


いえ、その3倍の速度が出ます。

・・・私は、中国の05式水陸両棲突撃車は74式戦車の倍近いエンジン出力があると教えたのに、アメリカのEFV(遠征戦闘車)を意識した設計だと教えて上げたのに、どうしてそんな勝手な思い込みで出鱈目を断言するのですか?

隅田金属氏、貴方は間違っています。


ZBD-05式两栖突击车方队出发准备受阅:新浪网
我军新型ZBD-05式两栖突击车采用线型更优秀的车体、配备99A式坦克的1500马力大功率发动机、加装大面积的前后滑水板,水上行使速度超过40公里/小时。加高的车体改善了载员舱乘坐条件,载员较长时间乘坐也不会像老式装甲车一样感到明显不适它的出现可将中国两栖装甲部队的航渡速度提高3倍,使中国机械化登陆部队能够以最快速度冲过无掩护的登陆场,攻上地方滩头阵地,可以有效减少人员伤亡。  装备性能:ZBD-05式两栖突击车全重26吨乘员为车组3人加载员8人,水上速度可达30-40公里/小时,发动机功率高达1103千瓦。 武器配备:装备105毫米低后坐线膛坦克炮。是在63A水陆坦克的同口径火炮上改进而来的。这种火炮和陆军105毫米坦克炮相比,通过揄チ炮口制退器、改进反后坐装置降低了火炮后坐力,使轻型两栖突击车能够承载并在水中安全发射。中国的105毫米坦克炮自80年代从西方引进以来,经过20余年的消化吸收,性能已经达到相当高的水平,近年来最新研制的弹芯长径比接近30:1的新型脱壳穿甲弹2000米距离垂直穿深达到500毫米水平,足以对付M60A3和M48H坦克。

※記事はZBD-05とあるがZTD-05の表記ミス。


中国の05式水陸両棲突撃車は、26トンの車体に主力戦車用の1500馬力エンジンを搭載し、水上最高速度40km/hを発揮出来ます。これは従来の水陸両用戦車(63A式)の三倍のスピードです。搭載する105mm砲から発射する最新型APFSDS(L/D比30:1)は距離2000mで垂直500mm鋼板を貫通、十分にM60A3戦車とM48戦車を撃破可能です。

この05式水陸両棲突撃車(ZTD-05)はZBD-05水陸両棲歩兵戦闘車の駆逐戦車型です。この系列は水上航行速度の速さが特徴で、アメリカが開発中のEFV(遠征戦闘車)に影響を受けています。しかしEFVはもっと速いのですが水上航行モードがあまりにも複雑な変形を行う為、中国はコンセプトを真似つつ変形機構は取り入れず、技術的冒険は避けました。それでも大出力エンジンとウォータージェットにより従来型の三倍の水上航行速度を達成しており、EFVがまだ量産に入っていない現時点で、世界最速の水陸両用戦車です。

05式両棲突撃車(ZTD-05) - 日本周辺国の軍事兵器



再度言う事になりますが、隅田金属氏、貴方は火力と装甲の意味を何にも理解していません。中国の最新型105mmAPFSDSは距離2000mで貫徹力がRHA換算500mmにも達し、装甲厚100mm程度の74式戦車やM60、M48など楽々貫通されてしまいます。複合装甲を持たない第二世代戦車戦車ではどう強化しても焼け石に水です。

お互いに相手を貫通してしまう105mmAPFSDSを発射出来る第二世代戦車と05式水陸両棲突撃車は、撃ち合いになれば先に当てた方が勝ちます。エンジンが第二世代戦車の2倍近い出力で高機動を誇る05式水陸両棲突撃車を相手に、第二世代戦車の74式戦車やM60、M48では苦戦を強いられるでしょう。

しかし複合装甲を持つ10式戦車ならば正面装甲は105mmAPFSDSに楽々耐える事が出来ます。圧倒する事が可能でしょう。これが装甲の価値です。

もう一度噛み砕いて説明します。いいですか? 攻撃力について74式と05式はお互いに貫通力500mmのAPFSDS弾を発射出来ると仮定します。防御力では74式の装甲厚を100mm、05式を30mmと仮定します。これで分かりますよね? 過剰な攻撃力の前には多少の装甲厚の差など無意味だと。500mm貫通出来るAPFSDSの前では100mm装甲だろうと30mm装甲だろうと同じです。

