2015年10月05日
連日シリアで行われているロシア軍の空爆ですが、10月4日に北部アレッポの近郊で対戦車クラスター爆弾、自己鍛造弾が空中炸裂していると推測される動画が報告されています。




سلاح جديد يستخدمه الطيران الحربي الروسي في سوريا

ロシア軍のSu-24攻撃機から数発の爆弾が投下され、地表付近でそれ以上の多数の空中爆発が発生しています。これはスマート型の誘導能力を持つクラスター爆弾の子弾が空中炸裂し、自己鍛造弾を目標に発射しているように見えます。対戦車クラスター爆弾РБК-500 СПБЭ-Д(RBK-500 SPBE-D)か、それに類似したものではないかと推測できます。

しかし反政府軍は戦車をほとんど運用していない筈で(小数の鹵獲車両は使っている可能性が有るが)、なぜロシア軍がこのタイプの爆弾を使用したのかは不明です。本来ならば装甲車両の大集団に向けて使用すべき兵器です。
05時37分 | 固定リンク | Comment (45) | 軍事 |

2015年10月02日
ロシア国防省が10月1日分のシリア空爆動画を3本新たに公開しました。Su-24攻撃機、Su-25攻撃機、Su-34攻撃機の動画です。ロシアはこの他にSu-30戦闘爆撃機もシリアに展開させています。

Su-24攻撃機とSu-25攻撃機はイドリブ県の都市マアッラト・アン=ヌウマーンを攻撃したと説明にあります。しかしここはイスラム国の支配地域ではありません。

Su-34攻撃機はイスラム国の本拠地ラッカの近郊を爆撃したとあります。これが事実ならば初めてのロシア軍によるイスラム国への攻撃となります。


ロシア国防省YouTube公式よりSu-24攻撃機による爆撃


ロシア国防省YouTube公式よりSu-25攻撃機による爆撃


ロシア国防省YouTube公式よりSu-34攻撃機による爆撃
19時49分 | 固定リンク | Comment (12) | 軍事 |
2015年10月01日
9月30日から始まったロシア軍によるシリア空爆は10月1日になっても続いています。そしてロシア国防省が2つ目の空爆動画を公開しました。


Ночью российская авиация нанесла удары по 4 объектам ≪Исламского государства≫ на территории Сирии

動画のタイトルと説明文では夜間爆撃で4つの目標を撃破したとあります。また爆撃目標は前日より拡大し、シリア西部のホムスに加えてシリア北西部イドリブを爆撃しています。しかしホムスもイドリブもイスラム国の支配地域とは離れています。ロシアはイスラム国に攻撃を加えていると主張しつつ、全く無関係なところを爆撃していることを自ら公表しています。ロシアはアサド政権の延命を第一に考えて、イスラム国以外の、アサド政権軍との前線で相対している他の反政府組織を集中的に叩いています。その上で「ロシアはイスラム国を攻撃している」と言い張っています。


20時24分 | 固定リンク | Comment (11) | 軍事 |
2015年9月30日、ロシア軍がシリアでの本格介入に踏み切り空爆を開始しました。ロシアは対イスラム国連合を唱えていますがその本当の狙いはアサド政権の存続にあり、ロシア空軍の戦闘機による空爆はイスラム国ではない他の反政府勢力(アメリカが支援している自由シリア軍系列)に実施されている上に、さっそく誤爆で民間人に大量の犠牲者が出ました。それでもロシア国防省はあくまでイスラム国の拠点に対してピンポイント精密爆撃をしていると公式声明で発表しています。


Воздушные удары по объектам террористической группировки ИГИЛ

そしてロシア国防省がシリアでの空爆動画をいち早く公開したのは、ロシア軍が精密爆撃を行っており無差別爆撃はしていないと国際社会にアピールする為かと思いました。しかし、公開された動画の最初の方に、地表に多数の小さな爆発が起きている様子が見えます。

ru_sy1.PNG

これはクラスター爆弾から拡散した多数の子弾が着弾している様子に見えます。つまりピンポイント攻撃ではなく、精密誘導無しで広範囲を面制圧しているのではないでしょうか? 

動画の空爆は3シーンあり、2シーン目の攻撃も同様に地表に多数の着弾が見えます。そして3シーン目の攻撃は単弾頭の爆弾を投下しています。

ロシア軍シリア空爆

建造物を狙って外しているように見えます。精密誘導爆弾ではなく、誘導装置の無い自由落下爆弾の可能性が有ります。この動画からはピンポイント精密爆撃をしているとは受け取る事が出来ません。アメリカ軍の爆撃と比べて、ロシア軍は非常に大雑把な爆撃を行っているようです。ロシア国防省は公式声明でピンポイント精密爆撃をしていると言いつつ、自ら発表した動画でそうではない事を明かしました。

参考:アメリカ軍による対イスラム国シリア空爆、12発の精密誘導兵器による面制圧攻撃(2014年9月14日)

一方でアメリカ軍は誘導兵器による精密爆撃で面制圧しつつ付随被害を局限するという、非常に高度な事を実行しています。
05時05分 | 固定リンク | Comment (27) | 軍事 |
2015年09月30日
現在は停戦し小康状態になっているウクライナ東部での動乱では、ウクライナ政府と東部独立派がお互いに相手を「白燐弾を使用した!」と非難し合っていた事があります。しかし着弾現場から落ちていた不発弾が回収され、両軍が使用しているロシア製多連装ロケット「BM-21グラード」のクラスター焼夷弾型ロケット「9M22S」の「9N510弾頭」に入っている特徴的な六角柱の子弾が発見されています。


МОСПИНО Реактивный зажигательный снаряд 9М22С(六角柱状の焼夷子弾に着火した様子)

Зажигательные снаряды в небе Донецка. 04.02.2015 ドネツクの空、焼夷弾(2015年2月4日)

六角柱の金属ケースはマグネシウム製で内容物は白燐ではなくテルミットです。六角柱の形状やその構造はアメリカ軍が第二次大戦中に使ったM50エレクトロン焼夷弾によく似ています。ロシア製の9M22S焼夷ロケット弾はそれより小さく出来ています。


Ilovaisk、ウクライナ東部(2014年)

9M22S焼夷ロケット弾はクラスター型の為、多数の子弾が燃えながら落ちて来ます。その様子がファルージャやガザで使用されたM825A1白燐弾に似ている為に当初混同されてしまったのでしょう。ただしM825A1白燐弾は剥き身の白燐を空中でバラ撒く仕様で煙幕弾として設計された兵器であり、特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の付属議定書3の焼夷兵器の定義からは除外されています。一方で9M22S焼夷クラスターロケット弾は明確に攻撃兵器として設計されており、CCWで使用制限をされる焼夷兵器に分類されます。つまりM825A1白燐弾よりも深刻な問題とされるべきものでした。ですが、ウクライナ東部での9M22S焼夷クラスターロケット弾の使用に付いて、国際的には殆ど騒がれずに終わっています。

Protocol III to the Convention on Prohibitions or Restrictions on the Use of Certain Conventional Weapons which may be deemed to be Excessively Injurious or to have Indiscriminate Effects - 国連軍縮局(UNODA)

しかし、焼夷兵器の使用制限に関する特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の付属議定書3に、ロシアもウクライナも入っているように見えます。(韓国やイスラエルは受諾していない)
05時29分 | 固定リンク | Comment (5) | 平和 |