2016年02月16日
シリア内戦ではロシア軍およびアサド政権軍がクラスター爆弾を大量に使用しています。様々な種類のクラスター爆弾が使用され、爆発の瞬間が撮影され、不発弾が発見され、動かぬ証拠となって上がっています。そして遂に2016年2月15日、シリアのアレッポ北部の市街地に投下されている様子が動画に収められました。ロシア空軍のSu-34攻撃機による爆撃とされています。


العدو الروسي في أقذر أسلحته العنقودي يفتك في حريتان بريف حلب

ロシアもシリアもクラスター爆弾を禁止制限するオスロ条約には加盟していません。しかし、それ以前の前提として戦時国際法であるジュネーブ条約は市街地への無差別な攻撃を禁止しています。クラスター爆弾はピンポイント攻撃が出来ない面制圧兵器であり、無差別に広範囲を破壊・殺傷するものである以上、市街地での使用は戦時国際法に違反した行為であることは明白です。そして一つの親爆弾に数十個から数百個の子弾が入っている為に不発弾が大量に発生し、戦争が終結した後も民間人に犠牲を強いる事になります。

【シリアで確認された各種ロシア製クラスター爆弾の子弾】
・対人クラスター子弾AO-2.5RTM(航空爆弾RBK500)
・対人クラスター子弾AO-1SCh(航空爆弾RBK250-275)
・対人クラスター子弾ShOAB-0.5(航空爆弾RBK500)
・対人クラスター子弾9N235(スメルチ多連装ロケット、9M55K弾)
・対人クラスター子弾9N24(トーチカ短距離弾道弾、9N123K弾頭)
・対人クラスター子弾O10(240mm重迫撃砲M240、3O8迫撃弾)
・焼夷クラスター子弾ZAB-2.5(航空爆弾RBK500、テルミット)
・対戦車クラスター子弾SPBE-D(航空爆弾RBK500、自己鍛造弾)

上記に挙げたものはシリアで確実に確認されたクラスター子弾ですが、これで全ての種類ではありません。更に多くの種類のロシア製クラスター爆弾が使われている可能性があります。クラスター航空爆弾はRBK500やRBK250-275といった親爆弾の中に子弾が収納されています。不発弾は親爆弾、子弾ともにシリアで大量に発見されておりロシア軍とアサド政権軍による使用は明白なのですが、ロシア政府、アサド政権ともに「クラスター爆弾は使用していない」と言い張っています。しかしロシアによる介入以後、突然に使用が確認された物や使用量が急増した物がとても多く、ロシアが供給しロシア自身も使用している事は間違いないでしょう。
21時51分 | 固定リンク | Comment (43) | 軍事 |

2015年11月18日
11月17日、ロシア政府は10月31日にエジプトで墜落したロシア旅客機に付いてイスラム国による爆弾テロと断定、報復攻撃を開始しました。戦略爆撃機から発射された巡航ミサイルによる大規模な集中攻撃です。

ロシア国防省の発表によると投入された戦略爆撃機は「Tu-160」、「Tu-95MS」、「Tu-22M3」の三機種で、ロシア空軍が保有する大型戦略爆撃機と中型戦略爆撃機の全種類です。空中発射式の巡航ミサイルや爆弾を投下したとあります。また公開された動画からは最新鋭の空中発射巡航ミサイル「Kh-101」らしい物も確認できます。攻撃目標はイスラム国の本拠地ラッカでした。


Массированный удар самолетами Дальней авиации по объектам инфраструктуры ИГИЛ в Сирии




※Kh-101と思われる巡航ミサイル

また、地中海に展開したロシア海軍のキロ級ディーゼル潜水艦「ロストフ・ナ・ドヌー」が巡航ミサイル「カリブル」で攻撃を行ったことを一部ロシア紙が伝えていますが、こちらは戦略爆撃機の攻撃と違い、ロシア国防省からの正式発表はまだありません。(潜水艦からの攻撃は誤報の可能性が有ります)
01時19分 | 固定リンク | Comment (79) | 軍事 |
2015年11月10日
11月5日のアメリカ陸軍の報道によると、日本陸上自衛隊の03式中距離地対空誘導弾改(略称:03式中SAM改)が今年の夏にニューメキシコ州にあるホワイトサンズ・ミサイル射撃実験場で迎撃試験を行い、10回の試験に全て成功した事が伝えられています。そして標的の中には高空でマッハ3〜4、海面すれすれでもマッハ2.5を発揮できるGQM-163Aコヨーテ超音速巡航ミサイル標的も含まれていました。