なお台湾軍のM41ウォーカーブルドック軽戦車の76mm砲にもM454というAPFSDS弾があり、貫通力は250mmです。105mm砲の半分の威力ですが、74式の装甲でも抜かれてしまいます。

また、海岸線付近での戦車戦は過去の戦史に幾つか例が有ります。ノルマンディー、シチリア、ビアク、サイパン、硫黄島、占守島などです。


「敵は来る」・「上陸戦は戦車の質」と信じなければならないJSF氏:隅田金属日誌
 結局、戦車の性能だけの話になってしまうのですね。
 前に、T−55がT−72になっても同じだと説明したのですけどね。ロシアの場合は、T−80になろうが、T−90になろうが、T−100になろうが、T−200になろうが同じことです。


そのような言い訳や誤魔化しは受け入れません。

貴方は「各国海軍歩兵/陸戦隊/海兵隊の戦車は旧式」と言い放って間違えたのですから、素直に謝罪し訂正して下さい。日本周辺各国の海軍歩兵/海軍陸戦隊/海兵隊の戦車は最新鋭の装備が与えられています。これほど明確な間違いは専門誌で行なえば次号で訂正が必ず入るレベルです。

同人誌の方は冬コミで訂正を入れるか、自分のサイト上で記述間違いを公表し、購入者への注意を促して下さい。
03時26分 | 固定リンク | Comment (567) | 軍事 |
2010年08月27日
隅田金属ぼるじひ社さんが戦車について「どうせ水田では行動できない」と仰られるので、朝鮮戦争やベトナム戦争では戦車が水田を突破して行った事を指摘したら、このような反論がありました。


JSF氏への反論:隅田金属日誌
>(JSF氏)軍事研究 2008年 10月号「地盤の固い水田を戦車が通過する能力は、朝鮮戦争当時と同様に南ベトナムでも実証された。要するに水田、湿地及び河川は、その地盤が固ければ、戦車の通過が可能であった。」83ページ

(反論)
『関東地方警備地誌概説』には「水田は卑湿のため特車の通過を困難ならしめている」とある。ちなみに当時の特車は軽量なM24。戦車が物理的に通れるからといって、戦車の運用ができるとするのはJSF氏の短絡でしょう。他にも、施設科にも「氾濫泥濘化」という方法があったりする点も、湛水水田が地形障害として強力である点の証左。


しかし、防衛庁陸上幕僚監部作成の「関東地方警備地誌概説」は1954年発行です。当時は田んぼに「乾田」と「水田」と「沼田」という区別がありましたが、今では乾田(稲を育成する時だけ水を溜める)化が進んで、当時の区分でいう「水田」は殆どが姿を消しています。つまり現状に即していない古い資料に過ぎません。

隅田金属氏は湛水水田(水を溜めた状態の水田)と言っておられるので、乾田であっても湛水状態ならば「水田」と同じであると主張されるでしょうが、現実に実戦(朝鮮戦争、ベトナム戦争、中越戦争)で戦車は湛水水田を突破出来ており、隅田金属氏の言う「物理的に通れるからといって戦車の運用ができるとするのは短絡」というのは、いまいち仰られる意味が分かりません。独ソ戦では戦車は泥濘でも運用されて来た筈です。

湿地帯が乾燥地より通り難い事は当たり前です。しかし戦車の機動を阻害しても通行不可能な障害ではないので、運用は可能であると結論付けられます。(そもそも敵が農閑期に攻めて来たら乾田は湿地ではない)

水田は泥部が30cm、その下は水を逃さない粘土層であり、最低地上高が40〜50cmの戦車は余裕があります。10式戦車なら油圧で車高を更に上げる事が可能で、踏破力も高いでしょう。履帯のパターンを見ても、泥で滑らないように工夫されたグローサ形状で、欧米の戦車に見られる平らな履帯シューとは異なっています。

なお参考例として90式戦車は接地圧が0.89kg/㎠です。M24チャーフィーで0.72kg/㎠です。これは人間がもう一人の人間を背負った時の接地圧に近く、この状態で歩行可能なら戦車も通過可能とされています。

