ヤングキングアワーズ、今月号は長谷川哲也先生の「ナポレオン〜獅子の時代〜」が表紙です。
大欧州、男魂∞!!!何という煽り文句。まさに大陸軍万歳。
素の表紙は↓以下を参照。

注:長谷川哲也先生は公式サイト
「超低金利漫画家 長谷川哲也のホームページ」の冒頭において、
「このホームページにおける文章、画像の無断転載はぜひやれ! 漫画家 長谷川哲也」と豪快に宣言なさっています。(流石です。ちなみに関係無いですが、長谷川先生のお父さんは元海上自衛隊の厳格な方で、お母さんはナポレオンの母レティッツィア顔負けの肝っ玉看護婦だったそうです)
私はこの「ナポレオン〜獅子の時代」が、現在のアワーズ連載陣の漫画の中で「ヘルシング」の次に好きな作品で、毎月心待ちにしています。ヘルシングはクライマックスに向かう真っ最中で、もうすぐ最終回が来ますから、これからはナポレオンが唯一の楽しみになるのかなぁ・・・小だまたけし先生の「平成COMPLEX」が打ち切りだったと知った今では、アワーズを立ち読みせず毎号買う理由はもう長谷川先生のナポレオン漫画だけになりそうです。
アワーズ冬の時代はもう直ぐ其処に来ています。「トライガン」は既に終わり、「ヘルシング」「ジオブリーダーズ」といった主力連載陣が軒並み最終回に近づきつつあります。梃入れとして野上武志先生の新連載「月の海のるあ」が始まったり(零式水上観測機「零観」が活躍する冒険漫画。詳細は
こちら)、六道神士先生が「エクセルサーガ」と「ホーリーブラウニー」の同時連載を始めたり(エクセルサーガもクライマックスか)、宮尾岳先生の「並木橋通りアオバ自転車店」が新装開店した上でアワーズにも来月号から登場(ヤングキング誌と並行連載)と色々な動きがあるわけですが・・・
長谷川哲也先生の「ナポレオン〜獅子の時代〜」が看板作品になればいいんじゃないかと思っています。いや、もう看板作品でしょう。この時代の大河ドラマ、戦争劇画を描いた作品は非常に少ないです。ナポレオンを題材にした漫画はおろか、伝記や資料も日本では数少ない(特に資料が少ないので困る)。漫画だと「ベルサイユのばら」の作者である池田理代子先生が「栄光のナポレオン―エロイカ」を描かれたくらいで、他には存在しないと思います。勿論これは少女漫画ですから、漢らしい漢達を描いた戦場劇画は、長谷川ナポレオンだけ。その描写は、敢えて史実と異なる演出(俗に「長谷川マジック」と呼ばれる)をも行う大胆なものがあるので、好き嫌いは分かれるかも知れませんが私は一押しの作品です。(歴史資料的部分は研究家の兒玉源次郎氏による解説コラム「大陸軍戦報」も併記されているので、きちんとした勉強にもなります)
現在、「ナポレオン〜獅子の時代〜」は7巻まで出ています。(10月9日に8巻が出ます)初期のタッチを見ると現在ではかなり変わってきた感じです。初期は「北斗の拳」チックなのですが、それもその筈、長谷川先生は原哲夫先生のアシスタントをしていました。ナポレオンを最初に見た時、それ以前に長谷川先生が書いた漫画「アラビアンナイト」の頃とはかなり違ったタッチだったので驚きはしましたが、今ではアラビアンナイトの頃とも原哲夫アシスタント時代とも別の、長谷川先生らしいタッチで描かれている感じがします。私は今の画風が好きですね。
もしかしたら先生の割り箸の削り方が上手くなったのかもしれません。

(↑クリック拡大)
先生・・・いくらGペンが生産中止だからって・・・ちなみに竹本泉先生はペン先10年分のストックを確保しているそうですよ。
ところでこの漫画、最初はアウステルリッツ会戦の描写から始まり、その後にナポレオン誕生から始まる伝記ストーリーになるわけですが、1〜7巻の内半分くらいがフランス革命の詳しい描写(いや長谷川マジック炸裂か)に割いており、ロベスピエールが主人公になっているような気もしますが気にしてはいけません。(其処が良いのだという意見も多数)
市民革命の指導者達や民衆がお互いを呼び合うときに「市民○○」と呼ぶスタイルは、後の共産主義者達が真似て「同志○○」としたのだな、とよく分かります。革命とは血生臭く、ギロチン(断頭台)の露と消えていった大量の犠牲があった事を、これでもかこれでもかと生首を落として訴える・・・そんな漫画です。是非とも読んで欲しい作品です。(あれ何か方向性が違うような気が)市民革命で国王を処刑した後に皇帝を誕生させた(何をやっとるんだこの国は)フランスの数奇な歴史を描く伝記漫画です。
アワーズ今月号では1796年イタリア戦線「カスティリオーネの戦い」が壮大に描かれています。分散して進撃してくる敵を合流前に攻撃し、内線作戦による各個撃破で殲滅して行く。そして9年後の「アウステルリッツ会戦」では、「戦争論」を書いたクラウゼヴィッツをして「戦争芸術の粋」と言わしめた華麗な戦術。まさに軍神。このような人物が僅か200年弱前に存在してたという事実に驚きを覚えます。「英雄」とは、100年周期くらいで現れたりするものなのでしょうか・・・。