Japanese Test Engages Supersonic Target on WSMR | The Official Home Page of the United States Army

03式中SAM改
※米陸軍より陸上自衛隊03式中SAM改(クリックすると大きい画像)

03式中SAM改は従来の03式中SAMより小型化されたミサイル弾体を使用したもので、1発当たりのコストが削減されています。これは本来は海上自衛隊の護衛艦に搭載するために開発されていた艦対空誘導弾XRIM-4が元になっています。(XRIM-4は海上自衛隊には不採用)

03式中SAM改
※03式中SAM改

中SAM比較
※03式中SAM、新旧の形状比較(縮尺の対比は不正確

関連記事:03式中距離地対空誘導弾(改):2014年11月27日
20時32分 | 固定リンク | Comment (66) | 軍事 |
2015年11月05日
10月31日、米ミサイル防衛局はTHAADとイージス艦を用いた弾道ミサイル防衛の多層防御試験「FTO-02 イベント2a」を成功させました。成功とは言ってもイージス艦のSM-3迎撃ミサイルは途中で不具合が起き、THAADによって目標を撃墜しています。アクシデントはあったものの多層防御の目的は達成されました。

Ballistic Missile Defense System Demonstrates Layered Defense While Conducting Multiple Engagements in Operational Test - The Missile Defense Agency (MDA)


US Defense Against Aggression: Layered Missile Defense System Test

発射された標的ミサイルは短距離弾道ミサイル模擬標的「SRALT」と準中距離弾道ミサイル模擬標的「eMRBM」、そして巡航ミサイル標的「BQM-74E」です。「SRALT」と「eMRBM」はC-17輸送機から空中投下される弾道ミサイル模擬標的で、ウェーク島の南東から発射され、「SRALT」と「eMRBM」はTHAADによって、「BQM-74E」はイージス艦が撃墜しました。イージス艦は「eMRBM」の迎撃を試みたものの失敗、THAADが迎撃を引き継ぎ撃墜に成功しています。THAADの配置は発表されていませんが、クェジェリン環礁にある射爆試験場だと思われます。(追記:動画の方の説明文でTHAADはウェーク島に配置されてあるのを見落としていました。訂正します)

eMRBM
C-17輸送機から空中投下されるeMRBM

eMRBM
上昇するeMRBM(弾頭部は修正され隠されている)
19時23分 | 固定リンク | Comment (33) | 軍事 |
2015年10月27日
10月27日、南沙諸島に中国が建設した人工島の12カイリ内に、アメリカ海軍のイージス駆逐艦「ラッセン」が進入しました。中国の人工島を領海の起点とは認めず、南シナ海の航行の自由を実力で示す目的です。日本の横須賀を母港とするイージス駆逐艦「ラッセン」は数日前までマレーシアのコタキナバルに寄港しており、哨戒機の援護を受けながら単艦で南シナ海へ乗り込んでいます。(発表は有りませんでしたが、海中から攻撃原潜も援護していたものと思われます。)

ラッセン
先月9月17日、南シナ海で演習を行うイージス駆逐艦ラッセン(米海軍より

また10月24日には空母「セオドア・ルーズベルト」がシンガポールのチャンギに寄港しており、その後の動向は発表されていませんが、今回のイージス駆逐艦「ラッセン」の活動を直ぐに支援できる準備を整えていたものと思われます。空母「セオドア・ルーズベルト」は中東のペルシャ湾での任務を終えて本国へ帰還する途中で、インド洋のベンガル湾で日本海上自衛隊やインド海軍との合同演習を終えて来たばかりでした。

ルーズベルト
今月10月24日、シンガポールのチャンギ軍港に入港する米空母ルーズベルト(米海軍より
21時17分 | 固定リンク | Comment (63) | 軍事 |