そして水田や湿地の突破が困難なのは戦車を含む装軌車両ではなく、接地圧が高い上に車輪が空転し易い装輪車両の方でしょう。
22時06分 | 固定リンク | Comment (317) | 軍事 |
2010年08月26日
隅田金属ぼるじひ社さんは「海軍歩兵の戦車なんてT-55のまま」などと出鱈目な事を仰られていたので、私はロシア海軍歩兵はT-72やT-80を装備している事、ウラジオストクの第155独立海軍歩兵旅団は今年中にT-90を受領する事などを指摘すると、以下のような抗弁がありました。


JSF氏への反論:隅田金属日誌
(JSF氏)隅田金属さんはロシア海軍歩兵がT-55のみだと書いてたけど、T-80やT-72もちゃんと持ってるのになぁ。
(反論)
 問題点は、ソ連軍/ロシア軍揚陸の写真でT−72以降が出てこない点。
 80年代以降ソ連海軍歩兵のT−55は、T−80とT−72に更新されていることになっているのです。ただ、揚陸をやっている写真で出ているのはT−55+BTR。おそらくT−72以降は沿岸防衛用に使っているのではないか。


ふむ・・・揚陸をやっている海軍歩兵のT-72の写真があれば良いのですね? それなら簡単です。

海軍歩兵ベテランサイトより
http://www.morpeh.com/

77 ОГБрМП КФл Каспийск, Астрахань 77 ОГБрМП КФл Каспийск, Астрахань
http://www.morpeh.com/gallery/category/65-ucheniya-na-kaspii-2003-g.html

810 ОБрМП КЧФ Казачка 810 ОБрМП КЧФ Казачка
http://www.morpeh.com/gallery/category/25-01.html?start=20

日本語の書籍では「ソビエト・ロシア 戦車王国の系譜」p113に海軍歩兵所属のT-72の写真が掲載されています。


10式戦車は簡易版でいいんじゃないか?:隅田金属日誌
また各国海軍歩兵/陸戦隊/海兵隊の戦車は旧式。実際に揚陸させているのはロシアはT−55、中国は軽戦車、韓国はM−60。戦車戦よりも海岸でのトーチカ粉砕火力だろう。周辺国の状況がこの程度なのに、最新鋭のクソ高い戦車って必要かね?


隅田金属さんはこの内容を夏コミの新刊にも書いてしまったようですが、全くの出鱈目です。ロシア海軍歩兵はT-90、中国海軍陸戦隊は05式両棲突撃車、韓国海兵隊はK1A1を装備しており、日本周辺各国の海軍歩兵/海軍陸戦隊/海兵隊の戦車は最新鋭の装備が与えられています。

これに対して隅田金属さんはこう、抗弁しました。


74式で充分が「戦車不要論」なのかね?:隅田金属日誌
 こっちのデータを『ミリタリーバランス2010』に揃えただけの話。
 そのはずなのですが、ソ連海軍歩兵の場合、1980年代にはT-72やT-80が装備されていたにも関わらず、実際の揚陸で出てくるのはT-55でした。ソ連海軍歩兵は沿岸防備もするわけですから、新鋭戦車はそっち用なのでしょう。中国海軍の水陸両用戦車ですけど、まあ強力なのでしょうけど、防御力は水陸両用戦車でしょう。


最初の言い訳が「ミリタリーバランスに書いてあったから俺は悪くない」では通りません。自説を補強する資料を自分で選んでそれが間違っていたら、それは当然自分の責任です。学生の書く論文だってそうでしょう、参考文献が間違っていたら、それを選んだ自分のミスであり、自分が責任を取らねばなりません。ミリタリーバランスとは大まかに見るもので、細かい部分が間違いだらけなのはこの世界では常識の話です。私は3年前にホーク練習機を「ミリタリーバランスで戦闘機に分類されている」とか、非武装のガゼルを「ミリタリーバランスでは攻撃ヘリだ」と言い張る太田述正・元防衛庁審議官を相手にした事があるので、もう食傷気味なんですよ、そういうのは。

(2007/06/14)資料の意図的な読み間違え方
(2007/06/11)資料の悲惨な読み間違え方
(2007/06/06)太田述正・元防衛庁審議官は一体何を学んできたのか?

