2015年07月07日
回収騒ぎになった民主党の「徴兵制復活」リーフレットですが、一日経って結局こうなりました。

「徴兵制復活」の民主党パンフ 枝野氏「中身がいい」 一部修正し、拡大配布へ:産経新聞(2015年7月6日) 



民主党の保守系の議員、長島昭久氏などが差し止めようとして、結局は枝野幸男幹事長が押し切る形となっています。枝野幹事長(民主党憲法総合調査会長兼任)は以前から徴兵制に付いて誤った認識の発言を繰り返していました。

「集団的自衛権、必然的に徴兵制に」 民主・枝野氏:朝日新聞(2014年5月18日)
■枝野幸男・民主党憲法総合調査会長

世界の警察をやるような軍隊をつくるには、志願制では困難というのが世界の常識だ。従って集団的自衛権を積極行使するようになれば、必然的に徴兵制にいかざるを得ないと思う。(さいたま市のオープンミーティングで)

このような常識は聞いたことがありません。世界の警察をやっているアメリカは志願制軍隊であり、徴兵制ではないからです。そして前回の記事でも解説した通り、ドイツは海外派兵を積極的に行うようになって以降に徴兵制を廃止しています。「世界の常識」は、民主党・枝野幹事長の認識とは全く逆なのです。

今回は民主党内で間違ったリーフレットを差し止めようと自浄作用が働こうとして、結局は失敗したという残念な結果に終わってしまいました。
00時32分 | 固定リンク | Comment (491) | 政治 |

2015年07月04日
今の時代に現実味が全く無い徴兵制復活の恐怖を煽るような真似を、最大野党である民主党が行ってしまいました。

民主、安保法案反対のパンフ配布 子育て世代狙い:朝日新聞


激しい抗議を受けたのか、慌てて取り上げる方向になったようです。民主党公式アカウントのツイートも削除されました。

minnsyu.PNG
[保存していたキャプチャ画像]


安保法案リーフレット「子どもたちの未来のために・・。」:民主党

ただ、なぜ朝日新聞のせいにしようとしているのか分かりません。「民主党広報委員会」で作成したリーフレットである以上、責任は全て民主党が背負うべきものです。

民主党公式ページの言及は消えたようですが、ダウンロード用のPDFファイルはまだ残っています。 http://www.dpj.or.jp/download/22075.pdf

徴兵制とは基本的に総力戦争で必要になる制度です。海外派兵程度では必要ありません。その具体的な事例としてはドイツが挙げられます。ドイツは海外派兵を積極的に行うようになって以降に、徴兵制を廃止しています。

1999年、ドイツ連邦軍はNATOユーゴ空爆「アライド・フォース作戦」に参加。
2009年、ドイツ連邦軍はアフガニスタンで攻勢的な地上戦「オカブ作戦」に参加。
2014年、ドイツ連邦軍は徴兵制を廃止、志願制に移行。

徴兵制復活の恐怖を煽る方向とは全く逆の流れとなっています。
15時53分 | 固定リンク | Comment (105) | 政治 |
2015年06月18日
アルマータ戦車型の砲塔は、アクティブ防御システムやそのカバーなどを外していけば、無人砲塔らしい本来の姿があるのではないかという考察動画の紹介です。(公式のものではありません)


Armata Turret

この動画では砲塔後部バスルは予備弾置き場で、即応弾は車体側に積まれているという推測になります。また125mm主砲の2A82は従来の2A46より強力な砲ですが、分離装薬のままで、弾薬は共通化されていると推定されています。(2A82からも2A46用の古い砲弾を撃てるが、2A82用の新型砲弾は2A46では撃てないと思われます)

125a.PNG

これらの考察は全て推定になりますが、ロシア国内の報道や研究者の見解は概ねこのようになっています。ただし、当局からはまだ砲弾の写真や装填システムなどの公表写真は出されていません。
01時00分 | 固定リンク | Comment (143) | 軍事 |
2015年06月06日
訪日したフィリピンのアキノ大統領とガズミン国防相は南沙諸島を巡る中国との対立を訴え、日本に軍事協力を求めました。自衛隊がフィリピンの基地を給油や整備で利用できるように働きかけた他に、日本の兵器を中古で安く譲ってほしいという軍事援助の要望も伝えられました。フィリピンの「ほしい物リスト」は次のように伝えられています。