立派な資料があっても読み方を知らないようでは宝の持ち腐れです。

真ん中の反論の「T-55しか揚陸演習に出て来ていない」という部分は、この記事の最初で間違いであると示しました。海軍歩兵のT-72が揚陸演習している写真があります。隅田金属さんが知っている資料だけが全てじゃあ無いんです。勝手な思い込みはしないで下さい。

最後の「防御力は水陸両用戦車でしょう。」という反論は、74式戦車で対抗するという条件では何の意味も持ちません。何故なら最新の105mmAPFSDSは距離2000mで貫徹力がRHA換算400mm以上にも達し、装甲厚100mm程度の74式戦車など楽々貫通されてしまうからです。複合装甲を持たない第二世代戦車の74式戦車ではどう強化しても焼け石に水です。

お互いに相手を貫通してしまう105mmAPFSDSを発射出来る74式戦車と05式水陸両棲突撃車は、撃ち合いになれば先に当てた方が勝ちます。エンジンが74式戦車の2倍近い出力で高機動を誇る05式水陸両棲突撃車を相手に、74式戦車では苦戦を強いられるでしょう。

しかし10式戦車ならば正面装甲は105mmAPFSDSに楽々耐える事が出来ます。圧倒する事が可能でしょう。これが装甲の価値です。
20時16分 | 固定リンク | Comment (427) | 軍事 |
2010年08月25日
TwitterでWeb論座(@webronza)さんの方から話を持ち掛けて頂き、私の反論記事「お話にならない朝日Web論座の「戦車不要論」をリンクして貰える事になりました。


今し方、該当記事へのリンクを追加しました! 今後もむしろこうしたケース大歓迎です、というのが当サイトの現時点での見解です。 @obiekt_JP それが出来たら評価も変わるかも// @webronza 今さら気づいたのですがJSFさんの反論記事に、追加でリンクを張る手も//less than a minute ago via web



自衛隊は「冷戦思考」を超えられるか:Web論座
>お話にならない朝日Web論座の「戦車不要論」
>週刊オブイェクト(2010年8月25日追加)

インターネットの双方向性が体現されたわけです。とはいえ、私の記事は名指しで徹底的に反論を加えたもので、これをリンクする事は普通は難しい話でしょう。ですが怒りもせずにWeb論座(@webronza)さんは気さくに応じてくれました。なかなか取れない対応だと思います。非常に感心しました。柔軟で丁寧な対応、ありがとうございます。

Twitterは作り手と読者の双方向性を実現できる可能性を持ったツールなのだと実感しました。
19時42分 | 固定リンク | Comment (132) | 軍事 |
2010年08月21日
これは本番じゃなくて本当に良かった。リハーサルだったので死傷者ゼロです。


90式戦車の砲身飛び散る=大規模演習に向けた射撃訓練中−陸自:時事通信
 20日午前11時5分ごろ、静岡県御殿場市の陸上自衛隊東富士演習場畑岡射場で、90式戦車4両が今月末に行われる陸自の「富士総合火力演習」(総火演)に向けて実弾射撃訓練中、1両の砲身の先端が破損するとともに、砲身と砲弾の破片が周囲に飛び散った。
 破片の一部は戦車の約200メートル後方に設置された観客席を破損した上で、一部が付近の民有地に落ちたが、けが人はおらず、ほかの設備や戦車などに被害はなかったという。
 訓練を実施した陸自富士学校(静岡県小山町)などによると、戦車4両は前進しながら、砲身を90度左に向けて射撃訓練を実施。砲身が破損した戦車は最後部にいた。砲身は先端から約50センチが破損していたという。


本番まで時間が無いので、今年の総合火力演習は90式戦車の砲撃展示が無いかもしれません。
08時16分 | 固定リンク | Comment (213) | 軍事 |
2010年08月15日
これからの主力戦車の世界的流行は軽量化の時代へ。日本の10式戦車、中国の0910工程に続き、インドの新型戦車も「前の型よりも軽い戦車」となりそうです。


軍事@2ch掲示板:各国次期主力戦車(戦闘車)動向Part5
539 名前:名無し三等兵:2010/08/13(金) 07:45:46 ID:???

インド防衛研究開発機構(DRDO)次世代戦車開発準備を進める
http://www.business-standard.com/india/news/drdo-to-develop-army%5Cs-next-generation-tank/404082/
将来戦車(FMBT)はアルジュンとはかなり異なった戦車になるようで重量は60トン台のアルジュンから50トンに軽量化される。開発には7〜8年の時間が想定されている。また将来歩兵戦闘車(FICV)開発も検討されている。


サラスワット国防相とDRDO(インド国営の兵器開発局)の言なので、50トン戦車を開発するのは確実のようです。インドのインフラ事情では50トンの戦車までが運用上の限界で、60トン級と重いアージュン(アルジュン)戦車には陸軍が不満を漏らし、40トン台のロシア製T-90戦車の調達を望んでいましたが(しかも重さの問題だけでなくアージュンは欠陥だらけだった)、しかし政府とDRDOはゴリ押しでT-90との比較評価試験をアージュン有利に判定し、無理矢理にアージュンを調達配備し続けました。そして追加調達分が終了するので新たに小改良型のアージュンMk.2の生産が今年の5月に決まっています。しかしアージュンは重量がインフラ限界を超えており、車幅も大きい為に運べるトランスポーターを持っていない陸軍は悲鳴を上げていました。

そこでようやく陸軍の要望を聞き入れて、将来戦車はインドのインフラ事情に合わせた軽量な戦車を開発する方針となったのです。

そしてこの決定はロシアのウラル車両工場を落胆させる事になるでしょう。開発していたT-95戦車のロシア軍不採用を諦めきれないウラル車両工場は国外販売の道を目指していました。インドに話を持ちかけていたのです。ロシア政府の許可は得ていませんでしたが、もし許可が出るとしたらインドだけに望みがありました。しかしT-95は55トンあり、インドの望む50トン級戦車という条件に合いません。もはや時代は軽量な主力戦車を要求しています。

日本・・・90式(50トン)→ 10式(44トン)
中国・・・99G式(55トン)→ 0910工程(50トン?)
印度・・・アージュン(58トン)→ FMBT(50トン?)

こうして各国の動向を見ると、日本の新戦車が示した方向性が正しかったと言えそうです。
19時33分 | 固定リンク | Comment (461) | 軍事 |
2010年08月08日
7月19日に産経新聞が報じた 「F-2戦闘機調達継続の可能性」を政府が検討しているという報道の後追いが、別の報道媒体から複数出て来ました。TV東京のWBS(ワールドビジネスサテライト)と共同通信です。複数ソースで話が出て来た以上、この話は実際に政府が検討しているという事は確かなようです。


空自FX、現有機で暫定措置 F35導入難航で :共同通信
政府は航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)の最有力候補と位置付けるF35の開発の遅れを踏まえ、暫定措置として現有の主力戦闘機F15の改修継続か2011年度で生産終了予定だったF2の追加調達で対応する方針を固めた。この関連経費は12年度の予算に盛り込む見通しだ。複数の政府関係者が7日、明らかにした。


ただ、はっきりと決めている様子では無く、共同開発元の米ロッキード・マーティン社との調整が出来ている様子も見当たらず、状況はまだまだ流動的です。TV東京WBSでも 『政府検討案入手「F-35取得までF-2追加生産も考えられる」』という内容の放送で、まだ検討中の段階だと伝えられています。また産経新聞自身も追加報道を行っています。


F35選定に向け調査費 次期主力戦闘機、概算要求に最大10億円:産経新聞
ただ、F35の開発は遅れており、導入時期は不透明。それまでの間、国内の戦闘機の生産・技術基盤維持のため、国内に生産ラインが残るF2戦闘機の追加調達も引き続き検討する。


国内の生産ラインだけではなく、アメリカで生産している部分がF-2戦闘機にはあるので、これをどうするのかが最大の問題点です。正式にF-2追加生産を決定する前にロッキード・マーティン社と話し合っておく必要があるでしょう。既に閉鎖する気で片付ける予定を組んでいるラインを再度維持するには、新たな投資資金が必要になります。

また、追加生産があるとして、そのバージョンアップをどうするかという問題も有ります。J/APG-1(改)レーダーと新型空対空ミサイルへの対応は現行のF-2でも進んでいるのでこれは当然として、新型エンジン搭載など手を加える余地がまだあります。
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2010年08月01日
今こそ国防予算を聖域化して軍拡を行う時が来ました。国家の財政が赤字であろうと、今このタイミングを逃してしまうと取り返しが付かなくなってしまうからです。


露、今後3年で国防費60%増へ…原潜配備など:読売新聞
この予算方針は、プーチン首相が主宰した29日の政府会議で採択されたという。ロシアは財政赤字削減に取り組んでおり、国内の治安対策費も今後3年間減額されるなど多くの費目が削減対象となる中、国防費だけは聖域扱いされる形となっている。