A Philippines Defense Equipment Wish List Submitted in Japan - Manila Livewire

P-3C対潜哨戒機
p-3c.jpg

しらね型護衛艦
sirane.jpg

おやしお型潜水艦
oyasio.jpg

はやぶさ型ミサイル艇
hayabusa.jpg
※写真は全て海上自衛隊より

・・・はやぶさ型を除き、フィリピン軍の防衛予算では維持が困難なものばかりです。もう少し身の丈に合ったものをリストに入れて欲しかった気がします。それにしても、これはもう巡視艇の提供というレベルではなく完全に軍事兵器の援助になるので、もしも実現したら日本の武器輸出の大きな転換点になりそうです。
09時23分 | 固定リンク | Comment (163) | 軍事 |
2015年05月19日
現地時間17日、ハワイで訓練中のアメリカ海兵隊MV-22オスプレイがオアフ島にあるベローズ空軍基地で着陸に失敗、機体は大破し乗員22名中1名死亡、残る21人は全員病院に搬送されました。オスプレイの機体が大破する死亡事故は2012年以来で3年振りになります。事故機体はアメリカ西海岸カリフォルニア州にあるミラマー海兵隊航空基地の第161海兵ティルトローター機中隊(VMM-161グレイホークス)所属機で、ペンドルトン基地の第15海兵遠征部隊(15MEU)と共に海軍の強襲揚陸艦エセックスに搭載されて5月10日にサンディエゴ海軍基地を出港、太平洋軍と中央軍の管轄区域(太平洋〜インド洋〜中東)を行動する7ヶ月間の定期遠征任務に赴く途上でした。なお空軍はもうベローズを航空基地としては殆ど使用しておらず今はレクリエーション施設となっていて、一部の敷地を訓練用に海兵隊へ貸しています。

bero.PNG
※ベローズ空軍基地。カネオヘベイ海兵隊基地から南に約10km

アメリカ軍のオスプレイは2007年から実戦投入され始めて、2012年の時点で178機が飛行可能状態であると計画主任のマシエロ大佐が述べていました。調達数と飛行可能数は正確には異なってきますが、3年間の追加調達分でオスプレイは既に200機以上が実戦部隊に配備済みとなっています。

そして今回の事故が起きる直前までのMV-22オスプレイの事故率は10万飛行時間あたりクラスAの重大事故が2.12件(海兵隊機の平均は約2.5件)です。年間飛行時間は1機当たり300飛行時間を少し超えるのが平均的で、200機のオスプレイが1年間飛んだ場合は6万飛行時間になります。つまり1年に1回の重大事故を起こしたとしても平均より低い事故率だと言えます。今回の事故を事故率の計算に入れても、それでもオスプレイの事故率は平均的なままです。

この為、オスプレイの安全性に付いてアメリカでは全く騒がれていません。例えば配備数が1500機近いアメリカ陸軍の汎用ヘリコプター、UH-60ブラックホークに至ってはこの機種だけで年間総飛行時間が数十万時間になるので、毎年のように事故で数機失われています。それでも問題にならないのは事故率で見ると別に悪くはないからです。オスプレイは現在200機以上が実戦配備されていますが、将来的には400機以上になる予定です。当然、事故件数は増えていくでしょう。しかし安全性に付いて論じるならば事故発生率で見なければならないのです。

むしろ機体数が100機程度と少ない割に事故が相次いで問題視されているのは海兵隊の大型ヘリコプターCH-53Eスーパースタリオン(および派生の海軍型MH-53Eシードラゴン)の方で、こちらは2012年に2件、2014年にも2件の墜落事故を起こしてしまい、2015年2月7日に問題点検する指示(AFB-346)を海軍航空システム軍団が発令。電気系統を中心に点検作業が今も続いていますが、4月15日にはCH-53Eがカリフォルニア州の海水浴場に燃料系統の不調で緊急着陸して話題になったばかりです。CH-53E/MH-53Eは引退が近付いている老朽機なので修理用部品の在庫も苦しい状況となり、5月13日には一足早く退役した日本海上自衛隊のMH-53Eを部品取り用としてアメリカに譲渡することが日本防衛省から発表されています。

【参考資料】防衛省資料よりオスプレイ事故率データ(2012年版)

オスプレイは2015年5月17日に新たにハワイで3年ぶりとなる墜落死亡事故を起こしましたが、これに加えてこの3年間に発生したその他のクラスA事故を入れたとしても、運用機体数が200機以上になっている為に飛行時間当たりの事故率は大きく変動せず、依然として海兵隊平均以下のままです。その為、この2012年時点での事故率の表も参考になるでしょう。
00時09分 | 固定リンク | Comment (396) | オスプレイ |