ロシアは軍拡を行います。ヨーロッパ諸国が域内の金融危機に対応する為に、大幅な防衛予算削減(福祉予算はもっと減らされる)を行っている真っ最中なのに、このような決断を降した理由は、ソ連消滅から20年間の間に新生ロシア軍の装備が殆ど更新されておらず、これ以上この状態を放置してしまうと軍事的に二流以下に成り下がってしまう懸念があるからです。ロシア軍は組織の枠組みの大改革に着手し、装備の調達についても新たな取り組み(国内兵器産業を立て直すまで外国兵器の本格導入)を行っています。また、ロシアはNATO以外の軍事的脅威とも相対しており、これに対抗する必要性が生じているのです。


ロシア軍近代化、将校大幅削減…米中に対抗:読売新聞
改革の成果を試す機会となったのが、6月末から7月初めに極東地域などで実施された軍事演習「ボストーク2010」。軍事評論家イリヤ・クラムニック氏は、「装備は古いものが目立ったが、部隊運用は円滑だった」と評価する。

演習では、ハバロフスクに侵入した爆撃機の迎撃訓練などが、中国を想定したものとして注目された。ロシア政府は、「どの国も仮想敵国に想定していない」と強調。2月に公表した軍事ドクトリンでも中国の脅威には一切触れていない。だが、関係者の間では、「ロシアが中国を脅威ととらえているのは明らか」(クラムニック氏)と言われており、急速な軍改革も、強大化する隣国・中国に対抗する布石という面がありそうだ。


ボストーク2010演習は極東方面の各所広範囲で行われており、あらゆる事態を想定して様々な演習が行われました。中には朝鮮半島で武力衝突が発生した際に難民を受け入れる訓練や、日本との領土紛争を想定した北方領土展開訓練、中国が国境線を越えてハバロフスクに侵攻して来た場合の迎撃訓練などがありました。そしてロシアの軍事専門家イリヤ・クラムニク氏(イリヤとは男性名)は特にボストーク2010演習は対中国を意識したものだと解説しています。これについてはモスクワ在住の軍事ライター小泉悠氏(最近ロシア女性と結婚されたそうです。おめでとうございます)もイリヤ・クラムニク氏と近い意見です。


ヴォストーク2010演習小括:★くろいあめ、あかいほし
7月1日付の『産経新聞』は、択捉島で上陸作戦演習が行われたことや、今年2月好評の『軍事ドクトリン』に「領土要求」が脅威として盛り込まれたことを根拠に、今次演習が「日本を仮想敵としている」とした。

しかし、択捉での上陸演習は広大な演習地域の一部で行われたものに過ぎず、また、新『軍事ドクトリン』における「領土要求」への優先順位はむしろ前バージョンより低下している(以前は「脅威」の第一位にランクされていたが、今次ドクトリンではより脅威度の低い「軍事的危険」という項目の第4位にランクされているに過ぎない)。

したがって、今次演習が(少なくても主要な仮想敵として)日本を意識したものとは考えにくく、中国または朝鮮半島を睨んだものとする他の論評の方が、考慮に値すると考えられる。


実際問題として日本が突然、専守防衛の平和憲法を改正もせずに北方領土の武力奪還を行って来る事は考えられず、ロシアとしても中国や北朝鮮の有事を優先して考えるのが普通でしょう。ロシアは7年前には朝鮮半島で核兵器が使用された場合を想定した放射能除去訓練まで行っており、20万人の北朝鮮難民を受け入れる訓練はその時にも行い、今回のボストーク2010演習で2回目になります。

また現在、ロシアと中国の仲は急速に冷え込んでおり、ロシア製兵器を違法コピーする中国にロシアが激怒しています。以前からロシアは中国と敵対関係に戻る事(冷戦中は完全に敵対関係にあった)を考慮し、最新鋭の兵器は売却に応じて来ませんでした。結果としてそれは正解だったのです。

中国でのライセンス契約破棄検討 ロ戦闘機違法コピーで:共同通信

「中国に対する最後の信用を失った」とあります。この問題が発展すればジェットエンジンの供給も止まる事になるかもしれません。
23時58分 | 固定リンク | Comment (312) | 軍事 |